農林水産委員会

2001-06-26 参議院 全162発言

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会議録情報#0
平成十三年六月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     久野 恒一君     井上 吉夫君
     山下 栄一君     松 あきら君
 六月二十五日
    辞任         補欠選任
     大野つや子君     森田 次夫君
     斉藤 滋宣君     日出 英輔君
     木俣 佳丈君     小川 勝也君
     峰崎 直樹君     羽田雄一郎君
     松 あきら君     山下 栄一君
     富樫 練三君     笠井  亮君
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     森田 次夫君     加納 時男君
     羽田雄一郎君     木俣 佳丈君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 豊秋君
    理 事
                岸  宏一君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
    委 員
                岩永 浩美君
                加納 時男君
                田中 直紀君
                日出 英輔君
                森田 次夫君
                小川 勝也君
                山下 栄一君
                渡辺 孝男君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
                岩本 荘太君
   国務大臣
       農林水産大臣   武部  勤君
   副大臣
       農林水産副大臣  田中 直紀君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     田中壮一郎君
       林野庁長官    中須 勇雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融
 通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○森林法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
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太田豊秋#1
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、久野恒一君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君が選任されました。
 また、昨二十五日、木俣佳丈君、峰崎直樹君、富樫練三君、斉藤滋宣君及び大野つや子さんが委員を辞任され、その補欠として小川勝也君、羽田雄一郎君、笠井亮君、日出英輔君及び森田次夫君が選任されました。
    ─────────────
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太田豊秋#2
○委員長(太田豊秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 林業基本法の一部を改正する法律案、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会に林野庁長官中須勇雄君及び文部科学大臣官房審議官田中壮一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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太田豊秋#3
○委員長(太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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太田豊秋#4
○委員長(太田豊秋君) 林業基本法の一部を改正する法律案、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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岸宏一#5
○岸宏一君 大臣、おはようございます。副大臣、それから林野庁長官、御苦労さまでございます。
 特に大臣にありましては、今国会は大変な法律がたくさんありまして、特に今週、先週あたりからはもう衆参両院をかけ持ちで走り回られて、しかも非常に熱意のある御答弁、本当に御苦労さまでございます。心から敬意を申し上げます。
 また、林野庁長官には、アクシデントで大変でございます。にもかかわらず、車いすで御出席をしていただいて、非常に丁寧な御答弁、本当に感謝を申し上げる次第であります。きょうもひとつよろしくお願いいたします。長官、少し早口なようですから、ゆっくりしゃべってください。
 さて、大臣、最初の質問は、基本法に係る問題じゃないのでございまして、一つお聞きしたいんですが、小泉内閣の目玉ともいうべき「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」、これにつきまして、聞きますところによりますと、どうも農林関係の方針が入っていないじゃないかということで、大臣がみずから総理に直接、ねじ込んだと言うのは言い方が悪いかと思いますが、直接お会いして御提案なさって、その結果として、我々農林水産にかかわっている者にとりましては大変うれしい結果がこの基本方針の中に盛り込まれた、こういうふうな経過を聞いております。
 まず、そこのところを取り出したものがございますのでちょっと申し上げてみたいと思いますが、一つは、「構造改革のための七つの改革プログラム」、その中の「生活維新プログラム」というんですか、そこに「国民に安全(人の生命、健康に関わる良質な環境や食料などの確保を図るヒューマン・セキュリティ、安全な国土)」云々と、この点がまず一つ。我々、これは恐らく大臣が申し上げたものだというふうにお聞きしております。
 それから、六番の「地方自立・活性化プログラム」の中にあえてこういうふうに載っております。「意欲と能力のある経営体に施策を集中することなどにより、食料自給率の向上等に向け、農林水産業の構造改革を推進する。また、地方の活性化のために、都市と農山漁村の共生と対流、観光交流、おいしい水、きれいな空気に囲まれた豊かな生活空間の確保を通じ「美しい日本」の維持、創造を図ることが重要である。」と。これはまさに、大臣が常日ごろ申されているそのままを方針に盛り込んでいただいた、こういうことでございます。
 さらに、第二章におきましては、「硬直性の打破」、「(3)ハードからソフトへの政策手段の転換」というところで、これはちょっと気になるわけでございますけれども、「例えば、農業については、食料の安定供給、自然環境の保全等を目指した構造改革が喫緊の課題となっている。こうした農業政策の目的に照らし、費用対効果の観点を踏まえ、公共事業から公共事業以外の政策手段へシフトしていくことが必要である。」と。この点につきましても、これは大臣が申されたことであるのかどうかはわかりませんけれども、この三点が載っております。
