リチャード・クーの発言 (予算委員会公聴会)
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○クー公述人 日本の土地価格についての御質問だったと思いますが、ドルベースで見たらどうかという御指摘なんですけれども、日本の場合は、土地を借りた人は円で支払いますから、やはり土地の値段も円で、家賃の方も円でありますから、私は円でのリターンというのが重要だと思います。
今でも日本の土地の価格がGDP比に対して大き過ぎるではないかという御指摘はそのとおりだと思いますが、私は、最終的にどういう方向でこれが収れんしていくのかといいますと、土地の値段というのは最終的になくなるということになると思います。欧米で、一応GDP上に土地の値段は出てきますけれども、実際に土地の取引に目を向けますと、まず土地の値段というのはないんですね。この更地幾らと言っても答えは返ってこない、つまり、ないわけであります。そこに三十階のビルを建てて、家賃を計算して、全部で幾らという計算はありますが、土地だけでどうのと言われても、これはほとんど答えが出てこない。恐らく日本も最終的にはそうなるんだろうなという気がします。
では、なぜ日本で土地の値段というのがあるのかというと、これは先ほどもちょっと触れさせていただきましたとおり、日本の場合には、とんでもない、世界基準を完全に外れた、土地に対する利用規制がありまして、容積率、日照権問題、建ぺい率といろいろ、これだけ土地が少ない国では想像できないくらい厳しいところに、そういうものが抑えられている。
そうすると、どうしても土地がないと——土地には床面積という代替物があって、欧米では全部床面積で計算するわけですが、日本の場合はどうしても床面積が需要に追いつけないような状況が何十年も続いちゃったわけであります。これが土地のバブルをつくっていったわけですけれども。そうすると、どうしても床面積の代替物が足りないとなれば、みんな土地が必要になるわけで、これが土地神話というのをつくってしまったのではないか。
しかし、今回こういう形で土地の価格が暴落して、やはり土地神話というのは神話であったということがはっきりしたわけですから、私は、少しずつ、床面積を計算した、まさに収益還元価格という形になっていくだろう、したがって、最終的には土地の価格というのは消えてしまう、なくなってしまうというのが最終的な収れんした形ではないかというふうに思います。
それでは、まだGDP比で見て高いんだから、もっともっと土地の値段が下がるのかというと、家賃も円で払われておるわけで、家賃に対しての地価はどうかというふうに考えると、これは必ずしもどんどん下がらなければならないという状況ではない。日本の場合は、土地の値段も高いんですが家賃も結構高い。
家賃ということでいいますと、実は一九九六年ごろ、海外の投資家が日本の土地を買いに大挙してやってきました。こういう方々、英語でアセットストリッパーといいます。ストリッパーというのは服を脱ぐわけではなくて、そういう土地を買って、もう一回ばらして、うまく組み合わせて高く売るという人たちのことをアセットストリッパーといいますが、こういう人たちが大挙日本に来て、日本の土地を買いあさろうとしていました。一部買った方もおられます。それはあのときの収益還元価格で十分ペイするということを彼らは感じたわけで、つまり、そのときの家賃に対してもう土地の値段は十分下がっていたということであります。
それで随分来たわけですけれども、残念ながら、その後、財政再建の方に向かってしまって、五期連続マイナス成長という大変な事態になって土地の値段がまた下がり、家賃も下がる。こういう状況になりますと、物を買えなくなっちゃうんですね。つまり、将来幾ら収益を生むかというのが、不況の中では、特にあのくらい深刻な不況になりますと読めなくなってしまう。将来の収益が読めなくなると、とても取引できませんから、みんな帰ってしまいまして、それがさらに地価の下落を加速させてしまったという気がします。
しかし、今ぐらいの水準であれば、かなりまたこういう方々も戻ってくるんではないか。それは、景気が安定している、将来の収益が読めるというのが大前提でありますけれども、これが見えてくれば、日本政府もそういう政策を、今後とも今の政策をとり続けるだろうという安心感が戻ってくれば、こういう方々が戻ってきて、そこで今の家賃と計算して、買えるか買えないかという判断がなされるんではないか。私は、もうそろそろそういう人たちが戻ってくる水準になってきているのではないかという気がします。