政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会

2002-06-28 参議院 全146発言

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会議録情報#0
平成十四年六月二十八日(金曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     山下八洲夫君     岩本  司君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     山下八洲夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         沓掛 哲男君
    理 事
                木村  仁君
                松村 龍二君
                矢野 哲朗君
                小川 勝也君
                佐藤 道夫君
                山本  保君
                池田 幹幸君
    委 員
                阿南 一成君
                愛知 治郎君
                泉  信也君
                清水 達雄君
                段本 幸男君
                中島 眞人君
                三浦 一水君
                森元 恒雄君
                吉田 博美君
                吉村剛太郎君
                池口 修次君
                小林  元君
                高嶋 良充君
                千葉 景子君
                簗瀬  進君
                山下八洲夫君
                木庭健太郎君
                森本 晃司君
                井上 哲士君
                八田ひろ子君
                大江 康弘君
                広野ただし君
                又市 征治君
       発議者      池田 幹幸君
   委員以外の議員
       発議者      江田 五月君
       発議者      平野 貞夫君
       発議者      大脇 雅子君
   衆議院議員
       発議者      保利 耕輔君
       発議者      町村 信孝君
       発議者      亀井 久興君
       発議者      西  博義君
       発議者      白保 台一君
       発議者      西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        入内島 修君
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       総務省自治行政
       局選挙部長    大竹 邦実君
       法務大臣官房審
       議官       河村  博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○公職にある者等のあっせん行為による利得等の
 処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○公職にある者等のあっせん行為による利得等の
 処罰に関する法律の一部を改正する法律案(江
 田五月君外四名発議)

    ─────────────
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沓掛哲男#1
○委員長(沓掛哲男君) ただいまから政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一六号)及び公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(参第一七号)の審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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沓掛哲男#2
○委員長(沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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沓掛哲男#3
○委員長(沓掛哲男君) 公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一六号)及び公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(参第一七号)の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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木村仁#4
