正村公宏の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(正村公宏君) 今の最後におっしゃったようなことについては、私は半分ジョークかもしれないと思っております。
 地域振興券あるいは地域通貨とかいろんな試みをなさっているところがございますし、政府もおやりになったわけですけれども、私は、それは小細工であり過ぎる、率直に申し上げて、そういうふうに思っております。これも言ってみれば、私流に言えば、先ほど申し上げたように、三十兆円の枠をはめるのと同じで、一種の政治的な意味合いはあるかもしれないけれども、経済政策ではない。
 金利がゼロの状態というのは異常だと思うんですね。銀行にとっては、もちろん預金金利がほとんどゼロという状態で、お客さんから預かったお金にほとんど金利を払っていないと言ってもいい状態ですけれども、しかし、貸出し金利の方も下げているわけですからマージンが小さいわけで、それはリスクを取るような貸出しに積極的に乗り出すということはこの状態では不可能だろうと思います。
 一部の専門家が御指摘になっているように、日本全体を見ますと、やはり国債の利子を下げなきゃならないというそういう状態の中で、政府が持っている公的金融部門のお金の流れを国債消化に使っていると、あるいは地方債の消化にも使っているやに聞いておりますけれども、こういう人為的に枠をはめて金利を引き下げてということをやって金融の機能を破壊している。今の超低金利というのは金融の機能を破壊しているというふうに私は考えております。
 で、浪川さんがおっしゃったように、私もこの全体の中で、不況というのは需要が不足しているんだということを、つまり供給力に比べて需要が落ち込んでいるんだと。これは下手をするとデフレスパイラルに陥る状況なんだという認識の上で財政が責任を負うと。中身を変えながらも過度に抑制的にしないという、そういう対応をすることが先決なんであって、それをやらないで金融の方で何とかしようというのは、私は多分不可能な状態にあるというふうに思います。
 ちょっとアナロジカル、歴史的アナロジーというのは危険なんですけれども、浪川さんが昭和恐慌の話を、大変生き生きとした実例をお話しくださいましたけれども、その昭和恐慌の前後にかかわるわけですが、一九二〇年代というのは日本の近代の歴史において非常に重大な岐路であったと思うんです。
 このときに、対中国政策においても大きな誤りを犯したわけですけれども、経済政策においても大きな誤りをした。その重要な誤りの一つ、最も大きな誤りと言っていいと思いますが、旧平価で金解禁を実行したということなんですね。これは世界的に各国誤った、例えばイギリスも誤った政策を取ったわけで、旧平価で金解禁したわけですけれども、浪川さんが勤務しておられます、勤務ではなくて契約しておられます東洋経済の先駆的な記者であられた石橋湛山さんは、解禁を旧平価でやることはよくない、切り下げないと旧平価解禁は大幅な円高になってしまうということを警告しておられたんですね。
 これに対する当時の政策当局者、政府の回答はどういうものであったかというと、厳しいことは分かっておる、厳しいことは分かっておるが、旧平価で金解禁することによって日本の産業の国際競争力を強めなければいけない、合理化をやってもらわなきゃいけないという、こういう議論なんですね。
 これは、歴史に繰り返し登場するしごきの論理であります。政府のマクロの経済政策が誤っているために経済が困難な状態に追い込まれて、そして産業が苦しんでいるときに、大企業のみならず、特に中小企業が塗炭の苦しみを味わっているときに、もっとしごきに掛けるんだ、国際競争力を付けるんだと。今よく似ていませんか。
 そういう、この二〇年代の経済政策の誤りが三〇年代、三〇年に金解禁した途端に輸出が激減しまして、日本の産業が大打撃を受けるわけですね。そういう中で、やはり一部の軍部などが主張した軍国主義的な主張というものが通りが良くなっちゃった。三〇年代の戦争への道の土台は、二〇年代の経済政策の誤りに少なくとも一部かかわっているということを再認識をする必要があると思うんですね。
 私は、今やはり考えなきゃいけないことは、王道を行くと、困難だけれども、こういう時期こそ周到に考えて、一番大事なことを考えましょうと。変えることは難しいことは重々分かりますけれども、財政の中身を変えて、租税の体系を変えて、政府に対する信頼を強めて、そしてやるべきことを政府がやる、そういうことが求められている時代であるというふうに私は思っております。

発言情報

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発言者: 正村公宏

speaker_id: 10584

日付: 2002-03-19

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会