江畑謙介の発言 (外務委員会)

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○江畑参考人 江畑でございます。
 お手元にレジュメ及び資料がございますけれども、事務局のお手を煩わせて、なるべく説明を簡単にするために、書いてあることとそれに関する図や何かはみんなお手元につけてあります。例えば、イラクの主要戦力及びイラク軍の戦力評価、それからイラク攻撃に要するだろうと思われる戦力の見積もり及び、このレジュメにはありませんけれども、後ろの真ん中の方の表に所要経費の見積もり、これはアメリカの議会予算局が出したものがありますので、それはそちらで御参考までに見てください。
 私は、限られた時間の中ですので、「日本の選択肢」というレジュメ、二ページ目の最後の四について、個人的な意見も含めた上で簡単に御説明させていただきたいと思います。
 まず、日本の選択肢、どういうものがあり得るかと考える前の前提条件といたしまして、大量破壊兵器拡散防止というのは日本の国是でございます。イラクのサダム・フセイン政権が、少なくとも湾岸戦争までは大量破壊兵器、核、生物、化学兵器の保有に非常に努力してきたということは明確でございますし、その後、九八年十二月以後、国連の調査団が入っておりませんので、どうなっているかわからないという非常に不安定な状況にある。
 明日かと思いますが、国連決議千四百四十一に示されました、イラク側からのこの大量破壊兵器開発及びその運搬手段に関する報告書というものを提出されるという話でございますけれども、現在のところ一切そんなものは持っていないということを言っておりますので、多分この点で非常にもめるだろうと思います。
 二番目の条件といたしまして、日本は石油供給の八七%、実際はもうちょっと今は多くて九割近いかと思いますが、中東に依存しております。したがって、中東が安定してくれるということは、石油資源というと何やらとってくるというような穏やかなるものはありますけれども、いずれにしろ、日本だけではなく世界にとって中東の石油供給は、先ほど畑中参考人もおっしゃっていましたけれども、世界の経済にとって極めて重要なところです。言うまでもないことですけれども、イラクはサウジアラビアに次いで世界第二位の石油埋蔵量がある。ここが安定してくれないと困る、ここというのは中東地域が。
 サダム・フセイン政権が現在のままで存続して、そこが安定し得るという具体的な、つまり軍事力を伴わないで課題が解決できるような方式が日本からあるいはほかの世界から提示できるんだったら構わないんですが、よろしいことなんですが、それができないとなると選択肢は非常に限られるだろうと思います。
 それから三番目として、これはオープンには言っておりませんけれども、フセイン政権が倒れた以後、あるいはポスト・イラクというのはアメリカが中心の世界になる。中心でいいとか悪いとかそういう意味ではなくて、やはり世界の主導権をアメリカがかなり大きな力で握ることは間違いないだろうと思います。それをユニタリズムと称して反発するのは個々の自由なんですが、ただ反発しているだけでは変わらないだろうと思います。アメリカは絶対的に強いですから、軍事力、もちろんその前にある経済力、技術力をもって。
 そうすると、逆にこれにはじき出されますと我々は何の関与もできなくなる。むしろ、英語で言うとアクティブ・エンゲージメントと言いますけれども、積極的にアメリカに、協力という言い方をすると何かおかしいかもしれませんけれども、関与していくことによって、その発言権や行動力をある程度、日本や世界にとって不利にならないように制御できる可能性があるというふうに思います。
 そこで、具体的な日本の現実的選択肢に何があるかということを申し上げますが、私は外交方面の専門家ではございませんので、その点については省略させていただきます。それに、もう既に高村元外相を初めとして日本はイラク周辺諸国に使節を送り、いろいろそういう点では外交的努力をしておりますから、今は申し上げません。軍事的な面での選択肢に関して申し上げます。
 お手元の資料の一番最後に、これは図示したものですけれども、三つの分類に分けたものがございます。
 一番左は現在の延長。既にこれは行われておりますし、また一番下の海上自衛隊輸送艦による物資輸送も、このほど政府の方で、一回限りではありますけれども、アフガニスタンに駐留する施設部隊に対する物資輸送ということで決まりました。