○木村仁君 おはようございます。自由民主党の木村仁でございます。自由民主・保守を代表いたしまして、提案されております両案についての質問をさせていただきます。
 まず、現下の情勢にかんがみ、この両法案を御準備いただきました提出者の皆様に心から敬意を表したいと存じます。
 現在のように政治の廉潔性、清廉潔白性が疑われ、国民の信頼が失われつつあるときに、このあっせん利得処罰法を改正して罰則を強化しようということは、誠に時宜に適した発想であって、誠に結構なことであると考えております。
 この廉潔性、清廉潔白性、そして国民の理解、支持を得るための努力ということは非常に大きな法益を守ることでありますが、併せて、私は、国民の代表として自由な政治活動をする国会議員、地方議員あるいは首長、こういう者の政治活動の自由ということも憲法に保障された権利であって、両者の兼ね合いということも極めて重要ではないかと思います。それだけに、犯行の範囲、その他量刑等について慎重な検討をするとともに、特に構成要件が明確、合理的であるということが非常に重要ではないかということを前提にしながら質問をさせていただきたいと思います。
 まず、与党三党と申しますか、自由民主、保守そして公明党の提案され衆議院送付となっております法案について御質問を申し上げます。
 平成十二年の十一月の第百五十国会でこの法案、法律が成立し、十三年の三月一日から施行されたわけでありますが、その当初の法案審議におきましても、いわゆる私設秘書を公設秘書とともにこの法案、法律のいわゆる犯罪主体と申しますか、そういうものの対象にしようという意見は強くあったように理解をしております。施行後一年にしてこれを加えるということになったわけでございますが、当時の議論の背景、そして、これを今回追加して犯罪主体とする改正を行うことの経緯について簡単に御説明をいただきたいと思います。
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白保台一#5
○衆議院議員(白保台一君) お答えいたします。
 本法制定時においては私設秘書を犯罪主体に加えておりませんでしたが、先ほどもお話がございましたように、昨今の国会議員の私設秘書等の一連の不祥事等により政治に対する国民の信頼が揺らいでいる、こういうことにかんがみ、政治に対する国民の信頼を回復するため規制の拡大を図る必要があると、このように判断したものであります。
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木村仁#6
○木村仁君 今回、犯罪主体として私設秘書を国会議員、衆議院議員、参議院議員に加えたわけでありますが、野党の案によりますと、私設秘書というものは地方議会議員あるいは地方公共団体の長にもないわけではない、多くの人々がそういう秘書を持っていないというのが実態でありましょうけれどもいないわけではない、そしてその方々がまた同じようなあっせん利得行為を行うのではないか、したがってこれを入れておくべきであるという法案になっているわけでありますが、今回、三党案においてそれを入れていない理由、根拠を御説明いただきたいと思います。
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白保台一#7
○衆議院議員(白保台一君) これまで国会議員の秘書については、公設秘書のみが国民の税金から給与を支払われる公務員であり、さらに法律上も国会議員の政治活動を補佐するものとして明確に位置付けられております。国会議員の権限に基づく影響力を行使し得る立場にあることから、独立の犯罪主体とされてきたところでありまして、本法の性格に照らすと、基本的には議員秘書あっせん利得罪の犯罪主体の中核は公設秘書である、そのように考えられます。
 しかしながら、最近の国会議員の私設秘書等に係る一連の不祥事に端を発する政治不信を重大に受け止め、政治に対する国民の信頼を回復するためには、国民の側から見れば公設秘書あるいは私設秘書、この区別は判然としない、そういうことがあります。国会議員の政治活動を補佐するという実態という面に目を向ければ公設秘書も私設秘書も変わりはないことなどから、議員秘書あっせん利得罪の犯罪主体に国会議員の私設秘書を追加する必要があると考え、本法改正案を提案したところであります。
 したがいまして、犯罪主体の中核となる公設秘書の存在しない地方公共団体の議会の議員又は長の私設秘書についてまで犯罪主体を拡大すべきでないと考えたところであります。
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木村仁#8
○木村仁君 いま一つ、与党の提案されました法案との関連で野党案が非常に犯罪主体の面で違うところがありますのは、公職にある者の父母、配偶者、子若しくは兄弟姉妹を犯罪主体に野党の案では加えているわけでございます。これはかなり広範な犯罪主体の拡大というふうに私も理解し、どうかなという気がいたしておりますが、また後に野党提出者からの御説明もあると思いますけれども、与党案の提出者としては、この公職にある者の親族と申しますか、こういう者を犯罪主体に入れないと御判断になった根拠、背景を御説明いただきたいと思います。
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白保台一#9
