平山征夫の発言 (経済産業委員会)

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○平山参考人 おはようございます。新潟県知事の平山でございます。
 私は、新潟県の柏崎の出身でありますけれども、現在、新潟県そしてまた柏崎では、胸にこの青いリボンをつけておりますけれども、この東京電力の不正事件とあわせまして拉致問題が大変大きな話題となっています。そのこともありまして、ややこの東京電力の不正事件が、ニュースバリューとして拉致事件の陰に隠れている嫌いがございますけれども、私どもにとりましては大変大きな問題だというふうに思っております。
 GE社からの内部告発がありましたけれども、そのことが対外的に発表されるその日まで、直前まで知らない状態でございました。そして、そういう間、刈羽村の村長は、プルサーマルについての地元の集会を二十回開催し、意向集約に努めておったわけであります。そして、最後の集会のその日に、この内部告発の問題が表に出てまいりました。何のためにプルサーマル問題の集会を開いておったのかむなしい感じがするという刈羽村長の言葉は、実感をそのままあらわしていたかと思います。
 安全確保においては、立地の大前提がそこにあるわけでありまして、安全管理に関する虚偽、不正ということは、それだけで長年築いてきた地元との信頼関係が根底から覆ったわけであります。
 原子力発電という特性を考えますと、その内容の重さ、軽さにかかわらず、虚偽の報告に基づいて安全が図られたということについては、その信用が根底から崩れるということであります。特に、その後起こりました格納容器の漏えい検査の問題については違法行為でありまして、安全に直接かかわる点では、それまでの次元とは異なる悪質なものであるというふうに受けとめております。
 なぜこうした事件が引き起こされたのか、事件の全貌の徹底的な解明、究明と同時に、なぜこういう不正が起こったのか、真の原因の究明なくして適切な再発防止対策はないものというふうに考えております。
 立地地域住民の不安と東京電力の責任について申し上げたいと思います。
 私どもとしては、問題はいまだ何も終わっていないというふうに思っております。一連の不正によりまして、立地地域の住民は、かつてない不安とそして不信を覚えております。全号機についてできるだけ速やかに再点検を行っていただきたいというのが偽らざる住民の心情であります。これは最低限の責任であり、信頼回復に向かっての第一歩がそこから始まる。そしてまた、国は、みずからの責任をもって、その点検状況を確認の上、その結果を県民、国民に知らせていただきたいというふうに思います。これは新潟県議会だけではなくて、立地市村議会そして住民の総意であります。
 そして、原子力の安全は、これまで、国による規制と事業者の誠実なる自主点検活動がそのもとでありました。しかし、一連の不祥事でその両面が不備、不明確であったという実態があったわけでありまして、その意味では、事業者のみならず、国の信頼も地元の住民からは失われてしまったということを御自覚いただきたいというふうに思っております。
 今回の法改正案では、定期自主検査を法的に位置づけるということ、それから罰則を強化するということが打ち出されております。事業者による自主点検をめぐる取り扱いが制度上不明確であったということが今回の事件の背景になっていることを考えますと、その措置は必要であるというふうに思います。
 しかし、このことが必ずしも事業者側だけに非があったということを示すものではなくて、国への通報制度、そしてその運用が不明確であったということも問題点としてあることも事実であります。国の責任に帰する要因が少なからずあったことを指摘しておきたいというふうに思います。
 また、これらの規制措置の強化によります効果にはおのずから限界があります。事業者による主体的な、誠実な安全管理を担保するいわゆる企業倫理がきちんと果たされるということが担保される第三の枠組み、企業内でのダブルチェックあるいは情報の公開等々における措置も必要であるというふうに思います。その意味で、発電所地域情報会議の設置ということが議論され、その中に地域住民、特に反対派の人たちも入れたらどうかという議論が出ているのは、一つの検討すべき内容だというふうに思います。
 運転開始後のいわゆる維持基準の議論がされております。自主点検等々で発見されたひび割れ等に対しまして、科学的見地から安全性の評価を行い、そして対策と検討を実施することについては、私としては、その必要性については基本的には理解をしている立場であります。設置時における基準が運転開始後もずっと守られていくこと自体はあり得ないわけでありますから、運転開始後のルールについてきちんと定めておくことが必要であるということは、そのとおりだと思います。
 そうした基準は、欧米各国でも早くから採用されておりますし、我が国においても議論が始まっておったところでありますけれども、逆に言えば、原子力発電が運転開始後今日までの長い期間、なぜこのことが議論され、定められておらなかったのか、そのことについて、むしろ不作為とも言える事柄ではないかという思いをしておるところであります。
 しかし、この時点において、今このことが議論されていることに対して、地元住民からは、不安感があることも事実であります。押しなべて新品同様の機能を維持するということを絶対条件としてもし求めてきたということであるならば、国民にとって、維持基準の採用は安全性として見れば後退というふうに映るわけでありまして、不安を惹起することはある意味で当然のことであります。なぜよりによってこの時期なのかという疑問もあります。
