国際問題に関する調査会
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会
会議録情報#0
平成十四年二月二十日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 関谷 勝嗣君
理 事
世耕 弘成君
山崎 力君
山本 一太君
藁科 滿治君
沢 たまき君
緒方 靖夫君
田村 秀昭君
委 員
小林 温君
桜井 新君
西銘順志郎君
野上浩太郎君
森元 恒雄君
吉田 博美君
今井 澄君
小川 勝也君
木俣 佳丈君
山根 隆治君
若林 秀樹君
高野 博師君
井上 哲士君
大田 昌秀君
事務局側
第一特別調査室
長 鴫谷 潤君
参考人
静岡県立大学国
際関係学部助教
授 宮田 律君
財団法人国際開
発センターエネ
ルギー・環境室
長 畑中 美樹君
─────────────
本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
(「新しい共存の時代における日本の役割」の
うち、イスラム世界と日本の対応(イスラム諸
国と国際資源問題)について)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時開会
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出席者は左のとおり。
会 長 関谷 勝嗣君
理 事
世耕 弘成君
山崎 力君
山本 一太君
藁科 滿治君
沢 たまき君
緒方 靖夫君
田村 秀昭君
委 員
小林 温君
桜井 新君
西銘順志郎君
野上浩太郎君
森元 恒雄君
吉田 博美君
今井 澄君
小川 勝也君
木俣 佳丈君
山根 隆治君
若林 秀樹君
高野 博師君
井上 哲士君
大田 昌秀君
事務局側
第一特別調査室
長 鴫谷 潤君
参考人
静岡県立大学国
際関係学部助教
授 宮田 律君
財団法人国際開
発センターエネ
ルギー・環境室
長 畑中 美樹君
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本日の会議に付した案件
○国際問題に関する調査
(「新しい共存の時代における日本の役割」の
うち、イスラム世界と日本の対応(イスラム諸
国と国際資源問題)について)
─────────────
関
関谷勝嗣#1
○会長(関谷勝嗣君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
国際問題に関する調査を議題といたします。
本日は、本調査会の調査テーマである「新しい共存の時代における日本の役割」のうち、イスラム世界と日本の対応に関し、イスラム諸国と国際資源問題について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、静岡県立大学国際関係学部助教授宮田律参考人及び財団法人国際開発センターエネルギー・環境室長畑中美樹参考人に御出席をいただいております。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本調査会では、イスラム世界と日本の対応について重点的かつ多角的な調査を進めており、本日はイスラム諸国と国際資源問題について参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
本日の議事の進め方でございますが、まず宮田参考人、畑中参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いを申し上げます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、早速宮田参考人から御意見をお述べいただきます。宮田参考人。
この発言だけを見る →国際問題に関する調査を議題といたします。
本日は、本調査会の調査テーマである「新しい共存の時代における日本の役割」のうち、イスラム世界と日本の対応に関し、イスラム諸国と国際資源問題について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、静岡県立大学国際関係学部助教授宮田律参考人及び財団法人国際開発センターエネルギー・環境室長畑中美樹参考人に御出席をいただいております。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本調査会では、イスラム世界と日本の対応について重点的かつ多角的な調査を進めており、本日はイスラム諸国と国際資源問題について参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
本日の議事の進め方でございますが、まず宮田参考人、畑中参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いを申し上げます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、早速宮田参考人から御意見をお述べいただきます。宮田参考人。
宮
宮田律#2
○参考人(宮田律君) 今日は、イスラム諸国と国際資源問題ということで、イランそれからトルコ、それからこれはイスラムの国ではありませんけれどもイスラエルの、中央アジアあるいはコーカサス辺りの関与、そして最後に、全体としてこれからユーラシア情勢がどういうふうに推移していくかということを考えてみたいというふうに思っております。
最初に、イランの対カスピ海戦略ということですけれども、イランという国、これは一九七九年にイラン革命でイスラム共和国になった国です。イスラムに統治の正統性を求めているということですね。国内外にイスラムの政治を強く訴えているわけでありますけれども、ただ、中央アジアあるいはコーカサス諸国の場合はそれほどイスラムの復興が顕著ではない。むしろイランと中央アジア、コーカサス諸国の場合は、そうした宗教イデオロギーではなくて経済中心の実利外交を追求しているということです。
カスピ海沿岸諸国、これらの国々は鈍いイスラムの復興である。というのは、ソ連の支配、七十年間続きまして、九〇年代にイスラムの復興というものが、徐々にではありますけれども、しかし、そのスピードというのはそれほど速くはないということですね。どこも国の建前とすれば世俗的な性格の国が多いわけであります。その結果、イランのイスラム政治には余り関心がないということになります。そして、例えばウズベキスタンとかあるいはタジキスタンといった国々では、国内にイスラム過激派の活動を抱えておりますので、政治にそのイスラムの正統性を求めていくとそうしたイスラム勢力が活気付くということもありますので、なるべく世俗的な性格を政治には求めているというわけであります。
イランという国、これは周辺地域の安定を重視します。イランという国は、遠隔な国や地域については結構物騒なことを言います。例えばイスラエルの抹殺を唱えたり、あるいはボスニア紛争においてムスリムを支援するようなことを言ったりしますけれども、周辺諸国についてはイランの安全保障を考えて極めて現実的な外交を追求している。過激な傾向というのは周辺諸国の外交については余り見られないというわけです。
イランという国、これはタジキスタン、これ一九九七年六月にタジキスタンでは和平協定が成立して、九〇年から三年間続いていた紛争ですけれども、その紛争の調停を行ったりしております。
イラン、これはロシア、アルメニア、トルクメニスタンとの協調関係を考えている。
ロシアについては後でお話ししますけれども、アルメニアについては、やはり地理的に接しておりますので、経済関係を強化しているということですね。石油パイプラインも両国には通って、両国はパイプラインで結ばれております。イラン国内にはアルメニア人が居住しておりまして、イラン経済に大きな影響力を及ぼしているわけですね。ですから、イランとしてもそうした国内アルメニア人の動静を無視することができなくて、アルメニアとの協力関係を結んでおります。
そして、対するアルメニアですけれども、これはアゼルバイジャンとはナゴルノ・カラバフ紛争という紛争を戦っておりました。その結果、アゼルバイジャンとバランスを取る上で、アルメニアという国はイランとの友好関係を図らなきゃいけない。
それから、アルメニアという国、これはトルコと大変仲が悪いですね。一九一五年に、これは第一次世界大戦中のことでありますけれども、オスマン帝国、つまりトルコ国内にいたアルメニア人、アルメニア側の主張によれば二百万人が殺されたと言われております。当時、オスマン帝国、つまりトルコ国内には三百万人のアルメニア人がいたというふうに考えられておりますけれども、そのうちの二百万人が殺されたというふうにアルメニア側は主張しております。それ以来、アルメニアはトルコに対して民族的な憎悪というのを持ち続けている。現在でも、アルメニアの過激派はトルコ人に対するテロを追求したりしております。
アルメニアという国、そうしたトルコとアゼルバイジャンに挟まれている国ですので、勢い南の隣国であるイランとの友好関係が必要であるということになります。それから、ナショナリズムへの警戒、これはトルコ系のナショナリズムが中央アジアあるいはコーカサスでもって台頭する事態をアルメニアはやはり好ましく思っていない。そうしたトルコ・ナショナリズムに対する手段として、やはりイランとの友好関係が必要である。
それから、対NATO対策でありますけれども、トルコという国、これはNATOのメンバー国家であります。それから、NATOにはグルジア辺りも参加したい意向である。そうしたNATOとバランスを取る上で、やはりイランという国がアルメニアにとっては必要ということがあります。
次に、イランをめぐる地経学、ジオエコノミックスというわけですけれども、イランとコーカサスと中央アジア、コーカサスと中央アジアの国々というのは陸に閉ざされた国ですので、イランという国がやはり交通上必要になってくる。イランという国はインド洋とカスピ海に接している国家であります。両洋国家、二つの大洋に接しているわけですね。ですから、そのコーカサスあるいは中央アジアという国々が海洋との交流を考える上でイランという国がどうしても必要である。イランのパイプライン、既存のパイプラインを使えば、中央アジアあるいはコーカサスの国々の資源を輸出することもできるということですね。
イランという国は、先ほども言いましたけれども、カスピ海地域と湾岸を結ぶ地理的な利点を持っていて、それゆえに、トルクメニスタンなど中央アジア諸国は、イランという国をどうしても重視せざるを得ないというわけであります。
それから、ロシアとの協調関係でありますけれども、ロシアはイランに対する武器輸出国としては最大の国であります。つまり、ロシアがイランに一番兵器を売っている国であります。イランという国、これはアメリカの封じ込めを受けておりますので、アメリカから当然武器を買うことができない。それから、ヨーロッパからもなかなか買いにくい状態にあります。そのためにロシアの兵器というものが必要にならざるを得ない。それから、ロシアはやはりイランに武器を売ることによって外貨を獲得する。それから、ロシアはイランの原発建設、原子力発電所の建設に協力しております。それも、やはりロシアにとっては外貨を稼ぐ手段になるというわけですね。
それから、イランとロシアの協調関係というのは、アメリカのイランに対する封じ込めに対抗する上で必要であるということであります。
アメリカは最近も悪の枢軸と言ってイランを封じ込めることを考えておりますけれども、それは一つには、イランという国がイスラエルの抹殺を唱える、イスラエルの解体を唱える。これはイランの一つの宗教イデオロギーでありまして、イスラエルという国がイスラムの聖地であるエルサレムを占領している、そのためにイランという国、これはイスラムに強く訴える国でありますので、そのイスラエル国家の解体、あるいはそのイスラエルの抹殺を唱える。そのイランが核エネルギーを開発していることは、イスラエルにとっては脅威と感じられております。そのためにイスラエルは、アメリカ国内のユダヤ系社会、ユダヤ系ロビーを使ってアメリカ政府あるいは議会に働き掛けて、イランに対する厳格な措置を取るようにアメリカ政府に促しているというわけであります。
最近の悪の枢軸発言、これは急に出てきたわけですけれども、アメリカのアフガニスタン攻撃については比較的、アメリカ、イラン、割と友好的なムードが生まれたにもかかわらず、アメリカはまたイランの封じ込めを考えるようになった。というのは、最近イランからパレスチナへの武器の密輸というのが発覚したということも一つの理由かなというふうに考えております。
それから、アフガン、アフガニスタンのタリバン勢力あるいはパキスタンとの競合と対立。
アフガニスタン、もうタリバンは崩壊したと言われておりますけれども、タリバンというイスラム原理主義勢力は、これはイスラムの中でスンニ派という宗派を信仰している勢力であります。それから、パキスタンも同様でありまして、パキスタンのイスラム原理主義の最も主要なものにデオバンド派という、これは十九世紀にインドで生まれたイスラムの宗派があります。この宗派が現在パキスタンで台頭している。この宗派を信仰するイスラム組織、イスラム聖職者協会といっておりますけれども、そうしたイスラム聖職者協会が力を持つようになっております。タリバンも同じデオバンド派のイデオロギーを持っていたわけです。このデオバンド派でありますけれども、イランが信仰するシーア派を異端視していたということですね。そうした宗教的な理由もあってイランとアフガニスタンのタリバンとは仲が非常に悪かったというわけです。
イランは現在、アフガニスタンについてどういうことを考えているかというと、やはりイランと同じシーア派の信仰を持っているハザラ人が新たな政権の中で何らかの権力あるいは資源を分配されるように働き掛けていくんじゃないかなという気がしております。もしかすると、イランは、アメリカに封じ込めを受けた結果、アメリカの意向の下に作られた暫定行政機構に揺さぶりを掛けることがこれからあるかもしれません。
アメリカの対イラン封じ込め戦略変化の可能性ということですけれども、やはりアメリカの対中東政策において最も優先されているのは国内のユダヤ社会の、何といいますか、意向であるという気がします。国内の、アメリカのユダヤ系ロビー、これはイスラエルの利益を擁護する政策をアメリカ政府に取らせているわけです。そうした国内のユダヤ社会の動向を考えますと、アメリカの対イラン政策はなかなか変化しないんじゃないかなという気がしています。
ブッシュ政権が成立する前には、見通しとして彼は、ブッシュさんにしろチェイニーさんにしろ石油産業出身であるということで、もしかすると、アメリカの石油産業の意向を酌み取って対イランについては少し軟化の傾向が現れるんじゃないかなという見通しもありましたけれども、なかなか軟化しないですね。イランに対しては厳格な政策を取り続けているわけで、そうしたブッシュ政権成立後のイランに対する姿勢を見ていますと、なかなか変化しないんじゃないかなという気がしております。
それから、トルコのカスピ海地域への介入でありますけれども、トルコ中心の中央アジアとコーカサスの再編を、これはアメリカが考えたわけですね。アメリカは、なるべく中央アジアあるいはコーカサスにイランの影響力が浸透しないことを考えたわけです。そのために、トルコをリーダーとして中央アジアあるいはコーカサスの国々を再編するということをアメリカは考えた。
対するトルコでありますけれども、これは、冷戦の終えんによってNATOの軍事的な価値が低下したことによって、トルコの重要性を再び西側諸国に訴えるために、アメリカの意向を酌み取って対中央アジアあるいはコーカサス政策を積極的に行ったということがあります。
それから、トルコという国、これは国内資源消費の伸びと資源を介した結び付きというものも中央アジア諸国との間ではあるというわけですね。トルコという国、これは一九七〇年代に比べますと人口が現在では倍増しております。そうした国内の人口増加に見合うエネルギーがトルコには必要であるということですね。トルコは今、主に石油はロシアあるいはイランから買っております。しかし、政治的な理由でもってロシアとそれからイランとは余り関係が良好ではない。そのために石油の購入先を多角化しなきゃいけないということがあります。トルコ、エネルギー的にも中央アジアあるいはコーカサスのカスピ海沿岸諸国が重要になっているというわけですね。
それから、資源送出ルートとしての可能性と経済関係の重視という問題でありますけれども、これも、アメリカはイランを排除したいためにアゼルバイジャンのバクーからグルジアのスプサを通って、それからトルコの地中海岸にありますジェイハンに至るパイプラインを考えている。それから、バクー、それからトビリシ、それからジェイハンというルートもあります。それは経済的にコストが掛かるパイプラインですよね。それから、コーカサスの地域的な不安定。アゼルバイジャンとアルメニアは紛争をやっておりますし、それからグルジアもそれほど安定した国とは言えない。さらに、トルコの南東部、ジェイハンがあるトルコの南東部ではクルド人の反政府勢力の活動があります。経済的にもコストが掛かる、それから政治的な不安定要因もある、そうしたルートをあえてアメリカは選んだということですね。それは、やはりイランを排除したいというアメリカの意向があるからであります。
ただ、二〇〇〇年にカザフスタンのカシャガンというところで大きな油田が見付かりますと、アメリカの、バクー、それからグルジア、それからトルコに至るパイプラインのルートというのも、どうも見直しが始まっているんじゃないかなという気がしております。カシャガンで大きな油田が見付かったことによって、カザフスタンからロシアに抜けるルートの重要性が高まっているということですね。
それに対してアメリカでありますけれども、カザフスタンから今度はカスピ海の海底を通ってバクーに至って、それからグルジア、ジェイハンに至るパイプラインのルートを検討するようになっております。
そうした資源送出ルートですけれども、どれほどその実現性があるのかということですけれども、これは後で畑中参考人の方からもお話があるかもしれません。やはり、石油価格の今後の推移にも影響される話じゃないかなという気がしております。
それからトルコでありますけれども、民族的なつながりがあるアゼルバイジャンとそれからイスラエルとの関係強化を図っているということですね。トルコ、アラブ諸国とは余り仲が良くない。特にシリアとは政治的なあつれきがあります。そのためにアゼルバイジャン、イスラエルとの関係強化を図っているということです。
ただ、イスラエルとはこれ民族的にもそれほど仲が悪いということはありません。むしろ、トルコとイスラエルのユダヤ人というのは比較的仲がいい民族であります。これはオスマン帝国時代も、トルコ人とユダヤ人というのはオスマン帝国下でよく共存していたという歴史的な経緯もあります。
トルコ国内に行ってイスラムに対する考えを求めますと、否定的なことを言う意見あるいは考えというのは余りないですね。トルコ国内では現在パン・トルコ主義が高まっている、あるいはイスラム神秘主義の活動が次第に活発になっているということがあります。
トルコという国、これは一九二三年に共和国になったわけですけれども、そのトルコの二つの目標というのは、ヨーロッパの仲間入りをすること、これは入欧とそれから世俗化、脱イスラムというのがトルコの二本の柱であったわけですね。そのためにトルコという国はEUに参加することを目指しているわけでありますけれども、EUの側で、やはりトルコというのはイスラム教国であって、どうもEUが共有する価値観とは違うというわけで、トルコの参加には難色を示しております。トルコのEUへの参加には難色を示している。
トルコがEUに参加すれば、ほかにもトルコ人の労働者が大量にヨーロッパ諸国に流入するということにもなりかねないわけで、そうした入欧を果たせない、ヨーロッパのメンバーになることを果たせないトルコにはジレンマがあって、その結果、トルコ国内では民族主義というものが台頭しております。トルコ民族主義が台頭した結果、トルコの外交の重点が中央アジアあるいはコーカサスに移る傾向もあると言えると思います。
国内民族主義の極右政党、これは現在その政党の代表がトルコの首相を務めているわけですけれども、そうした極右政党の台頭というのが今後のトルコ外交に影響を及ぼすかもしれないという気がしております。