○衆議院議員(白保台一君) お答えいたします。
 本法の罪は公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を保護しようとするものであるところであります。このためには、国会議員の私設秘書に対象範囲を拡大することで十分であると、このように考えます。
 一方、公職にある者の親族である父母、配偶者、子供若しくは兄弟姉妹を犯罪主体に加えるとする立場は、国会議員等の公職にある者の政治活動に全く関与しておらず、公職にある者本人の持つ影響力を借用して行使し得ない親族まで処罰の対象としてしまう半面、親族以外の公職にある者本人の持つ影響力を借用して行使し得る立場の者をすべて処罰の対象としてはいないのでありますから、要するに、公職にある者本人の持つ影響力を借用して行使し得るか否かにかかわらず親族という身分にあることのみを理由に犯罪主体とすることになり、相当でないと考えております。
 なお、与党案では、親族であっても衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するものに該当する者は新たに私設秘書として独立の犯罪主体となるので、公職にある者の父母、配偶者、子若しくは兄弟姉妹を犯罪主体に加える必要はないと、このように考えたところであります。
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木村仁#10
○木村仁君 ありがとうございました。
 そこで、与党案の、衆議院送付案の中身はいわゆる私設秘書を犯罪主体に加えるということでございますから、このいわゆる私設秘書の定義が一番問題になるわけでありますが、この定義につきましてはもちろん十分議論が尽くされておりまして、連座制における秘書の定義、公職選挙法の中にありますように、当該公職にある者に使用される者であってかつ政治活動を補佐するもの、こういうことで、これは判例上もいろいろ議論をされて明確にされているところでありますから特に問題はなかろうかと思いますが、念のために一、二質疑をしておきたいと存じます。
 まず、衆議院議員、参議院議員との間にしっかりした雇用関係があって、もう言わば公設秘書の定数が足りないから私設秘書として雇っているというような人々の場合は明確なのでありますが、そうでなくて、特に雇用関係はない、極端な場合は、もう好意で日々秘書業務を行い、本当に公職にある者の使用人としてその指示に従って働いているという場合がないわけではありません。そういうような、雇用関係が明確でない、あるいは賃金も支払われていないという者であっても、使用されかつ政治的活動を明確に補佐しているものというのはかなり広範囲にこれに含まれてくるものでありましょうか。
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白保台一#11
○衆議院議員(白保台一君) まず、秘書の定義の問題もございましたので、今回の改正で加える国会議員の私設秘書の定義は、「衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するもの」としております。これは公職選挙法の連座制における秘書の定義と同様であります。そして、公職選挙法上の連座裁判の最高裁判決においても同定義の明確性が認められていることから、あっせん利得罪における私設秘書の定義としても構成要件の明確性という観点から十分に合理性があると、このように判断いたしました。
 今お尋ねの雇用関係等の問題でございますが、国会議員との間に雇用関係がなく賃金を支払われていない者でも私設秘書とされる場合があるのかということについて、本法改正案の私設秘書の定義である衆議院議員又は参議院議員に使用されている者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するものというものの意味は、国会議員の指揮命令に従って労務に服し当該国会議員の政治活動を補佐するものということであり、このような実態があれば私設秘書に該当し、必ずしも雇用契約や賃金が支払われているということを要しないと思います。
 したがいまして、国会議員との間に雇用関係がなく賃金も支払われていない者であっても、実態として国会議員の指揮命令に従い当該国会議員の政治活動を補佐していると認められれば、このような者も本法改正案の私設秘書に該当すると、このように思います。
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木村仁#12
○木村仁君 お知らせいたしましたちょっと順番が変わりますが、私ども地元に参りますと、参与とか顧問という肩書の名刺を持って、そして地域で活動しておられる方々がいらっしゃいます。
 この方々は、必ずしも公職にある者に使用されているという関係ではなくて、友人関係とか煩悩があるとか、そういうことで活動されておりまして、しかしかなり影響を持っている人がいないではない。そういうような、常時政治活動を補佐しているわけではないけれども折に触れて時折手伝ってあげると、しかし名刺はきちっと持っているというような方は入ってきますでしょうか、入りませんでしょうか。
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白保台一#13
