予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成十三年二月二十七日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 野呂田芳成君
理事 北村 直人君 理事 久間 章生君
理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君
理事 細田 博之君 理事 池田 元久君
理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君
理事 谷口 隆義君
池田 行彦君 石川 要三君
奥野 誠亮君 亀井 善之君
栗原 博久君 塩川正十郎君
田中眞紀子君 高鳥 修君
谷川 和穗君 津島 雄二君
中山 正暉君 丹羽 雄哉君
西野あきら君 葉梨 信行君
萩野 浩基君 松野 博一君
三塚 博君 水野 賢一君
宮澤 洋一君 宮本 一三君
八代 英太君 五十嵐文彦君
岩國 哲人君 生方 幸夫君
海江田万里君 金子善次郎君
城島 正光君 仙谷 由人君
中田 宏君 伴野 豊君
平岡 秀夫君 松野 頼久君
白保 台一君 若松 謙維君
鈴木 淑夫君 達増 拓也君
中井 洽君 佐々木憲昭君
山口 富男君 辻元 清美君
横光 克彦君 井上 喜一君
森田 健作君
…………………………………
公述人
(野村総合研究所主席研究
員) リチャード・クー君
公述人
(野村総合研究所上席エコ
ノミスト) 植草 一秀君
公述人
(大阪府立大学経済学部教
授・経済学部長) 宮本 勝浩君
公述人
(全国労働組合総連合副議
長) 鈴木 彰君
公述人
(日本労働組合総連合会会
長) 鷲尾 悦也君
公述人
(文京女子大学経営学部教
授) 菊池 英博君
公述人
(KPMGフィナンシャル
株式会社代表取締役社長) 木村 剛君
公述人
(政策研究大学院大学助教
授) 大田 弘子君
内閣府副大臣 坂井 隆憲君
内閣府副大臣 仲村 正治君
総務副大臣 小坂 憲次君
国土交通副大臣 泉 信也君
財務大臣政務官 大野 松茂君
国土交通大臣政務官 岩井 國臣君
予算委員会専門員 大西 勉君
—————————————
委員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
大原 一三君 水野 賢一君
三塚 博君 松野 博一君
宮本 一三君 西野あきら君
金子善次郎君 伴野 豊君
同日
辞任 補欠選任
西野あきら君 宮本 一三君
松野 博一君 三塚 博君
水野 賢一君 宮澤 洋一君
伴野 豊君 金子善次郎君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 洋一君 大原 一三君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成十三年度一般会計予算
平成十三年度特別会計予算
平成十三年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 野呂田芳成君
理事 北村 直人君 理事 久間 章生君
理事 小林 興起君 理事 自見庄三郎君
理事 細田 博之君 理事 池田 元久君
理事 佐藤 観樹君 理事 原口 一博君
理事 谷口 隆義君
池田 行彦君 石川 要三君
奥野 誠亮君 亀井 善之君
栗原 博久君 塩川正十郎君
田中眞紀子君 高鳥 修君
谷川 和穗君 津島 雄二君
中山 正暉君 丹羽 雄哉君
西野あきら君 葉梨 信行君
萩野 浩基君 松野 博一君
三塚 博君 水野 賢一君
宮澤 洋一君 宮本 一三君
八代 英太君 五十嵐文彦君
岩國 哲人君 生方 幸夫君
海江田万里君 金子善次郎君
城島 正光君 仙谷 由人君
中田 宏君 伴野 豊君
平岡 秀夫君 松野 頼久君
白保 台一君 若松 謙維君
鈴木 淑夫君 達増 拓也君
中井 洽君 佐々木憲昭君
山口 富男君 辻元 清美君
横光 克彦君 井上 喜一君
森田 健作君
…………………………………
公述人
(野村総合研究所主席研究
員) リチャード・クー君
公述人
(野村総合研究所上席エコ
ノミスト) 植草 一秀君
公述人
(大阪府立大学経済学部教
授・経済学部長) 宮本 勝浩君
公述人
(全国労働組合総連合副議
長) 鈴木 彰君
公述人
(日本労働組合総連合会会
長) 鷲尾 悦也君
公述人
(文京女子大学経営学部教
授) 菊池 英博君
公述人
(KPMGフィナンシャル
株式会社代表取締役社長) 木村 剛君
公述人
(政策研究大学院大学助教
授) 大田 弘子君
内閣府副大臣 坂井 隆憲君
内閣府副大臣 仲村 正治君
総務副大臣 小坂 憲次君
国土交通副大臣 泉 信也君
財務大臣政務官 大野 松茂君
国土交通大臣政務官 岩井 國臣君
予算委員会専門員 大西 勉君
—————————————
委員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
大原 一三君 水野 賢一君
三塚 博君 松野 博一君
宮本 一三君 西野あきら君
金子善次郎君 伴野 豊君
同日
辞任 補欠選任
西野あきら君 宮本 一三君
松野 博一君 三塚 博君
水野 賢一君 宮澤 洋一君
伴野 豊君 金子善次郎君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 洋一君 大原 一三君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成十三年度一般会計予算
平成十三年度特別会計予算
平成十三年度政府関係機関予算
————◇—————
野
野呂田芳成#1
○野呂田委員長 これより会議を開きます。
平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、本日御多忙のところを御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。平成十三年度の総予算について皆さんの御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと思います。どうぞ忌憚のない御意見をお聞かせいただきますよう心からお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
御意見を承る順序といたしましては、まずクー公述人、次に植草公述人、次に宮本公述人、次に鈴木公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、クー公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算、平成十三年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人の皆様方に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、本日御多忙のところを御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。平成十三年度の総予算について皆さんの御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと思います。どうぞ忌憚のない御意見をお聞かせいただきますよう心からお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
御意見を承る順序といたしましては、まずクー公述人、次に植草公述人、次に宮本公述人、次に鈴木公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、クー公述人にお願いいたします。
リ
リチャード・クー#2
○クー公述人 リチャード・クーと申します。本日は、一エコノミストとしてこのような機会をいただいたことを大変光栄に思います。
現在の日本経済の置かれている状況ですけれども、私は、実体経済の苦境もさることながら、国民の心理的、精神的な不安、これも非常に大きなものがあるんではないかという気がします。自分たちがこれまでやってきたことに対して自信が持てない、また将来に対しても自信がないという漠然な不安が、今の日本経済の大きなマイナス要因になっているんではないかという気がします。
これらの問題をひもとくには、まず、日本経済がどのような病気にかかっているのかということを先に押さえないと、病名もわからないのに処方せんを書くわけにはいかないわけで、そういう観点から見ますと、昨今のマスコミにはいろいろな意見があります。これは構造問題ではないかとか政府の政策が間違っていたんではないかとか、いろいろなことが言われているわけですけれども、私は、今の状況は、バランスシート不況という何十年に一回起きるか起きないかという極めてまれな不況に陥っているんではないかという気がします。
なぜこのような状況に陥ったかということですけれども、それにはまず、日本の経済の基本的な構造、高度成長が四十数年続いたその基本的な構造を押さえておく必要があると思います。戦後からそれこそ一九八〇年代の最後の一日まで、日本経済というのは二つの大きな車輪で回っていたような気がします。それは、高貯蓄と高投資という二つの車輪であります。
日本の家計の皆さんは一生懸命貯金をして、それを企業が一生懸命借りて投資へ回していた。日本の貯蓄率が高いことは世界的にも知られているわけですけれども、これは同時に投資率も非常に高かったということであります。こうして潤沢な資金を家計が企業に調達した結果、急速に生産能力が拡大し、これが資本ストックの拡充を介して、日本はわずか数十年の間にまた世界のナンバーツーの経済にのし上がったわけであります。
ところが、一九九〇年のそれこそ最初の一日から、株価の暴落に始まる資産価格の暴落という事態が発生しました。資産価格はどんどん下がっていったわけですけれども、八〇年代のそれこそ最後の一日まで積み上げたあの負債、借金、それがそのまま残ったままで資産価格が下がっていったわけであります。そうすると、負債は残っているのに資産価格がどんどん下がっていくということは、企業も、そして多くの個人も、大半の金融機関も大変な事態に置かれてしまったわけで、多くの場合は債務超過というような状況に置かれてしまったわけであります。
個人の場合ですと、所得があって住宅ローンを払えればそれで何とか生活は維持できるわけですけれども、企業の場合は、外部の人からあなたの企業は債務超過じゃないかと指摘されたらこれで一巻の終わりですから、外に発表している数字はともかくとして、中にいる人たちは、必死に債務超過の状況から脱却しようという形で借金返済に回っているわけであります。どうやって借金返済をするかというと、当然消費を抑えて投資を抑えて、その余ったキャッシュフローを借金返済に回すという行動をとるわけですが、これをみんなが同時にやったらどうなるか、ここからバランスシート不況という事態が始まるわけであります。
つまり、皆さんは決して間違ったことをやってきたわけではない。正しいこと、バランスシートが傷んでいる企業が一生懸命バランスシートを直そうということは正しい行動なんですが、これをみんながやりますと、当然消費は落ち、投資は落ちることになります。消費が落ちて投資が落ちると、景気はますます悪くなる。景気がますます悪くなりますと、資産価格はもっと下がる。資産価格がもっと下がると、日本の皆さんはまじめですから、もっと頑張らなくちゃいけないとやるわけですが、もっと頑張ると、ますます消費は落ちて、投資は落ちて、景気は悪くなる。このような悪循環、これがバランスシート不況ということではなかったかという気がします。
これがどのくらい深刻な事態なのかということですけれども、お配りしました資料の一ページ目の下に、資産価格がどのくらい下がったかというグラフが載せてありますが、東証株価指数で見ますとピーク時からマイナス五六%、日経平均で見るともっと下がっておりますが。商業用不動産はマイナス八二%、ゴルフ会員権におきましては九一%と、大変な富が失われたわけであります。
森総理がダボス会議で千兆円の富が失われたと言われたわけですけれども、この資産価格がまさにその富の損失を生んだわけで、これが今、日本経済を大変苦しめている基本にあるんではないかという気がします。
一千兆円といいますとGDP二年分であります。二年分ということは、例えば自動車の生産でいきますと、年間の生産台数が一千万台ということは、二千万台の自動車が吹っ飛んで、住宅着工が年間例えば百四十万戸あるとすれば、その二年分が吹っ飛んだ、三百万戸近くが吹っ飛んだということになるわけですが、ただ、これは見えないんですね。表面的には見えない。例えば、神戸の震災で十万戸が全壊したわけですけれども、これは見えるわけであります。テレビの映像で見て、これは大変だ、何かしなくちゃいけないということが見えるわけですが、バランスシート不況は見えない。
ただ、これは見えないからといって、ないわけではなくて、実際は企業行動に大変大きな調整を強いているわけで、このような状況は一九三〇年代のアメリカに最後に起きたということであります。あのときもアメリカ大恐慌ということになってしまったわけですが、あのときのアメリカの株価、これも十分の一になってしまった。
ここで企業の行動がどういうふうに変わっていったかということですけれども、一ページ目の上のグラフをごらんになっていただきますと、これは過去十年間の日本経済の動きを、物の動きからではなくてお金の動きの方から見たものであります。このグラフはゼロのところに線が引いてありますが、ゼロより上が資金を供給している側、ゼロより下が資金を借りて使っている側ということになります。これをごらんになっていただきますと、一番上に家計というのがありますが、ここは、景気の非常によかった一九九〇年から景気の非常に悪くなった昨今まで、全く行動は変わっていない。GDP比で七、八%、ずっと貯金しているわけであります。この貯金好きというのは遺伝子かなと言われるくらい、景気の振れにかかわらず貯金がずっと続いてきているわけですけれども。
その下が一般政府。一九九〇年のときにはまだ景気は非常によかったわけですから、一般政府財政はまだ黒字であったわけであります。黒字ということは、資金を資本市場に提供しているというふうに考えられるわけです。その下が海外。海外は、日本がずっと大きな経常黒字を出しておりますから、海外から見ると、それを受け入れている方で、資本を輸入しているわけですから、彼らは赤字となります。一番下に非金融法人企業。これはまさに一般企業ですけれども、当時の一般企業は、GDP比一〇%のお金を借りて、いろいろなものに投資していたわけであります。
ところが、その後の状況を見ますと、家計は先ほども申しましたように大きな変化はなし、海外も大きな変化はないわけですけれども、企業行動がマイナスの一〇%から一九九九年にはプラスの五%弱というところまで、大変な変化を見せたわけであります。
つまり、今までお金を借りていた人たちが借りるのをやめて、最近ではもう返す方に回ってしまっている。そうすると、二つあった大きな車輪の一つが全く機能しなくなったわけで、家計は一生懸命貯金しているのに、企業は全くお金を借りようとしない。そうなりますと、これはGDP比で一四%の変化というふうに指摘させていただいたわけですけれども、実際に一四%、七十兆円ぐらいの今まであった需要がなくなってしまったわけであります。私は、これが、日本経済をここまで低迷させてしまった最大の原因ではないか。家計の行動、海外の行動、大きな変化はない、しかし企業の行動には大変大きな変化が発生したわけで、このくらい大きな変化があれば、本来であれば大恐慌になっても不思議はなかったわけで、先ほど申しましたように、一九三〇年代のアメリカ、こういう全く同じような状況になって、大恐慌に陥ってしまったわけであります。
ところが、日本の場合は、この間、民間がお金を使えなくなっている中で政府が使ってくれたということで、当初財政黒字を出していた政府が、景気が悪くなる、そうすると景気対策を打つという形でこの穴埋めをしてきた、それが今まで日本経済を支えてきたのではないかという気がします。
そういう意味では、政府の支出がぎりぎりのところで、十年間で七十五兆円分のギャップ、これが表面化してデフレスパイラルに陥るのを防いできたのではないかという気がします。そういう意味では、財政はきいていなかったのではなくて、大変大きな役割を担っていたという気がします。
このことを理解するには、もう一つ、政策の手段であります金融政策についても一言言及しなければならないわけですが、この間、一九九〇年から直近まで、金利は、一時八%あったものがゼロまで下落したわけであります。ところが、それだけ金利が下がったにもかかわらず、なかなか反応が見られなかった。全く見られなかったと言ってもいいくらい金融政策が無力化されてしまったわけですけれども、これにはそれなりの理由があります。
といいますのは、バランスシート不況になりますと、企業は、これまでのように利益の拡大化、最大化という行動から借金の最小化という方向へ行動様式を変えているわけで、そうなりますと、幾ら金利を下げても、皆さん借金を返したくてしようがない。返したくてしようがないというか、返さなくてはいけないわけで、そういう方々は、金利が下がっても、じゃお金を借りて使おうという発想にならないわけですね。また、なってもらっても困る。特に、バランスシートの壊れている、下手すると債務超過のような企業が、金利が下がったというだけでお金を借りて使ってしまうというのも困るわけであります。さらにお金を借りるということは、さらに負債がふえてしまうということですから、バランスシートの改善にはつながらない。そういうことから、今のような状況ではなかなか金融政策がきかないということであります。
ただ、そうはいっても、一時随分貸し渋りというのが言われたではないかと。貸し渋りは、これは供給要因ですから、そういうときに金融政策として何かできなかったのかという指摘は当然出てくるわけですけれども、お配りしました資料の次のページをごらんになっていただきますと、資金需要、資金調達の金額と短期金利を上のグラフに示してあります。これは、先ほどごらんになっていただいた企業の指標をもう少し細かく見たものですけれども、ごらんのように、金利が、一時八%あったものがゼロまでいくにもかかわらず、資金需要は全く回復しない。
この間、じゃ、金融機関の行動はどうなっていたのかということは下のグラフをごらんになっていただきたいのですが、これは借り手側から見た金融機関の貸し出し態度であります。銀行というのは、聞きに行くと、いや、我々は一生懸命金を貸そうとしております、頭取の下に委員会を設けて金を貸そうとしています、有望な借り手を探していますと必ず言うのですが、借り手側から見ますと、随分銀行というのは好き勝手に貸出基準を変えているわけであります。また最近は、監督庁に言われて変えているというケースもあるわけですが。
借り手側から見た金融機関の貸し出し態度、これは、ゼロよりも上になりますと、積極的に貸そうとしているということを借り手側が認めているわけで、ゼロより下になりますと厳しいということですが、ごらんのように、厳しい時期が九〇年、九一年、金利が非常に高かった時期と、それから九七年、九八年の貸し渋り期というのはあるわけですが、それ以外の時期はかなり、借り手企業は、銀行は積極的にお金を貸そうとしていたと認めているわけであります。
例えば、九五年、九六年、ほとんどバブル期と同じぐらい銀行は積極的に金を貸そうとしていた。にもかかわらず、上のグラフをごらんになっていただきますと、彼らは借りていなかったということは、これは需要側の要因であって、供給側の要因ではなかった。こういうときには、私は金融政策に期待してもしようがないのではないかという気がします。
強いて言いますと、借り手の皆さんは正しい行動をとっておられる。バランスシートが壊れている企業が早くそれを修復しようとするのは正しいわけで、そこに無理やり、金を借りろ、インフレになるから金を借りろと言っても、彼らからしてみれば、まず第一にバランスシートをきれいにして、それから行動を起こすということはあっても、まだインフレにもなっていないのにインフレにかけてお金を借りて何かやろうという行動は、責任のある経営者の行動ではないという気がします。
こういう状況になりますと、通常の不況にはない、絶対的に需要が不足するという事態が発生します。これはどういうことかと申しますと、通常の世界ですと、これは通常の不況も含めてですが、例えば私に千円の所得があれば、自分で例えば八百円使って、残りの二百円は金融機関に貯金をする。金融機関はその二百円をまただれかに貸して、借りた人はまたそれを何かに使って、そこにまた二百円の支出が発生するわけであります。そうすると、八百円プラス二百円、千円で、また経済が回っていく。千円の所得に対して千円の消費。
もしも金融機関が二百円分貸せなかったら、そこで金利を下げればいいわけであります。全国的な問題だったら、日本銀行が下げて、そうすると必ずだれかが、この金利なら何かやってみようということでお金を借りて使う。それでまたお金が使われて経済が回っていくということなんですが、バランスシート不況に陥りますと、ちょっと違う状況になります。
例えば、千円の所得があった人たちは、まず七百円しか使わない、八百円使っていた人たちが七百円しか使わない。それでまず消費が落ちてしまうわけですが、残りの三百円をどうするか。これはみんな借金返済に回すわけであります。
ところが、みんなが同時にこれをやっているわけですから、金融機関は、これを全部返してもらっても、貸す相手がいない。貸す相手がいなくなりますと、それでも一生懸命、国債を買ったり、消費者金融にお金を流したり、いろいろやりながら、例えば二百円何とか貸したとしても百円分残ってしまったとします。そうすると、次の局面では、七百円プラス二百円、つまり九百円しか需要が発生しないわけですから、九掛けになっちゃうわけですね。そうすると、その次はさらに九掛けになる。八百十円、七百三十円、六百六十円、こういう形でどんどん経済がシュリンクしていってしまうという危険性があるわけです。これは、その足りない部分、これがゼロ金利でも埋まらなかったというところから発生する問題で、一九三〇年代、アメリカが大恐慌に陥ったときは、まさにそういうプロセスで大恐慌に陥ってしまったわけであります。
そういう観点から見ますと、一部の資産価格が十分の一になるほど大きなダメージを受けたこの日本経済が十年間ゼロ成長を維持してきたということは大変な成果でありまして、これはまさに皆さんが財政という形でデフレスパイラルが始まるぎりぎりのところをまず百円で埋めてくれた。そこを百円で埋めますと、また千円の支出になりますから経済が回っていく、また次の局面で九百円になったときにまた政府が百円出してくれて、ぎりぎりのところでデフレスパイラルが始まるのを抑えてきたということではなかったかという気がします。そういう意味では、財政の担ってきた役割というのは大変大きかったという気がします。
結局、今の財政が担っているということは、これで景気をよくするということではなくて、とにかく人々の所得を維持して、維持された所得の中から人々は一生懸命借金返済をやっているというふうに理解すべきではないか。財政をやったからすぐ景気がよくなる、みんなそう思って、私も一時そう思ったことはありますけれども、実際の財政の役割はそうではなかった。財政の役割は、とにかく人々の所得を維持してきた、千円に対して千円の支出が発生するようにしてきた。それがあれば、人々は所得がありますから借金返済を続ける。それで少しずつ今バランスシートはきれいになっていて、今かなりきれいになってきております。ただ、まだ問題が残っているわけで。ところが、ここで所得を切ってしまいますと、借金返済の原資もなくなるわけで、そうなると連鎖的に先ほどお話ししましたような事態が発生してしまう。