 大臣がこれをこの方針に載せるよう努力された経緯、それとこの意義、さらに、来年度予算ということがこの方針というのは当然かかわってくるわけでございますから、そういう点についてどのように対応を考えられておられるかということについてひとつお話をいただきたい、こういうふうに思います。
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武部勤#6
○国務大臣(武部勤君) まず最初に、太田委員長を初め農林水産委員会の諸先生に、極めて厳しい日程の中、農林水産省関係の法案について精力的な御審議を賜りまして、このたびも、林業基本法外二法につきましても、大変御無理な日程の中で御協力をいただいておりますことに敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 また、今、岸先生から御指摘ございましたように、経済財政諮問会議の当初示された項目を見ますと、私どもも唖然とした次第でありまして、これではいけないということで、総理の所信表明の、自給率の向上と循環型社会の実現に向けて農林水産業の構造改革と農山漁村の新しい可能性を切り開いていくという、総理みずからが国民の前にメッセージとして送ったこのことの裏づけをきちっと経済財政諮問会議で明示すべきだということを、私も経済財政諮問会議の臨時議員でありますけれども、機会あるごとにそういったことをお話しさせていただきました。
 その中で、今先生がお示しになりましたヒューマンセキュリティーということにつきましては、当初の案ではまだ水は入っておりませんでしたから、先生が読み上げたところの案文では水ということは入っておりませんが、水もしっかり入りまして、環境や水、食料の確保など、ヒューマンセキュリティーについて明記された次第でございます。
 さらに、「地方自立・活性化プログラム」という部分で、私どもがお示しいたしました食料の自給率の問題、また農林水産業の構造改革の問題、さらには今後の農山漁村の新しい可能性ということについて、都市と農山漁村の共生と対流ということを通じて、おいしい水、きれいな空気に囲まれた豊かな生活空間の確保を図る、そして結果として美しい日本の維持、創造を図るということがきちっと示されたということは、これは先生方の御支援にもよるものでありまして、大変ありがたく思っているわけでございます。
 この委員会でも私しばしばお話しさせていただきましたが、私どもの仕事というのは、自然の恵みに感謝し、自然の脅威を恐れるという謙虚な気持ちというものを原点にいたしまして、森と湖は命のふるさとであり、美しい山々、美しい海や川、美しい町並み、美しい空間、そして美しい田園、美しい心、美しい言葉とか、二十一世紀に目指すべき日本の方向というのは、一言で言うならば美しい日本ということではないかということについては、かなりこだわりを持って総理にお話をさせていただきました。
 よもや「美しい日本」という言葉がそのまま入るとは、正直申し上げまして、私はそこまでは考えていなかったのでありますけれども、このことが明記されたということは、農林水産省といたしましては、私がお示ししました食料の安定供給と美しい国づくりに向けてというようなことで、今後の我々の使命とかあるいは課題ということについて、そういう方向づけを目指して努力していこうということに対しましても非常に勇気づけられることでございます。
 ただ、先生がいみじくも御指摘になりました公共事業の問題でございますが、このことにつきましても私ども、循環型社会の構築に向けて、従来型の公共事業ということから自然共生型の公共事業といいますか、環境修復、改良、創造といったような、環境に配慮したそういった進め方に大きく転換していこうということも、この委員会でもお示しさせていただいているわけでございますが、同時に、今度の財政諮問会議で方向づけられている一つは地方分権ということが色濃く出ております。したがいまして、新しい村づくりといいますか、農山漁村の構築につきましても、これはやっぱり地方と一体となって進めていくというような考え方が底流にあると、このように思っております。
 したがいまして、単に「公共事業から公共事業以外の政策手段へシフトしていくことが必要である。」、こういうふうに示されておりますが、正確には、従来型の公共事業から新たなる公共事業や公共事業以外への政策手段と、さまざまな政策手段を駆使して我々の農林水産業の構造改革や農山漁村の新しい可能性というものを展望していくべきだということでございまして、この点につきましても、正直申し上げますと、我々少しこだわりました。
 「必要である。」という断定的なことでなくて、そういうシフトをしていくことについての検討をすべきではないかというようなことを強く主張したわけでございますが、最終案はこういうようなことになっているわけでございますが、しかしこれは決して政策の後退ではありませんで、我々としても、今までの考え方というものから新たなる観点で農林水産行政というものを、あるいは農林水産にかかわる公共事業なども検討していかなければならないと、かように考えている次第でございまして、御理解と御協力をさらにお願い申し上げたいと思います。
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岸宏一#7
○岸宏一君 御努力に心から敬意を表するわけでございますが、私も参議院の選挙が近いということで地元に帰るわけでございます。地元に帰りますというと、必ず出てくる問題がこの諮問会議の内容等でございます。
 大臣もあるいは御承知かもしれませんが、山形県は自民党の予備選で小泉総理の得票率が全国で一番なんですよ。ですから、小泉総理に対する期待も高いし、それから小泉総理の改革に共感と期待を寄せている、こういう面は非常に多うございますけれども、しかし多くの皆さんが心配しておりますのは、やはり中央と地方の対決というふうな形にならないように、例えば道路特定財源の問題でございますとか、あるいは公共事業の問題、それから交付税の問題、さまざま考えてみますと、どうも地方にしわ寄せが来るのではないかという心配を、特に工業出荷額等の少ない我々の地方では心配される向きが非常に多いわけでございます。
 そんな中で、この諮問会議のペーパーに農林水産業のことが載ったということ自体、これはそういうものを解消させるといいましょうか、やや安心させる大きな力になっている。特に、この難しいペーパーの中に「美しい日本」、こういう文言が載っているということは本当に何かほっとさせるような気がいたしておりまして、多くの皆さんもそのように感じたというふうに思うんですね。
 そこで、大臣、そういうことを考えてみますと、小泉内閣の改革を国民の理解をいただきながら進めていく上でいろいろ問題が多い。地方の皆さんを納得させるといいますか、共感を持っていただくといいましょうか、そのために果たす農林省の役割というんでしょうか、農林省だけではございませんけれども、農林水産大臣の役割は、考えてみますと、こういうものを見るにつけて非常に大きいというふうな気がしてならないのであります。
 時あたかも、新しい農業基本法ができ、それから水産基本法ができ、そして今、林業基本法ができようとしている、その時期に当たりまして、これらの点から考えまして大臣としてどのようにお考えになられるかということをひとつお聞きしたいと思います。
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武部勤#8
○国務大臣(武部勤君) 岸先生御指摘のとおり、農林水産省こそ、あるいは農林水産委員会こそと言って過言でないと思うんですけれども、いち早くいわゆる構造改革に着手いたしまして、これまで数年間の議論を踏まえて新しい食料・農業・農村基本法も成立せしめ、この法律に基づきまして基本計画をつくって、今、強力に展開しようとしているわけでありますし、今国会におきましても、水産基本法、そしてただいま林業基本法の大詰めの御論議をいただいているわけでございます。
