長野幸彦の発言 (経済産業委員会)
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○長野参考人 中小企業問題、なかんずく中小企業金融問題についてお話し申し上げる機会を与えていただきましたことを、心から感謝申し上げます。
いろいろお話がございまして、ベンチャーの問題あるいは創造的企業の重要性、雇用対策等からございますが、私の方からは、圧倒的な多数を占める既存の企業の状況について、金融問題を中心にお話し申し上げたいというふうに思っております。
まず、構造的、基本的な問題として、中小企業は、本来資本不足なんである、こういう御認識を賜りたいというふうに思っております。
本来、資本が足りないんだ、それを一生懸命やっているんだ、なぜ今までそういうようなことがやってこられたのか、それは、二つの理由があるんじゃないかというふうに思います。これは、経済が右肩上がりで、つくったものはどんどん売れる、売れれば利益が上がる、こういう状況でやってきたということが一つ。いま一つは、社長を中心とした経営者一族の資産があったということであります。
右肩上がりということと、それから社長の個人資産がたっぷりあった、この二つのことで本質的な、本来的な、構造的な資本不足をどうにかカバー、解消しながら今までやってきたんだ。これが、御案内のように、右肩上がりがストップした、そして社長個人の資産も物すごく目減りをしている、そういう状況の中で、資金不足、こういうような状況が来ている、こういうことがまず一つあるだろうというふうに思います。
そこで、そういうような状況の中で、当面の問題と、それから多少長期的な問題、二つに分けてお話し申し上げます。
当面の問題としては、これもいろいろお話がございました。やはり信用保証協会の問題、そういうことが一つあるだろう、構造的な問題としては、中小企業に対して長期の資本を調達するような制度というものを確立する必要があるのではなかろうか、この二点であります。
いろいろ苦労していたわけでありますが、先月、二月の二十七日に緊急デフレ対策というものが出されまして、我々が悩んでおりましたこと等についていろいろ対応策というものが出されたわけでありますが、これはうまいぐあいに効果が出てくればいいなということを期待しているわけであります。
そのうちの一つは、まず信用保証協会の問題であります。
皆さん方御存じだと思いますが、例の平成十年の安定化特別保証制度、そのことについては私ども信用金庫が中心になってやったわけでありますが、そのことの高い評価をいただくということと同時に、いろいろ御批判もございました。何だ、金融機関の救済、返済に充当しているんじゃないかとか、あるいは政治家の先生方からのいろいろあっせん、紹介というようなものによってこの制度が悪用されているんじゃないか、あるいは、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ要らない資金を出して、そして企業に借り入れ負担を増加させているんじゃないか、こういうことがあるわけでありますが、あれの本来の趣旨というものは、緊急避難的な措置としてやったわけでありまして、時間の余裕を与えよう、これが基本的な趣旨だというふうに思っております。
平成十年につくった緊急避難的な措置ではあるけれども、まあ二年、場合によっては三年というような時間の猶予を与えれば、その間に企業そのものも、一生懸命やって企業の経営力をつけることができるだろう。それより以上に、二年、三年たてば景気もまあ何とか回復してくるんじゃなかろうか、二、三年の時間的な余裕を与えようということであの制度ができたというふうに思っておりますが、この時間的な余裕が十分活用できていない、御承知のとおりであります。
したがいまして、現在一番困っていることは、まず、ああいうものを中心にして、保証つき融資、借りたもの、どうも返せない、返済条件を変更、緩和してくれ、こういう要望がある。緩和してくれということになると、緩和したことによって、いろいろあるわけでございますけれども、債務者の信用度が落ちてしまう、格付が落ちてしまう、こういうようなことになってしまわざるを得ない。そういうようなことだと、ただ緩和するというようなことだけでなくて、もう少しその返済そのものに時間的な余裕を与える、こういうようなことの対策が必要ではなかろうかという気がするわけであります。
