憲法調査会公聴会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成十四年二月二十日(水曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
二月十九日
辞任 補欠選任
大塚 耕平君 山根 隆治君
二月二十日
辞任 補欠選任
山根 隆治君 岩本 司君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 上杉 光弘君
幹 事
市川 一朗君
加藤 紀文君
谷川 秀善君
野沢 太三君
江田 五月君
高橋 千秋君
魚住裕一郎君
小泉 親司君
平野 貞夫君
委 員
愛知 治郎君
荒井 正吾君
木村 仁君
近藤 剛君
斉藤 滋宣君
桜井 新君
陣内 孝雄君
世耕 弘成君
中島 啓雄君
中曽根弘文君
服部三男雄君
福島啓史郎君
松田 岩夫君
松山 政司君
岩本 司君
川橋 幸子君
北澤 俊美君
小林 元君
角田 義一君
直嶋 正行君
堀 利和君
松井 孝治君
山根 隆治君
高野 博師君
山口那津男君
山下 栄一君
宮本 岳志君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
田名部匡省君
松岡滿壽男君
大脇 雅子君
事務局側
憲法調査会事務
局長 桐山 正敏君
公述人
専修大学法学部
教授 隅野 隆徳君
弁護士 早川 忠孝君
日本婦人有権者
同盟事務局員 本田 年子君
自治体問題研究
所・研究担当常
務理事 池上 洋通君
埼玉県議会議員 舩津 徳英君
中国短期大学幼
児教育科専任講
師 松井 圭三君
ジャーナリスト 山本 節子君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
(国民主権と国の機構
—国会の在り方と二院制
—地方自治と地方分権の在り方)
─────────────
この発言だけを見る →午前九時開会
─────────────
委員の異動
二月十九日
辞任 補欠選任
大塚 耕平君 山根 隆治君
二月二十日
辞任 補欠選任
山根 隆治君 岩本 司君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 上杉 光弘君
幹 事
市川 一朗君
加藤 紀文君
谷川 秀善君
野沢 太三君
江田 五月君
高橋 千秋君
魚住裕一郎君
小泉 親司君
平野 貞夫君
委 員
愛知 治郎君
荒井 正吾君
木村 仁君
近藤 剛君
斉藤 滋宣君
桜井 新君
陣内 孝雄君
世耕 弘成君
中島 啓雄君
中曽根弘文君
服部三男雄君
福島啓史郎君
松田 岩夫君
松山 政司君
岩本 司君
川橋 幸子君
北澤 俊美君
小林 元君
角田 義一君
直嶋 正行君
堀 利和君
松井 孝治君
山根 隆治君
高野 博師君
山口那津男君
山下 栄一君
宮本 岳志君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
田名部匡省君
松岡滿壽男君
大脇 雅子君
事務局側
憲法調査会事務
局長 桐山 正敏君
公述人
専修大学法学部
教授 隅野 隆徳君
弁護士 早川 忠孝君
日本婦人有権者
同盟事務局員 本田 年子君
自治体問題研究
所・研究担当常
務理事 池上 洋通君
埼玉県議会議員 舩津 徳英君
中国短期大学幼
児教育科専任講
師 松井 圭三君
ジャーナリスト 山本 節子君
─────────────
本日の会議に付した案件
○日本国憲法に関する調査
(国民主権と国の機構
—国会の在り方と二院制
—地方自治と地方分権の在り方)
─────────────
上
上杉光弘#1
○会長(上杉光弘君) ただいまから憲法調査会公聴会を開会いたします。
日本国憲法に関する調査を議題といたします。
本日は、「国民主権と国の機構」のうち、「国会の在り方と二院制」及び「地方自治と地方分権の在り方」につきまして、お手元の名簿の七名の公述人の方々から御意見を伺います。
午前は、「国会の在り方と二院制」につきまして、専修大学法学部教授隅野隆徳君、弁護士早川忠孝君及び日本婦人有権者同盟事務局員本田年子君、以上三名の公述人の方々に御出席いただいております。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本調査会は、平成十三年当初から「国民主権と国の機構」について鋭意調査を進めているところでございます。
本日は、「国民とともに議論をする」という本調査会の基本方針を踏まえ、これからの国会の在り方、二院制の中で参議院が果たすべき役割などについて、幅広く忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査に資してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
議事の進め方でございますが、まず公述人の方々からお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきます。
なお、公述人、委員ともに御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず隅野公述人お願いいたします。隅野公述人。
この発言だけを見る →日本国憲法に関する調査を議題といたします。
本日は、「国民主権と国の機構」のうち、「国会の在り方と二院制」及び「地方自治と地方分権の在り方」につきまして、お手元の名簿の七名の公述人の方々から御意見を伺います。
午前は、「国会の在り方と二院制」につきまして、専修大学法学部教授隅野隆徳君、弁護士早川忠孝君及び日本婦人有権者同盟事務局員本田年子君、以上三名の公述人の方々に御出席いただいております。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本調査会は、平成十三年当初から「国民主権と国の機構」について鋭意調査を進めているところでございます。
本日は、「国民とともに議論をする」という本調査会の基本方針を踏まえ、これからの国会の在り方、二院制の中で参議院が果たすべき役割などについて、幅広く忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査に資してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
議事の進め方でございますが、まず公述人の方々からお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきます。
なお、公述人、委員ともに御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず隅野公述人お願いいたします。隅野公述人。
隅
隅野隆徳#2
○公述人(隅野隆徳君) 隅野と申します。憲法学を研究している者としまして、その立場から意見を述べさせていただきます。
国会は、主権者である国民の直接の代表機関として、その在り方について理論上も実務上も様々な問題が検討されてきました。
例えば、それを事項として列挙しますと、国民代表制と選挙制、国権の最高機関性、立法機関としての位置、議院内閣制として内閣との関係、特に当初は解散権の問題、また今日では内閣権限の強化による国会の審議権の形骸化の問題、あるいはまた国政調査権の在り方の問題。また、司法、裁判所との関係では、違憲とされた法令への国会の対応、特に問題になりましたのが刑法の尊属殺規定の問題です。また、弾劾裁判所の在り方の問題等々があります。
そのうちで、二院制に関し、参議院の位置と役割を国民との関係を中心にして考察したいと思います。
国会の在り方の中で、参議院改革問題は日本国憲法の施行以来いろいろな形で取り上げられてきました。今、その五十数年の歴史を概観することも一定の意味があるのではないかと考えます。日本国憲法の制定過程で、GHQ案の一院制案を国会議員の公選制を条件に衆議院、参議院の二院制になった経緯がありますが、それも今日でも参考になります。
また、一九五〇年代から六〇年代には、当時の改憲論とも結び付きまして、参議院議員の選出方法として間接選挙制案や推薦制案も登場しました。しかし、現在では公選制による国民代表機関として参議院は定着していると言えます。また、一九七一年以降、参議院での与野党伯仲の時期に、参議院の運営面の改革として参議院の独自性確保のためということで、議長、副議長の党籍離脱、参議院から国務大臣等を出さないように自粛すること、あるいは党議拘束の緩和等の提唱がされ、また具体化がされました。
一九八〇年に衆参同時選挙があり、自民党が圧勝した下で、一九八二年に参議院の全国区制が廃止され、比例代表制の拘束名簿式が導入されて政党本位の選挙になったということは、参議院にとっての大きな転機と言えると思います。
一九八〇年代後半以降、連立政権の登場とともに参議院と衆議院との関係が特に問題となり、その中でも、一九九八年七月の参議院通常選挙で自民党が言わば大敗をしたことを契機に、衆議院、参議院各院の党派構成において与野党間に言わばねじれ現象が生じました。それが国会運営の上で衆議院、参議院両院における絶対多数議席の確保を専ら追求するような形で連立政権が形成されるということにもなって、社会的にも問題にされています。
この間、なお、一九八六年に参議院に独自に設置された調査会が長期的、総合的観点から一定の成果を上げ、また常任委員会の再編成の取組など、参議院自体での改革の進展が注目されます。
これらの歴史的経験を踏まえ、また将来を展望して、以下、次の三点につき言及したいと思います。
第一に、憲法四十三条一項に基づき参議院が全国民の代表機関であるという性格は尊重され、また発展されるべきことが指摘できます。
二院制における第二院の在り方としては、世界的に見ても、一つには貴族院型、例として明治憲法の例、第二に連邦型、例としてアメリカ、第三に民主的な第二院型、例としてフランスの第三及び第四共和制、この三つに大別されます。日本の参議院がその第三の型に属することは周知のとおりです。
そして、第二院の存在理由としては、歴史的に、貴族院型から連邦型若しくは第二院型へ移行したことに伴い、以下の二点が指摘されます。
第一に、下院での性急な行為や、場合によっては過誤の是正、回避という任務、第二に、民意を確実に反映させるということが指摘されます。参考までに指摘すれば、歴史的にも長い経験を持つイギリスの貴族院も、現在、世襲貴族議員の権限制限と公選制への移行過程にあることが注目されます。
日本国憲法において、内閣総理大臣の指名で衆議院が優越すること、また衆議院にのみ内閣の不信任権があること、他方、参議院には解散がなく、議員は六年の長期の任期を持ち、そして三年ごとに定期的選挙によって民意が表明され、そのことは、他方で衆議院の解散及び総選挙が言わば政治的な性格を強く持って行われることと相まって、参議院独自の重要な役割をしていると言えます。総体として、日本国憲法の二院制は妥当な基本制度になっていると言えると思います。
しかし、現憲法の運用上の制度においては多くの問題点があると言えます。例えば、つい最近のことでは、二〇〇〇年に参議院比例区選挙の拘束名簿式を非拘束式に変更したことが、国民としてみれば十分審議されないで強行された嫌いを指摘せざるを得ません。
しかし、それ以上に参議院選挙区選挙において議員定数が過度に不均衡であるということが多く指摘されます。また、その点で最高裁判決も幾つか出ておりますが、参議院の選挙区選挙での言わば地域代表的性格を人口比例原則に対して強調する側面もあるということが問題として指摘できます。そのことに国会自身が依拠するとすれば、それは一層また問題であると言うことができます。
問題は、何よりも国民の意思の議席への公正な反映のための選挙制度を追求するということが大事であると思います。そして、その点で、十八歳選挙権を日本では認めておりませんが、これは今日の世界的な趨勢から見ると大変立ち後れているということで重大な問題と言えましょう。また、女性の国会議員が日本では諸国に比べると少ないということが指摘できます。もしそのような選挙制度があるとすれば、あるいはそういう役割を果たしているとすれば、それは大きな問題であると言うことができると思います。
また、衆議院、参議院の議員選挙に共通して、国民の選挙運動の自由に対して大幅な法的規制があるということが言えますし、この点での改善が早急に求められていると言えます。
例えば、戸別訪問の禁止とか文書図画活動の大幅な規制と言うことができます。とりわけ戸別訪問というのは、今日では欧米諸国では普通のことであって、日本の歴史で見ると、明治憲法下、一九二五年に普通選挙制が導入され、同時に治安維持法が導入されたときにこの戸別訪問禁止が導入されたというもので、それが今日に引き続いているということは大きな問題です。
それらに見られることとして、国民を言わば愚民視するということが指摘されます。国民を、やはり主権者として自覚を持たせるような制度を選挙制なりあるいは公職選挙法の上で保障していくということが何よりも重要ではないかと思います。
次に、第二に、国会における慎重な審議の保障によって国民の知る権利と国民の政治的判断への貢献が国会においては特に必要であり、しかもその点で特に参議院の役割が重要であると言えます。衆議院が、内閣形成の主導権を持つだけに、言わば政治の論理、数の論理に左右されるということはある面でやむを得ないとしましても、参議院は政権形成から一定の距離を置くということは重要な意味があります。
したがって、憲法学界でも指摘されてきましたように、例えば参議院は国務大臣等を送らないということとか、あるいはまた長期的視野に立った政策立案と行政・内閣監視をすること、そして少数勢力や少数意見の審議を尊重し保障していくということ、そして国民への情報公開、国民世論との交流の開拓によって参議院の独自性を追求するということが重要ではないかと考えます。
その過程で、参議院の言わば政党化を否定したり若しくは消極的にとらえる意見があります。しかし、それは今日では非現実的であると言えるのではないかと思います。議会政治が政党政治となることは必然的であると言うことができますし、問題はむしろ政党政治の内容と質のいかんにあると言うことができます。
とりわけ、今日では国民における無党派層が増加しているという状況に対して、政党の体質を改善し民主化していくこと、また政党が選挙政策への対応の積極的な姿勢を追求していくことが一層求められていると言えると思います。
