松井茂記の発言 (憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会)

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○松井参考人 憲法の規定は抽象的で、憲法の規定だけから見ると具体的な結論がなかなか出てこないのではないかということは、よく指摘されるところでございます。
 私は、そのような指摘がなされたときには、憲法の規定も、先ほど触れました民法や刑法の規定と本質的には変わらないではないかというふうに答えることにしております。例えば、私がよく挙げるのは、民法七百九条の不法行為の規定でございます。他人の権利、利益を侵害しまして損害を与えた場合には、その損害を賠償しなければならないということを定めている規定でございますが、これは、生命の侵害から、名誉毀損から、プライバシーの侵害から、交通事故から、すべての事例をカバーしておりまして、しかも、法律上に書かれている言葉はほんのわずかですので、極めて抽象的なんですね。この規定と憲法二十一条の規定とどちらが抽象的かと言われれば、私は変わりはないんじゃないかと思うんです。ということは、法を解釈するという点で、特段憲法だけが特別だと考える必要性はないのではないかというふうに思います。
 ただ、その上で、御指摘のように、やはり国民主権原理に基づきまして、日々の統治は代表民主政原理に基づいて行われるべきだと考える私の立場から申しますと、国会というのは、国民が選挙で選出した国民の代表者によって構成されておりますので、国会の行為というのは、いわば選挙、国民の選択というものによって正当性を経ております。これに対して、裁判官の方は、法を適用し、法という正当性だけでその判断を覆すことになるわけでございますので、先ほど申しましたように、やはり裁判所が常に政治を監視すべきだとか、国会の判断はすべて一応おいておいて、裁判所が独自に法を解釈すべきであるというのは、ちょっと危険性が高いのではないかと考えております。
 そのために、先ほど申しましたように、私は、裁判所の固有の役割というのを考え、その役割のところでだけしっかりと権限を行使してほしい。それは、民主主義のプロセスがしっかりと作動するように保障することだ。そのように考えれば、裁判所が司法審査権を行使するということは、民主主義のプロセスが作動するように確保することですので、おっしゃられるような危険性は比較的少なくて済むのではないかという感じがします。
 また、そのような観点からいきますと、憲法の解釈につきましては、固有の裁判官だけの問題ではなく、もっと広い視野と申しますか感覚が当然要求されることになると思いますので、固有の意味での裁判官だけが憲法事件を扱うというのはやはり適切さを欠くのではないかな。そういう観点からいけば、最高裁判所の裁判官等にはもっと幅広い知識を持ったいろいろな人が入っている方が望ましいのではないかというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 松井茂記

speaker_id: 34553

日付: 2002-05-23

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会政治の基本機構のあり方に関する調査小委員会