憲法調査会
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会
会議録情報#0
平成十四年七月二十五日(木曜日)
午前九時二分開議
出席委員
会長 中山 太郎君
幹事 高市 早苗君 幹事 中川 昭一君
幹事 額賀福志郎君 幹事 葉梨 信行君
幹事 保岡 興治君 幹事 島 聡君
幹事 中川 正春君 幹事 中野 寛成君
幹事 赤松 正雄君
伊藤 公介君 伊藤 達也君
奥野 誠亮君 高村 正彦君
近藤 基彦君 谷垣 禎一君
谷川 和穗君 土屋 品子君
中曽根康弘君 中山 正暉君
長勢 甚遠君 西田 司君
平井 卓也君 森岡 正宏君
山崎 拓君 渡辺 博道君
大出 彰君 鎌田さゆり君
今野 東君 首藤 信彦君
仙谷 由人君 筒井 信隆君
永井 英慈君 伴野 豊君
松沢 成文君 山田 敏雅君
山村 健君 江田 康幸君
太田 昭宏君 斉藤 鉄夫君
武山百合子君 藤島 正之君
春名 直章君 山口 富男君
金子 哲夫君 北川れん子君
井上 喜一君
…………………………………
衆議院憲法調査会事務局長 坂本 一洋君
—————————————
委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
土井たか子君 植田 至紀君
同日
辞任 補欠選任
植田 至紀君 土井たか子君
六月六日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 大谷 信盛君
井上 喜一君 西川太一郎君
同日
辞任 補欠選任
大谷 信盛君 大島 敦君
西川太一郎君 井上 喜一君
同日
辞任 補欠選任
大島 敦君 中村 哲治君
七月五日
辞任 補欠選任
中山 成彬君 谷川 和穗君
同月二十五日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 山村 健君
土井たか子君 北川れん子君
同日
辞任 補欠選任
山村 健君 鎌田さゆり君
北川れん子君 土井たか子君
同日
辞任 補欠選任
鎌田さゆり君 中村 哲治君
—————————————
本日の会議に付した案件
日本国憲法に関する件
派遣委員からの報告聴取
小委員長からの報告聴取
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時二分開議
出席委員
会長 中山 太郎君
幹事 高市 早苗君 幹事 中川 昭一君
幹事 額賀福志郎君 幹事 葉梨 信行君
幹事 保岡 興治君 幹事 島 聡君
幹事 中川 正春君 幹事 中野 寛成君
幹事 赤松 正雄君
伊藤 公介君 伊藤 達也君
奥野 誠亮君 高村 正彦君
近藤 基彦君 谷垣 禎一君
谷川 和穗君 土屋 品子君
中曽根康弘君 中山 正暉君
長勢 甚遠君 西田 司君
平井 卓也君 森岡 正宏君
山崎 拓君 渡辺 博道君
大出 彰君 鎌田さゆり君
今野 東君 首藤 信彦君
仙谷 由人君 筒井 信隆君
永井 英慈君 伴野 豊君
松沢 成文君 山田 敏雅君
山村 健君 江田 康幸君
太田 昭宏君 斉藤 鉄夫君
武山百合子君 藤島 正之君
春名 直章君 山口 富男君
金子 哲夫君 北川れん子君
井上 喜一君
…………………………………
衆議院憲法調査会事務局長 坂本 一洋君
—————————————
委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
土井たか子君 植田 至紀君
同日
辞任 補欠選任
植田 至紀君 土井たか子君
六月六日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 大谷 信盛君
井上 喜一君 西川太一郎君
同日
辞任 補欠選任
大谷 信盛君 大島 敦君
西川太一郎君 井上 喜一君
同日
辞任 補欠選任
大島 敦君 中村 哲治君
七月五日
辞任 補欠選任
中山 成彬君 谷川 和穗君
同月二十五日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 山村 健君
土井たか子君 北川れん子君
同日
辞任 補欠選任
山村 健君 鎌田さゆり君
北川れん子君 土井たか子君
同日
辞任 補欠選任
鎌田さゆり君 中村 哲治君
—————————————
本日の会議に付した案件
日本国憲法に関する件
派遣委員からの報告聴取
小委員長からの報告聴取
————◇—————
中
中山太郎#1
○中山会長 これより会議を開きます。
日本国憲法に関する件について調査を進めます。
去る六月二十四日、北海道に、日本国憲法に関する調査のため委員を派遣いたしましたので、派遣委員より報告を聴取いたします。中野寛成君。
この発言だけを見る →日本国憲法に関する件について調査を進めます。
去る六月二十四日、北海道に、日本国憲法に関する調査のため委員を派遣いたしましたので、派遣委員より報告を聴取いたします。中野寛成君。
中
中野寛成#2
○中野(寛)委員 団長にかわりまして、派遣委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、中山太郎会長を団長として、幹事葉梨信行君、幹事中川昭一君、幹事中川正春君、幹事赤松正雄君、委員武山百合子君、委員春名直章君、委員金子哲夫君、委員井上喜一君、それに私、中野寛成を加えた十名であります。
なお、現地において、山内惠子議員が参加されました。
地方公聴会は、六月二十四日午後、札幌市のホテルニューオータニ札幌の会議室において、二十一世紀の日本と憲法をテーマとして開催し、まず、中山団長から今回の地方公聴会開会の趣旨及び本調査会におけるこれまでの議論の概要の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序を含めてあいさつを行った後、大東亜商事株式会社代表取締役稲津定俊君、農業石塚修君、北海道弁護士会連合会理事長田中宏君、大学生佐藤聖美さん、小樽商科大学教授結城洋一郎君及び弁護士馬杉榮一君の六名から意見を聴取いたしました。
その意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、
稲津君からは、日本の伝統、文化を踏まえた普遍的価値を基本理念とする新憲法を制定し、二十一世紀初頭の世界秩序の維持に積極的に貢献するべきであるとの意見、
石塚君からは、日本は、憲法前文及び九条の徹底した平和主義の理念を貫いて、政治的にも経済的にも自立した国になるべきであるとの意見、
田中君からは、憲法九条の改正や有事法制を検討するよりも、アイヌ民族に対し、反省とより温かい目をもって民族政策を展開するべきであるとの意見、
佐藤さんからは、憲法十四条に保障された男女の平等を実現させるためには、女性に正当な権利が保障されるように、今後一層の法整備や意識改革が必要であるとの意見、
結城君からは、憲法九条は、我が国が世界に誇りを持って提示し得る手本というべきものであり、これは堅持すべきであるが、国民投票制度の導入、憲法裁判所の設置、大統領制の導入など、現行憲法には改善すべき余地もあるとの意見、
及び
馬杉君からは、二十一世紀にこそ日本国憲法の平和主義の理念が発揮されるべきものであり、また、憲法を守り、人権を守るためには司法制度改革が不可欠であるとの意見
がそれぞれ開陳されました。
意見の陳述が行われた後、各委員から、北海道における国際化の問題、憲法九条と自衛隊、日本における国際貢献のあり方、日本の非核政策、司法制度改革、女性の社会進出、教育改革、農業政策などについて質疑がありました。
派遣委員の質疑が終了した後、中山団長が傍聴者の発言を求めましたところ、傍聴者から、憲法九条の意義、有事法制の問題点、地方公聴会の開催が憲法改正につながる危惧等についての発言がありました。
なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。また、速記録ができ上がりましたならば、本調査会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。
以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。
ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。
この発言だけを見る →派遣委員は、中山太郎会長を団長として、幹事葉梨信行君、幹事中川昭一君、幹事中川正春君、幹事赤松正雄君、委員武山百合子君、委員春名直章君、委員金子哲夫君、委員井上喜一君、それに私、中野寛成を加えた十名であります。
なお、現地において、山内惠子議員が参加されました。
地方公聴会は、六月二十四日午後、札幌市のホテルニューオータニ札幌の会議室において、二十一世紀の日本と憲法をテーマとして開催し、まず、中山団長から今回の地方公聴会開会の趣旨及び本調査会におけるこれまでの議論の概要の説明、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序を含めてあいさつを行った後、大東亜商事株式会社代表取締役稲津定俊君、農業石塚修君、北海道弁護士会連合会理事長田中宏君、大学生佐藤聖美さん、小樽商科大学教授結城洋一郎君及び弁護士馬杉榮一君の六名から意見を聴取いたしました。
その意見内容につきまして、簡単に申し上げますと、
稲津君からは、日本の伝統、文化を踏まえた普遍的価値を基本理念とする新憲法を制定し、二十一世紀初頭の世界秩序の維持に積極的に貢献するべきであるとの意見、
石塚君からは、日本は、憲法前文及び九条の徹底した平和主義の理念を貫いて、政治的にも経済的にも自立した国になるべきであるとの意見、
田中君からは、憲法九条の改正や有事法制を検討するよりも、アイヌ民族に対し、反省とより温かい目をもって民族政策を展開するべきであるとの意見、
佐藤さんからは、憲法十四条に保障された男女の平等を実現させるためには、女性に正当な権利が保障されるように、今後一層の法整備や意識改革が必要であるとの意見、
結城君からは、憲法九条は、我が国が世界に誇りを持って提示し得る手本というべきものであり、これは堅持すべきであるが、国民投票制度の導入、憲法裁判所の設置、大統領制の導入など、現行憲法には改善すべき余地もあるとの意見、
及び
馬杉君からは、二十一世紀にこそ日本国憲法の平和主義の理念が発揮されるべきものであり、また、憲法を守り、人権を守るためには司法制度改革が不可欠であるとの意見
がそれぞれ開陳されました。
意見の陳述が行われた後、各委員から、北海道における国際化の問題、憲法九条と自衛隊、日本における国際貢献のあり方、日本の非核政策、司法制度改革、女性の社会進出、教育改革、農業政策などについて質疑がありました。
派遣委員の質疑が終了した後、中山団長が傍聴者の発言を求めましたところ、傍聴者から、憲法九条の意義、有事法制の問題点、地方公聴会の開催が憲法改正につながる危惧等についての発言がありました。
なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと思います。また、速記録ができ上がりましたならば、本調査会議録に参考として掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。
以上で報告を終わりますが、今回の会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、円滑に行うことができました。
ここに深く感謝の意を表する次第であります。
以上、御報告申し上げます。
中
中山太郎#3
○中山会長 これにて派遣委員の報告は終わりました。
ただいま報告のありました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →ただいま報告のありました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
中
中
中山太郎#5
○中山会長 この際、基本的人権の保障に関する調査小委員長、政治の基本機構のあり方に関する調査小委員長、国際社会における日本のあり方に関する調査小委員長及び地方自治に関する調査小委員長から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。基本的人権の保障に関する調査小委員長島聡君。
この発言だけを見る →島
島聡#6
○島委員 基本的人権の保障に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、計五回の会議を開きました。それぞれの回につきまして、参考人をお呼びしてまいりました。
二月十四日、第一回は、成城大学法学部教授棟居快行君から、新時代の人権保障について、三月十四日、第二回は、成蹊大学教授安念潤司君から、外国人の人権について、四月十一日、第三回の会議では、広島大学法学部長阪本昌成君から、新しい人権について、五月二十三日、第四回では、日本政策研究センター所長伊藤哲夫君から、基本的人権の保障について、さらに、七月四日の第五回の会議では、日本労働組合総連合会事務局長草野忠義君から、労働基本権と雇用対策について、それぞれ御意見を聴取いたしました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細につきましては、小委員会議録を参照いただくこととしまして、概要のみ簡潔に申し上げます。
棟居君からは、
現行憲法の特徴と限界について、
西欧的・古典的自由主義理念に二十世紀的な社会権規定を接合しており、両者の体系的な統合に成功していない、
経済的自由に関し、行政主導の積極規制を判例や学説も容認してきたため、本来の理想である自由主義経済体制が現実化しなかった、
精神的自由が公民の権利としてとらえられておらず、民主主義との関係は希薄になった、
人権保障に関しては、国家対国民という内向きの保障のみとなっている、
私人間関係における人権保障が不十分である等の意見が述べられました。
そして、現行憲法の課題としまして、国家が積極的に自由を保障する国家による自由の必要性、旧来の人権の分類の枠を越えた複合的な人権の理念の必要性、人権の国際的保障と国内的保障の連携の必要性、憲法による国家、市民社会、個人の三面的関係の保障の必要性等について意見が述べられました。
安念君からは、
判例、学説は、外国人は憲法上の権利を享有するが、それは外国人在留制度の枠内で与えられたものにすぎないとしているが、外国人には入国や在留の権利がない以上、憲法上の権利を享有しないと解するのが妥当であるとの意見が述べられました。
そして、外国人を法律によって日本人と同等に扱うことは可能であること、国籍は法律によって定められるので、日本人の地位でさえも憲法上はあやふやであることから、外国人にも日本人と同じ権利をできるだけ認めるべきだとの意見が述べられました。
また、憲法を改正して外国人の地位を明記すべきではないかということに対しましては、抽象的な規定にならざるを得ず、その具体的内容は裁判官が判断することになる、法律によりこれを定めることにしますと判断は国会が行うことになるわけでありますから、試験に合格した裁判官の判断よりも、有権者の代表である国会議員の判断に任せた方がいい、そういう考えであるという話が述べられました。
阪本君からは、
近代立憲主義において確立した公的領域を支配する公法と私的領域を支配する私法との峻別を維持した上で、私的領域における問題の解決は私法にゆだねられるべきである、
人権は、公的領域における国家に対する不作為請求権または妨害排除請求権を意味する自由権を中核として理解すべきであるとの認識のもとに、プライバシー権、自己決定権等のような、一般に新しい人権として挙げられている法益は、私権または私法上の法処理により保護することができるので、あえて基本的人権とする必要性が低いとの意見が述べられました。
そして、新しい人権を憲法典に組み入れる場合の留意点として、
私的自治等にゆだね得る論点について国家が介入し、あえて憲法的に解決を図るとすれば、人権のインフレ化、統治の過剰、社会の国家化等を招くおそれがある、
それゆえ、私権または私法上の法処理によって法益保護を図るべきであり、そのような私法上の法処理ができない場合には、法律の制定による解決を第一順位とすべきである、
新しい人権を憲法上の権利として認定するには、その権利が高優先性を持ち、その外延と内包が明確であり、相手方の憲法上の自由を不当に制限しない等の要件を満たす必要がある等の指摘がなされました。
伊藤君からは、
基本的人権とは、人が人であることに基づいて生まれながら当然に有する前国家的な自然権であって、日本国憲法もそれを前提としているとの通説的見解に対する批判がなされた上で、権利とは、共同体の歴史、文化、伝統の中で徐々に生成されたものであり、その背景には共同体独自の法の精神が存在すると解すべきであって、自然権論から脱却する必要があるとの意見が述べられました。