それから、イスラエルの戦略目標でありますけれども、イスラエルは最初、中央アジア諸国が独立したときに、中央アジア諸国のユダヤ人たちがイスラエルに移住することを円滑にするということを考えたわけであります。ソ連邦が解体して以降、旧ソ連からイスラエルに移住していったユダヤ人、そのうちの三〇%ぐらいが中央アジアからの移住であったと見られております。
それからイスラエルでありますけれども、中央アジアに関しては、カザフスタンの核がイスラエルと敵対する国々に拡散することを恐れたということがあります。特に、イラン、イラクに対してカザフスタンの核技術あるいは核物質が入っていくことを恐れたわけであります。そのためにイスラエルはカザフスタンに接近をしているということですね。先ほどもちょっと言いましたけれども、イスラエルとアゼルバイジャン、トルコという協力関係というのが現れてきつつあるということですね。
カスピ海諸国でありますけれども、イスラエルとの接近を図っているということもあります。特に、昔中央アジア諸国に住んでいたユダヤ人たちを介しての経済的な交流が進んでいるということがあります。トルクメニスタンのニヤゾフ大統領の奥さんはユダヤ人という説もありますけれども、結構トルクメニスタン辺りにはイスラエルの資本が入っているということらしいであります。
それから、イスラム主義台頭への警戒とカスピ海資源の重要性というわけですけれども、やはり中央アジア諸国あるいはコーカサスにおいてイスラム過激派が台頭して反イスラエルを唱えるような事態はイスラエルにとって都合が良くないということですよね。イスラム過激派、オサマ・ビンラーデンのようなイスラム過激派が中央アジアあるいはコーカサスで台頭して反イスラエル・テロなどを行う事態はやはりイスラエルにとっても避けたい事態である。それからやはり、カスピ海資源というのはイスラエルの資源購入先を多角化させる上で重要じゃないかなという気がしております。イスラエルという国、トルコを介してカスピ海の資源を買おうとしているということですね。
中東政治の変化とカスピ海地域ということですけれども、イラン国内政治の変化によるヨーロッパ諸国の経済進出、イランで九七年にはハタミ大統領が誕生しますと、イランとヨーロッパ諸国との経済交流が活発になったということですね。対イラン封じ込めに加担しているのはアメリカですね、アメリカの対イラン封じ込めに加担しているのはどこの国もないような、今はそういう状態になっております。イギリスですらイランとの経済交流に前向きになっているような、そういう状態ですよね。
それから、アフガン和平の行方、アフガンで和平が定着してアフガン社会が安定すれば、トルクメニスタンからアフガン南部を通ってパキスタンに至るパイプラインももしかすると現実化するかもしれません。その結果、イランの地理的な重要性というのが低下する可能性も十分考えられます。
それから、中東和平の進展とカスピ海地域、中東和平がなかなか進展しなければトルコとイスラエルあるいはアゼルバイジャンとの協力関係が強まる可能性があるんじゃないかなという気がしております。
それから、アメリカの対中東・カスピ海政策の変化の可能性でありますけれども、これはなかなか、さっきも言いましたけれども、変化しないんじゃないかなという気がしています。アメリカがもし経済的な面を重視すれば、イランとの関係改善にもっと前向きになっていいと思うんですけれども、本来ならばそれがアメリカの国益にもかなうと思うんですが、やはりイスラエルの安全保障を考慮しますと、イランとイラクに対して封じ込め政策を追求せざるを得ないということにどうもなりがちですよね。
カスピ海地域の政治的方向性と経済的可能性に影響を及ぼす中東政治ということですけれども、イランはこれからもカスピ海地域に対して現実的な政策を追求していくであろうという気がしております。それと、対する中央アジア、コーカサス諸国も同様ですよね。
ただ、イランと良好な関係を結べないのはアゼルバイジャンという国。アゼルバイジャンとイランという国はなかなか良好な関係を結べない。それは、アゼルバイジャンのバックにやっぱりアメリカという国があって、アメリカはアゼルバイジャンの資源開発においてイランの影響力が浸透してほしくないというわけで、アゼルバイジャンとイランとはなかなか良好な関係を結べないということがあります。
大体そんなところであります。
この発言だけを見る →最初に、イランの対カスピ海戦略ということですけれども、イランという国、これは一九七九年にイラン革命でイスラム共和国になった国です。イスラムに統治の正統性を求めているということですね。国内外にイスラムの政治を強く訴えているわけでありますけれども、ただ、中央アジアあるいはコーカサス諸国の場合はそれほどイスラムの復興が顕著ではない。むしろイランと中央アジア、コーカサス諸国の場合は、そうした宗教イデオロギーではなくて経済中心の実利外交を追求しているということです。
カスピ海沿岸諸国、これらの国々は鈍いイスラムの復興である。というのは、ソ連の支配、七十年間続きまして、九〇年代にイスラムの復興というものが、徐々にではありますけれども、しかし、そのスピードというのはそれほど速くはないということですね。どこも国の建前とすれば世俗的な性格の国が多いわけであります。その結果、イランのイスラム政治には余り関心がないということになります。そして、例えばウズベキスタンとかあるいはタジキスタンといった国々では、国内にイスラム過激派の活動を抱えておりますので、政治にそのイスラムの正統性を求めていくとそうしたイスラム勢力が活気付くということもありますので、なるべく世俗的な性格を政治には求めているというわけであります。
イランという国、これは周辺地域の安定を重視します。イランという国は、遠隔な国や地域については結構物騒なことを言います。例えばイスラエルの抹殺を唱えたり、あるいはボスニア紛争においてムスリムを支援するようなことを言ったりしますけれども、周辺諸国についてはイランの安全保障を考えて極めて現実的な外交を追求している。過激な傾向というのは周辺諸国の外交については余り見られないというわけです。
イランという国、これはタジキスタン、これ一九九七年六月にタジキスタンでは和平協定が成立して、九〇年から三年間続いていた紛争ですけれども、その紛争の調停を行ったりしております。
イラン、これはロシア、アルメニア、トルクメニスタンとの協調関係を考えている。
ロシアについては後でお話ししますけれども、アルメニアについては、やはり地理的に接しておりますので、経済関係を強化しているということですね。石油パイプラインも両国には通って、両国はパイプラインで結ばれております。イラン国内にはアルメニア人が居住しておりまして、イラン経済に大きな影響力を及ぼしているわけですね。ですから、イランとしてもそうした国内アルメニア人の動静を無視することができなくて、アルメニアとの協力関係を結んでおります。
そして、対するアルメニアですけれども、これはアゼルバイジャンとはナゴルノ・カラバフ紛争という紛争を戦っておりました。その結果、アゼルバイジャンとバランスを取る上で、アルメニアという国はイランとの友好関係を図らなきゃいけない。
それから、アルメニアという国、これはトルコと大変仲が悪いですね。一九一五年に、これは第一次世界大戦中のことでありますけれども、オスマン帝国、つまりトルコ国内にいたアルメニア人、アルメニア側の主張によれば二百万人が殺されたと言われております。当時、オスマン帝国、つまりトルコ国内には三百万人のアルメニア人がいたというふうに考えられておりますけれども、そのうちの二百万人が殺されたというふうにアルメニア側は主張しております。それ以来、アルメニアはトルコに対して民族的な憎悪というのを持ち続けている。現在でも、アルメニアの過激派はトルコ人に対するテロを追求したりしております。
アルメニアという国、そうしたトルコとアゼルバイジャンに挟まれている国ですので、勢い南の隣国であるイランとの友好関係が必要であるということになります。それから、ナショナリズムへの警戒、これはトルコ系のナショナリズムが中央アジアあるいはコーカサスでもって台頭する事態をアルメニアはやはり好ましく思っていない。そうしたトルコ・ナショナリズムに対する手段として、やはりイランとの友好関係が必要である。
それから、対NATO対策でありますけれども、トルコという国、これはNATOのメンバー国家であります。それから、NATOにはグルジア辺りも参加したい意向である。そうしたNATOとバランスを取る上で、やはりイランという国がアルメニアにとっては必要ということがあります。
次に、イランをめぐる地経学、ジオエコノミックスというわけですけれども、イランとコーカサスと中央アジア、コーカサスと中央アジアの国々というのは陸に閉ざされた国ですので、イランという国がやはり交通上必要になってくる。イランという国はインド洋とカスピ海に接している国家であります。両洋国家、二つの大洋に接しているわけですね。ですから、そのコーカサスあるいは中央アジアという国々が海洋との交流を考える上でイランという国がどうしても必要である。イランのパイプライン、既存のパイプラインを使えば、中央アジアあるいはコーカサスの国々の資源を輸出することもできるということですね。
イランという国は、先ほども言いましたけれども、カスピ海地域と湾岸を結ぶ地理的な利点を持っていて、それゆえに、トルクメニスタンなど中央アジア諸国は、イランという国をどうしても重視せざるを得ないというわけであります。
それから、ロシアとの協調関係でありますけれども、ロシアはイランに対する武器輸出国としては最大の国であります。つまり、ロシアがイランに一番兵器を売っている国であります。イランという国、これはアメリカの封じ込めを受けておりますので、アメリカから当然武器を買うことができない。それから、ヨーロッパからもなかなか買いにくい状態にあります。そのためにロシアの兵器というものが必要にならざるを得ない。それから、ロシアはやはりイランに武器を売ることによって外貨を獲得する。それから、ロシアはイランの原発建設、原子力発電所の建設に協力しております。それも、やはりロシアにとっては外貨を稼ぐ手段になるというわけですね。
それから、イランとロシアの協調関係というのは、アメリカのイランに対する封じ込めに対抗する上で必要であるということであります。
アメリカは最近も悪の枢軸と言ってイランを封じ込めることを考えておりますけれども、それは一つには、イランという国がイスラエルの抹殺を唱える、イスラエルの解体を唱える。これはイランの一つの宗教イデオロギーでありまして、イスラエルという国がイスラムの聖地であるエルサレムを占領している、そのためにイランという国、これはイスラムに強く訴える国でありますので、そのイスラエル国家の解体、あるいはそのイスラエルの抹殺を唱える。そのイランが核エネルギーを開発していることは、イスラエルにとっては脅威と感じられております。そのためにイスラエルは、アメリカ国内のユダヤ系社会、ユダヤ系ロビーを使ってアメリカ政府あるいは議会に働き掛けて、イランに対する厳格な措置を取るようにアメリカ政府に促しているというわけであります。
最近の悪の枢軸発言、これは急に出てきたわけですけれども、アメリカのアフガニスタン攻撃については比較的、アメリカ、イラン、割と友好的なムードが生まれたにもかかわらず、アメリカはまたイランの封じ込めを考えるようになった。というのは、最近イランからパレスチナへの武器の密輸というのが発覚したということも一つの理由かなというふうに考えております。
それから、アフガン、アフガニスタンのタリバン勢力あるいはパキスタンとの競合と対立。
アフガニスタン、もうタリバンは崩壊したと言われておりますけれども、タリバンというイスラム原理主義勢力は、これはイスラムの中でスンニ派という宗派を信仰している勢力であります。それから、パキスタンも同様でありまして、パキスタンのイスラム原理主義の最も主要なものにデオバンド派という、これは十九世紀にインドで生まれたイスラムの宗派があります。この宗派が現在パキスタンで台頭している。この宗派を信仰するイスラム組織、イスラム聖職者協会といっておりますけれども、そうしたイスラム聖職者協会が力を持つようになっております。タリバンも同じデオバンド派のイデオロギーを持っていたわけです。このデオバンド派でありますけれども、イランが信仰するシーア派を異端視していたということですね。そうした宗教的な理由もあってイランとアフガニスタンのタリバンとは仲が非常に悪かったというわけです。
イランは現在、アフガニスタンについてどういうことを考えているかというと、やはりイランと同じシーア派の信仰を持っているハザラ人が新たな政権の中で何らかの権力あるいは資源を分配されるように働き掛けていくんじゃないかなという気がしております。もしかすると、イランは、アメリカに封じ込めを受けた結果、アメリカの意向の下に作られた暫定行政機構に揺さぶりを掛けることがこれからあるかもしれません。
アメリカの対イラン封じ込め戦略変化の可能性ということですけれども、やはりアメリカの対中東政策において最も優先されているのは国内のユダヤ社会の、何といいますか、意向であるという気がします。国内の、アメリカのユダヤ系ロビー、これはイスラエルの利益を擁護する政策をアメリカ政府に取らせているわけです。そうした国内のユダヤ社会の動向を考えますと、アメリカの対イラン政策はなかなか変化しないんじゃないかなという気がしています。
ブッシュ政権が成立する前には、見通しとして彼は、ブッシュさんにしろチェイニーさんにしろ石油産業出身であるということで、もしかすると、アメリカの石油産業の意向を酌み取って対イランについては少し軟化の傾向が現れるんじゃないかなという見通しもありましたけれども、なかなか軟化しないですね。イランに対しては厳格な政策を取り続けているわけで、そうしたブッシュ政権成立後のイランに対する姿勢を見ていますと、なかなか変化しないんじゃないかなという気がしております。
それから、トルコのカスピ海地域への介入でありますけれども、トルコ中心の中央アジアとコーカサスの再編を、これはアメリカが考えたわけですね。アメリカは、なるべく中央アジアあるいはコーカサスにイランの影響力が浸透しないことを考えたわけです。そのために、トルコをリーダーとして中央アジアあるいはコーカサスの国々を再編するということをアメリカは考えた。
対するトルコでありますけれども、これは、冷戦の終えんによってNATOの軍事的な価値が低下したことによって、トルコの重要性を再び西側諸国に訴えるために、アメリカの意向を酌み取って対中央アジアあるいはコーカサス政策を積極的に行ったということがあります。
それから、トルコという国、これは国内資源消費の伸びと資源を介した結び付きというものも中央アジア諸国との間ではあるというわけですね。トルコという国、これは一九七〇年代に比べますと人口が現在では倍増しております。そうした国内の人口増加に見合うエネルギーがトルコには必要であるということですね。トルコは今、主に石油はロシアあるいはイランから買っております。しかし、政治的な理由でもってロシアとそれからイランとは余り関係が良好ではない。そのために石油の購入先を多角化しなきゃいけないということがあります。トルコ、エネルギー的にも中央アジアあるいはコーカサスのカスピ海沿岸諸国が重要になっているというわけですね。
それから、資源送出ルートとしての可能性と経済関係の重視という問題でありますけれども、これも、アメリカはイランを排除したいためにアゼルバイジャンのバクーからグルジアのスプサを通って、それからトルコの地中海岸にありますジェイハンに至るパイプラインを考えている。それから、バクー、それからトビリシ、それからジェイハンというルートもあります。それは経済的にコストが掛かるパイプラインですよね。それから、コーカサスの地域的な不安定。アゼルバイジャンとアルメニアは紛争をやっておりますし、それからグルジアもそれほど安定した国とは言えない。さらに、トルコの南東部、ジェイハンがあるトルコの南東部ではクルド人の反政府勢力の活動があります。経済的にもコストが掛かる、それから政治的な不安定要因もある、そうしたルートをあえてアメリカは選んだということですね。それは、やはりイランを排除したいというアメリカの意向があるからであります。
ただ、二〇〇〇年にカザフスタンのカシャガンというところで大きな油田が見付かりますと、アメリカの、バクー、それからグルジア、それからトルコに至るパイプラインのルートというのも、どうも見直しが始まっているんじゃないかなという気がしております。カシャガンで大きな油田が見付かったことによって、カザフスタンからロシアに抜けるルートの重要性が高まっているということですね。
それに対してアメリカでありますけれども、カザフスタンから今度はカスピ海の海底を通ってバクーに至って、それからグルジア、ジェイハンに至るパイプラインのルートを検討するようになっております。
そうした資源送出ルートですけれども、どれほどその実現性があるのかということですけれども、これは後で畑中参考人の方からもお話があるかもしれません。やはり、石油価格の今後の推移にも影響される話じゃないかなという気がしております。
それからトルコでありますけれども、民族的なつながりがあるアゼルバイジャンとそれからイスラエルとの関係強化を図っているということですね。トルコ、アラブ諸国とは余り仲が良くない。特にシリアとは政治的なあつれきがあります。そのためにアゼルバイジャン、イスラエルとの関係強化を図っているということです。
ただ、イスラエルとはこれ民族的にもそれほど仲が悪いということはありません。むしろ、トルコとイスラエルのユダヤ人というのは比較的仲がいい民族であります。これはオスマン帝国時代も、トルコ人とユダヤ人というのはオスマン帝国下でよく共存していたという歴史的な経緯もあります。
トルコ国内に行ってイスラムに対する考えを求めますと、否定的なことを言う意見あるいは考えというのは余りないですね。トルコ国内では現在パン・トルコ主義が高まっている、あるいはイスラム神秘主義の活動が次第に活発になっているということがあります。
トルコという国、これは一九二三年に共和国になったわけですけれども、そのトルコの二つの目標というのは、ヨーロッパの仲間入りをすること、これは入欧とそれから世俗化、脱イスラムというのがトルコの二本の柱であったわけですね。そのためにトルコという国はEUに参加することを目指しているわけでありますけれども、EUの側で、やはりトルコというのはイスラム教国であって、どうもEUが共有する価値観とは違うというわけで、トルコの参加には難色を示しております。トルコのEUへの参加には難色を示している。
トルコがEUに参加すれば、ほかにもトルコ人の労働者が大量にヨーロッパ諸国に流入するということにもなりかねないわけで、そうした入欧を果たせない、ヨーロッパのメンバーになることを果たせないトルコにはジレンマがあって、その結果、トルコ国内では民族主義というものが台頭しております。トルコ民族主義が台頭した結果、トルコの外交の重点が中央アジアあるいはコーカサスに移る傾向もあると言えると思います。
国内民族主義の極右政党、これは現在その政党の代表がトルコの首相を務めているわけですけれども、そうした極右政党の台頭というのが今後のトルコ外交に影響を及ぼすかもしれないという気がしております。
それから、イスラエルの戦略目標でありますけれども、イスラエルは最初、中央アジア諸国が独立したときに、中央アジア諸国のユダヤ人たちがイスラエルに移住することを円滑にするということを考えたわけであります。ソ連邦が解体して以降、旧ソ連からイスラエルに移住していったユダヤ人、そのうちの三〇%ぐらいが中央アジアからの移住であったと見られております。
それからイスラエルでありますけれども、中央アジアに関しては、カザフスタンの核がイスラエルと敵対する国々に拡散することを恐れたということがあります。特に、イラン、イラクに対してカザフスタンの核技術あるいは核物質が入っていくことを恐れたわけであります。そのためにイスラエルはカザフスタンに接近をしているということですね。先ほどもちょっと言いましたけれども、イスラエルとアゼルバイジャン、トルコという協力関係というのが現れてきつつあるということですね。
カスピ海諸国でありますけれども、イスラエルとの接近を図っているということもあります。特に、昔中央アジア諸国に住んでいたユダヤ人たちを介しての経済的な交流が進んでいるということがあります。トルクメニスタンのニヤゾフ大統領の奥さんはユダヤ人という説もありますけれども、結構トルクメニスタン辺りにはイスラエルの資本が入っているということらしいであります。