そういう観点から見ますと、今回の予算、私はもう少し上乗せしていただきたいという気がします。五兆円から十兆円ぐらい真水部分で上乗せしないと、今アメリカ経済の急速な減速、それにIT関連が勢いを失っているという、半年前だれも想定していなかったような事態が発生しているわけですから、ここはそれなりの対応が必要ではないかという気がします。
確かに財政赤字は非常に大きいわけですけれども、一方で財政のコスト、国民的コストであります金利、これは人類史上最低であります。きのうの国債金利の利回りは一・四%、大恐慌のとき、アメリカの失業率が二十何%になったときの一番低いときの金利が一・八五%ですから、今の日本の金利がいかに低いかということは御理解いただけると思います。
確かに多くの方は財政赤字の大きさを大変懸念されておりますが、実際の国民の行動、これが市場にあらわれている行動だとすれば、今の国民の行動は、財政をもっと出して景気を下支えすべきだという行動が逆にあらわれているんではないか、これが一・四%の金利にあらわれているんではないかという気がします。
今の日本の最大の問題は借り手がいないということで、唯一の借り手が今政府ということになっておりますから、それを活用して、低い金利で資金調達ができるときに、まだ日本に残っている必要な社会資本、将来必要になるであろう社会資本を充実していく最大の機会ではないかという気がします。
以上です。拍手
この発言だけを見る →現在の日本経済の置かれている状況ですけれども、私は、実体経済の苦境もさることながら、国民の心理的、精神的な不安、これも非常に大きなものがあるんではないかという気がします。自分たちがこれまでやってきたことに対して自信が持てない、また将来に対しても自信がないという漠然な不安が、今の日本経済の大きなマイナス要因になっているんではないかという気がします。
これらの問題をひもとくには、まず、日本経済がどのような病気にかかっているのかということを先に押さえないと、病名もわからないのに処方せんを書くわけにはいかないわけで、そういう観点から見ますと、昨今のマスコミにはいろいろな意見があります。これは構造問題ではないかとか政府の政策が間違っていたんではないかとか、いろいろなことが言われているわけですけれども、私は、今の状況は、バランスシート不況という何十年に一回起きるか起きないかという極めてまれな不況に陥っているんではないかという気がします。
なぜこのような状況に陥ったかということですけれども、それにはまず、日本の経済の基本的な構造、高度成長が四十数年続いたその基本的な構造を押さえておく必要があると思います。戦後からそれこそ一九八〇年代の最後の一日まで、日本経済というのは二つの大きな車輪で回っていたような気がします。それは、高貯蓄と高投資という二つの車輪であります。
日本の家計の皆さんは一生懸命貯金をして、それを企業が一生懸命借りて投資へ回していた。日本の貯蓄率が高いことは世界的にも知られているわけですけれども、これは同時に投資率も非常に高かったということであります。こうして潤沢な資金を家計が企業に調達した結果、急速に生産能力が拡大し、これが資本ストックの拡充を介して、日本はわずか数十年の間にまた世界のナンバーツーの経済にのし上がったわけであります。
ところが、一九九〇年のそれこそ最初の一日から、株価の暴落に始まる資産価格の暴落という事態が発生しました。資産価格はどんどん下がっていったわけですけれども、八〇年代のそれこそ最後の一日まで積み上げたあの負債、借金、それがそのまま残ったままで資産価格が下がっていったわけであります。そうすると、負債は残っているのに資産価格がどんどん下がっていくということは、企業も、そして多くの個人も、大半の金融機関も大変な事態に置かれてしまったわけで、多くの場合は債務超過というような状況に置かれてしまったわけであります。
個人の場合ですと、所得があって住宅ローンを払えればそれで何とか生活は維持できるわけですけれども、企業の場合は、外部の人からあなたの企業は債務超過じゃないかと指摘されたらこれで一巻の終わりですから、外に発表している数字はともかくとして、中にいる人たちは、必死に債務超過の状況から脱却しようという形で借金返済に回っているわけであります。どうやって借金返済をするかというと、当然消費を抑えて投資を抑えて、その余ったキャッシュフローを借金返済に回すという行動をとるわけですが、これをみんなが同時にやったらどうなるか、ここからバランスシート不況という事態が始まるわけであります。
つまり、皆さんは決して間違ったことをやってきたわけではない。正しいこと、バランスシートが傷んでいる企業が一生懸命バランスシートを直そうということは正しい行動なんですが、これをみんながやりますと、当然消費は落ち、投資は落ちることになります。消費が落ちて投資が落ちると、景気はますます悪くなる。景気がますます悪くなりますと、資産価格はもっと下がる。資産価格がもっと下がると、日本の皆さんはまじめですから、もっと頑張らなくちゃいけないとやるわけですが、もっと頑張ると、ますます消費は落ちて、投資は落ちて、景気は悪くなる。このような悪循環、これがバランスシート不況ということではなかったかという気がします。
これがどのくらい深刻な事態なのかということですけれども、お配りしました資料の一ページ目の下に、資産価格がどのくらい下がったかというグラフが載せてありますが、東証株価指数で見ますとピーク時からマイナス五六%、日経平均で見るともっと下がっておりますが。商業用不動産はマイナス八二%、ゴルフ会員権におきましては九一%と、大変な富が失われたわけであります。
森総理がダボス会議で千兆円の富が失われたと言われたわけですけれども、この資産価格がまさにその富の損失を生んだわけで、これが今、日本経済を大変苦しめている基本にあるんではないかという気がします。
一千兆円といいますとGDP二年分であります。二年分ということは、例えば自動車の生産でいきますと、年間の生産台数が一千万台ということは、二千万台の自動車が吹っ飛んで、住宅着工が年間例えば百四十万戸あるとすれば、その二年分が吹っ飛んだ、三百万戸近くが吹っ飛んだということになるわけですが、ただ、これは見えないんですね。表面的には見えない。例えば、神戸の震災で十万戸が全壊したわけですけれども、これは見えるわけであります。テレビの映像で見て、これは大変だ、何かしなくちゃいけないということが見えるわけですが、バランスシート不況は見えない。
ただ、これは見えないからといって、ないわけではなくて、実際は企業行動に大変大きな調整を強いているわけで、このような状況は一九三〇年代のアメリカに最後に起きたということであります。あのときもアメリカ大恐慌ということになってしまったわけですが、あのときのアメリカの株価、これも十分の一になってしまった。
ここで企業の行動がどういうふうに変わっていったかということですけれども、一ページ目の上のグラフをごらんになっていただきますと、これは過去十年間の日本経済の動きを、物の動きからではなくてお金の動きの方から見たものであります。このグラフはゼロのところに線が引いてありますが、ゼロより上が資金を供給している側、ゼロより下が資金を借りて使っている側ということになります。これをごらんになっていただきますと、一番上に家計というのがありますが、ここは、景気の非常によかった一九九〇年から景気の非常に悪くなった昨今まで、全く行動は変わっていない。GDP比で七、八%、ずっと貯金しているわけであります。この貯金好きというのは遺伝子かなと言われるくらい、景気の振れにかかわらず貯金がずっと続いてきているわけですけれども。
その下が一般政府。一九九〇年のときにはまだ景気は非常によかったわけですから、一般政府財政はまだ黒字であったわけであります。黒字ということは、資金を資本市場に提供しているというふうに考えられるわけです。その下が海外。海外は、日本がずっと大きな経常黒字を出しておりますから、海外から見ると、それを受け入れている方で、資本を輸入しているわけですから、彼らは赤字となります。一番下に非金融法人企業。これはまさに一般企業ですけれども、当時の一般企業は、GDP比一〇%のお金を借りて、いろいろなものに投資していたわけであります。
ところが、その後の状況を見ますと、家計は先ほども申しましたように大きな変化はなし、海外も大きな変化はないわけですけれども、企業行動がマイナスの一〇%から一九九九年にはプラスの五%弱というところまで、大変な変化を見せたわけであります。
つまり、今までお金を借りていた人たちが借りるのをやめて、最近ではもう返す方に回ってしまっている。そうすると、二つあった大きな車輪の一つが全く機能しなくなったわけで、家計は一生懸命貯金しているのに、企業は全くお金を借りようとしない。そうなりますと、これはGDP比で一四%の変化というふうに指摘させていただいたわけですけれども、実際に一四%、七十兆円ぐらいの今まであった需要がなくなってしまったわけであります。私は、これが、日本経済をここまで低迷させてしまった最大の原因ではないか。家計の行動、海外の行動、大きな変化はない、しかし企業の行動には大変大きな変化が発生したわけで、このくらい大きな変化があれば、本来であれば大恐慌になっても不思議はなかったわけで、先ほど申しましたように、一九三〇年代のアメリカ、こういう全く同じような状況になって、大恐慌に陥ってしまったわけであります。
ところが、日本の場合は、この間、民間がお金を使えなくなっている中で政府が使ってくれたということで、当初財政黒字を出していた政府が、景気が悪くなる、そうすると景気対策を打つという形でこの穴埋めをしてきた、それが今まで日本経済を支えてきたのではないかという気がします。
そういう意味では、政府の支出がぎりぎりのところで、十年間で七十五兆円分のギャップ、これが表面化してデフレスパイラルに陥るのを防いできたのではないかという気がします。そういう意味では、財政はきいていなかったのではなくて、大変大きな役割を担っていたという気がします。
このことを理解するには、もう一つ、政策の手段であります金融政策についても一言言及しなければならないわけですが、この間、一九九〇年から直近まで、金利は、一時八%あったものがゼロまで下落したわけであります。ところが、それだけ金利が下がったにもかかわらず、なかなか反応が見られなかった。全く見られなかったと言ってもいいくらい金融政策が無力化されてしまったわけですけれども、これにはそれなりの理由があります。
といいますのは、バランスシート不況になりますと、企業は、これまでのように利益の拡大化、最大化という行動から借金の最小化という方向へ行動様式を変えているわけで、そうなりますと、幾ら金利を下げても、皆さん借金を返したくてしようがない。返したくてしようがないというか、返さなくてはいけないわけで、そういう方々は、金利が下がっても、じゃお金を借りて使おうという発想にならないわけですね。また、なってもらっても困る。特に、バランスシートの壊れている、下手すると債務超過のような企業が、金利が下がったというだけでお金を借りて使ってしまうというのも困るわけであります。さらにお金を借りるということは、さらに負債がふえてしまうということですから、バランスシートの改善にはつながらない。そういうことから、今のような状況ではなかなか金融政策がきかないということであります。
ただ、そうはいっても、一時随分貸し渋りというのが言われたではないかと。貸し渋りは、これは供給要因ですから、そういうときに金融政策として何かできなかったのかという指摘は当然出てくるわけですけれども、お配りしました資料の次のページをごらんになっていただきますと、資金需要、資金調達の金額と短期金利を上のグラフに示してあります。これは、先ほどごらんになっていただいた企業の指標をもう少し細かく見たものですけれども、ごらんのように、金利が、一時八%あったものがゼロまでいくにもかかわらず、資金需要は全く回復しない。
この間、じゃ、金融機関の行動はどうなっていたのかということは下のグラフをごらんになっていただきたいのですが、これは借り手側から見た金融機関の貸し出し態度であります。銀行というのは、聞きに行くと、いや、我々は一生懸命金を貸そうとしております、頭取の下に委員会を設けて金を貸そうとしています、有望な借り手を探していますと必ず言うのですが、借り手側から見ますと、随分銀行というのは好き勝手に貸出基準を変えているわけであります。また最近は、監督庁に言われて変えているというケースもあるわけですが。
借り手側から見た金融機関の貸し出し態度、これは、ゼロよりも上になりますと、積極的に貸そうとしているということを借り手側が認めているわけで、ゼロより下になりますと厳しいということですが、ごらんのように、厳しい時期が九〇年、九一年、金利が非常に高かった時期と、それから九七年、九八年の貸し渋り期というのはあるわけですが、それ以外の時期はかなり、借り手企業は、銀行は積極的にお金を貸そうとしていたと認めているわけであります。
例えば、九五年、九六年、ほとんどバブル期と同じぐらい銀行は積極的に金を貸そうとしていた。にもかかわらず、上のグラフをごらんになっていただきますと、彼らは借りていなかったということは、これは需要側の要因であって、供給側の要因ではなかった。こういうときには、私は金融政策に期待してもしようがないのではないかという気がします。
強いて言いますと、借り手の皆さんは正しい行動をとっておられる。バランスシートが壊れている企業が早くそれを修復しようとするのは正しいわけで、そこに無理やり、金を借りろ、インフレになるから金を借りろと言っても、彼らからしてみれば、まず第一にバランスシートをきれいにして、それから行動を起こすということはあっても、まだインフレにもなっていないのにインフレにかけてお金を借りて何かやろうという行動は、責任のある経営者の行動ではないという気がします。
こういう状況になりますと、通常の不況にはない、絶対的に需要が不足するという事態が発生します。これはどういうことかと申しますと、通常の世界ですと、これは通常の不況も含めてですが、例えば私に千円の所得があれば、自分で例えば八百円使って、残りの二百円は金融機関に貯金をする。金融機関はその二百円をまただれかに貸して、借りた人はまたそれを何かに使って、そこにまた二百円の支出が発生するわけであります。そうすると、八百円プラス二百円、千円で、また経済が回っていく。千円の所得に対して千円の消費。
もしも金融機関が二百円分貸せなかったら、そこで金利を下げればいいわけであります。全国的な問題だったら、日本銀行が下げて、そうすると必ずだれかが、この金利なら何かやってみようということでお金を借りて使う。それでまたお金が使われて経済が回っていくということなんですが、バランスシート不況に陥りますと、ちょっと違う状況になります。
例えば、千円の所得があった人たちは、まず七百円しか使わない、八百円使っていた人たちが七百円しか使わない。それでまず消費が落ちてしまうわけですが、残りの三百円をどうするか。これはみんな借金返済に回すわけであります。
ところが、みんなが同時にこれをやっているわけですから、金融機関は、これを全部返してもらっても、貸す相手がいない。貸す相手がいなくなりますと、それでも一生懸命、国債を買ったり、消費者金融にお金を流したり、いろいろやりながら、例えば二百円何とか貸したとしても百円分残ってしまったとします。そうすると、次の局面では、七百円プラス二百円、つまり九百円しか需要が発生しないわけですから、九掛けになっちゃうわけですね。そうすると、その次はさらに九掛けになる。八百十円、七百三十円、六百六十円、こういう形でどんどん経済がシュリンクしていってしまうという危険性があるわけです。これは、その足りない部分、これがゼロ金利でも埋まらなかったというところから発生する問題で、一九三〇年代、アメリカが大恐慌に陥ったときは、まさにそういうプロセスで大恐慌に陥ってしまったわけであります。
そういう観点から見ますと、一部の資産価格が十分の一になるほど大きなダメージを受けたこの日本経済が十年間ゼロ成長を維持してきたということは大変な成果でありまして、これはまさに皆さんが財政という形でデフレスパイラルが始まるぎりぎりのところをまず百円で埋めてくれた。そこを百円で埋めますと、また千円の支出になりますから経済が回っていく、また次の局面で九百円になったときにまた政府が百円出してくれて、ぎりぎりのところでデフレスパイラルが始まるのを抑えてきたということではなかったかという気がします。そういう意味では、財政の担ってきた役割というのは大変大きかったという気がします。
結局、今の財政が担っているということは、これで景気をよくするということではなくて、とにかく人々の所得を維持して、維持された所得の中から人々は一生懸命借金返済をやっているというふうに理解すべきではないか。財政をやったからすぐ景気がよくなる、みんなそう思って、私も一時そう思ったことはありますけれども、実際の財政の役割はそうではなかった。財政の役割は、とにかく人々の所得を維持してきた、千円に対して千円の支出が発生するようにしてきた。それがあれば、人々は所得がありますから借金返済を続ける。それで少しずつ今バランスシートはきれいになっていて、今かなりきれいになってきております。ただ、まだ問題が残っているわけで。ところが、ここで所得を切ってしまいますと、借金返済の原資もなくなるわけで、そうなると連鎖的に先ほどお話ししましたような事態が発生してしまう。
そういう観点から見ますと、今回の予算、私はもう少し上乗せしていただきたいという気がします。五兆円から十兆円ぐらい真水部分で上乗せしないと、今アメリカ経済の急速な減速、それにIT関連が勢いを失っているという、半年前だれも想定していなかったような事態が発生しているわけですから、ここはそれなりの対応が必要ではないかという気がします。
確かに財政赤字は非常に大きいわけですけれども、一方で財政のコスト、国民的コストであります金利、これは人類史上最低であります。きのうの国債金利の利回りは一・四%、大恐慌のとき、アメリカの失業率が二十何%になったときの一番低いときの金利が一・八五%ですから、今の日本の金利がいかに低いかということは御理解いただけると思います。
確かに多くの方は財政赤字の大きさを大変懸念されておりますが、実際の国民の行動、これが市場にあらわれている行動だとすれば、今の国民の行動は、財政をもっと出して景気を下支えすべきだという行動が逆にあらわれているんではないか、これが一・四%の金利にあらわれているんではないかという気がします。
今の日本の最大の問題は借り手がいないということで、唯一の借り手が今政府ということになっておりますから、それを活用して、低い金利で資金調達ができるときに、まだ日本に残っている必要な社会資本、将来必要になるであろう社会資本を充実していく最大の機会ではないかという気がします。
以上です。拍手
野
植
植草一秀#4
○植草公述人 おはようございます。野村総合研究所の植草でございます。よろしくお願いいたします。
初めに、大変恐縮でございますが、立場上の問題もありますので、きょうは政治的に中立な立場でお話しさせていただくということを御了解いただければというふうに思います。
お手元に「参考資料」という横長の資料を用意させていただいておりますので、こちらを御参照いただきながらお話をさせていただきたいと思います。一ページ目に一から七番まで項目を書いてございますけれども、七点お話を申し上げさせていただきたいと思います。
きょうは予算案についての意見陳述ということでございますけれども、予算そのものが経済政策の集大成ということでありますので、きょうは経済政策全般についての私なりの意見ということでお話をさせていただきたいと思います。
一九九〇年代を通じまして、日本の不況が長期化しております。これを失われた十年とか失われた九〇年代、こういう表現も使われているわけで、まず、経済政策に課せられました課題としては、この長期不況をいかに克服するかということではないかというふうに思います。
お手元の資料二ページ目をごらんいただきますと、一九九二年以降の日経平均株価の推移がございます。ごらんのとおり、九年間の推移でありますけれども、株価は一万三千円から二万三千円という、極めて狭いレンジの中で一進一退を繰り返して現在に至っております。
このグラフの中に、丸数字で番号を一番から十番までつけておりますけれども、その偶数の番号、二番、四番、六番、八番そして十番と、九二年以降株価が暴落した局面が今回含めまして五回ございます。この五回の株価急落局面は日本経済の危機というふうに表現された局面であります。
この五回の局面にいかに対応してこの危機を乗り切ってきたかということでありますが、九二年はここにございますように十・七兆円の景気対策が決定されております。これは当時でいいますと史上最大の景気対策でありました。
そして四番でありますが、九四年の二月、十五兆二千五百億円の景気対策、これも史上最大の景気対策であります。
九五年でありますけれども、六番でありますが、十四兆二千二百億円の景気対策、そして七月と九月に日本銀行が短期金利を引き下げまして、公定歩合を〇・五%に引き下げた局面であります。つまり、財政、金融両面から政策を総動員したということであります。
そして九八年でございますけれども、九八年十月に金融問題の処理のために総額にしまして六十兆円の公的資金を確保、十一月には二十三兆九千億の景気対策を決定、さらに年が明けまして九九年二月にゼロ金利政策の決定、こういうことで対応しておりまして、過去四回の株価急落局面はいずれも、財政を中心としまして財政金融政策、マクロの政策で対応しております。
景気対策の累計が百四十兆円に及び、依然として日本経済の低迷が続いているということから、景気対策は効果がない、財政赤字を累増させるという弊害が強調されておりますけれども、実際に過去の動きを細かく検証いたしますと、景気対策そのものは極めて有効に効果を発揮しているということが観測されるわけです。
九三年でありますが、株価は二万一千円に反発し、政府からは景気回復宣言の発表までありました。九四年も二万一千五百円まで株価は反発し、猛暑という支えもありまして、景気回復にはずみがついていった局面であります。九六年は株価が二万二千円台まで上昇しまして、日本経済が三・五%の成長を回復した年であります。つまり、九六年に一たん日本は景気回復から拡大に転じる、そこまで事態の改善を得ております。昨年でございますけれども、株価はやはり二万円を突破しまして、景気は緩やかながら着実に改善を遂げてきたということでありまして、過去、この四度の対応を見ますと、マクロの政策対応はいずれも極めて有効に効果を発揮している、こういうふうに表現することができるわけであります。
それでは問題はどこにあったかということでありますけれども、このグラフで申しますと一、三、五、七、九と奇数の番号のところに問題が存在しております。細かい点、御説明する時間がございませんので省略させていただきますけれども。
三番の冷夏という天候要因を除きますと、特に五番と七番に典型的に示されておりますのは、日本経済の改善が始まり、株価が上昇し、景気回復が七合目から九合目まで差しかかる、そういうところに至った時点で、時期尚早に景気を悪化させる政策対応がとられている。これが日本経済長期低迷の本当の原因になっているということであります。
五番の事例におきましては、金融政策が時期尚早に金融引き締めに動き始めたということであります。七番でありますけれども、日本経済がやっと軌道に乗ったところで非常に大規模な増税が策定されまして、これが実施されていくわけであります。私は九七年二月の公聴会に出席いたしまして、この増税を実施すると大変なことになるということをこの席で申し上げたことがございますが、九七年以降、ごらんのとおりの状況になっているわけであります。