第三に、衆議院、参議院間の与野党議席数の言わばねじれ現象問題との関係で、日本国憲法五十九条二項による参議院の言わば厚い壁が問題になっています。
参議院で法案を否決した場合、法律案再審議の要件として衆議院で三分の二を必要とするという規定は、それは憲法学としてとらえてみると、衆議院の過度の優越を抑え、国会における慎重審議と国民の意思の公正な反映を保障するものと言えます。その点で、現憲法は、参議院の役割を衆議院に対し単純に劣った位置、劣位に置いているとは言えません。
そのことに関し、衆議院と参議院の関係を権限上明確に役割分担させ、場合によっては両者を拮抗関係に置くことを主張する考えもあります。それは、改憲論などにおいても今日見られるところです。例えば、内閣総理大臣の指名権を衆議院に限定するとか、あるいは条約承認権を参議院に特定させるなどの考え方です。しかし、日本国憲法の規定するところでは、衆議院の基本的優位の下で参議院が衆議院の是正もしくは補充の任務を果たすという構図が設定され、それをいかに運用、展開していくかが重要であると考えます。
国民の直接選挙によって構成される衆議院と参議院は、国民の言わば流動的で多角的な意見ないしは利益を衆参ともに相互に補完、協力して具体化させ、総体的な国民意思として形成、実現する任務を負っていると言えます。その点で憲法学説上は若干の意見の差はあることは明らかですが、しかし基本的な認識、把握では共通していると言えます。
以上で終わります。
この発言だけを見る →国会は、主権者である国民の直接の代表機関として、その在り方について理論上も実務上も様々な問題が検討されてきました。
例えば、それを事項として列挙しますと、国民代表制と選挙制、国権の最高機関性、立法機関としての位置、議院内閣制として内閣との関係、特に当初は解散権の問題、また今日では内閣権限の強化による国会の審議権の形骸化の問題、あるいはまた国政調査権の在り方の問題。また、司法、裁判所との関係では、違憲とされた法令への国会の対応、特に問題になりましたのが刑法の尊属殺規定の問題です。また、弾劾裁判所の在り方の問題等々があります。
そのうちで、二院制に関し、参議院の位置と役割を国民との関係を中心にして考察したいと思います。
国会の在り方の中で、参議院改革問題は日本国憲法の施行以来いろいろな形で取り上げられてきました。今、その五十数年の歴史を概観することも一定の意味があるのではないかと考えます。日本国憲法の制定過程で、GHQ案の一院制案を国会議員の公選制を条件に衆議院、参議院の二院制になった経緯がありますが、それも今日でも参考になります。
また、一九五〇年代から六〇年代には、当時の改憲論とも結び付きまして、参議院議員の選出方法として間接選挙制案や推薦制案も登場しました。しかし、現在では公選制による国民代表機関として参議院は定着していると言えます。また、一九七一年以降、参議院での与野党伯仲の時期に、参議院の運営面の改革として参議院の独自性確保のためということで、議長、副議長の党籍離脱、参議院から国務大臣等を出さないように自粛すること、あるいは党議拘束の緩和等の提唱がされ、また具体化がされました。
一九八〇年に衆参同時選挙があり、自民党が圧勝した下で、一九八二年に参議院の全国区制が廃止され、比例代表制の拘束名簿式が導入されて政党本位の選挙になったということは、参議院にとっての大きな転機と言えると思います。
一九八〇年代後半以降、連立政権の登場とともに参議院と衆議院との関係が特に問題となり、その中でも、一九九八年七月の参議院通常選挙で自民党が言わば大敗をしたことを契機に、衆議院、参議院各院の党派構成において与野党間に言わばねじれ現象が生じました。それが国会運営の上で衆議院、参議院両院における絶対多数議席の確保を専ら追求するような形で連立政権が形成されるということにもなって、社会的にも問題にされています。
この間、なお、一九八六年に参議院に独自に設置された調査会が長期的、総合的観点から一定の成果を上げ、また常任委員会の再編成の取組など、参議院自体での改革の進展が注目されます。
これらの歴史的経験を踏まえ、また将来を展望して、以下、次の三点につき言及したいと思います。
第一に、憲法四十三条一項に基づき参議院が全国民の代表機関であるという性格は尊重され、また発展されるべきことが指摘できます。
二院制における第二院の在り方としては、世界的に見ても、一つには貴族院型、例として明治憲法の例、第二に連邦型、例としてアメリカ、第三に民主的な第二院型、例としてフランスの第三及び第四共和制、この三つに大別されます。日本の参議院がその第三の型に属することは周知のとおりです。
そして、第二院の存在理由としては、歴史的に、貴族院型から連邦型若しくは第二院型へ移行したことに伴い、以下の二点が指摘されます。
第一に、下院での性急な行為や、場合によっては過誤の是正、回避という任務、第二に、民意を確実に反映させるということが指摘されます。参考までに指摘すれば、歴史的にも長い経験を持つイギリスの貴族院も、現在、世襲貴族議員の権限制限と公選制への移行過程にあることが注目されます。
日本国憲法において、内閣総理大臣の指名で衆議院が優越すること、また衆議院にのみ内閣の不信任権があること、他方、参議院には解散がなく、議員は六年の長期の任期を持ち、そして三年ごとに定期的選挙によって民意が表明され、そのことは、他方で衆議院の解散及び総選挙が言わば政治的な性格を強く持って行われることと相まって、参議院独自の重要な役割をしていると言えます。総体として、日本国憲法の二院制は妥当な基本制度になっていると言えると思います。
しかし、現憲法の運用上の制度においては多くの問題点があると言えます。例えば、つい最近のことでは、二〇〇〇年に参議院比例区選挙の拘束名簿式を非拘束式に変更したことが、国民としてみれば十分審議されないで強行された嫌いを指摘せざるを得ません。
しかし、それ以上に参議院選挙区選挙において議員定数が過度に不均衡であるということが多く指摘されます。また、その点で最高裁判決も幾つか出ておりますが、参議院の選挙区選挙での言わば地域代表的性格を人口比例原則に対して強調する側面もあるということが問題として指摘できます。そのことに国会自身が依拠するとすれば、それは一層また問題であると言うことができます。
問題は、何よりも国民の意思の議席への公正な反映のための選挙制度を追求するということが大事であると思います。そして、その点で、十八歳選挙権を日本では認めておりませんが、これは今日の世界的な趨勢から見ると大変立ち後れているということで重大な問題と言えましょう。また、女性の国会議員が日本では諸国に比べると少ないということが指摘できます。もしそのような選挙制度があるとすれば、あるいはそういう役割を果たしているとすれば、それは大きな問題であると言うことができると思います。
また、衆議院、参議院の議員選挙に共通して、国民の選挙運動の自由に対して大幅な法的規制があるということが言えますし、この点での改善が早急に求められていると言えます。
例えば、戸別訪問の禁止とか文書図画活動の大幅な規制と言うことができます。とりわけ戸別訪問というのは、今日では欧米諸国では普通のことであって、日本の歴史で見ると、明治憲法下、一九二五年に普通選挙制が導入され、同時に治安維持法が導入されたときにこの戸別訪問禁止が導入されたというもので、それが今日に引き続いているということは大きな問題です。
それらに見られることとして、国民を言わば愚民視するということが指摘されます。国民を、やはり主権者として自覚を持たせるような制度を選挙制なりあるいは公職選挙法の上で保障していくということが何よりも重要ではないかと思います。
次に、第二に、国会における慎重な審議の保障によって国民の知る権利と国民の政治的判断への貢献が国会においては特に必要であり、しかもその点で特に参議院の役割が重要であると言えます。衆議院が、内閣形成の主導権を持つだけに、言わば政治の論理、数の論理に左右されるということはある面でやむを得ないとしましても、参議院は政権形成から一定の距離を置くということは重要な意味があります。
したがって、憲法学界でも指摘されてきましたように、例えば参議院は国務大臣等を送らないということとか、あるいはまた長期的視野に立った政策立案と行政・内閣監視をすること、そして少数勢力や少数意見の審議を尊重し保障していくということ、そして国民への情報公開、国民世論との交流の開拓によって参議院の独自性を追求するということが重要ではないかと考えます。
その過程で、参議院の言わば政党化を否定したり若しくは消極的にとらえる意見があります。しかし、それは今日では非現実的であると言えるのではないかと思います。議会政治が政党政治となることは必然的であると言うことができますし、問題はむしろ政党政治の内容と質のいかんにあると言うことができます。
とりわけ、今日では国民における無党派層が増加しているという状況に対して、政党の体質を改善し民主化していくこと、また政党が選挙政策への対応の積極的な姿勢を追求していくことが一層求められていると言えると思います。
第三に、衆議院、参議院間の与野党議席数の言わばねじれ現象問題との関係で、日本国憲法五十九条二項による参議院の言わば厚い壁が問題になっています。
参議院で法案を否決した場合、法律案再審議の要件として衆議院で三分の二を必要とするという規定は、それは憲法学としてとらえてみると、衆議院の過度の優越を抑え、国会における慎重審議と国民の意思の公正な反映を保障するものと言えます。その点で、現憲法は、参議院の役割を衆議院に対し単純に劣った位置、劣位に置いているとは言えません。
そのことに関し、衆議院と参議院の関係を権限上明確に役割分担させ、場合によっては両者を拮抗関係に置くことを主張する考えもあります。それは、改憲論などにおいても今日見られるところです。例えば、内閣総理大臣の指名権を衆議院に限定するとか、あるいは条約承認権を参議院に特定させるなどの考え方です。しかし、日本国憲法の規定するところでは、衆議院の基本的優位の下で参議院が衆議院の是正もしくは補充の任務を果たすという構図が設定され、それをいかに運用、展開していくかが重要であると考えます。
国民の直接選挙によって構成される衆議院と参議院は、国民の言わば流動的で多角的な意見ないしは利益を衆参ともに相互に補完、協力して具体化させ、総体的な国民意思として形成、実現する任務を負っていると言えます。その点で憲法学説上は若干の意見の差はあることは明らかですが、しかし基本的な認識、把握では共通していると言えます。
以上で終わります。
上
早
早川忠孝#4
○公述人(早川忠孝君) 早川でございます。
私は、現在のままの参議院がこのまま続いていけば、いずれ参議院は要らないという、そういう世論が大きくなるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、今日は衆議院の予算委員会で、まあ言ってみればワイドショー的な国民の関心が寄せられておりますけれども、実はこの参議院の役割こそがこういった国家の重要な課題についての審議をするという意味での本当に大事な存在であるということを強く認識をしております。
お手元に配付しておりますレジュメで御説明を申し上げたいと思います。
まず第一に、我が国の憲法についてでありますけれども、我が国の憲法、世界に誇れる先進的な新しい憲法だと、こういう認識がいまだに国民の間には強いかと思います。しかしながら、比較憲法の立場からいって欠陥憲法であるというふうに主張される学者の先生もおられます。
日本の歴史を振り返って考えますと、まさに昭和二十一年、五十六年前、二月の十三日にマッカーサーの憲法草案が日本国側に交付されました。ポツダム宣言を受諾してから、ちょうど六か月後に英文での憲法の草案を受領したわけであります。それから約一か月足らずのうちに日本側で憲法改正草案を作りました。三月の六日でございます。六日六晩で作られたというこのマッカーサー憲法草案ですけれども、今から考えますと、相当内容的には優れていたものがあったと思います。
その憲法草案では、我が国の国会の在り方については一院制が提唱されておりました。当時の我が国の帝国議会は貴族院と衆議院の二院でありました。この衆議院は、実は前年度に解散をされていまして、およそ国会としての機能を果たしていない、その間に我が国の憲法が作られる、そういう作業が始まっておりました。貴族院という二院制の伝統を持っている我が国の憲法学者としては、あるいは当時の当局者としては一院制よりも二院制の方がふさわしいということで、当時の松本烝治国務大臣は二院制を主張しました。
この二院制の機能は、職能代表制あるいは勅選の議員でもって選ぶという、そういった直接選挙によらない二院制を提示いたしました。しかしながら、これは日本国の民主化を図るというその大きな流れの中では一蹴されました。結局、二院制を採用するに至りましたけれども、しかし第二院である参議院は公選によることとなりました。
四月に帝国憲法改正案が内閣から国民に知らされました。その三月から四月までの約一か月間の間にどのような検討作業があったかといいますと、当時の占領軍の総司令部との間に四回にわたる読会を開催し、英文で示された草案について、これを日本流に受け入れるとしてどういう制度がふさわしいかということの検討会を開催いたしました。
しかし、残念ながらこの二院制の内容については、当時の帝国議会あるいは有識者の間でもどういう制度にしたらよろしいのかという案ができ上がりませんでした。共産党もあるいは当時の社会党も一院制が望ましいという主張をされておりました。二院制を主張される方々は、この第二院である参議院は職能代表的な機能を果たさなければならない、このように主張をされました。
第一院である衆議院と第二院である参議院、この二院の構成は決まりました。しかし、その具体的な組織をどうするかについては、実は帝国議会が開催されてからも内容が全く詰まっておりませんでした。
衆議院は四月十日、選挙がありました。六月になってから帝国議会の審議が始まったわけであります。しかし、この衆議院選挙、実はかつての翼賛選挙で当選した衆議院議員が約九〇%公職追放になって、全くこれまでの日本を支えた主要な議員が議席を得られないと。貴族院の中でも、公職追放になって、勅選で議員を追加補充するという、そういういびつな構成での帝国議会の審議が行われたわけであります。