それから、イスラム主義台頭への警戒とカスピ海資源の重要性というわけですけれども、やはり中央アジア諸国あるいはコーカサスにおいてイスラム過激派が台頭して反イスラエルを唱えるような事態はイスラエルにとって都合が良くないということですよね。イスラム過激派、オサマ・ビンラーデンのようなイスラム過激派が中央アジアあるいはコーカサスで台頭して反イスラエル・テロなどを行う事態はやはりイスラエルにとっても避けたい事態である。それからやはり、カスピ海資源というのはイスラエルの資源購入先を多角化させる上で重要じゃないかなという気がしております。イスラエルという国、トルコを介してカスピ海の資源を買おうとしているということですね。
中東政治の変化とカスピ海地域ということですけれども、イラン国内政治の変化によるヨーロッパ諸国の経済進出、イランで九七年にはハタミ大統領が誕生しますと、イランとヨーロッパ諸国との経済交流が活発になったということですね。対イラン封じ込めに加担しているのはアメリカですね、アメリカの対イラン封じ込めに加担しているのはどこの国もないような、今はそういう状態になっております。イギリスですらイランとの経済交流に前向きになっているような、そういう状態ですよね。
それから、アフガン和平の行方、アフガンで和平が定着してアフガン社会が安定すれば、トルクメニスタンからアフガン南部を通ってパキスタンに至るパイプラインももしかすると現実化するかもしれません。その結果、イランの地理的な重要性というのが低下する可能性も十分考えられます。
それから、中東和平の進展とカスピ海地域、中東和平がなかなか進展しなければトルコとイスラエルあるいはアゼルバイジャンとの協力関係が強まる可能性があるんじゃないかなという気がしております。
それから、アメリカの対中東・カスピ海政策の変化の可能性でありますけれども、これはなかなか、さっきも言いましたけれども、変化しないんじゃないかなという気がしています。アメリカがもし経済的な面を重視すれば、イランとの関係改善にもっと前向きになっていいと思うんですけれども、本来ならばそれがアメリカの国益にもかなうと思うんですが、やはりイスラエルの安全保障を考慮しますと、イランとイラクに対して封じ込め政策を追求せざるを得ないということにどうもなりがちですよね。
カスピ海地域の政治的方向性と経済的可能性に影響を及ぼす中東政治ということですけれども、イランはこれからもカスピ海地域に対して現実的な政策を追求していくであろうという気がしております。それと、対する中央アジア、コーカサス諸国も同様ですよね。
ただ、イランと良好な関係を結べないのはアゼルバイジャンという国。アゼルバイジャンとイランという国はなかなか良好な関係を結べない。それは、アゼルバイジャンのバックにやっぱりアメリカという国があって、アメリカはアゼルバイジャンの資源開発においてイランの影響力が浸透してほしくないというわけで、アゼルバイジャンとイランとはなかなか良好な関係を結べないということがあります。
大体そんなところであります。
関
畑
畑中美樹#4
○参考人(畑中美樹君) 御紹介いただきました畑中でございます。よろしくお願いいたします。
ただいま宮田参考人から主に政治を中心としたお話がございましたので、私は経済に焦点を当てまして、イスラム諸国と国際資源問題につき、御説明させていただきます。
経済の話ですとどうしても数字が出てまいりますので、お手元の資料、この緑表紙の「イスラム世界と日本の対応」資料ナンバー5というのを時折使いながら話を進めさせていただきたいと思います。全部で五つの柱を立てております。
第一は、世界の中でのイスラム諸国あるいは中東のイスラム諸国の経済力がどのぐらいあるかというお話でございます。
その中で、まず人口でございますけれども、世界の人口というのは大体六十億人ぐらい。その中で、発展途上国の人口が大体五十億人ぐらいでございますが、イスラムというのはイスラム諸国会議機構というのを五十七か国で構成しておりまして、その加盟国の人口が約十二億人でございますので、世界の人口の大体二割ぐらい、また発展途上国の総人口の四分の一弱ということでございます。そのイスラムの中での中東のイスラムの人口というのは、大体その三分の一ぐらいの四億人弱というのが現状でございます。
次に、GNPでございますけれども、現在の世界の全体のGNPというのが三十兆ドルぐらいで、その中での途上国のGNPというのが七兆ドルでございますが、その中でイスラム諸国のGNPというのは大体一兆三千億ドルぐらいでございますので、世界の全体のGNPの四%、途上国の全体のGNPの一八%ということでございますので、人口の比率と比べると経済の規模は小さいということがお分かりいただけると思います。
ただ、このイスラム諸国のGNP、一兆三千億ドルの中で中東のGNPが約六割の八千億ドルということでございますので、人口に比べてイスラムの中での中東の経済の規模の大きさというのが、後ほど御説明いたします石油資源もあることもありまして、高いと、大きいということがお分かりいただけるかと思います。
次に、一人当たりのGNPでございますが、イスラム世界の一人当たりのGNPというのはおよそ一千百ドルでございます。これは途上国の単純の平均のGNPと、一人当たりGNPというのが千四百ドルでございますから、それより約四分の一ぐらい小さいということになります。また、イスラム諸国会議機構、五十七か国ございますが、この中で統計がしっかりしておって、一人当たりGNPが分かっている国というのが五十か国あるんですけれども、実はその中の二十三か国というのは一人当たりGNPが七百八十五ドル、これは世界銀行が規定した低所得国という分類ですけれども、この七百八十五ドル以下の分類にあります。それでも全体の平均が千百ドルに少しかさ上げになっておりますのは、中東の産油国、例えばクウェートですとかアラブ首長国連邦ですとかカタールですとか、あるいはアジアのブルネイといったところが二万ドル内外の一人当たりGNPがあるからということによるものでございます。
第四といたしまして、貿易その他でのイスラム諸国の世界に占める経済力でございますけれども、輸出入とも大体三千三百億ドルぐらい、合計して大体七千億ドル弱ぐらいでございます。これ世界の大体の貿易量というのが十一兆ドルぐらい。このうち途上国の貿易量というのは四兆ドルぐらいですから、世界全体で見ると六%ぐらい、また途上国全体で見ると一六%ぐらいということでございますので、この面から見ましても、やはり人口の比率から見るとイスラム諸国の経済力というのは相対的に弱いということがお分かりいただけるかと思います。
また、その他というところでございますけれども、これ債務の問題なんですけれども、今から三年ほど前の九九年の六月のケルンで開かれましたサミットで、重債務貧困国、この救済をしようということでこのプログラムの拡大が決定をいたしまして、四十一か国、世界の四十一か国はその対象になったわけですけれども、その中の実は十五か国がイスラム諸国ということで、全体の四割ぐらいがイスラム諸国だったということでございますので、それだけ経済的にはイスラム諸国というのは弱体な存在だということが言えるかと思います。
次に、第二と第三と第四の柱でございますけれども、水と油の話でございまして、豊富な油資源と貴重な水資源についてでございます。
恐縮ですけれども、お手元のこの先ほどの資料ナンバー5の三十八ページというところに、現在の世界の原油の確認埋蔵量というものを示したものがございます。大体、現在、世界では石油というのは一兆バレルぐらいあるんですけれども、その一兆バレルのうちの大体七〇%ぐらいが中東に偏在しています。しかも、約三分の二、六五、六%がアラビア湾、あるいはペルシャ湾とも呼びますが、この湾岸の五か国に集中しております。
お手元の三十八ページのこの図を見ていただければお分かりいただけますように、実は世界の石油の二六%がサウジアラビア一国にあります。続いて、イラク一一%、アラブ首長国連邦大体一〇%ぐらい、クウェート九%、イラン九%ということで、この五か国だけで実は世界の石油の六五%があります。
中東に石油が偏在しているのみならず、実は毎年の生産量を埋蔵量で割るとあと何年石油がもつかというのが出てくるわけですけれども、世界全体では現在四十二年あるわけですが、ところがこれを中東だけを見ますと、実は中東は八十七年もあります。したがって、いかにその他の地域の石油が少ないかということがお分かりいただけるかと思います。
例えば、旧ソ連、東欧というのは、現在、ロシアが世界第二の産油国ですけれども、旧ソ連、東欧の石油の寿命というのは二十一年でございますし、中南米、これが中東に続いて長いんですけれども三十六年、アフリカ三十一年でございます。また、アメリカというのは大変、ここにもございますように、二百二十億バレルぐらいの埋蔵量を持っているんですけれども、じゃ、あと何年もつかという観点から見ますと、たった九年しかございません。
他方、中東は八十七年もあると。その中東の中でも、例えばアラブ首長国連邦、イラク、クウェート等は大体百二十年ぐらいはもつ石油があるということでございますので、埋蔵量が多いと同時に、大変先々まだ長もちする石油を持っている国々が多いということがお分かりいただけるかと思います。
続きまして、お手元の資料、少し戻っていただいて、二十五ページ目なんですけれども、埋蔵量があって長くまだ使えるということに加えまして、現在の石油の生産の能力の余っている力、余力がどのぐらいあるかというのを見ましたものが二十五ページ目の左側の図表の1というもの、この棒線の図でございます。
これごらんいただきますと、八〇年代には、多いときには一千万バレル・パー・デー超ぐらい、一日当たり一千万バレル超ぐらい、少ないときでも一日当たり六百万バレルぐらいございましたんですけれども、これが今日現在は三百八十万バレル・パー・デーぐらいというように余剰の生産能力が下がってきております。
しかも、この少なくなってきた余剰の生産能力のうちの八割が、先ほど申し上げた石油の埋蔵量が多い五か国に偏在をしておりますし、さらに言えば、三百八十万バレル・パー・デーある余剰能力のうちの四五%に当たる百七十万バレル・パー・デーがサウジアラビア一国に集中しているというのが現状であります。
同時に、四番目の話でございますが、中東に石油が偏在しておって、長くまだまだこれから掘れると。しかも、余っている設備の生産能力も中東に偏在している中で、これから新しいところを見付けて開発をして生産をするという場合にコストが問題になってくるわけでございますが、中東地域は総じて低コストでございまして、大体一ドルから八ドルぐらいで済みます。ところが、これが中東以外になりますと、十ドルから十五ドルぐらいということで、相対的に高いということでございますので、中東の石油をそれだけ掘った方が石油会社からいえば経済性があるんだということになるわけでございます。
そうした中東の石油資源をめぐりまして、かつてはアメリカ、ヨーロッパのいわゆる欧米のメジャーズという石油会社が中東の産油国の探鉱、開発、生産に当たってきたわけでございます。ところが、一九五〇年代後半からの様々な資源のナショナリズムということで各国国有化をいたしまして、大体一九八〇年代の初頭には中東の主要な産油国でも国営の石油会社というのができまして、これによりまして、欧米のメジャーズというのは石油の探鉱、開発の権利から離れていったわけであります。
ところが、それから十数年たちまして一九九〇年代の中ごろになりまして、再び中東の産油国が外国資本の再導入に動いてきております。先ほど、二十五ページでOPECの余剰生産能力を見ていただきました右の方にございますけれども、それぞれの国がそれぞれの理由で再び外国の手をかりて油田の探鉱、開発、生産に当たろうとしております。この中で、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア等の大手の石油会社は、積極的に中東の産油国の呼び掛けに応じる形で進出をしておるか、しようとしているところでございます。
他方、残念ながら日本の石油会社につきましては、資本的な問題あるいは技術的な問題もありまして、欧米の大手のメジャーズと比べますと出遅れているというのが現在のところでございます。
どのような国が現在外国資本の再導入に動いているかということでございますが、一番初めに動きましたのは、お手元の資料ですとこの3の実は(2)になりますけれども、イランでございます。イランというのは、一九七九年の革命、その後のイラクとの戦争、さらには九〇年代に入りましてからのアメリカの制裁というものがございましたもので、自分の国の技術と自分の国のお金で油田の保全をしたり新しいものを開発をしてきたわけでございます。
ところが、どうしても欧米の大手の石油会社との間の技術の格差というのがありまして、イランは現在石油の生産能力が頭打ちになってきております。それと同時に、アメリカによる制裁ですね、これを打破したいという政治的な考え方もございまして、石油利権を一部買い戻す、バイバック契約というものを提示することによって、欧米の石油会社を入れて再びイランの石油の生産力を高めようということを図っております。
これは、イラン、一九九五年から始めまして、これが先鞭になりまして、次にそこの(3)にありますイラク、リビア、これはどちらも現在国連の経済制裁下にあるわけですけれども、この国連の経済制裁を緩和する、あるいは最終的にはこの国連の経済制裁を撤廃するための政治的な手だてとしてこの油田への外国資本の導入というのを持ち出しておりまして、例えば、イラクの場合ですと、これに呼応してロシアですとか中国ですとかフランスですとか、あるいはその他のヨーロッパ諸国、更にはマレーシア等のアジアの産油会社が進出を決めようとしているところであります。
また、リビアにつきましては、やはり英国、イタリア等の欧州勢を中心に、また一部のアジアの国々が、この国、リビアの油田の探鉱、開発を行おうということで現在進出しようという姿勢を示しているところでございます。
それに続きましたのが1のクウェートでございまして、クウェートの場合には再び外国の資本の再導入を決めた理由がほかの国と少し違います。これは、御存じのように九〇年の八月にイラクに侵攻されました。したがって、現在でも安全保障上の懸念があるということで、クウェートはイラクとの国境に並んでいる油田地帯をアメリカとイギリスとフランスとイタリアの石油会社に権利を与えれば、当然それぞれの国の石油会社がそれぞれの国の政府に働き掛けて万が一のときには防いでくれるだろうという、そういう安全保障上の対策という観点からクウェートもこの九七年から外資を再導入するという動きを見せております。
最後に、こうしたイラン、イラク、リビア、クウェートというのが再び外資の導入に走りました中で、サウジアラビアはこれを黙って見ていたわけでありますけれども、ほかの国が、近隣のほかの国が外資を導入し、自分の国が外資を導入しないとなりますと、欧米の有力メジャーズが自分以外の国に行ってしまって自分以外の国の資源を買うということになると、そうなりますと取り残されるということがございまして、サウジアラビアも、これは石油ではなくてガスなんですけれども、ガスを欧米のメジャーズに開発してもらうという契約を現在交渉中でございます。この外国といった場合には、今のところアメリカとイギリスとフランスが入っておりまして、残念ながら日本には話が十分伝わっておりませんで、日本は入れてもらっておりません。
こうしたサウジアラビアと同様の動きを、北アフリカのアラブの盟主と言われておるエジプトも現在行っております。
エジプトにつきましては、若干日本も進出の意向を持って交渉を進めておりますけれども、やはり資本力、技術力に格差があるものですから、なかなか先方から色よい返事をもらえていないのが現状でございます。要は、この中東の産油国は再び外国資本の再導入に動いており、そうした中で、欧米の大手の石油会社は積極的にそれに呼応しておるけれども、日本はやや一歩も二歩も後れているのが現状だということでございます。
次に、貴重な水資源の話でございますけれども、中東で水資源を語る場合に紛争と関連した三つの地域がございます。
一つはトルコを中心とした地域でございまして、二つ目がイスラエルを中心とした地域、そして三つ目がエジプトを中心とした地域と。そして、元々砂漠地帯でお水がないということで、サウジアラビアを中心とする湾岸協力会議という国々についても水の問題がございます。
順に簡単に御説明をさせていただきますけれども、世界四大文明の発祥の地の一つでありますメソポタミアにはチグリス川とユーフラテス川というのが流れておりますけれども、この水源というのはどちらもトルコの東部の山の中にあります。このことが、水資源の上流国でありますトルコと下流国でありますシリアとイラクという関係を形作っておりまして、この三十年間、トルコ対シリア、トルコ対イラクの関係が政治問題とも絡んで非常に微妙な問題となってきております。
そもそも、約三十年ほど前にトルコが自分の国の農業用あるいは工業用に、これらチグリス・ユーフラテス川の河川の水を活用する計画を立てましたことから、その下流にありますシリア、イラクが、それでは自国に流れてくる水の供給量が制限されてしまうということで反発をいたしまして、両国間には水の供給量の約束ができたわけでございますが、その後、トルコが八〇年代になりまして、トルコの東部というのはクルド人というものが、人たちが多く住んでおりまして比較的開発が遅れているものですから、そこを積極的に開発したいということでトルコ東南部地方開発計画というのを進めまして、これに伴いまして河川部に多くの発電所ですとかダムを造りました。このために自然に流れる水量がやはり減ってきたということでイラクとシリアが反発をしておりまして、現在も毎年供給される水量をめぐる政治的な争い事が続いております。
次に、イスラエルとその周辺の情勢でございますが、元来、ガリラヤ湖というところから死海に至るヨルダン川の西岸の地域というのは水の資源に恵まれた地域なんですけれども、これを第三次中東戦争、一九六七年のイスラエルとアラブの戦争によりましてイスラエルが占領下に置きました。その結果、この地域からの水資源がイスラエルにとってはイスラエル国の水需要の三〇%ぐらいを供給するということになってきておりますもので、このことから、イスラエルとヨルダンあるいはイスラエルとパレスチナ自治政府との間で水の問題というのが重要な問題の一つとなってきております。
イスラエルとヨルダンにつきましては、一九九四年の十月に平和条約というのが締結されておりまして、その中できめ細かく水の問題についても規定されております。要すれば、イスラエルがヨルダンに供給する水の量を決めているわけでありますけれども、ただ実際には、近年天候不良のことが多うございまして干ばつぎみでございますので、イスラエルがヨルダンに供給する水が約束した水量に至っていないということで、元来非常に水の少ないヨルダンが政治的な問題を抱えているというのが一つございます。
二つ目に、イスラエルとパレスチナ自治政府でございますけれども、こちらも九五年の九月にパレスチナ暫定自治拡大協定というのが結ばれまして、その中で水について細かく規定されてきております。さらに、この二つの国同士、イスラエルとヨルダン、イスラエルとパレスチナだけでは、やはり同じ地域の水を使っているということで解決しないということで、一九九六年の二月にイスラエルとヨルダンとパレスチナ自治政府の三つの当局が水問題処理のための原則的枠組みというのに合意をいたしましたけれども、基本的に同じ水源を使っておりますものですから、やはり政治的に力の強い国がどうしても水量を多く取るということになっておりまして、現在もこの三者間での水をめぐる争いというのは絶えておりません。
最後に、イスラエルとシリアでございますけれども、イスラエルがガリラヤ湖というところに取水設備というのを一九六四年に造りました。ところが、このガリラヤ湖というものの水源がゴラン高原というところにございます。皆さんよく御存じだと思いますけれども、元来シリアの高原であったものをイスラエルが占領しております。このことがやはり両国間の和平交渉とも絡んで重要な問題となってきておりまして、御存じのように、イスラエルとシリアはまだ和平交渉を中断させたままでございますので、この水問題についても解決していないというのが現状でございます。
