春名直章の発言 (憲法調査会)

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○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 まず、札幌地方公聴会について申し上げたいと思います。
 最大の特徴は、陳述人の大多数が、憲法第九条を日本の平和を守ってきたものとして高く評価するとともに、今後も日本の平和と安全の道しるべとして一層重視すべきという立場を表明したことです。そして、憲法違反の有事法制への深い疑念も語られました。
 結城陳述人は、九条は我が国の平和と繁栄の基礎をなすもので、世界に誇りを持って提示し得るものであるとの意見が出されました。馬杉陳述人は、九条の理想的な平和主義は先駆的で、二十一世紀にこそ真価が発揮されると強調しました。
 北海道は、恵庭事件や長沼訴訟などがあり、今日では矢臼別での米軍実弾演習が行われています。憲法九条と安保条約をめぐって非常に鋭い対決があるところでもあります。同時に、憲法違反の有事法制が国会で審議されているさなかであったことから、それが、地方公聴会では九条を守り、生かすべきとの声となって反映したものだと思います。
 外務省が三月に行った世論調査でも、日本の平和と安全を守っているのは平和憲法との答えが六四%と、最も多いものとなりました。ここにも、九条への国民意識が示されています。二十一世紀の平和と安全は、九条を投げ捨てるのではなくて、逆に九条を生かし切ることこそ重要だということは疑いありません。
 第二に、憲法に示された先駆的な規定に沿った政治こそ今求められているということ、そして、現実にはその理念が生かされていないことがさまざまな具体的事実に基づいて改めて明らかにされました。
 九条だけではなく、アイヌの人権保障とこれまでの政府の怠慢を告発した田中陳述人、女性への就職差別や暴力など、法のもとの平等を現実化する努力こそ重要と強調した佐藤陳述人、国家主権の回復の問題として食料自給率の向上を述べた石塚公述人などなどです。本調査会として、こうした国民の率直な声に真っすぐに耳を傾けなければなりません。
 基本的人権小委員会で感じたことですが、日本の人権状況についての調査がいよいよ大切になってきているということを感じます。連合事務局長の草野参考人は、労働三権が憲法で保障されたにもかかわらず、いまだに公務員には争議権が認められず、公務員制度改革でも後回しになっていることを強く批判いたしました。こうした問題は、他の人権規定でも同様であります。
 逆に、防衛庁の情報公開請求者のリスト化問題、個人情報流出の危険を飛躍的に高める住民基本台帳ネットワークシステムの稼働など、憲法の規定した三十一カ条にわたる豊かな人権条項が、目の前で一層踏みにじられている実態が進んでいることを直視しなければなりません。国連も、国際人権規約の規定の多くの部分が既に憲法に規定されているにもかかわらず、国内法が未整備であったり、実現していないことに懸念を表明しています。
 小委員会では、プライバシー権、その他新しい人権についての意見もありました。こうした現実に起こっている人権問題、憲法と現実との乖離の実態とその原因などをしっかり調査してこそ、新しい人権の問題も地に足がついた調査になると考えます。
 今日の日本の人権状況は、憲法に明文規定があれば必ず保障されるということを意味しておりません。現行憲法が守られていない状態を放置したままで、幾ら条文をいじったり外国の憲法を参考にしたところで、国民にとっては空疎な議論にしかならないのではないでしょうか。
 地方自治小委員会では、多くの参考人が憲法第八章に地方自治の章が盛られた意義を評価し、これを二十一世紀に生かすという立場が表明されたことは大変重要でした。住民自治、団体自治という地方自治の本旨の内実を一層豊かにすることがこれからの大きな課題で、それは、ヨーロッパ地方自治憲章など、世界の流れに沿ったものだと思います。実際、それぞれの現場ではその努力がなされていることに目を向ける必要があります。
 鳥取県の片山知事は、鳥取県西部地震への対応の際、憲法に保障された人権を守り地域を守るためには住宅再建がかぎとの立場で、再建資金をダム建設の中止によって捻出した経験を述べましたが、教訓的でした。
 こうした自治の内実を豊かにしようとする努力をしている活動を、憲法調査会としてしっかり調査することがこれから重要です。そこから離れた、住民の意向を無視した上からの市町村合併、道州制の導入論は、地方自治の本旨の実現にとって逆に有害でありまして、自治をゆがめるものとならざるを得ないことを述べまして、私の発言といたします。

発言情報

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発言者: 春名直章

speaker_id: 1215

日付: 2002-07-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会