衆議院で附帯決議がなされました。お手元のレジュメの中に資料として、日本国憲法で参議院制度が採用されるに至った歴史的経過を記述してまいりました。詳しくはこの資料を見ていただきたいと思います。
八つの参議院についての組織あるいは選挙についての提案が検討をされました。しかし、職能代表的な参議院にするということについては技術的に大変不可能であるということから、実は日本国憲法についての審議がすべて終わった後に、参議院の組織についての参議院議員選挙法案要綱が決定に至っております。すなわち、十月の七日に、貴族院本会議での修正可決を経て衆議院に回付された後、衆議院本会議で日本国憲法が可決、成立をしております。その後の十月の二十二日に、臨時法制調査会総会で参議院議員選挙法案要綱が決定をされたわけであります。衆議院特別委員会における附帯決議とは全く抵触するような内容の参議院になったわけであります。
ビートたけしさんが、衆議院と参議院が全く同じことを決めるのであれば、そんな参議院は要らないと述べていたことがあります。正にこれからの参議院の在り方が問われているところだと思います。
そこで、これからの参議院はどうあるべきか。
私自身、かつて二回衆議院選挙に立候補し、参議院選挙にも立候補させていただきました。日本の選挙制度は大変ハードルが高うございます。特に、参議院の場合は一人一人の有権者と参議院議員候補者との間では大きな溝があります。だれも、どんな人が候補者であるか、どういう活動をしているのか、これから何をしようとしているか、そういう情報を自ら積極的に得ようとしない、そういう風土の中で参議院選挙が行われております。
私は、日本国憲法の検討の際に、参議院を正に良識の府にするという、こういう理想を持っておられた方々のためにも、本来的に参議院がその役割を果たすようにしていかなければならない。
そのためにどうしたらよろしいか。
選挙を経験しますと、やはりあらゆる選挙は政党の助けがなければ全く遂行することが不可能であります。選挙がある以上は政党がせざるを得ない。国民の代表である衆議院と参議院が全く同じような構成になり、同じような役割を果たしていくことになりかねないのであります。
どういうふうにこれを克服するか。
第一に、間接選挙の方法を採用することはいかがかということであります。
世界では一院制の国が二院制の国よりも倍あると報告されたことがございます。もちろん、先進二十一か国の中では二院制がほとんどであります。しかし、国民の意思を素直に代表するという意味では一院制がより望ましいのではないかと言われております。二頭立ての馬車を考えていただきたいと思います。国民の意思を代表する第一院と第二院が右と左に走ってしまえば、国家の運営は一歩も進まなくなってしまいます。
大きな欠陥を内蔵するこの二院制を変えていくためには、私は変則的二院制あるいは二層制の国会制度を導入してはいかがかと考えております。それは、職域の代表であり、訂正します、職能の代表であり、あるいは地域の代表であり、あるいは真に衆議院の様々な暴走を抑止する機能を持った第二院である参議院を構成しなければならない。それにふさわしい各種の専門家を参議院の場に次から次へと採用していただきたい。そのためには、場合によっては国民の直接の選挙で選ばれる衆議院で参議院の候補者を選んでいくというような二層制にしてはいかがかと考えるのであります。
任期が、参議院の場合には六年というふうに衆議院よりもはるかに長く、かつ身分保障もより優位なものが保障されております。参議院議員のこの身分保障は、当然、国民に対する責務の大きさと対応するものでなければならないと考えるのであります。国民に対する責務、すなわち参議院議員の一人一人が、国家のために、国民のために何をなすべきかということを明確に認識しておかなければならないと思うのであります。
私は、日本に憲法裁判所がないということは、憲法に従った行政あるいは立法、隅々までの憲法を行き渡らせる、そういう制度的な保障がないのではないかというふうに考えております。
フランスでも、またイギリスでも、憲法裁判所あるいは憲法院という考え方が採用されております。イギリスの場合には、貴族院の中に約十五名の憲法裁判所を貴族院議員で構成する、こういう制度がございます。連邦の大統領等の経験者等をメンバーとするフランスの憲法院構想も、正に個々の法令あるいは通達等について予防的な憲法審査をすることができる。司法の場で憲法との抵触関係を審査する、そういった個別的な具体的な憲法審査でなく、抽象的な憲法審査が必要なのではないかというふうに考えております。
そのためには、立法機関の中に憲法に対しての抵触関係を審議する専門的な機関を設けることが正に良識の府である参議院に最もふさわしい職責ではないかというふうに考えております。そのために大事なことは、政党支配から自由になった参議院を構成することではないかと考えております。
今、改革の動きが大きく、大きな流れを作っております。この改革の流れを本格的なものにするために、私は、参議院がいわゆる抵抗の府ではない、チェックの府ではない、提言の府である、国民のために何をなすべきかということを専門的に、安定的に、継続的に審議し衆議院に提起するような、そういう機関に変質をしていただきたいと思うのであります。
改革が求められております。今改革が必要なのは、国民がそれを求めているからであります。そしてまた、改革を実現するためにはスピードが求められているのであります。我が国の憲法審議が始まって六か月以内で日本国憲法が成立しました。憲法調査会、六年間、憲法調査会はたしか五年間の存続期間と聞いておりますけれども、もっと早く日本国憲法についての問題点を調査し、これからの日本の歩むべき道を是非ともお示しいただきたいのであります。
参議院の先生方が自らの立場のありようを見詰め直して、ひょっとしたら自分たちの存在の基盤を揺るがすことになるかもしれないけれども、しかし、これからの日本のためにどうあるべきかということを是非御提言いただきたい。明治維新と同じことが今我々に求められているのではないかと思います。
以上で発言を終わります。
この発言だけを見る →私は、現在のままの参議院がこのまま続いていけば、いずれ参議院は要らないという、そういう世論が大きくなるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、今日は衆議院の予算委員会で、まあ言ってみればワイドショー的な国民の関心が寄せられておりますけれども、実はこの参議院の役割こそがこういった国家の重要な課題についての審議をするという意味での本当に大事な存在であるということを強く認識をしております。
お手元に配付しておりますレジュメで御説明を申し上げたいと思います。
まず第一に、我が国の憲法についてでありますけれども、我が国の憲法、世界に誇れる先進的な新しい憲法だと、こういう認識がいまだに国民の間には強いかと思います。しかしながら、比較憲法の立場からいって欠陥憲法であるというふうに主張される学者の先生もおられます。
日本の歴史を振り返って考えますと、まさに昭和二十一年、五十六年前、二月の十三日にマッカーサーの憲法草案が日本国側に交付されました。ポツダム宣言を受諾してから、ちょうど六か月後に英文での憲法の草案を受領したわけであります。それから約一か月足らずのうちに日本側で憲法改正草案を作りました。三月の六日でございます。六日六晩で作られたというこのマッカーサー憲法草案ですけれども、今から考えますと、相当内容的には優れていたものがあったと思います。
その憲法草案では、我が国の国会の在り方については一院制が提唱されておりました。当時の我が国の帝国議会は貴族院と衆議院の二院でありました。この衆議院は、実は前年度に解散をされていまして、およそ国会としての機能を果たしていない、その間に我が国の憲法が作られる、そういう作業が始まっておりました。貴族院という二院制の伝統を持っている我が国の憲法学者としては、あるいは当時の当局者としては一院制よりも二院制の方がふさわしいということで、当時の松本烝治国務大臣は二院制を主張しました。
この二院制の機能は、職能代表制あるいは勅選の議員でもって選ぶという、そういった直接選挙によらない二院制を提示いたしました。しかしながら、これは日本国の民主化を図るというその大きな流れの中では一蹴されました。結局、二院制を採用するに至りましたけれども、しかし第二院である参議院は公選によることとなりました。
四月に帝国憲法改正案が内閣から国民に知らされました。その三月から四月までの約一か月間の間にどのような検討作業があったかといいますと、当時の占領軍の総司令部との間に四回にわたる読会を開催し、英文で示された草案について、これを日本流に受け入れるとしてどういう制度がふさわしいかということの検討会を開催いたしました。
しかし、残念ながらこの二院制の内容については、当時の帝国議会あるいは有識者の間でもどういう制度にしたらよろしいのかという案ができ上がりませんでした。共産党もあるいは当時の社会党も一院制が望ましいという主張をされておりました。二院制を主張される方々は、この第二院である参議院は職能代表的な機能を果たさなければならない、このように主張をされました。
第一院である衆議院と第二院である参議院、この二院の構成は決まりました。しかし、その具体的な組織をどうするかについては、実は帝国議会が開催されてからも内容が全く詰まっておりませんでした。
衆議院は四月十日、選挙がありました。六月になってから帝国議会の審議が始まったわけであります。しかし、この衆議院選挙、実はかつての翼賛選挙で当選した衆議院議員が約九〇%公職追放になって、全くこれまでの日本を支えた主要な議員が議席を得られないと。貴族院の中でも、公職追放になって、勅選で議員を追加補充するという、そういういびつな構成での帝国議会の審議が行われたわけであります。
衆議院で附帯決議がなされました。お手元のレジュメの中に資料として、日本国憲法で参議院制度が採用されるに至った歴史的経過を記述してまいりました。詳しくはこの資料を見ていただきたいと思います。
八つの参議院についての組織あるいは選挙についての提案が検討をされました。しかし、職能代表的な参議院にするということについては技術的に大変不可能であるということから、実は日本国憲法についての審議がすべて終わった後に、参議院の組織についての参議院議員選挙法案要綱が決定に至っております。すなわち、十月の七日に、貴族院本会議での修正可決を経て衆議院に回付された後、衆議院本会議で日本国憲法が可決、成立をしております。その後の十月の二十二日に、臨時法制調査会総会で参議院議員選挙法案要綱が決定をされたわけであります。衆議院特別委員会における附帯決議とは全く抵触するような内容の参議院になったわけであります。
ビートたけしさんが、衆議院と参議院が全く同じことを決めるのであれば、そんな参議院は要らないと述べていたことがあります。正にこれからの参議院の在り方が問われているところだと思います。
そこで、これからの参議院はどうあるべきか。
私自身、かつて二回衆議院選挙に立候補し、参議院選挙にも立候補させていただきました。日本の選挙制度は大変ハードルが高うございます。特に、参議院の場合は一人一人の有権者と参議院議員候補者との間では大きな溝があります。だれも、どんな人が候補者であるか、どういう活動をしているのか、これから何をしようとしているか、そういう情報を自ら積極的に得ようとしない、そういう風土の中で参議院選挙が行われております。
私は、日本国憲法の検討の際に、参議院を正に良識の府にするという、こういう理想を持っておられた方々のためにも、本来的に参議院がその役割を果たすようにしていかなければならない。
そのためにどうしたらよろしいか。
選挙を経験しますと、やはりあらゆる選挙は政党の助けがなければ全く遂行することが不可能であります。選挙がある以上は政党がせざるを得ない。国民の代表である衆議院と参議院が全く同じような構成になり、同じような役割を果たしていくことになりかねないのであります。
どういうふうにこれを克服するか。
第一に、間接選挙の方法を採用することはいかがかということであります。
世界では一院制の国が二院制の国よりも倍あると報告されたことがございます。もちろん、先進二十一か国の中では二院制がほとんどであります。しかし、国民の意思を素直に代表するという意味では一院制がより望ましいのではないかと言われております。二頭立ての馬車を考えていただきたいと思います。国民の意思を代表する第一院と第二院が右と左に走ってしまえば、国家の運営は一歩も進まなくなってしまいます。
大きな欠陥を内蔵するこの二院制を変えていくためには、私は変則的二院制あるいは二層制の国会制度を導入してはいかがかと考えております。それは、職域の代表であり、訂正します、職能の代表であり、あるいは地域の代表であり、あるいは真に衆議院の様々な暴走を抑止する機能を持った第二院である参議院を構成しなければならない。それにふさわしい各種の専門家を参議院の場に次から次へと採用していただきたい。そのためには、場合によっては国民の直接の選挙で選ばれる衆議院で参議院の候補者を選んでいくというような二層制にしてはいかがかと考えるのであります。
任期が、参議院の場合には六年というふうに衆議院よりもはるかに長く、かつ身分保障もより優位なものが保障されております。参議院議員のこの身分保障は、当然、国民に対する責務の大きさと対応するものでなければならないと考えるのであります。国民に対する責務、すなわち参議院議員の一人一人が、国家のために、国民のために何をなすべきかということを明確に認識しておかなければならないと思うのであります。
私は、日本に憲法裁判所がないということは、憲法に従った行政あるいは立法、隅々までの憲法を行き渡らせる、そういう制度的な保障がないのではないかというふうに考えております。
フランスでも、またイギリスでも、憲法裁判所あるいは憲法院という考え方が採用されております。イギリスの場合には、貴族院の中に約十五名の憲法裁判所を貴族院議員で構成する、こういう制度がございます。連邦の大統領等の経験者等をメンバーとするフランスの憲法院構想も、正に個々の法令あるいは通達等について予防的な憲法審査をすることができる。司法の場で憲法との抵触関係を審査する、そういった個別的な具体的な憲法審査でなく、抽象的な憲法審査が必要なのではないかというふうに考えております。