次に、エジプトとスーダンでございますけれども、元来エジプトというのは非常に砂漠の地域でございまして、雨に恵まれておりません。このために、水資源としてはナイル川が大変貴重なんですけれども、残念ながら、ナイル川を見た場合にはエジプトが下流国で上流国はスーダンとなります。このエジプトとスーダンの二か国というのは、歴史的に、政治的に関係が余り良好でないということで、常に水問題の争いがございます。現在は一応、一九五九年に新たに決められた水量供給協定というのがございまして、これに従ってエジプトが取る水の量が決まっています。
ただ、ざっと過去百二十年間ぐらいを振り返ってみますと、両国間で結んだ取水協定どおりに水量が供給されたというのはこの百二十年の六割に当たります七十年間ぐらいでございまして、残る四割に当たる五十年間ぐらいは十分な水が来なかったということで問題が起きております。エジプトは近年、人口増、都市化という問題もありますので、水問題が深刻化しているということでございます。
最後に、サウジアラビア等の湾岸協力会議機構の水問題ですけれども、これは元々砂漠地帯でございまして、水が希少資源でございますので、海水の淡水化ということで水を作って対処してきたわけでございます。ところが、こちらも人口増の中、財政難ということで十分な海水淡水化プラントができていないということになっておりまして、現在では首都のリヤドあるいは西部にあります商業都市ジェッダで夏になりますと断水が起きたり、あるいは給水の制限が起きたりというようなことで、アラビア半島方面におきましても水問題というのが近年大きな社会・政治問題化しているところでございます。
最後に、五つ目の柱ということで、中東産油国あるいはイスラム諸国の課題と我が国に対する期待の高まりという観点からお話をさせていただきたいと思います。
まず、中東のイスラム諸国とその他の途上国という観点で、過去三十年間の経済をざっと振り返ってみますと、一九七〇年の経済を一〇〇としますと、大体途上国の経済というのは今日四〇〇ぐらいになっています。その中で、中東の大体経済というのは三〇〇ぐらいということで、つまり、ほかの途上国に比べますと中東イスラム諸国の経済の拡大というのは後れているわけでございます。そうした中で、人口が増え、しかも人口が増える中で若い人が増え、都市化も高まっておるということで、失業問題と基礎的なインフラが足りないという問題が同時並行的に起きております。
お手元の資料を少しページを繰っていただきまして、二十八ページをごらんいただきたいと思います。
二十八ページ右上に図表7というのがございます。これは、中東の人口、中東の中でもアラビア半島の人口を見たものでございます。今から約三十年前の一九七〇年の中東の人口というのは二億人でございました。これが二〇〇〇年には二倍強の四億三千万人になっております。中でもアラビア半島の人口というのは三十年前にはわずか一千四百万人でございましたけれども、現在は三倍強の約五千万人になっております。
このように短期間に人口が増えた結果何が起きているかと申しますと、次の図表の8でございます。湾岸A国、B国。このA国というのはサウジアラビアでございまして、B国というのはクウェートでございますけれども、自国民の人口に占める若い人の比率が大変多くなっています。A国、サウジアラビアの場合を見ますと、十歳から十九歳の右の方に備考というのがございますが、累計五七%でございます。つまり、サウジアラビアでは自国民の人口のうち五七%が十九歳以下ということです。更に十歳広げますと、二十九歳以下が七三%になります。同じように横のB国、クウェートを見ますと、十九歳以下が五三%、二十九歳以下が七〇%ということになります。これは別にそのサウジアラビアとクウェート二か国に特化した話だけではございませんで、中東全体に共通する問題でございます。
そうした中、次のページ、二十九ページに行っていただきますと、図表9というのがございます。これは、中東の人々のうち都市に住んでいる人がどのぐらいかというものでございますが、これをごらんいただきますと、四十年前の一九六〇年には四人に一人でした。これが現在では五人に三人が都市に住んでいるわけでございますね。地方にいると就職の機会もないということで皆さん都会に出てくるわけですが、しかし、これだけ人口が増えている割には、先ほど申し上げましたように経済の規模が拡大していないものですから、実は都会に若い人が出てきているんだけれども職がないという状況で、つまり失業率が高くなっております。
三十ページのところにイランの場合について書いてございますが、イランの場合でございますけれども、三十ページの中ほどでございますが、推定の失業率が二五%ぐらいというふうに言われております。イランというのも日本と同じように、かつてと同じように五か年計画というのを作っておりまして、今から二年前の二〇〇〇年の三月に終わった五か年計画では、その前の五か年で四百万人、つまり一年間四十万人の人に雇用を与えようという計画を作っていました。ところが、五年終わって締めてみましたら、実際に雇用口が増えたのは百二十五万人、つまり、毎年二十五万人の人に職が与えられたにすぎませんでした。
そういう中で、その右の方に行きますと、二〇〇〇年三月から始まった、次の、現在の五か年計画なんですけれども、前の計画では実績で毎年二十五万人しか職に就けなかったんですけれども、現在の計画では五年間で三百八十万人の雇用を作ろうとしています。つまり、七十六万人ということで、実績に比べて三倍の雇用を作らなきゃいけないということでございまして、これは大変難しい問題だということがお分かりいただけると思います。これは、数字が出ているということでイランについて御説明をさせていただきましたけれども、これは中東軒並み、あるいはイスラム諸国と広げていいと思いますが、軒並みに同様の問題を抱えているところでございます。
同時に、先ほどもお水について申しましたけれども、お水と同様の問題が電力あるいは通信設備あるいは教育設備についてもございます。
人口増えているんですけれども、次第に財政が逼迫しておりますので、こうした基礎的なインフラ、ライフラインが不足ぎみになってきておると。これまではこうした基礎的なインフラ、ライフラインにつきまして政府の財政出動で、日本で言うところの公共事業に当たるかと思いますけれども、基礎インフラを整備してきたわけでございます。
ところが、これが財政難でできないということで、近年ではようやく経済改革と外資導入政策ということを導入いたしまして、BOTとかBOOTと言われておりますように、民間の資本、技術、それも特に外国の資本、技術を導入してこうした不足する基礎インフラ、ライフラインの整備に当たろうとしているわけでございます。欧米の国、欧米の企業は、これに現在積極的にこたえようとしているところでございます。
そういう中で我が国の状況なんでございますけれども、少し恐縮なんですが前の方に戻っていただいて、お手元の資料の十七ページに「湾岸産油国の現状と日本に寄せる期待」というのでまとめてございますが、天の時、地の利、人の和と、この三つに分けて我が国と中東の産油国を中心としたイスラム諸国を考えた場合、恐らく天の時と地の利というのは日本にとってだんだん有利な情勢にあるんではないかというふうに思われます。
十七ページのところに、段落目、第二の段落から「第一に、」「第二に、」というふうに書いておりますけれども、簡潔に申しますと、この中東のイスラムの産油国は次第にアメリカに対する依存からいろいろな意味で脱却をしたいと。そういう中で、やはりエネルギーの、彼らから見たマーケットとしてのアジアが重要である。その中でも、アジアの中でも経済大国であり信用できる国家ということで、日本に対する非常に期待が高まっております。
ただ、残念ながら日本は長引く経済的な低迷ということもありまして、日本のそういう期待に対する意識というのは大変低いということで、彼我のギャップが非常に大きいのが現状なんではないのかなというふうに思います。
じゃ、日本はこれからどうしていったらいいかということなんですけれども、私なりに日本と中東を中心とするイスラム諸国、あるいは欧米と中東を中心とするイスラム諸国との関係を見ていった場合、日本は何が足りないのかということでございますけれども、やはり人脈が基本的にないと。人脈がやはり希薄なためにどうしても基本的に必要な情報が入ってこない、情報がないのでその情報に基づいた的確な政策対応がどうしてもできにくいんではないかというふうに私は考えております。
二十三ページのところに、最後に「高まる日本への期待」というところでまとめてございますけれども、欧米は、王室あるいは王室のみならず王家以外の共和制の国家でも、政府高官と基本的にやはり同窓関係ですとか学友関係、これは安全保障も含めてですけれども、こういうもので、きずなでがっちりと結ばれておりまして、しかも、その王室とか政府関係者の周りにいる経済学者とか政治の政策者、そういう有力な顧問団と言われる集団をある程度欧米の場合には取り込んでおりまして、そこから適宜重要な情報を取っておる、あるいは逆にそれぞれ欧米の情報を流して自分の国の政策に沿うような形にそれらの国を動かしているということがあろうかと思うんですけれども、この点がどうも日本は後れているんではないかと思います。
ということで、これからやはり日本としては中東イスラム産油国を考えた場合には、ここ当面やはり、石油、天然ガス資源、中東地域に頼ることが続くと思われますので、これら中東イスラム諸国との人脈づくりを今からでも、やや遅いですけれども、積極的に行い、重要な情報を取りながら的確な政策展開をし、先方の求めている外資導入政策に乗る形で、石油資源の開発ですとかあるいは不足する基礎的なインフラの再整備ですとかこうした問題、あるいは失業者の解消のための雇用口の創出のための教育とか職業訓練ですね、こうした点での協力というのを行っていくことが望まれるのではないかと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →ただいま宮田参考人から主に政治を中心としたお話がございましたので、私は経済に焦点を当てまして、イスラム諸国と国際資源問題につき、御説明させていただきます。
経済の話ですとどうしても数字が出てまいりますので、お手元の資料、この緑表紙の「イスラム世界と日本の対応」資料ナンバー5というのを時折使いながら話を進めさせていただきたいと思います。全部で五つの柱を立てております。
第一は、世界の中でのイスラム諸国あるいは中東のイスラム諸国の経済力がどのぐらいあるかというお話でございます。
その中で、まず人口でございますけれども、世界の人口というのは大体六十億人ぐらい。その中で、発展途上国の人口が大体五十億人ぐらいでございますが、イスラムというのはイスラム諸国会議機構というのを五十七か国で構成しておりまして、その加盟国の人口が約十二億人でございますので、世界の人口の大体二割ぐらい、また発展途上国の総人口の四分の一弱ということでございます。そのイスラムの中での中東のイスラムの人口というのは、大体その三分の一ぐらいの四億人弱というのが現状でございます。
次に、GNPでございますけれども、現在の世界の全体のGNPというのが三十兆ドルぐらいで、その中での途上国のGNPというのが七兆ドルでございますが、その中でイスラム諸国のGNPというのは大体一兆三千億ドルぐらいでございますので、世界の全体のGNPの四%、途上国の全体のGNPの一八%ということでございますので、人口の比率と比べると経済の規模は小さいということがお分かりいただけると思います。
ただ、このイスラム諸国のGNP、一兆三千億ドルの中で中東のGNPが約六割の八千億ドルということでございますので、人口に比べてイスラムの中での中東の経済の規模の大きさというのが、後ほど御説明いたします石油資源もあることもありまして、高いと、大きいということがお分かりいただけるかと思います。
次に、一人当たりのGNPでございますが、イスラム世界の一人当たりのGNPというのはおよそ一千百ドルでございます。これは途上国の単純の平均のGNPと、一人当たりGNPというのが千四百ドルでございますから、それより約四分の一ぐらい小さいということになります。また、イスラム諸国会議機構、五十七か国ございますが、この中で統計がしっかりしておって、一人当たりGNPが分かっている国というのが五十か国あるんですけれども、実はその中の二十三か国というのは一人当たりGNPが七百八十五ドル、これは世界銀行が規定した低所得国という分類ですけれども、この七百八十五ドル以下の分類にあります。それでも全体の平均が千百ドルに少しかさ上げになっておりますのは、中東の産油国、例えばクウェートですとかアラブ首長国連邦ですとかカタールですとか、あるいはアジアのブルネイといったところが二万ドル内外の一人当たりGNPがあるからということによるものでございます。
第四といたしまして、貿易その他でのイスラム諸国の世界に占める経済力でございますけれども、輸出入とも大体三千三百億ドルぐらい、合計して大体七千億ドル弱ぐらいでございます。これ世界の大体の貿易量というのが十一兆ドルぐらい。このうち途上国の貿易量というのは四兆ドルぐらいですから、世界全体で見ると六%ぐらい、また途上国全体で見ると一六%ぐらいということでございますので、この面から見ましても、やはり人口の比率から見るとイスラム諸国の経済力というのは相対的に弱いということがお分かりいただけるかと思います。
また、その他というところでございますけれども、これ債務の問題なんですけれども、今から三年ほど前の九九年の六月のケルンで開かれましたサミットで、重債務貧困国、この救済をしようということでこのプログラムの拡大が決定をいたしまして、四十一か国、世界の四十一か国はその対象になったわけですけれども、その中の実は十五か国がイスラム諸国ということで、全体の四割ぐらいがイスラム諸国だったということでございますので、それだけ経済的にはイスラム諸国というのは弱体な存在だということが言えるかと思います。
次に、第二と第三と第四の柱でございますけれども、水と油の話でございまして、豊富な油資源と貴重な水資源についてでございます。
恐縮ですけれども、お手元のこの先ほどの資料ナンバー5の三十八ページというところに、現在の世界の原油の確認埋蔵量というものを示したものがございます。大体、現在、世界では石油というのは一兆バレルぐらいあるんですけれども、その一兆バレルのうちの大体七〇%ぐらいが中東に偏在しています。しかも、約三分の二、六五、六%がアラビア湾、あるいはペルシャ湾とも呼びますが、この湾岸の五か国に集中しております。
お手元の三十八ページのこの図を見ていただければお分かりいただけますように、実は世界の石油の二六%がサウジアラビア一国にあります。続いて、イラク一一%、アラブ首長国連邦大体一〇%ぐらい、クウェート九%、イラン九%ということで、この五か国だけで実は世界の石油の六五%があります。
中東に石油が偏在しているのみならず、実は毎年の生産量を埋蔵量で割るとあと何年石油がもつかというのが出てくるわけですけれども、世界全体では現在四十二年あるわけですが、ところがこれを中東だけを見ますと、実は中東は八十七年もあります。したがって、いかにその他の地域の石油が少ないかということがお分かりいただけるかと思います。
例えば、旧ソ連、東欧というのは、現在、ロシアが世界第二の産油国ですけれども、旧ソ連、東欧の石油の寿命というのは二十一年でございますし、中南米、これが中東に続いて長いんですけれども三十六年、アフリカ三十一年でございます。また、アメリカというのは大変、ここにもございますように、二百二十億バレルぐらいの埋蔵量を持っているんですけれども、じゃ、あと何年もつかという観点から見ますと、たった九年しかございません。
他方、中東は八十七年もあると。その中東の中でも、例えばアラブ首長国連邦、イラク、クウェート等は大体百二十年ぐらいはもつ石油があるということでございますので、埋蔵量が多いと同時に、大変先々まだ長もちする石油を持っている国々が多いということがお分かりいただけるかと思います。
続きまして、お手元の資料、少し戻っていただいて、二十五ページ目なんですけれども、埋蔵量があって長くまだ使えるということに加えまして、現在の石油の生産の能力の余っている力、余力がどのぐらいあるかというのを見ましたものが二十五ページ目の左側の図表の1というもの、この棒線の図でございます。
これごらんいただきますと、八〇年代には、多いときには一千万バレル・パー・デー超ぐらい、一日当たり一千万バレル超ぐらい、少ないときでも一日当たり六百万バレルぐらいございましたんですけれども、これが今日現在は三百八十万バレル・パー・デーぐらいというように余剰の生産能力が下がってきております。
しかも、この少なくなってきた余剰の生産能力のうちの八割が、先ほど申し上げた石油の埋蔵量が多い五か国に偏在をしておりますし、さらに言えば、三百八十万バレル・パー・デーある余剰能力のうちの四五%に当たる百七十万バレル・パー・デーがサウジアラビア一国に集中しているというのが現状であります。
同時に、四番目の話でございますが、中東に石油が偏在しておって、長くまだまだこれから掘れると。しかも、余っている設備の生産能力も中東に偏在している中で、これから新しいところを見付けて開発をして生産をするという場合にコストが問題になってくるわけでございますが、中東地域は総じて低コストでございまして、大体一ドルから八ドルぐらいで済みます。ところが、これが中東以外になりますと、十ドルから十五ドルぐらいということで、相対的に高いということでございますので、中東の石油をそれだけ掘った方が石油会社からいえば経済性があるんだということになるわけでございます。
そうした中東の石油資源をめぐりまして、かつてはアメリカ、ヨーロッパのいわゆる欧米のメジャーズという石油会社が中東の産油国の探鉱、開発、生産に当たってきたわけでございます。ところが、一九五〇年代後半からの様々な資源のナショナリズムということで各国国有化をいたしまして、大体一九八〇年代の初頭には中東の主要な産油国でも国営の石油会社というのができまして、これによりまして、欧米のメジャーズというのは石油の探鉱、開発の権利から離れていったわけであります。
ところが、それから十数年たちまして一九九〇年代の中ごろになりまして、再び中東の産油国が外国資本の再導入に動いてきております。先ほど、二十五ページでOPECの余剰生産能力を見ていただきました右の方にございますけれども、それぞれの国がそれぞれの理由で再び外国の手をかりて油田の探鉱、開発、生産に当たろうとしております。この中で、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア等の大手の石油会社は、積極的に中東の産油国の呼び掛けに応じる形で進出をしておるか、しようとしているところでございます。
他方、残念ながら日本の石油会社につきましては、資本的な問題あるいは技術的な問題もありまして、欧米の大手のメジャーズと比べますと出遅れているというのが現在のところでございます。
どのような国が現在外国資本の再導入に動いているかということでございますが、一番初めに動きましたのは、お手元の資料ですとこの3の実は(2)になりますけれども、イランでございます。イランというのは、一九七九年の革命、その後のイラクとの戦争、さらには九〇年代に入りましてからのアメリカの制裁というものがございましたもので、自分の国の技術と自分の国のお金で油田の保全をしたり新しいものを開発をしてきたわけでございます。
ところが、どうしても欧米の大手の石油会社との間の技術の格差というのがありまして、イランは現在石油の生産能力が頭打ちになってきております。それと同時に、アメリカによる制裁ですね、これを打破したいという政治的な考え方もございまして、石油利権を一部買い戻す、バイバック契約というものを提示することによって、欧米の石油会社を入れて再びイランの石油の生産力を高めようということを図っております。
これは、イラン、一九九五年から始めまして、これが先鞭になりまして、次にそこの(3)にありますイラク、リビア、これはどちらも現在国連の経済制裁下にあるわけですけれども、この国連の経済制裁を緩和する、あるいは最終的にはこの国連の経済制裁を撤廃するための政治的な手だてとしてこの油田への外国資本の導入というのを持ち出しておりまして、例えば、イラクの場合ですと、これに呼応してロシアですとか中国ですとかフランスですとか、あるいはその他のヨーロッパ諸国、更にはマレーシア等のアジアの産油会社が進出を決めようとしているところであります。
