酒井清行の発言 (経済産業委員会環境委員会連合審査会)

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○酒井参考人 日本ELVリサイクル推進協議会の酒井と申します。
 私どもは、北海道から沖縄まで全国四十一都道府県の千二百七十社の解体業者の団体でございます。
 本日は、私ども解体業者のために発言の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございました。私どもの立場から今回の自動車リサイクル法案を見たときにどう考えるかということについて、述べさせていただきます。
 自動車解体業者は、全国に五千社あると言われておりますけれども、今まで余り社会の制度の中に組み込まれることなく、比較的目立たない存在で、しかし自動車リサイクルという部分においては欠くことのできない役割を果たしてきたんじゃないかというふうに考えております。
 特に、零細が多くて、私どもの調査では平均従業員数が七・七人という数字が出ておりますけれども、これはアンケートの回答者が若干偏りがあるということで、多少大目な数字が出ているんじゃないかというふうに思います。実際のところは、大体四、五名ぐらいが平均的な数字ではないかと思います。
 この解体業者、五千社の解体業者が、それぞれの経営者としての一つの自覚を持って、それぞれが、小さいながらもみずからの企業を何とかしようという形で努力しているというその機能は、全体からすると非常に大きな役割を果たしているんじゃないかというふうに思います。
 特に中古部品について私ども解体業者は役割が大きいと考えるんですが、この中古部品というのはなかなか、例えば、欲しい、ニーズが高いものを幾らでも供給できるというものではございませんで、欲しいものはなかなか見つからないというような現実があります。したがって、発生してきた使用済自動車の中からできるだけ多くの中古部品を活用していくというには、それなりの経験それから販売ルート、人脈等々が必要になります。こういったことに全国五千の、それぞれ小さいながらも経営者の自覚を持った人間が携わっているという機能は、自動車のリサイクルにおいては相当大きなものがあるんじゃないかというふうに思っております。
 特に、日本は国土が狭くて走行キロ数が伸びません。年間平均一万キロぐらいと言われておりますけれども、ということは、近年、自動車の性能が向上したということに伴って余り自動車が壊れなくなっているということが言えるかと思います。そのために、比較的中古部品の需要が余り伸びないというような現象が、特にアメリカなどと比べると言えるのじゃないかというふうに考えております。
 そういった中古部品市場における自動車解体業者の役割というものをまずこの委員会で委員の先生に御認識いただければ幸いというふうに思っております。
 次に、我々の自動車解体業者が置かれている現状というようなものについて申し上げさせてもらいます。
 いわゆるプラザ合意以降の円高によって、特に鉄スクラップの価格が非常に低迷してまいりました。殊に平成十年以降においては、ほぼ昭和二十五年ころの価格統制時代の平均価格に近いレベルになっております。また、九〇年以降のバブル崩壊によって新車の販売台数が現在二五%近く落ち込んでいるということで、使用済自動車の発生も非常に少なくなっているというような現状があります。
 こういったことで、使用済自動車の発生が非常に少ない、玉不足の状態が続いております。したがって、各解体業者は仕事量の確保のために仕入れ競争を強いられているというのが現状かと思います。
 特に、自動車の流通過程において、使用済み車両になった以降は、それぞれ売り手側がより大きな影響力を持つという売り手市場になっているというような特徴がございます。そういった状況に置かれている解体業者は、鉄スクラップの下落あるいはその適正処理の費用の高騰というようなことにより、いわゆる排出業者から費用をいただかなければ業として成り立たない逆有償の時代が続いております。それにもかかわらず、使用済自動車の発生の少なさということが、適正なる処理料金をいただけないというような状況を生んでおります。
 適正な処理をしたい人が、費用が出ないためにできずにいる。それから、適正な処理をしているかどうかということが検証できないような結果になっているということで、リサイクル・イニシアティブとか事前選別ガイドラインといった行政による指導にまじめに従おうという業者がだれからも評価されない。むしろ指導に従わない業者の方がより競争力が強くなるというようなことで、悪貨が良貨を駆逐するような現状が起きているということが言えるかと思います。
 こういった今の状況を打開するためには、私どもとしては、きちっとしたルールを設けて、ルールから外れた者にはそれに応じた制裁が加わるというような仕組みが不可欠じゃないかというふうに考えております。そして、そのルールというのは、やはり自動車という商品特性を特に配慮したルールであるべきだということで、今回の自動車リサイクル法の制定については、基本的には私どもは賛成の立場におります。
 新しい制度は、既存の関連業界の活用ということを前提に置いて、適正処理のための費用の一部を制度によって保証していこうということで、特にこの既存の業界の高度活用という考え方については、私ども零細業者が多い自動車解体業界にとっては、業界の死命を制するとも言える重要なポイントだというふうに考えております。
 現状の不公平な競争、非常に厳しい経営を強いられている私どもからしますと、できるだけこの法律を制定していただいて施行していただけるようお願いしたい。そうしないと、環境に対する負荷がますます大きくなり、まじめな業者がますます経営が苦しくなるというようなことが進んでしまうということを御理解いただきたいというふうに思います。