そして、平和で秩序ある国家があって初めて権利が保障されるのであるから、公共の福祉の解釈に当たっては、国家及び公共の利益や道徳の明確な位置づけが必要であるとの意見が述べられました。
さらに、みずからの国をみずから守ることが民主主義の基本原則であることから、国防の義務を憲法に明記し、また、家族を保護するために家族の尊重に関する規定を憲法に明記すべきであるとの意見が述べられました。
草野君からは、
憲法二十八条は団結権、団体交渉権及び争議権を保障しているにもかかわらず、公務員の争議行為が法律で禁止されていることは問題であり、これに取り組んでこなかった政府の姿勢は今や国際的にも批判されているとの意見が述べられました。
また、憲法二十七条一項は、政府に、
一、国民が完全就業できる体制をつくること、
二、失業者に就業の機会を与えること、
三、失業者に生活資金を給付することを義務づけていると解釈できることから、政府はこれらの趣旨を踏まえた雇用対策をとるべきであるとの意見が述べられました。
その他、職場での男女の不平等、過労死、セクシュアルハラスメントなどを防止するための法整備の必要性等について意見が述べられるとともに、雇用平等、職業能力開発等の新しい労働権等についても検討が必要であり、憲法調査会において、労働権及び社会権について十分審議を深めるよう求める旨の意見が述べられました。
このような参考人の意見を踏まえまして、質疑及び委員間の自由討議が活発に行われました。
そこで表明された意見を小委員長として総括するとしますと、日本国憲法の基本的人権の保障に関する規定は、諸外国と比べても、質、量ともに極めて豊富な、先駆的な意義を有するものであるとする指摘があることは認めます。しかし、その一方、科学技術、経済等の著しい発達、国際化の急速な発展等を背景にしまして、国家、社会の枠組みが激しく変化している現代であります。国家、社会を構成する人々の基本的人権の保障のあり方も、従来の観点のみからだけではなく、多角的に検討する必要がある旨の指摘が非常に多く見られた、私はそう思っております。
例えば、知る権利であるとか環境権であるとかプライバシー権であるとか、そういうような議論が多くなされました。
今後は、この基本的人権、憲法には人権と統治の二部の章がございますけれども、できるだけ、今度は人権の各条文にわたって一つずつ精査して、その中に、例えば環境権が入っているとか、知る権利が入っているという議論もありましたけれども、各条文をきちんと精査して、本当にそれが入っているかどうかということもきちんと議論していく段階に入っていると思います。
二十一世紀における人権保障のあり方についてはさらに議論を深めていって、本当にこの日本国憲法、もちろんすばらしい憲法でありますが、時代に適合する形で徐々に議論をし尽くしていくべき、そしてまた、改正も十分考える時期にあるのではないかということを小委員間の議論の中で感じた次第でございます。
以上です。
この発言だけを見る →本小委員会は、計五回の会議を開きました。それぞれの回につきまして、参考人をお呼びしてまいりました。
二月十四日、第一回は、成城大学法学部教授棟居快行君から、新時代の人権保障について、三月十四日、第二回は、成蹊大学教授安念潤司君から、外国人の人権について、四月十一日、第三回の会議では、広島大学法学部長阪本昌成君から、新しい人権について、五月二十三日、第四回では、日本政策研究センター所長伊藤哲夫君から、基本的人権の保障について、さらに、七月四日の第五回の会議では、日本労働組合総連合会事務局長草野忠義君から、労働基本権と雇用対策について、それぞれ御意見を聴取いたしました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細につきましては、小委員会議録を参照いただくこととしまして、概要のみ簡潔に申し上げます。
棟居君からは、
現行憲法の特徴と限界について、
西欧的・古典的自由主義理念に二十世紀的な社会権規定を接合しており、両者の体系的な統合に成功していない、
経済的自由に関し、行政主導の積極規制を判例や学説も容認してきたため、本来の理想である自由主義経済体制が現実化しなかった、
精神的自由が公民の権利としてとらえられておらず、民主主義との関係は希薄になった、
人権保障に関しては、国家対国民という内向きの保障のみとなっている、
私人間関係における人権保障が不十分である等の意見が述べられました。
そして、現行憲法の課題としまして、国家が積極的に自由を保障する国家による自由の必要性、旧来の人権の分類の枠を越えた複合的な人権の理念の必要性、人権の国際的保障と国内的保障の連携の必要性、憲法による国家、市民社会、個人の三面的関係の保障の必要性等について意見が述べられました。
安念君からは、
判例、学説は、外国人は憲法上の権利を享有するが、それは外国人在留制度の枠内で与えられたものにすぎないとしているが、外国人には入国や在留の権利がない以上、憲法上の権利を享有しないと解するのが妥当であるとの意見が述べられました。
そして、外国人を法律によって日本人と同等に扱うことは可能であること、国籍は法律によって定められるので、日本人の地位でさえも憲法上はあやふやであることから、外国人にも日本人と同じ権利をできるだけ認めるべきだとの意見が述べられました。
また、憲法を改正して外国人の地位を明記すべきではないかということに対しましては、抽象的な規定にならざるを得ず、その具体的内容は裁判官が判断することになる、法律によりこれを定めることにしますと判断は国会が行うことになるわけでありますから、試験に合格した裁判官の判断よりも、有権者の代表である国会議員の判断に任せた方がいい、そういう考えであるという話が述べられました。
阪本君からは、
近代立憲主義において確立した公的領域を支配する公法と私的領域を支配する私法との峻別を維持した上で、私的領域における問題の解決は私法にゆだねられるべきである、
人権は、公的領域における国家に対する不作為請求権または妨害排除請求権を意味する自由権を中核として理解すべきであるとの認識のもとに、プライバシー権、自己決定権等のような、一般に新しい人権として挙げられている法益は、私権または私法上の法処理により保護することができるので、あえて基本的人権とする必要性が低いとの意見が述べられました。
そして、新しい人権を憲法典に組み入れる場合の留意点として、
私的自治等にゆだね得る論点について国家が介入し、あえて憲法的に解決を図るとすれば、人権のインフレ化、統治の過剰、社会の国家化等を招くおそれがある、
それゆえ、私権または私法上の法処理によって法益保護を図るべきであり、そのような私法上の法処理ができない場合には、法律の制定による解決を第一順位とすべきである、
新しい人権を憲法上の権利として認定するには、その権利が高優先性を持ち、その外延と内包が明確であり、相手方の憲法上の自由を不当に制限しない等の要件を満たす必要がある等の指摘がなされました。
伊藤君からは、
基本的人権とは、人が人であることに基づいて生まれながら当然に有する前国家的な自然権であって、日本国憲法もそれを前提としているとの通説的見解に対する批判がなされた上で、権利とは、共同体の歴史、文化、伝統の中で徐々に生成されたものであり、その背景には共同体独自の法の精神が存在すると解すべきであって、自然権論から脱却する必要があるとの意見が述べられました。
そして、平和で秩序ある国家があって初めて権利が保障されるのであるから、公共の福祉の解釈に当たっては、国家及び公共の利益や道徳の明確な位置づけが必要であるとの意見が述べられました。
さらに、みずからの国をみずから守ることが民主主義の基本原則であることから、国防の義務を憲法に明記し、また、家族を保護するために家族の尊重に関する規定を憲法に明記すべきであるとの意見が述べられました。
草野君からは、
憲法二十八条は団結権、団体交渉権及び争議権を保障しているにもかかわらず、公務員の争議行為が法律で禁止されていることは問題であり、これに取り組んでこなかった政府の姿勢は今や国際的にも批判されているとの意見が述べられました。
また、憲法二十七条一項は、政府に、
一、国民が完全就業できる体制をつくること、
二、失業者に就業の機会を与えること、
三、失業者に生活資金を給付することを義務づけていると解釈できることから、政府はこれらの趣旨を踏まえた雇用対策をとるべきであるとの意見が述べられました。
その他、職場での男女の不平等、過労死、セクシュアルハラスメントなどを防止するための法整備の必要性等について意見が述べられるとともに、雇用平等、職業能力開発等の新しい労働権等についても検討が必要であり、憲法調査会において、労働権及び社会権について十分審議を深めるよう求める旨の意見が述べられました。
このような参考人の意見を踏まえまして、質疑及び委員間の自由討議が活発に行われました。
そこで表明された意見を小委員長として総括するとしますと、日本国憲法の基本的人権の保障に関する規定は、諸外国と比べても、質、量ともに極めて豊富な、先駆的な意義を有するものであるとする指摘があることは認めます。しかし、その一方、科学技術、経済等の著しい発達、国際化の急速な発展等を背景にしまして、国家、社会の枠組みが激しく変化している現代であります。国家、社会を構成する人々の基本的人権の保障のあり方も、従来の観点のみからだけではなく、多角的に検討する必要がある旨の指摘が非常に多く見られた、私はそう思っております。
例えば、知る権利であるとか環境権であるとかプライバシー権であるとか、そういうような議論が多くなされました。
今後は、この基本的人権、憲法には人権と統治の二部の章がございますけれども、できるだけ、今度は人権の各条文にわたって一つずつ精査して、その中に、例えば環境権が入っているとか、知る権利が入っているという議論もありましたけれども、各条文をきちんと精査して、本当にそれが入っているかどうかということもきちんと議論していく段階に入っていると思います。
二十一世紀における人権保障のあり方についてはさらに議論を深めていって、本当にこの日本国憲法、もちろんすばらしい憲法でありますが、時代に適合する形で徐々に議論をし尽くしていくべき、そしてまた、改正も十分考える時期にあるのではないかということを小委員間の議論の中で感じた次第でございます。
以上です。
中
高
高市早苗#8
○高市委員 政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、これまでに計五回の会議を開き、それぞれの回につき、参考人をお呼びいたしました。
まず、二月十四日の第一回の会議では、東京大学教授高橋和之君から、議院内閣制のあり方について、また、三月十四日の第二回の会議では、北海道大学大学院法学研究科教授山口二郎君から、統治機構を再検討する視点について、また、四月十一日の第三回の会議では、京都大学教授大石眞君から、両院制と選挙制度のあり方について、また、五月二十三日の第四回の会議では、大阪大学大学院法学研究科教授松井茂記君から、司法審査制度のあり方について、さらに七月四日の第五回の会議では、高崎経済大学助教授八木秀次君から、明治憲法体制下の統治構造について、それぞれ御意見を聴取いたしました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
高橋和之君からは、
現在の日本のような積極国家における政策推進には、内閣が統治を行い、国会がこれをコントロールするという図式の中で政治のリーダーシップが発揮されることが必要であり、そのためには、国民が選挙を通じて、政策プログラムとその実行主体である首相とを一体のものとして、事実上、直接的に選ぶ国民内閣制の導入が有用であるとの意見が述べられました。
その導入に当たっては、
一、国民の多数意思が明確化されるような選挙制度のあり方、
二、多数の支持を受ける政策プログラムをつくり上げるという政党の役割、
三、選挙等において多数派形成を意識し、明確な意思表明を行うことを求められる国民の心構えについて検討を要するとの指摘がなされました。
また、国民内閣制の導入には、憲法改正は不要であるが、参議院は権限行使を自制する等の憲法習律の確立を図るべきであるなどの意見が述べられました。
山口二郎君からは、
我が国の議院内閣制について、
一、与党の暴走と頻繁なリーダーの交代、
二、官僚機構の巨大化に伴う内閣の弱体化、
三、内閣と与党との不透明な関係といった運用上の問題について指摘がなされた上で、
イギリス型議院内閣制のような、
一、内閣と与党の一元化、
二、与党の政権参加を通した政策の実現、
三、政治主導による政官関係の確立を図るべきであり、
その際、制度に合わせた新たな憲法習律等をつくっていくことや、国民主権の観点に立った行政のあり方について考えることが必要であるとの意見が述べられました。
その改革に向けた提言として、
制度の面では、
一、内閣における国務大臣の分担管理原則の克服、
二、政策決定手続の一元化、
三、国会の行政に対するチェック機能の強化が、
また、慣習の面では、
一、政党、指導者、政策を一体のものとして選ぶ選挙、
二、与党の意思決定機関と内閣の重合、
三、与党の所属議員が内閣の一員として政策形成に当たるような党運営、
四、透明で開かれた与党の党首選出等が、それぞれ挙げられました。
大石眞君からは、
一院制では多様な有権者の意思を集約できるかは疑問であり、両院制を維持すべきであるとの認識のもと、両院がそれぞれ独自の機能を果たすことにより両院制を意義あるものとするため、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政の運営に反映することに配慮しつつ、両院組織法をできるだけ異なった原理に基づくものにすべきであるとの指摘がなされました。
その上で、
一、参議院に期待される、衆議院のダイナミズムを緩和するという役割を選挙制度にどう反映させるかが重要であること、
二、参議院の現在の権限を見直し、衆議院が法律案の再議決を過半数で行うことを認めるとともに、内閣総理大臣の指名権は衆議院のみに認めることなどの意見が述べられました。
松井茂記君からは、
八十一条の規定は、事件性、争訟性を要件とする司法権に付随して行使される司法審査権限を確認したものであるが、現状では、違憲判決が少なく、また国民が司法審査を求めることが困難であることもあり、司法審査権限が適切に行使されていないとの認識が示されました。
このような認識のもとで、裁判所は民主政の過程に不可欠な権利を厳格な審査を通じて擁護する責任を有し、一方、そのほかの権利については、全国民の代表から構成された国会によって制定された法律が尊重されるべきであり、これにより国民の権利が侵害された場合には、選挙を通じて是正が図られるべきであるとの、プロセス的な司法審査理論が示されました。
その上で、前述のような責任を踏まえた積極的な司法権の行使がなされるよう、硬直的な最高裁の人事制度の是正、事件性、争訟性要件の柔軟な解釈により、法律の違憲性の確認や執行差しとめのための訴訟提起を容易にすること等を含めた、制度改革と意識改革が必要であるとの主張が述べられました。
八木秀次君からは、
まず、憲法論議は国柄に関する論議でなければならず、明治憲法については、その制定に際して、国柄に関する論議が重視された姿勢に学ぶべきものがあるとの認識が示されました。
その上で、明治憲法体制は、
一、内閣と天皇との関係については、政治の中心の所在をめぐり、その解釈、運用に明瞭さを欠いていた、
二、実際の国政では、首相を中心とした運用がなされたが、首相の統制権は弱かった、
三、天皇を輔弼する機関が割拠していたため、その調整に当たった元老の消滅とともに、実質的な統治の中心が不在となってしまった、
四、天皇は名目的統括者であり、したがって、その政治体制は立憲君主制であったとの意見が述べられました。
また、日本国憲法の定める象徴天皇制は、君主を目に見える統合の象徴とする英国流を取り入れたばかりでなく、明治憲法体制における立憲君主制をも受け継いだものであるとの意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われましたが、五回の会議を通じての小委員長としての感想を申し上げます。
日本国憲法制定当時に比べますと、国民の政治参加意識、納税者としての権利意識は高まり、さらにはマスメディアの発達により、瞬時に多くの国民が国政に係る情報を共有し、世論が大きな流れをつくる時代となりました。経済情勢や外交問題等、国内外の新たな課題に迅速な対応が必要とされる現代社会において、改めて政治主導という観点から、議院内閣制のあり方や両院制のあり方、国民の参政権を担保する選挙制度と政党のあり方を考えてみる必要性を強く感じました。
さらに、違憲審査制度のあり方についても、民主主義と立憲主義の緊張関係等に留意しつつ、引き続き議論を深めていく必要があると感じました。
また、本小委員会では、明治憲法体制下での統治構造についても調査し、立憲君主制などにも触れたところでありますが、今後の調査においては、憲法の背景にある歴史や伝統をも踏まえつつ、天皇制のあり方等を含め、二十一世紀における政治の基本機構がいかにあるべきかについて議論を深めてまいりたいと考えております。
