前田英昭の発言 (憲法調査会)

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○参考人(前田英昭君) よく公選制の問題が出ますときに、今も諸井先生からおっしゃいましたけれども、元首との関係が云々というのが出てまいります。私は、元首との関係は切り離して考えるべきだろう、どうしてこれが元首と結びつくんだろうかと。それは、アメリカの大統領のことを考えるからだろうと思うんでございます。
 私としては、今のことについての最終的にどちらがいいかという結論を申し上げる準備もございませんが、ただ、考えていただきたいのは、今言ったようなそういういろいろこの公選制についての問題点というものを、よく御存じないと言うと変ですけれども、いろいろ複雑な問題が絡んでいる。それをはっきりさせないで議論しているところに問題があると思うんでございます。
 例えば、イギリスの場合に、日本では国会を勉強するときには立法機関だと、こう言うんでございますけれども、一八六七年に出ましたバジェットの「イングリッシュ・コンスティチューション」という本を見ますと、まず一番最初の機能、ファンクションは何か。セレクティブファンクションと出るんでございます。セレクティブファンクションで選ぶんですから、総理大臣を選ぶ指名選挙と考えてもいいんでございます。
 そうじゃないんでございますね。国会は言論活動の機関でございますから、先生方もそうですが、初当選してからずっと皆さんと一緒に過ごして生活していらっしゃる、議論する。そうすると、だんだんあの人はこういう人であるとわかってくる。あれはリーダーに、あの人はまじめだけれども少し政治性が足りないから議長のような方にいいかなとか、そういうふうにわかる。そういうふうにしてセレクトしていくんで、最後に自分たちで、あの人は総理にふさわしいからと出てくる。そういうふうな感じ。そうすると、国民から選んだ人が選ぶという間接選挙でございますね。こういう点に力点を置いているんでございます。
 そして、そういうふうな議会をまねしてつくったアメリカでございますから、制度は違いますけれども、大統領の選挙というのは直接じゃございません。今も手続的には間接選挙でございます。だけれども、間接選挙だけれども事実上直接選挙のようになっております。しかし、その前に予備選というのをやってございます。予備選という半年間にわたるような、正月から夏にわたる半年間にわたるような激戦をやって、有力な方が落ちているとか、そういうふうな予備選をやっている。
 そして、こういったようなものをエレクトラルカレッジ、つまり直接国民が選ぶのではなくて、その辺の周辺の人たち、いわばそういう政治のいろんな情報を持っておられる方、仲間、あの方はどういう方であるかと知っている人たちが集まって議論したら、あの人がいいという、そういうふうなエレクトラルカレッジがあって、そこから候補が選ばれる、それで最終的に国民が決めるんだと、こういうことでございます。
 そうしますと、アメリカもそうでございますし、イギリスもそうでございますが、先ほど私が申し上げたのは、今アメリカ式の公選制を導入するとしたら、それは憲法改正の問題につながる。そうしたら元首にかかわるかもしれないけれども、そうするとそれは大変なエネルギーを使うんでございます。その大変なエネルギーを使うくらいなら、今の不景気を吹っ飛ばすような、そっちに私は政治のエネルギーを使っていただきたい。学者であれば議論するのは幾らでもよろしゅうございます。
 それとは別に、イギリス型の首相公選制と、そういうことを言っている方はいらっしゃらないかもしれません。イギリス人は自分たちが総選挙の際に首相を選んでいるんでございます。ですから、選挙のときには何党がいいかを選び、党首のどちらを首相にするかということを考えている。だから、選挙に行くんでございます。関心があるんでございます。ですから補欠選挙を見ますと、イギリスは小選挙区制でございますから、しょっちゅう補欠選挙をやります。補欠選挙は野党が勝つとか、あるいはまたそのときは政権選択でなくて、その人とか、そのときの世論の、政治が約束どおりやっていないじゃないかという批判的な票が出てくるとか、そういうふうになるんです。だからそういうふうに、もしイギリスのような形で持っていくとしたら、何も憲法を改正しなくてもできるんです。
 そうすると、そこで大事なのは、政党の中における党首選挙でございます。今、小泉首相が自信を持っておられるのは、やはり党内の選挙、それを議員だけじゃなくて一般の方々を入れてやった、そうしたら勝った。しかし、どこまで広げたらいいのか。
 そうすると、アメリカの場合には予備選にも、予備選というのは党員でやるものでありますが、にわか党員という、そのときだけ私は入党しますと言えば選挙権を得ることができるんでございます。だから、そういうふうにしてどんどん広げていっていいのか。イギリスにおける保守党の選挙とか労働党の選挙というもの、余りすそ野を広げると問題が起きてくるんです。例えば──よろしいですか。

発言情報

speech_id: 115114184X00720010509_018

発言者: 前田英昭

speaker_id: 1779

日付: 2001-05-09

院: 参議院

会議名: 憲法調査会