そのためには、立法機関の中に憲法に対しての抵触関係を審議する専門的な機関を設けることが正に良識の府である参議院に最もふさわしい職責ではないかというふうに考えております。そのために大事なことは、政党支配から自由になった参議院を構成することではないかと考えております。
今、改革の動きが大きく、大きな流れを作っております。この改革の流れを本格的なものにするために、私は、参議院がいわゆる抵抗の府ではない、チェックの府ではない、提言の府である、国民のために何をなすべきかということを専門的に、安定的に、継続的に審議し衆議院に提起するような、そういう機関に変質をしていただきたいと思うのであります。
改革が求められております。今改革が必要なのは、国民がそれを求めているからであります。そしてまた、改革を実現するためにはスピードが求められているのであります。我が国の憲法審議が始まって六か月以内で日本国憲法が成立しました。憲法調査会、六年間、憲法調査会はたしか五年間の存続期間と聞いておりますけれども、もっと早く日本国憲法についての問題点を調査し、これからの日本の歩むべき道を是非ともお示しいただきたいのであります。
参議院の先生方が自らの立場のありようを見詰め直して、ひょっとしたら自分たちの存在の基盤を揺るがすことになるかもしれないけれども、しかし、これからの日本のためにどうあるべきかということを是非御提言いただきたい。明治維新と同じことが今我々に求められているのではないかと思います。
以上で発言を終わります。
上
本
本田年子#6
○公述人(本田年子君) 本田です。よろしくお願いいたします。
最初にお断りしておきたいのですが、私は専門家でも研究者でもありません。一般有権者ですから、多少的外れなことやあるいは口の悪いところがありますが、御容赦願いたいと思います。
さて、第二院である参議院は、本来、数の衆議院に対して理の府として数や力の論理に拘束されない参議院の独自性があり、その独自の役割や機能があるはずです。
しかし、参議院の現状は、衆議院のカーボンコピーと言われたり、参議院無用論まで出ています。私たち一般有権者の間でも、参議院が政党化し、多くの議員が党利党略で動いていることや、衆議院で落選した人がつなぎに参議院に回ったり、あるいは任期中にも補選で衆議院にくら替えしたりすることなど、また、民意を尊重してはっきり物を言ってくれる無所属の議員がほとんどいないことなどで、参議院は一体何しているのか、今の参議院には独自性がない、参議院の存在の必要すら感じられないと言っている人がたくさんいます。ましてや、参議院については、選挙で当選したタレントと言われる人や有名人の議員に親しみを感じる程度しか関心を持っていない人も更にたくさんいるのです。
また、次のことを言うのはちょっと気が引けるんですけれども、町の声としてお聞きいただきたいと思います。
参議院が衆議院でのごちゃごちゃした政党間の対立をそのまま引き継いで、余り審議もしないで衆議院と同じように決めてしまったり、議会中居眠りをしている議員の姿を見ると、自分たちはささいな収入を得るために毎日汗水垂らして一生懸命働いている、そしてその上がっちり税金を取られている、その税金の中から高額な議員歳費が使われていると思うと、もうやっていられない気持ちになると言っている人も結構います。
このような批判はともかくとしまして、参議院に関心を持たない有権者がたくさんいることは、まず、参議院選挙で有権者が参政権をどの程度行使しているか、また行使した一票がどのように生かされているか、あるいは生かされていないかを見れば分かると思います。
ここ十年間の参議院選挙の投票率を見ますと、一九九二年の第十六回が五〇・七%、十七回は半分も行かない四四・五%です。十八回が五八・八%、そして昨年七月の第十九回が五六・四%となっています。投票率は低く、これらの平均は五二・六%です。棄権している人が平均四七・四%もいて、半数近くの人が選挙に行っていないのです。
次に、私たち有権者が行使した一票が生かされているのか、自分たちの意思を代表してくれる代表をどの程度この参議院に送り出しているでしょうか。
お手元に配付してあります資料をごらんいただきたいと思います。資料の中に資料1、2、3と振ってありますが、資料1は第十九回、資料2は第十八回の参議院選挙の結果分析ですが、各党の得票率とそれから支持率。この支持率というのは、各党の得票数を全有権者数で割って求めた割合ですが、それと議席率を一覧表にしたもの、それからその一覧表を目で見て分かるように図にしたものです。あとは、当選された方々の選挙区における得票数と支持率とを一覧表にしたものです。
まず、十九回参議院選挙の資料として資料1の2でそれをごらんいただきたいんですが、選挙区を見ますと、当日有権者の数は一億百二十三万六千二十九人、これを一〇〇%としまして、そのうち投票に行った有権者は、つまり投票率は五六・四%です。そのうち、自分が、投票に行った人のうち、自分が投票した候補者が当選したという有権者は、生きた票ですね、これが三三・六%。つまり、この人たちが代表を送り出せた有権者です。そして、投票した候補者が落選してしまった有権者、死票ですね、これが二二・八%。この人たちは代表を送り出せなかった有権者です。そして、それから投票に行かなかった有権者がいます。この棄権率が四三・六%。この人たちは代表を送り出さなかった有権者です。つまり、わずか三三・六%の有権者が自分の意思を反映してくれる代表を参議院に送り出したのみで、有権者の六六・四%は代表を送り出していません。十八回のときはもっと低く、二二・七五%の有権者が代表を送り出しただけです。
次に、各党の議席率についてですが、たった三三・六%の有権者で支持されて当選した人たちの政党への議席配分を見ますと、自由民主党はわずか二二%の有権者の支持で定数七十三人中四十五人が当選し、議席率は六一・六%も占めています。民主党は七・五%の支持で十八人当選し、議席率二四・七%となっており、議席率は大政党に有利な結果をもたらしています。あと、公明党が五人、自由党は二人、無所属二人、共産党一人となっています。
この結果では、有権者の意思は正しく反映されていないばかりか、私はゆがめられているとさえ言えると思います。いかがでしょうか。
こうした有権者の一票を生かせない選挙結果が多くの有権者に、自分が一票入れたからといって大勢が変わるわけではないとの気持ちにさせてしまっているのです。政治に関心を持たず、お任せ主義で、選挙に行かない有権者が悪いという声もあります。確かにそれもそうです。しかし、私は、それ以上に、党利党略で改正されたと言われている選挙制度に問題があると思っています。
第一院の衆院をチェックする機能を持つ第二院としての参議院は、第一院とは異なる時期やあるいは異なる選挙方法で議員が選ばれ、有権者の多様な意思を公平に代表するはずではなかったのでしょうか。しかし、理の府であるべき参議院の選挙制度は、政党中心の数の衆議院の選挙制度と余り変わっていないのです。
例えば、参議院の選挙区においては、四十七ある選挙中、一人区が半数以上の二十七選挙区もあります。これは、大政党に有利と言われている衆議院の小選挙区制と余り変わりはありません。比例区では、議席の配分方法が単純に比例配分ではなく、やはり衆議院と同じく大政党に有利となるドント式が採用されています。これではまるで、兄弟たちの間でケーキを分けるとき、いつも力のある大きいお兄ちゃんが一番大きくて一番おいしいところを取ってしまうような、大政党のいいとこ取りの感じが私たち有権者にしますが、議員の皆さんはいかがお考えでしょうか。
また、比例区では政党しか候補者を立てることができません。一九八二年に全国区制を比例区にして参議院まで政党本位の選挙方法にしたわけです。かつて、全国区制のころ、私たち女性や若者たちが市川房枝さんを私たちの代表として、カンパを出し合い、いわゆる手弁当で、「出たい人より出したい人を」を合い言葉に参議院に推し出したことがあります。現在の比例制度では、私たち有権者は、政党に所属させなければ、所属しなければ、自分たちが出したいと思う人を立候補させることができないのです。
有権者が選挙への参加を狭められ、参政権を生かせないことはこの選挙の在り方ばかりではありません。参議院の議員定数が長年不均衡状態で放置されていることも、憲法が私たち一人一人に平等に保障している参政権にかかわる重大な問題となっています。
御参考までに、資料としまして、四十年前の一九六二年に越山康弁護士が参議院の定数是正訴訟を我が国で初めて行い、以後今日まで他の弁護士らとともに続けてこられ、日本婦人有権者同盟会員らも原告やあるいは補助参加人として参加してきました訴訟年表を資料3としてお配りしてありますので、御参考にしてください。
次に、参議院が第二院としての精神に反しないよう二院制の形骸化を阻止するために、そして参議院に対する有権者の関心と期待を増すために、私はまず、参議院の選挙区制度、定数是正を含めて、選挙区制とそれから定数是正も含めまして、有権者の意思が正しく公平に反映できるよう改正することを訴えます。このことは憲法を改正しなくてもできることです。
それから、参議院がいわゆる政党のエゴに振り回されないでその独自性の役割、機能を果たすために、政党を離れた議員が多い方が良いとも思っています。できれば参議院から大臣を出さない方が良いとも思います。
参議院は、動きの激しいいわゆる動の、動きの衆議院に対し、冷静である静の府であってほしいのです。衆議院のように絶えず躍動しているというか、悪く言えばごちゃごちゃごたごたした目まぐるしい状態ではなく、参議院の議員は有権者から六年という長い期間を託されたのですから、物事をじっくり見据え、深く考え、慎重に審議していただきたいのです。また、可能な限り自分の選挙区だけではなくもっと町に出てより広く国民の声を、汗水垂らしている人たちのたくさんの声を聞いてそのニーズにこたえるように責務を果たしてください。
特に、民主政治の基本的ルールである選挙制度の問題、未来を託す子供たちの教育問題、だれもが安心して暮らせるための平和の問題、私たちみんなが人間としての尊厳を保ち、生きていくための基本的人権にかかわる問題を、参議院が衆議院より率先して公正公平の立場でしっかりと取り組んでくれることをお願いしたいのです。
私は、一有権者として、二院制を取る我が国の衆参両院がそれぞれの自律性を保ち、その上で、国権の最高機関である国会が法制定、法政策において国民の意思、民意を広く正しく反映してくださることを、かつ、議会制民主政治確立のために邁進されることを心から期待いたします。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →最初にお断りしておきたいのですが、私は専門家でも研究者でもありません。一般有権者ですから、多少的外れなことやあるいは口の悪いところがありますが、御容赦願いたいと思います。
さて、第二院である参議院は、本来、数の衆議院に対して理の府として数や力の論理に拘束されない参議院の独自性があり、その独自の役割や機能があるはずです。
しかし、参議院の現状は、衆議院のカーボンコピーと言われたり、参議院無用論まで出ています。私たち一般有権者の間でも、参議院が政党化し、多くの議員が党利党略で動いていることや、衆議院で落選した人がつなぎに参議院に回ったり、あるいは任期中にも補選で衆議院にくら替えしたりすることなど、また、民意を尊重してはっきり物を言ってくれる無所属の議員がほとんどいないことなどで、参議院は一体何しているのか、今の参議院には独自性がない、参議院の存在の必要すら感じられないと言っている人がたくさんいます。ましてや、参議院については、選挙で当選したタレントと言われる人や有名人の議員に親しみを感じる程度しか関心を持っていない人も更にたくさんいるのです。
また、次のことを言うのはちょっと気が引けるんですけれども、町の声としてお聞きいただきたいと思います。
参議院が衆議院でのごちゃごちゃした政党間の対立をそのまま引き継いで、余り審議もしないで衆議院と同じように決めてしまったり、議会中居眠りをしている議員の姿を見ると、自分たちはささいな収入を得るために毎日汗水垂らして一生懸命働いている、そしてその上がっちり税金を取られている、その税金の中から高額な議員歳費が使われていると思うと、もうやっていられない気持ちになると言っている人も結構います。
このような批判はともかくとしまして、参議院に関心を持たない有権者がたくさんいることは、まず、参議院選挙で有権者が参政権をどの程度行使しているか、また行使した一票がどのように生かされているか、あるいは生かされていないかを見れば分かると思います。
ここ十年間の参議院選挙の投票率を見ますと、一九九二年の第十六回が五〇・七%、十七回は半分も行かない四四・五%です。十八回が五八・八%、そして昨年七月の第十九回が五六・四%となっています。投票率は低く、これらの平均は五二・六%です。棄権している人が平均四七・四%もいて、半数近くの人が選挙に行っていないのです。
次に、私たち有権者が行使した一票が生かされているのか、自分たちの意思を代表してくれる代表をどの程度この参議院に送り出しているでしょうか。
お手元に配付してあります資料をごらんいただきたいと思います。資料の中に資料1、2、3と振ってありますが、資料1は第十九回、資料2は第十八回の参議院選挙の結果分析ですが、各党の得票率とそれから支持率。この支持率というのは、各党の得票数を全有権者数で割って求めた割合ですが、それと議席率を一覧表にしたもの、それからその一覧表を目で見て分かるように図にしたものです。あとは、当選された方々の選挙区における得票数と支持率とを一覧表にしたものです。
まず、十九回参議院選挙の資料として資料1の2でそれをごらんいただきたいんですが、選挙区を見ますと、当日有権者の数は一億百二十三万六千二十九人、これを一〇〇%としまして、そのうち投票に行った有権者は、つまり投票率は五六・四%です。そのうち、自分が、投票に行った人のうち、自分が投票した候補者が当選したという有権者は、生きた票ですね、これが三三・六%。つまり、この人たちが代表を送り出せた有権者です。そして、投票した候補者が落選してしまった有権者、死票ですね、これが二二・八%。この人たちは代表を送り出せなかった有権者です。そして、それから投票に行かなかった有権者がいます。この棄権率が四三・六%。この人たちは代表を送り出さなかった有権者です。つまり、わずか三三・六%の有権者が自分の意思を反映してくれる代表を参議院に送り出したのみで、有権者の六六・四%は代表を送り出していません。十八回のときはもっと低く、二二・七五%の有権者が代表を送り出しただけです。
