船橋洋一の発言 (外交防衛委員会)

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○参考人(船橋洋一君) 船橋でございます。おはようございます。
 再びこのような機会を与えていただいて、まず感謝いたします。ありがとうございます。
 七月二十二日に変える会の最終報告書取りまとめで、今大詰めでやっているところでございます。今朝も八時から人事に関するところをやってまいりまして、そのまま三人で一緒に車に乗って駆け付けたというような次第でございます。
 時間が限られておりますので、三点中心に御報告したいと思います。
 一つは、もちろんこの変える会も、変える会は数々の不祥事、今そういうものに触発されて外務省の信頼回復と、これを中心に、川口外務大臣が十項目についてひとついろいろな改革の勧告を出すようにということで始まっているわけですけれども、単に外務省、あるいはさらに日本の外交、外交体制が直面している問題というのは、スキャンダルとか不祥事とか、そういうことにとどまるものではなくて、言ってみれば非常に構造的な問題といいますか、それを抱えているんだと。同時にそれを見ておかなければいけないと。
 信頼の回復のそもそもは、外交強化あるいは外交体制の強化と、その中での外務省の取組、これをより強化するということにあるわけで、その点からしますと、グローバリゼーションの進展に伴う新たな課題、例えば領事業務が爆発的に増大すると、なかなか追い付けない。その領事業務というのも海外の邦人に対するサービス、行政サービスのような在外者の投票とか、そういうものももちろんありますし、同時にテロに対する戦いの最前線であるというような位置付けもまたあるわけで、非常に複雑多岐にわたっている。これなどもやはり、人の移動あるいは情報の移動、これは瞬時にグローバルな、そういうものに伴ってリスクが増大すると。それを外交としても、特に在外公館、第一線が対応しなければいけない。そこにギャップといいますか、なかなか追い付かない、環境変化に適応できないという問題。
 もう一つは、いわゆるパブリックディプロマシーと言っておりますけれども、内外の広範な市民、大衆に外交を説明して理解を得て、さらには支持を得るというようなそのパブリックディプロマシーの重要性が従来とは比較にならないほど重要になってきている。これがやはり十分に取り組むことができていないと。
 あえて三つ目を言いますと、特に冷戦時代、日米枢軸というようなことを中心に日本の外交体制、外務省の組織まで含めて、人事まで含めて、バイラテラルな、二国間中心本位外交ということであったと思いますけれども、それが冷戦を経てもう十数年、マルチ、多角的な外交の重要性が世界的に高まっているにもかかわらず対応できていない。こういうようなところに、その根本的な問題が多分あるんだろうと思います。
 ですから、本来ならばそういうものも十分に我々の方としても問題提起して、外交強化を更に深めるように、強化させるような方向で書かなければいけないんですけれども、正直言って、そこのところはいま一つまだ不十分であったかなという感じを私は個人的には持っております。しかし同時に、そのためにも信頼の回復というのがやはり決定的に重要であって、国民の信頼を欠いているような外務省、外交体制では、十分な外交もできないというところにやはり帰着すると思います。
 ここでは、トップマネジメントを強化するとか、あるいは説明責任とか、透明性とか、情報開示とか、そういうことを本格的に取り組んでいくとか、さらには外部の人材、あるいは外務省の中でのいわゆる上下といいますか、言わば階級制のようなものを打破して競争原理を導入すると同時に、特に外部との間に新しいパートナーシップ、協力関係を作るというようなことでこの信頼回復というのを進めるべきだろうということで進めてまいりました。
 特に、私は一点、ここで危機管理、瀋陽事件もあってのことなんですけれども、危機管理、それと領事業務の重要性というのを強調してみたい、強調したいというふうに思います。
 外務省においては、総合外交政策局が危機管理をも事実上担当するということで、九六年のペルーの邦人人質事件、その後もう一度再確認の意味で総合外交政策局がこれを取り扱うというふうになっておりますけれども、言ってみれば、総合外交政策局というのは中長期的な総合外交政策、起案、立案、さらにその強化というために十年前にできた。にもかかわらず、それが十分に機能していない、つまりアブハチ取らずの状況になっている。
 領事業務についても、やはりここは領事局のようなものを作るとか、あるいは領事官という職業を、専門職をきちんと構築するとか、更には領事大学校のようなものまで作って養成するというような、本格的な取組が必要なんではないかというような観点などを考えております。
 最後の最後でございますけれども、私は、やはり外交が弱いということになりますと、国民が非常に動揺すると、心理的にも。そういうのが既に今の国民心理にも見られる。非常にそれは危ういことである。外交が弱いと国民はやはり軍事力に依存したいとか、そういう誘惑に駆られる危険性というのが非常にまた強くなる。そのためにも、やはり外交強化、外務省も含めた改革が必要であるというふうに改めて思っております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 船橋洋一

speaker_id: 23296

日付: 2002-07-16

院: 参議院

会議名: 外交防衛委員会