2002-06-06
衆議院
田久保忠衛
憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会
田久保忠衛の発言 (憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会)
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○田久保参考人 いろいろございます。
五十年前のサンフランシスコ講和条約でございますが、このとき、五〇年には朝鮮戦争が始まっているわけでございます。このときに、アメリカの軍のコワルスキーという責任者が、当時の吉田内閣に、在日米軍が朝鮮半島に一部移動すると手薄になるので何とかしてほしい、これをカバーしてほしいと。
それで、このコワルスキーの名著がございます。「日本再軍備」、サイマルから出ていて、もう絶版になっちゃったんですけれども、ここで言っているんですが、憲法改正はこのときにすべきであった。ところが、マッカーサーは、すべきであるが、自分が半ば日本に押しつけたものをすぐ変えるわけにいかぬといって、これは時期を逸したんだというようなことをコワルスキーは盛んに言っています。
ただし、コワルスキーが言わんとしていることは、軍隊をつくろうとしたけれどもつくれなかった。戦犯が全部いなくなって、主要な軍人は全部パージされた。集めてきたのは下級兵士だけ。上部構造はどうするか。これは警察のOBを連れてこようじゃないか。警察が上部に行って、下部の方が警察予備隊。この構造が今まで続いているわけですね。これが内局それから制服というふうになった。この構造は大分是正されてまいりましたけれども、普通の民主主義でこういうシステムをとっている国は一国もないんですね。どうしても、有事法制にしても、何となく警察予備隊のにおいがずっと続いている、こういう異常な自衛隊であるということを私は申し上げたいと思います。
それから、二番目の拉致でございますけれども、四、五年前でございますか、日本の国会で、自由党の西村眞悟議員があれを取り上げたときに、外務省の当時のアジア局長が、たかが亡命者の言ったことぐらいで取り上げるのはどうかと思うと記者懇談で言って、これが大騒ぎになった。要するに、アメリカが騒ぐよりも、日本で騒がな過ぎたのではないかなと私は思います。元来が、日本の国会議員の先生方が、人権その他を言われる方はあそこで騒がなければいけなかったのではないかなというふうに私は考えているわけでございます。
それから、これはテロの前でございましたけれども、拉致をやっている団体がワシントンに行ったときは大歓迎で、非常にいろいろなことを聞かれた。国務省の担当官がわざわざ来て、メモをしていったということもございました。マスコミにも大いに取り上げられたと。これは、これからの大きな問題になってくるだろうと思います。瀋陽事件も、大きな変化の始まりが始まったのではないかなというふうに、世界にああいう問題があるということを大きくPRいたしましたので、これは何かの激変の兆候があらわれたのかなというふうに考えております。
それから、私が申し上げたのは、日米安保条約が余りにも片務的なので、日米安保条約は予見し得る将来これを続けなければいかぬという考え方でございまして、遠い遠い将来に日本が一本立ちになって、一九〇二年に結んだ日英同盟のように、対等な独立国同士、しかも、その上で信頼関係に立った安全保障体制、同盟体制であれば、これは盤石ではないかな。
その前は、私は、耐えがたきを耐え忍びがたきを忍び、じっくり防衛力の整備に努めなきゃいけないのではないかなと思います。
それから、アメリカが日本をたたいた。経済その他はすぐ立ち直ったんですね、我々は。それから、政治は、先生方のような方がいらっしゃるので、国民の一人としては今のところは不満でございますけれども、まだまだそんな批判したような状態じゃないだろう。
だれも口に出さないけれども、防衛体制ほど無惨に打ち砕かれた部分はないんですね。私は、今のシステムもおかしいし、国民感情もおかしいし、これを何とか、それこそ高村先生じゃないけれども、当たり前の国の軍隊ぐらいには持っていってほしいということを考えているのです。
実は、こういうことを一番先にやられたのは岸信介さんです。岸さんは六〇年安保で何か悪の権化みたいに言われているけれども、とんでもないことで、私は、ある意味では吉田ドクトリンよりも岸ドクトリンの方がすばらしいと思うのでございます。独立国で、国内の騒乱を外国の軍隊に抑えてもらわなければいけないような国は何とかしなきゃいかぬというのが岸さんの発想でございましょう。
私は、吉田さんの教えを守って宏池会がやってきたんじゃなくて、あの安保の大騒ぎで政治家が懲りたんだと思います。軍のグの字も言うとやられるというので、これは所得倍増計画でいきましょう、いや沖縄返還でいきましょう。肝心の防衛体制に触れないでそのまま来たのが今の状態で、これが憲法のところから崩れるか崩れないか、こういう大きな曲がり角に来てしまったのではないかなというのが私の見解でございます。
それから、先生がおっしゃいました中国でございますけれども、日本の対中というか、今、外務省のチャイナ・サービスというのは、どこの国の利益を代弁しているんだということで大変批判を浴びている。しかし、これは、政界にも財界にも、あるいは学界にもジャーナリズムにもいるのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
それから、ちょっと時間があれですけれども、もう一言申し上げますと、何よりも重視しなきゃいけないのは、中国と幾ら仲よくしてもいいんです。いいんですけれども、あそこの持っている軍事力、一九八九年度代以降、二けたの増をいまだに続けている。
大ざっぱに言うと、あそこのGDPは一兆ドルでございますから、その一〇%らしいんですね。どうもいろいろな、軍事費以外のところに埋め込んでいるものを集めてくると、低目に見積もっても一〇%。一〇%というと、一千億ドルでございますよ。日本の防衛費が四百億ドルでございますから、二・五倍。これで、中間線のこっち側、排他的経済水域のこっち側へ平気で調査船が入ってきたり、私の関知している限りでは、過去三年、四年の間に二回、情報収集船が日本の周辺を回っている。こういうことで怒らない国がやはり異常だったんではないかな。中国に対しては、これを強く強く繰り返し言わなければいけないのではないか、以上が私の考えでございます。