○衆議院議員(白保台一君) お尋ねの、参与、顧問等の肩書で随時政治活動を補佐しているものは私設秘書か否かということについてでございますが、参与、顧問等の肩書で随時政治活動を補佐するものについても、先ほど申し上げましたように、そのような肩書を持つ者が国会議員の指揮命令に従って労務に服し当該国会議員の政治活動を補佐していると認められれば、本法改正案の私設秘書に該当するのであります。
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木村仁#14
○木村仁君 まだこの法律が制定され一年三か月で、事件も橋本市の市議会の議員のわずか一件であるということで、その辺りの秘書、公設秘書についても判決がないということでありますから、この辺りは少しあいまいと申しますか、今後の事案等に見ていかなければならない部分であろうと思います。
 そこで、先ほどお尋ねいたしました父母、配偶者、子若しくは兄弟姉妹がどの程度この網に掛かってくるであろうかという問題でありますけれども、典型的なのは配偶者であります。これは、もし秘書としての勤務の実態が備わっておれば、公設の秘書にすることも法律上は認められていると理解をいたしております。政治的にそういうことをする人は少ないということでありますが、認められております。そういうことで、常時勤務の実態を持ちかつ公職にある者の指示に従って言うなれば使用されているという配偶者がいることは事実でありますが、このような者があっせん利得を独自に行った場合に入ってくるのかどうかということであります。
 実態を申し上げますと、配偶者でありますから、本人は使用人だとは思っていないでしょうし、指示をすれば全部ことごとく嫌がったり反発したり反対のことをしたりすると、そういうことでありますけれども、形としてはやっぱり秘書という形を持っていると。そういう者が入ってくれば、別にあえてそれを犯罪主体として法律に規定しておく必要はないのではないか。これは子、兄弟についても全く同じことが言えると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
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白保台一#15
○衆議院議員(白保台一君) 国会議員等が本法の罪につき何らかの形で私設秘書に該当しない父母、配偶者、子あるいは兄弟姉妹を関与させた場合において、国会議員等と父母等とが意思を通じて行ったときは、国会議員等と父母等は共犯となり、国会議員等と父母等の双方に本法の罪が成立する。そして一方、父母等には犯罪の認識がない場合など共犯関係にあるとは言えない場合であっても、国会議員等が言わば自己の手足として父母等を使ったと認められる場合には国会議員等本人について本法の罪が成立することとなると、このように思います。
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木村仁#16
○木村仁君 もう一度確認いたしますが、そうしますと、親族、特に配偶者等が国会議員の言う言わば指示を受け使者としてあっせん利得行為を行った場合には、本人のあっせん利得の処罰はないかもしれないけれども、共犯とかあるいは使者として、本人、公職にある者本人が罰せられると、こういうことになるということでございますね。
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白保台一#17
○衆議院議員(白保台一君) そのとおりでございます。
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木村仁#18
○木村仁君 そのような実態があるとすれば、あえて配偶者を別途犯罪主体と構成するまでもなく、公職にある者の廉潔性、清廉潔白性は保たれると申しますか、大体一緒に責任を取るような形になるなという気がいたします。
 そこで、時間がございませんので総括的にお尋ねをいたしますが、民主党外三党の参議院で提案されました法案によりますと、現行のあっせん利得罪に係る構成要件の重要なものの多くが削除され、あるいは利得、財産上の利得というものが賄賂に変わるというような範囲を広げる、そういうことで非常に大きな網をこの問題について準備することになりますが、例えば、あっせん行為の範囲を限定しない、請託を不要とする、権限に基づく影響力の行使も必要としない、財産上の利益を賄賂とする、収受だけでなく要求、約束を加える、そしてまた第三者供与を加えると、こういうことになっているわけでございますが、このような大きな網をかぶせていくということについてどのようにお考えか、また、ここの問題について特にコメントをしておく必要があるとお考えのところはお答えをいただきたいと思います。
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白保台一#19
○衆議院議員(白保台一君) 御質問の中で六点にわたる御質問がございました。大変大事なことでございますから、一つずつきっちりとお答えをさせていただきたいと、このように思います。
 まず最初の、あっせん行為の範囲を限定しないことについてということであります。
