堤和馬の発言 (内閣委員会)
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○参考人(堤和馬君) 御紹介いただきました堤和馬です。
私、一九八〇年に当時の国民金融公庫の労働組合の書記として採用されて、その後、一九九〇年一月に特殊法人労連事務局次長に就任し、つい去年六月まで特殊法人労連の事務局長でありました。故あって今フリーのジャーナリストみたいなことをやっておりますが、何だかんだといいまして約二十年間特殊法人にかかわってきました。
特殊法人改革というのは、この二十年間の間に四回行われました。一九七九年から八〇年、臨調行革が始まるときですが、ここで一回やられました。その後、九四年から九五年、これは自社さ政権のときに行われました。その後、九七年―九八年にも行われました。これはちょうど消費税が引き上げられるときでありました。そして今回、このような小泉政権によって特殊法人改革が行われてきたわけです。
ずっと見ておりまして、特殊法人改革、何で繰り返し繰り返しやらなきゃいけないのかということは、やはり基本的に特殊法人が抱えている問題をそこの改革の中で処理し切れない、転換できないということがあったから繰り返されてきたんじゃないかというふうに思います。
今回のやり方を見ていても、個別特殊法人はそれぞれ政策実行機関でありますからそれぞれの政策があるわけですが、その政策を見直すことなく、経営形態を変えるとか、そういう問題に終始をする。今度の道路公団の問題についても、片方で五全総において一万四千キロの高規格道路を造るという計画があるにもかかわらず、民営化をして、これを造り続けるのか否かという議論を棚上げにして処理していくというようなやり方が取られてきたと思います。
そして、特に問題だと思うのは、九〇年代に入って特殊法人の事業がいろいろな形で破綻をしていきます。九八年に行われた日本開発銀行と北海道東北開発公庫の統合というのがありましたけれども、これは、北海道東北開発公庫がむつ小川原開発や苫小牧の開発で約一千億円の債務を抱えて返済不能になったと、そこで日本開発銀行と統合させてこの債務を帳消しにしたという統合でありました。
今回の道路四公団のこの件につきましても、本州四国連絡橋の扱いが私はポイントだったんではないかというふうに思っております。今申し上げました開発銀行と北東公庫の統合と同じように、本州四国連絡橋が持っている三兆八千億円の負債を統合によって通行料金で処理をしていくということが画策をされていると思います。五十嵐先生のお話の中でも、個別の責任はどうするんだという話がございました。正に本州四国連絡橋が、いかにして計画が作られ、公団が作られ、実行され、だれの責任でこういうふうになったのかということが明確にされないままこういう処理のされ方をするというのは、非常に問題ではないかというふうに思います。
ですから、これは九七年、八年に行った北東公庫と日本開発銀行の統合を参考にした私は一種の政治的な詐欺のようなものだというふうに言っておるわけですが、いい意味でのそういう策ではないのではないかというふうに思っております。
政策的なことを議論をしないでこういう特殊法人改革をやるということから、もう既に五十年償還でやるということは決められておりますが、自民党の道路調査会では、これ二月の下旬の新聞報道では、七十年から八十年償還で一万四千キロをやろうじゃないかというふうな話がもう既に出ているということから見ると、この民営化が果たして無駄な高速道路をやめていくことの歯止めになっていくのかどうなのかということが非常に私は疑問です。
それと、民営化といっても、結局、財政投融資のお金を使って国が管理をしてやるということにならざるを得ないのではないかというふうに思うわけで、こういう意味からいえば、東京湾横断道路や関西国際空港株式会社などの形態と変わらないものができていくんではないかと。要するに、その看板を掛け替えて、株式会社という、民営化したという実績を残しながらこういうものを続けていくということになるのではないか。こういう意味での民間企業を仮に作ったとしても、東京湾横断道路はアクアライン造ったわけですが、一兆円プロジェクトということでスタートしましたが、実際は一兆五千億円掛かって、しかも計画の三分の一の通行量しかないということで、全く破産をしているわけです。
そういう点から見れば、こういう民営化の方法というのは、非常に国民を欺く内容になるのではないかということを恐れているわけです。
基本的に言えば、道路公団などの事業は、全国総合開発計画に基づいて、道路審議会、国幹審などの審議を経て実行されていきます。五十嵐先生おっしゃったように、国会の審議を必要としていません。しかも、公団などの予算は大臣認可予算でありますので、ほとんど決算の時期にしか国会にかかることはないというような仕組みになっております。
