江橋崇の発言 (憲法調査会)
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○参考人(江橋崇君) ただいまの世耕議員のおっしゃった相続税の問題点については、相当の部分が私も同じように考えております。現在の日本の相続制度及び税制一般に多々問題があることは、そのとおりだと思います。
先ほどお話の中で、都市における由緒ある建物が例えば壊されるという話がありましたけれども、あれは今の日本の相続税制度が金納になっていて、しかし、とてもじゃないけれども土地の値段が高いですからお金で払えない。そうなると、物納だということになるわけです。物納になると、物納で国に納めるべき土地は、債権の関係がきれいになっているだけじゃなくて、土地そのものがきれいになっていなきゃいけない。上物は全部取っ払えということで、ああいう文化的価値はある、財産的価値はないにしても、文化的には非常にあるというものが次々と壊されていく。
私の知っている人でも、丹精込めて梅林をつくって、やっと実もなるようになったし、花も近所の人が楽しんでくれるようになったその梅林を、おじいさんが死んだために、根っこから全部切らなきゃ物納として認めないというケースもありまして、やはりその辺の金納及び金納に準ずる物納という制度でいいのか。ボランティアとしての貢献とか、あるいはNGOに対する寄附金なども含めて税制のあり方全般を考えていかなきゃいけない面が多いし、その中で、相続税についても多々問題があることがそのとおりだと思います。
ただ、もし相続税の問題に手をつけるにしたら、二つだけは考えていただきたい。
一つは、現在、日本では相続財産をめぐって親族間の非常に醜い争い、いわゆる家庭内暴力事件が多々起きていて、高齢者は息子、娘にけ飛ばされ、判こを出さなきゃ飯をやらないとかなんとかでむちゃむちゃされているわけでありまして、これで相続税を廃止して、財産が大きいぞとなったらますます虐待事件が激増すると思われますので、高齢者の人権を保護するシステムを早急にお考えいただきたい。
もう一つは、世耕議員がおっしゃったとおり、子供たちが生まれた瞬間にもはや大きなハンディキャップがついてしまう。戦後の日本の社会が開かれている中で、優秀な国立大学に貧乏人の子供、私たちも含めて貧乏人の子供が行けたというのは大変よかったと思っていますが、今や東京大学法学部の父兄の年間所得は日本一、金持ちじゃなきゃ東大法学部に行けないという時代になりつつあるわけで、これにさらに相続税を廃止して貧富の差、自由競争原理だと言われたら、子供たち、生まれたばかりの子供たちはどうしようもないわけですから、渡部参考人もおっしゃっていましたとおり、広く例えば教育の機会等々に対する門戸が開放される。
高齢者の人権と子供の人権を守るという二つだけは、幾ら何でも最初にお考えいただきたいということをつけ加えた上で、世耕議員のお話に基本的には今申し上げた意味で賛成するところが多々ございます。