2002-07-11
衆議院
中村民雄
憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会
中村民雄の発言 (憲法調査会国際社会における日本のあり方に関する調査小委員会)
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○中村参考人 まず、ヨーロッパ国家間の紛争に対しての強制力ある裁判機構を整える議論があるかという問題ですが、EUに関しては、直接にはその議論はございません。これは、EUの目的そのものが、経済共同体から、それに付随した外交や刑事規制の問題に出ていったという歴史的な経緯がございますので、そこまで一足飛びに行かないというのが一つありますし、もう一つは、実は人権保障の点で、ヨーロッパ人権条約という全く別個の国際機構がございます。これは、人権という立場から、いわば国家の中の紛争で結果的に生じた人権侵害といったようなものを救済する機構として働いてまいりました。
恐らく、最も先生の御関心に近いものとしては、国際刑事裁判所の設立という動きであろうと思います。しかし、これはむしろ全世界的な動きでございまして、ヨーロッパ特殊なものではございません。もちろん、ヨーロッパの多くの国はこの条約に署名し批准しようとしておりますので、したがって、大きな目で見れば、これが一つの共通の精神を持った流れであろうというふうには思いますけれども、きょう私がお話しした中の文脈で申しますと、残念ながら、ECとかEUとかいうコンテクストからこのお話が出てきたわけではございません。
私自身も、御指摘のとおり、国家間の紛争に対する何らかの抑制的な機構が必要であるということは考えております。それをどのような形で実現するのがよいかというのは、実はまだ自分自身で考えが煮詰まっておりません。
もう一つの、軍事力の点ですけれども、これも今申し上げたとおり、EUそのものがまだ人道的援助のレベルで終わっておりまして、それをもう少し進めて、いわゆる平和創出、ピースメーキングと彼らは言っておりますが、ピースキーピングではなくてピースメーキングの部分まで立ち入るというふうに、慎重ながら一歩を進めておりますので、少しずつではありますが、共同の、何らかの形の防衛力というものを考えつつあることは確かです。確かではあるのですが、あくまでも、まだ各国軍が主体の現状を維持しているという建前が続いております。
ですので、今の段階でEU軍というものを考えるというところまでいくというのは、まだ話としてはないと思います。機能的に緊急対応部隊をつくるとかいった、局所局所の問題ごとの対症療法で実績を重ねていくというのはあり得ると思いますけれども、いわゆる原則論として軍隊を持つというところまで大きな議論をしている国はまだ少なかろうと思います。
ですので、この問題は既存の安全保障機構の方の問題として議論されることが多いであろうと思います。