昨年春以降の展開でありますけれども、森政権発足後、ごらんのとおり株価が大幅に下落をしておりますけれども、今回もやはり過去の事例と同じように、マクロの政策が緊縮方向に大きく方向を転換したということが事態の悪化を招いている、こういうふうに考えております。
先ほどの項目でいいますと二点目の項目になりますけれども、その第一は、金融政策の方向転換ということがございます。
二ページ目のグラフの一番右側にゼロ金利解除ということを記してございますが、去年の八月に日本銀行がゼロ金利解除の決定をいたしました。これはゼロ金利という非常に特殊な状況を解除したものだという説明でありましたが、市場としましては、金利引き下げ政策が金利引き上げ政策に転じた、こういう金融政策の方向転換と受けとめた向きが非常に強かった、このように思います。
株価がピークをつけておりますのは四月十二日でございますが、この日は速水日銀総裁がゼロ金利解除について公式の場で初めて言及した日でございまして、この日を境に株価が下落に転じております。八月に実際に金利引き上げを行いまして、そこから株価の下落が本格化している。さらにもう一点申しますと、九九年二月にゼロ金利政策の実施を決定しておりますが、この時点から株価が急反発している。こうした状況を踏まえますと、金融政策の方向転換の意味が極めて大きかった、こういうことを申し上げられるのではないかと思います。
それからもう一つの問題は、ちょっと先に四ページをごらんいただきたいと思いますけれども、財政政策の運営でありますが、財政政策の中身についての批判がいろいろ強まっております。公共事業が十分有効に活用されていないのではないかとか、こうした資金配分の問題について批判が高まっているということは事実であります。
これは、財政政策の機能ということに照らして申しますと、いわゆる財政政策の資源配分機能、財政資金をいかなる分野に配分するか、こういう問題で、この点には大きな問題が存在しているかと思います。もう一点、財政政策の機能としまして、景気安定化、マクロの面で財政がいかに景気を支えていくか、こういう視点が資源配分とは別の視点として必要であります。
四ページに概念図ということで図解しておりますのは、財政政策の規模の推移を記したものであります。
下にありますのが時間の経過で、九九年、二〇〇〇年、二〇〇一年。年度の当初予算、年度は四月から三月の対応でございますので少しずらしてございますが、おおむね、特に一般歳出ベースで見ましても横ばいの推移であります。毎年恒例のように十月、十一月ごろに景気対策が策定され、それに伴いまして補正予算が編成されておりますが、この補正予算に伴う資金の支出が行われるのは翌年の一月から十二月にかけて、こういう解釈でこの概念図をつくっております。
九八年十一月の二十三・九兆円の対策、九九年十一月の十八兆円の対策、そして昨年秋の総額事業規模にして十一兆円の対策。その真水ということをここに私なりの区分けで表示してございますけれども、トータルの財政規模は、ごらんのとおり、昨年からことしにかけて約五兆円の減少になるのではないかということで、財政政策がかなり踏み込んだ緊縮の姿になっております。
日本経済が景気回復の七合目に差しかかって、これからいよいよ景気回復軌道に乗るかという時点におきまして量の面でこのような圧縮策をとりますと、過去繰り返してきたような事態の悪化が生じてしまう、こういうことが懸念されてきたわけでございますけれども、先ほど二ページ目でごらんいただきました株価のグラフでございますが、昨年四月以降の株価の下落は、先ほど申しました金融政策の方向転換、そして財政面からの緊縮政策の決定、これを映した動きになっているということで、日本経済をしっかりと回復軌道に乗せるためには、景気回復が七合目に差しかかった時点で時期尚早の引き締め策をとることは適切ではないのではないか、私はこのように考えているところであります。
三ページをごらんいただきたいと思いますが、三ページにございますのは、株価と景気がどのような関係を示しているかということを図解しております。
上段に日経平均株価の推移がございます。下段には鉱工業生産指数の推移を記してございます。景気の短期的な動きを追うために、まず各種の経済統計を活用するわけでありますが、経済の動きを最も忠実に反映していると考えられますのが鉱工業生産指数の動きであります。これは、実は時間軸を六カ月ずらして両者を比較しておりますが、六カ月ずらしますと極めて類似した動きを示しております。
上段が株価でありますが、九六年六月、これは消費税の増税を閣議決定したタイミングでございます。ここで株価がピークをつけ、ちょうど半年後の九七年一月に景気がピークをつけております。株価がボトムをつけましたのが九八年秋でございますけれども、これは小渕政権が大がかりな政策対応を決定したタイミングであります。景気が底をつけましたのが、ちょうど半年後の九九年四月でございまして、この後景気は緩やかな改善を続けてまいりました。
そういう中で、昨年春以降、先ほど申しましたような財政、金融両面から緊縮策がとられまして、その結果株価が下落しているわけでございますけれども、その結果、私は、昨年後半、秋以降、再び景気が悪化する懸念が強い、この株式市場が発している警告メッセージに耳を傾けて、景気が悪化しないための政策対応をとる必要がある、そういうことも主張してまいりましたけれども、残念ながらそのような政策対応にはなりませんで、現時点としましては、この後景気が再び下方圧力を受けていく、そういう懸念が強いのではないか、このように考えております。
一ページ目に戻らせていただきますけれども、一ページ目の四番でございますが、そういう中で、この日本経済の長期低迷にいかに対応していくかということでありますが、よく言われておりますのは、金融問題の解決が先である、こういう見解がしばしば聞かれるわけでありますが、私は、この見解は誤りだというふうに考えております。
といいますのは、先ほどもクー公述人が意見陳述の中で述べておられましたけれども、日本で最大の問題は現在、金融の問題であります。資産価格の下落が進行し、特に債務を抱えた主体が苦難に陥っている状況にあります。この状況から抜け出すためには、一言で言いますと、資産価格の全般的な下落に歯どめをかける、これが最も重要な点であります。
いかにしてこの資産価格の下落傾向に歯どめをかけるかということでありますが、資産といいますのは、現在から将来、その物が持つ、生み出す効用の現在価値で、細かい説明は省きますけれども、資産価格の下落に歯どめをかける最も有効な施策は、経済そのものを改善軌道に誘導するということであります。経済を改善軌道に誘導することによりまして、株価、不動産価格の下落に明確に歯どめがかかる。資産価格の下落に明確に歯どめがかかった時点で初めて金融問題の解決は可能になってくるわけであります。現在のように、景気の悪化、それに伴います資産価格の下落傾向に歯どめをかけない中で金融問題を処理しようとしましても、それは事実上不可能ではないか、このように考えるわけであります。
したがいまして、五番に書いておりますように、正しい処方せんは、まずフローベースの経済活動を改善の軌道に誘導する、二%なり三%なりの経済成長軌道をまず確実に確保する、これを優先すべきであるというふうに思います。景気回復軌道の確保によりまして、株価の方向に大きな変化が生じてまいります。恐らく一年程度のタイムラグを伴いまして、不動産価格の下落にも歯どめがかかる。こうした形で景気の改善をまず誘導し、その上で資産市場の方向に明確に方向転換を実現させれば、その上で金融問題の解決も可能になってくる。金融問題の処理が先ではなく、景気を回復軌道に誘導することがまず求められているというふうに思います。
その点に関連いたしまして、資料の五ページでございますけれども、日米の比較ということで一つ申し上げておきたいと思います。
上段にアメリカの株価がございます。九〇年から九二年にかけましての米国は、やはり不動産、金融不況が極めて深刻な局面でありました。米国は、九二年、ここを転換点として九〇年代の長期上昇というところに向かってまいります。九二年の最大のポイントは、景気回復が七合目に差しかかった時点で、FRBが七月と九月に二度利下げをしております。最も重要な点は、政策当局が景気回復を実現することをまず最優先の課題として位置づけたということであります。この景気回復優先の政策姿勢によりまして、まず株価が上昇し、その後の景気回復が実現し、その後、税収の回復により財政収支の改善、また資産価格の底入れによりまして金融問題の解消と、まさに順風満帆の動きになったわけでございます。
下段の日本でありますけれども、九二年から九四年にかけて、九〇年から九二年のアメリカと非常に似た動きをたどりましたけれども、その後、九四年は金融政策が時期尚早に引き締め方向に動く、九六年は財政が強度の緊縮策を採用する、そして昨年の春以降、再び財政金融政策が緊縮方向に転じるということで、日本経済浮上のチャンスをふいにしている、こういうことでございます。
もう一度一ページに戻らせていただきますけれども、そういう中で、私は、まず景気を二%なり三%の日本経済の供給力に見合う形に、景気回復軌道に誘導するということが重要だと思いますが、その際、現在のもう一つの大きな問題であります財政の問題でありますけれども、財政の問題については三段階の対応が必要だと思います。
まず第一には、景気回復を優先し、税収の回復を図る。景気回復に安心感が持てた時点で、五年程度の時間をかけて歳出全般の根本的な見直しを行う。これには、一般財政あるいは社会保障財政あるいは公共事業、さまざまなテーマがあると思います。これらをやり終えた段階で、最終的には私は増税ということも必要になるというふうに思いますが、まず景気回復を優先し、その上で歳出構造の見直しに抜本的に取り組む、これが、米国の事例を見ましても、財政健全化をもたらす最も重要な点であると思います。
最後に、「デフレスパイラルを回避するための方策」ということを書いておりますけれども、現在、金融政策の追加的な措置についての論議が生じております。私は、結論としまして、余地は非常に限られておりますが、短期金利の引き下げ、あるいはいわゆる量的な金融緩和ということを検討すべきだというふうに思います。
しかしながら、現在のように非常に経済が停滞している状況におきましては金融政策の有効性というのは非常に限定的でございますので、この金融政策の措置とあわせて、財政面から景気を支援する政策を併用する。これによりまして、世の中に資金需要が生まれ、資金需要が生まれる中で金融緩和が維持されますと、マネーサプライの増大が生じていく。その結果、現在のこの深刻なデフレスパイラルに陥りかねない状況が是正されるというように思いますので、金融政策の対応と並び、内容の吟味は当然必要でございますけれども、財政面での対応、景気を支援する方向での対応ということが緊急の検討課題ではないかというふうに考えております。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →初めに、大変恐縮でございますが、立場上の問題もありますので、きょうは政治的に中立な立場でお話しさせていただくということを御了解いただければというふうに思います。
お手元に「参考資料」という横長の資料を用意させていただいておりますので、こちらを御参照いただきながらお話をさせていただきたいと思います。一ページ目に一から七番まで項目を書いてございますけれども、七点お話を申し上げさせていただきたいと思います。
きょうは予算案についての意見陳述ということでございますけれども、予算そのものが経済政策の集大成ということでありますので、きょうは経済政策全般についての私なりの意見ということでお話をさせていただきたいと思います。
一九九〇年代を通じまして、日本の不況が長期化しております。これを失われた十年とか失われた九〇年代、こういう表現も使われているわけで、まず、経済政策に課せられました課題としては、この長期不況をいかに克服するかということではないかというふうに思います。
お手元の資料二ページ目をごらんいただきますと、一九九二年以降の日経平均株価の推移がございます。ごらんのとおり、九年間の推移でありますけれども、株価は一万三千円から二万三千円という、極めて狭いレンジの中で一進一退を繰り返して現在に至っております。
このグラフの中に、丸数字で番号を一番から十番までつけておりますけれども、その偶数の番号、二番、四番、六番、八番そして十番と、九二年以降株価が暴落した局面が今回含めまして五回ございます。この五回の株価急落局面は日本経済の危機というふうに表現された局面であります。
この五回の局面にいかに対応してこの危機を乗り切ってきたかということでありますが、九二年はここにございますように十・七兆円の景気対策が決定されております。これは当時でいいますと史上最大の景気対策でありました。
そして四番でありますが、九四年の二月、十五兆二千五百億円の景気対策、これも史上最大の景気対策であります。
九五年でありますけれども、六番でありますが、十四兆二千二百億円の景気対策、そして七月と九月に日本銀行が短期金利を引き下げまして、公定歩合を〇・五%に引き下げた局面であります。つまり、財政、金融両面から政策を総動員したということであります。
そして九八年でございますけれども、九八年十月に金融問題の処理のために総額にしまして六十兆円の公的資金を確保、十一月には二十三兆九千億の景気対策を決定、さらに年が明けまして九九年二月にゼロ金利政策の決定、こういうことで対応しておりまして、過去四回の株価急落局面はいずれも、財政を中心としまして財政金融政策、マクロの政策で対応しております。
景気対策の累計が百四十兆円に及び、依然として日本経済の低迷が続いているということから、景気対策は効果がない、財政赤字を累増させるという弊害が強調されておりますけれども、実際に過去の動きを細かく検証いたしますと、景気対策そのものは極めて有効に効果を発揮しているということが観測されるわけです。
九三年でありますが、株価は二万一千円に反発し、政府からは景気回復宣言の発表までありました。九四年も二万一千五百円まで株価は反発し、猛暑という支えもありまして、景気回復にはずみがついていった局面であります。九六年は株価が二万二千円台まで上昇しまして、日本経済が三・五%の成長を回復した年であります。つまり、九六年に一たん日本は景気回復から拡大に転じる、そこまで事態の改善を得ております。昨年でございますけれども、株価はやはり二万円を突破しまして、景気は緩やかながら着実に改善を遂げてきたということでありまして、過去、この四度の対応を見ますと、マクロの政策対応はいずれも極めて有効に効果を発揮している、こういうふうに表現することができるわけであります。
それでは問題はどこにあったかということでありますけれども、このグラフで申しますと一、三、五、七、九と奇数の番号のところに問題が存在しております。細かい点、御説明する時間がございませんので省略させていただきますけれども。
三番の冷夏という天候要因を除きますと、特に五番と七番に典型的に示されておりますのは、日本経済の改善が始まり、株価が上昇し、景気回復が七合目から九合目まで差しかかる、そういうところに至った時点で、時期尚早に景気を悪化させる政策対応がとられている。これが日本経済長期低迷の本当の原因になっているということであります。
五番の事例におきましては、金融政策が時期尚早に金融引き締めに動き始めたということであります。七番でありますけれども、日本経済がやっと軌道に乗ったところで非常に大規模な増税が策定されまして、これが実施されていくわけであります。私は九七年二月の公聴会に出席いたしまして、この増税を実施すると大変なことになるということをこの席で申し上げたことがございますが、九七年以降、ごらんのとおりの状況になっているわけであります。
昨年春以降の展開でありますけれども、森政権発足後、ごらんのとおり株価が大幅に下落をしておりますけれども、今回もやはり過去の事例と同じように、マクロの政策が緊縮方向に大きく方向を転換したということが事態の悪化を招いている、こういうふうに考えております。
先ほどの項目でいいますと二点目の項目になりますけれども、その第一は、金融政策の方向転換ということがございます。
二ページ目のグラフの一番右側にゼロ金利解除ということを記してございますが、去年の八月に日本銀行がゼロ金利解除の決定をいたしました。これはゼロ金利という非常に特殊な状況を解除したものだという説明でありましたが、市場としましては、金利引き下げ政策が金利引き上げ政策に転じた、こういう金融政策の方向転換と受けとめた向きが非常に強かった、このように思います。
株価がピークをつけておりますのは四月十二日でございますが、この日は速水日銀総裁がゼロ金利解除について公式の場で初めて言及した日でございまして、この日を境に株価が下落に転じております。八月に実際に金利引き上げを行いまして、そこから株価の下落が本格化している。さらにもう一点申しますと、九九年二月にゼロ金利政策の実施を決定しておりますが、この時点から株価が急反発している。こうした状況を踏まえますと、金融政策の方向転換の意味が極めて大きかった、こういうことを申し上げられるのではないかと思います。
それからもう一つの問題は、ちょっと先に四ページをごらんいただきたいと思いますけれども、財政政策の運営でありますが、財政政策の中身についての批判がいろいろ強まっております。公共事業が十分有効に活用されていないのではないかとか、こうした資金配分の問題について批判が高まっているということは事実であります。
これは、財政政策の機能ということに照らして申しますと、いわゆる財政政策の資源配分機能、財政資金をいかなる分野に配分するか、こういう問題で、この点には大きな問題が存在しているかと思います。もう一点、財政政策の機能としまして、景気安定化、マクロの面で財政がいかに景気を支えていくか、こういう視点が資源配分とは別の視点として必要であります。
四ページに概念図ということで図解しておりますのは、財政政策の規模の推移を記したものであります。
下にありますのが時間の経過で、九九年、二〇〇〇年、二〇〇一年。年度の当初予算、年度は四月から三月の対応でございますので少しずらしてございますが、おおむね、特に一般歳出ベースで見ましても横ばいの推移であります。毎年恒例のように十月、十一月ごろに景気対策が策定され、それに伴いまして補正予算が編成されておりますが、この補正予算に伴う資金の支出が行われるのは翌年の一月から十二月にかけて、こういう解釈でこの概念図をつくっております。
九八年十一月の二十三・九兆円の対策、九九年十一月の十八兆円の対策、そして昨年秋の総額事業規模にして十一兆円の対策。その真水ということをここに私なりの区分けで表示してございますけれども、トータルの財政規模は、ごらんのとおり、昨年からことしにかけて約五兆円の減少になるのではないかということで、財政政策がかなり踏み込んだ緊縮の姿になっております。
日本経済が景気回復の七合目に差しかかって、これからいよいよ景気回復軌道に乗るかという時点におきまして量の面でこのような圧縮策をとりますと、過去繰り返してきたような事態の悪化が生じてしまう、こういうことが懸念されてきたわけでございますけれども、先ほど二ページ目でごらんいただきました株価のグラフでございますが、昨年四月以降の株価の下落は、先ほど申しました金融政策の方向転換、そして財政面からの緊縮政策の決定、これを映した動きになっているということで、日本経済をしっかりと回復軌道に乗せるためには、景気回復が七合目に差しかかった時点で時期尚早の引き締め策をとることは適切ではないのではないか、私はこのように考えているところであります。
三ページをごらんいただきたいと思いますが、三ページにございますのは、株価と景気がどのような関係を示しているかということを図解しております。
上段に日経平均株価の推移がございます。下段には鉱工業生産指数の推移を記してございます。景気の短期的な動きを追うために、まず各種の経済統計を活用するわけでありますが、経済の動きを最も忠実に反映していると考えられますのが鉱工業生産指数の動きであります。これは、実は時間軸を六カ月ずらして両者を比較しておりますが、六カ月ずらしますと極めて類似した動きを示しております。
上段が株価でありますが、九六年六月、これは消費税の増税を閣議決定したタイミングでございます。ここで株価がピークをつけ、ちょうど半年後の九七年一月に景気がピークをつけております。株価がボトムをつけましたのが九八年秋でございますけれども、これは小渕政権が大がかりな政策対応を決定したタイミングであります。景気が底をつけましたのが、ちょうど半年後の九九年四月でございまして、この後景気は緩やかな改善を続けてまいりました。
そういう中で、昨年春以降、先ほど申しましたような財政、金融両面から緊縮策がとられまして、その結果株価が下落しているわけでございますけれども、その結果、私は、昨年後半、秋以降、再び景気が悪化する懸念が強い、この株式市場が発している警告メッセージに耳を傾けて、景気が悪化しないための政策対応をとる必要がある、そういうことも主張してまいりましたけれども、残念ながらそのような政策対応にはなりませんで、現時点としましては、この後景気が再び下方圧力を受けていく、そういう懸念が強いのではないか、このように考えております。
一ページ目に戻らせていただきますけれども、一ページ目の四番でございますが、そういう中で、この日本経済の長期低迷にいかに対応していくかということでありますが、よく言われておりますのは、金融問題の解決が先である、こういう見解がしばしば聞かれるわけでありますが、私は、この見解は誤りだというふうに考えております。
といいますのは、先ほどもクー公述人が意見陳述の中で述べておられましたけれども、日本で最大の問題は現在、金融の問題であります。資産価格の下落が進行し、特に債務を抱えた主体が苦難に陥っている状況にあります。この状況から抜け出すためには、一言で言いますと、資産価格の全般的な下落に歯どめをかける、これが最も重要な点であります。
いかにしてこの資産価格の下落傾向に歯どめをかけるかということでありますが、資産といいますのは、現在から将来、その物が持つ、生み出す効用の現在価値で、細かい説明は省きますけれども、資産価格の下落に歯どめをかける最も有効な施策は、経済そのものを改善軌道に誘導するということであります。経済を改善軌道に誘導することによりまして、株価、不動産価格の下落に明確に歯どめがかかる。資産価格の下落に明確に歯どめがかかった時点で初めて金融問題の解決は可能になってくるわけであります。現在のように、景気の悪化、それに伴います資産価格の下落傾向に歯どめをかけない中で金融問題を処理しようとしましても、それは事実上不可能ではないか、このように考えるわけであります。
したがいまして、五番に書いておりますように、正しい処方せんは、まずフローベースの経済活動を改善の軌道に誘導する、二%なり三%なりの経済成長軌道をまず確実に確保する、これを優先すべきであるというふうに思います。景気回復軌道の確保によりまして、株価の方向に大きな変化が生じてまいります。恐らく一年程度のタイムラグを伴いまして、不動産価格の下落にも歯どめがかかる。こうした形で景気の改善をまず誘導し、その上で資産市場の方向に明確に方向転換を実現させれば、その上で金融問題の解決も可能になってくる。金融問題の処理が先ではなく、景気を回復軌道に誘導することがまず求められているというふうに思います。
その点に関連いたしまして、資料の五ページでございますけれども、日米の比較ということで一つ申し上げておきたいと思います。
