宮田律の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(宮田律君) 悪の枢軸、枢軸という表現自体、何かアナクロ的なものを感じてしまいますけれども、なぜイランをこの時期含めたかということですが、確かに、九・一一以降、イランは、例えばアフガニスタンとの国境を閉ざしてイスラム過激派の流入を防ぐ、あるいは米軍機の緊急着陸を認める、応ずるというようなことを言って、結構アメリカとイラン、一時期良好な関係にあのテロ以降あったとは思うんですけれども、最近のやはり中東情勢の混迷というものを背景にしてアメリカはやはりイランに対して厳しい姿勢を取りつつあるのかなという感じもします。
 それは、今パレスチナでは、御存じのとおり、イスラム過激派あるいはパレスチナのPLOの過激派の自爆テロ、それに対するイスラエルの軍事報復という悪循環を繰り返していて、どうもブレークスルーが見えないような状態になっているわけですよね。シャロン政権、これは徹底的にパレスチナ人たちを軍事的に封じ込めて、パレスチナ人たちに自分たちの言いなりにさせようという、そういう意図だと思うんですけれども。そういうパレスチナの混迷も背景にして、イスラエルあるいはアメリカのユダヤ・ロビーがイスラエルにとっての脅威を強調するようになった。
 そのイスラエルにとっての脅威、これはもちろん自爆テロもあるんでしょうけれども、イランあるいはイラクといういわゆるローグステーツ、ならず者国家というのがどうもイスラエルの脅威になっている。
 これはイランについては、先ほども言いましたけれども、イスラエル国家の解体を唱えたり、あるいはレバノン南部で対イスラエルの軍事行動をするヒズボラに対して経済的な支援、あるいは軍事的な支援も多分与えているとは思うんですけれども、をやっているということですよね。それから、これも先ほど言いましたけれども、イランの核エネルギー開発というのがイランのイスラエル国家の解体という訴えとともにイスラエルの脅威になっているという気がしております。
 従来、イランとハマスとの関係って僕は余りなかったと思うんですね、それほど強い結び付きはなかったと思うんですけれども。これはイスラムの宗派が違います。イランはさっきも言ったとおり、これはシーア派の国家で、ハマスはこれはスンニ派ですよね。従来、ハマスはムスリム同胞団、例えばエジプト辺りのムスリム同胞団とか、元々ハマスという組織自体がパレスチナのムスリム同胞団から出発したわけですけれども、それから、湾岸諸国との結び付き、特にサウジアラビア、クウェート辺りとの結び付きは強かったわけですけれども、イランとの関係というのはそんなになかったと思うんですね。
 ただ、イランという国、これはいろんな傾向を持った人がおりますので、イラン政府がすべてコントロールすることはできない。それで、その中に、もしかして突出してパレスチナに武器を送った人たちもいたかもしれないということですね。政府としてハタミ大統領の意向の下に武器を送ったということは決して私はないというふうに思っております。
 そういった、そうしたイランに脅威を感ずるアメリカのユダヤ・ロビー、やはり議会や政府に働き掛けてイランに対して、そうした中東和平の混迷を背景に急速にイランに対する厳格な措置を考えるようになったのかなという感じもしますけれども。
 それと、ユダヤ・ロビーだけではなくて、最近のニュースを見ておりますと、どうも気になるのがアメリカの軍事費の増額問題と悪の枢軸という問題がやっぱりリンクするんじゃないかという気がしております。
 二〇〇三年度の予算でアメリカは大幅に軍事予算を増やしたわけですけれども、やっぱり軍産複合体の意向を酌み取って、ブッシュ政権が悪の枢軸問題を持ち出したんじゃないかなという気がしています。やはりその軍産複合体、軍部や軍需産業にとっては、脅威というのが常にやっぱり必要だと思うんですよね。そのためには脅威というのは複数あった方がいい。もちろん、一番アメリカのやりたいのはイラクなんでしょうけれども、それよりもイランあるいは北朝鮮辺りを含めた方がちょっと脅威のイメージが膨らむかなという、そんな印象もしていますけれどもね。
 それから、トルコでナショナリズムが台頭している、そうですね、確かにEUに入れないということがあって、トルコではナショナリズムが台頭していると思います。
 これは、ヨーロッパへ行ってトルコのEU加盟についていろんな識者にインタビューしますと、やはりトルコ人の移民が、女性がスカーフを付けたりあるいはコートを着たりする、ああいう光景を見ると、どうもトルコという国はヨーロッパの仲間に入ってほしくないという思いがヨーロッパの側では強くなるらしいですね。それと、やはり労働者の問題もあります。さらには、ギリシャとのエーゲ海の領有問題などでも論争があって、なかなかEU諸国はトルコのEU加盟に前向きにならないということですよね。
 そこでもってトルコでは、ヨーロッパに、ヨーロッパの仲間に入れないというジレンマから、イスラムが台頭したり、あるいはナショナリズムというものが台頭しているというふうに思います。その結果、トルコ外交の重点も中央アジアやコーカサスの方に向かっているのかなという気もしております。
 特にイスラム神秘主義教団、ヌルジュとか、あるいはヌルジュの中のフェトフッラー・ギュレンというグループがあるんですけれども、イスラム神秘主義のイデオロギーを中央アジアあるいはコーカサスに持ち込んで、そこでもってイスラムの寺院であるモスクなどを積極的に造る。それにトルコの非常に民族主義的な傾向が強い企業がくっ付いていって、そこを足場に経済活動を展開するというようなことをやっております。
 ヨーロッパに入れないジレンマから、トルコはアメリカに対して、より積極的に協力をしていくんじゃないかなという気がしています。ですから、アフガニスタン、あるいは今度の、これから起こるであろうイラクの問題についても、アメリカの軍事行動に関して、トルコが基地を提供するなど積極的に協力していくだろうという気がしております。それから、イスラエルとの軍事協力も、アメリカとの協力という一環もあってイスラエルとの軍事協力も前向きに図っていくという、そういう気がしております。トルコとイスラエル、これは九〇年代の後半になってから軍事訓練、共同の軍事訓練などを行ったりしておりますので、そういう協力関係が、アメリカ、それとイスラエル、それからトルコとの協力関係が進んでいくんじゃないかなという気がしていますけれども。

発言情報

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発言者: 宮田律

speaker_id: 25035

日付: 2002-02-20

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会