次に、各党の議席率についてですが、たった三三・六%の有権者で支持されて当選した人たちの政党への議席配分を見ますと、自由民主党はわずか二二%の有権者の支持で定数七十三人中四十五人が当選し、議席率は六一・六%も占めています。民主党は七・五%の支持で十八人当選し、議席率二四・七%となっており、議席率は大政党に有利な結果をもたらしています。あと、公明党が五人、自由党は二人、無所属二人、共産党一人となっています。
この結果では、有権者の意思は正しく反映されていないばかりか、私はゆがめられているとさえ言えると思います。いかがでしょうか。
こうした有権者の一票を生かせない選挙結果が多くの有権者に、自分が一票入れたからといって大勢が変わるわけではないとの気持ちにさせてしまっているのです。政治に関心を持たず、お任せ主義で、選挙に行かない有権者が悪いという声もあります。確かにそれもそうです。しかし、私は、それ以上に、党利党略で改正されたと言われている選挙制度に問題があると思っています。
第一院の衆院をチェックする機能を持つ第二院としての参議院は、第一院とは異なる時期やあるいは異なる選挙方法で議員が選ばれ、有権者の多様な意思を公平に代表するはずではなかったのでしょうか。しかし、理の府であるべき参議院の選挙制度は、政党中心の数の衆議院の選挙制度と余り変わっていないのです。
例えば、参議院の選挙区においては、四十七ある選挙中、一人区が半数以上の二十七選挙区もあります。これは、大政党に有利と言われている衆議院の小選挙区制と余り変わりはありません。比例区では、議席の配分方法が単純に比例配分ではなく、やはり衆議院と同じく大政党に有利となるドント式が採用されています。これではまるで、兄弟たちの間でケーキを分けるとき、いつも力のある大きいお兄ちゃんが一番大きくて一番おいしいところを取ってしまうような、大政党のいいとこ取りの感じが私たち有権者にしますが、議員の皆さんはいかがお考えでしょうか。
また、比例区では政党しか候補者を立てることができません。一九八二年に全国区制を比例区にして参議院まで政党本位の選挙方法にしたわけです。かつて、全国区制のころ、私たち女性や若者たちが市川房枝さんを私たちの代表として、カンパを出し合い、いわゆる手弁当で、「出たい人より出したい人を」を合い言葉に参議院に推し出したことがあります。現在の比例制度では、私たち有権者は、政党に所属させなければ、所属しなければ、自分たちが出したいと思う人を立候補させることができないのです。
有権者が選挙への参加を狭められ、参政権を生かせないことはこの選挙の在り方ばかりではありません。参議院の議員定数が長年不均衡状態で放置されていることも、憲法が私たち一人一人に平等に保障している参政権にかかわる重大な問題となっています。
御参考までに、資料としまして、四十年前の一九六二年に越山康弁護士が参議院の定数是正訴訟を我が国で初めて行い、以後今日まで他の弁護士らとともに続けてこられ、日本婦人有権者同盟会員らも原告やあるいは補助参加人として参加してきました訴訟年表を資料3としてお配りしてありますので、御参考にしてください。
次に、参議院が第二院としての精神に反しないよう二院制の形骸化を阻止するために、そして参議院に対する有権者の関心と期待を増すために、私はまず、参議院の選挙区制度、定数是正を含めて、選挙区制とそれから定数是正も含めまして、有権者の意思が正しく公平に反映できるよう改正することを訴えます。このことは憲法を改正しなくてもできることです。
それから、参議院がいわゆる政党のエゴに振り回されないでその独自性の役割、機能を果たすために、政党を離れた議員が多い方が良いとも思っています。できれば参議院から大臣を出さない方が良いとも思います。
参議院は、動きの激しいいわゆる動の、動きの衆議院に対し、冷静である静の府であってほしいのです。衆議院のように絶えず躍動しているというか、悪く言えばごちゃごちゃごたごたした目まぐるしい状態ではなく、参議院の議員は有権者から六年という長い期間を託されたのですから、物事をじっくり見据え、深く考え、慎重に審議していただきたいのです。また、可能な限り自分の選挙区だけではなくもっと町に出てより広く国民の声を、汗水垂らしている人たちのたくさんの声を聞いてそのニーズにこたえるように責務を果たしてください。
特に、民主政治の基本的ルールである選挙制度の問題、未来を託す子供たちの教育問題、だれもが安心して暮らせるための平和の問題、私たちみんなが人間としての尊厳を保ち、生きていくための基本的人権にかかわる問題を、参議院が衆議院より率先して公正公平の立場でしっかりと取り組んでくれることをお願いしたいのです。
私は、一有権者として、二院制を取る我が国の衆参両院がそれぞれの自律性を保ち、その上で、国権の最高機関である国会が法制定、法政策において国民の意思、民意を広く正しく反映してくださることを、かつ、議会制民主政治確立のために邁進されることを心から期待いたします。
御清聴ありがとうございました。
上
上杉光弘#7
○会長(上杉光弘君) 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
この際、十分間休憩いたします。
午前九時四十九分休憩
─────・─────
午前十時一分開会
この発言だけを見る →この際、十分間休憩いたします。
午前九時四十九分休憩
─────・─────
午前十時一分開会
上
上杉光弘#8
○会長(上杉光弘君) 時間が参りましたので、ただいまから憲法調査会公聴会を再開いたします。
休憩前に引き続きまして、日本国憲法に関する調査を議題といたします。
これより公述人に対する質疑に入ります。福島啓史郎君。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →休憩前に引き続きまして、日本国憲法に関する調査を議題といたします。
これより公述人に対する質疑に入ります。福島啓史郎君。
質疑のある方は順次御発言願います。
福
福島啓史郎#9
○福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎であります。
まず、本日は本当に誠に御多忙のところ、この日本国憲法に関する調査としまして、今回、国会の在り方と二院制につきまして貴重な御意見をいただきました隅野隆徳さん、また早川忠孝さん、また本田年子さん、御三方の公述人の皆さんにはまず御礼を申し上げます。
さて、公述人御三方に共通した御質問でございますが、御質問いたしたいと思います。
この二院制の問題、国会の在り方と二院制の問題につきましては、伝統のある民主主義国といいますか、かつ多数の人口を持っております国では一般的には二院制が取られているのが現状なわけでございます。もちろん、新興国等におきまして一院制の動きがあるというのは先ほど早川公述人も言われたわけでございますが、しかし、現時点で見ますと、伝統のある民主主義国、あるいは多数であって、かつ多数の人口を有する国では一般に二院制が取られているというのが現状だと思います。
それで、一般に二院制の場合の二院といいますか上院といいますか、の求められている機能といたしまして、一つは、多様な民意を反映させていくということ、もう一つは、慎重といいますか、抑制と均衡が求められるということ、慎重な審議、つまり抑制と均衡が求められるということ、三番目には、継続と安定性が求められているということ、四番目には、その裏返しとしまして長期展望を持った審議が行われるという機能が求められているということが一般的に言われております。
かつ、我が国の場合、憲法といたしましてこのことはどういうふうに規定されているかといいますと、まず一つは、衆議院と参議院の違いといたしまして、ともに憲法上、両議院は四十三条におきまして「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」というふうになっております。つまり、選挙された議員で、つまり選挙が前提にされているということでございます。それで、違いは何かといいますと、四十五条で、衆議院の任期は四年とする、ただし解散があるということでございます。解散があればその期間満了前に終了するということで、四年でかつ解散があるというのが衆議院でございます。他方、参議院の場合は、四十六条でもちまして、四年より長い六年ということで、三年ごとに半数を改選するということになっております。要するに、六年で解散がないということでございます。そのことが言わば、何といいますか、積極性、積極的な書き方になっているわけでございますが。
もう一つ、権限の面で、消極的な書き方にはなっておりますが、衆議院の優先と普通言われておりますけれども、法律の制定、これは憲法の五十九条でございます。五十九条によれば、御案内のように両院で可決したときに法律となるわけでございますが、再議で、違った場合には再議権があるわけでございます。その場合には、衆議院が可決した法案と異なった議決を参議院がした場合には衆議院の出席議員の三分の二の多数でもって可決するということ、法律の制定。また、六十条では予算でございます。衆議院の先議と、それからこれも、異なった場合には、衆議院の議決を国会の議決とするということになっております。また、六十一条、これは条約でございます。条約締結権につきましても同様に、予算と同じ扱いになっております。衆議院と異なった場合あるいは三十日以内に議決しないときには衆議院の議決が国会の議決になっているということでございます。
またもう一つ、六十七条の内閣総理大臣の指名でございます。これも、異なった場合には、あるいは十日以内に指名をしない場合には衆議院の議決を国会の議決とするということで、衆議院の優先という規定には、書き方にはなっておりますけれども、逆に言えば、先ほども言いました選挙の年数及び解散のあるなしと併せて読めば、正に冒頭申しました多様な民意の反映あるいは抑制と均衡、継続、安定、長期展望という点を規定しているのがこの権限ではないかと。
つまり、ダイナミックな動きに対しましては衆議院の審議が優先するわけでございますけれども、先ほど言いました抑制と均衡、あるいは継続、安定、長期展望というような観点から、長期の解散のない六年で、かつ基本的には法律の制定を両院で、両院での議決を要するということでもって権限を規定することによって担保しているというふうに考えるわけでございます。
それでお聞きしたい質問でございますが、そうした二院制が持っております機能と、それから今の憲法上の権限につきまして、現行の機能及び権限が妥当、つまり引き続き維持すべきものかどうか、これにつきまして、まず御三方の御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →まず、本日は本当に誠に御多忙のところ、この日本国憲法に関する調査としまして、今回、国会の在り方と二院制につきまして貴重な御意見をいただきました隅野隆徳さん、また早川忠孝さん、また本田年子さん、御三方の公述人の皆さんにはまず御礼を申し上げます。
さて、公述人御三方に共通した御質問でございますが、御質問いたしたいと思います。
この二院制の問題、国会の在り方と二院制の問題につきましては、伝統のある民主主義国といいますか、かつ多数の人口を持っております国では一般的には二院制が取られているのが現状なわけでございます。もちろん、新興国等におきまして一院制の動きがあるというのは先ほど早川公述人も言われたわけでございますが、しかし、現時点で見ますと、伝統のある民主主義国、あるいは多数であって、かつ多数の人口を有する国では一般に二院制が取られているというのが現状だと思います。
それで、一般に二院制の場合の二院といいますか上院といいますか、の求められている機能といたしまして、一つは、多様な民意を反映させていくということ、もう一つは、慎重といいますか、抑制と均衡が求められるということ、慎重な審議、つまり抑制と均衡が求められるということ、三番目には、継続と安定性が求められているということ、四番目には、その裏返しとしまして長期展望を持った審議が行われるという機能が求められているということが一般的に言われております。
かつ、我が国の場合、憲法といたしましてこのことはどういうふうに規定されているかといいますと、まず一つは、衆議院と参議院の違いといたしまして、ともに憲法上、両議院は四十三条におきまして「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」というふうになっております。つまり、選挙された議員で、つまり選挙が前提にされているということでございます。それで、違いは何かといいますと、四十五条で、衆議院の任期は四年とする、ただし解散があるということでございます。解散があればその期間満了前に終了するということで、四年でかつ解散があるというのが衆議院でございます。他方、参議院の場合は、四十六条でもちまして、四年より長い六年ということで、三年ごとに半数を改選するということになっております。要するに、六年で解散がないということでございます。そのことが言わば、何といいますか、積極性、積極的な書き方になっているわけでございますが。
もう一つ、権限の面で、消極的な書き方にはなっておりますが、衆議院の優先と普通言われておりますけれども、法律の制定、これは憲法の五十九条でございます。五十九条によれば、御案内のように両院で可決したときに法律となるわけでございますが、再議で、違った場合には再議権があるわけでございます。その場合には、衆議院が可決した法案と異なった議決を参議院がした場合には衆議院の出席議員の三分の二の多数でもって可決するということ、法律の制定。また、六十条では予算でございます。衆議院の先議と、それからこれも、異なった場合には、衆議院の議決を国会の議決とするということになっております。また、六十一条、これは条約でございます。条約締結権につきましても同様に、予算と同じ扱いになっております。衆議院と異なった場合あるいは三十日以内に議決しないときには衆議院の議決が国会の議決になっているということでございます。
またもう一つ、六十七条の内閣総理大臣の指名でございます。これも、異なった場合には、あるいは十日以内に指名をしない場合には衆議院の議決を国会の議決とするということで、衆議院の優先という規定には、書き方にはなっておりますけれども、逆に言えば、先ほども言いました選挙の年数及び解散のあるなしと併せて読めば、正に冒頭申しました多様な民意の反映あるいは抑制と均衡、継続、安定、長期展望という点を規定しているのがこの権限ではないかと。