上段にアメリカの株価がございます。九〇年から九二年にかけましての米国は、やはり不動産、金融不況が極めて深刻な局面でありました。米国は、九二年、ここを転換点として九〇年代の長期上昇というところに向かってまいります。九二年の最大のポイントは、景気回復が七合目に差しかかった時点で、FRBが七月と九月に二度利下げをしております。最も重要な点は、政策当局が景気回復を実現することをまず最優先の課題として位置づけたということであります。この景気回復優先の政策姿勢によりまして、まず株価が上昇し、その後の景気回復が実現し、その後、税収の回復により財政収支の改善、また資産価格の底入れによりまして金融問題の解消と、まさに順風満帆の動きになったわけでございます。
下段の日本でありますけれども、九二年から九四年にかけて、九〇年から九二年のアメリカと非常に似た動きをたどりましたけれども、その後、九四年は金融政策が時期尚早に引き締め方向に動く、九六年は財政が強度の緊縮策を採用する、そして昨年の春以降、再び財政金融政策が緊縮方向に転じるということで、日本経済浮上のチャンスをふいにしている、こういうことでございます。
もう一度一ページに戻らせていただきますけれども、そういう中で、私は、まず景気を二%なり三%の日本経済の供給力に見合う形に、景気回復軌道に誘導するということが重要だと思いますが、その際、現在のもう一つの大きな問題であります財政の問題でありますけれども、財政の問題については三段階の対応が必要だと思います。
まず第一には、景気回復を優先し、税収の回復を図る。景気回復に安心感が持てた時点で、五年程度の時間をかけて歳出全般の根本的な見直しを行う。これには、一般財政あるいは社会保障財政あるいは公共事業、さまざまなテーマがあると思います。これらをやり終えた段階で、最終的には私は増税ということも必要になるというふうに思いますが、まず景気回復を優先し、その上で歳出構造の見直しに抜本的に取り組む、これが、米国の事例を見ましても、財政健全化をもたらす最も重要な点であると思います。
最後に、「デフレスパイラルを回避するための方策」ということを書いておりますけれども、現在、金融政策の追加的な措置についての論議が生じております。私は、結論としまして、余地は非常に限られておりますが、短期金利の引き下げ、あるいはいわゆる量的な金融緩和ということを検討すべきだというふうに思います。
しかしながら、現在のように非常に経済が停滞している状況におきましては金融政策の有効性というのは非常に限定的でございますので、この金融政策の措置とあわせて、財政面から景気を支援する政策を併用する。これによりまして、世の中に資金需要が生まれ、資金需要が生まれる中で金融緩和が維持されますと、マネーサプライの増大が生じていく。その結果、現在のこの深刻なデフレスパイラルに陥りかねない状況が是正されるというように思いますので、金融政策の対応と並び、内容の吟味は当然必要でございますけれども、財政面での対応、景気を支援する方向での対応ということが緊急の検討課題ではないかというふうに考えております。
以上でございます。拍手
野
宮
宮本勝浩#6
○宮本公述人 大阪府立大学の宮本でございます。平成十三年度の予算に関しまして、私の考えを述べさせていただくのを大変光栄に思っております。
景気の回復と財政再建という同時に達成することが非常に困難である、そういう目的を抱えた中での予算案の作成は大変難しいことであろうというふうに考えております。日本経済全般につきましては、ただいまリチャード・クー先生、それから植草先生が御専門で、また非常に立派な御意見を述べられましたので、大阪から参りました私は、地方経済、地方分権の側面から平成十三年度の予算について私見を述べさせていただきたいというふうに考えております。
まず最初に、基本的な日本経済に関する展望といいますか、そういうものについて若干触れさせていただきます。
私は、日本というのは、個人とか組織が発展するためには、日本人の性格を考えますと、短期的には悲観でいい、しかし長期的には楽観でいかないといけないのではないかというふうに考えております。アメリカ経済が非常に成長いたしました九〇年代は、アメリカ人というのは大体、短期楽観、長期も楽観だったんじゃないか。日本は今は、短期でも悲観で長期でも悲観だ、そういうマスコミあたりの論調が感じられるわけでございます。
日本の経済発展のこれまでのパターンといいますのを考えてみますと、戦後、先進諸国に追いつけ追い越せというふうなことでやってきまして、このパターンが一応は成功した。例えば自動車であるとか家電産業とか、そういうふうな生産物というのは大体そういうパターンでうまくやってきたのではないか。現在、景気が停滞しておりまして、IT産業、情報関係でアメリカに非常に差をつけられたということは、ある意味では、日本型の追いつけ追い越せのチャンスの到来であるというふうにとらえた方がいいのではないか、余り悲観的になる必要はないのではないかというふうに考えております。
しかし、何もしないで手をこまねいていたのではなかなかこの不況を脱出することはできませんので、やはり目先の問題というのを少しずつ解決していかなければいけない、しかし長期的には楽観的な考えというものが必要、大切ではないかというふうに考えております。目先の問題を解決するには、例えば税制改革であるとか、それから、先ほどクー先生、植草先生も言われましたように、財政政策というのはある程度効果があった。私もそういうふうに思っておりますけれども、しかし、歳出の項目の見直しとか金融の量的な緩和、それから国民の厚生増大や社会の活性化を阻害しておりますような規制の撤廃とか緩和、社会のニーズが高い、また効率性の高い産業、そういうものの育成というものが必要であろうかと思います。
続きまして、私がきょうお話をさせていただきたい地方財政について少しお話をさせていただきます。
平成十三年度の予算についての財務大臣の提案理由説明要旨にも述べられております一般会計項目の一つ、地方財政についてでございます。
横長の数字の書いてあります資料をちょっとごらんいただきたいと思います。これは、各都道府県の税金、それから地方交付税などの一人当たりの金額を書いてございます。これは、そこにございますように平成十年度の国税庁のデータから出したものでございます。
一番最初の縦の列でございますけれども、これは国税三税、つまり各都道府県が一人当たり、法人税、個人所得税、消費税をどれだけ国に納めたか。これは全部一人当たり、人口で割ってございます。二番目が地方税です。これは全部一人当たり、その当時の人口で割ってございます。これは地方に残るものでございます。三番目が一人当たりの地方譲与税、四番目が一人当たりの地方交付税交付金、五番目が一人当たりの国庫支出金ということになっております。六番目の欄は、地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金を合計いたしまして、各都道府県、これは市町村も全部含んでおりますけれども、都道府県に一人当たりどれだけ国からのサポートがあったかという金額でございます。七番目の縦の列でございますけれども、これは地方税、つまり地方に残っておるお金と国から与えられたお金、それが一人当たり幾らになっておるかという合計金額でございます。一番最後は、国に対して地方自治体が出したお金と国からもらったお金の差額を書いてございます。
これをごらんいただきますと、まず、県民一人当たり納める税金、国に納める国税の額というのは、多い方から見ますと、当然東京都、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県の順でございます。次いで、私が問題にしたいのは実は七番目の欄ですけれども、一応六番目を見ていただきますと、国から与えられる一人当たりの地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金の総額というのは、上からいきますと島根県、高知県、鳥取県、沖縄県、鹿児島県の順で国から一人当たりたくさんの補助金といいますか、それをもらっておるということでございます。
そして、問題にしたいのは実は第七番目の列でございまして、地方税と国からもらう、サポートされる資金でございますけれども、この合計が一人当たり幾らになるかということが問題でございます。この列の数字でございますけれども、これは県民一人当たりが享受する国及び地方自治体から与えられる公共サービスの金額ということになります。この順位は、上から島根県、高知県、鳥取県、福井県、徳島県というふうになってございます。そして、国と地方自治体から与えられますトータルの公共サービスを一人当たり受け取る金額が最も少ないのが、下から埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、静岡県、大阪府、こういう順番になってございます。
国税の納税額がベストファイブであります都道府県のうち、東京都を除きまして、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県というのは、県民一人当たり受け取る公共サービスの額が全国平均にも届いていない、そういう実態がございます。多くの国税を納めた県民が全国平均にも満たない公共サービスしか受け取っていないというのはいかがなものかというふうな気がいたします。もし、個人所得に関しましてこのような結果が発生いたしますと、これはゆゆしきことになるのではないかというふうに考えております。少なくとも高額納税の県民は、一人一人全国平均程度の公共サービスを受け取る権利があるのではないかというふうに考えております。
戦後の復興期からしばらくの間は、社会資本の充実などを図るために、豊かでない地方とかそういうところに手厚く税の再分配を行う必要はあったかと思います。しかし、現在、右肩上がりの経済が終わりました今日、高額納税都道府県の財政悪化が非常に著しい、そういう実態を直視いたしますと、税の再分配のシステムの再考、税制そのものを考え直すべきときではないかというふうに考えております。
続きまして、地方の活性化につきまして若干述べさせていただきます。
政府は、地方の活性化を図るために、昨年の四月に地方分権一括法というものを成立させました。二十一世紀は地方の時代であるというふうに言われておりますけれども、現状ではその実現というのはなかなか容易ではないというふうに考えております。地方の活性化には、一層の中央政府の地方への権限の移譲とか、税制の改革などが必要ではないかというふうに考えております。
一つ例を挙げさせていただきます。現在、銀行を中心といたしまして、金融機関の再編成が進展しております。この金融再編が進みますと、いわゆる地方都市のメーンストリートがどういうふうになるかということをちょっとお考えいただきたい。
東京におられますと日本橋とか、私は大阪から参りましたから、大阪では御堂筋というところがメーンストリートでございまして、そこには銀行とか保険会社が軒を連ねております。しかし、今進展しておりますところの金融再編成が進みますと、参考の資料にも書いてございますように、日本の主要金融機関というのは四つのグループに再編成されるであろうというふうに考えられております。みずほグループ、三井・住友グループ、三菱グループ、UFJグループでございます。
もし、都市のメーンストリートの一角に、例えば角のコーナーのところでございますけれども、そこに日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が軒を並べておりましたら、これらの銀行はすべてみずほグループでございますので、合理化とか経費節減を目指すということであれば、一行のみ残る、それで十分であるというふうに考えられますと、残りの二行の店舗は閉店されるというおそれがございます。住友銀行とさくら銀行が近くにあれば、また、住友海上火災と三井海上火災が近くにあっても同じこと、どちらか一店は閉鎖されるというふうなことが起こってくる可能性がございます。三菱グループ、UFJグループについても同じことが起こるのではないか。こう考えますと、金融再編成が進みますと、都市のメーンストリートの大きな金融機関のかなりの数が閉店に追い込まれるというおそれがございます。
東京では、空き店舗になったその銀行の跡に他の企業とか店舗が入る、また、そういう入っていただくものを見つけるのは比較的簡単であろうかとは思いますけれども、地方では、そういう大きな空き店舗、銀行跡に入っていただくような店を見つけるということは非常に大変なことでございます。それでなくても、現在、地方では、百貨店、スーパーの閉店、消費の停滞などによりまして、都市の活性化、地方都市の経済の活性化が失われております。金融機関の再編成が進展いたしますと、一層地方都市の空洞化というものが進むおそれがございます。
空洞化を阻止するためには、地方の商工会議所とか商店街が協力して、その空き店舗になりました銀行とか保険会社の代替の企業、代替の店舗を見つける必要がございますけれども、地元の地方自治体も、この空洞化を阻止する何らかの対策を立てなければならないのではないかというふうに考えております。
しかし、地方自治体が行えることは非常に限られているというふうに考えられます。例えば、メーンストリートを活性化しようとして補助金を出したり、また固定資産税を下げるというふうなことは非常に困難でございます。
また、たとえ固定資産税を仮に例えば三年だけ軽減しますよというふうなことをやりました場合に、おたくは標準税率よりも低い固定資産税でやっていけるのであればということで、地方交付税が減額されるというふうなことが起こるかもしれません。そうしますと、地方自治体は、税収は入ってこない、地方交付税は削減されるということがあれば、そういうふうな政策はとても打ち出せないというふうなことになる。したがいまして、このままほっておきますと、地方都市、地方経済というものはどんどんと空洞化する、衰退するというおそれがございます。
私のお願いしたいことは、二十一世紀に日本経済が活性化するためには、東京を中心とした地域の活性化、これも非常に大事ではございますけれども、地方においてもそれぞれの独自性を持って地方経済が活性化する必要があろうかと思っておる次第でございます。そのためには、予算面とか税制面などで地方がもう少し自主性を持てるようなシステムを構築していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
以上で私の発言を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。拍手
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まず最初に、基本的な日本経済に関する展望といいますか、そういうものについて若干触れさせていただきます。
私は、日本というのは、個人とか組織が発展するためには、日本人の性格を考えますと、短期的には悲観でいい、しかし長期的には楽観でいかないといけないのではないかというふうに考えております。アメリカ経済が非常に成長いたしました九〇年代は、アメリカ人というのは大体、短期楽観、長期も楽観だったんじゃないか。日本は今は、短期でも悲観で長期でも悲観だ、そういうマスコミあたりの論調が感じられるわけでございます。
日本の経済発展のこれまでのパターンといいますのを考えてみますと、戦後、先進諸国に追いつけ追い越せというふうなことでやってきまして、このパターンが一応は成功した。例えば自動車であるとか家電産業とか、そういうふうな生産物というのは大体そういうパターンでうまくやってきたのではないか。現在、景気が停滞しておりまして、IT産業、情報関係でアメリカに非常に差をつけられたということは、ある意味では、日本型の追いつけ追い越せのチャンスの到来であるというふうにとらえた方がいいのではないか、余り悲観的になる必要はないのではないかというふうに考えております。
しかし、何もしないで手をこまねいていたのではなかなかこの不況を脱出することはできませんので、やはり目先の問題というのを少しずつ解決していかなければいけない、しかし長期的には楽観的な考えというものが必要、大切ではないかというふうに考えております。目先の問題を解決するには、例えば税制改革であるとか、それから、先ほどクー先生、植草先生も言われましたように、財政政策というのはある程度効果があった。私もそういうふうに思っておりますけれども、しかし、歳出の項目の見直しとか金融の量的な緩和、それから国民の厚生増大や社会の活性化を阻害しておりますような規制の撤廃とか緩和、社会のニーズが高い、また効率性の高い産業、そういうものの育成というものが必要であろうかと思います。
続きまして、私がきょうお話をさせていただきたい地方財政について少しお話をさせていただきます。
平成十三年度の予算についての財務大臣の提案理由説明要旨にも述べられております一般会計項目の一つ、地方財政についてでございます。
横長の数字の書いてあります資料をちょっとごらんいただきたいと思います。これは、各都道府県の税金、それから地方交付税などの一人当たりの金額を書いてございます。これは、そこにございますように平成十年度の国税庁のデータから出したものでございます。
一番最初の縦の列でございますけれども、これは国税三税、つまり各都道府県が一人当たり、法人税、個人所得税、消費税をどれだけ国に納めたか。これは全部一人当たり、人口で割ってございます。二番目が地方税です。これは全部一人当たり、その当時の人口で割ってございます。これは地方に残るものでございます。三番目が一人当たりの地方譲与税、四番目が一人当たりの地方交付税交付金、五番目が一人当たりの国庫支出金ということになっております。六番目の欄は、地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金を合計いたしまして、各都道府県、これは市町村も全部含んでおりますけれども、都道府県に一人当たりどれだけ国からのサポートがあったかという金額でございます。七番目の縦の列でございますけれども、これは地方税、つまり地方に残っておるお金と国から与えられたお金、それが一人当たり幾らになっておるかという合計金額でございます。一番最後は、国に対して地方自治体が出したお金と国からもらったお金の差額を書いてございます。
これをごらんいただきますと、まず、県民一人当たり納める税金、国に納める国税の額というのは、多い方から見ますと、当然東京都、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県の順でございます。次いで、私が問題にしたいのは実は七番目の欄ですけれども、一応六番目を見ていただきますと、国から与えられる一人当たりの地方譲与税、地方交付税交付金、国庫支出金の総額というのは、上からいきますと島根県、高知県、鳥取県、沖縄県、鹿児島県の順で国から一人当たりたくさんの補助金といいますか、それをもらっておるということでございます。
そして、問題にしたいのは実は第七番目の列でございまして、地方税と国からもらう、サポートされる資金でございますけれども、この合計が一人当たり幾らになるかということが問題でございます。この列の数字でございますけれども、これは県民一人当たりが享受する国及び地方自治体から与えられる公共サービスの金額ということになります。この順位は、上から島根県、高知県、鳥取県、福井県、徳島県というふうになってございます。そして、国と地方自治体から与えられますトータルの公共サービスを一人当たり受け取る金額が最も少ないのが、下から埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、静岡県、大阪府、こういう順番になってございます。
国税の納税額がベストファイブであります都道府県のうち、東京都を除きまして、大阪府、愛知県、京都府、神奈川県というのは、県民一人当たり受け取る公共サービスの額が全国平均にも届いていない、そういう実態がございます。多くの国税を納めた県民が全国平均にも満たない公共サービスしか受け取っていないというのはいかがなものかというふうな気がいたします。もし、個人所得に関しましてこのような結果が発生いたしますと、これはゆゆしきことになるのではないかというふうに考えております。少なくとも高額納税の県民は、一人一人全国平均程度の公共サービスを受け取る権利があるのではないかというふうに考えております。
戦後の復興期からしばらくの間は、社会資本の充実などを図るために、豊かでない地方とかそういうところに手厚く税の再分配を行う必要はあったかと思います。しかし、現在、右肩上がりの経済が終わりました今日、高額納税都道府県の財政悪化が非常に著しい、そういう実態を直視いたしますと、税の再分配のシステムの再考、税制そのものを考え直すべきときではないかというふうに考えております。
続きまして、地方の活性化につきまして若干述べさせていただきます。
政府は、地方の活性化を図るために、昨年の四月に地方分権一括法というものを成立させました。二十一世紀は地方の時代であるというふうに言われておりますけれども、現状ではその実現というのはなかなか容易ではないというふうに考えております。地方の活性化には、一層の中央政府の地方への権限の移譲とか、税制の改革などが必要ではないかというふうに考えております。
一つ例を挙げさせていただきます。現在、銀行を中心といたしまして、金融機関の再編成が進展しております。この金融再編が進みますと、いわゆる地方都市のメーンストリートがどういうふうになるかということをちょっとお考えいただきたい。
東京におられますと日本橋とか、私は大阪から参りましたから、大阪では御堂筋というところがメーンストリートでございまして、そこには銀行とか保険会社が軒を連ねております。しかし、今進展しておりますところの金融再編成が進みますと、参考の資料にも書いてございますように、日本の主要金融機関というのは四つのグループに再編成されるであろうというふうに考えられております。みずほグループ、三井・住友グループ、三菱グループ、UFJグループでございます。
もし、都市のメーンストリートの一角に、例えば角のコーナーのところでございますけれども、そこに日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行が軒を並べておりましたら、これらの銀行はすべてみずほグループでございますので、合理化とか経費節減を目指すということであれば、一行のみ残る、それで十分であるというふうに考えられますと、残りの二行の店舗は閉店されるというおそれがございます。住友銀行とさくら銀行が近くにあれば、また、住友海上火災と三井海上火災が近くにあっても同じこと、どちらか一店は閉鎖されるというふうなことが起こってくる可能性がございます。三菱グループ、UFJグループについても同じことが起こるのではないか。こう考えますと、金融再編成が進みますと、都市のメーンストリートの大きな金融機関のかなりの数が閉店に追い込まれるというおそれがございます。
東京では、空き店舗になったその銀行の跡に他の企業とか店舗が入る、また、そういう入っていただくものを見つけるのは比較的簡単であろうかとは思いますけれども、地方では、そういう大きな空き店舗、銀行跡に入っていただくような店を見つけるということは非常に大変なことでございます。それでなくても、現在、地方では、百貨店、スーパーの閉店、消費の停滞などによりまして、都市の活性化、地方都市の経済の活性化が失われております。金融機関の再編成が進展いたしますと、一層地方都市の空洞化というものが進むおそれがございます。
