リチャード・クーの発言 (予算委員会公聴会)

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○クー公述人 直接償却ということが最近言われていて、とにかく早く不良債権を金融機関から切り離すべきだという指摘は、私も内外のいろいろなところで耳にしております。私自身、アメリカの中央銀行におりまして、そういうことをやってきた一人でありますけれども、ただ、この点については、先ほどの植草公述人の指摘もありましたとおり、やはり景気最優先で今はやらないと、日本じゅうにこの問題があるということを考えますと、余り急いで銀行をきれいにしようとしますと今度は経済全体がもたなくなるというリスクが今の日本にはあります。同じような状況に置かれたアメリカも、こういう局面に直面したときには非常にゆっくりと不良債権を処理してまいりました。
 日本によく紹介されるSアンドLの問題、これは皆さんも御存じだと思いますが、貯蓄貸付組合の問題のときには、これは実際に非常に短い時間に、一九八九年から一年というところに全部きれいにしてしまおうという行動をアメリカはとって、この話が日本に随分紹介されておりますので、多くの方々は日本もそうやるべきという話になっておりますが、SアンドLの問題というのはアメリカの全資産の五%でした。残りの九五%はそういう状況になっていなかった。SアンドLという非常に特殊な金融機関に発生した極めて特殊な問題であった。五%の問題であるときに、しかも九五%が健全なときにはどんどん切り離して売ってしまうということもできたわけですけれども、そうでなくて、もっと大規模に問題が発生した例えば八二年の中南米問題。
 これは、アメリカの何千という銀行がはまってしまった、メキシコ、ベネズエラ、アルゼンチン、その辺、中南米融資ですけれども、そのときは、早急に償却するのではなくて、むしろ、何千行という護送船団をみずからニューヨーク連銀がつくりまして、それで十数年かけて少しずつ償却していきました。それは余りにも問題が大きかったので、マニュアルどおりに償却を進めたらアメリカ経済ももたなかっただろうし、全世界の金融もあの時点で崩壊したんではないかという気がします。
 そのときには、当然、日本の銀行もアラブの銀行もカナダの銀行も、全部護送船団に加えて少しずつゆっくりとやっていったわけですけれども、そういうことも配慮に入れて直接償却という議論を進めていただきたいというふうに思います。

発言情報

speech_id: 115105262X00120010227_020

発言者: リチャード・クー

speaker_id: 25070

日付: 2001-02-27

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会