また、リビアにつきましては、やはり英国、イタリア等の欧州勢を中心に、また一部のアジアの国々が、この国、リビアの油田の探鉱、開発を行おうということで現在進出しようという姿勢を示しているところでございます。
それに続きましたのが1のクウェートでございまして、クウェートの場合には再び外国の資本の再導入を決めた理由がほかの国と少し違います。これは、御存じのように九〇年の八月にイラクに侵攻されました。したがって、現在でも安全保障上の懸念があるということで、クウェートはイラクとの国境に並んでいる油田地帯をアメリカとイギリスとフランスとイタリアの石油会社に権利を与えれば、当然それぞれの国の石油会社がそれぞれの国の政府に働き掛けて万が一のときには防いでくれるだろうという、そういう安全保障上の対策という観点からクウェートもこの九七年から外資を再導入するという動きを見せております。
最後に、こうしたイラン、イラク、リビア、クウェートというのが再び外資の導入に走りました中で、サウジアラビアはこれを黙って見ていたわけでありますけれども、ほかの国が、近隣のほかの国が外資を導入し、自分の国が外資を導入しないとなりますと、欧米の有力メジャーズが自分以外の国に行ってしまって自分以外の国の資源を買うということになると、そうなりますと取り残されるということがございまして、サウジアラビアも、これは石油ではなくてガスなんですけれども、ガスを欧米のメジャーズに開発してもらうという契約を現在交渉中でございます。この外国といった場合には、今のところアメリカとイギリスとフランスが入っておりまして、残念ながら日本には話が十分伝わっておりませんで、日本は入れてもらっておりません。
こうしたサウジアラビアと同様の動きを、北アフリカのアラブの盟主と言われておるエジプトも現在行っております。
エジプトにつきましては、若干日本も進出の意向を持って交渉を進めておりますけれども、やはり資本力、技術力に格差があるものですから、なかなか先方から色よい返事をもらえていないのが現状でございます。要は、この中東の産油国は再び外国資本の再導入に動いており、そうした中で、欧米の大手の石油会社は積極的にそれに呼応しておるけれども、日本はやや一歩も二歩も後れているのが現状だということでございます。
次に、貴重な水資源の話でございますけれども、中東で水資源を語る場合に紛争と関連した三つの地域がございます。
一つはトルコを中心とした地域でございまして、二つ目がイスラエルを中心とした地域、そして三つ目がエジプトを中心とした地域と。そして、元々砂漠地帯でお水がないということで、サウジアラビアを中心とする湾岸協力会議という国々についても水の問題がございます。
順に簡単に御説明をさせていただきますけれども、世界四大文明の発祥の地の一つでありますメソポタミアにはチグリス川とユーフラテス川というのが流れておりますけれども、この水源というのはどちらもトルコの東部の山の中にあります。このことが、水資源の上流国でありますトルコと下流国でありますシリアとイラクという関係を形作っておりまして、この三十年間、トルコ対シリア、トルコ対イラクの関係が政治問題とも絡んで非常に微妙な問題となってきております。
そもそも、約三十年ほど前にトルコが自分の国の農業用あるいは工業用に、これらチグリス・ユーフラテス川の河川の水を活用する計画を立てましたことから、その下流にありますシリア、イラクが、それでは自国に流れてくる水の供給量が制限されてしまうということで反発をいたしまして、両国間には水の供給量の約束ができたわけでございますが、その後、トルコが八〇年代になりまして、トルコの東部というのはクルド人というものが、人たちが多く住んでおりまして比較的開発が遅れているものですから、そこを積極的に開発したいということでトルコ東南部地方開発計画というのを進めまして、これに伴いまして河川部に多くの発電所ですとかダムを造りました。このために自然に流れる水量がやはり減ってきたということでイラクとシリアが反発をしておりまして、現在も毎年供給される水量をめぐる政治的な争い事が続いております。
次に、イスラエルとその周辺の情勢でございますが、元来、ガリラヤ湖というところから死海に至るヨルダン川の西岸の地域というのは水の資源に恵まれた地域なんですけれども、これを第三次中東戦争、一九六七年のイスラエルとアラブの戦争によりましてイスラエルが占領下に置きました。その結果、この地域からの水資源がイスラエルにとってはイスラエル国の水需要の三〇%ぐらいを供給するということになってきておりますもので、このことから、イスラエルとヨルダンあるいはイスラエルとパレスチナ自治政府との間で水の問題というのが重要な問題の一つとなってきております。
イスラエルとヨルダンにつきましては、一九九四年の十月に平和条約というのが締結されておりまして、その中できめ細かく水の問題についても規定されております。要すれば、イスラエルがヨルダンに供給する水の量を決めているわけでありますけれども、ただ実際には、近年天候不良のことが多うございまして干ばつぎみでございますので、イスラエルがヨルダンに供給する水が約束した水量に至っていないということで、元来非常に水の少ないヨルダンが政治的な問題を抱えているというのが一つございます。
二つ目に、イスラエルとパレスチナ自治政府でございますけれども、こちらも九五年の九月にパレスチナ暫定自治拡大協定というのが結ばれまして、その中で水について細かく規定されてきております。さらに、この二つの国同士、イスラエルとヨルダン、イスラエルとパレスチナだけでは、やはり同じ地域の水を使っているということで解決しないということで、一九九六年の二月にイスラエルとヨルダンとパレスチナ自治政府の三つの当局が水問題処理のための原則的枠組みというのに合意をいたしましたけれども、基本的に同じ水源を使っておりますものですから、やはり政治的に力の強い国がどうしても水量を多く取るということになっておりまして、現在もこの三者間での水をめぐる争いというのは絶えておりません。
最後に、イスラエルとシリアでございますけれども、イスラエルがガリラヤ湖というところに取水設備というのを一九六四年に造りました。ところが、このガリラヤ湖というものの水源がゴラン高原というところにございます。皆さんよく御存じだと思いますけれども、元来シリアの高原であったものをイスラエルが占領しております。このことがやはり両国間の和平交渉とも絡んで重要な問題となってきておりまして、御存じのように、イスラエルとシリアはまだ和平交渉を中断させたままでございますので、この水問題についても解決していないというのが現状でございます。
次に、エジプトとスーダンでございますけれども、元来エジプトというのは非常に砂漠の地域でございまして、雨に恵まれておりません。このために、水資源としてはナイル川が大変貴重なんですけれども、残念ながら、ナイル川を見た場合にはエジプトが下流国で上流国はスーダンとなります。このエジプトとスーダンの二か国というのは、歴史的に、政治的に関係が余り良好でないということで、常に水問題の争いがございます。現在は一応、一九五九年に新たに決められた水量供給協定というのがございまして、これに従ってエジプトが取る水の量が決まっています。
ただ、ざっと過去百二十年間ぐらいを振り返ってみますと、両国間で結んだ取水協定どおりに水量が供給されたというのはこの百二十年の六割に当たります七十年間ぐらいでございまして、残る四割に当たる五十年間ぐらいは十分な水が来なかったということで問題が起きております。エジプトは近年、人口増、都市化という問題もありますので、水問題が深刻化しているということでございます。
最後に、サウジアラビア等の湾岸協力会議機構の水問題ですけれども、これは元々砂漠地帯でございまして、水が希少資源でございますので、海水の淡水化ということで水を作って対処してきたわけでございます。ところが、こちらも人口増の中、財政難ということで十分な海水淡水化プラントができていないということになっておりまして、現在では首都のリヤドあるいは西部にあります商業都市ジェッダで夏になりますと断水が起きたり、あるいは給水の制限が起きたりというようなことで、アラビア半島方面におきましても水問題というのが近年大きな社会・政治問題化しているところでございます。
最後に、五つ目の柱ということで、中東産油国あるいはイスラム諸国の課題と我が国に対する期待の高まりという観点からお話をさせていただきたいと思います。
まず、中東のイスラム諸国とその他の途上国という観点で、過去三十年間の経済をざっと振り返ってみますと、一九七〇年の経済を一〇〇としますと、大体途上国の経済というのは今日四〇〇ぐらいになっています。その中で、中東の大体経済というのは三〇〇ぐらいということで、つまり、ほかの途上国に比べますと中東イスラム諸国の経済の拡大というのは後れているわけでございます。そうした中で、人口が増え、しかも人口が増える中で若い人が増え、都市化も高まっておるということで、失業問題と基礎的なインフラが足りないという問題が同時並行的に起きております。
お手元の資料を少しページを繰っていただきまして、二十八ページをごらんいただきたいと思います。
二十八ページ右上に図表7というのがございます。これは、中東の人口、中東の中でもアラビア半島の人口を見たものでございます。今から約三十年前の一九七〇年の中東の人口というのは二億人でございました。これが二〇〇〇年には二倍強の四億三千万人になっております。中でもアラビア半島の人口というのは三十年前にはわずか一千四百万人でございましたけれども、現在は三倍強の約五千万人になっております。
このように短期間に人口が増えた結果何が起きているかと申しますと、次の図表の8でございます。湾岸A国、B国。このA国というのはサウジアラビアでございまして、B国というのはクウェートでございますけれども、自国民の人口に占める若い人の比率が大変多くなっています。A国、サウジアラビアの場合を見ますと、十歳から十九歳の右の方に備考というのがございますが、累計五七%でございます。つまり、サウジアラビアでは自国民の人口のうち五七%が十九歳以下ということです。更に十歳広げますと、二十九歳以下が七三%になります。同じように横のB国、クウェートを見ますと、十九歳以下が五三%、二十九歳以下が七〇%ということになります。これは別にそのサウジアラビアとクウェート二か国に特化した話だけではございませんで、中東全体に共通する問題でございます。
そうした中、次のページ、二十九ページに行っていただきますと、図表9というのがございます。これは、中東の人々のうち都市に住んでいる人がどのぐらいかというものでございますが、これをごらんいただきますと、四十年前の一九六〇年には四人に一人でした。これが現在では五人に三人が都市に住んでいるわけでございますね。地方にいると就職の機会もないということで皆さん都会に出てくるわけですが、しかし、これだけ人口が増えている割には、先ほど申し上げましたように経済の規模が拡大していないものですから、実は都会に若い人が出てきているんだけれども職がないという状況で、つまり失業率が高くなっております。
三十ページのところにイランの場合について書いてございますが、イランの場合でございますけれども、三十ページの中ほどでございますが、推定の失業率が二五%ぐらいというふうに言われております。イランというのも日本と同じように、かつてと同じように五か年計画というのを作っておりまして、今から二年前の二〇〇〇年の三月に終わった五か年計画では、その前の五か年で四百万人、つまり一年間四十万人の人に雇用を与えようという計画を作っていました。ところが、五年終わって締めてみましたら、実際に雇用口が増えたのは百二十五万人、つまり、毎年二十五万人の人に職が与えられたにすぎませんでした。
そういう中で、その右の方に行きますと、二〇〇〇年三月から始まった、次の、現在の五か年計画なんですけれども、前の計画では実績で毎年二十五万人しか職に就けなかったんですけれども、現在の計画では五年間で三百八十万人の雇用を作ろうとしています。つまり、七十六万人ということで、実績に比べて三倍の雇用を作らなきゃいけないということでございまして、これは大変難しい問題だということがお分かりいただけると思います。これは、数字が出ているということでイランについて御説明をさせていただきましたけれども、これは中東軒並み、あるいはイスラム諸国と広げていいと思いますが、軒並みに同様の問題を抱えているところでございます。
同時に、先ほどもお水について申しましたけれども、お水と同様の問題が電力あるいは通信設備あるいは教育設備についてもございます。
人口増えているんですけれども、次第に財政が逼迫しておりますので、こうした基礎的なインフラ、ライフラインが不足ぎみになってきておると。これまではこうした基礎的なインフラ、ライフラインにつきまして政府の財政出動で、日本で言うところの公共事業に当たるかと思いますけれども、基礎インフラを整備してきたわけでございます。
ところが、これが財政難でできないということで、近年ではようやく経済改革と外資導入政策ということを導入いたしまして、BOTとかBOOTと言われておりますように、民間の資本、技術、それも特に外国の資本、技術を導入してこうした不足する基礎インフラ、ライフラインの整備に当たろうとしているわけでございます。欧米の国、欧米の企業は、これに現在積極的にこたえようとしているところでございます。
そういう中で我が国の状況なんでございますけれども、少し恐縮なんですが前の方に戻っていただいて、お手元の資料の十七ページに「湾岸産油国の現状と日本に寄せる期待」というのでまとめてございますが、天の時、地の利、人の和と、この三つに分けて我が国と中東の産油国を中心としたイスラム諸国を考えた場合、恐らく天の時と地の利というのは日本にとってだんだん有利な情勢にあるんではないかというふうに思われます。
十七ページのところに、段落目、第二の段落から「第一に、」「第二に、」というふうに書いておりますけれども、簡潔に申しますと、この中東のイスラムの産油国は次第にアメリカに対する依存からいろいろな意味で脱却をしたいと。そういう中で、やはりエネルギーの、彼らから見たマーケットとしてのアジアが重要である。その中でも、アジアの中でも経済大国であり信用できる国家ということで、日本に対する非常に期待が高まっております。
ただ、残念ながら日本は長引く経済的な低迷ということもありまして、日本のそういう期待に対する意識というのは大変低いということで、彼我のギャップが非常に大きいのが現状なんではないのかなというふうに思います。
じゃ、日本はこれからどうしていったらいいかということなんですけれども、私なりに日本と中東を中心とするイスラム諸国、あるいは欧米と中東を中心とするイスラム諸国との関係を見ていった場合、日本は何が足りないのかということでございますけれども、やはり人脈が基本的にないと。人脈がやはり希薄なためにどうしても基本的に必要な情報が入ってこない、情報がないのでその情報に基づいた的確な政策対応がどうしてもできにくいんではないかというふうに私は考えております。
二十三ページのところに、最後に「高まる日本への期待」というところでまとめてございますけれども、欧米は、王室あるいは王室のみならず王家以外の共和制の国家でも、政府高官と基本的にやはり同窓関係ですとか学友関係、これは安全保障も含めてですけれども、こういうもので、きずなでがっちりと結ばれておりまして、しかも、その王室とか政府関係者の周りにいる経済学者とか政治の政策者、そういう有力な顧問団と言われる集団をある程度欧米の場合には取り込んでおりまして、そこから適宜重要な情報を取っておる、あるいは逆にそれぞれ欧米の情報を流して自分の国の政策に沿うような形にそれらの国を動かしているということがあろうかと思うんですけれども、この点がどうも日本は後れているんではないかと思います。
ということで、これからやはり日本としては中東イスラム産油国を考えた場合には、ここ当面やはり、石油、天然ガス資源、中東地域に頼ることが続くと思われますので、これら中東イスラム諸国との人脈づくりを今からでも、やや遅いですけれども、積極的に行い、重要な情報を取りながら的確な政策展開をし、先方の求めている外資導入政策に乗る形で、石油資源の開発ですとかあるいは不足する基礎的なインフラの再整備ですとかこうした問題、あるいは失業者の解消のための雇用口の創出のための教育とか職業訓練ですね、こうした点での協力というのを行っていくことが望まれるのではないかと思います。
以上でございます。
関
関谷勝嗣#5
○会長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
これより質疑を行います。
本日も、あらかじめ質疑者を定めず質疑応答を行います。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
できるだけ多くの委員が質疑を行うことができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。
また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
なお、今回も、理事会協議の結果でございますが、まず大会派順に各会派一名一巡するよう指名をいたしまして、その後各委員の御希望の方の御意見をいただくということで本日も進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず山本一太君。
この発言だけを見る →これより質疑を行います。
本日も、あらかじめ質疑者を定めず質疑応答を行います。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。
できるだけ多くの委員が質疑を行うことができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いをいたします。
また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
なお、今回も、理事会協議の結果でございますが、まず大会派順に各会派一名一巡するよう指名をいたしまして、その後各委員の御希望の方の御意見をいただくということで本日も進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず山本一太君。
山
山本一太#6
○山本一太君 自民党の山本一太です。
まず最初に宮田参考人の方にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど参考人の方も言及されていた、ブッシュ大統領の最近の悪の枢軸発言という中にイランが含まれていたと。これは私にとってはかなり意外なことだったんですけれども、おっしゃったとおり、例の九・一一のテロ以降、アメリカがイランとのある程度関係修復に動くんではないかという見方もありましたし、参考人がおっしゃったとおり、いろいろな意味でイランとの関係をある程度修正していくということがアメリカの国益にもかなうというような見方もある中で、あえてブッシュ大統領がこの悪の枢軸発言、悪の枢軸の中にイランを含めたという背景についてなんですが、先ほど参考人がおっしゃったように、その背景にはアメリカの強力なイスラエル・ロビーがあるということもあるでしょうし、先般発覚した例の武器輸出のこと等もあると思うんですが、ヨーロッパ諸国等々についてもアメリカがイランに対して強硬姿勢を取ることについてはなかなかコンセンサスもないわけですね。先ほど言ったように、石油戦略の中でかなりここのイランもヨーロッパ諸国に対していろんなシグナルを送って関係強化を図っていると。
この中で悪の枢軸発言が行われたということが、本当におっしゃったとおり、本当にイスラエル・ロビーの力だけなのかなという気がするんですけれども、そこのところをちょっとお聞きをしたいということが一点です。
もう一つ、短く申し上げますが、トルコのことをおっしゃっていたんですけれども、私は数年前に外務政務次官だったときにトルコに参りまして、エジェビット首相と三十分ぐらい会談をしたことがありました。そのときにも、先ほど参考人がおっしゃった、トルコはEU加盟を目指して非常に今努力をしているけれども難しいという話があって、これはどうも国際社会から、EUからはイスラム教国ではないかというどうも違和感があるということと、やはりそのときに感じた一番大きな問題はやっぱり労働者の問題だったと。これでトルコがEUに入ってくるときに、何十万、何百万というトルコの労働者が入ってくるということをEUが非常に恐れているというようなお話もされていましたが、かなりその当時もジレンマを感じている、その雰囲気は伝わってきたんですけれども。