空洞化を阻止するためには、地方の商工会議所とか商店街が協力して、その空き店舗になりました銀行とか保険会社の代替の企業、代替の店舗を見つける必要がございますけれども、地元の地方自治体も、この空洞化を阻止する何らかの対策を立てなければならないのではないかというふうに考えております。
しかし、地方自治体が行えることは非常に限られているというふうに考えられます。例えば、メーンストリートを活性化しようとして補助金を出したり、また固定資産税を下げるというふうなことは非常に困難でございます。
また、たとえ固定資産税を仮に例えば三年だけ軽減しますよというふうなことをやりました場合に、おたくは標準税率よりも低い固定資産税でやっていけるのであればということで、地方交付税が減額されるというふうなことが起こるかもしれません。そうしますと、地方自治体は、税収は入ってこない、地方交付税は削減されるということがあれば、そういうふうな政策はとても打ち出せないというふうなことになる。したがいまして、このままほっておきますと、地方都市、地方経済というものはどんどんと空洞化する、衰退するというおそれがございます。
私のお願いしたいことは、二十一世紀に日本経済が活性化するためには、東京を中心とした地域の活性化、これも非常に大事ではございますけれども、地方においてもそれぞれの独自性を持って地方経済が活性化する必要があろうかと思っておる次第でございます。そのためには、予算面とか税制面などで地方がもう少し自主性を持てるようなシステムを構築していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
以上で私の発言を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。拍手
野
鈴
鈴木彰#8
○鈴木公述人 大変御苦労さまです。
私、全労連に所属をしております鈴木と申します。このような形で発言の場を与えていただき、大変感謝をしております。
私たち労働者、国民は、二十世紀末の十年間、財界、大企業が行ってきた激しいリストラ、合理化という問題、これに対する政府と行政による後押しという問題、こういう戦後かつてなかったような状況のもとで、大変な辛酸をなめてきたという思いがしております。そういう意味で、残念ながら、私は、政治的にも経済的にも中立の立場で発言というわけにはなかなかいかないかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
二十一世紀最初の二〇〇一年度予算、ぜひともこれまでの状況を正して、人と企業と行政がお互いに信頼をし合って、共同して新世紀に臨むものになるように、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
一つ目、財界、大企業が行ってきたことについて触れたいと思うわけですが、バブル崩壊を契機にしまして、それまでの労使間の慣行だとか、あるいは労働法規を踏みにじってしまうレベルの勢いで、リストラと人減らしと働くルールの破壊ということを推し進めました。それは、職場と地域にいわば失業地獄というふうに言わなければならない実態を招いています。
総務省の労働力調査による完全失業者、一九九九年に三百十七万人となっております。十年前の百四十二万人から毎年十八万人ずつふえて、二・二倍にふえた勘定になります。この三百十七万の失業者の中の非自発的離職者は十年前の三倍の百二万人、三十歳未満の青年の完全失業者は百二十三万人、これらがリストラ、人減らし、あるいは新規採用凍結ということのすさまじさを物語っていると思います。
東京の春闘共闘が都内十七カ所の職安前などで実施したアンケートには、六五%の人々が解雇などによって失業した、あるいは雇用保険給付が終わってもまだ二七%が一年以上仕事を探している、七八%が四十歳以上という高齢層なのに高年齢ほど仕事がない、仕事を探しながら貧しくなっていく、生活できない、保険が切れたら自殺せざるを得ない、こういう深刻な実態と、就職口を何としても確保してほしい、雇用保険給付を延長してほしい、失業中の税金は免除してほしいなどの切実な要求が寄せられております。
こうした失業地獄は、雇用そのものを不安定にしているという問題があると思います。九九年までの十年間で、パート労働者は六百二万人から千百三十四万人に、毎年五十三万人ずつふえて二倍になりました。労働者全体が六十三万人ずつふえたうちの八四%はパート労働者の増加だったわけであります。
また、同じこの失業地獄は、職場を無法地帯にしているという問題も生み出しています。お手元に全労連の「働くみんなの要求アンケート」というものの集約結果をお配りさせていただいておりますが、収入が減った人四五%、疲労を訴える人が八七%、七割近い労働者が生活難を訴えている。さらに重大なことでありますけれども、半分以上の労働者が法律違反のサービス残業、ただ働きをしているということがここに物語られています。逆らえば失業だ、こういう状況を背景にして職場が無法地帯になっているという状況であるわけです。
二つ目の問題として、これらに対して公正であるべき政府はどういう態度をとってきたかという問題をお話ししたいと思います。
財界、大企業の雇用破壊と、申し上げましたような働くルールの破壊を、政府は取り締まったとは言えない。それだけではなくて、以下のような四つほどの内容でそれをむしろ後押ししたのではないか。
第一点は、労働基準法を初め労働法制の規制緩和と改悪を繰り返しました。金融再生法、産業再生法、民事再生法、会社分割法、こういうものを次から次に制定して、財界、大企業のリストラ、合理化を積極的に支援したと言わざるを得ません。それが労働者にもたらした雇用破壊、賃金破壊、労働条件破壊の実態は、今お話ししたとおりであります。
第二に、政府は、社会保障充実のためというふうに、結果的には偽ったことになりましたが、導入をしました消費税と、膨大な国債発行、これらによって、ゼネコン奉仕型の公共事業や不況対策あるいは銀行への税金投入、こういうものに力を入れてこられました。
導入初年度に五兆円だった消費税は、十年後の九九年には三倍近い十三兆円に膨張しましたが、逆に、当時四二%だった法人税率は、九九年までに四回、一二%にわたって減税をされて、今三〇%。法人税納入の主役である大企業は、九〇年当時十九兆円であった法人税を、九九年には半分の十兆円に節約することができるようになっています。金融産業の場合は、超低金利で、毎年五兆円近い利子所得を結果的には手に入れた、その上で七十兆円もの税金投入を受けていこうというふうにしています。
こうして、結果的に、資本金十億円以上の大企業、六千社ほどありますけれども、この六千社だけでその内部留保を八八年の七十四兆円から九九年の百五十四兆円に、ほぼ倍増をさせております。
第三でありますが、政府は、この施策の財源を調達するためにも、八八年に社会保障財源の二四%を負担していた国庫負担を、今一九%まで削ってまいりました。八九年に労使三十五兆円であった社会保険料の負担額を、逆に一・六倍の五十五兆円に拡大をしてきました。
職場での賃金・雇用破壊で苦しむ勤労者世帯の可処分所得は、これらの結果、八九年の月四十二万円から四十八万円に、十年間かかってわずか一四%の伸びに抑えられております。
さらに、今、高齢者の介護保険料、医療費負担、年金の賃金スライドの停止、雇用保険料の引き上げ、合計三兆円もの新しい負担が家計にのしかかろうとしています。とりわけ、受け取り予定の年金を一方的に数百万円から一千万円以上削減した昨年の年金改悪は、国に対する労働者、国民の信頼を足元から揺るがす状態を生み出しているというふうに思います。
第四でありますけれども、政府は、労働者、国民の批判に耳をかさないで、これらの施策を盛り込んだ予算をこれまでも成立をさせてこられました。今も与党の皆さんは、財政の使い方をめぐる疑惑が深まっている真っただ中で、それを解明しないままに従来型の公共事業による大企業後押しの予算の審議を最優先するということを主張しておられます。
しかし、文字どおり急浮上いたしました米原子力潜水艦事故は、国民の命に危害が加えられてもなお政府はアメリカの大統領に抗議さえしない、森首相は、脱税疑惑のゴルフ場に閉じこもってしまってかけゴルフに興じていたなどという無責任な疑惑を国民の中にさらしているわけであります。それは、KSDの疑惑、機密費の疑惑と相まって、この政府に本当に予算を任せていいんだろうか、国民の命と国の政治を預けておけるんだろうかという疑惑をあふれさせているわけであります。このような疑惑の究明、責任の追及ということは、予算審議の前提条件にさえなっているのではないかというふうに思うわけであります。
以上の状況把握を申し上げました上で、三番目でありますが、これらの状況の上でのことを申し上げたいと思います。
財界、大企業のリストラと政府による後押しということが進められましたけれども、それらは、結局、大企業の利益は増加をさせましたけれども、その経営あるいは物づくりというものを破綻させ、GDPの六割を占める個人消費を低下させ、結局は戦後最悪、最長の深刻な不況のもとで日本経済そのものを行き詰まりに追い込んでいるというふうに言わざるを得ないと思います。
この局面を打開するには、財界、大企業の強行してきた今までのやり方を社会的に規制するとともに、政府による四つの後押しを根本から改める、そして国民と政府、行政との信頼関係を取り戻す、これが必要だと思います。そのためには、暮らしと営業の破壊の中で懸命に生きてきた労働者、国民の切実な要求をよく聞いていただきたい。そして、十分に審議を重ねて生活と福祉を優先する予算に組み替えていただく必要があると思います。
最後でありますけれども、私は、労働者の立場からの要求を中心にして、具体的かつ最低限の予算組み替えの要求について申し上げたいと思います。
一つは、働くルールを回復させ確立するという方向を促進する予算を組んでいただきたい。雇用を拡大していただきたい。
全労連と国民春闘共闘委員会は、この春から、賃金の底上げあるいは解雇の規制、サービス残業の一掃という三つの課題を掲げて署名運動に取り組んでおります。署名用紙をお手元にお配りいたしましたけれども、これをごらんいただくとお気づきになると思いますけれども、一方的な賃金引き下げや差別待遇をしないでほしい、一方的な解雇を規制してほしい、ただ働きやサービス残業をやめてほしい、これらはすべて既に法律が禁じているものばかりであります。
実は、この三つの課題はいずれも、この間、財界と大企業が結果的に踏みにじり、そして政府、行政もこれに力を貸して破壊をしてきた働くルールをぎりぎり最低限のレベルで回復させたいというものであって、ぜひともここにおられる皆さんの御署名もいただきたいところであります。
これらの課題を財界、大企業への社会的規制の基礎に据えて、緊急地域雇用特別交付金制度の拡充、解雇規制、労働時間短縮、サービス残業根絶そして雇用拡大、改悪雇用保険法の四月実施の中止まで含めた適切な改善と、新卒失業者への失業手当の給付などなどの措置を具体化していただきたいというふうに思います。
これらは、日本経済の行き詰まりを打開する上でも大きな効果を発揮するものだと思います。例えば、完全失業者の三分の二に当たる二百万人に仮に年収五百万円の雇用を確保できれば、年十兆円の賃金所得が生まれます。これは直接二百万人の暮らしを支えるし、税金や社会保険料の収入も拡大するし、消費購買力も拡大をいたします。下手な不況対策よりはよほど効果があるわけであります。
二つ目に、浪費型の公共事業の削減と消費税減税、社会保障の拡充をぜひとも行っていただきたい。
二〇〇一年度政府予算案は、巨額の国債を発行し、ゼネコン奉仕型の巨額の公共事業費を浪費するという従来型の域を出ていない。そのために、長引く不況の基礎にある個人消費の拡大への対策がほとんどない、不況を一層深刻にする予算案である、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
押しても押してもだめなときには引くものであります。財政再建に向かって借金と公共事業を大幅に抑えることを基本に、食料品非課税など消費税の減税、老人医療改悪や年金改悪を中止する、基礎年金の国庫負担割合二分の一を即時実施する、無年金障害者を直ちに救済する、国庫負担の拡大による介護保険制度の緊急改善を行う、確定拠出型年金の導入をやめるなどなどを予算化していただきたいというふうに思います。社会保障の拡充に本腰を入れることも、下手な税金投入よりも効果的な不況対策であります。政府、行政が暮らしと営業を守る姿勢を明らかにして、政府に対する信頼をかちとること、このときこそ、労働者、国民は自己防衛のかたい殻を破ってその消費購買力を真っすぐに発揮することができるのではないでしょうか。
三番目であります。内閣官房機密費、防衛費などの大幅な削減をお願いしたいと思います。
KSD、機密費疑惑の徹底究明の世論を予算審議をおくらせるものだというふうにねじ曲げて予算審議最優先というのは、やはり誤りではないかというふうに思います。どんな予算を組んでみても、それが政府の無責任、無能力というふうなことで運用されたり、党利党略、私利私欲のために使われてしまったのでは、労働者、国民は到底これを納得するわけにはいかないからであります。納得でき信頼できる予算をつくる、そのためにも、予算の使い方にかかわる自民党、連立与党の皆さんの金権腐敗の疑惑をあくまでも解明していただきたいというふうに思います。
与党の皆さんが唱える予算審議最優先論は、森首相の首のすげかえなどを視野に入れて事態収拾を図るために、その前に大急ぎで予算を成立させてしまうのだという疑いを私たちに抱かせてしまいます。しかし、今国民が疑惑の究明を求め、退陣を迫っているのは、ひとり森首相ではなくて、自公保連立内閣そのものなのでありますから、与党の皆さんはこの疑惑を解明しないままここを素通りするというわけには決していかないんだというふうに思います。
それらのことも解明をしながら、国民と合意形成のできる、暮らしと福祉を優先する予算をぜひとも確立していただく、そのために審議を尽くしていただきたいということを申し上げて、私の発言といたします。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私、全労連に所属をしております鈴木と申します。このような形で発言の場を与えていただき、大変感謝をしております。
私たち労働者、国民は、二十世紀末の十年間、財界、大企業が行ってきた激しいリストラ、合理化という問題、これに対する政府と行政による後押しという問題、こういう戦後かつてなかったような状況のもとで、大変な辛酸をなめてきたという思いがしております。そういう意味で、残念ながら、私は、政治的にも経済的にも中立の立場で発言というわけにはなかなかいかないかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
二十一世紀最初の二〇〇一年度予算、ぜひともこれまでの状況を正して、人と企業と行政がお互いに信頼をし合って、共同して新世紀に臨むものになるように、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。
一つ目、財界、大企業が行ってきたことについて触れたいと思うわけですが、バブル崩壊を契機にしまして、それまでの労使間の慣行だとか、あるいは労働法規を踏みにじってしまうレベルの勢いで、リストラと人減らしと働くルールの破壊ということを推し進めました。それは、職場と地域にいわば失業地獄というふうに言わなければならない実態を招いています。
総務省の労働力調査による完全失業者、一九九九年に三百十七万人となっております。十年前の百四十二万人から毎年十八万人ずつふえて、二・二倍にふえた勘定になります。この三百十七万の失業者の中の非自発的離職者は十年前の三倍の百二万人、三十歳未満の青年の完全失業者は百二十三万人、これらがリストラ、人減らし、あるいは新規採用凍結ということのすさまじさを物語っていると思います。
東京の春闘共闘が都内十七カ所の職安前などで実施したアンケートには、六五%の人々が解雇などによって失業した、あるいは雇用保険給付が終わってもまだ二七%が一年以上仕事を探している、七八%が四十歳以上という高齢層なのに高年齢ほど仕事がない、仕事を探しながら貧しくなっていく、生活できない、保険が切れたら自殺せざるを得ない、こういう深刻な実態と、就職口を何としても確保してほしい、雇用保険給付を延長してほしい、失業中の税金は免除してほしいなどの切実な要求が寄せられております。
こうした失業地獄は、雇用そのものを不安定にしているという問題があると思います。九九年までの十年間で、パート労働者は六百二万人から千百三十四万人に、毎年五十三万人ずつふえて二倍になりました。労働者全体が六十三万人ずつふえたうちの八四%はパート労働者の増加だったわけであります。
また、同じこの失業地獄は、職場を無法地帯にしているという問題も生み出しています。お手元に全労連の「働くみんなの要求アンケート」というものの集約結果をお配りさせていただいておりますが、収入が減った人四五%、疲労を訴える人が八七%、七割近い労働者が生活難を訴えている。さらに重大なことでありますけれども、半分以上の労働者が法律違反のサービス残業、ただ働きをしているということがここに物語られています。逆らえば失業だ、こういう状況を背景にして職場が無法地帯になっているという状況であるわけです。
二つ目の問題として、これらに対して公正であるべき政府はどういう態度をとってきたかという問題をお話ししたいと思います。
財界、大企業の雇用破壊と、申し上げましたような働くルールの破壊を、政府は取り締まったとは言えない。それだけではなくて、以下のような四つほどの内容でそれをむしろ後押ししたのではないか。
第一点は、労働基準法を初め労働法制の規制緩和と改悪を繰り返しました。金融再生法、産業再生法、民事再生法、会社分割法、こういうものを次から次に制定して、財界、大企業のリストラ、合理化を積極的に支援したと言わざるを得ません。それが労働者にもたらした雇用破壊、賃金破壊、労働条件破壊の実態は、今お話ししたとおりであります。
第二に、政府は、社会保障充実のためというふうに、結果的には偽ったことになりましたが、導入をしました消費税と、膨大な国債発行、これらによって、ゼネコン奉仕型の公共事業や不況対策あるいは銀行への税金投入、こういうものに力を入れてこられました。
導入初年度に五兆円だった消費税は、十年後の九九年には三倍近い十三兆円に膨張しましたが、逆に、当時四二%だった法人税率は、九九年までに四回、一二%にわたって減税をされて、今三〇%。法人税納入の主役である大企業は、九〇年当時十九兆円であった法人税を、九九年には半分の十兆円に節約することができるようになっています。金融産業の場合は、超低金利で、毎年五兆円近い利子所得を結果的には手に入れた、その上で七十兆円もの税金投入を受けていこうというふうにしています。
こうして、結果的に、資本金十億円以上の大企業、六千社ほどありますけれども、この六千社だけでその内部留保を八八年の七十四兆円から九九年の百五十四兆円に、ほぼ倍増をさせております。
第三でありますが、政府は、この施策の財源を調達するためにも、八八年に社会保障財源の二四%を負担していた国庫負担を、今一九%まで削ってまいりました。八九年に労使三十五兆円であった社会保険料の負担額を、逆に一・六倍の五十五兆円に拡大をしてきました。
職場での賃金・雇用破壊で苦しむ勤労者世帯の可処分所得は、これらの結果、八九年の月四十二万円から四十八万円に、十年間かかってわずか一四%の伸びに抑えられております。
さらに、今、高齢者の介護保険料、医療費負担、年金の賃金スライドの停止、雇用保険料の引き上げ、合計三兆円もの新しい負担が家計にのしかかろうとしています。とりわけ、受け取り予定の年金を一方的に数百万円から一千万円以上削減した昨年の年金改悪は、国に対する労働者、国民の信頼を足元から揺るがす状態を生み出しているというふうに思います。
第四でありますけれども、政府は、労働者、国民の批判に耳をかさないで、これらの施策を盛り込んだ予算をこれまでも成立をさせてこられました。今も与党の皆さんは、財政の使い方をめぐる疑惑が深まっている真っただ中で、それを解明しないままに従来型の公共事業による大企業後押しの予算の審議を最優先するということを主張しておられます。
しかし、文字どおり急浮上いたしました米原子力潜水艦事故は、国民の命に危害が加えられてもなお政府はアメリカの大統領に抗議さえしない、森首相は、脱税疑惑のゴルフ場に閉じこもってしまってかけゴルフに興じていたなどという無責任な疑惑を国民の中にさらしているわけであります。それは、KSDの疑惑、機密費の疑惑と相まって、この政府に本当に予算を任せていいんだろうか、国民の命と国の政治を預けておけるんだろうかという疑惑をあふれさせているわけであります。このような疑惑の究明、責任の追及ということは、予算審議の前提条件にさえなっているのではないかというふうに思うわけであります。
以上の状況把握を申し上げました上で、三番目でありますが、これらの状況の上でのことを申し上げたいと思います。
財界、大企業のリストラと政府による後押しということが進められましたけれども、それらは、結局、大企業の利益は増加をさせましたけれども、その経営あるいは物づくりというものを破綻させ、GDPの六割を占める個人消費を低下させ、結局は戦後最悪、最長の深刻な不況のもとで日本経済そのものを行き詰まりに追い込んでいるというふうに言わざるを得ないと思います。
この局面を打開するには、財界、大企業の強行してきた今までのやり方を社会的に規制するとともに、政府による四つの後押しを根本から改める、そして国民と政府、行政との信頼関係を取り戻す、これが必要だと思います。そのためには、暮らしと営業の破壊の中で懸命に生きてきた労働者、国民の切実な要求をよく聞いていただきたい。そして、十分に審議を重ねて生活と福祉を優先する予算に組み替えていただく必要があると思います。
最後でありますけれども、私は、労働者の立場からの要求を中心にして、具体的かつ最低限の予算組み替えの要求について申し上げたいと思います。
一つは、働くルールを回復させ確立するという方向を促進する予算を組んでいただきたい。雇用を拡大していただきたい。
全労連と国民春闘共闘委員会は、この春から、賃金の底上げあるいは解雇の規制、サービス残業の一掃という三つの課題を掲げて署名運動に取り組んでおります。署名用紙をお手元にお配りいたしましたけれども、これをごらんいただくとお気づきになると思いますけれども、一方的な賃金引き下げや差別待遇をしないでほしい、一方的な解雇を規制してほしい、ただ働きやサービス残業をやめてほしい、これらはすべて既に法律が禁じているものばかりであります。
実は、この三つの課題はいずれも、この間、財界と大企業が結果的に踏みにじり、そして政府、行政もこれに力を貸して破壊をしてきた働くルールをぎりぎり最低限のレベルで回復させたいというものであって、ぜひともここにおられる皆さんの御署名もいただきたいところであります。
これらの課題を財界、大企業への社会的規制の基礎に据えて、緊急地域雇用特別交付金制度の拡充、解雇規制、労働時間短縮、サービス残業根絶そして雇用拡大、改悪雇用保険法の四月実施の中止まで含めた適切な改善と、新卒失業者への失業手当の給付などなどの措置を具体化していただきたいというふうに思います。
これらは、日本経済の行き詰まりを打開する上でも大きな効果を発揮するものだと思います。例えば、完全失業者の三分の二に当たる二百万人に仮に年収五百万円の雇用を確保できれば、年十兆円の賃金所得が生まれます。これは直接二百万人の暮らしを支えるし、税金や社会保険料の収入も拡大するし、消費購買力も拡大をいたします。下手な不況対策よりはよほど効果があるわけであります。
二つ目に、浪費型の公共事業の削減と消費税減税、社会保障の拡充をぜひとも行っていただきたい。
