松尾徹人の発言 (厚生労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○松尾参考人 全国市長会国民健康保険対策特別委員長を務めさせていただいております高知市長の松尾でございます。
本日は、国民健康保険の保険者の立場から意見を申し述べる機会を与えていただき、厚く御礼を申し上げます。
それでは、まず、国民健康保険の現状について簡単に申し述べさせていただきます。
御案内のとおり、国民健康保険制度は、国民皆保険を支える制度として、他の医療保険に属さない人をすべて受け入れる構造となっております。このため、近年の急速な少子高齢化の進展、就業構造の変化などによりまして、国民健康保険の加入者のほぼ半数が無職者であり、平均年齢は五十一・七歳、一世帯当たりの年間所得は百六十八万円、所得のない世帯が二四・一%とほぼ四分の一を占め、制度が発足した当初に比べますと、無職者、高齢者等の所得の低い方が著しく増加をしておるのが現状であります。
その結果、市町村国保は、被用者保険に比べて所得水準が低い中で、被用者保険とほぼ同じ保険料を納めなければならない現状になっておるわけでありまして、保険料の負担感は非常に重いものになっております。保険料収入の確保がそういったことでますます困難になるなど、極めて厳しい運営を余儀なくされておる状況であります。
国保の運営は、本来、保険料と国庫負担金により運営されるのが原則であるにもかかわりませず、多くの市町村においては、こうした事情から、やむを得ず行っている一般会計からの多額の繰り入れなどによりまして、ようやく運営されておるのが実態であります。しかしながら、地方財政は、御承知のように、ますます厳しさを増しておりまして、一般会計からの繰り入れももはや限界の状況になっております。
国保の構造的問題は、市町村の規模の大小にかかわらず生じるものでありまして、同じような問題や悩みを抱えているのが実情でございます。
このことは、単に国保保険者の統合といった国保サイドのみの対策では解決できないものでありまして、全国市長会は、全国町村会、国民健康保険中央会とともに、すべての国民を通ずる医療保険への一本化、これを直ちに実施することが困難であれば、当面、段階的ではありますけれども、医療保険財政の一本化を主張いたしておるところでございます。
さて、今回の健康保険法等の一部を改正する法律案でありますが、国保に関連する部分を中心に、若干意見を述べさせていただきます。
まず、保険給付の見直しについてでありますが、わかりやすく公平な給付を実現するため、各医療保険制度間の給付率を統一するという趣旨の改正でありますが、この給付率の統一という考え方自体は、私どもが従来から主張しております給付と負担の公平に合致するものと考えております。
次に、老人医療に関してでございます。
第一に、受給対象者の年齢引き上げでありますが、老人医療制度は、高齢者の医療費を国民全体、各医療保険で公平に負担するという調整の仕組みだと思います。対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げるということは、各医療保険制度間の財政調整の対象を狭めるものでありまして、制度上、高齢者を多く抱える国保といたしましては、現在以上に厳しい財政運営を強いられる可能性があります。老人医療制度の将来の姿が見えないまま対象年齢だけを引き上げるということに対しては、疑問を感ずるものでございます。
第二に、老人医療費の伸びを適正化するための指針についてでありますが、老人医療費の伸びが国民医療費を増嵩させる大きな要因となっていることは周知の事実でありまして、ある一定の指針を出すことは評価できるものと思っておりますが、高齢者だけではなくて、全体を通じて、健康対策強化も含め、医療費の伸びを抑え、適正化を図るということが不可欠であると思っております。
第三に、老人医療費拠出金の算定方法の見直しについてであります。具体的には、老人加入率の上限の撤廃あるいは退職者に係る拠出金を退職者医療制度で全額負担するといった内容についてでありますが、このことについては、当面の国保対策として従来から私どもが主張してきた問題でありますので、ぜひとも実現をしていただきたいと考えております。
次に、国民健康保険の財政基盤の強化に関するところでございますが、国保が市町村の一般会計からの多額の繰り入れで辛うじて運営されており、その財政運営が危機的状況であることなどから、医療保険制度が抜本的に改正されるまでの臨時的な措置としては、どうしても今回の改正は必要なところでありまして、国の責任と負担で確実にこのことを実行していただきたいと考えております。
また、私ども国保関係者が一番重要であると考えております附則に盛り込まれました医療保険制度の改革等についてであります。
法案には、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、平成十四年度中に医療保険制度の体系のあり方等の基本方針を策定することが盛り込まれておりますが、これは、医療保険制度の一元化を将来の方向の有力な考え方とした昨年末の医療制度改革大綱に基づいているというふうに思っておりまして、この一元化の方向に沿った具体的な検討を早急に行い、平成十四年度中に基本方針を確実に策定することを期待いたしております。その場合には、私ども国保関係団体がかねてから主張しておりますすべての国民を通ずる医療保険制度への一本化の考え方を尊重することを強く望んでおります。
いろいろ申し上げましたが、医療制度、医療保険制度のあり方は、国民生活に直結する重大な問題であります。また、医療保険財政は、各制度とも逼迫し、崩壊状態にあります。
このような状況を踏まえ、今回の健康保険法等の一部を改正する法律案については、内容的には必ずしも十分なものとは言いがたい点もありますが、当面の対策として、国民健康保険の財政基盤の強化は直ちにこれを実施することが必要であり、速やかな成立を望むものであります。
御清聴ありがとうございました。以上でございます。(拍手)