菊池英博の発言 (予算委員会公聴会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○公述人(菊池英博君) それでは、今の木村先生の御質問に対して答えさせていただきます。
 確かに、本年度予算でやはり財政の構造改革ということを一つの題目にされておられまして、総債務が多いじゃないか、これも段階的に落とす方向も視野に入れながらやっていかなきゃいけないというニュアンスが出ていることは事実だと思います。このニュアンスがやはり政府の方から出されましたのは、恐らく昨年の夏ぐらいからではないか。端的に言いますと、そういう財政を、それが本年度の、本年度は緊縮財政、つまり六年ぶりの緊縮財政であることは事実でございます、その伏線を去年の六月ぐらいから始められたんじゃないかと思います。それから、一部のマスコミとか学者先生方からもそういう意見が出ておりました。
 しかしながら、私は、現在、まだ財政の再建といいますか、それをする時期ではないと思います。今、確かに先生がおっしゃられましたとおり、この財政構造改革というものは二つにはっきり分けて考えるべきだ。一つは財政の構造改革、それからもう一つは財政の再建でございますね、債務問題とか財政赤字の問題。
 前者の財政構造改革というものにつきましては、支出をできるだけ効率的にやる、あるいはある程度不用なものは削減する、これはもう既にやっておられると思いますし、これは一段と強めていく必要がある。それからもう一つは、徴収でございますね。取れるところから取るといいますか、ある意味では税収の改善ということも視野に入れながら、増税ではないにしても、そういうことも必要だと思います。これは徐々にやっていく、これはもう不断の努力で、毎年やっていくべきことだと思います。
 それから、二番目の財政再建につきましては、私は、現在取りかかるべきは、時期尚早だと思います。それは、先ほど申し上げましたような純債務で見た場合には、まだまだ十分余裕があるということです。それからもう一つは、過去の財政再建をしてきた国の実例をとりましても、不況期にこれをやろうと思って成功した例はどこにもございません。アメリカが一番いい例ですね。何とか好況にしよう、好況にしよう、借金をしてもやろうと思いながら、ついに好況期で、好況になって九八年から黒字になってきた。それから、そのほかの国でも、カナダでもニュージーランドでも、実は共通点はそこでございます。
 したがって、日本もまず景気回復に最優先の力を入れて、そして回復してきて、私の考え方としましては、やはり三%成長というのを念頭に置いて、これはできると思います。かつて、九六年度には三%行ったわけですから、これはできると思います。これをやりまして、そして三%成長が二、三年続いてから、そこでやはり徐々に債務を落としていく。
 それから、経済成長率というものと債務のコスト、これはドーマーの定理とこのメモにも書きまして、国債等のコストよりも経済成長率が高いと債務残高は自然に落ちていく、こういう経験則がございまして、これはドーマーの定理なんて難しいような言い方をしていますが、決して難しいことじゃございません。したがって、景気がよくなって税収が上がってくれば当然、自然と債務は落ちてきます。それから、先ほど笹森先生もおっしゃったような、雇用も当然回復してくると思います。ですから、そこに現在は注力すべきだと私は考えます。
 それから、日本の財政構造からいいまして、先ほど申し上げましたとおり、四百兆ぐらいは常に借りっ放してもいいと思います。これはよい財政赤字であって、子孫にその赤字を繰り延べてもいい。日本の場合には、社会資本がまだ充実しておりませんから、まだまだやることがたくさんあるわけですね。それから、職業訓練所なんかもそうです。そちらに支出してもいい。ですから、将来にわたって圧縮すべき、しなければならない金額はせいぜい二百五、六十兆だと、そういうふうに私は考えております。
 以上でございます。

発言情報

speech_id: 115115262X00120010315_011

発言者: 菊池英博

speaker_id: 5767

日付: 2001-03-15

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会