二〇〇一年度政府予算案は、巨額の国債を発行し、ゼネコン奉仕型の巨額の公共事業費を浪費するという従来型の域を出ていない。そのために、長引く不況の基礎にある個人消費の拡大への対策がほとんどない、不況を一層深刻にする予算案である、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
押しても押してもだめなときには引くものであります。財政再建に向かって借金と公共事業を大幅に抑えることを基本に、食料品非課税など消費税の減税、老人医療改悪や年金改悪を中止する、基礎年金の国庫負担割合二分の一を即時実施する、無年金障害者を直ちに救済する、国庫負担の拡大による介護保険制度の緊急改善を行う、確定拠出型年金の導入をやめるなどなどを予算化していただきたいというふうに思います。社会保障の拡充に本腰を入れることも、下手な税金投入よりも効果的な不況対策であります。政府、行政が暮らしと営業を守る姿勢を明らかにして、政府に対する信頼をかちとること、このときこそ、労働者、国民は自己防衛のかたい殻を破ってその消費購買力を真っすぐに発揮することができるのではないでしょうか。
三番目であります。内閣官房機密費、防衛費などの大幅な削減をお願いしたいと思います。
KSD、機密費疑惑の徹底究明の世論を予算審議をおくらせるものだというふうにねじ曲げて予算審議最優先というのは、やはり誤りではないかというふうに思います。どんな予算を組んでみても、それが政府の無責任、無能力というふうなことで運用されたり、党利党略、私利私欲のために使われてしまったのでは、労働者、国民は到底これを納得するわけにはいかないからであります。納得でき信頼できる予算をつくる、そのためにも、予算の使い方にかかわる自民党、連立与党の皆さんの金権腐敗の疑惑をあくまでも解明していただきたいというふうに思います。
与党の皆さんが唱える予算審議最優先論は、森首相の首のすげかえなどを視野に入れて事態収拾を図るために、その前に大急ぎで予算を成立させてしまうのだという疑いを私たちに抱かせてしまいます。しかし、今国民が疑惑の究明を求め、退陣を迫っているのは、ひとり森首相ではなくて、自公保連立内閣そのものなのでありますから、与党の皆さんはこの疑惑を解明しないままここを素通りするというわけには決していかないんだというふうに思います。
それらのことも解明をしながら、国民と合意形成のできる、暮らしと福祉を優先する予算をぜひとも確立していただく、そのために審議を尽くしていただきたいということを申し上げて、私の発言といたします。どうもありがとうございました。拍手
野
野
水
水野賢一#11
○水野委員 自由民主党の水野賢一でございます。公述人の諸先生方におかれましては、大変お忙しい中おいでいただいたこと、また貴重な御意見をお聞かせいただいたこと、まず感謝、御礼を申し上げたいと思います。
さて、日本経済の現状というのは、緩やかな景気回復軌道にあるとかなんとか言われながらも、しかし、個人消費の伸び悩みとか雇用の情勢の悪化とか、非常にしっくりとしない面があるわけでございます。しっくりとしないどころか、今月の月例経済報告では景気判断が下方修正されるなど、非常に低迷と言っていい状況があるかと思うわけであります。
こうした景気の厳しい状況、一方、言うまでもない非常に財政悪化の状況という中で、この数年間、景気回復優先なのか、はたまた財政構造改革優先なのかという議論が多くあったかと思います。そのバリエーションとしては、両方一緒にやるんだとか、いやいや二兎を追う者は一兎をも得ずなんだ、いろいろなそういうような議論があったと思うわけです。
植草公述人にお伺いしたいわけですけれども、先生、今のお話の中で景気回復優先なんだというお話があったと思うわけです。その観点からされまして、今審議されている予算案についてどう評価されているのかについてまず植草先生にお伺いさせていただき、そして、クー先生にお伺いしたいのは、先生の先ほどの御発言の中で、現在バランスシート不況の中にある、その中での財政の役割というものが大切なんだというお話がございましたけれども、もし今後財政構造改革のような路線に転換するとすれば、いつごろ、もしくはどういうような状況に財政状況がなればそういう財政再建という方向により軸足を転じていくのか、もしお考えがあれば、最初に植草先生、またクー先生にお尋ねいたしたいと思います。
この発言だけを見る →さて、日本経済の現状というのは、緩やかな景気回復軌道にあるとかなんとか言われながらも、しかし、個人消費の伸び悩みとか雇用の情勢の悪化とか、非常にしっくりとしない面があるわけでございます。しっくりとしないどころか、今月の月例経済報告では景気判断が下方修正されるなど、非常に低迷と言っていい状況があるかと思うわけであります。
こうした景気の厳しい状況、一方、言うまでもない非常に財政悪化の状況という中で、この数年間、景気回復優先なのか、はたまた財政構造改革優先なのかという議論が多くあったかと思います。そのバリエーションとしては、両方一緒にやるんだとか、いやいや二兎を追う者は一兎をも得ずなんだ、いろいろなそういうような議論があったと思うわけです。
植草公述人にお伺いしたいわけですけれども、先生、今のお話の中で景気回復優先なんだというお話があったと思うわけです。その観点からされまして、今審議されている予算案についてどう評価されているのかについてまず植草先生にお伺いさせていただき、そして、クー先生にお伺いしたいのは、先生の先ほどの御発言の中で、現在バランスシート不況の中にある、その中での財政の役割というものが大切なんだというお話がございましたけれども、もし今後財政構造改革のような路線に転換するとすれば、いつごろ、もしくはどういうような状況に財政状況がなればそういう財政再建という方向により軸足を転じていくのか、もしお考えがあれば、最初に植草先生、またクー先生にお尋ねいたしたいと思います。
植
植草一秀#12
○植草公述人 私は先ほど景気回復優先ということを申し上げましたけれども、これは決して財政の健全性回復が重要でないということを申し上げたわけではありません。財政の健全性回復もやはり国民的に大きな課題だというふうに認識をしております。もう一方で、国民生活の安定という視点から、景気の回復ということも重要な課題だと。
しばしばこの二つの問題は、二者択一、景気か財政か、こういうとらえ方がなされておりますが、私は、まず、景気も財政も、これで合意を得る必要がある、こういうふうに考えております。ただ、重要な点は、景気を回復し、財政の健全性を回復するための方策はどうあるべきか、その手順の問題だというふうに考えているわけであります。
先ほどちょっと触れられませんでした、一言だけつけ加えさせていただきます。
米国の事例でありますが、米国で九二年度が財政赤字のピークで、その後急激に財政赤字が減少し、現在財政黒字に転換しておりますが、九二年から九五年にかけての財政赤字減少の約七割は、景気回復による財政赤字の減少であります、いわゆる循環的な赤字の減少。当然構造調整に対する努力もあったわけで、これが三割ぐらいを占めておりますけれども、まず第一には景気回復による財政健全化の動きが広がり、九五年から九八年にかけましての財政赤字減少におきましては、その約七割が構造改革による財政赤字減少、こういうことになっておりまして、米国の事例を取り上げてみましても、まず景気を回復軌道に誘導し、それがしっかりと確保された段階で構造改革に本腰を入れて取り組む、この結果、見事に財政を黒字に転換させた、こういうことであります。
そういう点で、財政の健全性回復が重要でないということではなしに、まず景気を回復させ、その上で構造改革に取り組むべきだということであります。
その中で、この十三年度予算についての評価ということでございますが、これも話すとちょっと長くなりますのでポイントだけ申し上げます。
既に十二年度予算について補正予算が編成されて、その後に十三年度の当初予算の策定に入って、その審議が今行われておるわけでありますけれども、この十三年度予算は、十二年度の補正後で比較いたしますと七・九%の減少ということになっておりまして、そういう点では、実績ベースといいますか、既に策定の終えております補正予算の編成後の状況で比較しますと、十三年度予算はかなりの緊縮になっております。
ただ、実際には補正予算の執行がずれ込みまして、先ほど図解しましたように、十二年度の補正予算は十三年に入りましてからの執行ということになりますので極めて財政状況の推移を見るのが難しくなっておりますので、この点については、予算編成の仕組みそのものを根本的に見直していくということも含めた対応が必要ではないかと思います。
御質問の点に結論だけ申しますと、十三年度予算は、補正後に比較してかなりの緊縮色になっておりますので、回復軌道に向かい始めた日本経済に対しては、かなりマイナスの影響が出るのではないか、そういうことを懸念しております。
この発言だけを見る →しばしばこの二つの問題は、二者択一、景気か財政か、こういうとらえ方がなされておりますが、私は、まず、景気も財政も、これで合意を得る必要がある、こういうふうに考えております。ただ、重要な点は、景気を回復し、財政の健全性を回復するための方策はどうあるべきか、その手順の問題だというふうに考えているわけであります。
先ほどちょっと触れられませんでした、一言だけつけ加えさせていただきます。
米国の事例でありますが、米国で九二年度が財政赤字のピークで、その後急激に財政赤字が減少し、現在財政黒字に転換しておりますが、九二年から九五年にかけての財政赤字減少の約七割は、景気回復による財政赤字の減少であります、いわゆる循環的な赤字の減少。当然構造調整に対する努力もあったわけで、これが三割ぐらいを占めておりますけれども、まず第一には景気回復による財政健全化の動きが広がり、九五年から九八年にかけましての財政赤字減少におきましては、その約七割が構造改革による財政赤字減少、こういうことになっておりまして、米国の事例を取り上げてみましても、まず景気を回復軌道に誘導し、それがしっかりと確保された段階で構造改革に本腰を入れて取り組む、この結果、見事に財政を黒字に転換させた、こういうことであります。
そういう点で、財政の健全性回復が重要でないということではなしに、まず景気を回復させ、その上で構造改革に取り組むべきだということであります。
その中で、この十三年度予算についての評価ということでございますが、これも話すとちょっと長くなりますのでポイントだけ申し上げます。
既に十二年度予算について補正予算が編成されて、その後に十三年度の当初予算の策定に入って、その審議が今行われておるわけでありますけれども、この十三年度予算は、十二年度の補正後で比較いたしますと七・九%の減少ということになっておりまして、そういう点では、実績ベースといいますか、既に策定の終えております補正予算の編成後の状況で比較しますと、十三年度予算はかなりの緊縮になっております。
ただ、実際には補正予算の執行がずれ込みまして、先ほど図解しましたように、十二年度の補正予算は十三年に入りましてからの執行ということになりますので極めて財政状況の推移を見るのが難しくなっておりますので、この点については、予算編成の仕組みそのものを根本的に見直していくということも含めた対応が必要ではないかと思います。
御質問の点に結論だけ申しますと、十三年度予算は、補正後に比較してかなりの緊縮色になっておりますので、回復軌道に向かい始めた日本経済に対しては、かなりマイナスの影響が出るのではないか、そういうことを懸念しております。
リ
リチャード・クー#13
○クー公述人 いつごろ日本の財政を再建の方向へ向けるべきかという御質問だったと思いますが、私は、まず、日本のバランスシートの全体の状況は、あと二年ほどすれば大分改善に向かうのではないかという気がしております。
この試算については、お配りしました資料の四ページ目に、今の日本のバランスシートの状況と、それから埋めなければいけない過剰債務を埋めるのにあと何年かかるかという試算を載せておりますが、それによりますと、一応使える数字が一九九七年までしかないのですけれども、そこから五・八年、つまり二〇〇三年のちょっと手前までというくらいの計算になります。
このくらいになると、大分バランスシートはきれいになるはずで、一九七〇年から八六年までの平均値ぐらいには戻る。それよりもいい企業もたくさんあれば、それよりも悪いのもたくさんあるわけですけれども、平均的には、平時の世界、バブルになる前の世界のバランスシートに戻るのではないかという気がします。
したがって、その辺からこのような議論が出てきてもいいのではないかと思うわけですが、ただ、実際のところ、経済というのは生き物ですし、ここでもまたちょっと景気の減速が見られているということで、今から二〇〇三年でこうしようとかいうのを決めるのはちょっとどうかなと。やはりその時点での病人の回復ぐあいといいますか、脈拍から体温まで調べて、そこで判断されるのがいいのではないかという気がします。例えば、その時点での金利がどういうふうになっているのか。本当に回復して民間の資金需要が回復してきておれば、その時点で金利はかなり上がってきているはずであります。
そういう状況があれば財政再建に向かっても大丈夫ということになると思いますが、ここで一つ気になりますのは、過去十年間のバランスシート調整というのが多くの企業にとって余りにも苦しい経験であったということから、今かなり設備投資等は出ておりますけれども、そういう企業の経営者の皆さん、絶対借金やらない、もうあの過去十年間の苦しみは二度と味わいたくない、孫の代まで借金は許さぬと言っているくらいキャッシュフロー経営にこだわっております。
最近、本屋に行きますと、キャッシュフロー経営という本がいっぱいあふれております。キャッシュフロー経営というのは、自分たちにあるキャッシュフローの中で設備投資をやる、お金を借りないという考え方でありますが、これは貯蓄率の低いアメリカでは当然なことだと思いますけれども、これだけ貯蓄率の高い日本で企業がみんなキャッシュフロー経営をやってしまったら、いつになっても民間のデフレギャップが埋まらない、いつになっても財政支出が必要であるという大変な事態になります。今はまだバランスシートが壊れていますから彼らに支出を期待するのは不可能なわけですけれども、バランスシートがきれいになっても企業がキャッシュフロー経営にこだわってしまったら、これは日本の財政にとって大変な問題になります。
それを解除する、そういう事態に陥らないようにするためにも、ここではちょっと別の意味ですけれども、構造改革、規制緩和で、バランスシートがきれいになった企業が、どうしてもこれは投資しないと大きな損をするだろうと思うくらいのビジネスチャンスをつくっていく、そのような規制緩和、投資環境の改善というのがぜひ必要ではないか。
したがって、財政で景気を下支えしなければいけない、早くバランスシートをきれいにしなければいけないというのは当然ですけれども、それと同時に、バランスシートがきれいになった企業が投資をしたくなるような、お金を借りても投資をしたくなるようなビジネスチャンスをつくっていくということをぜひ同時進行させていただいて、それがだんだん軌道に乗ってきたところで財政再建に向かう、このような順番でやるべきではないかという気がします。
そういうシグナルを実際にマーケットが金利上昇で送ってきた暁には、私は日本で最大の財政再建論者になろうと思っておりますが、今はそういう状況ではない。恐らく、最低一、二年は今みたいな状況が続くのではないかという気がします。
この発言だけを見る →この試算については、お配りしました資料の四ページ目に、今の日本のバランスシートの状況と、それから埋めなければいけない過剰債務を埋めるのにあと何年かかるかという試算を載せておりますが、それによりますと、一応使える数字が一九九七年までしかないのですけれども、そこから五・八年、つまり二〇〇三年のちょっと手前までというくらいの計算になります。
このくらいになると、大分バランスシートはきれいになるはずで、一九七〇年から八六年までの平均値ぐらいには戻る。それよりもいい企業もたくさんあれば、それよりも悪いのもたくさんあるわけですけれども、平均的には、平時の世界、バブルになる前の世界のバランスシートに戻るのではないかという気がします。
したがって、その辺からこのような議論が出てきてもいいのではないかと思うわけですが、ただ、実際のところ、経済というのは生き物ですし、ここでもまたちょっと景気の減速が見られているということで、今から二〇〇三年でこうしようとかいうのを決めるのはちょっとどうかなと。やはりその時点での病人の回復ぐあいといいますか、脈拍から体温まで調べて、そこで判断されるのがいいのではないかという気がします。例えば、その時点での金利がどういうふうになっているのか。本当に回復して民間の資金需要が回復してきておれば、その時点で金利はかなり上がってきているはずであります。
そういう状況があれば財政再建に向かっても大丈夫ということになると思いますが、ここで一つ気になりますのは、過去十年間のバランスシート調整というのが多くの企業にとって余りにも苦しい経験であったということから、今かなり設備投資等は出ておりますけれども、そういう企業の経営者の皆さん、絶対借金やらない、もうあの過去十年間の苦しみは二度と味わいたくない、孫の代まで借金は許さぬと言っているくらいキャッシュフロー経営にこだわっております。
最近、本屋に行きますと、キャッシュフロー経営という本がいっぱいあふれております。キャッシュフロー経営というのは、自分たちにあるキャッシュフローの中で設備投資をやる、お金を借りないという考え方でありますが、これは貯蓄率の低いアメリカでは当然なことだと思いますけれども、これだけ貯蓄率の高い日本で企業がみんなキャッシュフロー経営をやってしまったら、いつになっても民間のデフレギャップが埋まらない、いつになっても財政支出が必要であるという大変な事態になります。今はまだバランスシートが壊れていますから彼らに支出を期待するのは不可能なわけですけれども、バランスシートがきれいになっても企業がキャッシュフロー経営にこだわってしまったら、これは日本の財政にとって大変な問題になります。
それを解除する、そういう事態に陥らないようにするためにも、ここではちょっと別の意味ですけれども、構造改革、規制緩和で、バランスシートがきれいになった企業が、どうしてもこれは投資しないと大きな損をするだろうと思うくらいのビジネスチャンスをつくっていく、そのような規制緩和、投資環境の改善というのがぜひ必要ではないか。
したがって、財政で景気を下支えしなければいけない、早くバランスシートをきれいにしなければいけないというのは当然ですけれども、それと同時に、バランスシートがきれいになった企業が投資をしたくなるような、お金を借りても投資をしたくなるようなビジネスチャンスをつくっていくということをぜひ同時進行させていただいて、それがだんだん軌道に乗ってきたところで財政再建に向かう、このような順番でやるべきではないかという気がします。
そういうシグナルを実際にマーケットが金利上昇で送ってきた暁には、私は日本で最大の財政再建論者になろうと思っておりますが、今はそういう状況ではない。恐らく、最低一、二年は今みたいな状況が続くのではないかという気がします。
水
野
谷
谷口隆義#16
○谷口委員 公明党の谷口でございます。本日は、公述人の先生方におかれましては、大変お忙しい中公聴会に出席をいただきまして、ありがとうございます。また、先ほどは大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
私は、出身が大阪でございまして、地域経済ということからまず初めにお聞きをさせていただきたいというように思います。
先ほど、宮本先生、宮本公述人のお話の中にもございましたが、地方財政の問題もございまして、お話をされておりませんでしたが、いただいた資料の中に大阪経済の現状というのがございまして、平成十二年の十二月現在で、スーパーの売り上げが対前年比で全国平均マイナス八・二%、大阪ではマイナス一一・四%、有効求人倍率が全国で〇・六六倍、大阪では〇・五四倍、完全失業率が全国では四・八%、近畿地方では五・八%、企業倒産件数対前年比では全国平均マイナス二・一%、大阪では一三・二%の増、このような指標といいますか、現状の資料がございました。
今回、十三年度予算は、我々予算をつくった一員でございますけれども、先ほどから緊縮予算であるというようなお話がございましたが、我々のところは景気優先を念頭に入れた予算をつくったわけでございます。
昨年、我が国の経済も若干回復基調にというような状況があったわけでございますが、年首の米国経済の状況を見ておりますと、一月三日、四日にも連続して金利が引き下げられた、数回にわたってフェデラルファンドレートまた公定歩合も引き下げられておるわけでございます。予想以上に米国経済の状況が深刻だ。
そのようなことで、輸出産業を中心として、我が国の景気もまたこのところ若干の陰りを見せておるような状況の中で、私は、特に地域経済、特に大阪経済のことをお話をさせていただきたいわけでございますが、大阪というのは、いろいろ地方はございますけれども、今まで、東京に対する大阪、ツーコアみたいな形があったんだろうというように思うわけでございます。その状況の中で、どんどん民間企業も東京に本店を移したり、また一方で行政機関もほとんど東京に集中しておりますから、どんどん東京一点集中が進んでおるわけでございます。これは、いろいろな意味で私は問題があるのではないかと。
例えば、平成七年でございましたか、六年前に阪神・淡路大震災が起こりました。あのときに、私は大阪でございますが、隣の神戸では大変な状況であったわけでございますけれども、仮に東京でああいうような震災が起こった場合に、今の行政の集中度合い、また経済の集中度合いから考えますと、大変なパニックになるだろう。
各金融機関では、ツーセンターシステムということで、コンピューターのシステムがダウンしたときに、東京でダウンしても大阪でいけるというような体制を整えておるようでございますけれども、我が国の経済全体も、危機管理という観点からも、やはり西日本の中心の大阪、また東京と、こういうようなことの対応を図るべきではないか、このように思っておるわけでございます。
まず初めに宮本公述人にお聞きしたいわけでございますが、最近の経済の低迷、特に大阪経済の低迷の原因はどういうところにあるのか、お聞きをいたしたいというように思います。
この発言だけを見る →私は、出身が大阪でございまして、地域経済ということからまず初めにお聞きをさせていただきたいというように思います。
先ほど、宮本先生、宮本公述人のお話の中にもございましたが、地方財政の問題もございまして、お話をされておりませんでしたが、いただいた資料の中に大阪経済の現状というのがございまして、平成十二年の十二月現在で、スーパーの売り上げが対前年比で全国平均マイナス八・二%、大阪ではマイナス一一・四%、有効求人倍率が全国で〇・六六倍、大阪では〇・五四倍、完全失業率が全国では四・八%、近畿地方では五・八%、企業倒産件数対前年比では全国平均マイナス二・一%、大阪では一三・二%の増、このような指標といいますか、現状の資料がございました。
今回、十三年度予算は、我々予算をつくった一員でございますけれども、先ほどから緊縮予算であるというようなお話がございましたが、我々のところは景気優先を念頭に入れた予算をつくったわけでございます。
昨年、我が国の経済も若干回復基調にというような状況があったわけでございますが、年首の米国経済の状況を見ておりますと、一月三日、四日にも連続して金利が引き下げられた、数回にわたってフェデラルファンドレートまた公定歩合も引き下げられておるわけでございます。予想以上に米国経済の状況が深刻だ。