 私は、経済財政諮問会議でも申し上げましたし、これらの先駆的なといいますか、もう既に農林水産省が、経済財政諮問会議で言わんとするそういった課題に、問題提起に対して積極果敢に着手しているというようなことが評価されたと、このように自負しております。
 したがいまして、これまで我々が諸先生の御論議を踏まえてつくり上げてまいりました諸般の法案に基づく具体的な施策の展開の上で自信と誇りを持って強力に努力していきたいと、かように決意を新たにしている次第でございます。
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岸宏一#9
○岸宏一君 どうぞひとつ大臣、関係大臣と力を合わせまして、そういった地方の声を十分に生かして日本の国の再生のために一層御努力されんことをお願い申し上げる次第でございます。
 さて、次は基本法の問題でございますが、先ほども申し上げましたが、新しい農業基本法、それから水産基本法、そしてこの林業基本法と、我々この委員会でも、あるいは国民的にも議論をしてまいったわけでございますが、私はこの林業基本法が一番大変な法律だなという思いを非常に強く持っているものでございます。
 実は私は、ちょうど昭和三十九年に学校を卒業しまして田舎に帰りました。山形県の山村でございますけれども、ささやかでありますが林業もやっておりました。その当時は林業も大変元気のいい時代でございまして、山の木も活発に商いをされておって、その当時は、国産材の自給率というんでしょうか、それは恐らく七〇か五〇%ぐらいの間は間違いなくあったんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。材価も非常によかった。非常にというか、まあよかった。
 私、昭和四十年、町役場に勤めさせられまして、勤めたときの初任給がたしか二万七、八千円じゃなかったかと思うんです。恐らくそうだったと思います。(「もっと安いですよ」と呼ぶ者あり)もっと安かったですか。何かもっと安かったという話なんですが、その当時、木材の価格は、杉で石当たりといいますと直径大体七寸ぐらいの木ですよね。そして十尺ですか、十二尺ですか、それでもって山元で大体七千円ぐらいは最低したんですよね。ですから、立方にいたしますと、これは石に対して三・六掛けるんでしたか、そうすると値段が出てくるわけでございますけれども、林業というものがやっぱりやっていける、そういう時代でございました。
 ところが、昭和四十六年に私、町長になりまして、それからつるべ落としと言ったらいいんでしょうか、どんどん林業が、林業がだめになるというよりも、要するに木の値段が山でいえば安くなって何ともならなくなったという、そういう時代を山のもとで私は過ごしてまいりました。
 ですから、非常に実感として、林業の衰退、山村のそれによる衰退、過疎といったものを目の当たりに見てきたものでございますから、この林業基本法がどんな働きを、どんな役割を担って、どのように山村に光を与えてくれるものかということにおいて、希望は大きいのでございますけれども、その反面、大丈夫かなという思いを非常に強くするわけでございます。
 そこで、基本理念の問題でございますけれども、林業者から見ますと、森林の多面的機能を維持していくために林業生産があるんだと、いわばそういうふうに読み取れる。前の基本法であれば、林業生産を経済行為として、産業として盛んにすべきであるということを明記されておったわけですけれども、今度は一転しまして、そういうふうな多面的機能を前面に押し出してきたわけです。そこに一体、森林所有者、経済行為としてやっておられる方々に戸惑いはないだろうかという思いが非常に強いのでございますが、これらに対してどのように説明をするんでしょうか。
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中須勇雄#10
○政府参考人(中須勇雄君) 先ほど岸先生から御指摘のありましたような事情で、このような形で御答弁することをお許しいただきたいと思います。
 ただいまの御質問に関しましては、新しい基本法の三条がその条項に該当すると思います。そこでは、「林業については、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることにかんがみ、」云々ということで、「その健全な発展が図られなければならない。」と、こういうふうに規定をしているわけでありまして、私ども基本的な理解といたしまして、森林が多面的機能を発揮する、これが何よりも重要であるということが二条で述べられた上で、しかし、その機能を発揮するということのためには、実際には、林業がその場所で健全に行われている、そのことが多面的機能の発揮に実際に役立っているのである、こういうような位置づけのもとに、この新しい基本法においては林業の位置づけをしたと、こういうことでございます。
 確かに、二条で多面的機能の発揮ということがまずうたわれるわけでありますから、森林所有者の責務というところにも、森林の有する多面的機能の発揮への配慮というか、そういう責務も書かれております。それは当然林業者として考えなければいけない重要な問題でありますが、そのことは何も、多面的機能の発揮のために林業がすべて従属するとかそういう意味ではなくて、その機能を発揮する上で林業が重要な役割を果たしている、だから林業の発展を図らなければ森林の持っている多面的機能が十分発揮できない、こういうふうな位置づけをして、そのことはまた逆に言えば、森林の有する多面的な機能というのは広く国民がその利益を享受するわけでありますから、国民全体が林業の健全な発展を支えていくというか、そういう気持ちも込めた意味で今回の新しい基本法での位置づけがなされていると、こういうような御説明を申し上げているわけでありまして、基本的には林業者の皆様にも御理解をいただいていると、こういうふうに承知をしております。
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岸宏一#11
○岸宏一君 ただいまの御答弁で、林業が輝かなければだめだ、林業が輝くことによって多面的機能が発揮されることになるし、それによって国民がさまざまな利益を受けるんだと、こういうふうな御説明というふうに承りました。大変立派な御説明だと思います。
 私も、これから地元に帰りましたら今の長官のお言葉どおりに皆さんに申し上げたいと、こう思っておりますが、それでは長官、林業は光り輝くということについて、しっかりとした自信と希望を林野庁は持っておりますか。
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中須勇雄#12
○政府参考人(中須勇雄君) 確かに現在我が国の林業の置かれている状況というのは大変厳しいというのは、もう率直な状況だろうと思います。
 これは、あえて数字その他を含めてただいま岸先生からもお話ございました。八割を日本のマーケットにおいて外材が占拠しているという中で、価格的にはやはり外材の価格ということが我が国の木材価格というものに大変大きな影響を与えている。それが木材価格の現在の低迷した状況の大きな要因であるわけであります。
 それをどのように打開しながら林業の将来を考えていくかと、こういうことになるわけでありますが、今回の基本法というのは、ある意味で道筋というか大きな方向を示す宣言法というような意味でございまして、この基本法ができたから直ちにあしたから林業がよくなる、こういうことには必ずしもならないわけであります。
