佐々木宜彦の発言 (経済産業委員会)

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○佐々木政府参考人 おはようございます。原子力安全・保安院長の佐々木でございます。
 このたびの東京電力におきます不正記録等の問題に関しまして、原子力に対します国民の信頼を根底から揺るがすこととなりました。
 本件に関しては、基本的に、東京電力の企業倫理あるいは技術者倫理の問題に帰するところが多いわけでございますが、しかし、一方、安全規制そのものにつきまして、検査のあり方も含めまして、安全規制のあり方に関しましての多々反省するべき点も多かったと思っております。
 今回、十月一日までに、事案の事実解明、それから、私ども原子力安全・保安院が調査をいたしました申告から公表までの二年間の調査過程に関する検証、それから、今後の再発防止対策、この三つにつきまして十月の一日に公表をさせていただきまして、今全力で今後の対応に取り組んでいるところでございます。
 本日は、先生方に配付させていただきました資料の中で、表題が「原子力発電所における不正記録問題等の調査結果と再発防止について」という五枚紙がございます。これに沿いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 この資料の四ページでございますけれども、「これまでの経緯等」というのがございます。
 まず、東京電力の原子力発電所における不正等に係る二十九件の事案の概要ということでございますが、東京電力の福島第一、福島第二、柏崎刈羽の各原子力発電所のうち十三基の原子炉に係る自主点検記録について不実記載等の二十九件の不正の疑いがあることが原子力安全・保安院の調査により判明をいたしたわけでございます。
 これらは、国が直接立ち会って検査する対象ではなく、原子炉の安全性に重大な影響を及ぼすものではないわけでございますけれども、ただし、機器のひび割れ等が現在も残っている可能性のある十一件につきましては、念のため当省が安全評価をいたしまして、直ちに原子炉の安全性に重大な影響を与える可能性はないと判断をいたしまして、八月二十九日にその結果を公表したものでございます。
 シュラウドにひび割れの疑い等のある運転中の原子炉として、福島第一の四号機、あるいは福島第二の二から四号機、柏崎刈羽一号機は、電気事業者の自主的な判断により順次運転を停止いたしまして事実の確認を行うことにいたしておりまして、また、その際、保安院の検査官が立ち会いを行うということにいたしているところでございます。
 調査の経緯でございますけれども、平成十二年の七月でございました、当時の通商産業省に対しまして、米国GEの子会社の元社員から、点検記録の書きかえなどの不正が行われた旨の申告を受けたわけでございます。当時、当省として、直ちに東京電力に連絡するとともに、さらに申告者から新たな申告案件一件を追加情報として得たわけでございます。その後、数次にわたり事実関係の確認を求めてきたわけでございますけれども、調査は極めて難航をしてきたわけでございます。
 当省は、十三年の十一月ごろでございますが、作業を行ったGEの子会社に対しても調査の協力を要請しました。ことしの十四年一月から申告者の情報の裏づけ情報を徐々に入手いたしまして、より確実な裏づけを得ました。改めて東京電力に対して追及を行ってきたわけでございますが、東京電力は、八月に入りまして、申告の案件二件を含めまして不正の疑いがある二十九件があることを認めまして、関係する原子炉の名称等を当省に開示したわけでございます。
 こうした経緯をたどりまして、私どもは、立入検査の実施、東京電力からのいろいろな事情聴取を踏まえまして事実関係の解明に努めまして、「中間報告(案)」を十月一日に取りまとめたところでございます。
 この結果は、一ページに戻っていただきたいのでございますけれども、「経済産業省の調査結果」ということでございます。
 この二十九の事案につきまして分析と評価を行いました結果でございますが、まず、技術基準適合義務等を遵守していなかった可能性のあるものが六件ということでございますけれども、これは、炉心の中に円筒状のシュラウドという構造物がございますけれども、発見されたシュラウドのひび割れに関して、電気事業法の三十九条に基づく技術基準に適合しているか否か事業者として確認すべきであったにもかかわらず、その確認及びその傷の進展に関する評価や継続的な監視の記録等を適切に行わず放置していた、こうしたことから、技術基準に適合しているとの確証が得られない事例があったわけでございます。したがいまして、技術基準を遵守していなかった可能性がある、こういうものと、さらに、関係法令に定められました書類保存義務を果たさなかった可能性のある事例として六件という評価を行いました。
 また、国の通達で国に対して報告すべきことが定められた原子炉の運転に関する重要な機器に対します機能低下、あるいはまた、そのおそれがある故障が生じた場合に該当する可能性があった場合でございますけれども、報告における発見日として事実が起こった日と異なる日付を記載するなどの事例がございました。
 また、私どもは、トラブルがございますと、そのトラブルを水平展開ということで各原子力発電所に反映するというようなことをやっておりますけれども、こうした問題が発生しているにもかかわらず国への報告をしなかった事例として五件という評価をいたしております。
 さらに、事業者の自主保安のあり方として不適切な対応でなかったかということで指摘をいたしたものが五件ということでございます。
 一方、1の(3)でございますけれども、東京電力に、本店への立ち入り、発電所への立ち入りを行いましたが、この本件の事案に関しまして、私どもの評価といたしましては、特に東京電力の社内体制につきましては、いわゆる各部門の間の内部の連絡、部門間相互のチェック体制あるいは全社的な監査体制などが十分に機能していなかったことが私どもの聞き取りでも明らかになりました。このため、品質保証システムが機能せず、過去の保守点検作業の結果につきまして事後的な確認が困難となったり、あるいは関係部門間で共有しておかなければならない情報が共有されない結果となった可能性があります。