そのようなことで、輸出産業を中心として、我が国の景気もまたこのところ若干の陰りを見せておるような状況の中で、私は、特に地域経済、特に大阪経済のことをお話をさせていただきたいわけでございますが、大阪というのは、いろいろ地方はございますけれども、今まで、東京に対する大阪、ツーコアみたいな形があったんだろうというように思うわけでございます。その状況の中で、どんどん民間企業も東京に本店を移したり、また一方で行政機関もほとんど東京に集中しておりますから、どんどん東京一点集中が進んでおるわけでございます。これは、いろいろな意味で私は問題があるのではないかと。
例えば、平成七年でございましたか、六年前に阪神・淡路大震災が起こりました。あのときに、私は大阪でございますが、隣の神戸では大変な状況であったわけでございますけれども、仮に東京でああいうような震災が起こった場合に、今の行政の集中度合い、また経済の集中度合いから考えますと、大変なパニックになるだろう。
各金融機関では、ツーセンターシステムということで、コンピューターのシステムがダウンしたときに、東京でダウンしても大阪でいけるというような体制を整えておるようでございますけれども、我が国の経済全体も、危機管理という観点からも、やはり西日本の中心の大阪、また東京と、こういうようなことの対応を図るべきではないか、このように思っておるわけでございます。
まず初めに宮本公述人にお聞きしたいわけでございますが、最近の経済の低迷、特に大阪経済の低迷の原因はどういうところにあるのか、お聞きをいたしたいというように思います。
宮
宮本勝浩#17
○宮本公述人 お答えさせていただきます。
ただいま谷口先生から御指摘ございましたように、大阪経済といいますか、非常に落ち込みがひどうございます。それは、谷口先生もおっしゃいましたように、大阪から発生いたしましたいわゆる企業といいますか大企業が、どんどんと本店等を大阪から東京へ移すというふうなことが起こっておりまして、例えば、私どもの大学で卒業いたしましても、三分の一ぐらいは実は東京で就職をする、そういうふうな実態も起こってきております。
それは、ある意味で中央集権のスパイラルというのが起こっているのかと。つまり、大企業が東京に集中する、そうすると、今申し上げましたように雇用もそちらの方へどうしても集中します、そうすると消費がふえる、そうするとまた当然その消費を目当てに産業、企業が興る、そういう状況が起こっているわけです。他方、大阪といいますか、地方を考えてみますと、どんどんと中央へ企業、それから雇用が出ていく、逆にだんだんと空洞化をしてくるというふうなことでございます。
したがいまして、これをどこかで歯どめをかけるということが必要であろうかと思いますけれども、今の現状では、実は一極集中といいますか、そういう方向がなかなかとまらないのではないかというふうに私は考えております。
それをとめるといいますか、地方の活性化を図るためには、ある程度、最初は公的なサポートが必要であろうかと。つまり、起業、それからその企業が投資を行う、そういう経済活性化を図る環境の整備といいますか、そういうところで、どうしてもある程度は、最初は公的なサポートが何らかの形で必要であり、それによって民間企業がそこで育っていく。そして、ある程度まで来れば、民間の力により地方の活性化が図られるということになろうかと思っております。
先ほど申し上げましたように、多分、私、大阪におりますので、大阪御出身の先生もここにいらっしゃいますけれども、金融再編が進みますと、御堂筋の大手銀行、半分ぐらいは閉店するのではないかと。それでなくても今そごうも閉店しておりますので、あそこが非常に空洞化する。このままほっていきますと、ますます大阪の中心街が空洞化する。大阪だけではなくて、地方の大都市においても同様の現象が発生するのではないかというふうに考えております。
地方の民間企業の活性化を図るためにも、まず、最初の、起業または投資の導入を図るためのある程度自治体のサポートというものが必要であろうというふうに考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →ただいま谷口先生から御指摘ございましたように、大阪経済といいますか、非常に落ち込みがひどうございます。それは、谷口先生もおっしゃいましたように、大阪から発生いたしましたいわゆる企業といいますか大企業が、どんどんと本店等を大阪から東京へ移すというふうなことが起こっておりまして、例えば、私どもの大学で卒業いたしましても、三分の一ぐらいは実は東京で就職をする、そういうふうな実態も起こってきております。
それは、ある意味で中央集権のスパイラルというのが起こっているのかと。つまり、大企業が東京に集中する、そうすると、今申し上げましたように雇用もそちらの方へどうしても集中します、そうすると消費がふえる、そうするとまた当然その消費を目当てに産業、企業が興る、そういう状況が起こっているわけです。他方、大阪といいますか、地方を考えてみますと、どんどんと中央へ企業、それから雇用が出ていく、逆にだんだんと空洞化をしてくるというふうなことでございます。
したがいまして、これをどこかで歯どめをかけるということが必要であろうかと思いますけれども、今の現状では、実は一極集中といいますか、そういう方向がなかなかとまらないのではないかというふうに私は考えております。
それをとめるといいますか、地方の活性化を図るためには、ある程度、最初は公的なサポートが必要であろうかと。つまり、起業、それからその企業が投資を行う、そういう経済活性化を図る環境の整備といいますか、そういうところで、どうしてもある程度は、最初は公的なサポートが何らかの形で必要であり、それによって民間企業がそこで育っていく。そして、ある程度まで来れば、民間の力により地方の活性化が図られるということになろうかと思っております。
先ほど申し上げましたように、多分、私、大阪におりますので、大阪御出身の先生もここにいらっしゃいますけれども、金融再編が進みますと、御堂筋の大手銀行、半分ぐらいは閉店するのではないかと。それでなくても今そごうも閉店しておりますので、あそこが非常に空洞化する。このままほっていきますと、ますます大阪の中心街が空洞化する。大阪だけではなくて、地方の大都市においても同様の現象が発生するのではないかというふうに考えております。
地方の民間企業の活性化を図るためにも、まず、最初の、起業または投資の導入を図るためのある程度自治体のサポートというものが必要であろうというふうに考えております。
以上でございます。
谷
谷口隆義#18
○谷口委員 ありがとうございました。
金融再編のところで、私も、今おっしゃっていただいて、こんなこともあるんだなというふうに思ったわけでございますが、大手金融機関は百店以上の店舗があるわけでございますから、全部合わせますと大手金融機関は一千店以上の店舗数になるわけで、それをリストラして店舗を閉めるということになりますと、かなりやはり地域経済に与える影響も大きい、また東京における影響も大きいのではないか、このように考えております。
金融の問題が出ましたので、あと若干時間がございますので。
直接償却、最近出ております。先日のパレルモのG7でも日本の金融の問題が出たようでございますけれども、植草公述人のお話では、まず景気を立て直さないと、金融の問題はその後なんだというようなお話がございました。
しかし一方で、御存じのとおり、具体的な業種で申し上げますと、例えば建設業におきましてはやはり大変な状況になっている。一時九十兆円ぐらいのマーケットが半分ぐらいになるんじゃないかと言われている。
そういう状況の中で、景気優先で、金融の問題は後でいいということになってまいりますと、これは、先行的にこれをやるということではなくて、もし直接償却せざるを得ない状況になった場合の問題があるんだろうと思います。
これは、セーフティーネットを張っていったらそれでいいんだということになるのかどうかということもありますけれども、私は、むしろ、こういう状況の中で、景気の回復と同時に、もう十年近くなっております産業界における過剰債務、金融機関における不良債権の問題、この問題を何らかの形で道筋をつける必要がある、このように考えておるわけでございますが、植草公述人、またクー公述人、何かございましたら、これについてもお答えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →金融再編のところで、私も、今おっしゃっていただいて、こんなこともあるんだなというふうに思ったわけでございますが、大手金融機関は百店以上の店舗があるわけでございますから、全部合わせますと大手金融機関は一千店以上の店舗数になるわけで、それをリストラして店舗を閉めるということになりますと、かなりやはり地域経済に与える影響も大きい、また東京における影響も大きいのではないか、このように考えております。
金融の問題が出ましたので、あと若干時間がございますので。
直接償却、最近出ております。先日のパレルモのG7でも日本の金融の問題が出たようでございますけれども、植草公述人のお話では、まず景気を立て直さないと、金融の問題はその後なんだというようなお話がございました。
しかし一方で、御存じのとおり、具体的な業種で申し上げますと、例えば建設業におきましてはやはり大変な状況になっている。一時九十兆円ぐらいのマーケットが半分ぐらいになるんじゃないかと言われている。
そういう状況の中で、景気優先で、金融の問題は後でいいということになってまいりますと、これは、先行的にこれをやるということではなくて、もし直接償却せざるを得ない状況になった場合の問題があるんだろうと思います。
これは、セーフティーネットを張っていったらそれでいいんだということになるのかどうかということもありますけれども、私は、むしろ、こういう状況の中で、景気の回復と同時に、もう十年近くなっております産業界における過剰債務、金融機関における不良債権の問題、この問題を何らかの形で道筋をつける必要がある、このように考えておるわけでございますが、植草公述人、またクー公述人、何かございましたら、これについてもお答えをいただきたいと思います。
植
植草一秀#19
○植草公述人 金融の問題につきましては、金融問題の早期処理が重要であるという点については、私も全く異論はございません。
先ほど申し上げましたのは、まず、直接償却の問題もそうでありますけれども、最終的には金融機関の不良債権を完全に金融機関から切り離すということが必要でありますので、そういう処理は必要だと思います。ただ、現状におきましては、毎期のように金融機関が不良債権の処理を進めておりますけれども、不良債権そのものがなかなか減少しない。と申しますのは、不良債権の処理をしましても、資産価格の下落が進行することによりまして新たに不良債権が発生してまいります。
したがいまして、不良債権の処理を進めることは重要でありますが、資産価格の下落全般に歯どめをかける政策をまず確実に確保しませんと、金融問題の処理そのものは、実際に処理を進めましても問題の解決には至らないのではないか。
金融問題の処理につきましては、処理に伴う責任の明確化といったことも含めた検討が重要だと思いますけれども、全体として問題を解決するためには、経済全体の回復を確保し、その中で、資産価格の下落に明確に歯どめをかけるという政策を確保する中で進めることが必要ではないか、そういうことで申し上げたわけでございます。
この発言だけを見る →先ほど申し上げましたのは、まず、直接償却の問題もそうでありますけれども、最終的には金融機関の不良債権を完全に金融機関から切り離すということが必要でありますので、そういう処理は必要だと思います。ただ、現状におきましては、毎期のように金融機関が不良債権の処理を進めておりますけれども、不良債権そのものがなかなか減少しない。と申しますのは、不良債権の処理をしましても、資産価格の下落が進行することによりまして新たに不良債権が発生してまいります。
したがいまして、不良債権の処理を進めることは重要でありますが、資産価格の下落全般に歯どめをかける政策をまず確実に確保しませんと、金融問題の処理そのものは、実際に処理を進めましても問題の解決には至らないのではないか。
金融問題の処理につきましては、処理に伴う責任の明確化といったことも含めた検討が重要だと思いますけれども、全体として問題を解決するためには、経済全体の回復を確保し、その中で、資産価格の下落に明確に歯どめをかけるという政策を確保する中で進めることが必要ではないか、そういうことで申し上げたわけでございます。
リ
リチャード・クー#20
○クー公述人 直接償却ということが最近言われていて、とにかく早く不良債権を金融機関から切り離すべきだという指摘は、私も内外のいろいろなところで耳にしております。私自身、アメリカの中央銀行におりまして、そういうことをやってきた一人でありますけれども、ただ、この点については、先ほどの植草公述人の指摘もありましたとおり、やはり景気最優先で今はやらないと、日本じゅうにこの問題があるということを考えますと、余り急いで銀行をきれいにしようとしますと今度は経済全体がもたなくなるというリスクが今の日本にはあります。同じような状況に置かれたアメリカも、こういう局面に直面したときには非常にゆっくりと不良債権を処理してまいりました。
日本によく紹介されるSアンドLの問題、これは皆さんも御存じだと思いますが、貯蓄貸付組合の問題のときには、これは実際に非常に短い時間に、一九八九年から一年というところに全部きれいにしてしまおうという行動をアメリカはとって、この話が日本に随分紹介されておりますので、多くの方々は日本もそうやるべきという話になっておりますが、SアンドLの問題というのはアメリカの全資産の五%でした。残りの九五%はそういう状況になっていなかった。SアンドLという非常に特殊な金融機関に発生した極めて特殊な問題であった。五%の問題であるときに、しかも九五%が健全なときにはどんどん切り離して売ってしまうということもできたわけですけれども、そうでなくて、もっと大規模に問題が発生した例えば八二年の中南米問題。
これは、アメリカの何千という銀行がはまってしまった、メキシコ、ベネズエラ、アルゼンチン、その辺、中南米融資ですけれども、そのときは、早急に償却するのではなくて、むしろ、何千行という護送船団をみずからニューヨーク連銀がつくりまして、それで十数年かけて少しずつ償却していきました。それは余りにも問題が大きかったので、マニュアルどおりに償却を進めたらアメリカ経済ももたなかっただろうし、全世界の金融もあの時点で崩壊したんではないかという気がします。
そのときには、当然、日本の銀行もアラブの銀行もカナダの銀行も、全部護送船団に加えて少しずつゆっくりとやっていったわけですけれども、そういうことも配慮に入れて直接償却という議論を進めていただきたいというふうに思います。
この発言だけを見る →日本によく紹介されるSアンドLの問題、これは皆さんも御存じだと思いますが、貯蓄貸付組合の問題のときには、これは実際に非常に短い時間に、一九八九年から一年というところに全部きれいにしてしまおうという行動をアメリカはとって、この話が日本に随分紹介されておりますので、多くの方々は日本もそうやるべきという話になっておりますが、SアンドLの問題というのはアメリカの全資産の五%でした。残りの九五%はそういう状況になっていなかった。SアンドLという非常に特殊な金融機関に発生した極めて特殊な問題であった。五%の問題であるときに、しかも九五%が健全なときにはどんどん切り離して売ってしまうということもできたわけですけれども、そうでなくて、もっと大規模に問題が発生した例えば八二年の中南米問題。
これは、アメリカの何千という銀行がはまってしまった、メキシコ、ベネズエラ、アルゼンチン、その辺、中南米融資ですけれども、そのときは、早急に償却するのではなくて、むしろ、何千行という護送船団をみずからニューヨーク連銀がつくりまして、それで十数年かけて少しずつ償却していきました。それは余りにも問題が大きかったので、マニュアルどおりに償却を進めたらアメリカ経済ももたなかっただろうし、全世界の金融もあの時点で崩壊したんではないかという気がします。
そのときには、当然、日本の銀行もアラブの銀行もカナダの銀行も、全部護送船団に加えて少しずつゆっくりとやっていったわけですけれども、そういうことも配慮に入れて直接償却という議論を進めていただきたいというふうに思います。
谷
野
井
井上喜一#23
○井上(喜)委員 保守党の井上喜一でございます。きょうは、公述人の皆さん、お忙しいところをお越しいただきまして公述していただきましたことを御礼を申し上げる次第であります。私は、クー公述人と植草公述人にお聞きをいたしたい、こんなふうに思います。
両公述人のマクロ経済についての見方というのはほぼ共通したものがあるんじゃないか、私はそういう印象を受けたのでございます。また、当面の景気対策といたしましても、どうも金融政策では限界があるのではないか、したがいまして、財政政策におきまして、もう少し状況を見ながら弾力的に運用していったらどうなのか、こんな御趣旨だったと思うのであります。
そこで、まずクー公述人にお伺いをいたしたいのでありますが、今、金融政策、財政政策ともに政策手段としては大変限られた状況下にあると私は思うのであります。したがいまして、そういう中で、例えば財政政策につきましては、中の事業を組みかえるとか、あるいは税制政策を援用するとか、あるいは行政指導等々を用いまして、全力を挙げて景気対策に取り組むということだと思うのであります。御趣旨はわかるのでありますけれども、財政政策、もう少し事業費を積み上げたらどうかという今の御主張、そのほかの方法として何があるのか。非常に限られた政策手段の中で考えられるとすれば、財政政策はさておきまして、どういうことが考えられるのかということをお伺いしたいと思います。
それから、植草公述人につきましては、金融政策につきましてはクー公述人と若干違っているように思うのでありまして、特に日銀の貸出金利につきまして大変厳しく日銀を批判しておられるお立場だと思うのでありますけれども、金融政策の効果ということをもうちょっとわかりやすく御説明いただきたいということ。それから、資産価格の下落の歯どめをする必要があると。もちろん、本格的には景気を回復していくということでありますけれども、それとは別にどういうような方法があるのか、お教えをいただきたいと思います。
この発言だけを見る →両公述人のマクロ経済についての見方というのはほぼ共通したものがあるんじゃないか、私はそういう印象を受けたのでございます。また、当面の景気対策といたしましても、どうも金融政策では限界があるのではないか、したがいまして、財政政策におきまして、もう少し状況を見ながら弾力的に運用していったらどうなのか、こんな御趣旨だったと思うのであります。
そこで、まずクー公述人にお伺いをいたしたいのでありますが、今、金融政策、財政政策ともに政策手段としては大変限られた状況下にあると私は思うのであります。したがいまして、そういう中で、例えば財政政策につきましては、中の事業を組みかえるとか、あるいは税制政策を援用するとか、あるいは行政指導等々を用いまして、全力を挙げて景気対策に取り組むということだと思うのであります。御趣旨はわかるのでありますけれども、財政政策、もう少し事業費を積み上げたらどうかという今の御主張、そのほかの方法として何があるのか。非常に限られた政策手段の中で考えられるとすれば、財政政策はさておきまして、どういうことが考えられるのかということをお伺いしたいと思います。
それから、植草公述人につきましては、金融政策につきましてはクー公述人と若干違っているように思うのでありまして、特に日銀の貸出金利につきまして大変厳しく日銀を批判しておられるお立場だと思うのでありますけれども、金融政策の効果ということをもうちょっとわかりやすく御説明いただきたいということ。それから、資産価格の下落の歯どめをする必要があると。もちろん、本格的には景気を回復していくということでありますけれども、それとは別にどういうような方法があるのか、お教えをいただきたいと思います。
リ
リチャード・クー#24
○クー公述人 大変限られた財政という御指摘で、財政以外に何ができるかという御質問だったと思いますが、それに答える前に、まず、限られたという認識は今非常に国民の間にも広がっていて、これが大きな手詰まり感みたいなものを生んでいるのではないかという気が私はします。
でも、実際にマーケットに身を置いて、国債がどういう買われ方をしているかというのを見ると、手詰まりとはほど遠い状況で、今、国債の価格は史上最高値であります。国民は必死に国債を買っている。これがもしも国債はもう買いたくない、こんな資産は買いたくないという状況になれば、それは本当の手詰まり感だと思いますが、今国債の価格は下がるどころか上がる一方で、必死に皆さんが買っているということは、そんなに限界だ限界だと言われない方がむしろいいのではないかという気がします。まだ十分余力があると私は思いますし、一時のイタリアとかアメリカのように十何%まで金利がいったわけではない、今一・四%であります。
それで、財政以外にということなんですけれども、恐らく御指摘されたのは、公共事業以外にと。つまり、税制も財政の中に入りますから、税制面ではまだいろいろなことができるのではないかというふうに私は思います。例えば、土地の値段、これが下がり続けるうちは金融に手をつけてもどうしようもない。植草公述人がもう既にそういう指摘をされておりますけれども、ここにまだいろいろな手だてがあるのではないか。
例えば、バブルつぶしの真っ最中に、ワンルームマンションとか、とにかく不動産投資を抑えようということで、土地にかかわる金利負担は経費と認めない、上物については認めるけれども土地に対しては認めないというようなことを一九九〇年代の初めにやったわけですけれども、これは結果として、大変多くの人たち、特にお金を使える人たちに対してすさまじい増税という結果になりまして、それが結果として不動産価格を大幅に下げるということももたらしたわけであります。
私は、この辺の税金をもとの形に戻してあげるということは、当時だまし討ちに遭ったと思っている人たちに対しても大きなプラスになるんじゃないか。特に、あのとき本来あるべき姿は、この日以降買った人たちに対しては税金はこうしましょう、以前買った人たちの税金はさわらないというふうにやれば大きなダメージは発生しなかったと私は思いますが、あのときは、昔買った人まで全部そういうふうにしてしまったわけですね。そこで、不動産市場は大暴落を演じて、結果として景気も大変悪くなってしまったわけですが、私は、ここだけは直してもいいのではないかという気がします。これは、お金を使える人たち、それなりの所得を持った人たちにお金が使えるようにするわけですから、景気にも大きなプラスだろうと思います。
また、全く財政以外では、土地の有効利用。
私は、日本の土地が、現時点でもこれだけ高いにもかかわらず、有効利用が十分進んでいない。容積率の問題、日照権の問題、こういうところが……。本来であればもっと有効利用されて、日本の皆さんはもっと広い家に住めるはずなのに、そうなっていないということが内需を必要以上に抑えてしまっているのではないか、それがまた、輸出に大きく偏った、ちょっとバランスのとれていない経済を生んでしまったのではないかという気がします。したがって、土地の有効利用、ここも大きく進めていただきたいと思います。
最後に、やはり日本は先進国であります。先進国ということは、必需品は全部そろっているわけですから、そうすると、消費を伸ばすと言っても必需品以外、悪い言葉で言えばぜいたく品を買ってもらうしかないということになりますが、そういうものは、それで遊べる時間がないと消費は伸びないわけで、そういう意味では、可処分所得だけではなく、ある人が言う可処分時間というのもぜひふやす方向で考えていただきたいというふうに思います。
