正村公宏の発言 (予算委員会公聴会)
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○公述人(正村公宏君) 公共投資は二つの効果があるというふうに経済学者は常識的に考えておるわけでありますけれども、フローの効果とストックの効果というふうに申します。
ちょっと専門用語を使って恐縮ですけれども、フローの効果というのは、年々の支出を増やし、したがってそれに基づいて国民の所得を増やすと。事業をやることによって国民所得を増やすと。ストック効果というのは、公共事業をやることによっていろんな施設ができます。道路ができたり、様々な護岸工事をやったり、それがフローの効果だけを考えれば何でもよろしいからお金を使うという話になりがちなんですけれども、しかしいずれは税金でもってファイナンスしなければ、賄わなければならない貴重なお金でございますから、今は公債に依存せざるを得ないとしても、やはり本当に未来の世代にとって意味のある事業にお金を掛けるということにしないと、公共事業についての国民の信頼と支持が生まれないと思うんですね。
残念ながらその点において問題があると多くの国民が思っているというのが今の状況だろうと思うんです。無駄なことをやっていないかと。お米の足らない時代に立てられた計画をそのまま強行してしまって、貴重な海を埋めてしまうとか、そういうことをやっていないかと。こういう疑念を国民が持っているという状況の中にあって、先ほど申し上げたような公共事業をやるということが、国民の将来の日本についての確信なり希望なりに結び付かないというところに問題があると思います。
もう一つ申し上げたいのは、御指摘の税の問題というのは非常に重要だと思いますけれども、私も減税をするよりは、やはり今の日本の構造でいえば社会保険料と租税を含めた国民の負担というのは増えることを覚悟した方がいい。一人一人がお金を生命保険会社と契約したり銀行に預けたりして老後に備えようということを幾らやっても不安でたまらないんですね。いろいろなリスクのある少し利回りのいいお金に、資産に回そうと思ったらやけどをしたりとか、いろんなことが起っている。
つまり、市場の不安定性に国民生活を直接にゆだねてしまうような方法で老後の保障を考えたりするということをやるよりは、子育てをしっかりやって、力強く子供が育つような環境条件を整備しながら未来の世代がしっかりやっていけるような国家社会を作っていくという、そういうことを前提にしてみんなで共同で安全保障を考えましょうという社会的保障のシステムをしっかり構築した方が賢明なんですね。私的保障でやるのか公的保障でやるのかというのはイデオロギーの問題ではないんです。どちらが効率的かということなんですね。
そういう点からいいますと、お話のように、個人の貯蓄した資産が非常に増える、非常にはないですけれども、増える、今でも増えている。率直に言いまして国民の相当部分は実にくだらないことにお金をたくさん使っていますよ。それよりは、多少税率が高くなっても安心のできる社会を作るんだというビジョンをお示しくださって、そして今すぐというわけにいきません、景気がこれだけ落ち込んでいますから、しかし将来の租税負担はここまでは覚悟してほしいよと、その代わり総合的な、医療と年金と福祉をばらばらに扱う今のようなやり方ではなくて、総合的な社会保障計画をお示しになって政府に対する信頼を確立する、これが重要だと思いますね。
それからもう一つは、やはり中央と地方の関係を根底から見直すと。今の中央と地方の関係、中央のやり方を拝見していますと、地方交付税、今、名前変わっていますけれども、地方交付金のようなものを、地方財政を操作する、あるいは管理するために細かくお使いになっていますね。それは結果として地方の借金依存を強めるようなことになっていると思うんです。今年、今年度、来年度の予算を拝見してもそうなんだと思いますけれども、これやめなきゃいけませんね。そして、どこまでは政府が責任を持つのか、中央政府が責任を持つのか、どこから先は地方が責任を持つのかという、そういう地方分権と自治を推進する、こういう総合的なプログラムをお示しになって、そして税体系をすっきりさせると。
率直に言いまして日本の税はめちゃくちゃになっています。私も税制調査会にかかわっておりましたけれども、もう意味がないと思って辞退をしたんですが、今のやり方では駄目だと思ったから辞退をしているんですけれども。
何が駄目かというと、継ぎはぎにしてしまって、シャウプ勧告が要るんですよ、シャウプ勧告に匹敵するものが。シャウプ勧告は占領軍がやったんですけれども、日本人が自ら、自らの力で体系的で一貫性のある税を作れるかどうかということが今、テストされますよ、これから。そのときに、私は思うのですけれども、所得税の申告を多少しますけれども、そのたびに思うのはめちゃくちゃなんですね、控除が一杯あって。障害者控除とか高齢者控除とか要らないんです。ちゃんとした給付の体制があり、社会的支援の体制ができていれば高齢者控除なんてやめるべきだし、障害者控除もやめるべきだし、課税最低限下げてもいいし、こういうことを是非お考えいただきたいと思います。