隅野隆徳の発言 (憲法調査会公聴会)

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○公述人(隅野隆徳君) 私の公述では、参議院のあるべき、あるいは現在の選挙制度そのものについて直接の言及はそれほどできませんでした、時間の関係もありまして。参議院で国民の民意を公正に反映させる選挙制度の追求が望ましいということで終わっていました。
 参議院のこれまでの経験というのは、全国区制、そして比例代表制の拘束名簿式、そして現在の比例代表制の非拘束式というこの三つがあると。もちろん、地方区及び選挙区はあります。特に参議院の特色として、この全国区若しくは比例選挙というところが、人数は五十名あるいはそれを若干オーバーという形で少ないものの、参議院の特色ということで当初から注目されていたと思います。若干そのことについて、簡単に述べさせていただきます。
 全国区の場合にはいろいろ、当初緑風会から、緑風会が衰微して、そして職能代表的にあるいは労働組合代表というような側面が強くなり政党化されたという面と、しかしまた他方で、先ほどの御指摘もありましたように無所属で、あるいはタレント候補が出られる素地、地盤であったということも重要であると思います。
 全国区の廃止の一つの根拠に、全国区ですとお金が掛かる、あるいは投票する選挙民は選択しにくいということが言われました。しかし、これは別の角度から見ると、お金が掛からなくて、しかも選択しやすい制度でもあったと言うことができます。つまり、規定の選挙費用でこの全国区から当選できた人もいるし、あるいは非常に少数勢力が全国区を通じて初めて代表を出せたということがあって、その点、学界でもなおその全国区の良さと、しかも相対的に比例代表にも共通するような、国民の意見、利益が多面的に代表できたというメリットがあったと思います。
 その点で比例代表制の拘束名簿式、この点は一昨年に改正されたわけですが、比例代表制が国民の意思、利益の民主的な反映ということは一般的に言えます。それは現実に八三年から、一九八三年から実施されて、それなりにこの機能、役割を果たしてきたと思いますが、一つ重要な問題点は、これもよく指摘されますように、無所属候補が直接には立候補できない、あるいはいろいろな差別を受けるという点です。
 もちろん、ミニ政党という形で、つまり十人の候補者を立てるということでそこをカバーはしているわけですが、しかし供託金が倍額されるとかいろいろな形で、あるいは政見放送が無所属の場合ですと限定されるというようなことで、相対的には、無所属あるいは政党に所属しない自由というのも日本国憲法の下では結社の自由の下でありますから、政党を、ミニ政党であれ無所属政党であれ、組織したくないという部分も、層もあるわけですから、そういう人たちにとっては、比例代表制が現在の非拘束式も含めて政党要件の形で無所属あるいは無党派の利益を限定しているというところが大きな問題点であると思います。これは、何も比例代表制で、拘束式であれ非拘束式であれ、無所属で個人立候補をするということが論理的に不可能であるというわけではないと思います。
 ですから、もう少しそこを、日本の民主主義の発展からすれば、比例代表制の点で改善を図っていくということが重要かと思います。拘束式か非拘束式かというのは一つの重要な選択肢であると思います。それは、何といっても日本の政党の発展度ということと結び付くと思います。
 つまり、ヨーロッパでも、ドイツ、フランスとイギリスでは政党のとらえ方が違っていて、ドイツ、フランスですと、やはり政党を単位として比較的拘束名簿式なんですが、しかしその代わりに政党が責任を持つから、それに対する法的規制というのが入ってきます。他方、イギリスの場合には、やはり個人が、政党であっても候補者個人を選択するということを好むものですから、個人主義が進んでいるものですから、そういう点でそれはまた政党の法的規制を好まないということと結び付くかと思います。
 そんなことで、日本の政党の発展度をどういうふうに世界の中で位置付けるかというのはこれまた大問題ですが、拘束式から非拘束式にしたというのは一つの選択肢としてあり得ると思います。
 それ以上にやはり問題は日本の選挙制度で、衆議院が小選挙区制であり、小選挙区制が基本になっておるし、そして参議院でも、選挙区選挙、元の地方区の場合には、これもどなたか指摘されていましたように、実質的にはかなりの部分が小選挙区的な役割をしている。三年ごとの選挙で、少数県、少数住民のところ、府県の場合には、やはり一人の代議員を選出するということになって、実質上、二十数県の場合に小選挙区的な役割をしている。
 小選挙区というのは、もちろん政権の安定というところでは重要な役割をして、国際的にも……

発言情報

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発言者: 隅野隆徳

speaker_id: 25055

日付: 2002-02-20

院: 参議院

会議名: 憲法調査会公聴会