春名直章の発言 (憲法調査会)

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○春名委員 日本共産党の春名直章です。
 沖縄地方公聴会に参加して実感し、本調査会に問われていることを述べてみたいと思います。
 一つは、沖縄こそ憲法の実現を切実に求めているという、このことであります。
 地上戦で十万人を超える県民の犠牲者を生み出した沖縄。戦後も二度にわたって、銃剣とブルドーザーで米軍に土地を奪われ、長年憲法が適用もされなかった沖縄。七二年返還後も、憲法の光は当たらず、基地の島として、平和と人権が脅かされてきた沖縄。
 県民は、今日まで一貫して、日本国憲法の理念を享受されることなく生き抜いてきたと思います。憲法がないがしろにされてきたのが沖縄の現実でした。公聴会で、憲法前文と九条を守り、生かすことこそ、沖縄の現実が求めているとの発言が相次いだのは当然だったと思います。
 山内陳述人は、平和憲法は、沖縄戦を初めとする戦争の地獄を体験した日本国民の平和への願いが集約したもの、九条は日本国民にとって命そのもの、二十一世紀の人類の針路を示すものと述べられました。
 新垣陳述人も、憲法の非武装平和主義、個人の尊厳こそ、沖縄の地上戦で得た最大の教訓であると発言をされました。
 稲福陳述人も、高校三年間のボランティア活動を通じて、学ぶことは権利であり、憲法に学習権が保障されているからこそ、沖縄にある米軍基地の実態について学ぶことができたと述べられました。
 憲法理念の実現は道半ば、これを守り、全面的に花開かせることこそ、今政治に問われている根本問題だということを痛感させられます。
 ところが、本調査会では、憲法をないがしろにしてきた現実政治について掘り下げた議論がなく、ゆがんだ現実の方に憲法を変えてしまうという発言も少なくありません。まさに大きなギャップがここにあります。改めて、憲法が沖縄でなぜ実現していないか、その政治の実態を真摯に調査することが必要です。
 二つ目は、沖縄から見た有事法制の問題です。
 新垣氏は、日本が世界に率先して平和外交を展開し、武力紛争が起こらないようにすることが最大の備えであること、有事法制について、武力攻撃のおそれ、予測などのあいまいな要件で自由や人権を制限する仕組みとなっていると批判をいたしました。山内氏も、有事法制は、憲法体制そのものを無視し、戦争体制の具体的準備と批判いたしました。傍聴者からも批判の声が続出いたしました。
 沖縄県民が有事法制を拒否していることがはっきりしたと私は思います。それは、地上戦の生々しい経験から、軍隊は決して住民を守らないこと、武力による平和はあり得ないことを県民みずからが体験してきたからにほかならないと思います。
 この事実は極めて重いと思います。日本国憲法は、侵略戦争への深い反省から、国権の発動たる戦争、武力の行使、威嚇を禁止するだけではなく、常備軍を禁じ、平和外交によって日本国民の安全を守る、平和共存の道を進むことを世界に宣言いたしました。すなわち、有事イコール戦争を起こさない、平和の努力を行うことを政治そして私たち国民にも求めています。この日本国憲法の世界に先んじた平和原則を突き崩し、戦争をしない国から戦争を進める国づくりへと変貌させてしまう有事法制は、現行憲法のもとでは断じて許されないものであることを指摘しておきたいと思います。
 最後に、新垣氏が、沖縄での公聴会は、沖縄の体験、戦後二十七年に及ぶ米軍統治、復帰後も居座る米軍などの沖縄の実態を踏まえたものでないと意義がないと述べたことは大変重要です。今後、この指摘を真摯に受けとめた調査が極めて大切だと思います。そうしなければ、公聴会翌日の琉球新報が「傍聴記」として掲載した、改憲を目指した活動の一環として、国民の声を聞いた形を整えるというアリバイづくりの印象という批判に耐えられないと思います。そのことを強く申し上げまして、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 春名直章

speaker_id: 1215

日付: 2002-04-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会