 私ども、そういう意味で、林業基本法の制定というのは、ある意味ではスタートラインに立ったと、こういうことだと。これから具体的に個々の分野、個々の政策において、日本の林業がしっかりした基盤を持って活動がなされるように数々の手だてを打っていかなければならない、そういうふうに考えているわけであります。
   〔委員長退席、理事森下博之君着席〕
 法律の仕組みとしては、御承知のとおり、この新しい基本法では森林・林業基本計画というものを政府が定めることというふうにされております。私ども、この新しい基本法が成立した段階で、さまざまな角度から議論を行った上で、将来の数値目標を含めて、十年先、二十年先あるいは五十年先と、精粗それぞれあるわけでありましょうが、その段階における日本の森林の姿、林業の姿というものを描いた上で、そのためには何をしなければならないかということで、具体的な施策をその基本計画の中で明らかにしていく。
 それと同時に、それを逐次具体化をしていく。もちろんその一部は、今回の法律改正にも、ほかの、林野三法ということでお願いをしておりますが、他の法律改正にも含まれておりますし、来年度予算においてどういう手だてを講ずるかということもその第一歩でありますし、もうちょっと言えば、既に十三年度予算の段階からかなりのことを我々手がけているわけでありまして、そういうような形で具体的な個々の分野の政策についてはこれから先、逐次強化を図って、我が国の林業の健全な発展というものが確保されるような基盤づくり、支援体制づくりということに努めていきたいと、こういうふうに思っております。
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岸宏一#13
○岸宏一君 非常にわかりやすく説明していただいて大変結構だと思いますが、さてそれでは、個々の具体的な施策というものについてはこれからそれぞれ予算だとかあるいはいろいろな計画にのせていくということは、これは十分わかりますけれども、まず一つは、望ましい健全な林業、こういったものはどんなものなのかというイメージを、これはやっぱり国民あるいは林業者ともに共有する必要があると思うんですね。これがなければなかなか具体的な方策というのは出てこないと思うんです。
 そこで、そういう面で林野庁として、この法律から考えてどのようなものをして望ましい林業経営というんでしょうか、そういったことについてそのイメージをひとつ語っていただきたい。
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中須勇雄#14
○政府参考人(中須勇雄君) ただいまお話しのような具体的なイメージという意味で、なかなか今の段階で私、十分な御説明をすることは難しいわけでありますが、基本的には、新しい基本法の十九条で、望ましい林業構造の確立ということで、林業の健全な発展の一番の基礎になります林業構造を、将来の林業構造をどういうふうに考えていくかということがこの十九条で述べられているわけであります。
 ここのもちろん背景といたしましては、ただいま岸先生からお話ございました木材価格の低下であるとか林業経営コストの増大、こういうことによって林業の採算性が大変悪化している状況にある。当然、そのことによりまして林業の経営意欲というものが低下しているわけであります。
 ただ、そういう全般的な状況の中においても、効率的な施業を実施する、あるいは品質のすぐれた木材を生産する、こういう形で林業所得をかなりの程度確保している林家もかなり見られる。当然数は限定されているわけですが、そういう努力をされて成果を上げている林家がある。また一方、個別には大変森林所有面積が小さいわけで、一人一人ではなかなか林業生産活動ができない。そういうものをいわば取りまとめて、経営なり施業の受託ということで活発な林業生産活動を行っている林業事業体、こういうものも現在でもかなりの程度見られているわけであります。
 したがいまして、この十九条で示している方向というのは、今後の方向として、経営規模の拡大とか生産方式の合理化等の施策を講じることによって効率的、安定的な林業経営体になっていく、あるいは林業事業体として仕事ができる、そういうような経営を育成確保する、こういった方々に施業や経営を集約していく。具体的には施業の受託なり経営の受託ということでございましょうが、そういうところに施業を集中していって、国内の林業生産活動の相当部分、こういうふうに言っているわけでありまして、五〇%を超えるような部分がそういう方々によって担われる、そういう構造を確立していく必要がある、これが基本的な考え方だろうというふうに思うわけであります。
 その場合、林業経営という意味でどのようなイメージを描くかということについては、これから先、我々もいろいろ各方面と議論をしながらそういう将来像というものをできるだけ明らかにする努力をしていきたいと思いますが、やはり我が国の林業も地域によってさまざまでございます。一律に何ヘクタールあればうまくいくとか、どういう労働力であればうまくいくとか、必ずしも一概に言えない例がございます。
 例えば、私どもが承知している例では、わずか二十六ヘクタールの山林しか持っておられない、これも愛知県の林家でございますが、経営主一人で一年約二百二十日の施業を行って、この場合には他の森林所有者の施業を受託をする。大体この方の場合、十ヘクタールの施業受託を行っているというふうに聞いておりますが、それでもって五百万近い林業所得を上げている。例えばこういうふうな、小規模だけれどもしっかりした、何といいましょうか、手入れを十分することによって良質の木材を生産し、立派な所得を上げておられる、こういう方もおられますし、他方では、百ヘクタールを超えるような人工林で、複層林とか集約林という形で、これも付加価値の高いあるいは生産性の高い経営を行うことによって一千万を超える所得を上げている。この場合も、基本的には自家労働、あと、年間二百人日の雇用労働を使って、これは新潟県の林家でございますが、成果を上げておられる、そういうふうな例もございます。
 ですから、地域によって差がございますので、一律にイメージで示すということは難しいわけでありますが、こういうさまざまな努力をしている林家を育てていく、こういう観点に立って、そういう林家の育成と、もう一つ、個別林家ではなかなか施業が完結し得ない、そういうものをまとめて施業を行っている林業経営体の育成を図っていく、その両面によりまして望ましい林業構造を確立していきたい、こういうふうに考えております。
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岸宏一#15
○岸宏一君 大体わかりました。
 さて、具体的な問題に入りたいと思うんですけれども、今、我が国の林産資源というものは、非常に立派な世界にも誇る山を持っている、森林を持っておる。何か年間の蓄積の増加量というのは八千万立米あるんですか。八千万立米増加しているにもかかわらず、国産材として使われている量というのは二千万立米ぐらいですか。そうすると、だんだん蓄積量がふえていく、単純に言えばそういうことになるわけですね。そういう状況であるから材価が低迷するということになると思うんですね。
 そういうことを考えますと、何とかコストを下げて供給する力をつけるというんでしょうか、そういう施策を講じないとなかなか難しいだろうと思うんですが、しかし、このごろどうも外材と国産材の間の価格差というのが小さくなってきているんじゃありませんか。ちょっとこの辺、だれか専門的にわかる人から、今どういうものか、ちょっとそれを聞かせてもらいたいんですが。
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中須勇雄#16