以上、御報告申し上げます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →本小委員会は、これまでに計五回の会議を開き、それぞれの回につき、参考人をお呼びいたしました。
まず、二月十四日の第一回の会議では、東京大学教授高橋和之君から、議院内閣制のあり方について、また、三月十四日の第二回の会議では、北海道大学大学院法学研究科教授山口二郎君から、統治機構を再検討する視点について、また、四月十一日の第三回の会議では、京都大学教授大石眞君から、両院制と選挙制度のあり方について、また、五月二十三日の第四回の会議では、大阪大学大学院法学研究科教授松井茂記君から、司法審査制度のあり方について、さらに七月四日の第五回の会議では、高崎経済大学助教授八木秀次君から、明治憲法体制下の統治構造について、それぞれ御意見を聴取いたしました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
高橋和之君からは、
現在の日本のような積極国家における政策推進には、内閣が統治を行い、国会がこれをコントロールするという図式の中で政治のリーダーシップが発揮されることが必要であり、そのためには、国民が選挙を通じて、政策プログラムとその実行主体である首相とを一体のものとして、事実上、直接的に選ぶ国民内閣制の導入が有用であるとの意見が述べられました。
その導入に当たっては、
一、国民の多数意思が明確化されるような選挙制度のあり方、
二、多数の支持を受ける政策プログラムをつくり上げるという政党の役割、
三、選挙等において多数派形成を意識し、明確な意思表明を行うことを求められる国民の心構えについて検討を要するとの指摘がなされました。
また、国民内閣制の導入には、憲法改正は不要であるが、参議院は権限行使を自制する等の憲法習律の確立を図るべきであるなどの意見が述べられました。
山口二郎君からは、
我が国の議院内閣制について、
一、与党の暴走と頻繁なリーダーの交代、
二、官僚機構の巨大化に伴う内閣の弱体化、
三、内閣と与党との不透明な関係といった運用上の問題について指摘がなされた上で、
イギリス型議院内閣制のような、
一、内閣と与党の一元化、
二、与党の政権参加を通した政策の実現、
三、政治主導による政官関係の確立を図るべきであり、
その際、制度に合わせた新たな憲法習律等をつくっていくことや、国民主権の観点に立った行政のあり方について考えることが必要であるとの意見が述べられました。
その改革に向けた提言として、
制度の面では、
一、内閣における国務大臣の分担管理原則の克服、
二、政策決定手続の一元化、
三、国会の行政に対するチェック機能の強化が、
また、慣習の面では、
一、政党、指導者、政策を一体のものとして選ぶ選挙、
二、与党の意思決定機関と内閣の重合、
三、与党の所属議員が内閣の一員として政策形成に当たるような党運営、
四、透明で開かれた与党の党首選出等が、それぞれ挙げられました。
大石眞君からは、
一院制では多様な有権者の意思を集約できるかは疑問であり、両院制を維持すべきであるとの認識のもと、両院がそれぞれ独自の機能を果たすことにより両院制を意義あるものとするため、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政の運営に反映することに配慮しつつ、両院組織法をできるだけ異なった原理に基づくものにすべきであるとの指摘がなされました。
その上で、
一、参議院に期待される、衆議院のダイナミズムを緩和するという役割を選挙制度にどう反映させるかが重要であること、
二、参議院の現在の権限を見直し、衆議院が法律案の再議決を過半数で行うことを認めるとともに、内閣総理大臣の指名権は衆議院のみに認めることなどの意見が述べられました。
松井茂記君からは、
八十一条の規定は、事件性、争訟性を要件とする司法権に付随して行使される司法審査権限を確認したものであるが、現状では、違憲判決が少なく、また国民が司法審査を求めることが困難であることもあり、司法審査権限が適切に行使されていないとの認識が示されました。
このような認識のもとで、裁判所は民主政の過程に不可欠な権利を厳格な審査を通じて擁護する責任を有し、一方、そのほかの権利については、全国民の代表から構成された国会によって制定された法律が尊重されるべきであり、これにより国民の権利が侵害された場合には、選挙を通じて是正が図られるべきであるとの、プロセス的な司法審査理論が示されました。
その上で、前述のような責任を踏まえた積極的な司法権の行使がなされるよう、硬直的な最高裁の人事制度の是正、事件性、争訟性要件の柔軟な解釈により、法律の違憲性の確認や執行差しとめのための訴訟提起を容易にすること等を含めた、制度改革と意識改革が必要であるとの主張が述べられました。
八木秀次君からは、
まず、憲法論議は国柄に関する論議でなければならず、明治憲法については、その制定に際して、国柄に関する論議が重視された姿勢に学ぶべきものがあるとの認識が示されました。
その上で、明治憲法体制は、
一、内閣と天皇との関係については、政治の中心の所在をめぐり、その解釈、運用に明瞭さを欠いていた、
二、実際の国政では、首相を中心とした運用がなされたが、首相の統制権は弱かった、
三、天皇を輔弼する機関が割拠していたため、その調整に当たった元老の消滅とともに、実質的な統治の中心が不在となってしまった、
四、天皇は名目的統括者であり、したがって、その政治体制は立憲君主制であったとの意見が述べられました。
また、日本国憲法の定める象徴天皇制は、君主を目に見える統合の象徴とする英国流を取り入れたばかりでなく、明治憲法体制における立憲君主制をも受け継いだものであるとの意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われましたが、五回の会議を通じての小委員長としての感想を申し上げます。
日本国憲法制定当時に比べますと、国民の政治参加意識、納税者としての権利意識は高まり、さらにはマスメディアの発達により、瞬時に多くの国民が国政に係る情報を共有し、世論が大きな流れをつくる時代となりました。経済情勢や外交問題等、国内外の新たな課題に迅速な対応が必要とされる現代社会において、改めて政治主導という観点から、議院内閣制のあり方や両院制のあり方、国民の参政権を担保する選挙制度と政党のあり方を考えてみる必要性を強く感じました。
さらに、違憲審査制度のあり方についても、民主主義と立憲主義の緊張関係等に留意しつつ、引き続き議論を深めていく必要があると感じました。
また、本小委員会では、明治憲法体制下での統治構造についても調査し、立憲君主制などにも触れたところでありますが、今後の調査においては、憲法の背景にある歴史や伝統をも踏まえつつ、天皇制のあり方等を含め、二十一世紀における政治の基本機構がいかにあるべきかについて議論を深めてまいりたいと考えております。
以上、御報告申し上げます。ありがとうございました。
中
中
中川昭一#10
○中川(昭)委員 国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について御報告申し上げます。
小委員会は、これまで五回の会議を開き、それぞれの会について参考人をお呼びしてまいりました。
まず、二月二十八日の第一回の会議では、名古屋大学の松井芳郎君から、PKO、PKFを中心とした国際協力のあり方について御意見を聞きました。
松井君からは、
我が国は、憲法の理念に基づいた国際協力を積極的に行うべきであり、また、紛争の未然防止、紛争の平和的解決、紛争後の社会経済発展の支援こそ積極的な協力が可能かつ必要な分野である等の意見が述べられました。
また、三月二十八日の第二回の会議では、ジェトロ、日本貿易振興会畠山襄君から、FTA、フリー・トレード・アグリーメントを中心とした国際社会における日本のあり方について意見を伺いました。
畠山君からは、
我が国は、FTAによりWTOを補完する重層体制への移行が必要である、また、主体的なFTA交渉を通じて国際的なリーダーシップをとるべきである等の意見を述べられました。
また、五月九日の第三回の会議では、三井物産戦略研究所所長寺島実郎君から、国際社会における日本のあり方全般について意見を伺いました。
寺島君からは、
我が国は、日米安保のあり方を見直すとともに、専守防衛を維持しつつ、東アジア地域において予防外交の理念に基づく多国間フォーラムの形成を図るべきである等の意見が述べられました。
また、六月六日の第四回の会議では、杏林大学の田久保忠衛君から、日本の安全保障のあり方について意見を伺いました。
田久保君からは、
我が国の安全保障のあり方について、国際環境の変化に対応してきたドイツを見習い、普通の民主主義国家へ脱皮すべき、また、日米の安全保障関係において、我が国は徐々に片務性から双務性の方向に進むべきである等の意見が述べられました。
さらに、七月十一日の第五回の会議では、東京大学の中村民雄君から、EU憲法の動きと各国憲法について御意見を聴取いたしました。
中村君からは、
EU統合過程における経験を踏まえた上での日本に示唆的な事項として、国境を越えた各国協力が不可欠となっている現状においては、EUのメカニズムが参考になり、また、各国協議を重ねて公序を築いてきたEUの形成過程は、国際協調主義のあり方の参考となる等の意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われました。
そこにおいて表明された発言を小委員長として総括すれば、我が国の安全保障、国際協力等のあり方については、平和主義を掲げる日本国憲法や国際間の協力による平和の維持を目的とする国連憲章の精神の実現に向けて努力すべきであるとの指摘がなされる一方で、冷戦の終結、グローバル化の進展等急激に変化する国際情勢に日本が主体性を持って対処していくためには、従来の枠組みだけにとらわれることなく、より広範かつ多角的な観点から、憲法改正をも見据えた検討が不可欠であるとする指摘も多く見られたところでございます。
今後も、これらの指摘を踏まえ、国際社会における日本のあり方について、引き続き積極的に議論を深めてまいりたいと思います。
なお、詳細にわたりましては、論点メモ九十七ページ以降をぜひごらんいただきたいと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →小委員会は、これまで五回の会議を開き、それぞれの会について参考人をお呼びしてまいりました。
まず、二月二十八日の第一回の会議では、名古屋大学の松井芳郎君から、PKO、PKFを中心とした国際協力のあり方について御意見を聞きました。
松井君からは、
我が国は、憲法の理念に基づいた国際協力を積極的に行うべきであり、また、紛争の未然防止、紛争の平和的解決、紛争後の社会経済発展の支援こそ積極的な協力が可能かつ必要な分野である等の意見が述べられました。
また、三月二十八日の第二回の会議では、ジェトロ、日本貿易振興会畠山襄君から、FTA、フリー・トレード・アグリーメントを中心とした国際社会における日本のあり方について意見を伺いました。
畠山君からは、
我が国は、FTAによりWTOを補完する重層体制への移行が必要である、また、主体的なFTA交渉を通じて国際的なリーダーシップをとるべきである等の意見を述べられました。
また、五月九日の第三回の会議では、三井物産戦略研究所所長寺島実郎君から、国際社会における日本のあり方全般について意見を伺いました。
寺島君からは、
我が国は、日米安保のあり方を見直すとともに、専守防衛を維持しつつ、東アジア地域において予防外交の理念に基づく多国間フォーラムの形成を図るべきである等の意見が述べられました。
また、六月六日の第四回の会議では、杏林大学の田久保忠衛君から、日本の安全保障のあり方について意見を伺いました。
田久保君からは、
我が国の安全保障のあり方について、国際環境の変化に対応してきたドイツを見習い、普通の民主主義国家へ脱皮すべき、また、日米の安全保障関係において、我が国は徐々に片務性から双務性の方向に進むべきである等の意見が述べられました。
さらに、七月十一日の第五回の会議では、東京大学の中村民雄君から、EU憲法の動きと各国憲法について御意見を聴取いたしました。
中村君からは、
EU統合過程における経験を踏まえた上での日本に示唆的な事項として、国境を越えた各国協力が不可欠となっている現状においては、EUのメカニズムが参考になり、また、各国協議を重ねて公序を築いてきたEUの形成過程は、国際協調主義のあり方の参考となる等の意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われました。
そこにおいて表明された発言を小委員長として総括すれば、我が国の安全保障、国際協力等のあり方については、平和主義を掲げる日本国憲法や国際間の協力による平和の維持を目的とする国連憲章の精神の実現に向けて努力すべきであるとの指摘がなされる一方で、冷戦の終結、グローバル化の進展等急激に変化する国際情勢に日本が主体性を持って対処していくためには、従来の枠組みだけにとらわれることなく、より広範かつ多角的な観点から、憲法改正をも見据えた検討が不可欠であるとする指摘も多く見られたところでございます。
今後も、これらの指摘を踏まえ、国際社会における日本のあり方について、引き続き積極的に議論を深めてまいりたいと思います。
なお、詳細にわたりましては、論点メモ九十七ページ以降をぜひごらんいただきたいと思います。
以上でございます。
中
保
保岡興治#12
○保岡委員 地方自治に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、これまでに計五回の会議を開き、それぞれの回につき参考人をお呼びしてまいりました。
まず、二月二十八日の第一回の会議では、筑波大学教授岩崎美紀子君から、地方分権改革と道州制、連邦制について、また、三月二十八日の第二回の会議では、東京大学大学院法学政治学研究科教授森田朗君から、市町村合併を初めとする分権改革の課題について、また、五月九日の第三回の会議では、東京大学教授神野直彦君から、地方自治と地方財政について、また、六月六日の第四回の会議では、鳥取県知事片山善博君から、地方分権を実現するための諸課題について、さらに、七月十一日の第五回の会議では、三重県知事北川正恭君から、三重県における生活者起点の観点からの取り組みについて、それぞれ意見を聴取しました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
岩崎君からは、
機関委任事務制度廃止等を柱にした前回の地方分権改革後の課題として、税財政面での権限移譲、自治体の広域化、市民社会の自治への参加等があるとの指摘がなされた上で、諸外国の基礎自治体のあり方を類型化しつつ、我が国では、社会サービスを提供する能力が持てるように、基礎自治体を再編して規模を拡大した北欧型の制度を目指すべきであるとの意見が述べられ、
また、道州制、連邦制を採用する場合の課題に言及した上で、我が国では、憲法の改正が必要な連邦制を導入せずとも、執行における地方の裁量を認め、かつ、中央の決定に対し地方が影響を及ぼす制度を整えることで分権を図ることが可能であるとの意見が述べられました。
森田君からは、
地方分権推進委員会による改革では、地方分権一括法により機関委任事務の廃止等一定の成果があった、しかし、財政面の改革には不十分な点もあり、地方財政が危機に瀕していることから、今後は、地方への税財源の移譲等を進めていくべきであるとの意見が述べられました。
また、現在の行政サービス水準の維持や住民の生活圏の変化、人口減少、高齢化社会への対応などの要請から市町村合併を推進する必要があり、その際、一律的な合併推進や数値目標的な市町村数のひとり歩き等は避けるべきであり、個々の自治体の事情に応じたきめ細かい対応が必要であるとの意見が述べられました。
そして、国主導の現在の合併推進策は地方自治の理念に反する、合併は地方のコミュニティーを破壊する等の批判に対しては、今次の合併推進は、個々の市町村の観点からだけではなく、地域や国全体の観点から推進されなければならないので、地方自治の理念を尊重しつつ、国や県もその調整を行う必要があるという反論が述べられました。
さらに、合併が進んでいった後の市町村と都道府県のあり方にも慎重な検討が必要であるとの意見が述べられました。
神野君からは、
大正デモクラシー運動やシャウプ勧告といった過去からの教訓、及びヨーロッパ地方自治憲章の制定等のように、グローバル化が進む一方でローカル化が進行している近年の諸外国の動きにかんがみると、地方分権を進めるためには、地方への税財源の移譲、地方政府間の財政格差を是正するための制度が不可欠であるとの意見が述べられました。
