漆原良夫の発言 (予算委員会)

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○漆原委員 官房長官、事務局長、大変ありがとうございました。どうぞ、御退席いただいて結構でございます。どうも、忙しいところ、ありがとうございました。
 続きまして、メディアによる人権侵害とその救済についてお尋ねしたいと思いますが、二十一世紀は人権の世紀と言われております。私ども公明党は、二十一世紀こそ個人が個人として最大限に尊重される社会にしたい。私は、このような観点から、メディアによる人権侵害とその救済方法についてお尋ね申し上げます。
 今日のマスメディアの著しい発展には、明と暗の両面があります。すなわち、メディアによる正確な、またスピーディーな情報の提供は、国民の知る権利、表現の自由に資するとともに、健全な民主主義社会の建設に大いに貢献するところであります。メディアの明るい側面でございます。しかし、マスメディアが報道の社会的使命を忘れ、売らんかなの商業主義に堕するときは、善良な市民の人権を侵害する凶器と化することになります。これは、メディアの暗い部分でございます。最近の裁判例では、この後者のケースが多くなっているように思われます。
 私は、ここで、マスメディアの事実無根の報道によって著しい人権侵害を受けた二つの事例を紹介したいと思います。
 その第一の事例は、松本サリン事件の被害者であった河野義行氏に対する報道被害でございます。
 この事件では、被害者でもあり通報者でもあった河野氏が、マスコミから一方的に犯人扱いをされて報道されました。中でも週刊新潮の報道はすさまじく、「おどろおどろし「河野家の謎」 「毒ガス事件」発生源の「怪奇」家系図」、こんな見出しのもとで、河野さんが犯人であるとの一方的な予断に基づいて、その家系図までさかのぼって報道しているわけでございます。河野さんは、その後、この報道については、無数の報道の中でこの報道が一番許せない、こんなふうに語っておられました。
 その第二の事例は、我が党の女性議員に対する、これは全く事実無根の中傷記事でございました。
 平成十一年十二月十六日発行の週刊宝石は、大見出しにこう書いてあります。「スクープ! 元交際男性が全告白」、もう私は余り読みたくないんですが、「美人国会議員の四十万円買春SEX一部始終を暴露する!」こういう大見出しでございました。中見出しに、「元女優の美人国会議員が年若い男性と肉体関係を持った。それだけなら独身の彼女だけに、問題はない。だが、その関係の実態はオトコの肉体をカネで買うという買春行為だった」、こう記載した上で、この国会議員の顔写真を大きく載せた報道でございました。
 この件は裁判になりまして、先ほど申しましたように、光文社は、大見出しで「スクープ! 元交際男性が全告白」という、この人を証人に出すことができなかったんですね。したがって、この世の中にこの人が存在したかどうかもわかりません。その後、裁判の結果、光文社側が、本件記事が全く根拠のない虚偽内容であったと認めて、全面的に非を認めて、謝罪文の掲載と慰謝料の支払いをして終わった、こういう事件でございます。
 このような二つの事例、虚偽の事実を掲載した週刊誌が、それこそ日本国じゅうに何十万部も販売されるわけですね。そしてまた、この卑劣きわまりない週刊誌の大見出しが、新聞だとか電車の中づり広告という方法で何百万人という人の目に触れる。そういう意味では、本当に強大なマスメディアの洪水が、ある日突然、抵抗するすべを知らない市民に襲いかかってくる、津波のように、洪水のように襲いかかってくる、こんな感じがします。私は、この二人の心中を考えると、本当につらかったろうなと胸がつぶれる思いでございます。
 河野さんは、この名誉回復に一年間かかりました。この間、私は御本人にお会いしていろいろ聞いたんですが、この週刊誌の記事を一方的に信じた一般の市民から、石を投げられて窓ガラスを割られたり、あるいは電話をかけられて罵倒されたり、また、はがきが来るんですね。どんどん来るんです。こんな内容が書いてあります。数多くの殺人を起こし弁解無用である、死をもって償え、こんな内容とか、殺してやりたいぐらいだ、早く日本国じゅうに自分がやったと言え、こんなはがきがどんどん来るわけですね。
 また、我が党の女性議員も、その身の潔白を裁判で証明するのに八カ月要しております。その女性議員は、その間の苦しみを次のように語っておられます。裁判中、私の潔白を信じて私を支持してくださっている方々に対して、まだあんな議員を応援しているのかなどという心ない悪口を言う人がいたことが何よりもつらかった、また、私自身も、ある盆踊り大会で酔った男性にデマ記事に基づく暴言を浴びせられた、報道被害の恐ろしさです、これは経験した者でなければわかりません、こう述懐されております。最後に、議員は、今回の経験を生かして理不尽なペンの暴力から人権を守るために全力で取り組んでいくという決意を述べて、結んでおられました。
 少々長くなりましたが、このお二人の報道被害について大臣はどのような感想をお持ちか、また、現在のマスメディア全体の報道のあり方についてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねしたいと思います。

発言情報

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発言者: 漆原良夫

speaker_id: 5260

日付: 2002-02-21

院: 衆議院

会議名: 予算委員会