そこで、質問は、さっきもちょっとおっしゃいましたが、こういう中で今、トルコの中に極右の政党が台頭していると。特に若い世代にナショナリズムが非常に強くなっているという、このことがトルコの外交政策にどういう影響を与えるとお考えなのかという、今の二点をお伺いしたいと思います。
もう一つ、ちょっと急いで宮田参考人にも伺いたいと思うんですが、示していただいたデータと資料は非常に興味深くて、大変参考になりました。
そんな中で、最近、中東産油国が外資の導入に動いていると。それは、例えば安全保障の確保とか技術力の格差を埋めるためとか、あるいは経済制裁を打破するとかいう政治的な意図もあるという話があったんですけれども、とにかく今、私もその情勢を見ていると、アメリカとかヨーロッパのメジャーがどんどんどんどんこの石油の契約をしていくという中で、特に石油資源に、九〇%以上、ほとんどをこの石油を輸入に頼っている日本がこういう石油外交でこんなに後れていて大丈夫なのかというふうに思っておりまして、その点についてどういうふうなお考えを持っているか、お聞きしたいと思います。
もう一点は、私は、援助の仕事で、特に国連にいたときに中東等々にもかかわっていたんですけれども、日本の援助に対するやはり中東の国々の期待というのはおっしゃったように非常に大きいと思うんです。インフラ整備から含めていろんなことなんですが。
ただ、ここにも書いてあるように、外資、日本の企業の進出が極めて少ないということもあって、今、参考人のおっしゃった「天の時、地の利」があるとすれば、人の和を広げていくことによってこの状況を改善できるのではないかという話がありましたが、アメリカなんかは、確かに向こうの中東諸国のエリートはみんなアメリカに留学していますから、例えばジョージタウン大学にもヨルダンの若い国王とかも来ていましたし、そういう中で日本が人脈を作っていくためにどうすればいいのか。まず例えば具体的に何を始めたらいいのかということについてアイデアがあったら伺いたいと思います。
済みません、ちょっと長くなりました。──今の質問は畑中参考人。申し訳ありません。短くて結構ですから、簡潔にお願いします。
この発言だけを見る →まず最初に宮田参考人の方にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど参考人の方も言及されていた、ブッシュ大統領の最近の悪の枢軸発言という中にイランが含まれていたと。これは私にとってはかなり意外なことだったんですけれども、おっしゃったとおり、例の九・一一のテロ以降、アメリカがイランとのある程度関係修復に動くんではないかという見方もありましたし、参考人がおっしゃったとおり、いろいろな意味でイランとの関係をある程度修正していくということがアメリカの国益にもかなうというような見方もある中で、あえてブッシュ大統領がこの悪の枢軸発言、悪の枢軸の中にイランを含めたという背景についてなんですが、先ほど参考人がおっしゃったように、その背景にはアメリカの強力なイスラエル・ロビーがあるということもあるでしょうし、先般発覚した例の武器輸出のこと等もあると思うんですが、ヨーロッパ諸国等々についてもアメリカがイランに対して強硬姿勢を取ることについてはなかなかコンセンサスもないわけですね。先ほど言ったように、石油戦略の中でかなりここのイランもヨーロッパ諸国に対していろんなシグナルを送って関係強化を図っていると。
この中で悪の枢軸発言が行われたということが、本当におっしゃったとおり、本当にイスラエル・ロビーの力だけなのかなという気がするんですけれども、そこのところをちょっとお聞きをしたいということが一点です。
もう一つ、短く申し上げますが、トルコのことをおっしゃっていたんですけれども、私は数年前に外務政務次官だったときにトルコに参りまして、エジェビット首相と三十分ぐらい会談をしたことがありました。そのときにも、先ほど参考人がおっしゃった、トルコはEU加盟を目指して非常に今努力をしているけれども難しいという話があって、これはどうも国際社会から、EUからはイスラム教国ではないかというどうも違和感があるということと、やはりそのときに感じた一番大きな問題はやっぱり労働者の問題だったと。これでトルコがEUに入ってくるときに、何十万、何百万というトルコの労働者が入ってくるということをEUが非常に恐れているというようなお話もされていましたが、かなりその当時もジレンマを感じている、その雰囲気は伝わってきたんですけれども。
そこで、質問は、さっきもちょっとおっしゃいましたが、こういう中で今、トルコの中に極右の政党が台頭していると。特に若い世代にナショナリズムが非常に強くなっているという、このことがトルコの外交政策にどういう影響を与えるとお考えなのかという、今の二点をお伺いしたいと思います。
もう一つ、ちょっと急いで宮田参考人にも伺いたいと思うんですが、示していただいたデータと資料は非常に興味深くて、大変参考になりました。
そんな中で、最近、中東産油国が外資の導入に動いていると。それは、例えば安全保障の確保とか技術力の格差を埋めるためとか、あるいは経済制裁を打破するとかいう政治的な意図もあるという話があったんですけれども、とにかく今、私もその情勢を見ていると、アメリカとかヨーロッパのメジャーがどんどんどんどんこの石油の契約をしていくという中で、特に石油資源に、九〇%以上、ほとんどをこの石油を輸入に頼っている日本がこういう石油外交でこんなに後れていて大丈夫なのかというふうに思っておりまして、その点についてどういうふうなお考えを持っているか、お聞きしたいと思います。
もう一点は、私は、援助の仕事で、特に国連にいたときに中東等々にもかかわっていたんですけれども、日本の援助に対するやはり中東の国々の期待というのはおっしゃったように非常に大きいと思うんです。インフラ整備から含めていろんなことなんですが。
ただ、ここにも書いてあるように、外資、日本の企業の進出が極めて少ないということもあって、今、参考人のおっしゃった「天の時、地の利」があるとすれば、人の和を広げていくことによってこの状況を改善できるのではないかという話がありましたが、アメリカなんかは、確かに向こうの中東諸国のエリートはみんなアメリカに留学していますから、例えばジョージタウン大学にもヨルダンの若い国王とかも来ていましたし、そういう中で日本が人脈を作っていくためにどうすればいいのか。まず例えば具体的に何を始めたらいいのかということについてアイデアがあったら伺いたいと思います。
済みません、ちょっと長くなりました。──今の質問は畑中参考人。申し訳ありません。短くて結構ですから、簡潔にお願いします。
関
宮
宮田律#8
○参考人(宮田律君) 悪の枢軸、枢軸という表現自体、何かアナクロ的なものを感じてしまいますけれども、なぜイランをこの時期含めたかということですが、確かに、九・一一以降、イランは、例えばアフガニスタンとの国境を閉ざしてイスラム過激派の流入を防ぐ、あるいは米軍機の緊急着陸を認める、応ずるというようなことを言って、結構アメリカとイラン、一時期良好な関係にあのテロ以降あったとは思うんですけれども、最近のやはり中東情勢の混迷というものを背景にしてアメリカはやはりイランに対して厳しい姿勢を取りつつあるのかなという感じもします。
それは、今パレスチナでは、御存じのとおり、イスラム過激派あるいはパレスチナのPLOの過激派の自爆テロ、それに対するイスラエルの軍事報復という悪循環を繰り返していて、どうもブレークスルーが見えないような状態になっているわけですよね。シャロン政権、これは徹底的にパレスチナ人たちを軍事的に封じ込めて、パレスチナ人たちに自分たちの言いなりにさせようという、そういう意図だと思うんですけれども。そういうパレスチナの混迷も背景にして、イスラエルあるいはアメリカのユダヤ・ロビーがイスラエルにとっての脅威を強調するようになった。
そのイスラエルにとっての脅威、これはもちろん自爆テロもあるんでしょうけれども、イランあるいはイラクといういわゆるローグステーツ、ならず者国家というのがどうもイスラエルの脅威になっている。
これはイランについては、先ほども言いましたけれども、イスラエル国家の解体を唱えたり、あるいはレバノン南部で対イスラエルの軍事行動をするヒズボラに対して経済的な支援、あるいは軍事的な支援も多分与えているとは思うんですけれども、をやっているということですよね。それから、これも先ほど言いましたけれども、イランの核エネルギー開発というのがイランのイスラエル国家の解体という訴えとともにイスラエルの脅威になっているという気がしております。
従来、イランとハマスとの関係って僕は余りなかったと思うんですね、それほど強い結び付きはなかったと思うんですけれども。これはイスラムの宗派が違います。イランはさっきも言ったとおり、これはシーア派の国家で、ハマスはこれはスンニ派ですよね。従来、ハマスはムスリム同胞団、例えばエジプト辺りのムスリム同胞団とか、元々ハマスという組織自体がパレスチナのムスリム同胞団から出発したわけですけれども、それから、湾岸諸国との結び付き、特にサウジアラビア、クウェート辺りとの結び付きは強かったわけですけれども、イランとの関係というのはそんなになかったと思うんですね。
ただ、イランという国、これはいろんな傾向を持った人がおりますので、イラン政府がすべてコントロールすることはできない。それで、その中に、もしかして突出してパレスチナに武器を送った人たちもいたかもしれないということですね。政府としてハタミ大統領の意向の下に武器を送ったということは決して私はないというふうに思っております。
そういった、そうしたイランに脅威を感ずるアメリカのユダヤ・ロビー、やはり議会や政府に働き掛けてイランに対して、そうした中東和平の混迷を背景に急速にイランに対する厳格な措置を考えるようになったのかなという感じもしますけれども。
それと、ユダヤ・ロビーだけではなくて、最近のニュースを見ておりますと、どうも気になるのがアメリカの軍事費の増額問題と悪の枢軸という問題がやっぱりリンクするんじゃないかという気がしております。
二〇〇三年度の予算でアメリカは大幅に軍事予算を増やしたわけですけれども、やっぱり軍産複合体の意向を酌み取って、ブッシュ政権が悪の枢軸問題を持ち出したんじゃないかなという気がしています。やはりその軍産複合体、軍部や軍需産業にとっては、脅威というのが常にやっぱり必要だと思うんですよね。そのためには脅威というのは複数あった方がいい。もちろん、一番アメリカのやりたいのはイラクなんでしょうけれども、それよりもイランあるいは北朝鮮辺りを含めた方がちょっと脅威のイメージが膨らむかなという、そんな印象もしていますけれどもね。
それから、トルコでナショナリズムが台頭している、そうですね、確かにEUに入れないということがあって、トルコではナショナリズムが台頭していると思います。
これは、ヨーロッパへ行ってトルコのEU加盟についていろんな識者にインタビューしますと、やはりトルコ人の移民が、女性がスカーフを付けたりあるいはコートを着たりする、ああいう光景を見ると、どうもトルコという国はヨーロッパの仲間に入ってほしくないという思いがヨーロッパの側では強くなるらしいですね。それと、やはり労働者の問題もあります。さらには、ギリシャとのエーゲ海の領有問題などでも論争があって、なかなかEU諸国はトルコのEU加盟に前向きにならないということですよね。
そこでもってトルコでは、ヨーロッパに、ヨーロッパの仲間に入れないというジレンマから、イスラムが台頭したり、あるいはナショナリズムというものが台頭しているというふうに思います。その結果、トルコ外交の重点も中央アジアやコーカサスの方に向かっているのかなという気もしております。
特にイスラム神秘主義教団、ヌルジュとか、あるいはヌルジュの中のフェトフッラー・ギュレンというグループがあるんですけれども、イスラム神秘主義のイデオロギーを中央アジアあるいはコーカサスに持ち込んで、そこでもってイスラムの寺院であるモスクなどを積極的に造る。それにトルコの非常に民族主義的な傾向が強い企業がくっ付いていって、そこを足場に経済活動を展開するというようなことをやっております。
ヨーロッパに入れないジレンマから、トルコはアメリカに対して、より積極的に協力をしていくんじゃないかなという気がしています。ですから、アフガニスタン、あるいは今度の、これから起こるであろうイラクの問題についても、アメリカの軍事行動に関して、トルコが基地を提供するなど積極的に協力していくだろうという気がしております。それから、イスラエルとの軍事協力も、アメリカとの協力という一環もあってイスラエルとの軍事協力も前向きに図っていくという、そういう気がしております。トルコとイスラエル、これは九〇年代の後半になってから軍事訓練、共同の軍事訓練などを行ったりしておりますので、そういう協力関係が、アメリカ、それとイスラエル、それからトルコとの協力関係が進んでいくんじゃないかなという気がしていますけれども。
この発言だけを見る →それは、今パレスチナでは、御存じのとおり、イスラム過激派あるいはパレスチナのPLOの過激派の自爆テロ、それに対するイスラエルの軍事報復という悪循環を繰り返していて、どうもブレークスルーが見えないような状態になっているわけですよね。シャロン政権、これは徹底的にパレスチナ人たちを軍事的に封じ込めて、パレスチナ人たちに自分たちの言いなりにさせようという、そういう意図だと思うんですけれども。そういうパレスチナの混迷も背景にして、イスラエルあるいはアメリカのユダヤ・ロビーがイスラエルにとっての脅威を強調するようになった。
そのイスラエルにとっての脅威、これはもちろん自爆テロもあるんでしょうけれども、イランあるいはイラクといういわゆるローグステーツ、ならず者国家というのがどうもイスラエルの脅威になっている。
これはイランについては、先ほども言いましたけれども、イスラエル国家の解体を唱えたり、あるいはレバノン南部で対イスラエルの軍事行動をするヒズボラに対して経済的な支援、あるいは軍事的な支援も多分与えているとは思うんですけれども、をやっているということですよね。それから、これも先ほど言いましたけれども、イランの核エネルギー開発というのがイランのイスラエル国家の解体という訴えとともにイスラエルの脅威になっているという気がしております。
従来、イランとハマスとの関係って僕は余りなかったと思うんですね、それほど強い結び付きはなかったと思うんですけれども。これはイスラムの宗派が違います。イランはさっきも言ったとおり、これはシーア派の国家で、ハマスはこれはスンニ派ですよね。従来、ハマスはムスリム同胞団、例えばエジプト辺りのムスリム同胞団とか、元々ハマスという組織自体がパレスチナのムスリム同胞団から出発したわけですけれども、それから、湾岸諸国との結び付き、特にサウジアラビア、クウェート辺りとの結び付きは強かったわけですけれども、イランとの関係というのはそんなになかったと思うんですね。
ただ、イランという国、これはいろんな傾向を持った人がおりますので、イラン政府がすべてコントロールすることはできない。それで、その中に、もしかして突出してパレスチナに武器を送った人たちもいたかもしれないということですね。政府としてハタミ大統領の意向の下に武器を送ったということは決して私はないというふうに思っております。
そういった、そうしたイランに脅威を感ずるアメリカのユダヤ・ロビー、やはり議会や政府に働き掛けてイランに対して、そうした中東和平の混迷を背景に急速にイランに対する厳格な措置を考えるようになったのかなという感じもしますけれども。
それと、ユダヤ・ロビーだけではなくて、最近のニュースを見ておりますと、どうも気になるのがアメリカの軍事費の増額問題と悪の枢軸という問題がやっぱりリンクするんじゃないかという気がしております。
二〇〇三年度の予算でアメリカは大幅に軍事予算を増やしたわけですけれども、やっぱり軍産複合体の意向を酌み取って、ブッシュ政権が悪の枢軸問題を持ち出したんじゃないかなという気がしています。やはりその軍産複合体、軍部や軍需産業にとっては、脅威というのが常にやっぱり必要だと思うんですよね。そのためには脅威というのは複数あった方がいい。もちろん、一番アメリカのやりたいのはイラクなんでしょうけれども、それよりもイランあるいは北朝鮮辺りを含めた方がちょっと脅威のイメージが膨らむかなという、そんな印象もしていますけれどもね。
それから、トルコでナショナリズムが台頭している、そうですね、確かにEUに入れないということがあって、トルコではナショナリズムが台頭していると思います。
これは、ヨーロッパへ行ってトルコのEU加盟についていろんな識者にインタビューしますと、やはりトルコ人の移民が、女性がスカーフを付けたりあるいはコートを着たりする、ああいう光景を見ると、どうもトルコという国はヨーロッパの仲間に入ってほしくないという思いがヨーロッパの側では強くなるらしいですね。それと、やはり労働者の問題もあります。さらには、ギリシャとのエーゲ海の領有問題などでも論争があって、なかなかEU諸国はトルコのEU加盟に前向きにならないということですよね。
そこでもってトルコでは、ヨーロッパに、ヨーロッパの仲間に入れないというジレンマから、イスラムが台頭したり、あるいはナショナリズムというものが台頭しているというふうに思います。その結果、トルコ外交の重点も中央アジアやコーカサスの方に向かっているのかなという気もしております。
特にイスラム神秘主義教団、ヌルジュとか、あるいはヌルジュの中のフェトフッラー・ギュレンというグループがあるんですけれども、イスラム神秘主義のイデオロギーを中央アジアあるいはコーカサスに持ち込んで、そこでもってイスラムの寺院であるモスクなどを積極的に造る。それにトルコの非常に民族主義的な傾向が強い企業がくっ付いていって、そこを足場に経済活動を展開するというようなことをやっております。
ヨーロッパに入れないジレンマから、トルコはアメリカに対して、より積極的に協力をしていくんじゃないかなという気がしています。ですから、アフガニスタン、あるいは今度の、これから起こるであろうイラクの問題についても、アメリカの軍事行動に関して、トルコが基地を提供するなど積極的に協力していくだろうという気がしております。それから、イスラエルとの軍事協力も、アメリカとの協力という一環もあってイスラエルとの軍事協力も前向きに図っていくという、そういう気がしております。トルコとイスラエル、これは九〇年代の後半になってから軍事訓練、共同の軍事訓練などを行ったりしておりますので、そういう協力関係が、アメリカ、それとイスラエル、それからトルコとの協力関係が進んでいくんじゃないかなという気がしていますけれども。
畑
畑中美樹#9
○参考人(畑中美樹君) まず第一の御質問でございますけれども、中東産油国の外資導入に対して欧米メジャーズが積極進出していると、その中で日本の石油外交が大丈夫なのかという御質問かと思いますけれども、正直言って、現在、日本の企業の体力が落ちておりますし、加えて、日本の石油産業の場合、どうしても上流部門が弱いとか、石油産業の数が、企業の数が多いということがございますので、一番望まれますのは、やはり本来的には民間企業が積極的にこうした機会をとらえて進出するということだと思いますので、そうした民間企業が積極的に進出できるような環境を整えることという、これは様々な業界で行われてもおりますけれども、企業同士の再編を促進し、企業の体力を付けるような措置を取るということだと思います。と同時に、残念ながらそれだけでは時間が掛かりますでしょうから、日本の国としていかにそうした日本の、相対的に見ると欧米に比べて弱い日本の石油産業の海外での事業の獲得を支えるか、そういうメカニズムを作るかということがまず第一番だと思います。
それから、石油外交という広い観点でとらえた場合には、やはりこれからアジアでの石油の需要が急増すると、その急増する中で中東の主要な産油国も、やはりアジアのマーケットにシェアをかなり入れて集中的な努力をしようとしているということでありますから、アジアの中の大国であります日本が先進国としてリードする形でアジアの中でのエネルギー、石油、ガス、電力等の需給が完結する体制を積極的に作る、その旗振り役を行うというのが二つ目にあろうかと思います。
