末吉亙の発言 (経済産業委員会)

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○末吉参考人 おはようございます。
 私は、日本弁護士連合会知的財産政策推進本部事務局の次長を務めております弁護士の末吉亙と申します。よろしくお願いいたします。日本弁護士連合会の推薦によりまして、参考人として意見を述べさせていただきます。
 ことし二〇〇二年は、知的財産の本格的な時代を我が国も迎えたのではないかと思います。
 振り返ってみますと、ことし二〇〇二年二月四日、第百五十四回国会における小泉首相の施政方針演説におきまして、初めて知的財産というものが国家戦略として位置づけられました。これを受けまして政府は、知的財産戦略会議を設置しまして、この知的財産戦略会議は、知的財産戦略大綱という知的財産の基本戦略及びそのスケジュールを決定し、表明しました。これは二〇〇二年の七月三日のことでございます。
 さらに、ここ衆議院におきまして、知的財産基本法を御審議いただくことになっているわけでございます。これは大変画期的なことではないかというふうに考えます。昨年二〇〇一年にはここまでのことを予測するということはできなかったのではないかというふうに思っております。知的財産を手がけてきた弁護士の一人といたしまして、私はこの動きを大歓迎しております。
 と同時に、これは千載一遇のチャンスではないかというふうに考えておる次第でございます。なぜならば、知的財産は、これまで国家戦略として検討されたことはなかった、また、それほどの脚光を浴びたということもなかったのではないかと思います。今回、この委員会を含めまして、英知を集めて機動的、集中的に検討され、知的財産制度が総合的、戦略的に整備されることになったのはまさにチャンスであるというふうに考えております。
 私ども日本弁護士連合会も、今回のこの政府の動きには機敏に対応いたしました。ことしの八月二日でございますが、日本弁護士連合会に知的財産政策推進本部、この本部長は日弁連会長の本林徹でございますが、この本部が発足いたしました。
 この知財本部設立の趣旨でございますが、日本を取り巻く知的財産をめぐる諸問題が、高度な政治あるいは経済問題であるのみならず、グローバルに発展する情報社会におきまして、司法分野にとっても極めて重要な課題であるということを私ども日弁連が再認識したため設立されたものでございます。
 ここで、この司法分野での課題というのは、具体的には三点あると認識しております。
 第一に、法曹養成でございます。これは弁護士であるとか裁判官の養成でございます。法科大学院、これはロースクールと申しますが、ここでの知財教育、あるいは弁護士の研修の強化などによりまして、知的財産分野を担う質、量ともに豊かな裁判官であるとか弁護士を養成するという課題でございます。
 第二に、法律の整備でございます。知的財産分野におきまして、国際的水準をリードするような知財立法を整備するという課題でございます。日弁連も、このためには積極的に提言などの活動をする予定でございます。
 第三に、司法制度改革です。知的財産をめぐる紛争の予防と早期の解決のための司法インフラの整備という課題でございます。日弁連も、司法制度改革に積極的に取り組んでおります。
 ところで、知的財産戦略大綱は、極めて短期間の検討期間しか与えられなかったにもかかわらず、広範囲にわたる戦略についての検討を踏まえた大変な御努力によって起草された大がかりなものでございます。
 この知的財産戦略大綱の特色としては、第一に、この網羅的戦略性を挙げることができます。
 第二に、知的財産サイクルの確立を目標にしております。すなわち創造、保護、活用及び人的基盤の充実というサイクルを目標として掲げておるわけでございます。
 第三に、権利の強化に伴う弊害にも着目しております。すなわち、例えば競争政策も重要であるという点、あるいは表現の自由などの重視などでございます。
 第四に、具体的な行動計画でございます。二〇〇五年度までをめどとする集中的、計画的な具体的行動計画を示しております。
 最後、第五に、知的財産基本法の制定、知的財産戦略本部の設置及び知的財産戦略計画の策定までも予定をしているという点でございます。ここに知的財産基本法の背景がございます。
 このような特色を持つ知的財産戦略大綱の精神に基づきまして、今後、具体的な検討作業が適切かつ迅速に進行するということが何よりも重要であります。この点は、中山参考人あるいは丸島参考人と私も全く同意見でございます。
 知的財産戦略大綱の具体的行動計画の具体的な担い手は、総合科学技術会議、文部科学省、経済産業省、総務省、財務省、法務省、司法制度改革推進本部、農林水産省、警察庁、外務省、厚生労働省、金融庁、内閣官房など多岐にわたっております。
 このうち、既に進行しております作業の延長線上での実施が予定される事項につきましては、従前の作業の延長線の中での計画実施が想定されております。例えば、法制審議会におきます民事訴訟法改正作業、あるいは司法制度改革推進本部の十の検討会における検討作業などがございます。
 ちなみに、法科大学院での知財教育あるいは法曹研修の強化などによります知的財産分野を担う質、量ともに豊かな法曹の育成につきましては、司法制度改革推進本部で精力的に検討されるというふうに私ども期待をしております。知財ロースクールなど、重要な論点を含んでおります。
 他方、新たに検討の場が設けられたものとしましては、司法制度改革推進本部に新しく知的財産訴訟検討会というものがこの十月に設けられております。
 日本弁護士連合会といたしましては、これまでどおり、法制審議会、司法制度改革推進本部検討会などにおきまして積極的に関与をしてまいるとともに、検討会あるいは政府その他の諸機関に対しましては、提言を行うことはもとより、知的財産を扱う弁護士の数を画期的に増加させる諸方策の検討を含めまして、さらなる積極的な活動をすることを予定しております。なかんずく、司法制度改革推進本部に新たに設置されました知的財産訴訟検討会で検討される事項につきましては、特に検討、対応が急務でございます。
 以上を踏まえまして、この際、三点要望を差し上げたいと思います。
 まず第一に、知的財産基本法の規定いたします推進計画、あるいは知的財産戦略本部、これは知的財産戦略大綱の精神に基づきまして、適切かつ迅速に計画が実施されることを促進するためのものにしていただきたいという点でございます。日弁連も政策立案に積極的に協力できる体制を準備しております。
 第二に、国会におかれましては、今後も、知的財産戦略大綱の進捗状況につきまして、国権の最高機関として適切にチェックをお願いしたいという点でございます。その際、知的財産戦略大綱の精神が尊重されているという点につきましても、先生方、どうか御確認をお願いしたいという点でございます。
 第三に、司法制度改革と同様に、知的財産戦略も国民各方面の意見を集約しながら、ニーズに応じた透明性の高い戦略実施という点についてお願いしたいという点でございます。これによりまして、国民ニーズに即した、世界に誇れる知財立国というものが必ずや実現するものと確信をいたしております。
 以上の趣旨のもと、十分なる御審議のもと、知的財産基本法が早期に成立することを心から希望いたします。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 末吉亙

speaker_id: 28249

日付: 2002-11-12

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会