 本法があっせん行為の対象を国及び地方公共団体が締結する契約と特定の者に対する行政庁の処分に限定している趣旨は、公職にある者は本来、国民、地域住民全体の利益を図るために行動することを期待されているところでありますが、契約や処分の段階でのあっせん行為は、国民、地域住民の利益を図るというよりは、むしろ当該契約の相手方や処分の対象等、特定の者の利益を図るという性格が顕著であり、そのようなあっせん行為を行って報酬を得る行為は、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性及びこれに対する国民の信頼を失う度合いが強いため、処罰することとしたものであります。
 次に二番目の御質問ですが、仮に処罰の対象となるあっせん行為の対象を特定の者の利益を図るという性格が顕著である契約や処分の段階でのあっせん行為に限定することとせず、野党案のように公務員の職務に関する行為全般に拡大するならば、処罰の対象があいまいに広がるおそれがあります。その結果、国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として行われる行政計画や予算案に対する公職にある者の働き掛けを不当に萎縮させ、ひいては政治活動の自由を害するおそれがあると考えます。
 次の二番目、請託でございますが、請託を不要とすること及び権限に基づく影響力の行使を要件としないことについてにお答えいたします。
 請託を要件とした理由は、本法制定時における質疑の中で答弁したとおりであります。あっせんは請託を受けてされるのが通常の形態であることに加えて、公職にある者等が他の公務員に何かを働き掛ける場合には、だれかに何かを頼まれてその人のためにいわゆるあっせんをする場合と国民や住民の声を吸い上げて通常の政治活動として働き掛けを行う場合のものがあろうと思いますが、請託を要件としなければ、この両者の区別が不明瞭になり、処罰範囲があいまいに広がり、ひいては政治活動の自由を害することがあると言えることから、処罰の対象となる犯罪構成要件を明確に規定するため、請託を要件とするのが適当であります。
 権限に基づく影響力の行使を要件とした理由についても、本法制定時における質疑の中で答弁したとおりであり、あっせんの方法を公職にある者が法令に基づいて有する権限に直接又は間接に由来する影響力を行使したときに限定しない場合には、公職にある者等の身分を有する者が行政府の公務員に対して行うあっせん行為のほとんどが対象となって、処罰範囲が過度に広がり、公職にある者による正当な政治活動を萎縮させるおそれがあるからであります。
 このように、請託も権限に基づく影響力の行使もいずれも必要であって、本法の構成要件から外すべきではないと考えました。
 なお、「請託を受けて」、「権限に基づく影響力を行使して」を要件とすることについては、請託があったことや公職にある者の権限に基づく影響力を行使したかどうかの立証の難度は具体的事案における証拠関係に左右するものであり、これを要件としたことによって直ちに立証が困難になるとは一概に言えないのであります。
 財産上の利益を賄賂とすることについて、賄賂とは、財産上の利益よりも広範な概念であり、情報、職務上の地位の提供、異性間の情交等の非財産上の利益であっても、およそ人の需要、欲望を満足させるのに足りるものであれば賄賂に当たります。本法が、賄賂ではなく、財産上の利益の収受を処罰の対象とした理由については、本法制定時の質疑における提案者答弁にもあるとおり、本法の罪は賄賂罪と保護法益を異にするものである上、前提とするあっせん行為は、公務員等に正当な職務行為をさせ、又は不当な職務行為をさせないというものであってもよいこととされており、本法の罪の保護法益である公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を端的に保護するためには、処罰対象は公職にある者等の活動において最も問題とされる財産上の利益の収受であれば足りると考えられるからであります。したがって、財産上の利益に加えて非財産上の利益を含む賄賂の収受までを処罰の対象とすべきではないものと考えます。
 次に、収受だけでなく要求、約束を加えることについてお答えいたします。
 本法が財産上の利益の収受のみを処罰の対象とし、要求や約束を処罰の対象としなかった理由については、本法制定時の質疑における提案者答弁にもあるとおり、本法の罪が対象としているあっせん行為は、刑法のあっせん収賄罪と異なり、公務員に正当な職務行為をさせ、又は不当な職務行為をさせないというものでもよいことを考慮すれば、あっせんの報酬として財産上の利益の授受が現実に行われた場合にのみこれを処罰すれば足りる。本法の罪において言わば単なる言葉のやり取りにすぎない行為にまで処罰対象を広げれば、本法の罪の存在を悪用する者がいないとも限らず、かえって正当な政治活動を萎縮させるおそれがあると考えられるからであります。したがって、財産上の利益の要求や約束までを処罰の対象とすべきではないと考えます。
 次に、第三者供与を加えることについてであります。
 本法の保護法益である公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼を保護するためには、国民の政治不信を招くような行為、すなわち、実質的に公職にある者等、本人があっせん行為の報酬たる財産上の利益を収受した場合にのみ処罰すれば十分であります。
 すなわち、外形的には本人以外の者があっせん行為との間に対価性があると認められる財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、当該財産上の利益に対して本人が事実上の支配力、実質的処分権を有すると認定できる場合には本人が収受したものとして本人に本法所定の罪が成立する可能性があり、第三者供与の処罰規定を設けなくても本法の保護法益は十分保護されるものであると考えます。逆に、本人が事実上の支配力、実質的処分権を有すると認定できない場合にまで広く第三者供与の処罰規定を設けることは、不当に処罰範囲を拡大するものであり、妥当でないと考えます。
