中須勇雄の発言 (農林水産委員会)
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○政府参考人(中須勇雄君) ただいまお話しのような具体的なイメージという意味で、なかなか今の段階で私、十分な御説明をすることは難しいわけでありますが、基本的には、新しい基本法の十九条で、望ましい林業構造の確立ということで、林業の健全な発展の一番の基礎になります林業構造を、将来の林業構造をどういうふうに考えていくかということがこの十九条で述べられているわけであります。
ここのもちろん背景といたしましては、ただいま岸先生からお話ございました木材価格の低下であるとか林業経営コストの増大、こういうことによって林業の採算性が大変悪化している状況にある。当然、そのことによりまして林業の経営意欲というものが低下しているわけであります。
ただ、そういう全般的な状況の中においても、効率的な施業を実施する、あるいは品質のすぐれた木材を生産する、こういう形で林業所得をかなりの程度確保している林家もかなり見られる。当然数は限定されているわけですが、そういう努力をされて成果を上げている林家がある。また一方、個別には大変森林所有面積が小さいわけで、一人一人ではなかなか林業生産活動ができない。そういうものをいわば取りまとめて、経営なり施業の受託ということで活発な林業生産活動を行っている林業事業体、こういうものも現在でもかなりの程度見られているわけであります。
したがいまして、この十九条で示している方向というのは、今後の方向として、経営規模の拡大とか生産方式の合理化等の施策を講じることによって効率的、安定的な林業経営体になっていく、あるいは林業事業体として仕事ができる、そういうような経営を育成確保する、こういった方々に施業や経営を集約していく。具体的には施業の受託なり経営の受託ということでございましょうが、そういうところに施業を集中していって、国内の林業生産活動の相当部分、こういうふうに言っているわけでありまして、五〇%を超えるような部分がそういう方々によって担われる、そういう構造を確立していく必要がある、これが基本的な考え方だろうというふうに思うわけであります。
その場合、林業経営という意味でどのようなイメージを描くかということについては、これから先、我々もいろいろ各方面と議論をしながらそういう将来像というものをできるだけ明らかにする努力をしていきたいと思いますが、やはり我が国の林業も地域によってさまざまでございます。一律に何ヘクタールあればうまくいくとか、どういう労働力であればうまくいくとか、必ずしも一概に言えない例がございます。
例えば、私どもが承知している例では、わずか二十六ヘクタールの山林しか持っておられない、これも愛知県の林家でございますが、経営主一人で一年約二百二十日の施業を行って、この場合には他の森林所有者の施業を受託をする。大体この方の場合、十ヘクタールの施業受託を行っているというふうに聞いておりますが、それでもって五百万近い林業所得を上げている。例えばこういうふうな、小規模だけれどもしっかりした、何といいましょうか、手入れを十分することによって良質の木材を生産し、立派な所得を上げておられる、こういう方もおられますし、他方では、百ヘクタールを超えるような人工林で、複層林とか集約林という形で、これも付加価値の高いあるいは生産性の高い経営を行うことによって一千万を超える所得を上げている。この場合も、基本的には自家労働、あと、年間二百人日の雇用労働を使って、これは新潟県の林家でございますが、成果を上げておられる、そういうふうな例もございます。
ですから、地域によって差がございますので、一律にイメージで示すということは難しいわけでありますが、こういうさまざまな努力をしている林家を育てていく、こういう観点に立って、そういう林家の育成と、もう一つ、個別林家ではなかなか施業が完結し得ない、そういうものをまとめて施業を行っている林業経営体の育成を図っていく、その両面によりまして望ましい林業構造を確立していきたい、こういうふうに考えております。