宮本勝浩の発言 (予算委員会公聴会)

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○宮本公述人 大阪府立大学の宮本でございます。平成十三年度の予算に関しまして、私の考えを述べさせていただくのを大変光栄に思っております。
 景気の回復と財政再建という同時に達成することが非常に困難である、そういう目的を抱えた中での予算案の作成は大変難しいことであろうというふうに考えております。日本経済全般につきましては、ただいまリチャード・クー先生、それから植草先生が御専門で、また非常に立派な御意見を述べられましたので、大阪から参りました私は、地方経済、地方分権の側面から平成十三年度の予算について私見を述べさせていただきたいというふうに考えております。
 まず最初に、基本的な日本経済に関する展望といいますか、そういうものについて若干触れさせていただきます。
 私は、日本というのは、個人とか組織が発展するためには、日本人の性格を考えますと、短期的には悲観でいい、しかし長期的には楽観でいかないといけないのではないかというふうに考えております。アメリカ経済が非常に成長いたしました九〇年代は、アメリカ人というのは大体、短期楽観、長期も楽観だったんじゃないか。日本は今は、短期でも悲観で長期でも悲観だ、そういうマスコミあたりの論調が感じられるわけでございます。
 日本の経済発展のこれまでのパターンといいますのを考えてみますと、戦後、先進諸国に追いつけ追い越せというふうなことでやってきまして、このパターンが一応は成功した。例えば自動車であるとか家電産業とか、そういうふうな生産物というのは大体そういうパターンでうまくやってきたのではないか。現在、景気が停滞しておりまして、IT産業、情報関係でアメリカに非常に差をつけられたということは、ある意味では、日本型の追いつけ追い越せのチャンスの到来であるというふうにとらえた方がいいのではないか、余り悲観的になる必要はないのではないかというふうに考えております。
 しかし、何もしないで手をこまねいていたのではなかなかこの不況を脱出することはできませんので、やはり目先の問題というのを少しずつ解決していかなければいけない、しかし長期的には楽観的な考えというものが必要、大切ではないかというふうに考えております。目先の問題を解決するには、例えば税制改革であるとか、それから、先ほどクー先生、植草先生も言われましたように、財政政策というのはある程度効果があった。私もそういうふうに思っておりますけれども、しかし、歳出の項目の見直しとか金融の量的な緩和、それから国民の厚生増大や社会の活性化を阻害しておりますような規制の撤廃とか緩和、社会のニーズが高い、また効率性の高い産業、そういうものの育成というものが必要であろうかと思います。
 続きまして、私がきょうお話をさせていただきたい地方財政について少しお話をさせていただきます。
 平成十三年度の予算についての財務大臣の提案理由説明要旨にも述べられております一般会計項目の一つ、地方財政についてでございます。
 横長の数字の書いてあります資料をちょっとごらんいただきたいと思います。これは、各都道府県の税金、それから地方交付税などの一人当たりの金額を書いてございます。これは、そこにございますように平成十年度の国税庁のデータから出したものでございます。
 一番最初の縦の列でございますけれども、これは国税三税、つまり各都道府県が一人当たり、法人税、個人所得税、消費税をどれだけ国に納めたか。これは全部一人当たり、人口で割ってございます。二番目が地方税です。これは全部一人当たり、その当時の人口で割ってございます。これは地方に残るものでございます。三番目が一人当たりの地方譲与税、四番目が一人当たりの地方交付税交付金、五番目が一人当たりの国庫支出金ということになっております。六番目の欄は、地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金を合計いたしまして、各都道府県、これは市町村も全部含んでおりますけれども、都道府県に一人当たりどれだけ国からのサポートがあったかという金額でございます。七番目の縦の列でございますけれども、これは地方税、つまり地方に残っておるお金と国から与えられたお金、それが一人当たり幾らになっておるかという合計金額でございます。一番最後は、国に対して地方自治体が出したお金と国からもらったお金の差額を書いてございます。
 これをごらんいただきますと、まず、県民一人当たり納める税金、国に納める国税の額というのは、多い方から見ますと、当然東京都、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県の順でございます。次いで、私が問題にしたいのは実は七番目の欄ですけれども、一応六番目を見ていただきますと、国から与えられる一人当たりの地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金の総額というのは、上からいきますと島根県、高知県、鳥取県、沖縄県、鹿児島県の順で国から一人当たりたくさんの補助金といいますか、それをもらっておるということでございます。
 そして、問題にしたいのは実は第七番目の列でございまして、地方税と国からもらう、サポートされる資金でございますけれども、この合計が一人当たり幾らになるかということが問題でございます。この列の数字でございますけれども、これは県民一人当たりが享受する国及び地方自治体から与えられる公共サービスの金額ということになります。この順位は、上から島根県、高知県、鳥取県、福井県、徳島県というふうになってございます。そして、国と地方自治体から与えられますトータルの公共サービスを一人当たり受け取る金額が最も少ないのが、下から埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、静岡県、大阪府、こういう順番になってございます。
