山口富男の発言 (憲法調査会)
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○山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
沖縄の地方公聴会で、公述人の方から憲法の平和主義などについてこもごも発言があったという報告を受けました。私も、日本の憲法が、日本の国の安全保障、平和と安全の問題でどういう構想をしたのかということについて発言してみたいと思うんです。
世界の憲法と比較したときに、日本の憲法の特徴の一つは、世界の平和と安全を目指すという立場を明確に示しながら、その中で私たちの国の平和と安全についてしっかりした構想を持ったことにあったというふうに思うんです。
それで、きょうは委員の方々から憲法の前文がたくさん紹介されましたけれども、そこでも既に触れられていることですが、憲法の前文は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意して、その上で、先ほども紹介されましたけれども、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」このように、バランス・オブ・パワーの考え方をとらずに、諸国民の公正と信義に信頼して我々の国の平和と安定に向かうんだということを示したことは非常に重要だったと思うんです。
しかも、それは待ちの姿勢じゃなくて、積極的に世界に働きかけるということで、自国のことのみに専念するんじゃなくて、他国との関係においてきちんとした努力をするんだという積極的な平和主義の立場を打ち出しました。そして、それを国内できちんとさせるために、九条に込められた国権の発動としての戦争の問題ですとか、それから、常備軍を持たない問題や、戦争放棄にかかわる一連の規定が生まれたわけですね。
このように、日本の憲法というのは、平和と安全の問題についていいますと非常にきっちりしたものを示していて、しかも、それは第二次世界大戦という、日本だけでなくて、アジアと世界が受けた強烈な経験のもとで新しい安全保障の方向を打ち出した非常に大事なものだ。そこに、日本国憲法が世界の平和に努力しながら、軍国主義を清算して、非軍事に徹するという安全保障の中心内容があったというふうに思うんです。しかもそれは、憲法の場合は、単に日本国内でそのことを宣言しただけでなくて、それが国際社会に日本が復帰していくときの一つの公約にもなっているという点も今日重要だと思います。
しかし、残念なことに、戦後の憲法制定後の現実政治というのは、自衛隊がつくられ、それから日米間の軍事同盟の存在によって、憲法の求めた構想とは異質のものになったと思います。
先ほど、混乱の状態があるというお話もありましたけれども、それは憲法に混乱があるのでなくて、それと反する状態が生まれたところに一つの矛盾があるわけですから、それを二十一世紀に解消していくというのが政治の務めだというふうに思うんです。
私は、その点で、政府の提出しております有事法制三法というのは、日本を守るという次元のものではなくて、アメリカが戦争状態に入ったときに、そこに日本の国民を巻き込んでいくということになるわけですから、これは私たち、戦争国家法案だという批判をしておりますが、今後、大いにこの国会の中でこの点の議論を進めてまいりたいというふうに思います。
きょうは、私、有事法制の問題でアジア各国から警戒と強烈な批判の声が起きているということについて、時間が参りましたが、憲法論でいいますと、二つのことを注目すべきだと思うんです。
一つは、今度の方向が憲法に反するじゃないかという声が非常に強いということと、もう一点は、イギリスのフィナンシャル・タイムズも報道していますけれども、これは日本において、アジア各国に対して侵略戦争の反省の問題がきちんと座っていない、この両方から来る批判と警戒の声だという論評があります。私も、その点は憲法の問題としてきちんと踏まえていく必要があるというふうに思うんです。
憲法の精神は、軍事優先でなくて平和優先で物事に対応するということですから、北東アジアの平和と安定の問題でも、北朝鮮の問題でも、台湾の問題でも、そういう対応でやってこそ初めて前向きの解決ができるというふうに思うんです。その点で、私たちの国の憲法は、アジアと世界の平和の展望の点で生きる大きな力を持っているわけですから、その方向で大いに議論をしたい。
それから、最後に一点だけ。常設化の問題なんですけれども、これは各委員会が憲法に基づいてきちんとすべきことですので、この調査会自体を常設化の方向に持っていくという方向については、私ども賛成いたしません。
ありがとうございました。