宮田律の発言 (国際問題に関する調査会)
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○参考人(宮田律君) イスラム神秘主義とイスラム原理主義の違いということですけれども、イスラム神秘主義というのは、簡単に言ってしまえば人間が神と一体になることを目指す、そういう教えですよね。ですから、人間が修行をすることによって最後には神と合一する、アラビア語でファナーと言っておりますけれども、そのファナーの状態を目指すのがイスラム神秘主義であります。
どういう修行があるかというと、独居、独りで住んで、瞑想を行って、あるいは断食を行う、さらには歌を歌ったりダンスをしたり、そういうことを行って人間と神が一体となる恍惚とした感情を味わうというのがイスラム神秘主義の教えであります。結構、組織としてはしっかりした組織を持っている場合が多いですね。強いのは中央アジアとかアフガニスタン、それからトルコでイスラム神秘主義教団の活動は活発にあります。
一九八〇年代にソ連との戦争を行ったモジャヒディン集団ですけれども、そのモジャヒディン集団もイスラム原理主義を基礎にして作られたということもありました。ですから、イスラム神秘主義の教団がイスラム原理主義のイデオロギーに共鳴していくということは十分考えられることだと思うんですね。つまり、イスラム原理主義というのは、これは多分に現代との対応の中で生まれてきた組織であり活動であると思うんです。
つまり、イスラム原理主義というのは、これもまた簡単に言ってしまえば、イスラム世界の近代化というのは欧米モデルに追求されたわけですけれども、その欧米モデルの近代化の中で、貧富の拡大であるとか、環境問題とか、劣悪な社会基盤の問題であるとか、政治腐敗あるいは非民主的な政治体制というもろもろの問題が生まれてきたと思うんですね。それをイスラムの正義であるとか平等といった概念で改善していこうというのがイスラム原理主義の運動であったわけですよね。
対外的には、欧米の影響力をイスラム世界から排除するというのがイスラム原理主義の考え方であります。イスラム神秘主義の運動、活動がイスラム原理主義の活動とオーバーラップすることはこれは十分考えられると思っております。
特に、トルコなどではイスラム神秘主義教団がトルコのイスラム復興を担っているとも言われております。トルコのイスラム神秘主義教団が青少年たちに教育の機会を施したり、あるいは青少年たちに無料でテキストを配ったりして、イスラムの復興、トルコでのイスラムの復興に貢献しているというふうに言われておりますので、結構、活動的には最近ではオーバーラップする部分もあるということだと思うんですね。
中東で戦乱が起こった場合、これはやはり日本の安全保障にとって大きなマイナスになることはこれは間違いないと思います。特に私、一番危惧するのは、サウジアラビア辺りで何か起こったときに、これは日本にとってもまずいんじゃないかなという気がしていますね。日本の石油輸入先とすればUAE、それからサウジアラビア、イランというふうになるわけですけれども、そのサウジアラビアで何か起こった場合、これは日本の経済にとっても、あるいは西側諸国の経済にとっても大きなダメージになることはこれは間違いないというふうに思います。
特に、サウジアラビアは現在、王政末期のイランに似ているとも一部の研究者たちは言っておりますけれども、それは王政の腐敗であるとか、国民の間の経済格差であるとか、あるいはアメリカとの親密な関係によってどうもサウジアラビアがイランの王政末期に似ているんじゃないかということを指摘する欧米の研究者たちも少なからずおります。
実際に、この間の同時多発テロの実行犯、十九人いたわけですけれども、そのうちの十五人がサウジアラビア人だったように、やはりサウジアラビア社会の底流の部分で何か大きな変化が起きているんじゃないかなという気がしていますね。
そういう中東の動乱にやはり日本としてもこれは備えていかなきゃいけないというふうに思うんですね。それはやはり日本の安全保障、エネルギー安全保障にとって重要なことだというふうに思っています。そのためには、戦略備蓄という考えもあるでしょうし、これは第一次石油危機の後、日本は戦略備蓄という考えを進めていったと思うんですけれども、それを充実させるとか、あるいは、先ほども話にありましたけれども、日本の石油の購入先を多角化する、政治的に不安定な中東以外に、やはり石油あるいはガスの購入先を多角化したり、あるいは新しいエネルギーを開発するというようなことも必要かもしれないですね。
あと、中央アジア諸国はロシア、欧米、どちらを向くかということですけれども、これは現在の様子を見ていますと、国によって大分違うんじゃないかなという気がしています。例えば、キルギスとかカザフスタンあるいはタジキスタンは、これ大分親ロシア的なスタンスを取っていると思います。
カザフスタンは、これは石油あるいは鉱物資源があるのがカザフスタンの北部ですから、その輸出を考える上でもロシアの地理的な重要性というのはあるんじゃないかなという、そんな気がしております。これはさっきも話の中で言いましたけれども、カシャガンなどの油田で取れた石油をヨーロッパ辺りに輸出する際にも、どうしてもロシアの領内を通らざるを得ないということがあると思うんですね。
それからキルギス辺りは、これはやっぱり農作物の輸出先としてロシアというのが大事だということですね。キルギスは大変対ロ感情、特に北の方は対ロ感情はいいと思いますね。私はロンドンのキルギス大使館に行ったことがありますけれども、そこの大使館員たち、みんなロシア語で話して、一応国語はキルギス語になっているんですけれども、それでもキルギス人たちはロシア語でもって会話していました。
それからタジキスタンは、これは国の安定にとってやはりロシアの兵力、軍事力というのが目下のところ、まあ当面必要だと思うんですね。現在二万五千人のロシアの兵士たちが駐留していますけれども、国の安全保障を考える上でやはりロシアとの協力関係というのが必要である。
それに対して、ウズベキスタンですけれども、ウズベキスタンの場合はこれ大分親米的に独立後、政策を展開しているのかなという、そんな感じがします。九・一一以降もアメリカ軍に対して基地を提供したりしておりますし、国連の投票行動においてもアメリカとよく一致しておりますので、アメリカからの経済援助あるいは経済協力を仰ぎたいという、そういう姿勢であり続けているという気がしています。
〔理事山崎力君退席、会長着席〕
あと、よく分からないのはトルクメニスタンという国ですけれども、これはニヤゾフという大統領の独裁体制でありまして、国内で起きていることがよく分からないような、そういう国ですよね。それからアフガニスタンの戦争、この間のアフガニスタンの戦争でも、何かアメリカとも余り協力をしている様子もないですけれども、アメリカも余りウズベクやタジクとは違ってトルクメニスタンに対しては強い協力を求めるようなこともなかったと思うんですね。ただ、この間の二〇〇三年度のアメリカの会計予算では、トルクメニスタンに対して七十万ドルの予算を計上しております。それは従来、トルクメニスタンに対しては予算は全くなかったんですね。経済援助は全くなかったんですけれども、今回その七十万ドルの経済援助の予算を設けたということは、今後、アメリカもトルクメニスタンに対して何らかの目標を持つのかなという気がしています。予算を付けたというのは、多分パイプラインの話じゃないかなという気がしていますけれども、トルクメニスタンからアフガン南部に抜けてパキスタンに抜けるパイプラインをアメリカとしても今後考えていきたいんじゃないかなというふうに思いますけれどもね。