つまり、ダイナミックな動きに対しましては衆議院の審議が優先するわけでございますけれども、先ほど言いました抑制と均衡、あるいは継続、安定、長期展望というような観点から、長期の解散のない六年で、かつ基本的には法律の制定を両院で、両院での議決を要するということでもって権限を規定することによって担保しているというふうに考えるわけでございます。
それでお聞きしたい質問でございますが、そうした二院制が持っております機能と、それから今の憲法上の権限につきまして、現行の機能及び権限が妥当、つまり引き続き維持すべきものかどうか、これにつきまして、まず御三方の御意見をお伺いしたいと思います。
上
隅
隅野隆徳#11
○公述人(隅野隆徳君) 今の御指摘のように、日本国憲法は、衆議院と参議院について一定の共通性と違いというものを出しております。基本的には、私は、この日本国憲法の規定をなお基本にして運用していけばよろしいというふうに思っております。
今までは、どちらかというと、日本の社会が七〇年代後半ぐらいまでは比較的安定していたこともあって、衆議院と参議院が比較的同質で構成されていたということがありましたが、八〇年代以降、日本の社会が変動過程に入るということもあって、衆議院と参議院に一定の違いが選挙制度の問題を含めて現れてきたと。そこに、先ほど私が公述しましたところにも若干触れました、衆議院と参議院の相互関係をどうとらえるかということが問題になってきたかと思います。
その場合に、基本的には、四十三条で直接公選で両議院が構成されているということでありますが、国民は必ずしも一つの意見だけでない、あるいは一つの利益だけを国会議員に負託する、あるいは政党に負託するということではないと思うんです。かなり国民の利益あるいは国民の判断というものも多面的、多元的であるし、そして場合によっては流動的であると。それが、選挙制度がそれに対応していれば衆議院と参議院に別の側面で、別の角度で代表が現れると。それがまた、国として国民意思を形成する場合に、衆議院だけでなく、参議院を通じてでも国民のそういう多面性、多元性というものを反映して、総じて二つの院によって、議院によって国民意思、国民利益を統合し、形成していくということがふさわしいのではないかと思います。
現在は、ある意味では、五十九条の二項の問題を指摘しましたように、一定程度衆議院と参議院の対抗関係というのもありますが、基本はやはり国民に奉仕する国民の代表機関として、その国民意思、国民の利益をいかに統合し、形成していくかということで、相互に衆議院と参議院がチェック・アンド・バランスを取り、しかし、基本的にはやはり二つの組織を対等に置くわけにはいかずに、衆議院を優越させると、これは一般的に世界的に歴史的な方向ですから。そういうことで、そうであるとすれば、参議院はどのようにしてその国民の利益、意見を吸収し、反映させるかという、そこに努力を払われるのがよろしいのではないかと思っております。
以上です。
この発言だけを見る →今までは、どちらかというと、日本の社会が七〇年代後半ぐらいまでは比較的安定していたこともあって、衆議院と参議院が比較的同質で構成されていたということがありましたが、八〇年代以降、日本の社会が変動過程に入るということもあって、衆議院と参議院に一定の違いが選挙制度の問題を含めて現れてきたと。そこに、先ほど私が公述しましたところにも若干触れました、衆議院と参議院の相互関係をどうとらえるかということが問題になってきたかと思います。
その場合に、基本的には、四十三条で直接公選で両議院が構成されているということでありますが、国民は必ずしも一つの意見だけでない、あるいは一つの利益だけを国会議員に負託する、あるいは政党に負託するということではないと思うんです。かなり国民の利益あるいは国民の判断というものも多面的、多元的であるし、そして場合によっては流動的であると。それが、選挙制度がそれに対応していれば衆議院と参議院に別の側面で、別の角度で代表が現れると。それがまた、国として国民意思を形成する場合に、衆議院だけでなく、参議院を通じてでも国民のそういう多面性、多元性というものを反映して、総じて二つの院によって、議院によって国民意思、国民利益を統合し、形成していくということがふさわしいのではないかと思います。
現在は、ある意味では、五十九条の二項の問題を指摘しましたように、一定程度衆議院と参議院の対抗関係というのもありますが、基本はやはり国民に奉仕する国民の代表機関として、その国民意思、国民の利益をいかに統合し、形成していくかということで、相互に衆議院と参議院がチェック・アンド・バランスを取り、しかし、基本的にはやはり二つの組織を対等に置くわけにはいかずに、衆議院を優越させると、これは一般的に世界的に歴史的な方向ですから。そういうことで、そうであるとすれば、参議院はどのようにしてその国民の利益、意見を吸収し、反映させるかという、そこに努力を払われるのがよろしいのではないかと思っております。
以上です。
上
早
早川忠孝#13
○公述人(早川忠孝君) レジュメの方に書いておきました、第二院が政党化する場合には、国民はいずれ一院制を志向するだろうと。一九五〇年にニュージーランド、五三年デンマーク、七〇年スウェーデンが二院制から一院制に変わりました。
現在の二院制の問題は、ある意味で参議院が強過ぎる点に問題がある。国民の代表である、直接選挙で選ばれる衆議院と同じように、二院も、参議院も選挙によって選ばれるということになりますと、そのバランスが非常に難しくなる。
私は、衆議院の優越を認めるという意味では、現行憲法の考え方は正しいと思います。しかし、参議院については、例えば憲法改正というこれからの作業を考えてまいりますと、衆議院か参議院のいずれかで三分の一の議席さえ反対政党が確保すれば、たとえ国民の過半数が憲法改正が必要であるというふうに考えても憲法改正の手続を踏むことができないという、非常に改革のスピードが問われている現時点においては大きな問題を抱えていると思います。
さらに、オレンジ共済事件というのがございました。刑事事件で有罪となり、国民の大多数が速やかに参議院議員の職を辞してもらいたいというそういう要望があるにかかわらず六年間の議席を全うをしてしまうという、その制度的な問題が現在の憲法には内在をしております。国民の意思でもって、国会議員のそれぞれの職責の遂行についてチェックするようなシステムが何としても必要であろうと。そういう意味では、現在の国会議員の在り方についても考えなければならない。
そしてまた、これからは様々な意味での行政改革あるいは国会改革が必要とされていると思います。合理化であり、経費の節減であります。いかにして国民が納得するような議会システムを維持するかということを考えますと、衆議院のように、解散を控え常に国民の目を意識していなければならない衆議院、第一院と、それから継続、安定、慎重、抑制かつ重要な国家の基本問題について提言をしなければならないこの第二院、それぞれの議員に対する処遇の在り方、国会議員の秘書の処遇の在り方、すべて見直しが必要ではないかというふうに考えております。
そういう意味で、現在の国会制度そのものに対しての見直しを是非とも進めていかなければならないというふうに考えております。
以上です。
この発言だけを見る →現在の二院制の問題は、ある意味で参議院が強過ぎる点に問題がある。国民の代表である、直接選挙で選ばれる衆議院と同じように、二院も、参議院も選挙によって選ばれるということになりますと、そのバランスが非常に難しくなる。
私は、衆議院の優越を認めるという意味では、現行憲法の考え方は正しいと思います。しかし、参議院については、例えば憲法改正というこれからの作業を考えてまいりますと、衆議院か参議院のいずれかで三分の一の議席さえ反対政党が確保すれば、たとえ国民の過半数が憲法改正が必要であるというふうに考えても憲法改正の手続を踏むことができないという、非常に改革のスピードが問われている現時点においては大きな問題を抱えていると思います。
さらに、オレンジ共済事件というのがございました。刑事事件で有罪となり、国民の大多数が速やかに参議院議員の職を辞してもらいたいというそういう要望があるにかかわらず六年間の議席を全うをしてしまうという、その制度的な問題が現在の憲法には内在をしております。国民の意思でもって、国会議員のそれぞれの職責の遂行についてチェックするようなシステムが何としても必要であろうと。そういう意味では、現在の国会議員の在り方についても考えなければならない。
そしてまた、これからは様々な意味での行政改革あるいは国会改革が必要とされていると思います。合理化であり、経費の節減であります。いかにして国民が納得するような議会システムを維持するかということを考えますと、衆議院のように、解散を控え常に国民の目を意識していなければならない衆議院、第一院と、それから継続、安定、慎重、抑制かつ重要な国家の基本問題について提言をしなければならないこの第二院、それぞれの議員に対する処遇の在り方、国会議員の秘書の処遇の在り方、すべて見直しが必要ではないかというふうに考えております。
そういう意味で、現在の国会制度そのものに対しての見直しを是非とも進めていかなければならないというふうに考えております。
以上です。
上
本
本田年子#15
○公述人(本田年子君) 私は、現憲法を運用して二院制の持つ機能、役割をやっぱり果たすということは大切なことだと思っています。そして、むしろ現在、この機能が二院制として、二院制の機能が果たされていない現実が問題ではないかと思います。
特に、代表、有権者の代表として議員になられている方々と、それから一般私たち有権者との間の乖離というんですか、それが非常に有権者の無関心ということで表れているんですが、そうしたことの問題をもっと両方が突き詰めて考え、そして接近して、国民の方も二院制を育て上げるような雰囲気にしていかなきゃいけないとは思っていますし、それから議員の方々たちもやはり民意を反映してくださるような努力をしてほしいというふうに思っています。
難しいことは分かりませんので、そういう国民の気持ちを訴えまして、そして現状の、現憲法の範囲でみんなで努力していったらいいと思います。
この発言だけを見る →特に、代表、有権者の代表として議員になられている方々と、それから一般私たち有権者との間の乖離というんですか、それが非常に有権者の無関心ということで表れているんですが、そうしたことの問題をもっと両方が突き詰めて考え、そして接近して、国民の方も二院制を育て上げるような雰囲気にしていかなきゃいけないとは思っていますし、それから議員の方々たちもやはり民意を反映してくださるような努力をしてほしいというふうに思っています。
難しいことは分かりませんので、そういう国民の気持ちを訴えまして、そして現状の、現憲法の範囲でみんなで努力していったらいいと思います。
上
福
福島啓史郎#17
○福島啓史郎君 隅野公述人にお尋ねいたします。
先ほどの両院制の場合の機能なり権限なりというのは、これは、必ず機能、権限問題は組織なり選挙方法と密接に関連しているわけでございます。
それで、先ほども紹介ありましたように、イギリスの貴族世襲任命制、またアメリカの連邦制におきます直接選挙、それからドイツにおきます各州の首相なり閣僚を任命するという任命制、それからフランスの場合には地方議会議員によります間接選挙でございます。ただ、直接選挙を取っていない国はないわけではないわけでございまして、イタリアの場合には両院とも直接選挙を行っているわけでございます。
ただ、イタリアの場合、上院は被選挙権が四十歳以上、また選挙権は二十五歳以上ということで、下院の場合の被選挙権二十五歳以上、選挙権十八歳以上というふうに比較しますと、高齢者といいますか、要するに社会的に安定した層に言わば被選挙権を与え、また選挙権も下院よりも上げているということでございます。イタリアの場合、公選制による議員に加えまして、大統領による任命及び大統領経験者を任命するという職権上の議員ということで若干名があるわけでございます。
そうした、各国によって上院の選挙方法は違っているわけでございますが、我が国の場合、両方とも直接選挙ということになっているわけでございますが、それについて、各国と比較して、特にイタリアの直接選挙の仕組みと比較して我が国の直接選挙の仕組みにつきまして改善すべき点があるのかどうか、あるいはどういう点を改善すればよいのか、お考えをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →先ほどの両院制の場合の機能なり権限なりというのは、これは、必ず機能、権限問題は組織なり選挙方法と密接に関連しているわけでございます。
それで、先ほども紹介ありましたように、イギリスの貴族世襲任命制、またアメリカの連邦制におきます直接選挙、それからドイツにおきます各州の首相なり閣僚を任命するという任命制、それからフランスの場合には地方議会議員によります間接選挙でございます。ただ、直接選挙を取っていない国はないわけではないわけでございまして、イタリアの場合には両院とも直接選挙を行っているわけでございます。
ただ、イタリアの場合、上院は被選挙権が四十歳以上、また選挙権は二十五歳以上ということで、下院の場合の被選挙権二十五歳以上、選挙権十八歳以上というふうに比較しますと、高齢者といいますか、要するに社会的に安定した層に言わば被選挙権を与え、また選挙権も下院よりも上げているということでございます。イタリアの場合、公選制による議員に加えまして、大統領による任命及び大統領経験者を任命するという職権上の議員ということで若干名があるわけでございます。
そうした、各国によって上院の選挙方法は違っているわけでございますが、我が国の場合、両方とも直接選挙ということになっているわけでございますが、それについて、各国と比較して、特にイタリアの直接選挙の仕組みと比較して我が国の直接選挙の仕組みにつきまして改善すべき点があるのかどうか、あるいはどういう点を改善すればよいのか、お考えをお聞きしたいと思います。
隅
隅野隆徳#18
○公述人(隅野隆徳君) 上院の在り方については、各国の歴史なりあるいは社会的な、政治的条件によっていろいろと違っているかと思います。
