神野直彦の発言 (憲法調査会地方自治に関する調査小委員会)
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○神野参考人 ありがとうございました。
道州制論は、私は非常に弱いところでございまして、前半のお話につきましては、全く先生のお考えに賛成させていただきます。
私の恩師の言葉で、人間は自由なるがゆえに連帯するという言葉があります。人間は自立して初めて人と協力できるんだというのが社会を構成する原則だろうと思いますので、自立をするということは、協力をしないということではなくて、自立しているがゆえに私たちはお互いに手を携えて生きていくんだということが、先ほど来言っております補完性の原理などの中心になるかと思います。
道州制論ですが、分権に実は二つの考え方がございまして、一つの考え方が、今説明申し上げました補完性の原理という考え方です。もう一つの考え方は、これはカナダとかオーストラリアがそういう考え方をとっているのではないかと思いますが、強い中央政府に対抗するためには強い地方政府でなければならないという考え方で、州の力を非常に強くするという考え方です。そうすると、今度は市町村よりもむしろ州を重視していこうという考え方が出てまいります。これは補完性の原理とは対抗するような考え方だろうと思います。
先生がおっしゃった道州制論というのは、ちょっとそれとは違う観点だろうと思いますが、道州制論は幾つかパターンがございまして、国のやっている権限とか仕事を道州に移していこうというような考え方と、逆に、道府県ではもう既に広域化してできなくなっているような仕事を、道州をつくることによって下から上に上げていこう、こういうような考え方があるかと思います。
私は、そこら辺をきちっと整理した上で、もう一つ都道府県の上に公共空間をつくる必要があるかどうかということを慎重に見きわめてコンセンサスをとる必要があるかと思います。
道州制みたいにもう一つ上を、道府県の上にこの分権の過程でつくった国はございます。イタリアもフランスも、デパルトマンという道府県の上にレジオンという自治体をつくっておりますし、ここには職業訓練とか高等教育などをやらせるためにつくりました。それからイタリアの場合には、医療を中心とした業務はレジオンでないとできないということでその上をつくっておりますので、どういう観点で道州をつくるかどうかということを含めて議論をして煮詰めていく必要があるだろうというふうに思っております。