 以上、お答えします。
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木村仁#20
○木村仁君 大変詳細な御答弁をありがとうございました。
 二十分、二十分と思っておりましたが、少し短くなりましたので、簡潔に質問させていただきます。民主党始め四党の法案であります。
 この親族、父母、配偶者、子若しくは兄弟姉妹を犯罪主体とすることは、やっぱり社会通念から見ると少し広過ぎるんじゃないかなと。例えば、私の子供のうちには、おやじが政治家やっていることが我慢ならないと、一切そういうこととは関係なく生活している子供がいるわけですよ。しかし、面倒見がいいから人の世話はしております。役所に友達がいるかもしれない。で、世話をしてお礼をもらったらそれは罰せられるというのはちょっと余りぴんとこない気がいたしますが、それを全部お入れになった理由を御説明いただきたいと思います。
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江田五月#21
○委員以外の議員(江田五月君) 私どもの対案についても御質疑いただきまして、大変ありがとうございます。
 今、国民の皆さんが政治に対して一体どれほどの不信感を抱いておるか、政治に対する信頼感がどの程度傷付いておるかということについての認識の違いだという気が私はいたします。あっせん利得処罰法、本法施行後一年少々で、期間が短いとはいえ、それでもやっぱり、この間に一件しか該当事例が出ていないというのは、やはりこの本法の規定がいかに狭いか。逆に言えば、このいろんな要件に当たらなけりゃ何やってもいいということを規定しているというふうに受け取られているかということだと思うんですね。
 私どもは、今延長になりましたが、この通常国会、元々は景気対策であるとか構造改革であるとか、そういう非常に大事なことを審議をしなきゃならぬ。その国会が、もう政治と金の問題でこれほど荒れた国会はいまだかつて見たことがないという状態になっているわけですよ。そういうときにこのあっせん利得処罰法を改正をしようというわけですから、私はやはり、本法の保護法益である公職にある者の廉潔性に対する国民の信頼や、あるいは公務員の職務の公正さに対する国民の信頼、これをもう一度しっかりと立て直すために厳しい改正をしなきゃならぬと、こう考えたわけでございます。
 先ほど与党案の提出者からの説明がございましたが、やはり今、公職にある者の周辺にいる、例えば私設秘書であるとかあるいは親族であるとか、こういう者がいろいろと動き回っていろんな金を手に入れている、もちろんそれは公職にある者の大きな財布の中に入ってきてしまうと。少なくとも世間的にはそういうふうに見られるわけでありまして、親族、それが父母であれ配偶者であれ子であれ兄弟姉妹であれ、そういう者がそういう立場であっせんをして、そして賄賂を収受する、あるいはそういう約束をするとか、そういうことはすべてこれはいけないんだと。そういうことを我々政治家はここで明確に国民の皆さんに、私たちはそういうことはもういけないとしてやらないと、そういうメッセージを発するんだということが今大変大切である、そういう事態に至っているということを考えて、こういう親族にまで広げようと考えたわけでありまして、しかもこれは公職選挙法二百五十一条の二の連座制の規定にございますよね、そういう規定が。これはもちろん、ほかの要件いろいろあるから同じものじゃありませんが、しかし父母、配偶者、子又は兄弟姉妹と、そういうところにまで公職にある者の、どういいますか、公職選挙法の場合には選挙の公正さ、これを害する行為者の対象に広げるということは既に私たちやっているわけでありますから、これはやはりあっせん利得処罰法においてもそこまで広げる必要があるということを考えたわけでございまして、是非御理解いただきたいと思います。
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木村仁#22
○木村仁君 選挙の場合の連座は、兄弟姉妹どこにいても、一生懸命やったやつが違反を犯したときに本人に及ぶわけで、これはもう全く別にやっていることで、本人の政治と関係なく、だから少し事態が違うのではないかと思いますが。
 そうしますと、全く政治に関係していない、私は熊本ですが、北海道に子供がいて、全くこれはもうおやじは好かぬと。そういう人が例えば人の世話をしてやった場合に、たまたま私の子供でなければ罰せられない。しかし、ほかの人は同じことをやって同じものをもらっても罰せられない、ところが、たまたま子供であるばかりに罰せられましたというのでは、これはどうも法の前の平等に反するのではないかという気もせぬでもございませんが、一言コメントを。
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江田五月#23
○委員以外の議員(江田五月君) 先生も時間のことも気にされているでしょうから、短くお答えをしたいと思いますが。