その中で、私が今回公述をするに当たって若干調べた中に、一九九七年の五月に日本の参議院の議長の下で世界の上院議長会議が開かれたということを知りまして、大変参考になりました。しかも、共同声明を出して、一九九七年、平成九年の五月二十一日に採択されて、しかも、そこに参加した国はアルゼンチン、オーストラリア等々で、いずれも公選制、上院において公選制を取っている、その上院議長の会議で、しかも、日本の参議院の五十周年ということで、東京で開かれたということで意味があるように思います。
お尋ねのイタリアのこと自身について、私は十分研究していないものですから詳しいことは指摘できないところですが、確かに日本の戦後においても間接選挙あるいは複選制というような考え方があって、そこでは、やはり何よりも日本国憲法の四十三条の全国民を代表する選挙された議員で両議院が構成、組織するというこの規定との関連で問題になり、解釈論として、全国民を代表する選挙された議員ということの中に間接選挙が入るのかどうかということが議論されました。しかし、やはり全国民を代表する選挙された議員というのは国民の直接選挙によるということが学界でも圧倒的でしたし、また社会的にも、また国会でもそれが共通の認識になってそういう間接選挙というのは葬られていったというふうに思います。
その後も、先ほども若干触れましたように、日本の改憲論の中に若干それが登場することもありますが、しかしもはや主流にはなり得ていないんではないかと。やはり、国民が直接選挙して、国民の利益、国民の意思を代表に負託するということが歴史の方向としては目指すものであって、日本もその段階に来ている。それは何といっても、日本の明治憲法における貴族院のその経験、反省によっていると言うことができると思います。
確かにフランスなりイタリアなんかで大統領の指名、任命ということで一部の有識者を入れるということがあっても、どうしてもそれは政治的な観点が入ってくると。それならば、国民、主権者である国民自身の判断で、選挙によってそれを、代表者を出すということの方がより民主的であるということが、日本の歴史を通じて、また社会的にも判断されてきたことではないかと思います。
その点で、先ほども触れましたように、イギリスの貴族院が世襲貴族あるいは一代貴族という形でいろいろな、千名近くの構成がありますが、その中で、世襲貴族は登院停止、投票権停止、剥奪ということとなり、一代貴族が構成になっていますが、しかし、今、イギリスの社会で議論になっているのは、上院は直接選挙の方向に向かうべきだというのがいろいろ新聞等で議論されているところです。しかも、欧州連合というのが、御存じのようにヨーロッパの、最初は西欧諸国から、現在は東欧、中欧諸国を含めて進んでいるわけですが、これが経済面から出発したものの、現在では政治的な統合というところに進み、ヨーロッパ議会ができて、ここでは比例代表選挙ということが原則になっています。長くイギリスはそこで小選挙区制を取っていたんですが、方向としてはヨーロッパ諸国に倣って比例代表にしていくということに踏み出したというところが注目されます。
イタリアの問題について直接お答えできなくて大変失礼ですが、以上です。
この発言だけを見る →その中で、私が今回公述をするに当たって若干調べた中に、一九九七年の五月に日本の参議院の議長の下で世界の上院議長会議が開かれたということを知りまして、大変参考になりました。しかも、共同声明を出して、一九九七年、平成九年の五月二十一日に採択されて、しかも、そこに参加した国はアルゼンチン、オーストラリア等々で、いずれも公選制、上院において公選制を取っている、その上院議長の会議で、しかも、日本の参議院の五十周年ということで、東京で開かれたということで意味があるように思います。
お尋ねのイタリアのこと自身について、私は十分研究していないものですから詳しいことは指摘できないところですが、確かに日本の戦後においても間接選挙あるいは複選制というような考え方があって、そこでは、やはり何よりも日本国憲法の四十三条の全国民を代表する選挙された議員で両議院が構成、組織するというこの規定との関連で問題になり、解釈論として、全国民を代表する選挙された議員ということの中に間接選挙が入るのかどうかということが議論されました。しかし、やはり全国民を代表する選挙された議員というのは国民の直接選挙によるということが学界でも圧倒的でしたし、また社会的にも、また国会でもそれが共通の認識になってそういう間接選挙というのは葬られていったというふうに思います。
その後も、先ほども若干触れましたように、日本の改憲論の中に若干それが登場することもありますが、しかしもはや主流にはなり得ていないんではないかと。やはり、国民が直接選挙して、国民の利益、国民の意思を代表に負託するということが歴史の方向としては目指すものであって、日本もその段階に来ている。それは何といっても、日本の明治憲法における貴族院のその経験、反省によっていると言うことができると思います。
確かにフランスなりイタリアなんかで大統領の指名、任命ということで一部の有識者を入れるということがあっても、どうしてもそれは政治的な観点が入ってくると。それならば、国民、主権者である国民自身の判断で、選挙によってそれを、代表者を出すということの方がより民主的であるということが、日本の歴史を通じて、また社会的にも判断されてきたことではないかと思います。
その点で、先ほども触れましたように、イギリスの貴族院が世襲貴族あるいは一代貴族という形でいろいろな、千名近くの構成がありますが、その中で、世襲貴族は登院停止、投票権停止、剥奪ということとなり、一代貴族が構成になっていますが、しかし、今、イギリスの社会で議論になっているのは、上院は直接選挙の方向に向かうべきだというのがいろいろ新聞等で議論されているところです。しかも、欧州連合というのが、御存じのようにヨーロッパの、最初は西欧諸国から、現在は東欧、中欧諸国を含めて進んでいるわけですが、これが経済面から出発したものの、現在では政治的な統合というところに進み、ヨーロッパ議会ができて、ここでは比例代表選挙ということが原則になっています。長くイギリスはそこで小選挙区制を取っていたんですが、方向としてはヨーロッパ諸国に倣って比例代表にしていくということに踏み出したというところが注目されます。
イタリアの問題について直接お答えできなくて大変失礼ですが、以上です。
福
上
直
直嶋正行#21
○直嶋正行君 民主党の直嶋です。
今日、早朝から私どものために三人の公述人の皆様、わざわざ来ていただきまして、大変参考になるお話、ありがとうございました。まずお礼を申し上げたいと思います。
それから、実はこの憲法調査会で私、フリー討議のときに、是非、参議院の在り方について、憲法との関係をこの参議院の憲法調査会において議論をしていただきたいというお願いを以前に申し上げた経緯がございます。そういう意味で今日は、今日のこの公述人の皆さんの御意見も踏まえて、今後、参議院として是非建設的な議論をしていただければ有り難いと。これは、会長始め幹事の皆さんにお願いを申し上げておきたいと思います。
それで、まず最初に、お三方から大変有益なお話伺ったんですが、隅野先生と本田さんにまず最初にお伺いしたいんですが、隅野先生のお話の中では、参議院の衆議院に対する是正、補完というのを一体的に見るべきだと、こういうお話がございました。それで、そのときに定数のお話もあったんですが、現行の衆議院の小選挙区比例代表並立制というのを前提にした場合に、参議院における選挙制度としてどのような制度が望ましいとお考えなのか。お考え、お持ちでしたら是非お聞かせをいただきたい。
それから、本田さんも、大変これは私もお話を伺いまして共鳴をする、あるいは問題意識を共有する点多いんですが、国民の特に参画意識、政治に対する参画意識との関係で、これは選挙制度がすべてではないと思うんですが、具体的な選挙制度についてお考え、参議院の選挙制度ということでお考えお持ちでしたら、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →今日、早朝から私どものために三人の公述人の皆様、わざわざ来ていただきまして、大変参考になるお話、ありがとうございました。まずお礼を申し上げたいと思います。
それから、実はこの憲法調査会で私、フリー討議のときに、是非、参議院の在り方について、憲法との関係をこの参議院の憲法調査会において議論をしていただきたいというお願いを以前に申し上げた経緯がございます。そういう意味で今日は、今日のこの公述人の皆さんの御意見も踏まえて、今後、参議院として是非建設的な議論をしていただければ有り難いと。これは、会長始め幹事の皆さんにお願いを申し上げておきたいと思います。
それで、まず最初に、お三方から大変有益なお話伺ったんですが、隅野先生と本田さんにまず最初にお伺いしたいんですが、隅野先生のお話の中では、参議院の衆議院に対する是正、補完というのを一体的に見るべきだと、こういうお話がございました。それで、そのときに定数のお話もあったんですが、現行の衆議院の小選挙区比例代表並立制というのを前提にした場合に、参議院における選挙制度としてどのような制度が望ましいとお考えなのか。お考え、お持ちでしたら是非お聞かせをいただきたい。
それから、本田さんも、大変これは私もお話を伺いまして共鳴をする、あるいは問題意識を共有する点多いんですが、国民の特に参画意識、政治に対する参画意識との関係で、これは選挙制度がすべてではないと思うんですが、具体的な選挙制度についてお考え、参議院の選挙制度ということでお考えお持ちでしたら、お伺いしたいと思います。
隅
隅野隆徳#22
○公述人(隅野隆徳君) 私の公述では、参議院のあるべき、あるいは現在の選挙制度そのものについて直接の言及はそれほどできませんでした、時間の関係もありまして。参議院で国民の民意を公正に反映させる選挙制度の追求が望ましいということで終わっていました。
参議院のこれまでの経験というのは、全国区制、そして比例代表制の拘束名簿式、そして現在の比例代表制の非拘束式というこの三つがあると。もちろん、地方区及び選挙区はあります。特に参議院の特色として、この全国区若しくは比例選挙というところが、人数は五十名あるいはそれを若干オーバーという形で少ないものの、参議院の特色ということで当初から注目されていたと思います。若干そのことについて、簡単に述べさせていただきます。
全国区の場合にはいろいろ、当初緑風会から、緑風会が衰微して、そして職能代表的にあるいは労働組合代表というような側面が強くなり政党化されたという面と、しかしまた他方で、先ほどの御指摘もありましたように無所属で、あるいはタレント候補が出られる素地、地盤であったということも重要であると思います。
全国区の廃止の一つの根拠に、全国区ですとお金が掛かる、あるいは投票する選挙民は選択しにくいということが言われました。しかし、これは別の角度から見ると、お金が掛からなくて、しかも選択しやすい制度でもあったと言うことができます。つまり、規定の選挙費用でこの全国区から当選できた人もいるし、あるいは非常に少数勢力が全国区を通じて初めて代表を出せたということがあって、その点、学界でもなおその全国区の良さと、しかも相対的に比例代表にも共通するような、国民の意見、利益が多面的に代表できたというメリットがあったと思います。
その点で比例代表制の拘束名簿式、この点は一昨年に改正されたわけですが、比例代表制が国民の意思、利益の民主的な反映ということは一般的に言えます。それは現実に八三年から、一九八三年から実施されて、それなりにこの機能、役割を果たしてきたと思いますが、一つ重要な問題点は、これもよく指摘されますように、無所属候補が直接には立候補できない、あるいはいろいろな差別を受けるという点です。
もちろん、ミニ政党という形で、つまり十人の候補者を立てるということでそこをカバーはしているわけですが、しかし供託金が倍額されるとかいろいろな形で、あるいは政見放送が無所属の場合ですと限定されるというようなことで、相対的には、無所属あるいは政党に所属しない自由というのも日本国憲法の下では結社の自由の下でありますから、政党を、ミニ政党であれ無所属政党であれ、組織したくないという部分も、層もあるわけですから、そういう人たちにとっては、比例代表制が現在の非拘束式も含めて政党要件の形で無所属あるいは無党派の利益を限定しているというところが大きな問題点であると思います。これは、何も比例代表制で、拘束式であれ非拘束式であれ、無所属で個人立候補をするということが論理的に不可能であるというわけではないと思います。
ですから、もう少しそこを、日本の民主主義の発展からすれば、比例代表制の点で改善を図っていくということが重要かと思います。拘束式か非拘束式かというのは一つの重要な選択肢であると思います。それは、何といっても日本の政党の発展度ということと結び付くと思います。
つまり、ヨーロッパでも、ドイツ、フランスとイギリスでは政党のとらえ方が違っていて、ドイツ、フランスですと、やはり政党を単位として比較的拘束名簿式なんですが、しかしその代わりに政党が責任を持つから、それに対する法的規制というのが入ってきます。他方、イギリスの場合には、やはり個人が、政党であっても候補者個人を選択するということを好むものですから、個人主義が進んでいるものですから、そういう点でそれはまた政党の法的規制を好まないということと結び付くかと思います。
そんなことで、日本の政党の発展度をどういうふうに世界の中で位置付けるかというのはこれまた大問題ですが、拘束式から非拘束式にしたというのは一つの選択肢としてあり得ると思います。
それ以上にやはり問題は日本の選挙制度で、衆議院が小選挙区制であり、小選挙区制が基本になっておるし、そして参議院でも、選挙区選挙、元の地方区の場合には、これもどなたか指摘されていましたように、実質的にはかなりの部分が小選挙区的な役割をしている。三年ごとの選挙で、少数県、少数住民のところ、府県の場合には、やはり一人の代議員を選出するということになって、実質上、二十数県の場合に小選挙区的な役割をしている。
小選挙区というのは、もちろん政権の安定というところでは重要な役割をして、国際的にも……
この発言だけを見る →参議院のこれまでの経験というのは、全国区制、そして比例代表制の拘束名簿式、そして現在の比例代表制の非拘束式というこの三つがあると。もちろん、地方区及び選挙区はあります。特に参議院の特色として、この全国区若しくは比例選挙というところが、人数は五十名あるいはそれを若干オーバーという形で少ないものの、参議院の特色ということで当初から注目されていたと思います。若干そのことについて、簡単に述べさせていただきます。