 また、こうしたことが、情報を公開した場合、その後の対応が必要になることについての懸念、こうしたことと相まちまして、極端な場合には記録の改ざんや隠ぺいにつながる要因になったと考えております。
 また、今回、私どもの調査を行う過程におきましては、過去の点検記録などについて十分な確認ができない場合もございました。しかしながら、全体の、今回の二十九の案件につきましては、事実の解明について、中間取りまとめではございますが、一応の取りまとめができたというふうに考えております。
 それから、一ページの2でございますけれども、「新たに国に報告された案件」といたしまして、東北電力、東京電力、中部電力、日本原子力発電の発電所のそれぞれの事案におけるひび割れ等でございますけれども、これにつきましては、当省といたしまして、法律に基づく報告徴収あるいは立入検査を実施いたしまして調査を行いました。その結果、明白な不正はなく、安全性評価も実施されているということでございましたが、評価としては、国への報告が望ましかったと考えております。これらにつきましては、引き続き、関係資料の内容を詳細に分析し、事案の解明に取り組んでいく方針でございます。
 二ページをごらんいただきたいと思います。「東京電力に対する行政措置」ということでございます。
 先生方のお手元に、「経済産業省」と書きまして、経済産業大臣平沼赳夫名で東京電力南社長あての指示文書が入っておりますけれども、当省といたしまして、東京電力において品質保証システムが適正に機能していなかったこと、とりわけ全社的なチェック、監査体制が十分機能していなかったことを重く受けとめ、十月一日、東京電力に対して、このような事案を発生させたことについて厳重に注意を行いました。また、あわせて、規制上の立場から、特別厳格な保安検査の実施あるいは定期検査の実施等の行政措置を講じることを文書にて指示をいたしたところでございます。これが事実関係でございます。
 二つ目は、二ページの「外部委員会による評価及び改善策の提言等」ということでございますが、これは、東京電力の点検記録等不正の調査過程に関する評価委員会、委員長は前原子力安全委員長の佐藤一男先生にやっていただきましたが、この評価委員会の調査結果によりまして、私どもの行政の行為につきまして一つ一つ検証が加えられ、結果といたしまして、規制として多々反省すべき点があると厳しい指摘を受けているところでございます。
 この評価委員会の方では、総合的な評価といたしまして、こうした事案におけます最も大きな責任は、自主点検記録の不正等を行った東京電力にあるが、同社は社内モラルの再確立や組織体制の改革に取り組み、再発を防止することが何よりも必要である。同時に、保安院により二年間にわたって行われた調査についても、以下に述べるように反省すべき点が多々ある。この本件事案の処理に当たりまして、保安院が、特に技術面を中心とした安全確保の観点から対応してきたが、原子力安全行政に対する信頼の確保、すなわち行政の説明責任に対する認識が不十分であったことに起因するものである。保安院は、本件事案の反省に立った改善策を十分に検討し、早急に具体的な対策を講じていくことが必要であると厳しい御指摘を受けているところでございます。
 指摘の状況につきましては、(1)に「反省すべき点が多々ありと指摘」ということで、1から5まで書いてございます。
 一つは、初期動作、調査手順に関する問題でございますが、早い段階で申告者やその関係者への直接接触を行わなかったことは、調査手順上、問題である。申告者の個人情報保護については、氏名に関する情報など、調査に必要でない情報や個人のプライバシーに関する情報を東京電力に示したことは極めて不適切である。法律に基づく調査権限の行使ということをもっとより早い段階で行使すべきであった。調査期間の間延びについても、さらに期間が短縮できる余地があった。また、より早いタイミングで公表しようという基本姿勢が希薄であったというような御指摘を受けているところでございます。
 また、今後の再発防止等の対策といたしまして、特にこの委員会で御指摘をいただきましたのは、申告があった場合には、それが重大な事故につながる可能性のある事案を早期に発見できる端緒と認識して、その上で、すべての申告案件について、特に安全性及び違法性の両方の観点から、迅速かつ機動的に調査を行うことが求められるという御指摘を受けております。
 そういうことで、保安院が行う調査を監督、指導助言する機関として、外部有識者から成る申告調査委員会を十月八日から立ち上げたところでございます。
 なお、本件に関しましては、調査過程において問題があったということで、当省の、私も含めて関係者が処分を受けております。
 次に、「再発防止策の検討」でございます。
 これにつきましては、原子力安全規制法制検討小委員会、委員長の東京大学教授の近藤駿介先生が取りまとめられたわけでございます。これにつきましては、今回の事案に関しまして、国側の要因として、規制のルールが不明確な部分があるとか、いろいろな御指摘を受けたところでございます。
 そこで、再発防止の検討については、1から7まででございますけれども、今後、原子力安全規制のルールの明確化ということで、事業者が行う自主点検につきまして、記録の保存義務づけあるいは国の審査の導入ということが必要である。二つとして、設備の健全性評価の義務づけと評価基準の明確化が必要である。それから、組織的な不正行為に対する罰則の強化、事業者の安全確保活動における品質保証の確立の義務化、申告制度の運用改善、また、情報の公開、原子力安全規制行政体制の一層の充実という指摘を受けております。
 私ども、こうした再発防止策を受けまして、今後、早急に電気事業法の改正、技術基準の整備、原子力安全規制行政体制の充実、申告調査委員会の運営等に取り組んでいきたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
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発言情報

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発言者: 佐々木宜彦

speaker_id: 9752

日付: 2002-10-11

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会