 国税の納税額がベストファイブであります都道府県のうち、東京都を除きまして、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県というのは、県民一人当たり受け取る公共サービスの額が全国平均にも届いていない、そういう実態がございます。多くの国税を納めた県民が全国平均にも満たない公共サービスしか受け取っていないというのはいかがなものかというふうな気がいたします。もし、個人所得に関しましてこのような結果が発生いたしますと、これはゆゆしきことになるのではないかというふうに考えております。少なくとも高額納税の県民は、一人一人全国平均程度の公共サービスを受け取る権利があるのではないかというふうに考えております。
 戦後の復興期からしばらくの間は、社会資本の充実などを図るために、豊かでない地方とかそういうところに手厚く税の再分配を行う必要はあったかと思います。しかし、現在、右肩上がりの経済が終わりました今日、高額納税都道府県の財政悪化が非常に著しい、そういう実態を直視いたしますと、税の再分配のシステムの再考、税制そのものを考え直すべきときではないかというふうに考えております。
 続きまして、地方の活性化につきまして若干述べさせていただきます。
 政府は、地方の活性化を図るために、昨年の四月に地方分権一括法というものを成立させました。二十一世紀は地方の時代であるというふうに言われておりますけれども、現状ではその実現というのはなかなか容易ではないというふうに考えております。地方の活性化には、一層の中央政府の地方への権限の移譲とか、税制の改革などが必要ではないかというふうに考えております。
 一つ例を挙げさせていただきます。現在、銀行を中心といたしまして、金融機関の再編成が進展しております。この金融再編が進みますと、いわゆる地方都市のメーンストリートがどういうふうになるかということをちょっとお考えいただきたい。
 東京におられますと日本橋とか、私は大阪から参りましたから、大阪では御堂筋というところがメーンストリートでございまして、そこには銀行とか保険会社が軒を連ねております。しかし、今進展しておりますところの金融再編成が進みますと、参考の資料にも書いてございますように、日本の主要金融機関というのは四つのグループに再編成されるであろうというふうに考えられております。みずほグループ、三井・住友グループ、三菱グループ、UFJグループでございます。
 もし、都市のメーンストリートの一角に、例えば角のコーナーのところでございますけれども、そこに日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が軒を並べておりましたら、これらの銀行はすべてみずほグループでございますので、合理化とか経費節減を目指すということであれば、一行のみ残る、それで十分であるというふうに考えられますと、残りの二行の店舗は閉店されるというおそれがございます。住友銀行とさくら銀行が近くにあれば、また、住友海上火災と三井海上火災が近くにあっても同じこと、どちらか一店は閉鎖されるというふうなことが起こってくる可能性がございます。三菱グループ、UFJグループについても同じことが起こるのではないか。こう考えますと、金融再編成が進みますと、都市のメーンストリートの大きな金融機関のかなりの数が閉店に追い込まれるというおそれがございます。
 東京では、空き店舗になったその銀行の跡に他の企業とか店舗が入る、また、そういう入っていただくものを見つけるのは比較的簡単であろうかとは思いますけれども、地方では、そういう大きな空き店舗、銀行跡に入っていただくような店を見つけるということは非常に大変なことでございます。それでなくても、現在、地方では、百貨店、スーパーの閉店、消費の停滞などによりまして、都市の活性化、地方都市の経済の活性化が失われております。金融機関の再編成が進展いたしますと、一層地方都市の空洞化というものが進むおそれがございます。
 空洞化を阻止するためには、地方の商工会議所とか商店街が協力して、その空き店舗になりました銀行とか保険会社の代替の企業、代替の店舗を見つける必要がございますけれども、地元の地方自治体も、この空洞化を阻止する何らかの対策を立てなければならないのではないかというふうに考えております。
 しかし、地方自治体が行えることは非常に限られているというふうに考えられます。例えば、メーンストリートを活性化しようとして補助金を出したり、また固定資産税を下げるというふうなことは非常に困難でございます。
 また、たとえ固定資産税を仮に例えば三年だけ軽減しますよというふうなことをやりました場合に、おたくは標準税率よりも低い固定資産税でやっていけるのであればということで、地方交付税が減額されるというふうなことが起こるかもしれません。そうしますと、地方自治体は、税収は入ってこない、地方交付税は削減されるということがあれば、そういうふうな政策はとても打ち出せないというふうなことになる。したがいまして、このままほっておきますと、地方都市、地方経済というものはどんどんと空洞化する、衰退するというおそれがございます。
 私のお願いしたいことは、二十一世紀に日本経済が活性化するためには、東京を中心とした地域の活性化、これも非常に大事ではございますけれども、地方においてもそれぞれの独自性を持って地方経済が活性化する必要があろうかと思っておる次第でございます。そのためには、予算面とか税制面などで地方がもう少し自主性を持てるようなシステムを構築していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
 以上で私の発言を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 115105262X00120010227_006

発言者: 宮本勝浩

speaker_id: 2137

日付: 2001-02-27

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会