神野直彦の発言 (憲法調査会地方自治に関する調査小委員会)

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○神野参考人 それでは発言させていただきます。
 まず、課税自主権については、私は全く先生のおっしゃるとおりだと思います。もちろん、課税自主権を執行するに当たっては、地方自治体は、課税の平等とか本来守らなければならない原則がございますので、それを考えて実行すべきだというふうに思いますが、自主権を損なうような制限を行うべきではないというふうに考えております。
 東京都の銀行税問題というのは、これは御案内のとおり、新しい税金ではございませんで、地方税法の七十二条の十九で、地方自治体が独自の判断でもって、事業の状況に応じて、外形標準を適用して構わないという条項の発動なわけですね。この七十二条の十九というのは発動されたことがないものですので、どういう場合にこれを発動できるのかということがわかるような判決を下してもらいたいというのが私の期待でございました。
 ところが、残念ながら判決は、事業税を、通常これは応益原則で課税される税金だというふうに学界の方でも理解しておりますし、それから、国会で改正をされたときの説明文書でも応益原則とうたっておりますし、前回出されました政府の税制調査会の中間報告でも明確に応益原則に基づくものだというふうにうたっているわけですので、国民は応益原則で課税されるものだというふうに理解しているだろうと思いますけれども、判決は、これを応能原則で課税される税金であるというふうに判断し、銀行側の勝訴にしたわけですね。私は、どっちが勝訴したということではなくて、完全にこれは理解を間違えているのではないかというのが私の印象でございます。
 そうなってまいりますと、地方自治体の方では、自分たちが新しい税金をつくったり、あるいは課税自主権を発動するときにどういう基準で行ったらいいのかという判断ができなくなりますので、先生ちょっと御心配のように、私も同じように、この判決は新しい税金を地方自治体が課税すべきかどうかというようなことに関連しているわけではないのですけれども、このことによって、地方自治体が自分たちの課税自主権を発動する際に、いわば後ろ向きになってしまうということについては非常に心配をしております。

発言情報

speech_id: 115404191X00320020509_006

発言者: 神野直彦

speaker_id: 25094

日付: 2002-05-09

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会地方自治に関する調査小委員会