江畑謙介の発言 (外務委員会)
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○江畑参考人 まず、イージス艦の能力とどのぐらい変わるかという御質問ですけれども、基本的には、現在行っている在来型といいますか、その護衛艦と変わりません。
まず第一に、最近この議論はなくなりましたけれども、去年イージス艦派遣の問題が言われたときに、主に政府及び与党の方から強く主張された情報収集能力、これは正確に言うと、レーダーで得た情報処理能力が高いのであって、別に、ほかの護衛艦が持っていない能力を持っているわけじゃありません。
ただ、あのレーダーは、ちょっと難しい話になりますけれども、普通はレーダーなんというのはぐるぐる回りますが、そういうのでなくて、電子的に四つの、三百六十度の四方向に向いたレーダーを回しますから、普通のレーダーのアンテナですと一分間に十回ぐらい、つまり六秒に一回ぐらいしか全周がわからないのに対して、瞬時に、実際目で見ている限りでは、人間の判断能力でやる限りは、同時に三百六十度を見ているというようなことが可能であります。それから、出力も高いので、大きな、戦闘機ぐらいの大きさのものでしたら四百キロぐらい先、高さにもよりますけれども、探知できる。
それを同時に、同時にというのは事実上同時にという意味で、全くリアルタイムでという本来の意味ではありませんけれども、人間がやる分には能力的にほとんど差がわからないほど同時に多くの目標を追尾して、大体、追尾能力で四百キロ以上、追尾というのは、つまり今Aの一という目標がどこの高度をどの方向に進んでいるかというのは常に見ている、これが追尾ですね。それに対して、ねらう位置に向けて攻撃をかける、ミサイルを誘導する。これは大体どのくらいできるかというと、その能力にもよりますけれども、普通十から二十個、最大規模で二十四個と言われていますけれども、同時に対応できる能力がある。
確かに、この迎撃能力だけで見る場合は、今既にインド洋に派遣されている在来型の護衛艦よりもかなり防空能力は高いです。ただ、先ほど申し上げました情報収集能力という意味でいうならば、単にそのイージス艦がいる半径四百キロ程度の空の内容がわかるというだけで、これは今既にインド洋に派遣されている船と何ら変わりはありません。
それ以上のことをするのであれば、通常、ESM、その中にシギントとかエリントとかという信号情報収集あるいは電波情報収集という特別な装置をつけない限りは、それほど高い能力は得られません。ごく小規模なものは自分の船を守るためには持っていますけれども、それは、ほかの護衛艦と全く同じものです。
あとは、行動が一体化するというのがありましたけれども、国会の質問でもあったかと思いますが、共同交戦能力、コオペレート・エンゲージメント・ケーパビリティー、CECと訳していますけれども、これは自衛隊のイージス艦にはありません。開発したのはアメリカ海軍ですが、アメリカ海軍でも二〇〇一年からようやっと実用化に達した段階で、ことしの秋の時点でアメリカ海軍で十七隻、それから航空機が八機、これしか搭載されておりませんし、アメリカ以外にこの装置を買った国は、イギリスがテスト用に一つだけです。日本は、欲しいとは思うかもしれませんが、今のところ具体的に導入計画もないし、果たして、それを欲しいと言ってもリリースされるかどうかもわかりません。
これは、簡単に言いますと、従来のデータリンク、つまりリンク11とか16とか言っているものですが、今の海上自衛隊の護衛艦は基本的にはリンク11、それからイージス艦は、それをアナログ型からデジタル型にしたリンク16というのを持っている。これは文字情報を交換するんですよ。つまり、レーダーで見つける、そうすると高度が幾つ、方向が幾つ、それから、それに対して、敵味方識別信号だったか敵かわからない、こういう情報がありますね、これを文字情報としてお互いに交換して、それに従ってディスプレーに投影するものです。ですから、昔で言うと、映画なんかにありますけれども、ガラスの板に記入していく、あれと同じことをコンピューターの間で文字と数字の情報だけでやるということですね。これがリンク11と16です。
それに対して、CECというのは、そのレーダーが見ている生の映像、空全体が三百六十度どうなっているか、それをお互いに交換し重ね合わせることができる。ですから、完全にその海域一帯の状況が、それを持っているどの船や飛行機ともすべて共用できます。
ですから、資料を配付いたしましたけれども、文字で、そこの上のレジュメの二ページに書いてあるのが、これがリンク11の送られるデータです。それに対して、後ろの方の、いろいろな写真や何かありますけれども、これがCECの能力だと思っていただければ結構です。
ですから、それができますと、自分が見えていない目標でも、はるか向こうにいる船あるいは飛行機が得たレーダー映像がそのまま自分でも見られますし、また、いろいろな船から来た情報を重ね合わせることもできますから、自分で目標が見えていなくても、そこまで、例えば艦対空ミサイルが届くのであるならば発射できます。ただし、発射するのは自分の艦の判断で、あるいは命令によって判断してやるものであって、全然別の、例えば海上自衛隊の船が仮にCECを持っていて、米軍とそれをつないだとしても、米軍から、撃てというように、遠隔操作的に海上自衛隊の船が発射できるものではありません。
ただ、その画像データの共用及び融合したものが、例えば全然遠くのところにいる早期警戒管制機が得た映像をそのまま重ね合わせることもできますから、それをもって集団的自衛権の乱用になるかどうかというのは議論が分かれるところだ、解釈の分かれるところだと思いますが、少なくとも、現時点においては海上自衛隊の船が持っているのはリンク11ないしは16で、イージス艦は16を持っています。16はどこが違うかというと、先ほど申し上げたようにデジタル型なんで、非常に大量に高速にそのデータの更新ができるというだけで、基本的には11と変わりありません。
二番目の御質問で、これをインド洋に派遣した場合においてどう変わるかということになりますと、少なくともインド洋の周辺で現在海上自衛隊が活動している範囲、例えば北アラビア海あたりまででしたら、今と状況は変わらない。
ただ、もし何か、余り状況としては考えにくいんですけれども、テロリストによる航空攻撃、ほとんどこれは航空攻撃しか対応できませんが、あるいは、イラクが間違ってペルシャ湾あるいはサウジアラビアの上を突っ切って北アラビア海まで出てきて、それが非常に多数である、三十機とか四十機とか、あるいは百機とかいうことであるならば、イージス艦を持っていってそれに対応できて、どの飛行機が今どこにいますというのをデータリンクで知らせることができますから、能力的には高まりますけれども、一機や二機が仮に来たところで、それは今の護衛艦とは変わりありません。
ただし、それだけの能力を持っている、日本が一つの伝家の宝刀的なものを送ってくれたということが政治的に評価されるかどうかということに関しては、これは別物の話です。
居住性がよい、確かにそのとおりです。新しい船ですし、大きな船にもかかわらず三百人程度の人間で済んでいますから、それは間違いないです。
あそこは行ってみればわかるように、甲板の上が八十度とか、そんな問題ではなくて、物すごい暑いことは事実です。それから、非常に細かい砂が来ます。これはもう黄砂以上に細かいもので、パウダーというよりも粘土みたいになっちゃうんですね。甲板なんかに出ても、大変な状況になる。完全に密封していても中に入ってくるというようなのを、アメリカ第七艦隊の作戦報告なんかでいろいろ報告されております。
確かに、あそこに行っている乗員の任務というのは非常に過酷だろうとは思います。それがイージス艦で軽減されるか。ただ、乗員は交代しますから。居住性のいい船であることは間違いありません。
以上です。