井手渉の発言 (国土交通委員会)

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○井手参考人 ただいまユーザーのことについて一つお話がありましたが、よくユーザー、ユーザーとおっしゃるんですけれども、加藤先生は、ユーザー還元、ユーザー還元と盛んに言っておられましたけれども、ユーザーが被害者になることもあるわけでありまして、自分はユーザーだけであって被害者にならないというのはおかしいと思うんですね。ユーザーはだれなのかというと、やはり加害者もなり得ることですから、被害者の救済を図るということがユーザー還元であるというふうに思っております。
 先ほど問題になりました後遺障害者の現状というものについて、よく知られていないようですので、ちょっと時間がかかりますが、申し上げさせていただきます。
 現在、後遺障害者は、家庭で介護している場合は一日二千二百五十円です。ヘルパーを頼みますと、介護料は四千五百円になります。しかし、医療処置がある場合には、ヘルパーさんではできませんので、どうしても家族がその場を離れることはできない、ほとんど家族は介護しているという状況であります。
 こういうふうに、十分でない介護費用も、一級の障害の人だけなんです。純粋に、つまり植物状態の人しかできていない。意識が戻った場合にはこれが打ち切られる。しかし、意識が戻ったとすれば、今度は介護に対する労働力が重なってくる。今度の改正案で二級ということまで広がっておりますけれども、実際のところ、二級の人よりは金額が余り変わっていないということであります。
 それから、事故センターの実態なんですけれども、実際に今センターに入所したいと思っている方が、知っているだけで千人ぐらいいらっしゃるそうですが、実際にこの事故センターを知らない人も多い。全国では、今四カ所しかありません。百八十床なんです。千人も待機者がいるのに、百八十床しかない。これでは、被害者の対策は十分だとは私には思われません。
 また、入院基準も非常に問題がありまして、植物状態から脱却した人が二〇%と言っておられますけれども、これもどうも、作為的というか、事故歴が低くて、二十歳前後で、回復見込みのある人を選んでいると思われるような節がございます。
 それから、ショートステイの問題としましては、預かってくれる病院はないので、結局、検査入院ということになります。差額ベッド代を支払って入院することになりますが、それでも、病院によっては家族の付き添いが必要となりまして、何のためのショートステイなのかわからないのが現状であります。事故対から一万円ぐらい出ておりますけれども、実際、最低一万五千円から二万円ぐらいかかっているというのが現状であります。
 協力病院ということが考えられておりますが、事故対から病院一年間につき一千万円という助成金が支払われていますが、いまだに新しい協力病院の申し出はありません。
 このような実情を厚生省に訴えますと、交通事故の被害者は国土交通省だと言われる。また、国土交通省からは、これは被害者の支援をもっと大きく、これを社会保障的に対応したらいいんじゃないかということになって、障害者、特に若年の植物状態にある被害者を抱えた家族は、本当に、今後、将来何の目的も持てないわけであります。ただきょう一日、また、それが過ぎたらもう一日生命を長らえる、そういう悲惨な状態でありまして、二十四時間介護をしているというのが現状でありまして、親は、風邪も引けない、病気になることもできない、歯の治療にも行けないという状況にあります。
 私たちが一番問題にしているのは、親亡き後の子供の状態なのでありますけれども、実際に親が亡くなった後の子供たちのことを考えてみますと、今の例から見ますと、早く言いますと、殺しはしないけれども生かしておくというふうな感じであります。何カ所かの施設を十日から十四日ぐらいでたらい回しにされて、そして、そういう状態でありますから、自分たちが亡くなった後、子供たちはどういうふうになるのかと思うと死んでも死に切れないという後遺障害者が多いわけです。
 交通事故というのは交通犯罪によって起こったものでありますから、社会保障でやればいいんだという考えは非常におかしいと思う。これはやはり自賠責の問題として真剣に取り組んでほしい。こういう困っている人を救済できないで、政府再保険廃止ありきではどうかなというふうに思うわけです。これは一概に、簡単にはいかないかもしれませんけれども、きょうは、後遺障害者の置かれている非常に苦しい実態ということをわかっていただきたいと思って申し上げました。
 以上です。

発言情報

speech_id: 115104319X01820010605_025

発言者: 井手渉

speaker_id: 9611

日付: 2001-06-05

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会