正村公宏の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(正村公宏君) 大変難しい問題を突き付けられたわけであります。それはもちろん十分に承知しているテーマであります。
 構造改革ということが繰り返し言われて、そして、それはどちらかというと切り捨てる、あるいは今までの制度を壊すという、そういうイメージの強いもの、あるいは赤字を減らさなきゃいけないから財政を切り詰めないといけないという、そういう種類の議論が繰り返されているわけですね。八〇年代からそうであります。しかし、それだとスクラップしか見えないわけですね。
 小泉内閣がおっしゃっている構造改革も、端的に申し上げれば、今までのものが動かなくなってしまっているから、特に公共部門にいろんな問題があると。公的な金融システムの流れとか特殊法人の問題とか、それから財政支出の在り方とか、これを直さなきゃいけないと。全くおっしゃるとおりで、根底から直さなければいけません。直すについては、御指摘のように、あるプログラムを示して、漫然とやるのではなくて一定の期限の中でやるということをやらなければいけませんね。
 しかしながら、ビルドがない。私のような者が言うのは口幅ったいですけれども、政治というのは、やはり国民の支持があって大胆な改革ができるはずであります。国民の支持というのは、古いものが行き詰まっているから壊すんだよということで済むはずがないんですね。やはり政府がやらなければならないことが幾つかあるわけですから、それをお示しいただく、それをやるんだよということをはっきりお示しいただくということが基本だろうと思うんです。
 私は、イデオロギー的な小さな政府論がばっこし過ぎたと思っております。小さな政府が目的ではないんですね。効率的な政府が目的だと私は思っています。効率的というのは、効率的というのは能率的という意味じゃないんです。能率がいいということではないんです。やるべきことをきちんとやる。その代わり、やる必要のないことからしっかり手を引いていくという、こういう仕組みを国民にお示しいただくということが基本だろうというふうに思います。
 ビルドの展望をお示しくだされば、スピードはいろいろあっていいわけですよ。例えば、国民年金、いや厚生年金がなし崩しに賦課方式に替わってしまっております。いずれこのまま行くと、将来の、次の世代の社会保険料なり租税なりの負担で賄わなきゃならないということになってきているわけですね。国民年金はもう既に賦課方式になっていて、しかも保険料では賄えないので税をお入れになっていると。将来、この税を入れる部分を増やさなきゃいけない。
 一番問題なのは、なし崩しというやつだと私は思うんです。なし崩しにこういうことをやっていると。介護保険についても、既に半分以上は税で賄わなきゃならないという仕組みになっていますよね。なぜ保険、保険と政府がおっしゃるのかと見ていると、私に言わせると、政治的抵抗最小化の原理で行動していらっしゃると。保険といえばお金が集めやすいというふうに考えているのかなと勘ぐらざるを得ないような行動をお取りになっていると思うんです。政治的抵抗最小化の原則で行動なさっている限り、民主主義は崩壊していく。そして、成長の勢いがあった時代はいいけれども、成熟の段階を迎えたときには国民が目標を失ってしまう、そういうことになっていると思うんです。
 だから、私は、ビルドをお示しいただきたい、ビルドは総合的にお示しいただきたいと。社会保障の総合計画、医療をどうするかとか年金をどうするかとか介護をどうするかでばらばらではなく、もちろん個別の問題は追求しなきゃいけませんけれども、どこかで総合的なプログラムをお示しいただきたい。
 過去の例でいうと、厚生省でさえもばらばらなんですよね。年金は年金の担当者がやっている。介護の問題が出てくると介護の担当者が必死になってやる。ほかの部局はみんな知らぬ顔している。これでは駄目なんです。これは官僚機構に期待しても駄目なんで、是非政治家の皆さん方がイニシアチブをお取りになって、総合的なビジョンをお示しくださって、そして、多分年金の改革は五十年掛かります、食いつぶしてしまったわけですからね、どうするかと。
 五十年を示すということは、ゆっくりやればいいんじゃないんです。地球環境問題もそうですよ。百年後に温度が何度になるという議論するからいけないんで、現実に地球温暖化はどんどん進んでいて、台風が激しくなって被害が増えますよ、干ばつが起こって大変なことになります。そのことを直視して、長期の見通しを示して、長期の見通しで考えるということは、ゆっくりやればいいんじゃないんだということをやはり議論すると。
 これは日本の政治のカルチャーを変える重要な手掛かりになると思います。じっくり考えて、長期をにらんで考えて、確実に一歩一歩やっていくという、先延ばししない、こういうことを是非お考えいただければというふうに思うのであります。
 ちょっとはぐらかしたかもしれませんけれども、しかし、私の意のあるところはお酌み取りいただきたいと思います。

発言情報

speech_id: 115415262X00120020319_017

発言者: 正村公宏

speaker_id: 10584

日付: 2002-03-19

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会