そして、今後の我が国の課題としては、さきの分権改革による機関委任事務の廃止によって地方に多くの行政任務と決定権が与えられたものの、課税権についてはいまだ十分に与えられていないという事態を解消するため、個人所得税と消費税を地方に移譲することにより、地方に課税権や決定権がない集権的分散システムから、地方が課税権や決定権を有する分権的分散システムに移行させることが重要であるとの意見が述べられました。
片山君からは、
知事としての経験を踏まえ、地方分権を実現するための主な課題として、
自治体が多様性、地域性を持つ組織等を設けられるように、地方自治法の画一的な規定を改正すべきである、
独立行政委員会は専門性、当事者能力を欠き十分に機能していないので、民主主義的な要素を注入すべく、委員を公選にする等の方法を考えるべきである、
多様で自主的な地方議会のあり方を認めるとともに、サラリーマン等の生活に密着した者がその身分のまま議員になれるようにすべきである、
地方財政は、公共事業等のハード面の政策を重視するか、人材の充実等のソフト面の政策を重視するかという自治体の政策選択に対して中立であるべきである、
都道府県税を安定的なものにするため、法人事業税に外形標準課税を導入するか、あるいは、法人事業税を国に、個人所得税を地方に移譲する等の対策を立てるべきであるとの指摘がなされました。
北川君からは、
これからの行政は、税金を納める側の立場に立って、その満足を第一に考える生活者起点の理念が重要であるという認識を前提に、三重県ではその実践として、請求を受けてから意思決定がなされた結果のみを情報公開するのではなく、政策形成過程をもみずから積極的に情報提供しており、民間企業の経営手法に倣ったニューパブリックマネジメントを導入し、業績評価型行政の実施、予算主義から決算主義への転換等を行っていること等について、知事の経験を踏まえて説明がなされました。
さらに、今後我が国は、集権官治、官僚が治めるという意味だと思いますが、集権官治から分権自治へ転換して、各地方の特色を生かしたモザイク国家を目指し、地方の発展を図るべきであるとの意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑、委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われましたが、そこにおいて表明された意見を小委員長として総括するとすれば、日本国憲法において制度的に保障されている地方自治を今後さらに充実させるためには、現在進められている地方分権改革を一層推進する必要があり、これに対しては、国から地方への権限移譲のみならず税財源の移譲が不可欠であるということは、委員及び参考人に共通した認識でありました。
また、市町村合併のあり方や今後の都道府県のあり方、さらに道州制の導入を検討する必要性など、統治構造全般にわたり多くの意見が述べられました。
今後は、これらの指摘を踏まえ、二十一世紀における我が国の国家像をにらみつつ、地方自治制度を一層充実させる観点から、さらに議論を深めていきたいと考えております。
以上、御報告申し上げます。
この発言だけを見る →本小委員会は、これまでに計五回の会議を開き、それぞれの回につき参考人をお呼びしてまいりました。
まず、二月二十八日の第一回の会議では、筑波大学教授岩崎美紀子君から、地方分権改革と道州制、連邦制について、また、三月二十八日の第二回の会議では、東京大学大学院法学政治学研究科教授森田朗君から、市町村合併を初めとする分権改革の課題について、また、五月九日の第三回の会議では、東京大学教授神野直彦君から、地方自治と地方財政について、また、六月六日の第四回の会議では、鳥取県知事片山善博君から、地方分権を実現するための諸課題について、さらに、七月十一日の第五回の会議では、三重県知事北川正恭君から、三重県における生活者起点の観点からの取り組みについて、それぞれ意見を聴取しました。
各回の会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
岩崎君からは、
機関委任事務制度廃止等を柱にした前回の地方分権改革後の課題として、税財政面での権限移譲、自治体の広域化、市民社会の自治への参加等があるとの指摘がなされた上で、諸外国の基礎自治体のあり方を類型化しつつ、我が国では、社会サービスを提供する能力が持てるように、基礎自治体を再編して規模を拡大した北欧型の制度を目指すべきであるとの意見が述べられ、
また、道州制、連邦制を採用する場合の課題に言及した上で、我が国では、憲法の改正が必要な連邦制を導入せずとも、執行における地方の裁量を認め、かつ、中央の決定に対し地方が影響を及ぼす制度を整えることで分権を図ることが可能であるとの意見が述べられました。
森田君からは、
地方分権推進委員会による改革では、地方分権一括法により機関委任事務の廃止等一定の成果があった、しかし、財政面の改革には不十分な点もあり、地方財政が危機に瀕していることから、今後は、地方への税財源の移譲等を進めていくべきであるとの意見が述べられました。
また、現在の行政サービス水準の維持や住民の生活圏の変化、人口減少、高齢化社会への対応などの要請から市町村合併を推進する必要があり、その際、一律的な合併推進や数値目標的な市町村数のひとり歩き等は避けるべきであり、個々の自治体の事情に応じたきめ細かい対応が必要であるとの意見が述べられました。
そして、国主導の現在の合併推進策は地方自治の理念に反する、合併は地方のコミュニティーを破壊する等の批判に対しては、今次の合併推進は、個々の市町村の観点からだけではなく、地域や国全体の観点から推進されなければならないので、地方自治の理念を尊重しつつ、国や県もその調整を行う必要があるという反論が述べられました。
さらに、合併が進んでいった後の市町村と都道府県のあり方にも慎重な検討が必要であるとの意見が述べられました。
神野君からは、
大正デモクラシー運動やシャウプ勧告といった過去からの教訓、及びヨーロッパ地方自治憲章の制定等のように、グローバル化が進む一方でローカル化が進行している近年の諸外国の動きにかんがみると、地方分権を進めるためには、地方への税財源の移譲、地方政府間の財政格差を是正するための制度が不可欠であるとの意見が述べられました。
そして、今後の我が国の課題としては、さきの分権改革による機関委任事務の廃止によって地方に多くの行政任務と決定権が与えられたものの、課税権についてはいまだ十分に与えられていないという事態を解消するため、個人所得税と消費税を地方に移譲することにより、地方に課税権や決定権がない集権的分散システムから、地方が課税権や決定権を有する分権的分散システムに移行させることが重要であるとの意見が述べられました。
片山君からは、
知事としての経験を踏まえ、地方分権を実現するための主な課題として、
自治体が多様性、地域性を持つ組織等を設けられるように、地方自治法の画一的な規定を改正すべきである、
独立行政委員会は専門性、当事者能力を欠き十分に機能していないので、民主主義的な要素を注入すべく、委員を公選にする等の方法を考えるべきである、
多様で自主的な地方議会のあり方を認めるとともに、サラリーマン等の生活に密着した者がその身分のまま議員になれるようにすべきである、
地方財政は、公共事業等のハード面の政策を重視するか、人材の充実等のソフト面の政策を重視するかという自治体の政策選択に対して中立であるべきである、
都道府県税を安定的なものにするため、法人事業税に外形標準課税を導入するか、あるいは、法人事業税を国に、個人所得税を地方に移譲する等の対策を立てるべきであるとの指摘がなされました。
北川君からは、
これからの行政は、税金を納める側の立場に立って、その満足を第一に考える生活者起点の理念が重要であるという認識を前提に、三重県ではその実践として、請求を受けてから意思決定がなされた結果のみを情報公開するのではなく、政策形成過程をもみずから積極的に情報提供しており、民間企業の経営手法に倣ったニューパブリックマネジメントを導入し、業績評価型行政の実施、予算主義から決算主義への転換等を行っていること等について、知事の経験を踏まえて説明がなされました。
さらに、今後我が国は、集権官治、官僚が治めるという意味だと思いますが、集権官治から分権自治へ転換して、各地方の特色を生かしたモザイク国家を目指し、地方の発展を図るべきであるとの意見が述べられました。
これらの参考人の御意見を踏まえて、質疑、委員間の自由討議が行われ、委員、参考人の間で毎回活発な意見の交換が行われましたが、そこにおいて表明された意見を小委員長として総括するとすれば、日本国憲法において制度的に保障されている地方自治を今後さらに充実させるためには、現在進められている地方分権改革を一層推進する必要があり、これに対しては、国から地方への権限移譲のみならず税財源の移譲が不可欠であるということは、委員及び参考人に共通した認識でありました。
また、市町村合併のあり方や今後の都道府県のあり方、さらに道州制の導入を検討する必要性など、統治構造全般にわたり多くの意見が述べられました。
今後は、これらの指摘を踏まえ、二十一世紀における我が国の国家像をにらみつつ、地方自治制度を一層充実させる観点から、さらに議論を深めていきたいと考えております。
以上、御報告申し上げます。
中
中
中山太郎#14
○中山会長 これより委員間の自由な討議を行います。
御承知のとおり、本調査会は、今国会より、個別の論点についての専門的、効果的な調査を進めるため四つの小委員会を設置し、調査を進めているところであります。本日は、これまでの議論を踏まえて自由濶達な御意見を拝聴したいと存じております。
本日の議事の進め方でありますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、順序を定めず討議を行いたいと存じます。
各会派に割り当てられている総発言時間は、自由民主党六十五分、民主党・無所属クラブ三十五分、公明党十分、自由党十分、日本共産党十分、社会民主党・市民連合十分、保守党十分となっております。一回の御発言は五分または十分以内におまとめいただくこととし、会長の指名に基づいて、所属会派、氏名及び五分発言されるか十分発言されるかをあらかじめお述べいただいてからお願いをいたしたいと存じます。
委員の発言時間のお知らせでありますが、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせしたいと存じます。
それでは、まず、葉梨信行君。
この発言だけを見る →御承知のとおり、本調査会は、今国会より、個別の論点についての専門的、効果的な調査を進めるため四つの小委員会を設置し、調査を進めているところであります。本日は、これまでの議論を踏まえて自由濶達な御意見を拝聴したいと存じております。
本日の議事の進め方でありますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、順序を定めず討議を行いたいと存じます。
各会派に割り当てられている総発言時間は、自由民主党六十五分、民主党・無所属クラブ三十五分、公明党十分、自由党十分、日本共産党十分、社会民主党・市民連合十分、保守党十分となっております。一回の御発言は五分または十分以内におまとめいただくこととし、会長の指名に基づいて、所属会派、氏名及び五分発言されるか十分発言されるかをあらかじめお述べいただいてからお願いをいたしたいと存じます。
委員の発言時間のお知らせでありますが、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせしたいと存じます。
それでは、まず、葉梨信行君。
葉
葉梨信行#15
○葉梨委員 自由民主党の葉梨信行であります。
自由民主党の発言時間の枠内で二枠分、十分間で発言をさせていただきます。
ただいま四小委員長から各小委員会における調査の経過及び概要について御報告がございましたが、私ども衆議院の憲法調査会では、これまで、日本国憲法の制定経緯、戦後の主な違憲判決、二十一世紀の日本のあるべき姿と調査を進めてまいりまして、この国会からいよいよ小委員会による個別論点の調査に入ったわけであります。
私は、基本的人権、国際社会、地方自治と三つの小委員を兼ねておりますが、政治機構の小委員会にも毎回出席し傍聴しておりますので、自分なりに全体を総括して、一言感想を申し述べたいと思います。
まず、端的に申し上げまして、四つの小委員会いずれにおきましても、憲法の各条章について突っ込んだ御意見を聞くことができ、また、自由討議では小委員間の意見の応酬などもあり、大変に実りの多い調査のできた会期であったと思っております。
その中でも特に印象に残りましたのは、基本的人権小委員会において、権利と義務に関して御意見を述べられました伊藤哲夫参考人の御発言であります。伊藤先生は、国家に対するさまざまな義務規定を設けている中華人民共和国憲法に言及しながら、憲法にさまざまな義務規定を置く必要はない、ただ一点、国防の義務を規定すれば足りると断言されました。
伊藤先生の言われるこの国防の義務は、いわゆる兵役の義務とは区別されるもので、その趣旨は、公に対する最大の義務は、国家の存立が危うくなったときに、国民としてそれを守ること、すなわち、みずからの国をみずから守ることは民主主義国家の最大の国民連帯の精神である、それが端的にこの国防の義務にあらわれている、そういった趣旨であったかと存じます。いずれにいたしましても、大変示唆的なお話であったと承りました。
政治機構小委員会での議論では、八木秀次先生の明治憲法に関するお話が印象に残っております。八木先生は、今日、明治憲法は甚だ評価が低いものとなっているが、その政治体制は民主的な立憲君主制であり、明治憲法から今なお学ぶものは多いこと、また、憲法論議は国柄に関する論議でなければならず、明治憲法は、海外各国の成法という普遍的な価値とともに、建国の体、すなわち国柄という我が国の特殊性を融合させたものであることを述べられましたが、これらの御発言には深く感銘を受けました。
これまで、国会の場で明治憲法を議論すること自体が反動的と指摘される雰囲気すらあったように思いますが、各会派から特段の御反対もなく、何のタブーもなくこのような議論ができるようになったことは、この憲法調査会の堅実な調査のたまものであるかと存じます。
また、この政治機構小委員会では、首相公選制や両院のあり方に関する議論もなされました。首相公選制につきましては、私自身は、昨年の海外調査におけるイスラエルの首相公選制の調査などにかんがみて、その導入には否定的で、導入論者の説く首相あるいは政治家のリーダーシップの強化は、現在の議院内閣制のシステムの中で発揮すべき事柄だと考えております。
要するに、首相選挙においてあらわれた民意と議会選挙においてあらわれた民意との間にギャップが生じた場合どうするのか。イスラエルでは、小党分立を招来し、結局は、政党の野合による政権運営によって、民意から離れた政治が行われることとなったわけであります。イスラエルでは、次回から、首相は、前に戻りまして、議会で選出されることとなっていると聞いております。
もちろん、現在の議院内閣制の運用については、内閣と与党の関係をどうするか、政党の規律というものをどう考えるかなど、検討すべき課題は多いと思いますが、この国会での政治機構小委員会での議論でも、東大の高橋和之先生の言われる国民内閣制的運用など、いろいろ示唆的な発言があったように思われます。
なお、その際には、立法府の優位性と三権分立の関係といった根本的問題にも検討が及ぶことになりましょう。
ところで、首相のリーダーシップの強化の根底にある政権の安定といったことを考えた場合、ある程度の任期を首相に保障するような制度的仕組みを講ずることが重要かと存じます。すぐに成果を出さないと、与党内からも首相の足を引っ張るような動きが出てくる政治風土と申しますか議院内閣制の運用がなされておりますと、首相サイドとしても、目に見える成果を性急に出そうとする余り、落ちついた政権運営、政策展開ができない状況になってしまいます。現在の小泉内閣を見ておりますと、若干そのような感じがいたしております。
憲法の問題であるのか運用の問題であるのか、議院内閣制のもとにおける安定した政権運営を担保するような憲法上の仕組みを講ずることも、課題の一つかと存じます。
また、両院制のあるべき姿についてもさまざまな議論がなされました。私は、より的確な民意反映の観点から、衆議院と参議院の機能分担を明確にするべきこと、そして、その前提として、衆参の議員の選出方法に違いを持たせるよう工夫すべきであると考えます。参考人及び委員の御発言を伺っても、この点については大方の御賛同をいただけるものと確信いたしております。
地方自治小委員会では、市町村合併や地方財政問題など多岐にわたる議論がなされました。
