リチャード・クーの発言 (予算委員会公聴会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○クー公述人 確かに、財政がここ十年間いろいろな形で出たわけですけれども、なかなか経済が元気を取り戻さなかったということで、財政はきいていないのではないかという指摘がたくさんあるわけですけれども、これは、どこからはかるかの問題がありまして、もしも何もやらなくてもゼロ成長であるということであるのであれば、それは本当に効果がなかったと思います。
 しかし、私、先ほどもお話しさせていただきましたように、もしもやっていなかったら恐らく日本は大恐慌のシナリオになっていたと思います。これだけ資産価値が下がって、下がるべく下がったところももちろんあるわけですけれども、でも、それを買った人からしてみればバランスシートが壊れているわけですから、そこから発生した問題を考えますと、そこからはかると、財政の乗数効果とかいろいろ言われるものは極めて高く出るわけで、そういう意味では、どこからはかるかということを注意してこの議論をしないと、大変間違った結論になってしまうのではないか。
 一時、国際機関でありますIMF、OECD、みんな細かく日本の財政を調べて、全然きいていない、乗数効果が非常に低いという結論を出したわけですが、その話を聞いて政府が財政再建に向かってしまって、結局、経済がめちゃくちゃになってしまったわけですが、その後、彼らが私のところにも来て、計算のベースを間違えた、これは本当に日本国民に対して申しわけないことをしたとまで言われました。つまり、彼らは、何もしなくてもゼロ成長という前提で計算してしまったのが、実際はそうではなかった。何もしなかったらとんでもないことになっていた、そこから計算すべきだったということで財政を見るのが正しいのではないかという気が私はします。
 ただ、財政の内容については、これは一住民としましても、穴を掘って埋めて、穴を掘って埋めて、穴を掘って埋めるようなことがもう周りじゅうで行われているというのを見ると、大変腹が立つわけですが、ただ、これは植草公述人も指摘されておりますように、中身とマクロの問題は分けて考えてみる必要があると思います。
 中身は、これはよければいいにこしたことはないわけですけれども、そのいいプロジェクトが十分見つからない。しかしそれでも、例えば、先ほど申しましたような百円のギャップがあるときに、では、七十円までやって、いいプロジェクトは七十円しかないからもう七十円でやめましょうという選択肢が日本にあるのかといったら、私はないと思います。どんなにいいプロジェクトでも、七十円しかやらなかったら、残った三十円から、先ほどお話ししましたような悪循環が発生してしまう。穴を掘って埋めるようなとんでもない公共事業でも、こういうことをやれとは言いませんけれども、三十円分とにかく埋めれば、千円の所得に対して千円の支出が発生しますから経済は安定するわけです。
 そういう意味では、もちろんいい財政支出の内容にしていただきたいし、まだそういう改善の余地は幾らでもあると思いますが、今のような局面では、このバランスシート不況という局面では、量の方が質に優先するという事態であると思います。通常は絶対こんなことはあり得ないのですけれども、とにかくデフレギャップ、日銀の金融政策で埋められないデフレギャップ、これは財政で埋めるしかない。そうなりますと、量ありきということになるのではないか。
 最後に、新規参入を妨げるという御指摘がありましたが、そこはまさに規制緩和、規制撤廃ということが必要なのではないか。ただ一方で、とにかくゼネコンをつぶさなければ構造改革にならないというような論調が出ているのは、今の日本の局面に対してはどうなのかなと。
 といいますのは、どこかをつぶさなければ新規参入が可能でないというのは、完全雇用の発想であります。完全雇用のときには、どこかをつぶさないと資源も人も別のところへ移せないわけですけれども、今の日本は完全雇用とはほど遠い状況にある。こういう状況でつぶす方ばかり優先しますと、受け皿がないわけですから、さらに景気が悪化してしまうリスクがあるのではないかという気がします。

発言情報

speech_id: 115105262X00120010227_036

発言者: リチャード・クー

speaker_id: 25070

日付: 2001-02-27

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会