○政府参考人(中須勇雄君) 基本的に、先ほど申しましたように、我が国の木材市場というか木材需要構造全体の中で外材が八割を占め、国産材が二割弱になっている、こういう状況でございますから、価格形成の主導権というか、やはりそれが外材によって規定される部分が大きい、こういうことは否めない事実だろうと思います。
 そういう意味におきまして、輸入されてくる外材価格というものに、我が国の国産材価格が、同等の品質、同等の性能を持ったものにおいてやっぱりさや寄せされていく、これは事実でございまして、そのことが現在の木材価格低下のかなりの要因の一つになっているというふうに私ども認識をしております。
 現在、杉の中丸太の価格で立米当たり一万七千円とか一万八千円、そういうような価格でございまして、これは、その搬出経費なり伐採経費ということを考えれば、いわゆる立木価格では数千円というような価格になってくる。それは、先ほど申しましたような、やはり外材価格というものにかなりの程度規定されて、そのような価格になっているということだと思います。ただ、最近特に象徴的にあらわれておりますのは、例えば杉と米ツガというふうなものを比べた場合でも、かえって一部国産の杉の方が安いというふうな局面が出ている。
 これは何かということでいろいろ調べますと、やはり品質の面で、特に最近、御承知のとおりに昨年から住宅の品質確保法というものが施行されまして、やはりしっかり乾燥されて品質、性能がしっかりした木材というものが施工主にとってもあるいは需要者にとっても好まれると。こういうことの中で、十分乾燥されていない我が国の杉の価格というのは、安い外材よりもさらに競争条件が不利になって低下をしている。こういうことまであらわれている状況だというふうに認識をしております。
 そのために、我々、価格面で競争するという以前の話として、やはりしっかりとした品質、需要者の要望に合ったというんでしょうか、特に現在では、品質、性能がはっきりした木材をある程度の量をまとまって供給するということをしっかりやっていくことが不可欠だろうと思います。
 そういう意味におきまして、一つは乾燥材の供給体制を整備するということで、各種の補助事業、リース事業等によって乾燥施設の整備を早急に進めるということに取り組むと同時に、各流域ごとに拠点となるような出荷施設あるいは加工・流通施設と申しましょうか、そういうものを整備して、一定程度のまとまったロットで消費地に供給できる体制をつくっていくとか、そういうようなことにしっかりと取り組まなければならないのではないか、こういうふうに考えて、抽象的に言えば、木材産業の構造改革という形でもって、太いパイプで消費地に品質、性能のすぐれた国産材を供給していくそういうパイプをつくる、こういう気持ちで取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っております。
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岸宏一#17
○岸宏一君 確かに乾燥材の割合というのはいまだにまだ低いんですよね。それで、林野庁でも今年度あたりから、乾燥施設に対する補助等について、共同でやるというふうなことから何か一歩踏み出してリースをやる、そのリースに対する補助を出す、こういう施策を講じたという話を聞きましたが、これは大変いいことだと思いますから、小さな町工場であっても乾燥材を扱えるような、そういうような施策をやっぱり一層進めていく必要があるんだろう、こういうふうに思うわけです。
 それから、コストの問題。それから、長官が言っていましたが、一定のロットをまとめて優良なものを出すということが大事だということ。これに関しては、木材産業たる製材工場が余り小さいものばかりでは困るんで、統合して再編していくという、たしかそういう流れであるかというふうに思いますけれども、こういうことに対しても今後一層その施策を展開していく必要があるんじゃないか。
 それから、構造改善という点から申しますれば、林道網ですね。金曜日に林業の速水さんが参考人で参りまして話をしていました。速水さんといえば日本で最先端を行く林業家でございます。その林業家の最先端を行く速水さんは、とにかく今は、生産したら補助金がなければ赤字だ、後から植えて育成する分を含めてやると赤字になるんだ、ですからコストを下げなきゃならぬということをおっしゃっていましたが、林道網についても、作業道などに大分林野庁も力を入れて、広域的な林道よりも、もっと簡易にできる林道ですね、作業道といったものの方がどうもコストを下げる上ではいいみたいな印象が現場におりますとするわけでございます。
 そんな意味から見て、地域地域に合った補助体系というんでしょうか、これをひとつやっぱり考える必要があるんじゃないかなということを思うんですが、後ほどこれに対する考えをお聞きしたい。
 ついでに、行ったり来たりしてばらばらになって申しわけありませんが、林業経営の上で大事な点は、植林をして、育林をして、間伐をして育てていくわけでございますけれども、地域によって、例えば下刈りなんというものは年数が違うんです。例えば九州の方へ行きましたら、あれは四十年ぐらいで伐採する可能性高いんでしょう、伐採する率が。ところが、東北なんかへ行きますともう六十年以上ですよ。また、雪が降る場合は下刈りというのを十年ぐらいやらなきゃいけないんですね、最低でも。それで今度除伐をやって、間伐なんというのは、五十年ぐらいになってから間伐というのをまだやるわけですよ。それで、山形県なんかでは五十年の間伐に対する補助金を出しているんです。
 そんな意味で、地域に合った補助体系というんでしょうか、それから、本当に実際の林業家が使えるような、望んでいる補助体制というんでしょうか、木材産業の方々も同じでございますけれども、こういった点での構造改善、構造改革というんでしょうか、こういうことも長官が言ったように非常に大事だと思うんですけれども、この辺はこれからどのように対応していくつもりですか。
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中須勇雄#18
○政府参考人(中須勇雄君) まず初めに、路網整備に関してのお話でございますが、林業生産のコスト低減という中では、林内路網の整備というのは極めて重要であります。そのことは同時に、機械化、機械を末端まで入れて作業するということとも結びつくわけでありますが、林内路網を整備し林業機械というものを末端まで持っていけるようにする、あるいは、当然のことですが、集材・搬出コストの縮減を図る、そういう意味において、効率的な林業経営の展開のためには林内路網の整備は欠かせない課題だ、一番基礎になる課題だと、こういうふうに考えております。
 現在、平成八年に閣議決定されました森林資源に関する基本計画、これは旧基本法に基づく計画でございますが、これでは、おおむね四十年後に林内道路密度というものをヘクタール当たり二十メートル。林内道路密度というのは林道と公道を含めたものでございますが、ヘクタール当たり二十メートル。それから、作業道についてはヘクタール当たり三十メートル。こういうものを目標にして、これはもう全国一律、平均値でこういう数字でございますが、掲げてございます。これに対して、平成十一年度末現在では、民有林での林内道路密度がヘクタール当たり十五メートル、作業道密度が四・四メートル、こういうようなことでございまして、特に作業道の密度はかなり目標に比べて低い、こういうような状況でございます。
 このため、私ども基本的には、林道につきましては林道整備というような形での助成を行う、それから作業道につきましては、言うまでもなく、造林事業の中で作業道の開設というものが補助対象のメニューに入っているわけでありまして、そういう形で、特に今緊急に進めなければいけない間伐の推進、こういうものとあわせまして、林内の路網の整備というものに取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