 二番目は、テロに対する闘いを行っている米軍の代替的活動として、インド洋におけるプレゼンス、活動をより強化する。例えば海上自衛隊のP3C洋上哨戒機を派遣するとか、あるいは航空自衛隊が持っているE767という早期警戒管制機を派遣する。これは、恐らく基地としてはディエゴガルシア以外に考えられないだろうと思います。ここへ行くのは、いわゆる兵たん輸送、ロジスティックが大変になりますけれども、それはやってやれないことではない。
 それともう一つは、より一歩進んだ形の、これは象徴的になりますけれども、政府は一応決めましたが、一番下のイージス護衛艦を含めて、より多くの艦艇を派遣するということが、アメリカのテロとの闘いにおけるインド洋のパトロールの負担を軽減するという形で実施できるだろうと思います。
 そして三番目は、新しい形になりますけれども、二つほど考えられるかと思います。
 まず第一番は、ホルムズ海峡封鎖に備えて海上自衛隊の掃海艇部隊を前進配備しておく。配備といっても、これをどこに置くかは難しいところですが、例えばバーレーンに置いたときに、バーレーンというのは軍事攻撃が始まったときに戦闘行動地域に入るのか否かというような問題もありますし、パキスタンあたりですと政情不安で、またパキスタンが受け入れるかというような問題もあります。
 ありますが、お手元の資料の一番最後から二枚目及び三枚目を見ていただければ、三枚目のところは中東に石油を依存しているということですし、二枚目のところはペルシャ湾から日本に至るタンカー航路です。ホルムズ海峡に仮に機雷が敷設されますと、大変な影響が日本だけではなく世界に生じる。
 これはイラクがやるかどうかはわかりません。ただ、イラクに対する軍事攻撃が行われると、いわゆる一種の洋上におけるテロ行動という形で何者かが機雷を敷設する可能性もある。そうなった場合にこれを排除するというのは国際的に非常に重要なことになりまして、日本は既にその実績がある。多分、派遣するためには新しく法律が必要になるかもしれませんが、日本は世界の中でもかなり数多くの掃海艇を持っておりますから、やはりそれを前進配備しておく。
 これは、使わないで済むんだったら、それにこしたことはないんです。ただ、決まってから行くんだったら、片道でも三週間近くかかりますから、この種の船ですと。そういう時間的なあれを考えるなら、一応前方に配備しておくことによってプレゼンス的な、ビジブルな、目に見える形での日本の貢献ということが証明できるのではないか。
 三番目は、これは日本の法的なものになじむかどうかはわかりませんが、もうかなり米軍自身が米本土から湾岸地域に物資を運んでおります。運んでおりますけれども、なおかつ軍事的行動が行われるということが決まり、しかもそれが再び国連の安保理事会で決議されるような場合において、日本は、米軍ないしは米軍だけでなくていいんですけれども、そこに軍事的な参加を行う各国の物資輸送の船をチャーターするという形で貢献できるのではないかと思います。
 つまり、これは単に金を払うというだけではなくて、日本が金を出して、大体今こういうコンテナ船というのは、ほとんどの場合には便宜置籍船ですから、いわゆるどこかの国に属するという特定のあれは、例えばパナマ、リベリアとかそういうところですので、チャーターすることは簡単ですし、ただその料金を支払いするということで、単に現金を払うのではなくて、物資輸送という形で貢献できるのではないかと思います。
 最後に、結局日本は何らかの形で実質的に動いていかない限りは、この後のアメリカの絶対的な力を背景とした一種のユニタリズム的なものに何ら、下手をすると、入れてもらえないと日本の存亡にかかわるというか、日本国民が非常に苦しい思いをすると思います。そういう点では、選択肢として今現実的に考えられるのは、アメリカと日米安保条約をもとにしてやっていくしかないわけですから、そこにおいてむしろ積極的に日本が、もちろんできる範囲で関与すればいい。十一月の末に出ました対外関係タスクフォースでも、似たようなことが結論として書かれておりますが、私も個人的には同意見であります。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 江畑謙介

speaker_id: 21263

日付: 2002-12-06

院: 衆議院

会議名: 外務委員会