それから三つ目に、もう少し広い意味で、現在、世界的なレベルで産油国と消費国の対話というのが進めておりますけれども、これ、今年九月に大阪で次回の産消対話というのが開かれることになっておりますが、そういう場を通じて日本が積極的に世界的なレベルでも、エネルギーの需給、過不足ないような、政策に対して提言をするということが広い意味での日本の石油外交を強化するということになるんではないかと思います。
それから、人の和づくりに何をしたら良いかということでございますけれども、一番いいのは、やはり日本の大学ですとか研究所に中東イスラム諸国の有力な家系筋の方をお呼びして、そこで教育をしていただいて、日本のファンになっていただいて、日本の友人となって御帰国いただいて御活躍いただくというのが一番いいと思います。
ただ問題は、語学の壁がございまして、日本の大学とか研究機関の中で、これはアラビア語でなくてもいいわけで、アメリカ、イギリスは英語でやっているわけでございますので、英語で十分に指導をするようなまだ体制ができていないと思いますので、これをまずは早急に整備する必要があるんだろうと思います。
それから二つ目に、仮に日本語を十分にこなせるようになって本国に帰ったとしても、これを十分実は生かせる機会がありませんで、例えばエジプトなんかの場合ですと、結構カイロ大学というところで日本語の勉強をする方は多いんですけれども、卒業した後、現地の日本の企業がそうした方をほとんど採用しませんので、現状は観光ガイドとして日本から行く観光客の案内をしているというのが大半でございますので、日本の企業が積極的に日本で学んだ国々の方々を採用するような何かそういうシステムを作るということが考えられるのかと思います。
それからいま一つですけれども、教育と並んで、やはり文化面と言ったらいいと思うんですけれども、イギリスですとブリティッシュカウンシルですとか、フランスですとフランス文化センターというのが中東のある程度の国にはございますけれども、日本の場合には、残念ながらエジプトの首都カイロに一つ、国際交流基金でしたか、がございますけれども、それだけでございますので、どうも中東とかイスラムの人が日本というと、固有名詞を挙げるといけないのかもしれませんが、トヨタとかソニーとかホンダとかそういう企業、経済ということで日本を意識していると。日本とか日本人とか日本文化ということではどうしてもとらえてくれておりませんので、日本の文化をあまねく理解してもらえるような設備と施設というのをこれからやはり積極的に作っていくことが、日本を広く理解していただき、日本のファンになっていただく、友人、知人を作る手だてではないかというふうに思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →それから、石油外交という広い観点でとらえた場合には、やはりこれからアジアでの石油の需要が急増すると、その急増する中で中東の主要な産油国も、やはりアジアのマーケットにシェアをかなり入れて集中的な努力をしようとしているということでありますから、アジアの中の大国であります日本が先進国としてリードする形でアジアの中でのエネルギー、石油、ガス、電力等の需給が完結する体制を積極的に作る、その旗振り役を行うというのが二つ目にあろうかと思います。
それから三つ目に、もう少し広い意味で、現在、世界的なレベルで産油国と消費国の対話というのが進めておりますけれども、これ、今年九月に大阪で次回の産消対話というのが開かれることになっておりますが、そういう場を通じて日本が積極的に世界的なレベルでも、エネルギーの需給、過不足ないような、政策に対して提言をするということが広い意味での日本の石油外交を強化するということになるんではないかと思います。
それから、人の和づくりに何をしたら良いかということでございますけれども、一番いいのは、やはり日本の大学ですとか研究所に中東イスラム諸国の有力な家系筋の方をお呼びして、そこで教育をしていただいて、日本のファンになっていただいて、日本の友人となって御帰国いただいて御活躍いただくというのが一番いいと思います。
ただ問題は、語学の壁がございまして、日本の大学とか研究機関の中で、これはアラビア語でなくてもいいわけで、アメリカ、イギリスは英語でやっているわけでございますので、英語で十分に指導をするようなまだ体制ができていないと思いますので、これをまずは早急に整備する必要があるんだろうと思います。
それから二つ目に、仮に日本語を十分にこなせるようになって本国に帰ったとしても、これを十分実は生かせる機会がありませんで、例えばエジプトなんかの場合ですと、結構カイロ大学というところで日本語の勉強をする方は多いんですけれども、卒業した後、現地の日本の企業がそうした方をほとんど採用しませんので、現状は観光ガイドとして日本から行く観光客の案内をしているというのが大半でございますので、日本の企業が積極的に日本で学んだ国々の方々を採用するような何かそういうシステムを作るということが考えられるのかと思います。
それからいま一つですけれども、教育と並んで、やはり文化面と言ったらいいと思うんですけれども、イギリスですとブリティッシュカウンシルですとか、フランスですとフランス文化センターというのが中東のある程度の国にはございますけれども、日本の場合には、残念ながらエジプトの首都カイロに一つ、国際交流基金でしたか、がございますけれども、それだけでございますので、どうも中東とかイスラムの人が日本というと、固有名詞を挙げるといけないのかもしれませんが、トヨタとかソニーとかホンダとかそういう企業、経済ということで日本を意識していると。日本とか日本人とか日本文化ということではどうしてもとらえてくれておりませんので、日本の文化をあまねく理解してもらえるような設備と施設というのをこれからやはり積極的に作っていくことが、日本を広く理解していただき、日本のファンになっていただく、友人、知人を作る手だてではないかというふうに思います。
以上でございます。
関
木
木俣佳丈#11
○木俣佳丈君 参議院の木俣でございます、参議院は当たり前か、民主党の木俣でございます。
いろいろいいお話をありがとうございました。
まず、恐らく畑中参考人への質問かと思いますが、かいつまんで申しますと、まず日本の中からいいますと、石油の中東依存というのは、オイルショックが七七でしたっけ、今、去年が八六、今年が八八ぐらいになるだろうと、こういうお話だと思いますが、例のサウジのカフジのあの失効も含めて、非常に石油戦略としては失敗しておるんではないかという気持ちがございますが、これに対して御意見を是非伺いたいということと、今言われたように、確かに石油の埋蔵は七〇%が中東にあるわけでございますけれども、しかし、やはり安全保障ということから考えた場合に、脱中東ということを、そして脱石油というか、現在一次エネルギー総供給の約五二%を石油が占めておると思いますけれども、やはりこれを欧州並みの四〇%までに持っていくとか、こういったことが私は大事ではないかと。その際に、原子力も大事でございますけれども、やはり天然ガス、こういったところに転換をしていくのかなと。
天然ガスというと、周りを見渡しますと、例えばソ連のコビクタ、もちろんサハリンのワン、ツーがございますよね。中国のもちろん西部というのもありますけれども、特にソ連を考えたとき、私は担当をしておりましたので、果たしてきちっと交渉ができるのかどうか。そしてさらには、パイプライン、国際パイプラインになると思います、生ガスで持ってこないとなかなか採算が合わないと思いますが、そういったパイプラインが環日本海を巡るような形で可能性がどのぐらいあると思われるのか。こんなところをお話しいただければと。
さらに、メジャーのお話が出ておりますが、例えば第一番のエクソンモービルでは、大体日本円換算で売上げ二十五兆円、トヨタの三倍の大きさを持っております。先ほどもお話がありましたように、アップストリームの、つまり上流部での利益の確保ということを彼らは目指して利権を獲得しているんですが、現在メジャーが支配する石油の生産ですね、これは相当、だからこれ、いっときと比べますと七割から、最盛期ですね、それから今三割ぐらいかと思いますが、この辺、どのパーセントぐらいだったかということを教えていただくと同時に、それから、メジャーと一緒にどのようにできるのかなと。もちろん、メジャーといってもアメリカからイギリスからフランスからあるわけですが、どの辺のメジャーの方とうまくやれるのかなというふうに思うんで、その辺りも伺いたいと思います。
それから、米国のエネルギーの政策、昨年の六月でしたか、ブッシュが出したわけでございますが、百五の提案ということで、アラスカの開発から、エネルギーである意味で需要を喚起して、アメリカ経済をVの字形にだから再生していこうというもくろみだったと私は思っておりますが、上院のジェフォースですね、あれが、だから寝返った結果、上院のバランスが崩れまして、それで私が昨月もある上院議員でエネルギーのナンバーツーのような民主党の上院議員と会いましたけれども、そのときにエネルギーの米国の政策は大きく変わらざるを得ないよと、こういう話がありましたが、こういったものが日本のエネルギーの政策にどんな影響を与えるかということをちょっと教えていただきたいということと、それから、例の悪の枢軸というのが、イランを入れた理由も分かるんでございますけれども、アザデガンに対してどんな影響を与えるのかなということを、いろいろちょっと網羅的にありましたけれども、是非お願いします。
この発言だけを見る →いろいろいいお話をありがとうございました。
まず、恐らく畑中参考人への質問かと思いますが、かいつまんで申しますと、まず日本の中からいいますと、石油の中東依存というのは、オイルショックが七七でしたっけ、今、去年が八六、今年が八八ぐらいになるだろうと、こういうお話だと思いますが、例のサウジのカフジのあの失効も含めて、非常に石油戦略としては失敗しておるんではないかという気持ちがございますが、これに対して御意見を是非伺いたいということと、今言われたように、確かに石油の埋蔵は七〇%が中東にあるわけでございますけれども、しかし、やはり安全保障ということから考えた場合に、脱中東ということを、そして脱石油というか、現在一次エネルギー総供給の約五二%を石油が占めておると思いますけれども、やはりこれを欧州並みの四〇%までに持っていくとか、こういったことが私は大事ではないかと。その際に、原子力も大事でございますけれども、やはり天然ガス、こういったところに転換をしていくのかなと。
天然ガスというと、周りを見渡しますと、例えばソ連のコビクタ、もちろんサハリンのワン、ツーがございますよね。中国のもちろん西部というのもありますけれども、特にソ連を考えたとき、私は担当をしておりましたので、果たしてきちっと交渉ができるのかどうか。そしてさらには、パイプライン、国際パイプラインになると思います、生ガスで持ってこないとなかなか採算が合わないと思いますが、そういったパイプラインが環日本海を巡るような形で可能性がどのぐらいあると思われるのか。こんなところをお話しいただければと。
さらに、メジャーのお話が出ておりますが、例えば第一番のエクソンモービルでは、大体日本円換算で売上げ二十五兆円、トヨタの三倍の大きさを持っております。先ほどもお話がありましたように、アップストリームの、つまり上流部での利益の確保ということを彼らは目指して利権を獲得しているんですが、現在メジャーが支配する石油の生産ですね、これは相当、だからこれ、いっときと比べますと七割から、最盛期ですね、それから今三割ぐらいかと思いますが、この辺、どのパーセントぐらいだったかということを教えていただくと同時に、それから、メジャーと一緒にどのようにできるのかなと。もちろん、メジャーといってもアメリカからイギリスからフランスからあるわけですが、どの辺のメジャーの方とうまくやれるのかなというふうに思うんで、その辺りも伺いたいと思います。
それから、米国のエネルギーの政策、昨年の六月でしたか、ブッシュが出したわけでございますが、百五の提案ということで、アラスカの開発から、エネルギーである意味で需要を喚起して、アメリカ経済をVの字形にだから再生していこうというもくろみだったと私は思っておりますが、上院のジェフォースですね、あれが、だから寝返った結果、上院のバランスが崩れまして、それで私が昨月もある上院議員でエネルギーのナンバーツーのような民主党の上院議員と会いましたけれども、そのときにエネルギーの米国の政策は大きく変わらざるを得ないよと、こういう話がありましたが、こういったものが日本のエネルギーの政策にどんな影響を与えるかということをちょっと教えていただきたいということと、それから、例の悪の枢軸というのが、イランを入れた理由も分かるんでございますけれども、アザデガンに対してどんな影響を与えるのかなということを、いろいろちょっと網羅的にありましたけれども、是非お願いします。
関
畑
畑中美樹#13
○参考人(畑中美樹君) 多分七つぐらいの御質問だったと思いますけれども、順番に分かる限りお答えさせていただきたいと思います。
まず、石油戦略が失敗したかどうかということですけれども、恐らく、まだ途中なので失敗したかどうかという結論付けるのは早いんだろうと思うんですね。それはもちろん、サウジアラビアのアラビア石油の場合には権益が失効いたしましたけれども、まだクウェート等はサービス請負契約の交渉をしておりますし、アブダビの権益はこれはまだ保持、堅持すべくまだ交渉しておりますし、さらに、リビアとか将来的なイラクですとかアルジェリアですとかその他の国々に対する石油の利権を確保すべく今それなりに努力をしているところでございますので、まだ成功とも失敗とも言えないんじゃないかというのが……
この発言だけを見る →まず、石油戦略が失敗したかどうかということですけれども、恐らく、まだ途中なので失敗したかどうかという結論付けるのは早いんだろうと思うんですね。それはもちろん、サウジアラビアのアラビア石油の場合には権益が失効いたしましたけれども、まだクウェート等はサービス請負契約の交渉をしておりますし、アブダビの権益はこれはまだ保持、堅持すべくまだ交渉しておりますし、さらに、リビアとか将来的なイラクですとかアルジェリアですとかその他の国々に対する石油の利権を確保すべく今それなりに努力をしているところでございますので、まだ成功とも失敗とも言えないんじゃないかというのが……
木
畑
畑中美樹#15
○参考人(畑中美樹君) 目標との対比でいけば、もちろんそれは未達ということでございますね。
私が思うには、石油戦略を考える場合に、やはり中東の石油諸国になりますとアラブあるいはペルシャになりますので、もう少し、先方の民族性とか文化的な物の考え方とか、そうしたものを取り入れた上での石油政策というものを取り入れるということが必要になってくるんではないかなと。ただ石油ビジネスだけで割り切ってアプローチするというのは、向こうが何を本当に思っているかというところまで琴線に触れないものですから、その辺が少し日本の場合には欧米と比べると、先ほど申したような人脈とか情報の関係で落つるのかなというのが感じているところでございます。
それから、脱中東というのは私も賛成でございまして、常々私は、人間には二つ手があるんだから、右手で脱中東、左手で親中東だと言っているんですけれども、脱中東をする中での親中東をやはりしていくべきなんだというのが基本的な考えでございまして、木俣先生のお考えには私もそこのところは賛成でございます。
それから、交渉力があるかないかということでございますけれども、これは別に対ロシアの石油の問題だけではなくて日本人全体に共通することになるんだと思いますが、やはりロシアにしろアラブにしろ、こういうタフネスネゴシエーターでありますので、日本人の場合にはどうしても交渉下手というのは、これは事実として過去の経緯から見ていくと否めないのかなという気がいたします。
それから、環日本海のパイプラインの可能性でございますけれども、これは私は技術的には十分可能なんだろうと。ただ、問題はコスト面で採算が合うかどうかでございまして、これは日本だけに持ってきたんでは需要が少ないでしょうから合わないと。したがって、ほかに日本を超えた地域での大きな需要があるかどうかということに基本的には懸かってくるんではないのかと思います。
それから、メジャーズでございますけれども、現在、木俣先生がおっしゃったように、世界の石油に占めるシェアは大体三割ということで、これはそのとおりでございます。
それから、五番目の、メジャーズとの組み方ということでございますが、これは基本的にアメリカ、イギリス、フランス、イタリア等、旧宗主国との関係がございますので、例えばフランスの場合ですと、アルジェリアなどとの案件ではフランスと組むことが、相対的にフランスがアルジェリアのことをよく知っておりますので、いいんではないかと思いますし、またリビアなどではイタリアが詳しいですから、そこと組むのがいいんではないかと。また、サウジアラビアの場合には基本的にやはりアメリカがどうしても強いですから、アメリカと組むということがいいんだろうなと。日本の石油企業の基礎的な体力から考えますと、単独でやはりこれから、当面の間ですね、石油の権益を確保、獲得するということは難しいと考えられますから、やはり欧米のメジャーズと何らかの形で組んでいくというのは、それは有効な政策ではないかと思います。
それから、アメリカのエネルギー政策、百五の提案の日本のエネルギーへの影響ということですけれども、これは私は結構大きな影響があるんだろうと思います。
これは、端的に言えば、アメリカが自分の国のエネルギーは比較的自分の国ないし自分の国に近いところからのエネルギー供給で充足しようと。具体的にはアメリカ大陸で自己完結するようなエネルギー体制を作ろうとしているわけで、それは裏を返せば、中東に対する、あるいはアラビア湾岸、ペルシャ湾岸に対する依存度を軽減させていこうということになるでしょうから、その場合、将来的に、じゃアメリカのペルシャ湾、アラビア湾に対するコミットメントが下がった場合に、日本としてそのオイルフローをどのように獲得していくかという問題になりますので、そのオイルフローをいかに安全保障を確保しながら守るのかと、そういう大きな影響があるような気がいたします。
最後に、アザデガン油田への影響でございますけれども、このアザデガン油田につきましては、現状、日本が先行して交渉優先権を獲得をしておりますけれども、それと同時に、やはり大変巨大な油田でございますので、資金的にも技術的にも日本単独で行うことが一〇〇%可能でないかもしれないということで、欧州等の企業とも相談をしながらやっております。その中には恐らく今回のアメリカの悪の枢軸発言の中の、イランを含めたことに対する懸念を有する国もあるかと思いますけれども、ただ他方で、例えばイギリスとかアメリカに対して積極的に挑戦をするというか、アメリカとは別の考えでいこうという国もありますので、そういう国を盾に取りながら、日本としてはむしろ防衛的に進めていくことができるんではないかなというのが個人的な意見であります。
この発言だけを見る →私が思うには、石油戦略を考える場合に、やはり中東の石油諸国になりますとアラブあるいはペルシャになりますので、もう少し、先方の民族性とか文化的な物の考え方とか、そうしたものを取り入れた上での石油政策というものを取り入れるということが必要になってくるんではないかなと。ただ石油ビジネスだけで割り切ってアプローチするというのは、向こうが何を本当に思っているかというところまで琴線に触れないものですから、その辺が少し日本の場合には欧米と比べると、先ほど申したような人脈とか情報の関係で落つるのかなというのが感じているところでございます。
それから、脱中東というのは私も賛成でございまして、常々私は、人間には二つ手があるんだから、右手で脱中東、左手で親中東だと言っているんですけれども、脱中東をする中での親中東をやはりしていくべきなんだというのが基本的な考えでございまして、木俣先生のお考えには私もそこのところは賛成でございます。
それから、交渉力があるかないかということでございますけれども、これは別に対ロシアの石油の問題だけではなくて日本人全体に共通することになるんだと思いますが、やはりロシアにしろアラブにしろ、こういうタフネスネゴシエーターでありますので、日本人の場合にはどうしても交渉下手というのは、これは事実として過去の経緯から見ていくと否めないのかなという気がいたします。
