成川秀明の発言 (財政金融委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(成川秀明君) 日本労働組合総連合会の総合政策局長をやっておる成川でございます。参議院財政金融委員会のこの席で私どもの意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
 私ども、労働組合としてこの連結納税制度、議論をしてきましたが、今の企業の大きな経営の在り方の流れの中で、グループ経営がやはりこれから大きな役割を担う、そういう認識に立っております。
 しかし、この連結納税につきましては、やはり租税の回避行為などをしっかり防止をして、公正で公平な当然負担の中でやるべきである、そのほか幾つかの、特に労働組合として今の中で考えなければならない点がある、こう思ってございます。
 以下、その中で主に三点につきまして、是非雇用の機会の確保を図る、そして失業を減らしていく、そういう社会を作るという労働組合の立場で意見を申し述べたいと思います。
 まず第一点は、この法律で提起されております財源措置についてでございます。
 この法人税法等の改正によれば、法人税の負担の形が変わるということになります。政府の資料で拝見させていただきますと、この連結納税制度の導入によって、連結納税会社は平年度ベースで約八千億円の法人税負担減と、こういうふうな試算が出ております。そして、今回の法律案では特に子会社への適用を厳しくするということで、二千数百億円がそれで対応措置を取るということで、実際のこの法律による減収、連結納税制度導入による減収の見込額は約五千八百億円という形になるというふうに説明を受けてございます。そして、この五千八百億円の税収減を、連結付加税の導入で約一千億円、連結子会社の欠損金持込みの制限等で五百億円、そしてまた受取配当の益金不算入制度の見直しで約八百億円、退職給与引当金制度の廃止で三千二百四十億円の増収を図り相殺するというのがこの法律案の財源措置であるということでございます。
 すなわち、連結納税制度に移行する会社は五千八百億円の税の軽減を受けられるけれども、連結付加税と子会社欠損金持込み制限等で千五百億円の新たな税負担をする。そして、残りの税軽減分四千三百億円につきましては、連結納税が適用されない企業も含めて新たに負担をする。その負担増は、退職金引当金の廃止で三千二百四十億円、また配当受取の益金不算入の限度額引下げ、現行八〇%ですが、それを五〇%に引き下げるということで八百億円余の増収を図るという案となってございます。すなわち、この負担の変更は、連結納税の会社には税を軽減し、その他の会社が増税を引き受ける、こういう考えでございます。
 企業の活性化あるいは雇用機会の確保・創出という視点から考えますと、連結会社に優位な刺激を与え、その他の会社に負担増のおもしを課す、こういう法案について我々どう判断するかということでございます。
 御承知のように、現在大変不況が長引いておりまして、特にその中で失業増が非常に高まっております。また、中小企業におきましては、収益減どころか中小企業の数も減ってきている、雇用減も大きい、こういうふうに我々受け止めてございます。今後、失業を減らしていく、あるいは雇用機会を増やしていくという点から考えますと、それぞれの企業に是非一層の発展を我々は願っておるわけでありますが、やはり日本におきましては、中小企業、中堅企業に雇用の受皿として更にしっかり頑張っていただく必要がある、こう考えてございます。
 こういう観点に立ちますと、退職引当金制度の廃止につきましては、中小企業を除外するということが必要ではないかというふうに考えます。また、配当金等の益金不算入割合の引下げが提起されているわけでありますが、これにつきましても、中小企業への引下げ、二年間程度の経過措置ということで提案されておりますが、これを更に長くする必要があるのではないかというふうに考えます。
 次に、第二点でございます。
 それは、連結納税制度によって親会社の子会社に対する支配力が強まるのではないかというふうに思われます。
 既に連結会計制度の導入によりまして親会社の子会社に対する支配力は、役員人事のみならず投資、経営計画、そして職員人事などに広範に及んでおりますし、子会社の賃金などの労働条件に対しましても親会社が指示を与える例が増えてきてございます。
 こういう動きの中で、この連結納税制度は親会社による子会社への支配力を更に強める働きがある、こういうふうに受け止めております。
 確かに、この租税回避的行為を防止するというために、子会社の寄附金及び交際費等についての損金不算入制度に対しましては厳しく対処する必要があります。グループ内においてこれを親会社基準を適用する、またグループ外にも適用するということで今回提案されているというふうに受け止めてございます。しかし、このことで子会社の独立経営体としての活動条件が制約を受け、そのことで雇用の受皿、あるいは今後の中小企業の活動に制約が出るということは好ましいとは思われません。
 子会社あるいは中小企業の子会社の経営の在り方を更に強めていくという視点に立つと、租税回避的行為の防止というのは当然でございますけれども、それに併せて、子会社、中小企業の経営のより行いやすい形での連結納税制度を工夫する必要があるのではないかというふうに思われます。例えば、子会社の寄附金あるいは交際費等についてルールを定めて租税回避行為を防ぐ条件を整えるという中で、グループ外への寄附金等の支出については損金算入を認めるなどの措置について検討が必要ではないか、こう受け止めてございます。
 第三点は、先ほども第二点でも指摘しましたが、子会社の賃金など労働条件に対しまして親会社の支配、関与が強まっているという事態でございまして、我々としては、親会社が子会社の労働組合との労使交渉を行うとの労使交渉の応諾義務を是非法律で定めていただきたいということでございます。
 当然、この親会社による子会社の賃金等の労働条件決定への支配等につきましては、判例によりまして労使交渉等を受けなければならないということが明らかになってございます。しかし、この義務が必ずしも守られていないのが現状でございます。子会社の労働組合は、親会社との労使交渉を実現するために多くの苦労を今現在受けている事態にございます。
 このような問題を解決するために、連結親会社が子会社の労働組合が申し入れた場合には労使交渉を受け入れるという、是非、労使交渉の応諾義務を定めていただきたい、こう考えているところでございます。
 以上、三点につきまして、本法律案に対する私どもの考えを申し述べさせていただきました。どうもありがとうございます。

発言情報

speech_id: 115414370X02120020613_006

発言者: 成川秀明

speaker_id: 22149

日付: 2002-06-13

院: 参議院

会議名: 財政金融委員会