長谷部恭男の発言 (憲法調査会)

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○長谷部参考人 どうもありがとうございます。
 イスラエルの調査からお帰りの先生方に対して、私のようにイスラエルに行ったこともない人間がお話をするのは、お経をとってきた三蔵法師に説法するようなお話だったかと思いますけれども、その失礼を省みずに、さらにお話をさせていただきます。
 首相公選制と天皇制との関係ということでございます。
 これは、イギリスの昔の政治学者でバジョットという人がいますが、彼がイギリスの国政について指摘した議論の中に、憲法には尊厳的な部分と機能的な部分があるんだ、ある種、国家の威権というものを象徴して国民の信従を調達する部分と、実際に統治を担っていく部分が区別できるのであるということを指摘しているわけなんです。仮に、今首相公選制を採用した場合におきましても、天皇と公選首相の間には、やはり尊厳的な部分と機能的な部分の区分というものは当然成り立ち得ますので、制度としてどうしても両者が矛盾をするということではないのではないかと思います。
 ただ、これは中山会長御指摘のように、首相が直接公選で選ばれるということになりますと、それはそれなりに一種のカリスマをそこで調達するということになりますので、そのために、事実上、国の象徴としての役割を果たすということは当然あり得るのであろうかと思います。
 これは、例えば現在のイギリスで、トニー・ブレア首相とエリザベス女王とで、いずれが英国をよりよく象徴しているとイギリス国民も思い、あるいは海外の人間も思うかという問題と関連をしているかと思います。この問題は意見の分かれるところではないかと思います。
 ただ、一言つけ加えますと、国の象徴がだれか、あるいはそれが何かという問題は、突き詰めて申しますと、結局は、個々の人が心の中でどう思っているか、個々の人が例えばエリザベス女王がイギリスの象徴だと思っているのか、あるいはむしろトニー・ブレア首相が国の象徴だと思っているのかという、個々の人の思いようの問題でございまして、法令や制度で定めるとそうなるという問題ではないのかなと思います。事実上の問題ということになりますので、制度を考えるときに、決定的な答えを決める際の条件になるということではないかなと思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 長谷部恭男

speaker_id: 29141

日付: 2001-11-08

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会