参考人のお一人としてお呼びしました鳥取県の片山善博知事は、私が自治大臣を務めていたときの秘書官だった方でありますが、その活躍ぶりには改めて感心させられました。二期八年全力投球すれば、アイデアとかエネルギーは枯渇するのではないか、アメリカの大統領が三選禁止されているのは一つの英知であるという多選禁止論や、地方議会との間でも根回しをしないで、よい意味での緊張感を持って政策論議をしている様子など、一つのあるべき地方自治の姿だと感じました。
ただ、この片山知事のほか、三重県の北川正恭知事からも、現場の経験を踏まえた御発言を伺ったわけでありますが、それらを通じて感じておりますのは、個々の自治体においてそれぞれ創意工夫を凝らしながら、より一層地方分権を推進していく必要性を痛感すると同時に、他方、都市部、農村部、あるいは過密過疎など、国土全体の均衡ある発展といったこととのバランスをどのようにとるのかといった問題もあるということであります。
また、道州制の議論もなされましたが、これについてはまだまだ議論は緒についたばかりであり、今後は具体論を詰める必要があると思っております。
すなわち、これまでの道州制論議はどちらかというと中央政府の側からの議論、すなわち国の権限の受け皿としての道州だったように思いますが、地方自治小委員会での議論では、それとは違った、下からの道州制といいますか、都道府県では対応できない広域的な仕事を、道州をつくって下から上に持ち上げていこうという都道府県連合的なものが出てまいりました。このように、具体的なイメージを明確にして議論をしていく必要があるかと存じます。
国際社会小委員会では、平和主義と安全保障の問題、国際協力の問題などが集中的に議論されましたが、日本のみの安全だけではなく、国際協力の観点から、世界の安全、地域の安全、人間一人一人の安全に対してどのような貢献ができるのかという視点が重要であることを痛感いたしました。それこそが、憲法前文に規定する「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」、そして「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」とする国際協調主義の精神だと信ずるからであります。
国際社会小委員会では、参考人質疑だけではなく、小委員間で意見の応酬もなされましたが、平和憲法があるから我が国の安全は保障されるという、ひとりよがりの平和主義から脱却することが極めて重要な課題であると思います。
ところで、この国際社会小委員会での議論を伺っておりましても、戦争の放棄という憲法九条第一項が定める平和主義の理念自体に反対する会派、論者は全くないわけであります。おのずと議論の的は、理想主義的な軍備の全面的放棄を定める九条二項にあること、この点までは議論が煮詰まってきていると言ってよいでしょう。
そうなりますと、一、全くの非暴力抵抗主義でいくのか、二、万が一の場合に国民の生命財産を守るための必要最小限度の自衛力を保持することを憲法上明記しておくべきなのか、三、そのためには、二項を書き直すか、二項を削除でいいのか、それとも三項を追加する形で確認するのが適切なのかといった、わかりやすい議論になっていくことが必要ではないかと思います。
いずれにいたしましても、より真摯なかつ具体的な議論をしてまいりたいと思っております。
以上、四つの小委員会での議論に即して簡単に感想を申し述べましたが、今後とも、各会派それぞれの立場を超え、二十一世紀の日本国、そこで活躍する日本国民のための憲法論議という大きな目標を見据えて、同じ土俵の上に立って、着実に、何のタブーもなく、自由濶達な議論が繰り広げられるよう、中山会長初め委員各位とともに努めてまいることを申し上げ、私の意見表明とさせていただきます。終わります。
この発言だけを見る →自由民主党の発言時間の枠内で二枠分、十分間で発言をさせていただきます。
ただいま四小委員長から各小委員会における調査の経過及び概要について御報告がございましたが、私ども衆議院の憲法調査会では、これまで、日本国憲法の制定経緯、戦後の主な違憲判決、二十一世紀の日本のあるべき姿と調査を進めてまいりまして、この国会からいよいよ小委員会による個別論点の調査に入ったわけであります。
私は、基本的人権、国際社会、地方自治と三つの小委員を兼ねておりますが、政治機構の小委員会にも毎回出席し傍聴しておりますので、自分なりに全体を総括して、一言感想を申し述べたいと思います。
まず、端的に申し上げまして、四つの小委員会いずれにおきましても、憲法の各条章について突っ込んだ御意見を聞くことができ、また、自由討議では小委員間の意見の応酬などもあり、大変に実りの多い調査のできた会期であったと思っております。
その中でも特に印象に残りましたのは、基本的人権小委員会において、権利と義務に関して御意見を述べられました伊藤哲夫参考人の御発言であります。伊藤先生は、国家に対するさまざまな義務規定を設けている中華人民共和国憲法に言及しながら、憲法にさまざまな義務規定を置く必要はない、ただ一点、国防の義務を規定すれば足りると断言されました。
伊藤先生の言われるこの国防の義務は、いわゆる兵役の義務とは区別されるもので、その趣旨は、公に対する最大の義務は、国家の存立が危うくなったときに、国民としてそれを守ること、すなわち、みずからの国をみずから守ることは民主主義国家の最大の国民連帯の精神である、それが端的にこの国防の義務にあらわれている、そういった趣旨であったかと存じます。いずれにいたしましても、大変示唆的なお話であったと承りました。
政治機構小委員会での議論では、八木秀次先生の明治憲法に関するお話が印象に残っております。八木先生は、今日、明治憲法は甚だ評価が低いものとなっているが、その政治体制は民主的な立憲君主制であり、明治憲法から今なお学ぶものは多いこと、また、憲法論議は国柄に関する論議でなければならず、明治憲法は、海外各国の成法という普遍的な価値とともに、建国の体、すなわち国柄という我が国の特殊性を融合させたものであることを述べられましたが、これらの御発言には深く感銘を受けました。
これまで、国会の場で明治憲法を議論すること自体が反動的と指摘される雰囲気すらあったように思いますが、各会派から特段の御反対もなく、何のタブーもなくこのような議論ができるようになったことは、この憲法調査会の堅実な調査のたまものであるかと存じます。
また、この政治機構小委員会では、首相公選制や両院のあり方に関する議論もなされました。首相公選制につきましては、私自身は、昨年の海外調査におけるイスラエルの首相公選制の調査などにかんがみて、その導入には否定的で、導入論者の説く首相あるいは政治家のリーダーシップの強化は、現在の議院内閣制のシステムの中で発揮すべき事柄だと考えております。
要するに、首相選挙においてあらわれた民意と議会選挙においてあらわれた民意との間にギャップが生じた場合どうするのか。イスラエルでは、小党分立を招来し、結局は、政党の野合による政権運営によって、民意から離れた政治が行われることとなったわけであります。イスラエルでは、次回から、首相は、前に戻りまして、議会で選出されることとなっていると聞いております。
もちろん、現在の議院内閣制の運用については、内閣と与党の関係をどうするか、政党の規律というものをどう考えるかなど、検討すべき課題は多いと思いますが、この国会での政治機構小委員会での議論でも、東大の高橋和之先生の言われる国民内閣制的運用など、いろいろ示唆的な発言があったように思われます。
なお、その際には、立法府の優位性と三権分立の関係といった根本的問題にも検討が及ぶことになりましょう。
ところで、首相のリーダーシップの強化の根底にある政権の安定といったことを考えた場合、ある程度の任期を首相に保障するような制度的仕組みを講ずることが重要かと存じます。すぐに成果を出さないと、与党内からも首相の足を引っ張るような動きが出てくる政治風土と申しますか議院内閣制の運用がなされておりますと、首相サイドとしても、目に見える成果を性急に出そうとする余り、落ちついた政権運営、政策展開ができない状況になってしまいます。現在の小泉内閣を見ておりますと、若干そのような感じがいたしております。
憲法の問題であるのか運用の問題であるのか、議院内閣制のもとにおける安定した政権運営を担保するような憲法上の仕組みを講ずることも、課題の一つかと存じます。
また、両院制のあるべき姿についてもさまざまな議論がなされました。私は、より的確な民意反映の観点から、衆議院と参議院の機能分担を明確にするべきこと、そして、その前提として、衆参の議員の選出方法に違いを持たせるよう工夫すべきであると考えます。参考人及び委員の御発言を伺っても、この点については大方の御賛同をいただけるものと確信いたしております。
地方自治小委員会では、市町村合併や地方財政問題など多岐にわたる議論がなされました。
参考人のお一人としてお呼びしました鳥取県の片山善博知事は、私が自治大臣を務めていたときの秘書官だった方でありますが、その活躍ぶりには改めて感心させられました。二期八年全力投球すれば、アイデアとかエネルギーは枯渇するのではないか、アメリカの大統領が三選禁止されているのは一つの英知であるという多選禁止論や、地方議会との間でも根回しをしないで、よい意味での緊張感を持って政策論議をしている様子など、一つのあるべき地方自治の姿だと感じました。
ただ、この片山知事のほか、三重県の北川正恭知事からも、現場の経験を踏まえた御発言を伺ったわけでありますが、それらを通じて感じておりますのは、個々の自治体においてそれぞれ創意工夫を凝らしながら、より一層地方分権を推進していく必要性を痛感すると同時に、他方、都市部、農村部、あるいは過密過疎など、国土全体の均衡ある発展といったこととのバランスをどのようにとるのかといった問題もあるということであります。
また、道州制の議論もなされましたが、これについてはまだまだ議論は緒についたばかりであり、今後は具体論を詰める必要があると思っております。
すなわち、これまでの道州制論議はどちらかというと中央政府の側からの議論、すなわち国の権限の受け皿としての道州だったように思いますが、地方自治小委員会での議論では、それとは違った、下からの道州制といいますか、都道府県では対応できない広域的な仕事を、道州をつくって下から上に持ち上げていこうという都道府県連合的なものが出てまいりました。このように、具体的なイメージを明確にして議論をしていく必要があるかと存じます。
国際社会小委員会では、平和主義と安全保障の問題、国際協力の問題などが集中的に議論されましたが、日本のみの安全だけではなく、国際協力の観点から、世界の安全、地域の安全、人間一人一人の安全に対してどのような貢献ができるのかという視点が重要であることを痛感いたしました。それこそが、憲法前文に規定する「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」、そして「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」とする国際協調主義の精神だと信ずるからであります。
国際社会小委員会では、参考人質疑だけではなく、小委員間で意見の応酬もなされましたが、平和憲法があるから我が国の安全は保障されるという、ひとりよがりの平和主義から脱却することが極めて重要な課題であると思います。
ところで、この国際社会小委員会での議論を伺っておりましても、戦争の放棄という憲法九条第一項が定める平和主義の理念自体に反対する会派、論者は全くないわけであります。おのずと議論の的は、理想主義的な軍備の全面的放棄を定める九条二項にあること、この点までは議論が煮詰まってきていると言ってよいでしょう。
そうなりますと、一、全くの非暴力抵抗主義でいくのか、二、万が一の場合に国民の生命財産を守るための必要最小限度の自衛力を保持することを憲法上明記しておくべきなのか、三、そのためには、二項を書き直すか、二項を削除でいいのか、それとも三項を追加する形で確認するのが適切なのかといった、わかりやすい議論になっていくことが必要ではないかと思います。
いずれにいたしましても、より真摯なかつ具体的な議論をしてまいりたいと思っております。
以上、四つの小委員会での議論に即して簡単に感想を申し述べましたが、今後とも、各会派それぞれの立場を超え、二十一世紀の日本国、そこで活躍する日本国民のための憲法論議という大きな目標を見据えて、同じ土俵の上に立って、着実に、何のタブーもなく、自由濶達な議論が繰り広げられるよう、中山会長初め委員各位とともに努めてまいることを申し上げ、私の意見表明とさせていただきます。終わります。
中
山
山田敏雅#17
○山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
私は、国際社会における日本のあり方に関する小委員会に属しまして、議論を進めてまいりました。その中の議論について、五分間意見を述べさせていただきたいと思います。
この中で、国際社会の中で日本は一体どういう地位を今占めているのか、あるいはどうあるべきなのかという議論が活発に行われたと思います。
この中で行われたこと、一つは、EUのケースを見て、経済統合から政治的統合、そして軍事的統合、そして恒久的な平和への道を歩んでいく、この考え方。もう一つは、自由貿易協定によって経済のブロック化をしていく、この流れの中で、日本は今どうあるのか。残念ながら、この意見の中で、日本は世界の中でそのプレゼンスは非常に小さくなっている。そして、むしろ、世界をリードして恒久的な世界平和に持っていくという理念とは反対に、孤立して、その力は弱まっているんではないか、こういう議論がございました。
自由貿易協定については、EUにどんどん参加国がふえていって、将来二倍とか三倍、そういう規模になっていく、こういう自由貿易協定によるブロック化が進んでいる。アメリカについては、南北アメリカ大陸はさらに自由貿易協定を進めていっている。アジアにおいては、中国がASEANすべての国と自由貿易協定を結ぼう、こういう傾向がさらに強まっている。
それに対して日本は、シンガポールという、ほとんど貿易に何の摩擦もない、実質的に何の意味もない貿易協定が一つできた。日本が、この自由貿易協定を通してブロック化していくという中では、本当に孤立してしまっている。
憲法前文にあります、国際社会において名誉ある地位を占める、そして恒久的な世界平和のためにリーダーシップをとっていくということについて、憲法上のいろいろな規定が今の日本の歩んでいる道に足かせとなっている点が指摘されると私は思います。
国家の果たすべき役割、すなわち国家のアイデンティティー、あるいは国の使命、天命といいますか、やるべきことは、世界で唯一の被爆国である日本は明らかであります。核兵器をこの世界から廃絶すること、これが我が国の国家としてのアイデンティティーではないかと思います。しかし、過去五十年間、日本は、アメリカ、中国等に対して一度も核兵器をやめろと言ったことはない、こういう事実もあると思います。
そこで、私はこの小委員会の中で意見を申し上げましたけれども、国連の発展的な解消。国連が十分な役割と機能を果たしていない。国際的な紛争を速やかに解決し、そして裁判権を持っていないということが重要な点であると思います。日本がこれからリーダーシップをとってやるべきことは、各国が個別に軍隊を持つのではなく、世界連邦という考えのもとに一つの軍隊を持つ、各国は警察権だけを持つ、そして、国際紛争については、実質的な裁判権を持つ、この考え方を日本は世界をリードして進めていくべきではないかと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →私は、国際社会における日本のあり方に関する小委員会に属しまして、議論を進めてまいりました。その中の議論について、五分間意見を述べさせていただきたいと思います。
この中で、国際社会の中で日本は一体どういう地位を今占めているのか、あるいはどうあるべきなのかという議論が活発に行われたと思います。
この中で行われたこと、一つは、EUのケースを見て、経済統合から政治的統合、そして軍事的統合、そして恒久的な平和への道を歩んでいく、この考え方。もう一つは、自由貿易協定によって経済のブロック化をしていく、この流れの中で、日本は今どうあるのか。残念ながら、この意見の中で、日本は世界の中でそのプレゼンスは非常に小さくなっている。そして、むしろ、世界をリードして恒久的な世界平和に持っていくという理念とは反対に、孤立して、その力は弱まっているんではないか、こういう議論がございました。
自由貿易協定については、EUにどんどん参加国がふえていって、将来二倍とか三倍、そういう規模になっていく、こういう自由貿易協定によるブロック化が進んでいる。アメリカについては、南北アメリカ大陸はさらに自由貿易協定を進めていっている。アジアにおいては、中国がASEANすべての国と自由貿易協定を結ぼう、こういう傾向がさらに強まっている。
それに対して日本は、シンガポールという、ほとんど貿易に何の摩擦もない、実質的に何の意味もない貿易協定が一つできた。日本が、この自由貿易協定を通してブロック化していくという中では、本当に孤立してしまっている。