それから、環日本海のパイプラインの可能性でございますけれども、これは私は技術的には十分可能なんだろうと。ただ、問題はコスト面で採算が合うかどうかでございまして、これは日本だけに持ってきたんでは需要が少ないでしょうから合わないと。したがって、ほかに日本を超えた地域での大きな需要があるかどうかということに基本的には懸かってくるんではないのかと思います。
それから、メジャーズでございますけれども、現在、木俣先生がおっしゃったように、世界の石油に占めるシェアは大体三割ということで、これはそのとおりでございます。
それから、五番目の、メジャーズとの組み方ということでございますが、これは基本的にアメリカ、イギリス、フランス、イタリア等、旧宗主国との関係がございますので、例えばフランスの場合ですと、アルジェリアなどとの案件ではフランスと組むことが、相対的にフランスがアルジェリアのことをよく知っておりますので、いいんではないかと思いますし、またリビアなどではイタリアが詳しいですから、そこと組むのがいいんではないかと。また、サウジアラビアの場合には基本的にやはりアメリカがどうしても強いですから、アメリカと組むということがいいんだろうなと。日本の石油企業の基礎的な体力から考えますと、単独でやはりこれから、当面の間ですね、石油の権益を確保、獲得するということは難しいと考えられますから、やはり欧米のメジャーズと何らかの形で組んでいくというのは、それは有効な政策ではないかと思います。
それから、アメリカのエネルギー政策、百五の提案の日本のエネルギーへの影響ということですけれども、これは私は結構大きな影響があるんだろうと思います。
これは、端的に言えば、アメリカが自分の国のエネルギーは比較的自分の国ないし自分の国に近いところからのエネルギー供給で充足しようと。具体的にはアメリカ大陸で自己完結するようなエネルギー体制を作ろうとしているわけで、それは裏を返せば、中東に対する、あるいはアラビア湾岸、ペルシャ湾岸に対する依存度を軽減させていこうということになるでしょうから、その場合、将来的に、じゃアメリカのペルシャ湾、アラビア湾に対するコミットメントが下がった場合に、日本としてそのオイルフローをどのように獲得していくかという問題になりますので、そのオイルフローをいかに安全保障を確保しながら守るのかと、そういう大きな影響があるような気がいたします。
最後に、アザデガン油田への影響でございますけれども、このアザデガン油田につきましては、現状、日本が先行して交渉優先権を獲得をしておりますけれども、それと同時に、やはり大変巨大な油田でございますので、資金的にも技術的にも日本単独で行うことが一〇〇%可能でないかもしれないということで、欧州等の企業とも相談をしながらやっております。その中には恐らく今回のアメリカの悪の枢軸発言の中の、イランを含めたことに対する懸念を有する国もあるかと思いますけれども、ただ他方で、例えばイギリスとかアメリカに対して積極的に挑戦をするというか、アメリカとは別の考えでいこうという国もありますので、そういう国を盾に取りながら、日本としてはむしろ防衛的に進めていくことができるんではないかなというのが個人的な意見であります。
木
畑
木
畑
畑中美樹#19
○参考人(畑中美樹君) はい。ただ、先行きは分かりませんので、将来的には、先ほど申したように欧米メジャーズ等いろんな組み方がありますから、そういうこともあるかもしれませんので。
よろしいでしょうか。
この発言だけを見る →よろしいでしょうか。
木
関
宮
宮田律#22
○参考人(宮田律君) 経済的なことは畑中参考人の方からお答えがありましたので、最後のイランの問題と関連しまして、日本として対イラン政策をどうするかということですけれども、これは何回もさっき言いましたか、アメリカの対イラン政策ってどこかやっぱり孤立していると思うんですよね。ですから、アメリカにその孤立感を与えるようなことをすればアメリカのその政策も少しは変わるのかなという、そういう印象です。
ですから、言わばヨーロッパ諸国の動向をにらみながら日本としてもイランとの経済交流を進めていけばいいのかなという、そんな気がしています。
この発言だけを見る →ですから、言わばヨーロッパ諸国の動向をにらみながら日本としてもイランとの経済交流を進めていけばいいのかなという、そんな気がしています。
関
高
高野博師#24
○高野博師君 両参考人には五分以内で一問ずつお伺いしたいと思います。
まず宮田参考人ですが、日本の対中央アジアあるいはカスピ海沿岸のジオストラテジーという論文、書かれておりますね。地戦略はいかにあるべきかということをお伺いしたいんですが。
実は私、四、五年前にこのカスピ海沿岸の石油が、あるいは天然ガスが注目され始めたときに、ウズベキスタンとカザフスタンに行きました。トルクメニスタンとかアゼルバイジャンまで行きたかったんですが、大使館がないものですから、この二つに、やむを得ず二つだけにしてロシア経由で行ったんですが、あそこの、中央アジアというのはシルクロードの伝統がありまして、どういう人種、民族でも受け入れるというか寛容の精神が、オアシスを求めてきた人はだれでも受け入れるという寛容の精神があるというところ、非常に気に入ったんですが、韓国も相当入っていまして、韓国の自動車も相当売っている、それから製品も売っている。中国も当然地続きですから入っているんですが、日本のプレゼンスのはほとんどありませんでした。そういう意味では、もっと地戦略を練った上で日本というのはもっとここに入っていく必要があるんではないかと思っているんですが。
例えばアフガンの問題についても、アフガン復興という人道的観点から一生懸命日本は援助しているんですが、ほかの国は必ずしもそうではない。アメリカとか欧米の政策の背後には必ず投資家とか投機家がいるわけで、そういう政策が、そういうものが反映されているんですが、日本はもっと、表に出すことができませんが、ユーラシア外交の中で、あるいは中央アジア外交の中でこのアフガン復興なんかもきちんと位置付ける必要があるんではないかと。もっと国益とかあるいは戦略というのを考える必要があるんではないかと思っておりまして、アフガンの北西部には相当天然ガスが出るとも言われている。各国は相当な思惑があって対応していると思うんですよ。その点についてお伺いしたいと。
それから畑中参考人には、地球上の石油資源があと平均すると五、六十年で枯渇すると言われているんですが、地球温暖化の問題もあって自然エネルギーとか再生可能エネルギーが開発されてくる、そして石油も枯渇すると資源外交というのは変わってくるんではないかなと。湾岸地域の重要性も当然変化してくるんではないか。国際的な紛争とか領土問題の背景には大体資源問題があるんですが、それも変わってくるんではないか。
そこで、湾岸諸国というのは八十五年、八十年後でもいいんですが、五、六十年後の資源の問題を展望した上で何か対応を考えているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →まず宮田参考人ですが、日本の対中央アジアあるいはカスピ海沿岸のジオストラテジーという論文、書かれておりますね。地戦略はいかにあるべきかということをお伺いしたいんですが。
実は私、四、五年前にこのカスピ海沿岸の石油が、あるいは天然ガスが注目され始めたときに、ウズベキスタンとカザフスタンに行きました。トルクメニスタンとかアゼルバイジャンまで行きたかったんですが、大使館がないものですから、この二つに、やむを得ず二つだけにしてロシア経由で行ったんですが、あそこの、中央アジアというのはシルクロードの伝統がありまして、どういう人種、民族でも受け入れるというか寛容の精神が、オアシスを求めてきた人はだれでも受け入れるという寛容の精神があるというところ、非常に気に入ったんですが、韓国も相当入っていまして、韓国の自動車も相当売っている、それから製品も売っている。中国も当然地続きですから入っているんですが、日本のプレゼンスのはほとんどありませんでした。そういう意味では、もっと地戦略を練った上で日本というのはもっとここに入っていく必要があるんではないかと思っているんですが。
例えばアフガンの問題についても、アフガン復興という人道的観点から一生懸命日本は援助しているんですが、ほかの国は必ずしもそうではない。アメリカとか欧米の政策の背後には必ず投資家とか投機家がいるわけで、そういう政策が、そういうものが反映されているんですが、日本はもっと、表に出すことができませんが、ユーラシア外交の中で、あるいは中央アジア外交の中でこのアフガン復興なんかもきちんと位置付ける必要があるんではないかと。もっと国益とかあるいは戦略というのを考える必要があるんではないかと思っておりまして、アフガンの北西部には相当天然ガスが出るとも言われている。各国は相当な思惑があって対応していると思うんですよ。その点についてお伺いしたいと。
それから畑中参考人には、地球上の石油資源があと平均すると五、六十年で枯渇すると言われているんですが、地球温暖化の問題もあって自然エネルギーとか再生可能エネルギーが開発されてくる、そして石油も枯渇すると資源外交というのは変わってくるんではないかなと。湾岸地域の重要性も当然変化してくるんではないか。国際的な紛争とか領土問題の背景には大体資源問題があるんですが、それも変わってくるんではないか。
そこで、湾岸諸国というのは八十五年、八十年後でもいいんですが、五、六十年後の資源の問題を展望した上で何か対応を考えているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
宮
宮田律#25
○参考人(宮田律君) 高野先生の言われるとおりだと思います。
つまり、アフガニスタンの紛争とか不安定というのが中央アジア諸国の発展にとって大きな阻害要因になってきたというふうに考えられます。つまり、中央アジア諸国と、例えばインドそれからパキスタンといった南アジアとの経済交流あるいは交通をアフガニスタンの紛争が遮断していたと思うんですよね。例えばタジキスタンの首都ドシャンベからパキスタンの首都イスラマバードまで、これは飛行機で飛べば一時間も掛からないような距離であったわけですけれども、アフガニスタンで紛争があったためにその距離がなかなか到達しなかった。その結果、中央アジア諸国の発展が大分遅れてしまったという気がしております。そのために、中央アジア諸国は勢い北の大国であるロシアに政治的にも経済的にも依存せざるを得なかったということですよね。
ですから、中央アジア諸国の発展を、陸に閉ざされたその中央アジア諸国の発展を考える上では、今後のアフガニスタンの安定というのが欠くことができないんじゃないかなという気がしております。アフガニスタンで平和や安定が実現すれば、中央アジアの資源をアフガニスタンを通してインド洋まで持ってくることもできる。従来、それほど日本にとって関係のなかった中央アジアの資源を日本に輸入することも可能になるという気がしております。
そういうことを考えると、アフガン復興支援というのは単にアフガニスタンの人たちを助けるだけではなくて、日本にとってもメリットのある、経済的なメリットがある話だと思うんですね。だから、その辺を意識してやったらいいとは思うんですよね。
これは、アフガニスタンを訪ねてみますと、大変対日感情というのはほかのイスラム諸国と同様に良好でして、私たちが取材しているとアフガン人が遠くから走ってやってきて、日本人と対話したがっている。日本の経済発展あるいは高度なテクノロジーに対する尊敬みたいなものもあるようですし、日本とアフガニスタンというのはこれから協力関係というのは十分追求できるんじゃないかなという、そういう印象を、昨年十月末にアフガニスタン訪ねたんですけれども、そういう印象を持ちました。ですから、中央アジアとの関係を考える上でもアフガニスタンというのが大事だと思います。
ただ、やっぱり日本の対応というのはどうも後れがちという印象は否めないですよね。タジキスタンについては近々、もう開いたのかな、大使館を開く計画があるそうですけれども、アフガニスタンでアメリカ、イギリスの空爆が始まって、十月末に訪ねたときにはタジキスタンに日本の外務省の省員って一人もいなかったですよね。もっと積極的に展開した方がいいんじゃないかなという気がしております。
アフガン復興については、これは今カブールとその周辺のみしか注意が行ってないような気がしますので、もっと地域的にも幅広く目配りした支援というのが必要じゃないか。それは、さっきも言ったとおり、日本の国益にとっても必要だという気がしています。
この発言だけを見る →つまり、アフガニスタンの紛争とか不安定というのが中央アジア諸国の発展にとって大きな阻害要因になってきたというふうに考えられます。つまり、中央アジア諸国と、例えばインドそれからパキスタンといった南アジアとの経済交流あるいは交通をアフガニスタンの紛争が遮断していたと思うんですよね。例えばタジキスタンの首都ドシャンベからパキスタンの首都イスラマバードまで、これは飛行機で飛べば一時間も掛からないような距離であったわけですけれども、アフガニスタンで紛争があったためにその距離がなかなか到達しなかった。その結果、中央アジア諸国の発展が大分遅れてしまったという気がしております。そのために、中央アジア諸国は勢い北の大国であるロシアに政治的にも経済的にも依存せざるを得なかったということですよね。
ですから、中央アジア諸国の発展を、陸に閉ざされたその中央アジア諸国の発展を考える上では、今後のアフガニスタンの安定というのが欠くことができないんじゃないかなという気がしております。アフガニスタンで平和や安定が実現すれば、中央アジアの資源をアフガニスタンを通してインド洋まで持ってくることもできる。従来、それほど日本にとって関係のなかった中央アジアの資源を日本に輸入することも可能になるという気がしております。
そういうことを考えると、アフガン復興支援というのは単にアフガニスタンの人たちを助けるだけではなくて、日本にとってもメリットのある、経済的なメリットがある話だと思うんですね。だから、その辺を意識してやったらいいとは思うんですよね。
これは、アフガニスタンを訪ねてみますと、大変対日感情というのはほかのイスラム諸国と同様に良好でして、私たちが取材しているとアフガン人が遠くから走ってやってきて、日本人と対話したがっている。日本の経済発展あるいは高度なテクノロジーに対する尊敬みたいなものもあるようですし、日本とアフガニスタンというのはこれから協力関係というのは十分追求できるんじゃないかなという、そういう印象を、昨年十月末にアフガニスタン訪ねたんですけれども、そういう印象を持ちました。ですから、中央アジアとの関係を考える上でもアフガニスタンというのが大事だと思います。
ただ、やっぱり日本の対応というのはどうも後れがちという印象は否めないですよね。タジキスタンについては近々、もう開いたのかな、大使館を開く計画があるそうですけれども、アフガニスタンでアメリカ、イギリスの空爆が始まって、十月末に訪ねたときにはタジキスタンに日本の外務省の省員って一人もいなかったですよね。もっと積極的に展開した方がいいんじゃないかなという気がしております。
アフガン復興については、これは今カブールとその周辺のみしか注意が行ってないような気がしますので、もっと地域的にも幅広く目配りした支援というのが必要じゃないか。それは、さっきも言ったとおり、日本の国益にとっても必要だという気がしています。
高
畑
畑中美樹#27
○参考人(畑中美樹君) 五、六十年後を展望して何か考えているのかということですけれども、ようやく、恐らく九〇年代の中ごろからだと思うんですけれども、それぞれの国々が将来の国づくりについてまじめに考えるようになってきているということです。要は、脱石油、経済の多角化を行おうということでございます。
これは、一つはやはり石油資源の問題もあるんですけれども、同時に、やはり先ほど申したように、若い人が増えておりますので雇用問題が増えていると。町中に若い人が増えてぶらぶらしていると、これは非常に社会問題になって、最終的には政治問題になりかねないということもありまして、これではいけないと。石油だけでは彼らを支えられないということで、いろいろな産業を育成して彼らに職を与えていこうという、そういう考え方に立ってきております。
具体的には、為政者の方からかなり、うたげの時代は終わったとか、やはり額に汗して働かなければならないということを盛んに呼び掛けておりまして、国民に目を覚まさせようとしているような段階であります。
ただ、国民の方はまだ、過去二十年から二十五年間ぐらい外国人労働者が日本で言うところの三K職場を埋めていってくれて、自分たちは比較的楽に暮らせてきたという生活をしてきたものですから、まだ少し自覚が足りないと。ただ、そういう中でも、一部の若い人の中から、例えば私なんかが出張で各国へ行きましても、ホテルのフロントマンとかガードマンとか、一部自動車の整備工場とか菜っぱ服を着たブルーワーカーなんかも出てきておりまして、少しずつ勤労観というのも変わってきているということかと思います。
そういう点では、特に中小企業の振興、育成をしたいということで、日本の中小企業の持っているノウハウを伝授してほしいというような要望も先方は強く持っておりますので、この辺りに日本が協力していける余地もあるんではないかと思います。
また、各国それぞれ国の資源の状況に応じた国の在り方を考えていまして、例えば、ドバイなんかは最近は物流、物の流れの拠点として貿易中心に生きていこうとか、バハレーンは国際的な会議場をたくさん作って催物を行ってそのサービス産業で生きていこうとか、あるいは世界一の石油大国サウジアラビアでも二年くらい前から観光産業を育成しようということで、ただあの国はイスラムの規制が厳しいものですから、余り西洋の若い女性が入ってきて短パンにTシャツで町中を歩かれても困るというので、最初、日本人を対象にしまして、日本人の四十歳以上の大人の人たちを対象にした観光なんかをやりまして、日本人はこうしちゃいけないと言うと絶対守るものですから、それを非常に守って、日本人に広げたこの観光がうまくいったというので、今イギリス人を対象にまたやり始めていまして、少しずつそういうふうに時代が変わってきているということかと思います。
この発言だけを見る →これは、一つはやはり石油資源の問題もあるんですけれども、同時に、やはり先ほど申したように、若い人が増えておりますので雇用問題が増えていると。町中に若い人が増えてぶらぶらしていると、これは非常に社会問題になって、最終的には政治問題になりかねないということもありまして、これではいけないと。石油だけでは彼らを支えられないということで、いろいろな産業を育成して彼らに職を与えていこうという、そういう考え方に立ってきております。
具体的には、為政者の方からかなり、うたげの時代は終わったとか、やはり額に汗して働かなければならないということを盛んに呼び掛けておりまして、国民に目を覚まさせようとしているような段階であります。
ただ、国民の方はまだ、過去二十年から二十五年間ぐらい外国人労働者が日本で言うところの三K職場を埋めていってくれて、自分たちは比較的楽に暮らせてきたという生活をしてきたものですから、まだ少し自覚が足りないと。ただ、そういう中でも、一部の若い人の中から、例えば私なんかが出張で各国へ行きましても、ホテルのフロントマンとかガードマンとか、一部自動車の整備工場とか菜っぱ服を着たブルーワーカーなんかも出てきておりまして、少しずつ勤労観というのも変わってきているということかと思います。
そういう点では、特に中小企業の振興、育成をしたいということで、日本の中小企業の持っているノウハウを伝授してほしいというような要望も先方は強く持っておりますので、この辺りに日本が協力していける余地もあるんではないかと思います。
また、各国それぞれ国の資源の状況に応じた国の在り方を考えていまして、例えば、ドバイなんかは最近は物流、物の流れの拠点として貿易中心に生きていこうとか、バハレーンは国際的な会議場をたくさん作って催物を行ってそのサービス産業で生きていこうとか、あるいは世界一の石油大国サウジアラビアでも二年くらい前から観光産業を育成しようということで、ただあの国はイスラムの規制が厳しいものですから、余り西洋の若い女性が入ってきて短パンにTシャツで町中を歩かれても困るというので、最初、日本人を対象にしまして、日本人の四十歳以上の大人の人たちを対象にした観光なんかをやりまして、日本人はこうしちゃいけないと言うと絶対守るものですから、それを非常に守って、日本人に広げたこの観光がうまくいったというので、今イギリス人を対象にまたやり始めていまして、少しずつそういうふうに時代が変わってきているということかと思います。
高
関