中山信弘の発言 (経済産業委員会)

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○中山参考人 東京大学の中山でございます。
 私は、知的財産戦略大綱の起草委員長を務めましたので、大綱で提唱しております知的財産基本法がこのような形で審議される運びとなりましたことを大変喜んでおります。
 知的財産制度の改革にはスピードが最も重要でございます。大綱が公表されて基本法の準備室が設置されてから三カ月余りという極めて短い時間でこのような基本法案ができ上がったということは、準備室の大変な御努力によるものと考えます。担当者に対しましては、心から敬意を表する次第でございます。
 大綱の基本的な理念は、この国の経済体制を物つくりから情報つくりに変換するということ、すなわち知恵の重視という点にございます。
 従来我が国が得意としてきた物つくり、すなわち、優秀で安い製品を大量に世界に供給するという体制は破綻しつつあります。これにかわる新体制、すなわち情報つくりに適した体制を早急に確立するという必要がありまして、そのためには、知的財産の重視、すなわち知財立国を目指すということが必要になってまいります。大綱は、そのための具体的なプランを提示しているわけでございます。
 情報化時代におきましても物つくりの重要性というのは変わらないわけでございますけれども、ただ、大綱が考えている社会における物つくりとは、物に情報を付加した高付加価値のものを指します。高付加価値製品の価値が高いのは、付加された高度の情報によるものでありまして、しかもその情報は侵害に対して極めて弱いという存在でございます。したがいまして、情報を強力に保護するという必要があるわけでございます。その情報を保護する法律が知的財産法ということになります。つまり、高付加価値の物づくりのためにも知財立国というものは必須であるということになるわけでございます。
 従来、知的財産というのは単なる財産権であると考えられておりましたけれども、ここに参りまして、知的財産制度を経済発展のための有力な手段の一つとして利用しようという考え方が優勢となりまして、それが知的財産戦略の戦略たるゆえんであると考えております。
 知的財産を重視する社会におきましては、新たな創造活動への大きな刺激が存在するということになりまして、それによりさらなる発展が生まれるという、いわゆる創造のスパイラル現象が発生することになるわけでございます。そのことは、我が国企業の国際競争力の強化にもつながると考えております。
 知的財産制度の強化というのは情報化時代の要請でありまして、この流れをプロパテントと呼んでいるわけでございます。この大綱を実施することによりまして、我が国もアメリカにおくれること約二十年でようやくプロパテント時代に突入をしたということが言えようかと思います。この傾向をさらに推し進めていくためには、この知的財産基本法を成立させ、基本法を今後の知的財産に関する政策の北極星とするということがぜひとも必要であると考えております。
 時間の関係で基本法の細かいことは一切省略いたしますけれども、基本法案の内容自体はほぼ大綱の線に沿っておりまして妥当なものであると評価しております。特に、国、地方公共団体、大学、事業者の責務、努力目標というものが基本法では定められておりまして、この問題は、単に官だけの問題ではなく、国を挙げての問題であるということを明らかにしているという点で意義があると考えております。
 大綱は、主として官の施策を中心に記載されております。民間企業の行動は各企業が自主的に行うべきものでありまして、民間企業がなすべきことにつきまして、大綱は細かいことを記述しておりません。しかし、実は、知的財産の活用に関しましては、制度のユーザーである企業の行動あるいは企業の意識というものが決定的に重要でございます。
 基本法の八条では、事業者の責務を努力目標として規定しております。基本法でこのように民間企業の行動について規定することには議論もあったと仄聞しておりますけれども、しかしながら、知財立国は官民一体となって努めなければならないということの象徴として、抽象的な規定ではありますけれども、この八条に規定したということは意義があると私は考えております。
 基本法でございますから、理念的な規定が多いというのは当然でございます。ただ、基本法の中で、実体的に最も重要なものは知的財産戦略本部の設置であろうと考えております。総理を本部長として全閣僚がメンバーとなるということでございますので、大変格の高い機関ということになっておりますけれども、この知的財産本部の今後の活動こそが、大綱に書かれておりますアクションプランが単なる絵にかいたもちに終わるのか、あるいはしっかりと実現できるのかというかぎを握っていると考えております。
 知財本部に関する規定といたしましては、第四章のような形になるということは当然、あるいはやむを得ないと思いますけれども、問題は、本部の具体的な活動内容でございます。常勤の職員を設けるとか、あるいは民間人もその職員に登用する等々の措置を講じなければ実効性はないと考えております。基本法が成立した後の問題ではございますけれども、この点については十分な気配りをしてほしいと考えております。
 知的財産基本法は、知的財産制度全般にわたる基本的な方向を定めた我が国で最初の画期的な法でございます。今までは各官庁ごとに別々に行われていた、ばらばらに行われていた知的財産政策をこのように統一的にとらえるということは極めて大きな意義があると考えております。
 この基本法を柱にいたしまして、今後の日本の知的財産戦略というものが大きく変わり、我が国が二十一世紀における世界の知的財産制度のリーダーとなるということを期待しております。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 中山信弘

speaker_id: 19267

日付: 2002-11-12

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会