憲法前文にあります、国際社会において名誉ある地位を占める、そして恒久的な世界平和のためにリーダーシップをとっていくということについて、憲法上のいろいろな規定が今の日本の歩んでいる道に足かせとなっている点が指摘されると私は思います。
国家の果たすべき役割、すなわち国家のアイデンティティー、あるいは国の使命、天命といいますか、やるべきことは、世界で唯一の被爆国である日本は明らかであります。核兵器をこの世界から廃絶すること、これが我が国の国家としてのアイデンティティーではないかと思います。しかし、過去五十年間、日本は、アメリカ、中国等に対して一度も核兵器をやめろと言ったことはない、こういう事実もあると思います。
そこで、私はこの小委員会の中で意見を申し上げましたけれども、国連の発展的な解消。国連が十分な役割と機能を果たしていない。国際的な紛争を速やかに解決し、そして裁判権を持っていないということが重要な点であると思います。日本がこれからリーダーシップをとってやるべきことは、各国が個別に軍隊を持つのではなく、世界連邦という考えのもとに一つの軍隊を持つ、各国は警察権だけを持つ、そして、国際紛争については、実質的な裁判権を持つ、この考え方を日本は世界をリードして進めていくべきではないかと思います。
以上でございます。
中
赤
赤松正雄#19
○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
衆議院の憲法調査会も、スタート以来二年半を経まして、ほぼ中間の折り返し点を迎えました。
先ほど来、小委員長からの御報告、また自由民主党、民主党の委員の方から、これまでの、今国会の小委員会における御発言のエッセンスのようなものが述べられました。私も、国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会に所属をしてまいりまして、五回にわたっての参考人に対する発言にさまざまな議論をさせていただいたわけでございますが、その中身につきましては、議事録あるいは調査会発行の論点整理メモに譲るといたしまして、きょうは、沖縄に続きまして北海道での公聴会に参加をいたしまして、強く印象に残ったことを中心に申し上げたいと思います。
まず、基本的に、護憲の立場に立つ公述人におきましても、憲法第九条については断じてさわるべきじゃないというものの、それ以外のテーマにつきましては柔軟に対応する余地があるとする発言が、北海道での公聴会において非常に特徴があったと見るべきだと私は思います。
これは、憲法調査会に対して寄せられる一般の国民の皆様の意見の中身と共通するところでもあろうかと思います。つまり、テーマを明確にした上での護憲論は圧倒的に憲法第九条に関するものが多くて、改憲論についてはそれ以外のものに関するテーマのものが多い、そういう傾向が見られるからであります。
例えば、北海道ではこういう公述人の意見がありました。いかなる困難があっても憲法三原理は堅持するべしとされた公述人が、それでも改革の余地があると思うテーマとして、一つはレファレンダム、国民表決の明記、二つは憲法裁判所の設置、三つは首相公選制の検討、四つは公共の福祉概念の明確化、五つはプライバシー権などの鮮明な規定、この五つを挙げられました。
私は、問題の所在をよりはっきりさせるために、これらは憲法明文の改正か、それともいわゆる改革で済むと思っておられての発言なのかと詰めて、二者択一的に聞きました。それに対して、公述人からは、論理的な感覚と政治的な感覚とが自分の中でもなかなか整合していないとか、いささかアンビバレントな悩ましい感じを持っているとの苦衷を率直に述べられて、最後に、国民にその考え方を問うのが筋だと思うとされたのが極めて印象に残りました。
特に、この学者の公述に対して、終了後に会場から、なぜはっきりと憲法明文改正には反対だと明言しなかったのか、あいまいな言い方は許せないとする若い学生の傍聴人からのいかにも乱暴な発言がありました。そのときの公述人の苦笑いを含んだ複雑な表情を私は忘れることができません。私はここに、憲法明文を改正することについて、最初の一歩すら踏み出せぬちゅうちょとでも言うべきものを感じる向きがいまだ日本に多いとの現実を集約的に見る思いがいたしました。
従来からの憲法論議は、ややもすれば、憲法は現実に合っていないから現状に沿って変えようとの立場と、逆に、憲法に現実を合わせるべきだとする立場のぶつかり合いが繰り返されてきています。
それに対して、憲法か現実かの対立の図式ではなくて、憲法も現実も変化する対象ととらえて、しかも、それを二十一世紀のあるべき日本の姿から照らして考えてみようというのがこの憲法調査会のスタートの考え方であったと思います。改めて原点を確認する必要があります。
残された後半の議論を前に、タブーを設けないで、変化をもたらすべき対象としての憲法と現実の双方をしっかり見据えて議論をしてまいりたい、そういう決意を申し上げて私の発言を終わります。
以上でございます。
この発言だけを見る →衆議院の憲法調査会も、スタート以来二年半を経まして、ほぼ中間の折り返し点を迎えました。
先ほど来、小委員長からの御報告、また自由民主党、民主党の委員の方から、これまでの、今国会の小委員会における御発言のエッセンスのようなものが述べられました。私も、国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会に所属をしてまいりまして、五回にわたっての参考人に対する発言にさまざまな議論をさせていただいたわけでございますが、その中身につきましては、議事録あるいは調査会発行の論点整理メモに譲るといたしまして、きょうは、沖縄に続きまして北海道での公聴会に参加をいたしまして、強く印象に残ったことを中心に申し上げたいと思います。
まず、基本的に、護憲の立場に立つ公述人におきましても、憲法第九条については断じてさわるべきじゃないというものの、それ以外のテーマにつきましては柔軟に対応する余地があるとする発言が、北海道での公聴会において非常に特徴があったと見るべきだと私は思います。
これは、憲法調査会に対して寄せられる一般の国民の皆様の意見の中身と共通するところでもあろうかと思います。つまり、テーマを明確にした上での護憲論は圧倒的に憲法第九条に関するものが多くて、改憲論についてはそれ以外のものに関するテーマのものが多い、そういう傾向が見られるからであります。
例えば、北海道ではこういう公述人の意見がありました。いかなる困難があっても憲法三原理は堅持するべしとされた公述人が、それでも改革の余地があると思うテーマとして、一つはレファレンダム、国民表決の明記、二つは憲法裁判所の設置、三つは首相公選制の検討、四つは公共の福祉概念の明確化、五つはプライバシー権などの鮮明な規定、この五つを挙げられました。
私は、問題の所在をよりはっきりさせるために、これらは憲法明文の改正か、それともいわゆる改革で済むと思っておられての発言なのかと詰めて、二者択一的に聞きました。それに対して、公述人からは、論理的な感覚と政治的な感覚とが自分の中でもなかなか整合していないとか、いささかアンビバレントな悩ましい感じを持っているとの苦衷を率直に述べられて、最後に、国民にその考え方を問うのが筋だと思うとされたのが極めて印象に残りました。
特に、この学者の公述に対して、終了後に会場から、なぜはっきりと憲法明文改正には反対だと明言しなかったのか、あいまいな言い方は許せないとする若い学生の傍聴人からのいかにも乱暴な発言がありました。そのときの公述人の苦笑いを含んだ複雑な表情を私は忘れることができません。私はここに、憲法明文を改正することについて、最初の一歩すら踏み出せぬちゅうちょとでも言うべきものを感じる向きがいまだ日本に多いとの現実を集約的に見る思いがいたしました。
従来からの憲法論議は、ややもすれば、憲法は現実に合っていないから現状に沿って変えようとの立場と、逆に、憲法に現実を合わせるべきだとする立場のぶつかり合いが繰り返されてきています。
それに対して、憲法か現実かの対立の図式ではなくて、憲法も現実も変化する対象ととらえて、しかも、それを二十一世紀のあるべき日本の姿から照らして考えてみようというのがこの憲法調査会のスタートの考え方であったと思います。改めて原点を確認する必要があります。
残された後半の議論を前に、タブーを設けないで、変化をもたらすべき対象としての憲法と現実の双方をしっかり見据えて議論をしてまいりたい、そういう決意を申し上げて私の発言を終わります。
以上でございます。
中
春
春名直章#21
○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
まず、札幌地方公聴会について申し上げたいと思います。
最大の特徴は、陳述人の大多数が、憲法第九条を日本の平和を守ってきたものとして高く評価するとともに、今後も日本の平和と安全の道しるべとして一層重視すべきという立場を表明したことです。そして、憲法違反の有事法制への深い疑念も語られました。
結城陳述人は、九条は我が国の平和と繁栄の基礎をなすもので、世界に誇りを持って提示し得るものであるとの意見が出されました。馬杉陳述人は、九条の理想的な平和主義は先駆的で、二十一世紀にこそ真価が発揮されると強調しました。
北海道は、恵庭事件や長沼訴訟などがあり、今日では矢臼別での米軍実弾演習が行われています。憲法九条と安保条約をめぐって非常に鋭い対決があるところでもあります。同時に、憲法違反の有事法制が国会で審議されているさなかであったことから、それが、地方公聴会では九条を守り、生かすべきとの声となって反映したものだと思います。
外務省が三月に行った世論調査でも、日本の平和と安全を守っているのは平和憲法との答えが六四%と、最も多いものとなりました。ここにも、九条への国民意識が示されています。二十一世紀の平和と安全は、九条を投げ捨てるのではなくて、逆に九条を生かし切ることこそ重要だということは疑いありません。
第二に、憲法に示された先駆的な規定に沿った政治こそ今求められているということ、そして、現実にはその理念が生かされていないことがさまざまな具体的事実に基づいて改めて明らかにされました。
九条だけではなく、アイヌの人権保障とこれまでの政府の怠慢を告発した田中陳述人、女性への就職差別や暴力など、法のもとの平等を現実化する努力こそ重要と強調した佐藤陳述人、国家主権の回復の問題として食料自給率の向上を述べた石塚公述人などなどです。本調査会として、こうした国民の率直な声に真っすぐに耳を傾けなければなりません。
基本的人権小委員会で感じたことですが、日本の人権状況についての調査がいよいよ大切になってきているということを感じます。連合事務局長の草野参考人は、労働三権が憲法で保障されたにもかかわらず、いまだに公務員には争議権が認められず、公務員制度改革でも後回しになっていることを強く批判いたしました。こうした問題は、他の人権規定でも同様であります。
逆に、防衛庁の情報公開請求者のリスト化問題、個人情報流出の危険を飛躍的に高める住民基本台帳ネットワークシステムの稼働など、憲法の規定した三十一カ条にわたる豊かな人権条項が、目の前で一層踏みにじられている実態が進んでいることを直視しなければなりません。国連も、国際人権規約の規定の多くの部分が既に憲法に規定されているにもかかわらず、国内法が未整備であったり、実現していないことに懸念を表明しています。
小委員会では、プライバシー権、その他新しい人権についての意見もありました。こうした現実に起こっている人権問題、憲法と現実との乖離の実態とその原因などをしっかり調査してこそ、新しい人権の問題も地に足がついた調査になると考えます。
今日の日本の人権状況は、憲法に明文規定があれば必ず保障されるということを意味しておりません。現行憲法が守られていない状態を放置したままで、幾ら条文をいじったり外国の憲法を参考にしたところで、国民にとっては空疎な議論にしかならないのではないでしょうか。
地方自治小委員会では、多くの参考人が憲法第八章に地方自治の章が盛られた意義を評価し、これを二十一世紀に生かすという立場が表明されたことは大変重要でした。住民自治、団体自治という地方自治の本旨の内実を一層豊かにすることがこれからの大きな課題で、それは、ヨーロッパ地方自治憲章など、世界の流れに沿ったものだと思います。実際、それぞれの現場ではその努力がなされていることに目を向ける必要があります。
鳥取県の片山知事は、鳥取県西部地震への対応の際、憲法に保障された人権を守り地域を守るためには住宅再建がかぎとの立場で、再建資金をダム建設の中止によって捻出した経験を述べましたが、教訓的でした。
こうした自治の内実を豊かにしようとする努力をしている活動を、憲法調査会としてしっかり調査することがこれから重要です。そこから離れた、住民の意向を無視した上からの市町村合併、道州制の導入論は、地方自治の本旨の実現にとって逆に有害でありまして、自治をゆがめるものとならざるを得ないことを述べまして、私の発言といたします。
この発言だけを見る →まず、札幌地方公聴会について申し上げたいと思います。
最大の特徴は、陳述人の大多数が、憲法第九条を日本の平和を守ってきたものとして高く評価するとともに、今後も日本の平和と安全の道しるべとして一層重視すべきという立場を表明したことです。そして、憲法違反の有事法制への深い疑念も語られました。
結城陳述人は、九条は我が国の平和と繁栄の基礎をなすもので、世界に誇りを持って提示し得るものであるとの意見が出されました。馬杉陳述人は、九条の理想的な平和主義は先駆的で、二十一世紀にこそ真価が発揮されると強調しました。
北海道は、恵庭事件や長沼訴訟などがあり、今日では矢臼別での米軍実弾演習が行われています。憲法九条と安保条約をめぐって非常に鋭い対決があるところでもあります。同時に、憲法違反の有事法制が国会で審議されているさなかであったことから、それが、地方公聴会では九条を守り、生かすべきとの声となって反映したものだと思います。
外務省が三月に行った世論調査でも、日本の平和と安全を守っているのは平和憲法との答えが六四%と、最も多いものとなりました。ここにも、九条への国民意識が示されています。二十一世紀の平和と安全は、九条を投げ捨てるのではなくて、逆に九条を生かし切ることこそ重要だということは疑いありません。
第二に、憲法に示された先駆的な規定に沿った政治こそ今求められているということ、そして、現実にはその理念が生かされていないことがさまざまな具体的事実に基づいて改めて明らかにされました。
九条だけではなく、アイヌの人権保障とこれまでの政府の怠慢を告発した田中陳述人、女性への就職差別や暴力など、法のもとの平等を現実化する努力こそ重要と強調した佐藤陳述人、国家主権の回復の問題として食料自給率の向上を述べた石塚公述人などなどです。本調査会として、こうした国民の率直な声に真っすぐに耳を傾けなければなりません。
基本的人権小委員会で感じたことですが、日本の人権状況についての調査がいよいよ大切になってきているということを感じます。連合事務局長の草野参考人は、労働三権が憲法で保障されたにもかかわらず、いまだに公務員には争議権が認められず、公務員制度改革でも後回しになっていることを強く批判いたしました。こうした問題は、他の人権規定でも同様であります。
逆に、防衛庁の情報公開請求者のリスト化問題、個人情報流出の危険を飛躍的に高める住民基本台帳ネットワークシステムの稼働など、憲法の規定した三十一カ条にわたる豊かな人権条項が、目の前で一層踏みにじられている実態が進んでいることを直視しなければなりません。国連も、国際人権規約の規定の多くの部分が既に憲法に規定されているにもかかわらず、国内法が未整備であったり、実現していないことに懸念を表明しています。
小委員会では、プライバシー権、その他新しい人権についての意見もありました。こうした現実に起こっている人権問題、憲法と現実との乖離の実態とその原因などをしっかり調査してこそ、新しい人権の問題も地に足がついた調査になると考えます。
今日の日本の人権状況は、憲法に明文規定があれば必ず保障されるということを意味しておりません。現行憲法が守られていない状態を放置したままで、幾ら条文をいじったり外国の憲法を参考にしたところで、国民にとっては空疎な議論にしかならないのではないでしょうか。
地方自治小委員会では、多くの参考人が憲法第八章に地方自治の章が盛られた意義を評価し、これを二十一世紀に生かすという立場が表明されたことは大変重要でした。住民自治、団体自治という地方自治の本旨の内実を一層豊かにすることがこれからの大きな課題で、それは、ヨーロッパ地方自治憲章など、世界の流れに沿ったものだと思います。実際、それぞれの現場ではその努力がなされていることに目を向ける必要があります。
鳥取県の片山知事は、鳥取県西部地震への対応の際、憲法に保障された人権を守り地域を守るためには住宅再建がかぎとの立場で、再建資金をダム建設の中止によって捻出した経験を述べましたが、教訓的でした。
