白保台一の発言 (政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会)
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○衆議院議員(白保台一君) 御質問の中で六点にわたる御質問がございました。大変大事なことでございますから、一つずつきっちりとお答えをさせていただきたいと、このように思います。
まず最初の、あっせん行為の範囲を限定しないことについてということであります。
本法があっせん行為の対象を国及び地方公共団体が締結する契約と特定の者に対する行政庁の処分に限定している趣旨は、公職にある者は本来、国民、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されているところでありますが、契約や処分の段階でのあっせん行為は、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象等、特定の者の利益を図るという性格が顕著であり、そのようなあっせん行為を行って報酬を得る行為は、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性及びこれに対する国民の信頼を失う度合いが強いため、処罰することとしたものであります。
次に二番目の御質問ですが、仮に処罰の対象となるあっせん行為の対象を特定の者の利益を図るという性格が顕著である契約や処分の段階でのあっせん行為に限定することとせず、野党案のように公務員の職務に関する行為全般に拡大するならば、処罰の対象があいまいに広がるおそれがあります。その結果、国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として行われる行政計画や予算案に対する公職にある者の働き掛けを不当に萎縮させ、ひいては政治活動の自由を害するおそれがあると考えます。
次の二番目、請託でございますが、請託を不要とすること及び権限に基づく影響力の行使を要件としないことについてにお答えいたします。
請託を要件とした理由は、本法制定時における質疑の中で答弁したとおりであります。あっせんは請託を受けてされるのが通常の形態であることに加えて、公職にある者等が他の公務員に何かを働き掛ける場合には、だれかに何かを頼まれてその人のためにいわゆるあっせんをする場合と国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として働き掛けを行う場合のものがあろうと思いますが、請託を要件としなければ、この両者の区別が不明瞭になり、処罰範囲があいまいに広がり、ひいては政治活動の自由を害することがあると言えることから、処罰の対象となる犯罪構成要件を明確に規定するため、請託を要件とするのが適当であります。
権限に基づく影響力の行使を要件とした理由についても、本法制定時における質疑の中で答弁したとおりであり、あっせんの方法を公職にある者が法令に基づいて有する権限に直接又は間接に由来する影響力を行使したときに限定しない場合には、公職にある者等の身分を有する者が行政府の公務員に対して行うあっせん行為のほとんどが対象となって、処罰範囲が過度に広がり、公職にある者による正当な政治活動を萎縮させるおそれがあるからであります。
このように、請託も権限に基づく影響力の行使もいずれも必要であって、本法の構成要件から外すべきではないと考えました。
なお、「請託を受けて」、「権限に基づく影響力を行使して」を要件とすることについては、請託があったことや公職にある者の権限に基づく影響力を行使したかどうかの立証の難度は具体的事案における証拠関係に左右するものであり、これを要件としたことによって直ちに立証が困難になるとは一概に言えないのであります。
財産上の利益を賄賂とすることについて、賄賂とは、財産上の利益よりも広範な概念であり、情報、職務上の地位の提供、異性間の情交等の非財産上の利益であっても、およそ人の需要、欲望を満足させるのに足りるものであれば賄賂に当たります。本法が、賄賂ではなく、財産上の利益の収受を処罰の対象とした理由については、本法制定時の質疑における提案者答弁にもあるとおり、本法の罪は賄賂罪と保護法益を異にするものである上、前提とするあっせん行為は、公務員等に正当な職務行為をさせ、又は不当な職務行為をさせないというものであってもよいこととされており、本法の罪の保護法益である公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を端的に保護するためには、処罰対象は公職にある者等の活動において最も問題とされる財産上の利益の収受であれば足りると考えられるからであります。したがって、財産上の利益に加えて非財産上の利益を含む賄賂の収受までを処罰の対象とすべきではないものと考えます。
次に、収受だけでなく要求、約束を加えることについてお答えいたします。
本法が財産上の利益の収受のみを処罰の対象とし、要求や約束を処罰の対象としなかった理由については、本法制定時の質疑における提案者答弁にもあるとおり、本法の罪が対象としているあっせん行為は、刑法のあっせん収賄罪と異なり、公務員に正当な職務行為をさせ、又は不当な職務行為をさせないというものでもよいことを考慮すれば、あっせんの報酬として財産上の利益の授受が現実に行われた場合にのみこれを処罰すれば足りる。本法の罪において言わば単なる言葉のやり取りにすぎない行為にまで処罰対象を広げれば、本法の罪の存在を悪用する者がいないとも限らず、かえって正当な政治活動を萎縮させるおそれがあると考えられるからであります。したがって、財産上の利益の要求や約束までを処罰の対象とすべきではないと考えます。
次に、第三者供与を加えることについてであります。
本法の保護法益である公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を保護するためには、国民の政治不信を招くような行為、すなわち、実質的に公職にある者等、本人があっせん行為の報酬たる財産上の利益を収受した場合にのみ処罰すれば十分であります。
すなわち、外形的には本人以外の者があっせん行為との間に対価性があると認められる財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、当該財産上の利益に対して本人が事実上の支配力、実質的処分権を有すると認定できる場合には本人が収受したものとして本人に本法所定の罪が成立する可能性があり、第三者供与の処罰規定を設けなくても本法の保護法益は十分保護されるものであると考えます。逆に、本人が事実上の支配力、実質的処分権を有すると認定できない場合にまで広く第三者供与の処罰規定を設けることは、不当に処罰範囲を拡大するものであり、妥当でないと考えます。
以上、お答えします。