やはり先進国になればなるほど、そういう方向で時間をつくっていかないと、消費が頭打ちになってしまう。日本は、それを逆に輸出に求めて、いわゆるライフスタイルを先進国に見合ったものに変えていかなかった。これが一つ大きな構造問題を引き起こしてしまったんじゃないか。したがって、ここを、もっとそういうものがエンジョイできるようなライフスタイルに持っていけば、私は、まだまだ日本の消費は伸びる可能性はあるのではないかというふうに思います。
この発言だけを見る →でも、実際にマーケットに身を置いて、国債がどういう買われ方をしているかというのを見ると、手詰まりとはほど遠い状況で、今、国債の価格は史上最高値であります。国民は必死に国債を買っている。これがもしも国債はもう買いたくない、こんな資産は買いたくないという状況になれば、それは本当の手詰まり感だと思いますが、今国債の価格は下がるどころか上がる一方で、必死に皆さんが買っているということは、そんなに限界だ限界だと言われない方がむしろいいのではないかという気がします。まだ十分余力があると私は思いますし、一時のイタリアとかアメリカのように十何%まで金利がいったわけではない、今一・四%であります。
それで、財政以外にということなんですけれども、恐らく御指摘されたのは、公共事業以外にと。つまり、税制も財政の中に入りますから、税制面ではまだいろいろなことができるのではないかというふうに私は思います。例えば、土地の値段、これが下がり続けるうちは金融に手をつけてもどうしようもない。植草公述人がもう既にそういう指摘をされておりますけれども、ここにまだいろいろな手だてがあるのではないか。
例えば、バブルつぶしの真っ最中に、ワンルームマンションとか、とにかく不動産投資を抑えようということで、土地にかかわる金利負担は経費と認めない、上物については認めるけれども土地に対しては認めないというようなことを一九九〇年代の初めにやったわけですけれども、これは結果として、大変多くの人たち、特にお金を使える人たちに対してすさまじい増税という結果になりまして、それが結果として不動産価格を大幅に下げるということももたらしたわけであります。
私は、この辺の税金をもとの形に戻してあげるということは、当時だまし討ちに遭ったと思っている人たちに対しても大きなプラスになるんじゃないか。特に、あのとき本来あるべき姿は、この日以降買った人たちに対しては税金はこうしましょう、以前買った人たちの税金はさわらないというふうにやれば大きなダメージは発生しなかったと私は思いますが、あのときは、昔買った人まで全部そういうふうにしてしまったわけですね。そこで、不動産市場は大暴落を演じて、結果として景気も大変悪くなってしまったわけですが、私は、ここだけは直してもいいのではないかという気がします。これは、お金を使える人たち、それなりの所得を持った人たちにお金が使えるようにするわけですから、景気にも大きなプラスだろうと思います。
また、全く財政以外では、土地の有効利用。
私は、日本の土地が、現時点でもこれだけ高いにもかかわらず、有効利用が十分進んでいない。容積率の問題、日照権の問題、こういうところが……。本来であればもっと有効利用されて、日本の皆さんはもっと広い家に住めるはずなのに、そうなっていないということが内需を必要以上に抑えてしまっているのではないか、それがまた、輸出に大きく偏った、ちょっとバランスのとれていない経済を生んでしまったのではないかという気がします。したがって、土地の有効利用、ここも大きく進めていただきたいと思います。
最後に、やはり日本は先進国であります。先進国ということは、必需品は全部そろっているわけですから、そうすると、消費を伸ばすと言っても必需品以外、悪い言葉で言えばぜいたく品を買ってもらうしかないということになりますが、そういうものは、それで遊べる時間がないと消費は伸びないわけで、そういう意味では、可処分所得だけではなく、ある人が言う可処分時間というのもぜひふやす方向で考えていただきたいというふうに思います。
やはり先進国になればなるほど、そういう方向で時間をつくっていかないと、消費が頭打ちになってしまう。日本は、それを逆に輸出に求めて、いわゆるライフスタイルを先進国に見合ったものに変えていかなかった。これが一つ大きな構造問題を引き起こしてしまったんじゃないか。したがって、ここを、もっとそういうものがエンジョイできるようなライフスタイルに持っていけば、私は、まだまだ日本の消費は伸びる可能性はあるのではないかというふうに思います。
植
植草一秀#25
○植草公述人 まず、金融政策について三点申し上げたいと思います。
まず重要な点は、金融政策が持っておりますシグナル効果とかあるいはアナウンスメント効果の重要性ということであります。
今回、アメリカが公定歩合を、一月三日と四日と二日連続で下げ、また月内にもう一度下げる、こういう行動をとっておりますけれども、やはり市場の半歩先を行って果断に行動する、こういう政策の演出効果を重視した対応というのが重要だと思います。
日本のゼロ金利解除につきましては、ゼロ金利の状態におきますと短資会社の経営が非常に圧迫される、これがゼロ金利解除の大きな理由であったということを聞いておりますけれども、もしそういうことを判断するのであれば、これは九九年二月にゼロ金利を実施する前に考えるべきことであります。ゼロ金利を実施した上で、昨年夏の段階でこれを解除したわけですが、当時は物価も下落しておりましたし、資産価格の下落も進行しております。さらに、バランスシート不況で倒れそうな企業もたくさん存在している、景気もまだ不安定。この時点において、果たしてゼロ金利解除というのは本当に正しい選択であったのかどうか。演出効果ということも含めた総括あるいは評価ということが重要だと思います。
それから二番目に、実際にこれから金融緩和政策の効果をいかに引き出していくかという点でありますが、現在、マネーサプライの伸びが非常に低い、そうした中で物価の下落傾向が進行しております。この状況に歯どめをかけるということが必要だと私は思いますけれども、マネーサプライを増加させるために、日本銀行として必要な金融緩和措置、金利の引き下げですとかあるいは買いオペの増額といったことは必要だと思います。
ただ、現時点では、民間の資金需要が非常に停滞している状況でありますので、仮に、これは専門用語ですけれども、ベースマネーを供給しましてもマネーサプライの増加につながらない可能性が高い、このように思います。したがいまして、金融政策はこういう時点ではなかなか効果を発揮しにくいので、金融緩和政策を進めると同時に、民間の資金需要が生まれてくるような景気の改善方向を引き出す政策、これが必要だというふうに思います。
それから、資産価格の下落についてでありますが、やはり基本は経済の先行きに対する見通しを改善させる、これが、株価におきましても、地価におきましても、価格下落に歯どめをかける施策だと思います。
ただ、強いて一つ申しますと、やはり不動産の取引を活発化させるために、不動産の取引コストの低下、そのための税制等の検討といったような措置が非常に重要ではないかというふうに考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →まず重要な点は、金融政策が持っておりますシグナル効果とかあるいはアナウンスメント効果の重要性ということであります。
今回、アメリカが公定歩合を、一月三日と四日と二日連続で下げ、また月内にもう一度下げる、こういう行動をとっておりますけれども、やはり市場の半歩先を行って果断に行動する、こういう政策の演出効果を重視した対応というのが重要だと思います。
日本のゼロ金利解除につきましては、ゼロ金利の状態におきますと短資会社の経営が非常に圧迫される、これがゼロ金利解除の大きな理由であったということを聞いておりますけれども、もしそういうことを判断するのであれば、これは九九年二月にゼロ金利を実施する前に考えるべきことであります。ゼロ金利を実施した上で、昨年夏の段階でこれを解除したわけですが、当時は物価も下落しておりましたし、資産価格の下落も進行しております。さらに、バランスシート不況で倒れそうな企業もたくさん存在している、景気もまだ不安定。この時点において、果たしてゼロ金利解除というのは本当に正しい選択であったのかどうか。演出効果ということも含めた総括あるいは評価ということが重要だと思います。
それから二番目に、実際にこれから金融緩和政策の効果をいかに引き出していくかという点でありますが、現在、マネーサプライの伸びが非常に低い、そうした中で物価の下落傾向が進行しております。この状況に歯どめをかけるということが必要だと私は思いますけれども、マネーサプライを増加させるために、日本銀行として必要な金融緩和措置、金利の引き下げですとかあるいは買いオペの増額といったことは必要だと思います。
ただ、現時点では、民間の資金需要が非常に停滞している状況でありますので、仮に、これは専門用語ですけれども、ベースマネーを供給しましてもマネーサプライの増加につながらない可能性が高い、このように思います。したがいまして、金融政策はこういう時点ではなかなか効果を発揮しにくいので、金融緩和政策を進めると同時に、民間の資金需要が生まれてくるような景気の改善方向を引き出す政策、これが必要だというふうに思います。
それから、資産価格の下落についてでありますが、やはり基本は経済の先行きに対する見通しを改善させる、これが、株価におきましても、地価におきましても、価格下落に歯どめをかける施策だと思います。
ただ、強いて一つ申しますと、やはり不動産の取引を活発化させるために、不動産の取引コストの低下、そのための税制等の検討といったような措置が非常に重要ではないかというふうに考えております。
以上でございます。
井
野
仙
仙谷由人#28
○仙谷委員 お四方の公述人におかれましては、大変貴重なお時間をお使いいただきまして、日本経済の分析を中心にしてお話をいただきました。私からも感謝を申し上げたいと存じます。
少々失礼なことをお伺いすることになるかもわかりませんが、ここはなるべく議論が対論的になった方がいいと思いますので、失礼を省みず質問をさせていただきたいと存じます。
先ほどのお話の中で、クー公述人それから植草公述人ともに資産価格の下落を大変問題にされておったというふうに聞きました。この資産価格を考えるときに、私、もう一つ大きいファクターとして、いわゆる経済がグローバライズされたこの時代においては、ドルベースで考えてみる、あるいは世界的な価格との関係で考えるということがなければ、日本的に、資産が一千兆円吹っ飛んだんだ、九百兆円吹っ飛んだんだ、こういうふうにおっしゃられても、資産価格の下落がある意味でとまらない。
例えば土地について申し上げると、土地は必然的に収益還元価格に収れんをしていかざるを得ない、こういうふうに考えるんですね。そうだとすると、還元される収益というのは、当然のことながら、外国人投資家にとってはといいましょうか、あるいは世界的な金融の流れにとっては、そういうリターンがあるかないかということで決まってくるはずだと思うんですね。つまり、ドルベースで、あるいはユーロベースでその収益還元価格を計算すると、現在の日本の土地なりあるいはビルの家賃なりが高いか低いかということが決まってくると思うんですね。
さてそこで、土地は、一九九〇年には最も高くて二千四百五十五兆円だった、日本全部の土地を評価すると。現在、千六百兆円である、こういうことに大体なっておるようであります。九九年レベルで千六百兆円ということになっておるようであります。そうだといたしますと、これは対GDP比三倍ぐらいになるんですね、今日本の場合に。つまり、国民が稼ぎ出す、つくり出す付加価値の三倍もまだ土地がするんだ。欧米標準でいきますと、せいぜい対GDP比一・五倍ぐらいが土地の価格だ。つまり、その価格で土地を貸せば妥当なリターンがある、その程度に土地の価格がおさまっていないと、土地を買ったり使ったりする、つまり土地に対する投資をするということにならないということを聞くんでありますが。現実には欧米は対GDP比一倍ぐらいの土地価格だというふうに言われておりますけれども。
そういうことからいいますと、土地はまだまだ下がる。つまり、幾らいろいろな政策的なことをやって土地の下落を防ごうとしても、必然的な傾向として、グローバライズされたこの時代においては、やはり収益性が同じようなところまでいかないと調整が済まないんだという考え方があるんではないか、いや、そういう考え方があると私は思うんですが、クーさんと植草さん、いかがでございますか。
この発言だけを見る →少々失礼なことをお伺いすることになるかもわかりませんが、ここはなるべく議論が対論的になった方がいいと思いますので、失礼を省みず質問をさせていただきたいと存じます。
先ほどのお話の中で、クー公述人それから植草公述人ともに資産価格の下落を大変問題にされておったというふうに聞きました。この資産価格を考えるときに、私、もう一つ大きいファクターとして、いわゆる経済がグローバライズされたこの時代においては、ドルベースで考えてみる、あるいは世界的な価格との関係で考えるということがなければ、日本的に、資産が一千兆円吹っ飛んだんだ、九百兆円吹っ飛んだんだ、こういうふうにおっしゃられても、資産価格の下落がある意味でとまらない。
例えば土地について申し上げると、土地は必然的に収益還元価格に収れんをしていかざるを得ない、こういうふうに考えるんですね。そうだとすると、還元される収益というのは、当然のことながら、外国人投資家にとってはといいましょうか、あるいは世界的な金融の流れにとっては、そういうリターンがあるかないかということで決まってくるはずだと思うんですね。つまり、ドルベースで、あるいはユーロベースでその収益還元価格を計算すると、現在の日本の土地なりあるいはビルの家賃なりが高いか低いかということが決まってくると思うんですね。
さてそこで、土地は、一九九〇年には最も高くて二千四百五十五兆円だった、日本全部の土地を評価すると。現在、千六百兆円である、こういうことに大体なっておるようであります。九九年レベルで千六百兆円ということになっておるようであります。そうだといたしますと、これは対GDP比三倍ぐらいになるんですね、今日本の場合に。つまり、国民が稼ぎ出す、つくり出す付加価値の三倍もまだ土地がするんだ。欧米標準でいきますと、せいぜい対GDP比一・五倍ぐらいが土地の価格だ。つまり、その価格で土地を貸せば妥当なリターンがある、その程度に土地の価格がおさまっていないと、土地を買ったり使ったりする、つまり土地に対する投資をするということにならないということを聞くんでありますが。現実には欧米は対GDP比一倍ぐらいの土地価格だというふうに言われておりますけれども。
そういうことからいいますと、土地はまだまだ下がる。つまり、幾らいろいろな政策的なことをやって土地の下落を防ごうとしても、必然的な傾向として、グローバライズされたこの時代においては、やはり収益性が同じようなところまでいかないと調整が済まないんだという考え方があるんではないか、いや、そういう考え方があると私は思うんですが、クーさんと植草さん、いかがでございますか。
リ
リチャード・クー#29
○クー公述人 日本の土地価格についての御質問だったと思いますが、ドルベースで見たらどうかという御指摘なんですけれども、日本の場合は、土地を借りた人は円で支払いますから、やはり土地の値段も円で、家賃の方も円でありますから、私は円でのリターンというのが重要だと思います。
今でも日本の土地の価格がGDP比に対して大き過ぎるではないかという御指摘はそのとおりだと思いますが、私は、最終的にどういう方向でこれが収れんしていくのかといいますと、土地の値段というのは最終的になくなるということになると思います。欧米で、一応GDP上に土地の値段は出てきますけれども、実際に土地の取引に目を向けますと、まず土地の値段というのはないんですね。この更地幾らと言っても答えは返ってこない、つまり、ないわけであります。そこに三十階のビルを建てて、家賃を計算して、全部で幾らという計算はありますが、土地だけでどうのと言われても、これはほとんど答えが出てこない。恐らく日本も最終的にはそうなるんだろうなという気がします。
では、なぜ日本で土地の値段というのがあるのかというと、これは先ほどもちょっと触れさせていただきましたとおり、日本の場合には、とんでもない、世界基準を完全に外れた、土地に対する利用規制がありまして、容積率、日照権問題、建ぺい率といろいろ、これだけ土地が少ない国では想像できないくらい厳しいところに、そういうものが抑えられている。
そうすると、どうしても土地がないと——土地には床面積という代替物があって、欧米では全部床面積で計算するわけですが、日本の場合はどうしても床面積が需要に追いつけないような状況が何十年も続いちゃったわけであります。これが土地のバブルをつくっていったわけですけれども。そうすると、どうしても床面積の代替物が足りないとなれば、みんな土地が必要になるわけで、これが土地神話というのをつくってしまったのではないか。
しかし、今回こういう形で土地の価格が暴落して、やはり土地神話というのは神話であったということがはっきりしたわけですから、私は、少しずつ、床面積を計算した、まさに収益還元価格という形になっていくだろう、したがって、最終的には土地の価格というのは消えてしまう、なくなってしまうというのが最終的な収れんした形ではないかというふうに思います。
それでは、まだGDP比で見て高いんだから、もっともっと土地の値段が下がるのかというと、家賃も円で払われておるわけで、家賃に対しての地価はどうかというふうに考えると、これは必ずしもどんどん下がらなければならないという状況ではない。日本の場合は、土地の値段も高いんですが家賃も結構高い。
家賃ということでいいますと、実は一九九六年ごろ、海外の投資家が日本の土地を買いに大挙してやってきました。こういう方々、英語でアセットストリッパーといいます。ストリッパーというのは服を脱ぐわけではなくて、そういう土地を買って、もう一回ばらして、うまく組み合わせて高く売るという人たちのことをアセットストリッパーといいますが、こういう人たちが大挙日本に来て、日本の土地を買いあさろうとしていました。一部買った方もおられます。それはあのときの収益還元価格で十分ペイするということを彼らは感じたわけで、つまり、そのときの家賃に対してもう土地の値段は十分下がっていたということであります。
それで随分来たわけですけれども、残念ながら、その後、財政再建の方に向かってしまって、五期連続マイナス成長という大変な事態になって土地の値段がまた下がり、家賃も下がる。こういう状況になりますと、物を買えなくなっちゃうんですね。つまり、将来幾ら収益を生むかというのが、不況の中では、特にあのくらい深刻な不況になりますと読めなくなってしまう。将来の収益が読めなくなると、とても取引できませんから、みんな帰ってしまいまして、それがさらに地価の下落を加速させてしまったという気がします。
しかし、今ぐらいの水準であれば、かなりまたこういう方々も戻ってくるんではないか。それは、景気が安定している、将来の収益が読めるというのが大前提でありますけれども、これが見えてくれば、日本政府もそういう政策を、今後とも今の政策をとり続けるだろうという安心感が戻ってくれば、こういう方々が戻ってきて、そこで今の家賃と計算して、買えるか買えないかという判断がなされるんではないか。私は、もうそろそろそういう人たちが戻ってくる水準になってきているのではないかという気がします。
この発言だけを見る →今でも日本の土地の価格がGDP比に対して大き過ぎるではないかという御指摘はそのとおりだと思いますが、私は、最終的にどういう方向でこれが収れんしていくのかといいますと、土地の値段というのは最終的になくなるということになると思います。欧米で、一応GDP上に土地の値段は出てきますけれども、実際に土地の取引に目を向けますと、まず土地の値段というのはないんですね。この更地幾らと言っても答えは返ってこない、つまり、ないわけであります。そこに三十階のビルを建てて、家賃を計算して、全部で幾らという計算はありますが、土地だけでどうのと言われても、これはほとんど答えが出てこない。恐らく日本も最終的にはそうなるんだろうなという気がします。
では、なぜ日本で土地の値段というのがあるのかというと、これは先ほどもちょっと触れさせていただきましたとおり、日本の場合には、とんでもない、世界基準を完全に外れた、土地に対する利用規制がありまして、容積率、日照権問題、建ぺい率といろいろ、これだけ土地が少ない国では想像できないくらい厳しいところに、そういうものが抑えられている。
そうすると、どうしても土地がないと——土地には床面積という代替物があって、欧米では全部床面積で計算するわけですが、日本の場合はどうしても床面積が需要に追いつけないような状況が何十年も続いちゃったわけであります。これが土地のバブルをつくっていったわけですけれども。そうすると、どうしても床面積の代替物が足りないとなれば、みんな土地が必要になるわけで、これが土地神話というのをつくってしまったのではないか。
しかし、今回こういう形で土地の価格が暴落して、やはり土地神話というのは神話であったということがはっきりしたわけですから、私は、少しずつ、床面積を計算した、まさに収益還元価格という形になっていくだろう、したがって、最終的には土地の価格というのは消えてしまう、なくなってしまうというのが最終的な収れんした形ではないかというふうに思います。
それでは、まだGDP比で見て高いんだから、もっともっと土地の値段が下がるのかというと、家賃も円で払われておるわけで、家賃に対しての地価はどうかというふうに考えると、これは必ずしもどんどん下がらなければならないという状況ではない。日本の場合は、土地の値段も高いんですが家賃も結構高い。
家賃ということでいいますと、実は一九九六年ごろ、海外の投資家が日本の土地を買いに大挙してやってきました。こういう方々、英語でアセットストリッパーといいます。ストリッパーというのは服を脱ぐわけではなくて、そういう土地を買って、もう一回ばらして、うまく組み合わせて高く売るという人たちのことをアセットストリッパーといいますが、こういう人たちが大挙日本に来て、日本の土地を買いあさろうとしていました。一部買った方もおられます。それはあのときの収益還元価格で十分ペイするということを彼らは感じたわけで、つまり、そのときの家賃に対してもう土地の値段は十分下がっていたということであります。
それで随分来たわけですけれども、残念ながら、その後、財政再建の方に向かってしまって、五期連続マイナス成長という大変な事態になって土地の値段がまた下がり、家賃も下がる。こういう状況になりますと、物を買えなくなっちゃうんですね。つまり、将来幾ら収益を生むかというのが、不況の中では、特にあのくらい深刻な不況になりますと読めなくなってしまう。将来の収益が読めなくなると、とても取引できませんから、みんな帰ってしまいまして、それがさらに地価の下落を加速させてしまったという気がします。
しかし、今ぐらいの水準であれば、かなりまたこういう方々も戻ってくるんではないか。それは、景気が安定している、将来の収益が読めるというのが大前提でありますけれども、これが見えてくれば、日本政府もそういう政策を、今後とも今の政策をとり続けるだろうという安心感が戻ってくれば、こういう方々が戻ってきて、そこで今の家賃と計算して、買えるか買えないかという判断がなされるんではないか。私は、もうそろそろそういう人たちが戻ってくる水準になってきているのではないかという気がします。