十市勉の発言 (経済産業委員会)

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○十市参考人 十市でございます。
 私は、エネルギー問題を研究している立場から、今回の公団廃止関連二法案に対する意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず最初に、石油公団が果たした役割とその評価という点について簡単に述べたいと思います。
 日本は大変石油依存が高い国でございまして、エネルギー、石油の安定供給ということは極めて重要な課題と申し上げるまでもありません。その面で、石油の自主開発あるいは備蓄、技術面での研究開発、こういう三つの柱を石油公団がこれまで果たしてきたわけでございます。その中で、石油を取り巻く、あるいはエネルギーを取り巻く環境の変化の中で、やはり安定供給と同時に効率性ということが非常に問われるようになったというふうに思っております。そういう点で、三つの点につきまして、私なりの評価について簡単に申し上げたいと思います。
 まず、石油開発政策の問題点ということでございますけれども、石油公団の開発に対しては、大変大きなロスが、損失が発生したということで、大変批判も浴びたわけでございますけれども、私なりにその原因等々を分析して、まず一つは、外的な要因としまして、原油価格が一九八五年から六年にかけて暴落をした、あるいは急激な円高が起きたということで、この時点で原油価格の円ベースで見た価格といいますのが四分の一ぐらいになった、こういう大変大きなリスクが発生したわけでございます。公団が支援をしたいろいろな開発プロジェクトに対して、そういうリスクに対する対応が十分なされていなかったという面がございます。円で調達をし、ドルにして投資をするわけですけれども、またそれを返済するのは円ベース、こういう問題もございます。
 それから、内的な要因としましては、成功払い融資制度の持った問題点としては、やはりハイリスクの事業でございますから、融資という借金でこういう探鉱開発投資をやるということ自体がもともと若干問題があったんではないかと思っております。しかも、七〇%、出資、融資を含めて、失敗した場合にはそのリスクを国が負うということで、それなりにやはり経営上の甘さもあった面も否定できないというふうに思っております。
 とりわけ大きな損失を生んだものとして、国家プロジェクト、いわゆるナショナルプロジェクトという問題がございます。非常に大多数の企業などが参加をして行う大規模な国家プロジェクトとしてやったものについて、経営上の責任体制という面ではやはり問題があったんではないかということが指摘できるんではないかと思います。
 それから、国家備蓄政策につきましては、民間の備蓄の義務と国家備蓄体制と、二本立てで日本の備蓄政策というのは進められてきたわけでございます。備蓄につきましては、日本にとって石油の安定供給、あるいはかつての第二次オイルショック、あるいはこの前の湾岸危機のときも、備蓄があったがために日本の国内でも大変冷静に対応できたという意味で、大変備蓄の重要性というのは評価できるわけでございます。
 ただ、これにつきましても、過去、民間の備蓄から始まり、国家備蓄ということで、日本の場合、国と民間がある程度協力しながら備蓄体制の政策を進めてきたわけでございます。その中で、現在全国八社で十カ所の国備会社があるわけですけれども、その効率性については、改善の余地が十分あり得るんではないかというふうに思っております。
 それからあと、研究開発につきましては、日本の石油開発分野における技術を十分確保しておくというのが、石油、ガスを含めて大変重要なことであると思います。
 ただ、この点について、日本の場合、どちらかといいますと自前主義といいますか、国内で全部開発をやっていこうというような面もあり、効率的な開発が行われたかどうかについては、これから改善の余地があるんではないか。特に、この技術につきましては、実際に油田開発、ガス田の開発を行っていないとそういう必要な技術開発も進まないということ、これが日本の持っている弱点として、欧米のメジャーなどに比べてその辺のハンディがあるということは否めないと思います。
 それでは、今回の制度改革に対してどう考えるかという点について、次に申し上げたいと思います。
 最近の国際石油情勢に対する基本的な認識としてでございますけれども、石油につきましては、この十年ぐらい、お金さえ出せば買える、そういう認識がかなり広がったわけでございますけれども、昨今の九・一一の同時テロ事件、それを契機とします中東地域の不安定な状況を考える、あるいは昨今ですと、アジアの開発途上国、とりわけ中国が大変な勢いで石油の輸入拡大をしております。これからもそういう状況が続いていくということを考えますと、やはり石油といいますのは、戦略商品あるいは政治的な要因で非常に大きな影響を受ける商品であるということは言えようかと思います。
 そういう中で非常に注目されますのは、この数年、三年から四年の間に、国際石油産業におきましては、御承知のように大変な勢いで大型の合併、買収が進みました。石油メジャーと呼ばれる企業間の大型合併が起こり、今やスーパーメジャーと呼ばれるエクソン・モービルですとかあるいはBP、シェルあるいはトタールフィナ・エルフ、シェブロン・テキサコというような五つぐらいの大グループが一挙に誕生したということでございます。
 同時に、産油国の国営石油会社、例えば中国ですとかあるいはインドですとかマレーシアというような途上国においても、国営石油会社をできるだけ民営化の方向に持っていき、国際的に競争できる強い企業をつくる、こういう動きが具体的に実現しております。そういう企業が国、政府と一体となって産油国に出ていっている。中国などは積極的な資源外交ということを進めているわけでございまして、そういう状況が一段と鮮明になってきたということが言えようかと思います。
 そういう観点を踏まえて、今回の石油公団の廃止関連二法案に対する評価ということになるわけでございます。
 まず、開発政策につきましては、政府の関与を従来に比べて縮小する、特に融資についてはそれは行わず、出資で五〇%という形になっておりまして、非常にリスクの高い探鉱事業に対して、リスクマネーの供給というのは国が引き続き行う、ただし、そのやり方については、効率性ということも踏まえ、ある程度縮小といいますか、若干国のリスクの負う比率を小さくするという点については、私は妥当ではないかというふうに思っております。
 開発につきましては、債務保証についても引き続き行っていくということで、やはり開発には大変膨大な資金が要りますから、先ほど申し上げたような巨大な石油企業などとある程度伍して、一緒に組んだりやりながらやるには、そういう開発についての債務保証も必要ではないかというふうに思っております。
 この石油開発政策について、やはり何よりも重要なのは、先ほど申し上げましたように、国際的な競争力を持った中核的な企業というものが日本でも一つか二つか、これはわかりませんけれども、少なくともそういうものが必要ではないかというふうに思っております。
 そういう意味では、今後のあり方としては、現在、ある程度優良な企業を統合化して、その後民営化をしていくということが必要ではないか。ただし、その際、開発事業というのは大変リスクの高い事業でございまして、専門性というのが極めて要求されるわけでございますから、新しいそういう企業の経営については、プロの経営者を登用するなど、思い切った経営体制の刷新というのが絶対、必須条件ではないかというふうに思っております。
 それから、石油備蓄政策につきましては、今回の制度改革で、国家備蓄の政府直轄化、それから国家石油備蓄会社の廃止ということが盛り込まれているわけですけれども、私はこれは、先ほど申し上げた備蓄体制の効率化という意味では極めて適切ではないかというふうに思っております。
 ただ、石油備蓄について、ただ持っているだけということではなくて、これからは、石油市場が非常に不安定、価格の乱高下が起きているということもあり、石油備蓄の機動的、しかも弾力的な運用ということも、国家資産になるわけですけれども、そういうものがある程度担保されるような方式も考えるべきではないかというふうに思っております。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

speech_id: 115404080X02520020702_002

発言者: 十市勉

speaker_id: 15870

日付: 2002-07-02

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会