松谷満子の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(松谷満子君) 松谷でございます。
こうした意見陳述の機会を与えていただいたことに対して、心から感謝申し上げます。
私ども財団法人日本食生活協会は、昭和三十一年から食生活の改善を始めとする健康づくり活動を進めている団体でございます。活動を一緒に担っているのは食生活改善推進員、愛称、最近はヘルスメートと呼んでおりますけれども、ボランティアの方々であり、全国で二千七百八十八市町村で約二十二万人の推進員が食生活を中心とした健康づくり活動を日々取り組んでいるものでございます。ちなみに、食生活改善推進員とは、昭和四十五年に全国組織を作りました際に、私どもは、食生活改善や生活習慣の改善を進める人という形で私どもの活動の目標をその名称にしたわけでございます。
食生活改善推進員は実践者であって旗振り役ではございません。生活習慣が生み出す無自覚な沈黙の病気を減らすこと、健康の向上を通じてより心豊かな生活の実現を目指して、三十余年にわたって地区組織活動を進めております。
この活動の特徴は、上から下へ何かを教えるということではなくて、「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに、推進員として食生活や健康づくりについて学んだことを自分の家庭で実践をして、さらにはその知恵をお向かいさん、お隣さん、そして友人、知人、そして地域の人々へ、小さな単位の活動を原点に、同じ目線の高さで実践につなげる学習活動、あるいは調理の実習、コンクールの開催、そして郷土料理の掘り起こし・展示、親子料理教室、また男性・高齢者の自立に向けた料理教室、そして在宅介護食に関する講習会や独り暮らしの高齢者に対する給食サービスなど、地域で活動を進めております。
その活動の実績は、一年間、一人一人の推進員が活動記録を付けているわけですけれども、大体四百八十万回、二千六百万人を対象に私どもの活動は地域ごとに展開しているわけでございます。
最近では、平成十二年から健康日本21がスタートしたのを受けて、私たちはヘルスサポーター21事業を推進しているところでございます。ヘルスサポーターの育成は、健康日本21の趣旨に賛同して、自分の生活習慣を一つでも改善するという意欲を持つ者に対して、ヘルスメートが中心になって十時間程度の学習を行い、自分の健康のレベルや生活のスタイルに応じて自ら指標を設定して、その指標を達成するための方法を身に付けてもらいます。ヘルスメートは女性を中心に結成されたものですけれども、ヘルスサポーターは男女の区別なく、しかも生活習慣がある程度固まる中学生以上を対象にだれでも参加できるようにして、毎日の健康づくりを実践するヘルスサポーターの輪を広げていく事業でございます。
健康日本21で取り上げている九分野全体、健康づくり全般にわたる事業として推進しております。食生活改善推進員一人が三人から五人のヘルスサポーターを育てて、全国で三年間に百万人の仲間づくりを目標にしています。私たちはこのヘルスサポーターを健康日本21の起爆剤にしたいと考えております。
そして、健康増進法案に対する私たちの考え方なんですけれども、改めて申し上げるまでもなく、高齢化が進む中で、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病対策が急務となっております。したがって、これからは疾病の早期発見、早期治療に加えて、一人一人が食生活や運動、休養、喫煙、飲酒、歯科保健など、日々の生活習慣を見直し、病気にならないように健康づくりを進めることが重要になっております。
従来は、健康づくりといえば保健や医療分野の専門家の方たちによる活動でございましたが、これからは健康づくりは自分自身の健康観に基づいて日々それぞれ実践していくものであること、そして健康づくりを通じて、より豊かな生活が実現できることを男性女性を問わず、あらゆる年齢層に草の根的に広げていかなければならないと考えております。
ところが、これまで健康づくりは大切だと言われながら、健康日本21の根拠は、旧厚生省の通知だけしかございませんでした。私たちボランティアが少しでも広い層に健康づくりの大切さを訴えようとしても、そのよりどころになるものがはっきりしていないのが現状でございます。
今回の健康増進法案は、健康づくりに初めて正面から法的な基盤、根拠を与える法律でございます。国権の最高機関である国会において、健康づくりは国を挙げてその支援に取り組むべき重要課題であるということを法律という形で明確にしていただければ、より多くの方々に健康づくりの大切さが分かってもらえるものと思います。是非とも早期の成立をお願いいたしたく存じます。
また、健康増進法は、健康づくりの関係者相互の連携や協力の重要性も位置付けになるなど、行政だけでなく私たちのような民間のボランティア団体についても健康づくり運動の担い手として位置付け、社会全体で個人の健康づくりを支援していくという理念に基づいております。こうした法律のできることによって、私たちも住民としての役割というものを自覚し、もっとやらなくてはならないなという気持ちが起こってくるし、また市町村と役割分担して、仲良く協力し合いながら一層自信を持って活動できるものと期待しております。