   〔理事森下博之君退席、委員長着席〕
 先ほど申しました路網密度というものの根拠というのは、小型の運搬車とかトラクター、こういうものが集材をして可能な距離がどのくらいかと。これはもちろん地形その他で変わるわけでありますが、五十メートルから百七、八十メートルまで、こういうような距離で小型運搬車なりトラクターで集めるためにはヘクタール当たり先ほど言ったような密度というものが必要だと、もちろん平均値でございますが、そういうことで取り組んでいるわけであります。
 ただ、先生御指摘ありましたように、これはあくまでも全国一律の平均値としてはそうなるということでありまして、現実には、それぞれの各地域、あるいは地形とかあるいは森林整備の状況ということによって取り組みは変わってくるわけでありまして、そういったことは当然のことながら補助事業の実施の中で弾力的に取り扱っていく、こういうことが基本だろう、こういうふうに思っております。
 そのことは、実際に今お話しございましたように、各地域において、何というんでしょうか、造林事業一連の、新規の植林に始まって、下草刈り、保育、間伐、こういう一連の状況自体はかなり差があるのも事実でございます。私も聞いたところによりますと、そもそも杉なんかの場合、最初に新植をするときにヘクタール当たり何本植えるかということも地域によって大変な差がある。五千本、あるいは一番厳しいところでは八千本も植えて、間伐を繰り返しながら最終的に千本とか千本未満に育てていく、こういうようなかなりの地域差もあるというふうに聞いております。
 そういう意味におきまして、各地域の実情に合わせて補助事業の実施に当たるということが重要でありますし、そういう意味におきましては、ただいま五十年の間伐というふうなお話が出されました。実は、昨年から開始をいたしました緊急間伐五カ年対策の中ではいわゆる四十五年生まで間伐として助成対象にするということで、それまでは三十五年までだったわけでありますが、十年拡大をするということを実施いたしました。そういう形で、間伐の対象も全国的規模でいえば拡大をしてそれぞれの地域が取り組みやすくする。
 それと同時にもう一方では、またちょっと違った観点でありますが、抜き伐りを繰り返しながら複層林を育てていく、長期育成複層林施業というふうに申しておりますが、こういうことをやる場合には九十年生まで補助対象にする。いわば抜き伐りのうちの、抜き伐りとは言いつつも実際上は主伐に当たるようなものまで助成対象にする、こういうような道も開いているわけでありまして、こういった補助事業の対象をできるだけ拡大をしていく。
 そういう中で、地域の実態に見合った形での森林施業が行われるように、補助対象になるように我々引き続き努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
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岸宏一#19
○岸宏一君 植林から伐採まで一気にいろいろお話をいただきましたが、育ててつくる、そして切るまでの手だてというものについて、かなり国、県で対応しないと多面的機能を十二分に発揮できる光る林業というのはできないということだと思いますので、まずそれらの点について今後一層の御努力をお願い申し上げたい。
 次は、このつくった材をもっと国民に使ってもらう、この方法を私たちは絶えず研究し、進めていく必要があるというふうに思うわけです。法律にも国はその責務があるというふうに出ておるわけでございます。
 私、国として一生懸命やっているなというふうに思うのは、自民党の部会で各省庁を集めて国産材、木材の活用ということでいろいろ報告を受けますと、林野庁が一生懸命やっておって、各省庁がそれにこたえて努力をしているさまがよくわかります。しかし、中には余り一生懸命でない省庁もあるようですけれども。
 とにかく長官、この辺、省庁間の協力をいただいて、国産材と余り大きい声で言うとWTOの問題だ何だかんだと言われますでしょうが、とにかく木材を使おうということについて、どのように努力されておって、どのような成果が上がりつつあるのか、またどういう点がまだ足りないのかというようなことがありましたら、まず国の問題から教えていただけませんか。
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中須勇雄#20
○政府参考人(中須勇雄君) ただいま国産材を各種の施設等にいかに利用していくかということでの関係省庁間のお話が出ましたので、若干御紹介というか、取り組みを申し上げたいと思うわけでありますが、平成八年に私ども木材利用推進関係省庁連絡会議、こういうものを設けまして、もちろん私どもが音頭をとっているわけでありますが、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、環境省そして農林水産省という省庁が集まりまして連絡会議を設け、木材の利用の推進に関する情報交換、協議等を行っている、こういうことでございます。この中で、いろいろな新しいアイデアが出されたり、省庁間での具体的な個別の事柄を定めた形での協力の取り組み、こういうことがあるわけであります。
 例えば、こういう中から、平成十二年十月に設置した学校等施設整備における木材利用推進連絡会、これは文部科学省と林野庁の担当課長レベルで連絡会を設置いたしまして、学校等の施設整備において木材利用をどう推進していくか、連絡調整、情報交換を行うということで、十二年度にも三回ほど開催をいたしました。
 そのほか、住宅等の建築物において木材利用をどう進めていけばいいのか、こういうことで、省庁間でそれぞれ担当分野があるわけでありまして、これらについての連携を図るという意味での勉強会を十二年十月から開催いたしまして、現在まで四回開催をしておりますけれども、住宅等建築物における木材利用上の問題点に関するアンケート調査とか建築部材の燃焼実験、あるいは木材利用を普及するためのパンフレットの作成、配布、こういったことを実施しているわけであります。
 具体的に、例えば学校施設の木造化ということでは文部科学省に主としてお願いを申し上げているわけでありますが、昭和六十年度までに建築された木造学校施設というのが年十八校、こういう実績でありましたが、いろいろ取り組みをお願いいたしました結果、昭和六十一年度から平成十一年度までの十四年間に新たに約八百校、年平均でいいますと六十校弱の木造学校施設の建築がなされた、こういうことがございます。
 それから、最近ところどころで工事現場等をごらんいただきますと目にされるかと思うわけでございますが、間伐材を各種の公共事業に活用していく。もちろん私ども、治山事業とか林道事業において治山ダムあるいは林道の防護壁、こういうものに間伐材を利用する、こういうことを進めてまいりましたが、これを国土交通省の所管しておられます河川とか砂防事業においても実施をしていただくということで、これについても林野庁と国土交通省で連携をいたしまして、地域ごとに間伐材の情報交換、どの程度の間伐が行われて、間伐材が供給されるというふうな地域での情報に基づいてそれぞれの工事でこれを活用していただく、そういうような形での地域ごとの情報交換の場の整備ということによって間伐材を河川事業、砂防事業で活用していただく。
 そのことがもちろん間伐材の利用促進ということに役立つと同時に、やはり見た目というか自然を生かした国土の整備というか、川づくりという意味でも大変好評を博しているという意味におきまして、今後とも私ども、関係省庁と力を合わせてこういった形での取り組み、国の段階での取り組みに努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