 たまたまだれかがあっせんをして何かの利益を得たと、よく調べたら、たまたまだれかの兄弟か何かが田舎の方のどこかの市会議員か何かをやっていたというところまでこれが入るのかどうかということですけれども、刑罰法規というのは、全体に書いてあることが社会通念上そういうものとしてちゃんと当たるという、ある種の構成要件的な限定があって、それは構成要件的故意という、そういう刑法上の議論も、別にこれは妙な議論じゃありません、もう全く通常の議論としてございます。
 つまり、公職にある者の親族がこういうことを行ったという場合には、その親族がというのは、親族の立場をもって行ったということであって、たまたま調べたらどこか田舎の方の町会議員さんを兄弟がやっていたねとかいうようなときには、そういう立場をもってしているというようなこととは全く関係ありませんから、御心配のようなことはない、法の下の平等にも反しないと、こう考えております。
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木村仁#24
○木村仁君 江田裁判官は有罪の判決をしないと、こういうことでありますから安心をいたしておきます。
 そこで、もうほとんどの要件が外されてしまいましたので、ポイントになるところは恐らく特定の者に利益を得させる目的ということであろうと、こういうふうに思います。
 そこで一、二お尋ねしたいんですが、例えば住宅税制の改善をすると、こういう場合、これは翻って考えれば住宅建設業者には利益がいくんでしょう。そういう場合には、その結果、特定の業界団体から皆様の場合ですと賄賂をもらったと、こういう場合はやっぱりこの特定の者に利益を得させる目的ということに当たるわけでしょうか。
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江田五月#25
○委員以外の議員(江田五月君) お答えいたします。
 特定の者というのは、これは一般的にいろんな法律の場面で出てまいりますよね。ですから、これは特定の個人だけを示すというものではもちろんありません。ある一定の特定性を備えたものであれば、それが例えば地域の団体であれ、あるいはいろんな業界団体であれ、それは当たると。
 ただ、特定の者に利益を得させる目的、例えば今の住宅税制であれば、それは建築業者の利益ということもあるかもしれないけれども、そういうものを通じて全体に、例えばそれは景気対策になるとか、あるいは一般の国民の住宅事情を改善するとか、いろいろありますよね。ですけれども、特に特定の集団の利益ということが目的として特定されておればそれは当たると。
 ただ、もちろん、言うまでもないことですが、財産上の利益あるいはその他も我々含めますが、そういう何か利益を得なかったらこれは元々当たらないんで、政治を利用して金もうけその他の利益をすることがいけない、政治を使った錬金術がいけない、口利き政治がいけないと、そういうことを我々言っているわけでありまして、どうぞそこは、政治家として自信を持って、国家国民のために大いに政策活動をやるということまで制限されるなどと考えていただかなくて全く結構だと思っております。
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木村仁#26
○木村仁君 例えば、利益というのは何かということでありますが、特定の例えば労働団体の全国組織、これが国の官庁に対して交渉をしたいと。そうすると、国の官庁は、私は交渉の主体ではありませんということでお断りをします。そうすると、政治家がお見えになって、まあ、そう言わないで話合いをしろよと。話合いのつもりでやりますが、交渉という名前で労働団体は呼ぶわけであります。このあっせんは利益を与えたことになるんですか。
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江田五月#27
○委員以外の議員(江田五月君) 正に今の利益を得させる目的を得る特定の者というところで問題にされているのかと思いますが、労働団体であれ業界団体であれ、それはそういう特定性があれば特定の者に当たると。そして、いろんな仲介の労を取る、それがあっせんに当たる場合もあろうと思いますが、ただ、あくまでもそのことによって何か対価性のある利益が、利益といいますか、あっせんをした公職にある者に対して何かの利益がなければそれはこの犯罪類型には当たらない、これは当然であります。
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木村仁#28
○木村仁君 よく分かりました。
 ただ、賄賂でございますから、その議員の選挙のときにその労働団体から手伝いが出たらこれは捕まる場合があると、こういうことで、各々方、用心召されという感じでございます。
 それからもう一つ、例えば町内会のコミュニティーセンターを造る補助金、こういうものについて議員はもちろん一生懸命あっせんをするわけであります。これも、後で何かもらったらあっせん行為に当たると、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
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江田五月#29
○委員以外の議員(江田五月君) はい。そういう場合がございますので、お互い注意をしなきゃいかぬと思います。
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