こうした自治の内実を豊かにしようとする努力をしている活動を、憲法調査会としてしっかり調査することがこれから重要です。そこから離れた、住民の意向を無視した上からの市町村合併、道州制の導入論は、地方自治の本旨の実現にとって逆に有害でありまして、自治をゆがめるものとならざるを得ないことを述べまして、私の発言といたします。
中
金
金子哲夫#23
○金子(哲)委員 社会民主党・市民連合の金子であります。
この百五十四通常国会の最後の憲法調査会になると思いますので、この通常国会の憲法調査会のまとめ的な意味で、私なりに二つの点について意見を述べたいと思います。
第一は、地方公聴会についてであります。
今国会中に二度の地方公聴会が実施されましたけれども、この地方公聴会での意見陳述人の発言をどのように本調査会論議に反映していくかという問題であります。
沖縄、北海道の二会場で開催されましたが、いずれの会場でも、多くの陳述人から憲法九条についての発言が行われたことは周知のとおりであります。その意見は、憲法前文、九条にうたわれた平和主義を高く評価するものであったと私は感じております。私たちはこの発言を率直に受けとめることが重要だと考えております。
これらの発言を一部の地域的なもの、沖縄特有のものとする意見もあるように聞こえてくることを、私は非常に残念に思っております。特に、沖縄の発言では、沖縄戦の教訓は軍事力で国民の生命は守れないことなど、さきの大戦での国内唯一の地上戦という具体的な体験を通してのものであっただけに、その意味は大きいと言わなければなりません。憲法の中にうたわれている平和主義というものが、こうした過去の戦争体験と反省の中から生まれたことを改めて強調したいと思います。
しかも、この時期は、憲法の平和主義、基本的人権の尊重などに真っ向から対立する有事関連三法案が国会に提出されていた時期であったことも思い合わせて考えなければなりません。私は、再び過ちは繰り返してはならないということを強調したい、またそのことが強調されたと考えております。
また、その後開催された北海道での地方公聴会においても、憲法の平和主義を守る立場から憲法九条などの改正に反対する意見が、六名中五名もありました。
このことを考えてみますと、国民の中に、憲法九条を中心とする世界に誇る平和主義に対して強く支持する声が強いということを示しているというふうに私は考えております。むしろ二十一世紀に向けて世界に広げるべきという指摘がありましたが、これらの論議は、これまでの各地方公聴会でも同様に出された意見であるということも重要に考えなければならないと思います。
先ほど申し上げましたけれども、こうした意見を地域的なものとか一部のものとか考えることはできないというふうに考えております。私たち憲法調査会は、こうした地方公聴会での意見を真摯に受けとめる姿勢が求められていることは当然のことだということを改めて強調したいと思います。
意見陳述者は、この二回の場合は、すべて一般公募により応募された方々の中から私ども幹事会の協議において選ばれた人々であるということであります。つまりは、すべて調査会の責任において人選された人たちによって地方公聴会における意見陳述がなされているということを改めて申し上げたいと思います。また、地方公聴会の意見陳述について今後どのように本調査会に反映させるかについても、さらに幹事会などを中心に検討されるべきだというふうに考えております。
次に、今国会から始まりました小委員会について少し意見を述べたいと思います。
先ほど小委員長の報告ありましたように、四小委員会において精力的に調査活動が進められたと私も考えております。しかし、いまだ調査すべき事項がたくさん残っているということも事実でありまして、私は、引き続き、小委員会においてこれらの事項について調査を続行すべきだということを考えております。
小委員会において、新しい試みとして自由討論を行うこととしたことも一つには成果があったというふうに考えておりますが、ただ、残念なことでありますけれども、参考人に対する質疑が終了した時点で委員会の空席が多くなっているということも多々あったわけでありまして、今後のこの小委員会の運営のあり方、また委員相互の討論の進め方などについても、さらに工夫、努力が必要だということを最後に申し上げて、私の意見としたいと思います。ありがとうございました。
この発言だけを見る →この百五十四通常国会の最後の憲法調査会になると思いますので、この通常国会の憲法調査会のまとめ的な意味で、私なりに二つの点について意見を述べたいと思います。
第一は、地方公聴会についてであります。
今国会中に二度の地方公聴会が実施されましたけれども、この地方公聴会での意見陳述人の発言をどのように本調査会論議に反映していくかという問題であります。
沖縄、北海道の二会場で開催されましたが、いずれの会場でも、多くの陳述人から憲法九条についての発言が行われたことは周知のとおりであります。その意見は、憲法前文、九条にうたわれた平和主義を高く評価するものであったと私は感じております。私たちはこの発言を率直に受けとめることが重要だと考えております。
これらの発言を一部の地域的なもの、沖縄特有のものとする意見もあるように聞こえてくることを、私は非常に残念に思っております。特に、沖縄の発言では、沖縄戦の教訓は軍事力で国民の生命は守れないことなど、さきの大戦での国内唯一の地上戦という具体的な体験を通してのものであっただけに、その意味は大きいと言わなければなりません。憲法の中にうたわれている平和主義というものが、こうした過去の戦争体験と反省の中から生まれたことを改めて強調したいと思います。
しかも、この時期は、憲法の平和主義、基本的人権の尊重などに真っ向から対立する有事関連三法案が国会に提出されていた時期であったことも思い合わせて考えなければなりません。私は、再び過ちは繰り返してはならないということを強調したい、またそのことが強調されたと考えております。
また、その後開催された北海道での地方公聴会においても、憲法の平和主義を守る立場から憲法九条などの改正に反対する意見が、六名中五名もありました。
このことを考えてみますと、国民の中に、憲法九条を中心とする世界に誇る平和主義に対して強く支持する声が強いということを示しているというふうに私は考えております。むしろ二十一世紀に向けて世界に広げるべきという指摘がありましたが、これらの論議は、これまでの各地方公聴会でも同様に出された意見であるということも重要に考えなければならないと思います。
先ほど申し上げましたけれども、こうした意見を地域的なものとか一部のものとか考えることはできないというふうに考えております。私たち憲法調査会は、こうした地方公聴会での意見を真摯に受けとめる姿勢が求められていることは当然のことだということを改めて強調したいと思います。
意見陳述者は、この二回の場合は、すべて一般公募により応募された方々の中から私ども幹事会の協議において選ばれた人々であるということであります。つまりは、すべて調査会の責任において人選された人たちによって地方公聴会における意見陳述がなされているということを改めて申し上げたいと思います。また、地方公聴会の意見陳述について今後どのように本調査会に反映させるかについても、さらに幹事会などを中心に検討されるべきだというふうに考えております。
次に、今国会から始まりました小委員会について少し意見を述べたいと思います。
先ほど小委員長の報告ありましたように、四小委員会において精力的に調査活動が進められたと私も考えております。しかし、いまだ調査すべき事項がたくさん残っているということも事実でありまして、私は、引き続き、小委員会においてこれらの事項について調査を続行すべきだということを考えております。
小委員会において、新しい試みとして自由討論を行うこととしたことも一つには成果があったというふうに考えておりますが、ただ、残念なことでありますけれども、参考人に対する質疑が終了した時点で委員会の空席が多くなっているということも多々あったわけでありまして、今後のこの小委員会の運営のあり方、また委員相互の討論の進め方などについても、さらに工夫、努力が必要だということを最後に申し上げて、私の意見としたいと思います。ありがとうございました。
中
井
井上喜一#25
○井上(喜)委員 いろいろな意見が今開陳されたところでありますし、会議録におきましてそれぞれのところが記録されておりますので、それらの点については繰り返す必要はないと思います。私は、どちらかといいますと、議事運営につきまして、私の感じたことを申し上げたいと思います。
まず、地方公聴会、この札幌の地方公聴会なんかを見ておりますと、あそこに出てこられました意見陳述人というのは、広い意味で北海道の人たちの意見を代表しているのかということについて、大いに私は疑念を持つ者でございます。地方で公聴会を開きます以上、その地方の特色が出るということは当然だと思います。それには、地方の平均的な意見といいますか、代表的な意見が開陳されるような、そういう運営、陳述者の選任、選択をぜひともお願いいたしたいと思います。
それから、二番目に感じますことは、私は、憲法は国の基本法であるということは言うまでもないわけでありまして、どういうような国をつくっていくのかという国の目標みたいなものがありまして、そういうのを前提として基本法の中にどういうものを入れていくかというような議論があってしかるべきだと思うんでありますけれども、地方公聴会なんかで聞いておりますと、必ずしもその辺のところがはっきりしていないというような感じを受けるわけであります。字面を読みまして、だからこうだああだというような議論をしている、そういう感じを私は受けたんであります。
したがいまして、議事運営といたしまして、どういう国家を目指すのか、どういう国家をつくるんだというようなことをぜひともはっきりさせてもらって、その上で意見陳述をしていただくような、そういうお取り計らいをいただきたい、こんなふうに思います。
それから、この憲法調査会の審議期間を一応五年といたしますと、その半分が過ぎたわけでありまして、いよいよ取りまとめの段階に入っていくと思うんであります。どういう取りまとめをされるのかはこれから議論されることであろうと思うんでありますけれども、取りまとめる以上、具体的な取りまとめじゃないといけないと思うんですよ。ただ審議をこうしましたということだけでは、この調査会としての責任を果たしたことにはならないと思います。具体的な取りまとめをするというようなことをイメージしながら、これから議事運営をやっていただきたいと思うんです。
これまで学識経験者のいろいろな御意見を聞いて各党それぞれの立場から質問がされております。これはこれで結構でありますけれども、大体それで終わっていると思うんですね。
私は、そこで、その時々の議事に応じまして、会長さんなりあるいは小委員長がテーマを特定しまして、議論を深めるというようなこともあってもいいんじゃないかと思うんです。単なる議事の取りまとめ、進行係をされるだけではなしに、このテーマはここでもう少し議論した方がいいだろうというようなことにつきましては、会長あるいは小委員長の責任においてその議題を取り上げ、さらに議論を深めていく、そういったようなことをぜひお願いいたしたい。そういうことをしなければ、どうも五年のうちにきちんとした憲法についての取りまとめができないんじゃないかということを私は恐れるからでございます。
以上であります。
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この発言だけを見る →まず、地方公聴会、この札幌の地方公聴会なんかを見ておりますと、あそこに出てこられました意見陳述人というのは、広い意味で北海道の人たちの意見を代表しているのかということについて、大いに私は疑念を持つ者でございます。地方で公聴会を開きます以上、その地方の特色が出るということは当然だと思います。それには、地方の平均的な意見といいますか、代表的な意見が開陳されるような、そういう運営、陳述者の選任、選択をぜひともお願いいたしたいと思います。
それから、二番目に感じますことは、私は、憲法は国の基本法であるということは言うまでもないわけでありまして、どういうような国をつくっていくのかという国の目標みたいなものがありまして、そういうのを前提として基本法の中にどういうものを入れていくかというような議論があってしかるべきだと思うんでありますけれども、地方公聴会なんかで聞いておりますと、必ずしもその辺のところがはっきりしていないというような感じを受けるわけであります。字面を読みまして、だからこうだああだというような議論をしている、そういう感じを私は受けたんであります。
したがいまして、議事運営といたしまして、どういう国家を目指すのか、どういう国家をつくるんだというようなことをぜひともはっきりさせてもらって、その上で意見陳述をしていただくような、そういうお取り計らいをいただきたい、こんなふうに思います。
それから、この憲法調査会の審議期間を一応五年といたしますと、その半分が過ぎたわけでありまして、いよいよ取りまとめの段階に入っていくと思うんであります。どういう取りまとめをされるのかはこれから議論されることであろうと思うんでありますけれども、取りまとめる以上、具体的な取りまとめじゃないといけないと思うんですよ。ただ審議をこうしましたということだけでは、この調査会としての責任を果たしたことにはならないと思います。具体的な取りまとめをするというようなことをイメージしながら、これから議事運営をやっていただきたいと思うんです。
これまで学識経験者のいろいろな御意見を聞いて各党それぞれの立場から質問がされております。これはこれで結構でありますけれども、大体それで終わっていると思うんですね。
私は、そこで、その時々の議事に応じまして、会長さんなりあるいは小委員長がテーマを特定しまして、議論を深めるというようなこともあってもいいんじゃないかと思うんです。単なる議事の取りまとめ、進行係をされるだけではなしに、このテーマはここでもう少し議論した方がいいだろうというようなことにつきましては、会長あるいは小委員長の責任においてその議題を取り上げ、さらに議論を深めていく、そういったようなことをぜひお願いいたしたい。そういうことをしなければ、どうも五年のうちにきちんとした憲法についての取りまとめができないんじゃないかということを私は恐れるからでございます。
以上であります。
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中
中山太郎#26
○中山会長 これより委員各位による自由な討議に入りたいと存じます。
御発言を希望される方は、お手元にあるプレートをこのように立てていただき、御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。
それでは、御発言の希望のある方はお願いいたします。
この発言だけを見る →御発言を希望される方は、お手元にあるプレートをこのように立てていただき、御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。
それでは、御発言の希望のある方はお願いいたします。
伊
伊藤公介#27
○伊藤(公)委員 地方自治に関する調査小委員会と政治の基本機構のあり方について、二点ちょっと申し上げたいと思います。
地方自治については葉梨先生から御報告がありまして、私はそれにほぼ尽きるというふうに思っていますが、なお若干の考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
今、構造改革がこの内閣でも進められているわけですが、日本の将来のあるべき姿、国家像というものをどうするかということが大変大事な問題になってきている。その中で、この小委員会の中でもそれぞれの先生方が述べられてきたところでありますが、地方分権一括法が成立してから、各都道府県自治体において、地域の税というものが非常に大きな広がりを持ってきている。環境税だとかあるいは水源税だとか、そういうことが具体的に提案されてきている。実際に、既にスタートしているところもあるわけであります。
しかし、そうはいっても、国と地方との根本は、税財源を基本的に見直さなければならないということを、それぞれの御指摘も強くあったわけでありまして、これらのことを、日本の構造改革という点では、むしろ時間を短縮して、あるべき将来の姿を我々は明らかにしていく必要があるんではないかということを、大変痛切に感じています。
そういう中で、町村合併、あるいは、御報告の中にもありましたが道州制の問題、外国におきます連邦制や州制度なども学習しながら、我が国の今日におきます県というものの存在をどうするのか。特に、今、具体的には道州制のようなことがいろいろ議論されてきているわけでありますが、こういうことを総合して、将来の日本の国と地方との関係をはっきりとしていかなければならないときが本当に来ているなということを、私は感じました。これは、憲法調査会におきます、先ほどお話がありましたように、五年とかという時間的な計画もあるようですけれども、私は、日本の国の構造を本当に変えるという意味では、もう少し時間を短縮してその作業を進める必要があるということを、大変強く感じました。
