2002-05-09
衆議院
寺島実郎
憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会
寺島実郎の発言 (憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会)
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○寺島参考人 経済安全保障に関連して、お配りしている私の基本資料の五番の「エネルギー関連資料」というところをちょっと見ていただきたいのですけれども、ポイントは、日本の中東に対する石油の依存は、御承知のように八六%になってきています。あの七三年の石油危機と言われた年でさえ七八%だったのですね。いつの間にかこうなっちゃった。
それは、九〇年代にグローバルな市場化という言葉が使われて、石油ももはや戦略的な商品ではなくて、ワン・オブ・ゼムの国際コモディティーだ、国際商品だという考え方から、IEA、世界エネルギー機関も、アメリカとかイギリスの影響力のもとに、石油のコモディティー化という流れが、グローバルな市場化というすべての分野についてその影響が出てきた。日本も、一セントでも安い原油を効率的に入手してこようということになると、太らせたタンカーで中東から数珠つなぎにして持ってくるのがいいという、効率性だけを探求していく方向へと傾斜していった。その流れの中で、気がつけば八六%になっているということですね。
ちなみに、アメリカの中東に対する石油依存というのは、これは一〇%になっていますけれども、今約一五%だと言われています。アメリカというのは、ヒドゥンアジェンダ、隠されたアジェンダという表現でエネルギー戦略を語る人がいますけれども、極端に言えば、中東から一滴の石油が来なくてもアメリカはやっていけるというボトムラインで線引きしていると言われています。米州エネルギー自給構想というヒドゥンアジェンダ、隠されたアジェンダを持っていると言われている。したがって、権益は中東に持っているけれども、物理的には、中東に依存している度合いは、国内生産が四割ある国ですから、そういう部分もあるわけですけれども、一五%のあたりでぴしっと抑えているんです。
日本は、気がつけば八六%です。したがって、湾岸戦争を思い起こしてもわかりますけれども、私は当時ワシントンにいて、先月までホルムズ海峡の上を哨戒していたけれども、下を通っているタンカーは全部日章旗を積んでいたぞという議論が、だれがだれのために中東を守ってやっていると思うんだという話につながって、日本の外交の選択肢を物すごく狭めている。つまり、経済安全保障の基軸というのは食糧とエネルギーだと思いますけれども、このエネルギーという問題においてもいかに虚弱な構造の上に立っているかということですね。
アメリカという国は、エネルギーについても、食糧についても世界最大の食糧輸出国であります。今、日本の安全保障を考えるときに、まさに、おっしゃっているように、経済安保の分野で国家としての極めて重大な戦略的構想というものを持っていないとまずいといいますか、すべて市場化という流れの中に置けばいいというものじゃないという部分が、このエネルギーと食糧という部分だと思うんですね。
したがいまして、高度の国家戦略性というものをその部分においては問いかけられているということで、これが、おっしゃるように、軍事における安全保障の問題と極めて密接にリンクしているということを私自身も痛感しているということを申し上げたいと思います。