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岸宏一#21
○岸宏一君 大臣、既にお聞きと思いますが、この木材の利用促進については林野庁は並々ならぬ努力をしているわけでございます。
 そこで、大臣にもぜひお願いしたいんですが、もちろんこれは林野庁は既にやっているんですけれども、建設省、河川とか何かでも木工沈床とか、そういうものをいろいろ扱うようになっていただいて非常にいい傾向だというふうに喜んでおりますが、同時に、やっぱり住宅政策というのは建設省がやっているわけです。ですから、住宅に対して木造化を促進することをぜひこれ強くお願いしたいなというふうに思うわけであります。
 それから、厚生省でございますけれども、私もいろいろ病院なんか回ってみますと、病院というところには本当に木材がないんです。ところが、木材には院内感染というんですか、MRSAとかいうんですか、何かちょっと忘れましたけれども、院内感染というのを防ぐ力があるんだ、殺菌力があるんだと。ですから、例えば木造の小学校とか学校ではインフルエンザが余りはやらないんだ、こういうこともあるわけでございます。
 私も、山形県で県立中央病院をつくることになりまして、ぜひ木材をいっぱい使ってくれ、こうは言ったんですが、結構使われてはおりましたけれども、あれでもいい方なんだろうかなという、そういう感じで見たわけでございます。
 そういう木材の持っているよさというものを、ぜひ大臣が率先いたしましてPRをお願いしたい。既にやっていらっしゃることはよくわかります。それから、学校もよくなってまいりました。今後もひとつぜひやっていただきたいなと思うんです。
 私、ずっと今まで見てきまして、役所でいいますと国と各市町村はよくやっていると思うんです。この前、参考人で参りました高知県の檮原町長さんですか、中越町長さんは、檮原の木を使って家を建てたらば五十万円か何か出しているとか、そういう町村では結構努力をしているんです。
 私も町長のころ、金山杉というのは結構有名なんです。調査室で出した主要論点にも森林法のくだりで金山林業と出ていますけれども、ちょっとだけ。そこにも、金山杉を使って在来工法の住宅をつくったらば五十万補助を出しますよということで出している。今もやっていると思います。それは景観、大臣のおっしゃる美しい日本をつくるためでもあるわけです。
 そういうことで、市町村はよくやっている。しかし、どうも県知事の号令を余り聞いたことがないんです。ぜひ各県の知事に強く木材の活用について大臣から督励をしていただければさらに進むのではないか、こういう気がいたしますが、今まで私が申し上げたことについて何かコメントがあれば、ひとつお願いしたいと思うんです。
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武部勤#22
○国務大臣(武部勤君) 岸先生の御体験も通じてさまざまな御提言がございました。
 私も、党の部会などを通じて国産材の利用拡大についてもいろいろ議論に加わったわけでありますけれども、まず第一に感ずるのは、なかなか設計屋さん、建築設計家の木材に対する理解というのが余りないというふうにも聞いております。こういったことにも我々、積極的な働きかけをしていかなくちゃいけないんじゃないか。
 それから、関係府省に対しましても、国土交通省を初め、さらに強力に申し入れをしてまいりたいと思いますし、都道府県段階について、確かにお話しのとおりだと、私はそういう印象を持っております。特に厚生労働省について、私もある町から頼まれまして働きかけをしたことがあるんですが、そのときの返事はやっぱり耐用年数とかそういったことが問題だということを言っておりました。こういうことが都道府県の消極的な姿勢になっているんじゃないかと思うんですね。やはり市町村というのは現場ですから、地域材の利用ということに対して、ありとあらゆる努力をしているだろうと思います。
 しかし、公共施設になりますと、直接、厚生労働省だとか国土交通省だとかそういうところと話をしますと、かなり理解を示して、今後検討するというようなそういう姿勢を示すんですけれども、都道府県というのは、中央省庁から示された従来の基準だとかそういったものに固執している面があるんじゃないか。言ってみれば、お役所仕事ということになっているんだろうと、かように思いまして、今後、農林水産省としても、直接、都道府県の土木や教育関係部局に対して要請をしてまいりたいと思います。
 また厚生労働省、病院の話もありましたけれども、病院もさることながら、さまざまな福祉施設、特別養護老人ホーム等につきましても、何かあれは基準では、私の記憶は確かでないかもしれませんが、耐用年数六十年ということになっているんだそうですね。六十年なんて、今どき六十年なんかもたすところというのはほとんどないんじゃないですかね。木造にしても集成材その他相当強化されていますから、その辺のところも厚生労働省や関係府省に対して再考を求めたいと思います、六十年でなきゃならないという、その基準。中には、ビルでも何でも、マンションでも百年という話もありますけれども、そういうふうなことを今先生からいろいろ御指摘、御指導がありましたので、精力的に関係府省にも働きかけてまいりたいと思います。
 もう一つは、地域材の利用については地方財政措置ということが大事なんだろうと。こういったことにつきましても、農林水産省としても積極的に、先生の今の御指導にこたえまして、頑張りたいということを申し上げたいと思います。
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岸宏一#23
○岸宏一君 どうも恐縮でございます。大臣、美しい日本をつくるには国産材を使うことだと、国産材の利用が拡大することは美しい日本ができることだと、こういうキャッチフレーズで、全国を駆けめぐることになるでしょうけれども、その場合にはぜひその言葉を皆さんにひとつ言っていただければ大変ありがたいというふうに思うところでございます。ありがとうございました。
 さて、林野庁長官、もう一つ、私、林家から、どうしたら林業はよくなるんでしょうかと言うと、必ず言われることは税制の問題です。今、施業計画を持っている方々や、あるいは五分五乗の方式でしたか、そういう形で林業に対する税制はそれなりに優遇されている面もなしとはしません。しかし、問題は相続税でございます。林業家にとって相続税というのは大変な負担になっているようでございますね。これは特に大規模な方々です。大規模な林家が林業をやっていけないようでは日本の林業はあり得ないわけですから、やはり相当の面積を持った、たくさんという意味じゃなくて相当な面積を持っていらっしゃる方々の林業がうまく持続、維持していけるような、そういう相続税制をつくらなきゃいけないと思うんです。ところが、今は三十年に一遍ぐらいどんどん相続税を払わなきゃいけなくなるんです。これではせっかく立派な山が、蓄積のある山が細分化され、破壊され、小規模化していく、それが実態なんですよ。
 これの回答は特に要りませんけれども、どうぞひとつ、私は、林野庁はあきらめないで相続税の対応をぜひやってもらいたい。これをやることが、やっぱり多面的機能を立派に果たす、林業が輝く一つの大きな柱ですよ。これを改革していけば、かなり林家が希望を持って長期的な視点に立った林業経営ができると思うんですね。コメントがあればしてくれても結構ですけれども、なければ結構です。どうですか。
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中須勇雄#24