特殊法人改革をいうのであれば、こういう一つ一つの破綻した公団などの調査をきちっとして、ここからどういう問題があるのかということをきちっと研究をして、そこから新しく再発を防止をしていく、こういう破綻した公団が作られないようにしていく、そういう措置が必要なのではないかというふうに思います。
次は、道路公団にかかわって、非常によく言われるのが、利権構造ということが言われています。九八年の一月に大蔵省から天下りをしていた井坂理事というのが収賄で逮捕されました。そのとき、ちょうど子会社の社長が自殺をされているんですが、これ某テレビ局がその後の事態を追及したんですが、この自殺の背景にも政治家の影があったと。また子会社の問題でいえば、日本ハイカというハイウエーカードを売っている会社の背任事件がありました。ここでも政治家の影が指摘をされております。
今回の加藤紘一元自民党幹事長の元秘書の佐藤三郎氏の事件についても、道路公団の、山形だったか秋田だったか忘れましたけれども、建設事務所の方が事情聴取をされているやに聞いております。
そういう意味で、子会社の問題、公共事業の政治と金の問題、そういうものが非常に深く日本道路公団には浸透しているのではないかと以前から私は思っておりまして、いろいろ調べたりいろいろいたしました。いろいろ出てくるのは、やはり道路公団の子会社が直接的な道路公団の要するに資本関係がないということで、子会社からいろいろな政治献金が行われたりしているという実態、そしてまた公団の職員が、公団の職員は国家公務員じゃないですから天下りの規制というのはないわけですが、おびただしい数の天下りが建設会社や関係の取引先の会社に行われております。
ここに一つ資料を持ってきましたけれども、日本道路公団技術者名簿といって、十年ほど前のものなんですが、これのOBのところを見ますと、もうすさまじいばかりの天下りの実態が出ております。幾ら規制がないからといって、片方でみなし公務員としてやられているわけですから、公務員同様に私はこういう天下り規制をきちっと掛ける必要があると思っております。
そして、表向きは余り出てきませんが、公共工事のかなりの部分は談合が行われて、そういう中から政治献金が行われるような仕組みが公然の秘密といいますか、業界ではごく常識になっておるわけですが、そういう体質があると。
こういう道路公団などが持っている利権構造の問題に、今度の民営化の政策が有効なのかどうなのかということであります。ほとんどここの議論がないわけでありまして、ほかに今、野党側からいろいろな公共事業関係の法案が提出をされておりますが、私、あえて申し上げたいのは、公団の子会社などからの政治献金をやめさせるとか、公団の職員の天下りを規制するとかいうことも付け加えなければきちっとした改革にはならないだろうというふうに思います。
そして、最後にですが、この行政改革、特殊法人改革がこの二十年間、いろいろ行われてきたんですが、私は労働組合の幹部をやっておりまして、春になると春闘アンケートをやるわけですが、特にここ二年ほど前に行ったアンケートでは、行政改革によって非常に雇用不安を感じるというふうに回答された方が八〇%に上るわけです。
特殊法人は、政治的に作られ、政治的に改廃されるというのは昔から言われておりまして、いろいろな政治的な関係でいろんな改革が行われるのは当然なんですが、片方では、働いている職員がおりまして、非常に自分たちがほとんどタッチができない、もう非常に高いところでそういう議論が行われて、決まったものが法律として下りてきて、いろいろなことが行われていくと。そういう中で、議論が進めば進むほど雇用不安が募るという状況になっております。
そして、こういう改革が行われると、当然、人減らしや人員削減、いろいろなことが行われるのではないかというふうにも思われるわけですが、一つ申し上げたいのは、今、民間、失業率が五・数%で、三百五十万も失業者がいるときに、特殊法人の改革と称して公団の職員などの削減を、官の側から失業者を作り出すような政策は是非差し控えていただきたいというふうに思います。
ここ四回の改革を通じて感じることは、様々な法人の経営形態の問題が議論され、今回はかなりのところが独立行政法人化していくことになりましたけれども、私は、この独立行政法人化についても、特殊法人の破綻した事業、破綻した経営などの実態を余り検討しない中で出てきた法人でありますし、しかもまだ発足して間もないのにこういうことに移行をさせていく、非常に無理なことではないかと、やはりきちっとした総括と再発の防止などの政策が取られて初めてこういう公的な機関がきちっと発展をしていくということになるのではないかと思います。
そういう意味で、そういう基本的な政策議論と、やはり情報開示や透明性や責任の所在の明確化などを含めて、道路公団や、今回の道路四公団のこの問題でいえば、長期計画から含めて見直されることを要望しておきたいというふうに思います。
以上です。