健康づくりにおいては身近な市町村の果たす役割は大きいのですが、全国で活動する推進員の声を聞いてみますと、各市町村の力の入れ方は地域によって大きな差がございます。その原因としては、これまでの経緯とか住民の考え方とか、地域固有の事情もいろいろあって、健康日本21に法的な根拠がない、だから首長さんを始め市町村の中でも健康づくりに対する理解が得にくい、そのために進まないというところがあるのではないかと思います。
今回、健康増進法が成立し、市町村の健康増進計画などにもきちんとした法的根拠ができれば、こうした状況も大きく変わると期待しております。
また、市町村の計画策定が単なるお役所の机上の計画では、地域の健康づくり運動は盛り上がりません。計画策定に当たっては、住民の参加を得て進めるよう、各自治体に国の方からも呼び掛けてほしい。私たちも計画策定作業には積極的にかかわっていきたいと考えております。
健康づくりは生活の様々な場面にかかわる大変大きな課題であり、省庁の枠にとらわれていては実効ある活動を推進することは難しい。私どもの団体も、平成十三年から始まった健康日本21推進全国連絡協議会に参加して、様々な分野の団体と情報を交換している中でいろいろとヒントをいただき、例えばウオーキング協会と共同でセミナーを開くなど新しい活動に取り組むきっかけとなっております。
したがって、健康づくりを進めていく上で、省庁ごとの所管事務の壁をどのように乗り越えていくかという点は一つのかぎになるのではないでしょうか。一例を挙げると、子供の肥満が増えているとか、家族で食卓を囲むことが少なく、子供だけで食事をするいわゆる孤食の問題が顕在化しているなど、子供の食をめぐっての様々な指摘がございます。
これに関連して、一昨年公表された新しい食生活指針は、当時の厚生、文部、農林の三省が、厚生省は健康の視点から、農水省は食料需給や食品の廃棄物の点から、そして文部省は食生活を通じた教育や文化という点からそれぞれがかかわって策定され、閣議決定されました。この結果、地域の活動は非常にやりやすくなりました。
今回の健康増進法には、厚生労働大臣が関係行政機関の長と協議して健康づくりに関する基本方針を策定するとの規定が盛り込まれており、こうした省庁間の連携をより大きな枠組みで総合的に行おうとするものと理解いたしております。基本方針という形で省庁間の連携の枠組みができれば、私たちの活動においても、横の連絡、連携を一層強化していくための良い契機になると期待しているところでございます。
率直に申し上げれば、今回の健康増進法の制定に伴って栄養改善法が廃止され、栄養という名前が法律から消えることへの寂しさが、当初、わずかながらあったことは事実でございます。しかし、栄養改善法は、食料事情が悪く、栄養の欠乏が最大の課題であった昭和二十年代に制定された法律である。制定以来半世紀を経た今日、豊かな時代の中で独り栄養改善の分野だけの法律を護持することはなく、運動、休養・睡眠あるいは飲酒、喫煙、歯の健康などの生活習慣全般に関して健康づくりを支援する法律へと脱皮しなければならないのは時代の要請であり、当然のことかもしれません。
以上、いろいろと意見を述べさせていただきましたが、もちろん法律ができただけで国民の健康増進が実現するものではございません。国民一人一人の自覚と取組、そしてそれを支援する国、地方公共団体、保険者、医療機関、また私ども民間の団体などの連携協力という実際の活動が伴わなければ、絵にかいたもちに終わります。
先生方には、是非とも、まずは健康増進法という法的な土台の早期成立に御尽力をお願い申し上げますとともに、その土台の上に国民の健康という花を咲かせていくことができるよう、健康づくりの分野への更なる理解、御支援をお願い申し上げ、陳述を終わらせていただきます。
これ、一応終わりましたけれども、先生方、皆様方のところに私はお配りしております、適正体重を測るこの物差しをお配りいたしました。
ヘルスサポーターは、学習して、自分の生活の実感の中から私は何をするかという目標を立てて行動するわけですけれども、御承知のように、今は肥満というものが糖尿病を始めとするすべての生活習慣病の根源のところにございます。ヘルスサポーターは、自分の問題として、自分の実践するものを何から始めていくかということをちゃんと認識して、決意して実践をするわけですけれども、自分の実践の間を通して、地域の方々の会話、あるいは職場においてもこういう問題を話し掛けていくということも、私は広がりを持たせるためには非常に大事じゃないか。
そこで、ヘルスサポーターの教育のときにはこれを全員にお配りいたしております。そして、機会あるごとに適正体重、あなたの適正体重は幾らかというような形を話ししながら健康づくりの問題を話題にしていただきたい。私たちは、BMIという、今、これは身長掛ける、メーターなんですけれども、掛ける身長掛けるの二十二というのが一番生活習慣病にかかりにくいと言われている適正体重なんですけれども、それを、BMIを社会常識に持っていきたいという思いでこれを全部に配っているところでございます。
今日はこれも添えまして、私の陳述に代えさせていただきました。
ありがとうございます。