 今回の法案で、適正処理対象物のうちで、フロンとエアバッグ、ASRという三品目が制度の対象として取り上げられました。これは非常に私どもにとってもありがたいことで、高く評価するものですが、このほか、この三品目だけでいいのかというと、私どもはそうではないんじゃないかというふうに考えております。まだまだその対象として考えていかなければいけない品目があるんじゃないかというふうに考えておりまして、それらについては、今後、流通のインフラを整えながら検討を加えていくことが重要なんじゃないかというふうに考えております。
 シュレッダーダスト、いわゆるASRがごみになってしまうのは、基本的には、あれはいろいろなものを一度にまぜてしまうからだというふうに考えます。あれをきちんとアイテム別、物質別に分ければ、資源として使える可能性はまだまだあるんじゃないか。経済性が伴うか伴わないかということが問題なわけですけれども、技術的にはそういうことが言える。その分ける仕事というのは、私ども自動車解体業者が一番安く、確かに、的確に行うことができる立場にいるんじゃないかということを申し上げたいと思います。
 法案の中では、自動車解体業者あるいは販売店あるいは自動車メーカーさんといったそれぞれ企業規模の相当違う関連業界同士がお互い連携をとらないと、制度がうまく回らないというようなことになっております。これらの隣接する関連業界が率直に意見交換できるような、例えば、どの業界にも属さずに公平な判断ができるような方を含めた常設の連絡協議会のようなものが必要なんじゃないかというふうに考えております。今後の検討をお願いしたいというふうに思います。
 それと、法案第三十四条には、指定回収物品の再資源化及びフロンの破壊、それらの回収料金について自動車製造業者が定めるということが義務づけられておりますけれども、これらの実務をするのは、私ども自動車解体業者であります。この料金設定に自動車解体業者の意見が反映されないというようなことは、私どもは不合理ではないかというふうに考えております。私ども解体業者の、実務側の意見が反映できるような仕組みにお考えいただきたいというふうに考えております。
 それと、八十二条では、移動報告の方法について電子情報によるという規定がございますが、これは、膨大な情報量を管理して不適正な流通及び処理を排除するためには、全く欠くことができないシステムだと思います。
 ただ、いかんせん、自動車解体業者は、関連業界の中でも一番IT化のおくれている業界ではないかと思います。したがって、我々はこれに前向きに取り組むんですが、そのための準備にいろいろ御支援をいただければというふうに思います。例えば、ITに対する教育それから情報端末の導入などについての応援をしていただければありがたいというふうに思っております。
 日本ELVリサイクル推進協議会では、インターネットを使った解体業者同士あるいは解体業者と需要者を結ぶオープンな情報交換システム、ELVインフォメーションシステムと申しますが、略称ELVISと申します、これを開発して、昨年の九月から運用を始めております。こういった私どもの活動にも御理解を賜って、政府からも応援をしていただけるようお願い申し上げたいと思います。
 それと、法案の六十二条第一項では、解体業の許可基準を主務省令によって定めるということがうたわれておりますが、今現在、私どもは、都市計画法に関する問題を抱えております。
 解体作業をする上では、やはりどんなに細心の注意を払っても、いろいろ液類が作業場に漏れたりということがあります。そのために、例えば床のコンクリート化、不浸透化あるいは排水処理施設等々必要だと思いますけれども、雨の多い日本では、やはり作業場の屋根ということも、実際、快適な作業環境を確保する、あるいは環境を守るといった上で非常に重要なことかと思います。
 ところが、私どものアンケート調査によりますと、全体の約四〇%の事業者が市街化調整区域に立地しているということがわかりました。御承知のように、この市街化調整区域においては建築が制限されておりまして、なかなか作業場に屋根がかけられるような環境にならないといったことが非常に大きな問題となっております。
 これに関しては、現在、廃棄物処理法による許可を取得している業者が千六百社余りいるわけですけれども、これは各自治体さんの判断によって、屋根がなくても許可をとれている地域、あるいは屋根がないために許可がとれない地域、あるいは雨の日は作業をしないというような条件で許可をとれている地域等々、自治体のさまざまな対応によって法律の公平性というものが損なわれているという現状があります。
 したがって、解体業者の許可基準に関しては、環境を守るということを第一にお考えいただいた上で、これに障害となる既存の制度に関しては、環境を守ることを第一にお考えいただいた上で、適正なる運用をお願いしたいというふうに考えております。
 最後に、許可基準についてもう一つ申し上げたいことは、もちろん環境を守ることが大前提となって基準が設定されるのは当然のことでありますけれども、施設が幾ら立派でも、作業内容やそれに伴う管理がついていかなければ、結果的には環境に負荷を与えてしまうことになります。例えば、油水分離槽を高いお金をかけてつくったとしても、作業が全くオイルの垂れ流しであり、あるいは油水分離槽の管理もされないとすれば、これは環境を守ることにはなりません。
 したがって、施設基準というのはお金がかかる基準ですけれども、これについては私ども自動車解体業者の体力というものに十分御配慮いただいた上で、必要にして最小限のものにとどめていただき、作業基準とか管理基準というものを併用した上で、適正なる処理と公平な競争ができるような基準にしていただきたいということが最後のお願いでございます。
 本日は、御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 酒井清行

speaker_id: 25970

日付: 2002-06-04

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会環境委員会連合審査会