それからもう一点、政治の基本機構のあり方に関してでありますが、これは、葉梨先生の御報告と、私は考え方を若干異にするわけであります。
最近、例えば、現在の小泉内閣にしても、比較をすることがいいかどうかわかりませんが、長野県の、具体的には田中知事の昨今の問題などを含めていろいろな議論があるところであります。私は、日本の長い間のいろいろなしきたりというものを変えていくときに、強力なリーダーシップがますます必要なんだなということを思っているわけであります。
ただ、例えばトップリーダーだけかわる、そのことによって大きく変わることも事実でありますけれども、しかし、根本的には、トップリーダーがかわったときにそのスタッフをどうするか。周辺が全くそのままで、トップリーダーだけがかわるだけでは、その構造を大胆に変えていくときに、非常に時間がかかるということもあります。
そういう意味で、私は、首相公選制というものは、むしろ時代の中で本格的に考えていくべき問題になってきたのではないか。それは、そのまま首相公選という形がいいのか、あるいは、そういう制度を取り入れた仕組みを考えていくのか。
いずれにしても、新しいリーダーがもっとスピードアップをしていろいろな改革ができるようなシステムを、国も地方もやるべきではないか。イスラエルの例だけを見て、日本もだめなんだということではなくて、日本は日本なりの新しい強力なリーダーシップを発揮できるシステムを我々なりに考えていくべきではないかということを、私なりの考え方を申し述べさせていただきます。
この発言だけを見る →地方自治については葉梨先生から御報告がありまして、私はそれにほぼ尽きるというふうに思っていますが、なお若干の考え方を申し上げさせていただきたいと思います。
今、構造改革がこの内閣でも進められているわけですが、日本の将来のあるべき姿、国家像というものをどうするかということが大変大事な問題になってきている。その中で、この小委員会の中でもそれぞれの先生方が述べられてきたところでありますが、地方分権一括法が成立してから、各都道府県自治体において、地域の税というものが非常に大きな広がりを持ってきている。環境税だとかあるいは水源税だとか、そういうことが具体的に提案されてきている。実際に、既にスタートしているところもあるわけであります。
しかし、そうはいっても、国と地方との根本は、税財源を基本的に見直さなければならないということを、それぞれの御指摘も強くあったわけでありまして、これらのことを、日本の構造改革という点では、むしろ時間を短縮して、あるべき将来の姿を我々は明らかにしていく必要があるんではないかということを、大変痛切に感じています。
そういう中で、町村合併、あるいは、御報告の中にもありましたが道州制の問題、外国におきます連邦制や州制度なども学習しながら、我が国の今日におきます県というものの存在をどうするのか。特に、今、具体的には道州制のようなことがいろいろ議論されてきているわけでありますが、こういうことを総合して、将来の日本の国と地方との関係をはっきりとしていかなければならないときが本当に来ているなということを、私は感じました。これは、憲法調査会におきます、先ほどお話がありましたように、五年とかという時間的な計画もあるようですけれども、私は、日本の国の構造を本当に変えるという意味では、もう少し時間を短縮してその作業を進める必要があるということを、大変強く感じました。
それからもう一点、政治の基本機構のあり方に関してでありますが、これは、葉梨先生の御報告と、私は考え方を若干異にするわけであります。
最近、例えば、現在の小泉内閣にしても、比較をすることがいいかどうかわかりませんが、長野県の、具体的には田中知事の昨今の問題などを含めていろいろな議論があるところであります。私は、日本の長い間のいろいろなしきたりというものを変えていくときに、強力なリーダーシップがますます必要なんだなということを思っているわけであります。
ただ、例えばトップリーダーだけかわる、そのことによって大きく変わることも事実でありますけれども、しかし、根本的には、トップリーダーがかわったときにそのスタッフをどうするか。周辺が全くそのままで、トップリーダーだけがかわるだけでは、その構造を大胆に変えていくときに、非常に時間がかかるということもあります。
そういう意味で、私は、首相公選制というものは、むしろ時代の中で本格的に考えていくべき問題になってきたのではないか。それは、そのまま首相公選という形がいいのか、あるいは、そういう制度を取り入れた仕組みを考えていくのか。
いずれにしても、新しいリーダーがもっとスピードアップをしていろいろな改革ができるようなシステムを、国も地方もやるべきではないか。イスラエルの例だけを見て、日本もだめなんだということではなくて、日本は日本なりの新しい強力なリーダーシップを発揮できるシステムを我々なりに考えていくべきではないかということを、私なりの考え方を申し述べさせていただきます。
大
大出彰#28
○大出委員 民主党の大出彰でございます。五分ということで。
私は、基本的人権の保障に関する調査小委員会におりましたが、今回、憲法との関係で、いわゆる有事法制といいますか、武力攻撃事態法が出てきて、それと憲法を比べながら、大変憲法にとっては考えさせられる材料だなと思いながら、片や憲法破壊というのはどういうのをいうのかなと考えたりいたしたわけなんです。
私個人は、有事法制、いわゆる武力攻撃事態法制については、今の九条がある憲法のもとでは、本来は接ぎ木ができないような法案を出してきたことになるんではないかと実は思っています。
それと同時に、それ以上に、武力攻撃事態、抽象的でプログラムみたいなものですのでよくわからないところがありますが、どうも、いろいろ選択していくと、残っているのは一個しかなくて、周辺事態のときにおける有事ACSAといいますか、それをねらっている法案でしかないのではないかということを考えますと、私は、これを、使いっ走りの、パシリ法案ではないかといって、こんなアメリカ軍を後援するような法案は主権国家としては屈辱的である、だからこんなものはやめなさいと、そんな考え方を実は言っているところなんです。
それよりも、今回、憲法との関係で見たときに、どういう形で憲法破壊が起こるのかというときに、例えば、条文はそのままになっているんだけれども、実体の法律が、全然違う法律でずっと運用されてしまうというのがそうなのか。
あるいは、そうではなくて、確かに憲法に対する認識、憲法というのは非常に抽象的に書いてありますし、その時々の政治的妥協の産物であるということも、歴史上の事実です。そういう意味では、逆説的なんですが、具体的に書いてある法律よりも、抽象的であるがゆえに、頻繁に改正をする必要があるということも逆に言えるものなんだと思うんですね。ところが、それは、憲法がねらった価値観をどこに置くか、どれが重要であると思うかによって、多分変わってくるんだと思うんです。
それと同時に、さらに、日本の憲法の場合には、硬質憲法にしてあって、そう簡単に変えられないぞということになっているわけですね。その部分が、多分、今までの憲法九条議論の中で、変えた方がいいんではないか、変えてはいけないんではないかという議論になってきたことだったと思うんです。
そこで、私は、立憲主義ということが余り言われていないものですから、憲法に基づいて政治をすることによって、特に国民の自由が、そして平和が守られるんだというのが基本ですので、もし九条にたがえるような法律をつくるんだとすれば、これはやはり九条を改正してからやるのが本来の立憲主義の姿ではないかと、そんなことを実は考えているんです。
ここで、価値観の違いで意見が変わるわけなんですが、憲法九条の場合には、明らかに、戦争の放棄という言葉が、言葉として出ているわけですね。
これは、いわゆる昔の神権、神勅天皇制が、外に対しては侵略という行為に出て、国内においては、宗教を含めて弾圧ということが行われて、それを戦後反省して、神勅の部分については政教分離という規定ができて、天皇制については、片方は象徴天皇になっていますけれども、国民主権ということになって、そして、さらに三章以下に人権保障をすべからく認められるようにした、こういうことになっているんだと思うんですね。
そうなってきますと、戦争違法論というものが憲法九条に書かれているわけですので、二項の方を変えてしまうと、戦争違法論の基本が違法でなくなることになるから、やはり変えない方が得策なんではないかと実は思っているわけでございます。
時間が来ましたのでこれ以上は申し上げませんけれども、そんな意味で、立憲主義に基づいて、もし不都合であると考えるならば、やはり憲法を改正してやるべきだろう、私は反対ですが。
以上でございます。
この発言だけを見る →私は、基本的人権の保障に関する調査小委員会におりましたが、今回、憲法との関係で、いわゆる有事法制といいますか、武力攻撃事態法が出てきて、それと憲法を比べながら、大変憲法にとっては考えさせられる材料だなと思いながら、片や憲法破壊というのはどういうのをいうのかなと考えたりいたしたわけなんです。
私個人は、有事法制、いわゆる武力攻撃事態法制については、今の九条がある憲法のもとでは、本来は接ぎ木ができないような法案を出してきたことになるんではないかと実は思っています。
それと同時に、それ以上に、武力攻撃事態、抽象的でプログラムみたいなものですのでよくわからないところがありますが、どうも、いろいろ選択していくと、残っているのは一個しかなくて、周辺事態のときにおける有事ACSAといいますか、それをねらっている法案でしかないのではないかということを考えますと、私は、これを、使いっ走りの、パシリ法案ではないかといって、こんなアメリカ軍を後援するような法案は主権国家としては屈辱的である、だからこんなものはやめなさいと、そんな考え方を実は言っているところなんです。
それよりも、今回、憲法との関係で見たときに、どういう形で憲法破壊が起こるのかというときに、例えば、条文はそのままになっているんだけれども、実体の法律が、全然違う法律でずっと運用されてしまうというのがそうなのか。
あるいは、そうではなくて、確かに憲法に対する認識、憲法というのは非常に抽象的に書いてありますし、その時々の政治的妥協の産物であるということも、歴史上の事実です。そういう意味では、逆説的なんですが、具体的に書いてある法律よりも、抽象的であるがゆえに、頻繁に改正をする必要があるということも逆に言えるものなんだと思うんですね。ところが、それは、憲法がねらった価値観をどこに置くか、どれが重要であると思うかによって、多分変わってくるんだと思うんです。
それと同時に、さらに、日本の憲法の場合には、硬質憲法にしてあって、そう簡単に変えられないぞということになっているわけですね。その部分が、多分、今までの憲法九条議論の中で、変えた方がいいんではないか、変えてはいけないんではないかという議論になってきたことだったと思うんです。
そこで、私は、立憲主義ということが余り言われていないものですから、憲法に基づいて政治をすることによって、特に国民の自由が、そして平和が守られるんだというのが基本ですので、もし九条にたがえるような法律をつくるんだとすれば、これはやはり九条を改正してからやるのが本来の立憲主義の姿ではないかと、そんなことを実は考えているんです。
ここで、価値観の違いで意見が変わるわけなんですが、憲法九条の場合には、明らかに、戦争の放棄という言葉が、言葉として出ているわけですね。
これは、いわゆる昔の神権、神勅天皇制が、外に対しては侵略という行為に出て、国内においては、宗教を含めて弾圧ということが行われて、それを戦後反省して、神勅の部分については政教分離という規定ができて、天皇制については、片方は象徴天皇になっていますけれども、国民主権ということになって、そして、さらに三章以下に人権保障をすべからく認められるようにした、こういうことになっているんだと思うんですね。
そうなってきますと、戦争違法論というものが憲法九条に書かれているわけですので、二項の方を変えてしまうと、戦争違法論の基本が違法でなくなることになるから、やはり変えない方が得策なんではないかと実は思っているわけでございます。
時間が来ましたのでこれ以上は申し上げませんけれども、そんな意味で、立憲主義に基づいて、もし不都合であると考えるならば、やはり憲法を改正してやるべきだろう、私は反対ですが。
以上でございます。
今
今野東#29
○今野委員 私は、基本的人権の保障に関する調査小委員会に所属して、参考人の方々からさまざまな意見も聞くことができました。中には、日本政策研究センター所長の伊藤哲夫さんの意見に見られるように、権利とは、共同体の歴史、文化、伝統の中で徐々に生成されたもので、その背景には共同体独自の法の精神が存在するのだという、とても承服できない意見もありましたが、多くは有意義で示唆に富む話でありました。
私は、民主党の人権調査会の、また難民問題小委員会の事務局長として、きのう、大阪・茨木市にある西日本入国管理センターに行ってまいりました。今、このセンターには、百七十二名の中国、韓国あるいはフィリピン、タイなど、さまざまな国籍の方々が収容されています。
その中に、アフガニスタンからの難民の方々も収容されているんですが、この方々は、二カ月から九カ月という非常に長い間、希望がなく、しかも十四畳ほどの部屋に十一人収容されている。プライバシーも、精神的、肉体的バランスを保つ工夫も全くありません。そして、罪を犯したわけでもないのに、おりの中に入れられているという状態であります。
被収容者の処遇は可能な限り自由を与えるとともに、被収容者が属する国の風俗習慣、生活様式を尊重した処遇に努めていると収容所の概要で定めておきながら、例えば食事は三食とも御飯を詰めた弁当が支給されておりまして、生活様式を尊重しているとは言いがたいものでありました。また、健全な収容生活を図る上から運動及び娯楽を奨励していると言いながらも、被収容者が戸外の運動場に出られるのは一回三十分、週四回だけという実態、これはとても運動を奨励しているというものではありませんでした。
我が国は、難民条約あるいは人権条約を批准しているわけでありますが、それに基づいて、国連の委員会から、日本の対応は不十分であるという勧告を受けております。その勧告への我が国が出したカウンターレポートも、例えばインドシナ難民と他の難民との扱いに大きな差があるのではないかという指摘に答えていないなど、十分な内容ではありません。
私たちは、国会でこうして憲法について議論を重ねているわけでありますが、もちろん議論は大いにすべきとは思いますが、同時に、私たちが持っている憲法の理念が、私たちの暮らしの中に、あるいは国際社会の中で、その一員として果たして責任をきちんと果たしているのかどうか検証すべきではないかと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →私は、民主党の人権調査会の、また難民問題小委員会の事務局長として、きのう、大阪・茨木市にある西日本入国管理センターに行ってまいりました。今、このセンターには、百七十二名の中国、韓国あるいはフィリピン、タイなど、さまざまな国籍の方々が収容されています。
その中に、アフガニスタンからの難民の方々も収容されているんですが、この方々は、二カ月から九カ月という非常に長い間、希望がなく、しかも十四畳ほどの部屋に十一人収容されている。プライバシーも、精神的、肉体的バランスを保つ工夫も全くありません。そして、罪を犯したわけでもないのに、おりの中に入れられているという状態であります。
被収容者の処遇は可能な限り自由を与えるとともに、被収容者が属する国の風俗習慣、生活様式を尊重した処遇に努めていると収容所の概要で定めておきながら、例えば食事は三食とも御飯を詰めた弁当が支給されておりまして、生活様式を尊重しているとは言いがたいものでありました。また、健全な収容生活を図る上から運動及び娯楽を奨励していると言いながらも、被収容者が戸外の運動場に出られるのは一回三十分、週四回だけという実態、これはとても運動を奨励しているというものではありませんでした。
我が国は、難民条約あるいは人権条約を批准しているわけでありますが、それに基づいて、国連の委員会から、日本の対応は不十分であるという勧告を受けております。その勧告への我が国が出したカウンターレポートも、例えばインドシナ難民と他の難民との扱いに大きな差があるのではないかという指摘に答えていないなど、十分な内容ではありません。
私たちは、国会でこうして憲法について議論を重ねているわけでありますが、もちろん議論は大いにすべきとは思いますが、同時に、私たちが持っている憲法の理念が、私たちの暮らしの中に、あるいは国際社会の中で、その一員として果たして責任をきちんと果たしているのかどうか検証すべきではないかと思います。
以上でございます。