具体的には、例えば五千万借りていて二千万返したんだ、二千万これから返すというような場合に、やはりその二千万をただ返すということだけじゃなくて、それ相応の返済期限なり余裕期間というようなものを設けて、そして返済しやすい形に持っていく必要があるんじゃなかろうか、これがまず第一であります。
それからいま一つは、これは構造的な問題ということになるわけでありますが、先ほど来申し上げている中小企業の資本不足、そういうようなものに対応する資本増強融資というようなものも必要だろう。大企業になりますと、エクイティーファイナンスというようなことで、大企業は自分の力で資本を調達することができるわけでありますが、中小企業はなかなかできないわけであります。それを、どうでございましょう、二十年、三十年ぐらいの期間で、超長期のローンということでそれに対する資本相当分の融資を実施する、そして、その借り入れというようなもの等については、これを負債性資本ということで一方で見ていくということによって中小企業の財務内容をしっかり見ていくというようなこと等が必要ではなかろうか、こういう気がしているわけであります。
次に、金融行政にかかわる問題についてちょっとお話し申し上げたいというふうに思っています。
御案内のように、従来は大蔵省というところが金融行政をつかさどっていたわけでありますが、それが財務省、金融庁ということに分かれた結果、中小企業金融ということについての政策の立案、審議するポストが実はなくなってしまったというふうに見ております。言うなれば、従来、大蔵省中小金融課というようなことでやっていたところが全くないわけでありまして、財務省は財務省としての仕事をしている。金融庁は金融庁として管理監督の仕事をしている。中小企業金融について政策的にどういうふうにしたらいいだろうということを検討する機関が行政の中でどこも出てこない、こういうような状況になっているわけであります。
今、特に問題になっておりますのは、バーゼル委員会で新BIS基準というようなこと等が大きなテーマになっておりまして現在検討されているわけでありますが、そもそも、国際業務をやっているところに対する基準というものを我々のような国内だけでやっているところにそのまま持ってくるというようなこと等がどうなんだろうか、そのこと自体がいろいろな問題が発生することになるんじゃなかろうか。
先般、バーゼルの方へ参りまして、そういう点について、バーゼル委員会としてのリスク試算の見方について、中小企業に対する融資というもののリスクは全く違うんだということを強く訴えてまいりました。同じ百億の融資でも、一件に百億融資するというのと、百件に、千件に百億を融資した場合のリスクはどうなんだろうか。小口分散機能というものを十分に訴えてまいりまして、そして新バーゼル基準についても十分検討していただきたいということを言ってきたわけであります。
最後に、私ども信用金庫というようなものは、預金量からいいまして百兆円あるわけであります。貸出金も七十兆円あるわけであります。中小企業金融の重要性、そして特にその使命というようなものは非常に強いものだということを考えておるわけであります。
昨年、信用金庫法制定五十周年記念を迎えたわけでありますが、そのときに、今申し上げた信用金庫の役割、そして信用金庫の使命というものを内外に宣揚して、私ども、これから一生懸命中小企業金融に徹していきますから、どうぞひとつそれを御理解くださいということを発表したわけであります。
特に、私どもは、中小企業の発展なくして日本経済の発展はない、そして地域の発展なくしてこれまた日本経済の発展はない、この二つの観点から、中小企業そして地域に対して十分その機能を発揮していきたいというふうに考えております。
特に地域につきましては、地域の中に住み、地域で仕事をし、地域でいろいろなことをやっている、そういうみんなが集まって、これはそれぞれが地域を発展させる使命があるんじゃないか、地域を発展させようという志があるんじゃないか、そういう志を持っている同志が結束をして地域の発展のために努力をしていこう。私ども信用金庫は、その中核となって、推進力となってそのお手伝いをさせていただきたい、こういうような考え方でいるわけでございます。
とりあえずお話ししておきまして、何かまた御質問がございましたらどうぞお願いいたします。
以上であります。(拍手)