全国区の場合にはいろいろ、当初緑風会から、緑風会が衰微して、そして職能代表的にあるいは労働組合代表というような側面が強くなり政党化されたという面と、しかしまた他方で、先ほどの御指摘もありましたように無所属で、あるいはタレント候補が出られる素地、地盤であったということも重要であると思います。
全国区の廃止の一つの根拠に、全国区ですとお金が掛かる、あるいは投票する選挙民は選択しにくいということが言われました。しかし、これは別の角度から見ると、お金が掛からなくて、しかも選択しやすい制度でもあったと言うことができます。つまり、規定の選挙費用でこの全国区から当選できた人もいるし、あるいは非常に少数勢力が全国区を通じて初めて代表を出せたということがあって、その点、学界でもなおその全国区の良さと、しかも相対的に比例代表にも共通するような、国民の意見、利益が多面的に代表できたというメリットがあったと思います。
その点で比例代表制の拘束名簿式、この点は一昨年に改正されたわけですが、比例代表制が国民の意思、利益の民主的な反映ということは一般的に言えます。それは現実に八三年から、一九八三年から実施されて、それなりにこの機能、役割を果たしてきたと思いますが、一つ重要な問題点は、これもよく指摘されますように、無所属候補が直接には立候補できない、あるいはいろいろな差別を受けるという点です。
もちろん、ミニ政党という形で、つまり十人の候補者を立てるということでそこをカバーはしているわけですが、しかし供託金が倍額されるとかいろいろな形で、あるいは政見放送が無所属の場合ですと限定されるというようなことで、相対的には、無所属あるいは政党に所属しない自由というのも日本国憲法の下では結社の自由の下でありますから、政党を、ミニ政党であれ無所属政党であれ、組織したくないという部分も、層もあるわけですから、そういう人たちにとっては、比例代表制が現在の非拘束式も含めて政党要件の形で無所属あるいは無党派の利益を限定しているというところが大きな問題点であると思います。これは、何も比例代表制で、拘束式であれ非拘束式であれ、無所属で個人立候補をするということが論理的に不可能であるというわけではないと思います。
ですから、もう少しそこを、日本の民主主義の発展からすれば、比例代表制の点で改善を図っていくということが重要かと思います。拘束式か非拘束式かというのは一つの重要な選択肢であると思います。それは、何といっても日本の政党の発展度ということと結び付くと思います。
つまり、ヨーロッパでも、ドイツ、フランスとイギリスでは政党のとらえ方が違っていて、ドイツ、フランスですと、やはり政党を単位として比較的拘束名簿式なんですが、しかしその代わりに政党が責任を持つから、それに対する法的規制というのが入ってきます。他方、イギリスの場合には、やはり個人が、政党であっても候補者個人を選択するということを好むものですから、個人主義が進んでいるものですから、そういう点でそれはまた政党の法的規制を好まないということと結び付くかと思います。
そんなことで、日本の政党の発展度をどういうふうに世界の中で位置付けるかというのはこれまた大問題ですが、拘束式から非拘束式にしたというのは一つの選択肢としてあり得ると思います。
それ以上にやはり問題は日本の選挙制度で、衆議院が小選挙区制であり、小選挙区制が基本になっておるし、そして参議院でも、選挙区選挙、元の地方区の場合には、これもどなたか指摘されていましたように、実質的にはかなりの部分が小選挙区的な役割をしている。三年ごとの選挙で、少数県、少数住民のところ、府県の場合には、やはり一人の代議員を選出するということになって、実質上、二十数県の場合に小選挙区的な役割をしている。
小選挙区というのは、もちろん政権の安定というところでは重要な役割をして、国際的にも……
直
隅
隅野隆徳#24
○公述人(隅野隆徳君) はい、分かりました。失礼しました。
そんなことで、小選挙区制は、やはり民意の反映かあるいは政権の安定かという点では、政権の安定というところでは、しかも死票が多いということで限定があります。参議院の場合には、やはり選挙区選挙をもう少し、府県のグループなりブロックなりを構成して、もう少し民意の、少数意見の反映ができるような、そういう選挙区選挙ということも考えられるのではないかと思っております。
失礼しました。
この発言だけを見る →そんなことで、小選挙区制は、やはり民意の反映かあるいは政権の安定かという点では、政権の安定というところでは、しかも死票が多いということで限定があります。参議院の場合には、やはり選挙区選挙をもう少し、府県のグループなりブロックなりを構成して、もう少し民意の、少数意見の反映ができるような、そういう選挙区選挙ということも考えられるのではないかと思っております。
失礼しました。
上
上杉光弘#25
○会長(上杉光弘君) 委員長からも申し上げたいと思いますが、それぞれ各委員は持ち時間がございまして、その中で議論をしようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →本
本田年子#26
○公述人(本田年子君) 私も、具体的にこういう制度にした方がいいというはっきりしたことは言えませんが、参議院のまず大きな問題は、有権者の意思が、多様な意思が反映しないという点で比例区が問題だと思うんです。やっぱり政党選挙、日本の選挙の場合は、地域、選挙区代表あるいは政党代表というような選挙、その色が濃いと思うんです。
それで、現在、インターネットなども発達しまして、いろんな問題を全国で取り組んでいる人たちがたくさんいまして、そして、そういう人たちが政党を支持していないというか、どの政党も支持していない人たちもたくさんいます。そういう人たちが自分たちの代表を送り出したいというときにできない比例制度には反対し、全国区制のころの方がよかったのではないかなというような気はいたします。
それから、配分方法なんですけれども、単純に比例で、単純な比例で配分していきますと、大政党の配分される数が減って配分されない政党にまで行くという状態に、計算するとなりますので、今のドント式はどうかと思っています。
それから、定数の問題ですけれども、定数も非常に不均衡な状態が、選挙制度にもかかわってくると思いますし、それから先ほど申し上げましたように有権者の参政権の権利というんですか、それが平等ではないという点から、やはり定数の是正、これは偶数配分になっているというところにも問題があると思います。偶数配分は別に憲法で決まっているわけではありませんので、こういうところにも改善できるんではないかと私は思います。
それから、選挙運動に関しても政党には割と有利で、無所属の議員には認められていない選挙運動というのもありますので、そういう点も考えていただきたいと、そういうふうに思っています。
以上です。
この発言だけを見る →それで、現在、インターネットなども発達しまして、いろんな問題を全国で取り組んでいる人たちがたくさんいまして、そして、そういう人たちが政党を支持していないというか、どの政党も支持していない人たちもたくさんいます。そういう人たちが自分たちの代表を送り出したいというときにできない比例制度には反対し、全国区制のころの方がよかったのではないかなというような気はいたします。
それから、配分方法なんですけれども、単純に比例で、単純な比例で配分していきますと、大政党の配分される数が減って配分されない政党にまで行くという状態に、計算するとなりますので、今のドント式はどうかと思っています。
それから、定数の問題ですけれども、定数も非常に不均衡な状態が、選挙制度にもかかわってくると思いますし、それから先ほど申し上げましたように有権者の参政権の権利というんですか、それが平等ではないという点から、やはり定数の是正、これは偶数配分になっているというところにも問題があると思います。偶数配分は別に憲法で決まっているわけではありませんので、こういうところにも改善できるんではないかと私は思います。
それから、選挙運動に関しても政党には割と有利で、無所属の議員には認められていない選挙運動というのもありますので、そういう点も考えていただきたいと、そういうふうに思っています。
以上です。
直
直嶋正行#27
○直嶋正行君 続きまして、早川公述人にお尋ねしたいんですが、なかなか面白い提言といいますか、いろいろいただいておりまして、ありがとうございます。
それで、ただ、例えば早川さんのこのレジュメと先ほどのお話お聞きしたあれで申し上げますと、例えば参議院を衆議院の暴走を防ぐための監視機構にする、あるいは憲法裁判所にすると、こういうような御提言いただいているんですが、もうちょっとこれを踏み込んで御見解をお伺いしたいのは、そういういろんな機能を参議院に持たせたときの立法機関としての参議院の、例えば審議の仕方とか在り方とか、こういうことに関してはどうなんでしょう。何か御見解お持ちでしたらお聞きしたいと思うんですが。
この発言だけを見る →それで、ただ、例えば早川さんのこのレジュメと先ほどのお話お聞きしたあれで申し上げますと、例えば参議院を衆議院の暴走を防ぐための監視機構にする、あるいは憲法裁判所にすると、こういうような御提言いただいているんですが、もうちょっとこれを踏み込んで御見解をお伺いしたいのは、そういういろんな機能を参議院に持たせたときの立法機関としての参議院の、例えば審議の仕方とか在り方とか、こういうことに関してはどうなんでしょう。何か御見解お持ちでしたらお聞きしたいと思うんですが。
早
早川忠孝#28
○公述人(早川忠孝君) 参議院については、やはり慎重に、継続的に、安定的に審議するという大きな役割があると思います。
しかし、衆議院が解散で民意を常に国政の場に反映するという役割を持っている点からすると、どちらかというと法案審議あるいは予算、条約の審議等については、当然衆議院を優越させなければ、これは全く平等の権限を参議院に与えてしまえばほとんど意味がなくなる。
かつて貴族院と衆議院、帝国議会ではそういう構成でありましたけれども、貴族院と衆議院が全く同一の権限を行使したというがために、衆議院で議決した法案が二度貴族院で否決されるというような経験があって、貴族院を廃止したいとか貴族院を変えたいというそういうことがかつて日本の古い歴史の中であったわけであります。そういう点から考えますと、これからの参議院というのは、やはりその専門性を生かすべきであるというふうに考えております。
さて、そこで職能代表制のことで、実はイタリアでどうだという話があって、日本国で職能代表制を採用するかどうかということで議論があったときに、イタリアの場合にはかなり職能的な基盤が出てきていると。しかしながら、日本の場合にはそういう素地がないということから、日本の場合に二院制でそういった職能代表的な機能を果たすことは不可能ではないかという議論がかつてあったわけであります。これは私のレジュメの中にも入っております。
そういうことから、全く新しいスタイルの参議院制度を考えなければならないということになったわけでありますけれども、しかし、国会の審議の中では残念ながらどういうふうに参議院をするかについては提案ができなかったということであります。現在まで試行錯誤してきたというのが参議院の現状ではないかと思います。
そういう意味では、参議院の議長の様々な審議会、私的諮問機関等の提言というのは非常に方向性を示す有力な案であろうかと思っております。私の一つの案は、これからの参議院あるいは国会の在り方を考えていただくための一つの検討材料、これまでだれも議論をしてこなかったことについて新たな石を投げてみたということでございます。
この発言だけを見る →しかし、衆議院が解散で民意を常に国政の場に反映するという役割を持っている点からすると、どちらかというと法案審議あるいは予算、条約の審議等については、当然衆議院を優越させなければ、これは全く平等の権限を参議院に与えてしまえばほとんど意味がなくなる。
かつて貴族院と衆議院、帝国議会ではそういう構成でありましたけれども、貴族院と衆議院が全く同一の権限を行使したというがために、衆議院で議決した法案が二度貴族院で否決されるというような経験があって、貴族院を廃止したいとか貴族院を変えたいというそういうことがかつて日本の古い歴史の中であったわけであります。そういう点から考えますと、これからの参議院というのは、やはりその専門性を生かすべきであるというふうに考えております。
さて、そこで職能代表制のことで、実はイタリアでどうだという話があって、日本国で職能代表制を採用するかどうかということで議論があったときに、イタリアの場合にはかなり職能的な基盤が出てきていると。しかしながら、日本の場合にはそういう素地がないということから、日本の場合に二院制でそういった職能代表的な機能を果たすことは不可能ではないかという議論がかつてあったわけであります。これは私のレジュメの中にも入っております。
そういうことから、全く新しいスタイルの参議院制度を考えなければならないということになったわけでありますけれども、しかし、国会の審議の中では残念ながらどういうふうに参議院をするかについては提案ができなかったということであります。現在まで試行錯誤してきたというのが参議院の現状ではないかと思います。
そういう意味では、参議院の議長の様々な審議会、私的諮問機関等の提言というのは非常に方向性を示す有力な案であろうかと思っております。私の一つの案は、これからの参議院あるいは国会の在り方を考えていただくための一つの検討材料、これまでだれも議論をしてこなかったことについて新たな石を投げてみたということでございます。
直
直嶋正行#29
○直嶋正行君 あと一つ、隅野先生にお伺いしたいんですが、大体この参議院の役割等について議論をしますと、先ほどのお三方の公述人の中にも、お話にもありましたが、例えば参議院は大臣の指名を受けない、あるいは首班指名は行わない、それと並んで、必ず出てくるもう一つが、政党に属さない個人中心のハウスにするというお話、ことが多いんですが、先ほどたしか隅野先生お話しの中で、現実にそれはなかなか難しいことなんだと、政党に属さずにやる、あるいは政党政治の枠から離れるというのはなかなか現実に難しいというような御趣旨のお話をされたと思うんですが、この辺、ちょっと一般的な議論と少し御見解が違うようなんで、もう少しお話を伺わさせていただければと思いますが。
この発言だけを見る →