○政府参考人(中須勇雄君) 森林に関する相続税の問題につきましては、さまざまな議論がこれまでもございます。御承知のとおりでございますが、現状では一定の相続税の特例措置というものが設けられておりまして、一つは立木についての特例ということで、立木については評価額の八五%が課税価格とされる、一五%が割り引かれる、こういう特例がございます。
 それから、もう一つは延納の特例でございまして、これは、それぞれの場合場合によって違っておりますが、延納期間というものが通常に比べて延びる、あるいは延納利子税率というものが通常の場合に比べて軽減される、こういうような特例が二点目としてございます。
 それから、三番目には、御承知のとおり、保安林等については相続税についての特別の評価が行われるということでございまして、林地あるいは立木の通常の評価額から、いろいろ保安林ということで受ける伐採の制限の程度に応じまして三割から八割を控除できる、そういったものを控除したものが評価額となると、こういうような特例措置が現在設けられているわけであります。
 しかし、岸先生御指摘のとおり、かねてから森林の相続税というのは、木を切る時期と相続の時期ということにずれがあった場合にどうするのかということを含めて大変な議論のあった問題でございますし、特に昨今、木材価格が大変低迷をしているという中で、そういう問題点がより鮮明になっているのではないかというふうな観点から、相続税の軽減についての要請ということも多数私どもの方に寄せられている、こういう状況にございます。
 昨年の税制改正の議論の中でも、与党等の場でもいろいろ議論がなされました。それを受けて、またことしの税制改正におきましても、この問題、再度私どもも提起をいたしまして、ぜひ真剣な議論をしてみたい、こういうふうに思っているわけであります。
 ただ、相続税というのは、相続税全体の体系と申しましょうか、そういう中でどこまで例外が認められるか、こういう意味での難しさがあるということと、もう一つは、特に林業経営につきましては、今回の法改正によりまして、山林に対するいろいろな規制の措置について一部強化された、そういうこともございます。その辺、全般を十分検討し、実態を十分踏まえながら、相続税の評価の適正化ということを含めまして、幅広い観点から山林相続税のあり方について私ども真剣に今後とも検討していきたい、こういうふうに思っております。
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岸宏一#25
○岸宏一君 まだ質問も時間もあるわけでございますけれども、何かこちらの方から大臣を少し休ませろというような声もございますので、これで最後にいたします。
 大臣、今までいろいろ申し上げてまいりましたように、林業の実態というもの、これは非常に厳しい実態にあるということは御存じのとおりでございます。それがゆえにこそ、こういう基本法を改めてつくったというふうに思うわけでございます。
 結論的にぜひお願いをしたいことは、このように、この法律には国の責務とか地方団体の責務とか、あるいは林業者等に対しても責務ということを明記しておるわけでございます。こういうことを考えますと、やはり日本の国の林業を守り育てていくためには、どうしても公的な規制とか公的な関与というんでしょうか、公的な資金とか、そういった面での公の力がなければ、しっかりとした森を守り続けていくことは非常に難しいと私は感じざるを得ません。現に、今やっている林家の皆さんが、計算をしたら補助金がなければ赤字ですということをみんな言っておられる。そういう実態にあるということをお考えの上、ひとつ国民に広く理解をいただいて、これらの問題に対処していただきたいし、また同時に、この林業、森林を守っていくためには山村の維持ということが非常に大きなポイントでもあろうと思うんです。そんな意味におきまして、山村の振興と多面的機能の発揮ということは一体不可分のものである、こういうふうにも私は考えているわけでございます。
 どうぞひとつ、これらを踏まえて、これから大臣に一層頑張っていただいて、日本の山村、森林に明るい未来がありますように、林業家が勇気を持って林業をやっていけますように、そんな意味を込めて最後にひとつ、もう一度御決意をちょうだいしたいと思います。
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武部勤#26
○国務大臣(武部勤君) 岸先生が町長時代に美しい村、町づくりの構想を町民に訴えたというお話を私、先般お聞きいたしまして、我が意を得たりという思いを強くいたしました。
 山元でありますとか地方の人々は、先ほども申し上げましたように、森と海は命のふるさとと、そういう思いは強いと思いますし、やはり森の恵みや緑豊かな国土ということについては、これは国民全体の責任で守っていかなきゃならないし、また政策もそういう考え方で推進していかなきゃならないというようなことはみんなわかっていると思うんですね。
 ところが、だんだん戦後の社会経済構造の変化に伴いまして都市に人々が集中する、そして当初は、田舎やふるさとという思いで兄ちゃん頑張れ、父さん頑張れという思いが地方や農山漁村にも伝わってきたと思うんですけれども、昨今は何か納税者主義ということが私は少しゆがんだ形で伝えられているような思いがしてならないわけでございます。
 一方においては、環境環境と環境問題に対する関心は強くなっております。地球温暖化の問題でありますとか砂漠化の問題でありますとか、そして環境重視の政治に対する国民の声というのは強まっているのでありますけれども、実際そこのところの接点が、我々の努力も足らないのかもしれませんけれども、やはり森林の多面的な機能発揮に向けては国民の理解と協力、むしろ国民合意の上でこういった政策は進められていかなきゃなりませんし、具体的には森林整備ということにつきましては、その社会的コストということについて、負担のあり方についても国民がそれぞれ積極的な負担をしていく、参画していくといいますか、森づくりについては国民がもう積極的にみずから参画していくということが私は一番大事じゃないのかな、かように思います。
 その上に立って山村振興、言うまでもないことでありますし、これは山を守る、森を守る担い手とのかかわりのある、直結する問題でありますので、今度の基本法におきましても、そういったことも具体的な施策として強く打ち出されていると私どもは自負している次第でございまして、先生の今の御指摘というものは全く同感でありますので、そういう趣旨でさらに今後努力していきたいということを申し上げたいと存じます。
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岸宏一#27
○岸宏一君 終わります。
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太田豊秋#28
○委員長(太田豊秋君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時二十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
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太田豊秋#29
○委員長(太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、森田次夫君及び羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として加納時男君及び木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
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