リチャード・クーの発言 (予算委員会公聴会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○クー公述人 大変限られた財政という御指摘で、財政以外に何ができるかという御質問だったと思いますが、それに答える前に、まず、限られたという認識は今非常に国民の間にも広がっていて、これが大きな手詰まり感みたいなものを生んでいるのではないかという気が私はします。
でも、実際にマーケットに身を置いて、国債がどういう買われ方をしているかというのを見ると、手詰まりとはほど遠い状況で、今、国債の価格は史上最高値であります。国民は必死に国債を買っている。これがもしも国債はもう買いたくない、こんな資産は買いたくないという状況になれば、それは本当の手詰まり感だと思いますが、今国債の価格は下がるどころか上がる一方で、必死に皆さんが買っているということは、そんなに限界だ限界だと言われない方がむしろいいのではないかという気がします。まだ十分余力があると私は思いますし、一時のイタリアとかアメリカのように十何%まで金利がいったわけではない、今一・四%であります。
それで、財政以外にということなんですけれども、恐らく御指摘されたのは、公共事業以外にと。つまり、税制も財政の中に入りますから、税制面ではまだいろいろなことができるのではないかというふうに私は思います。例えば、土地の値段、これが下がり続けるうちは金融に手をつけてもどうしようもない。植草公述人がもう既にそういう指摘をされておりますけれども、ここにまだいろいろな手だてがあるのではないか。
例えば、バブルつぶしの真っ最中に、ワンルームマンションとか、とにかく不動産投資を抑えようということで、土地にかかわる金利負担は経費と認めない、上物については認めるけれども土地に対しては認めないというようなことを一九九〇年代の初めにやったわけですけれども、これは結果として、大変多くの人たち、特にお金を使える人たちに対してすさまじい増税という結果になりまして、それが結果として不動産価格を大幅に下げるということももたらしたわけであります。
私は、この辺の税金をもとの形に戻してあげるということは、当時だまし討ちに遭ったと思っている人たちに対しても大きなプラスになるんじゃないか。特に、あのとき本来あるべき姿は、この日以降買った人たちに対しては税金はこうしましょう、以前買った人たちの税金はさわらないというふうにやれば大きなダメージは発生しなかったと私は思いますが、あのときは、昔買った人まで全部そういうふうにしてしまったわけですね。そこで、不動産市場は大暴落を演じて、結果として景気も大変悪くなってしまったわけですが、私は、ここだけは直してもいいのではないかという気がします。これは、お金を使える人たち、それなりの所得を持った人たちにお金が使えるようにするわけですから、景気にも大きなプラスだろうと思います。
また、全く財政以外では、土地の有効利用。
私は、日本の土地が、現時点でもこれだけ高いにもかかわらず、有効利用が十分進んでいない。容積率の問題、日照権の問題、こういうところが……。本来であればもっと有効利用されて、日本の皆さんはもっと広い家に住めるはずなのに、そうなっていないということが内需を必要以上に抑えてしまっているのではないか、それがまた、輸出に大きく偏った、ちょっとバランスのとれていない経済を生んでしまったのではないかという気がします。したがって、土地の有効利用、ここも大きく進めていただきたいと思います。
最後に、やはり日本は先進国であります。先進国ということは、必需品は全部そろっているわけですから、そうすると、消費を伸ばすと言っても必需品以外、悪い言葉で言えばぜいたく品を買ってもらうしかないということになりますが、そういうものは、それで遊べる時間がないと消費は伸びないわけで、そういう意味では、可処分所得だけではなく、ある人が言う可処分時間というのもぜひふやす方向で考えていただきたいというふうに思います。
やはり先進国になればなるほど、そういう方向で時間をつくっていかないと、消費が頭打ちになってしまう。日本は、それを逆に輸出に求めて、いわゆるライフスタイルを先進国に見合ったものに変えていかなかった。これが一つ大きな構造問題を引き起こしてしまったんじゃないか。したがって、ここを、もっとそういうものがエンジョイできるようなライフスタイルに持っていけば、私は、まだまだ日本の消費は伸びる可能性はあるのではないかというふうに思います。