正村公宏の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(正村公宏君) 御指摘のように、人口が減っていく問題、少子化の問題、生産年齢人口の減少の問題、そして総人口もあと数年、二〇〇五年かその前後に下がり始める、減り始めますね。こういう事態にどう対応するかというのは非常に難しいというか、新しい問題なんですね。それをちゃんと覚悟しないといけない。
 もう一つは、人口の激減は好ましいわけではない。人口が増えるのは、もう地球のキャパシティーが限られていますから増えない方がいい。でも、急激に減っていく、急激に少子化が進むということは社会に大きなひずみをもたらしますから、これはまじめに考えないといけない、こういうふうに考えるわけであります。
 一九八〇年代の後半、いわゆるバブルの時代というのは経済的な論議もバブルでありまして、相当いい加減な議論があったんですけれども、これからは人口が減っていくので、生産年齢人口は間もなく減るから労働力不足の時代が来るという議論がちょっとはやったことがあります、御記憶かと思いますけれども。私はそれに反対でありまして、人口が減るということは新しく世帯を持つ数も減っていくわけですし、需要の方も減っていく可能性があるわけですね。しかも、日本の経済運営が誤ったために、ドル、円が高くなり過ぎちゃって国際関係上非常にまずいことになっていますから、だからこの状態で行くと、逆に需要、総需要の不十分なために、人口が減っているのに失業が大量に発生するということもあり得るんだということを直視しないといけない。これが経済のメカニズムなんだということを忘れて、人口が減るから労働力不足の時代が来るという短絡した議論がはやっていたのを思い出します。
 そういう議論をやっちゃいけないんで、現実に人口の構造が変わり、数が減っていくときに、私たちは何を考えなきゃいけないかというと、クオリティーの問題だと思うんです。子供の数が減るということは、子供が兄弟げんかして育つということが少なくなってしまう。親がどうしても過剰管理、過剰保護になってしまう。ひ弱な子供を作ってしまう。こういう成熟した社会においてそうなりがちな中で、どうやったら子供を元気に育つような状況を作るのか。そこそこに、余り激減しないでそこそこに子供が生まれてくるような状態を作るのかという、統制し、管理し、計画するという意味じゃないけれども、やはり文明の自己制御ということを考えないといけない、そういうところに来ていると思うんですね。
 私は、長い歴史を振り返ってみれば、女の人が働くのは当たり前だったということを想起してほしいんです。武家の家の、家柄の奥さん方をイメージしちゃいけないんです。庶民の女の人はみんな働いているわけです。酒造り屋さんのおかみさんは一生懸命になって働いて、職人たちの面倒を見て、だんなさんと一緒に生業を営むことに頑張っているわけです。町の小売屋さんもみんなそうですよね。女の人が働くのは当たり前なんです。
 女の人もまたそれぞれに個性があり、いろんな能力を持っているわけですから、これを社会が活用しない手はないのであって、みんな専業主婦、みんなではないけれども、専業主婦が日本ぐらい多いという国は先進国の中では少ない、ほかにもちょっとありますけれども、しかし非常に少ない。出産退職が物すごく多い。
 それなのに、七〇年代、八〇年代、日本がサラリーマン社会になって、専業主婦がどんどん増えてしまって、女性が労働戦線といいましょうか、職業戦線から離脱していくという傾向が強くなったときに、しかも片っ方で子供はどんどん減っていくということが現象として七〇年代に起こっていたときに、子育て支援、安心して子供を預けられる社会的な支援の仕組みを作ろうではないかという政策をお取りにならなかったんですよ。その場その場でいろいろおやりになって、保育所の数は増えたけれども赤ん坊を預かってくれるところはない。四月を過ぎて子供を預けようと思って探し回ってもどこにもないと皆さんは言っているわけです。だから十一月に子供産まないと駄目よと職業婦人の間で言われているんですね。悲しいじゃないですか、豊かになった国にしては。こういうことをやっていて子供が減っていくのは当たり前なんですよ。
 それで、少子化で大変だ、年金が大変だから削っていこうとか、医療費が大変だから削っていこうという話にどんどんどんどん縮こまっていくのじゃなくて、こういうときだからこそ、やはり社会の構造が変わり都市化が進んでサラリーマン化が進んでいるわけですから、女性が自分の能力を生かして社会に参加しながら、パートタイムでもいいです、正規の従業員であってかつパートタイマーであるというオランダ型の雇用関係をこれから考えていかなきゃいけないですよね。そして、子育てと両立し得るような職業形態を探していって、子育てのためにも一生懸命頑張っていただくけれども、社会にとってもその女性が持っている能力を活用できる。この能力は福祉にも生かせますし、教育にも生かせますし、いろんなところで生かせるわけですから、こういうふうな新しい仕組みを作るということを是非お考えいただきたいと。そのためのそれこそ予算措置を真剣にお考えいただくことが必要ではないかと私は思っています。

発言情報

speech_id: 115415262X00120020319_021

発言者: 正村公宏

speaker_id: 10584

日付: 2002-03-19

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会