 その批判に対して、その必要性を含め、安全の確保に関する科学的でオープンな議論が十分にされるということ、その結果が国民に適切に説明され、そして理解が図られるということがなければ、立地住民といたしましては、この時期において、そのことよりも、今回の不正事件の全容が解明され、その原因が究明されることがまず第一であるという声が強くなるだろうというふうに思います。
 そして、今回の一連の事件は、安全規制に一元的な権限を持ってその責任を負っておりました国の規制のあり方にも多くの問題があったことを示しているように思います。
 具体的には、自主点検の位置づけ、そして、その結果の取り扱い、それに対する不明確さ、さらには、事業者の自主保安活動に対するチェック体制の不備等々であります。これらの個々の問題に対する法制面での対応といたしまして今回の法律改正が提案されているものというふうに理解しております。
 しかし、今最も問われておりますのは、原子力の安全確保に対し失われてしまった信頼をどう取り戻していくかということであります。
 安全の確保は、原子力施設が立地、存在することの大前提であります。新潟県は、これまで一貫いたしまして、安全の確保が図られるということ、そして地元の住民の理解が得られるということ、この二つを条件に、前提に、国のエネルギー政策に協力をするという姿勢でまいりました。
 安全に責任を持つ国の地元住民に対する説明責任が果たして十分であったかどうか、このことについては、常々これまでも国に対し、表に立って安全性に一義的に責任を持っている国のみずからの口から、地元に対し安全性についての説明を行っていただきたいということを繰り返しお願いしてきた私どもにとりましては、今回の不正事件の発生を振り返ってみますと、やはりそのことが十分でなかったと言わざるを得ないのかなと思います。一連の事件で損なわれた国と事業者への地元の住民からの信頼の回復についてどう行っていくか、このことを真摯に御議論いただきたいというふうに思うわけであります。
 そして、最後のよりどころであります原子力に対する安全は、それを規制する機関に対する信頼そのものであります。そしてそこには、人間同士の信頼関係というものが目に見えた形で築き上げられていかなければならないんだろうと思います。安全規制の実務を所管する原子力安全・保安院の機能の充実強化は、その意味で、もとより必要であるというふうに思います。
 保安院のこれまでの取り組みには、住民の安心あるいは信頼を確保するという視点では、足りないものがあったと言わざるを得ません。今回の一連の事件の中でも、安全・保安院の対応につきましては、なるほど安全については十分の責任を持って行動していたように思いますけれども、住民に対する安心あるいは信頼という問題については、全くその概念として配慮がなかったように私には思えてなりません。
 そして、そのかなめとして、安全規制に係る一つの政策の企画決定を担っております原子力安全委員会との関係におきましても、国民にはその顔が見えず、このダブルチェック体制の意味するものと、そしてその信頼性についての思いが国民、住民には全く感じられないということも、今回の問題から出てきた一つの課題ではないかと思います。
 規制体制のあり方を考えていく中で、現在のダブルチェック体制が本当にきいているのかどうか、そのことについて触れれば、やはり原子力安全委員会は、保安院からの情報をもとにそれをチェックしているだけであって、一つの、独自の安全性に対する哲学なり思いを持って事に当たっていたというふうにはなかなか思えないわけでありまして、このことも含めまして、独立論そのものの議論も重要でありますけれども、ダブルチェック体制を含めた、こうした原子力安全委員会を含めたあり方についても御議論いただきたいというふうに思うわけであります。
 エネルギーの問題は、すべての国民、現在この世に生きている国民の問題だけではなく、将来の世代にわたる問題であります。その意味で、国民の理解と協力なくしてはその円滑な運営はおぼつきません。原子力の利用はその柱の一つでありますけれども、私はこれまで、その政策方針について、国民的な合意の形成が必要であるということを言い続けてまいりました。しかし、いまだそのことは成り立っていないというふうに思います。
 一連の事件の影響は大きく、立地計画地点を中心に、原子力のあり方そのものに対する厳しい議論が起こってくることは間違いありません。今回の不祥事は、プルサーマル問題にとどまらず、日本の今後の原子力の政策そのものに大きな影響を与えるものというふうに思っております。
 冬場の電力の需要期入りを理由に、今住民から要望の出ている点検の早期実現が需要期明けまでもし延びるというようなことであれば、その対応についての不安、そして不信感が高まるように思います。最大限の節電努力をして、一日も早い、可能な限り前倒しな点検をお願い申し上げる次第であります。そのことをもって初めて信頼回復の第一歩が始まるというふうに思います。東京電力の原子炉停止点検により、首都圏におけるこの冬の電力需給に影響が出ることもあり得るという覚悟を私どもはすべきだというふうに申し上げたいと思います。
 エネルギー問題は、国、事業者の、そして立地自治体だけの問題に終わらせるものではないと思います。今こそエネルギー政策に対する国民的な議論を起こし、立地市町村における、村を、町を、市を二分するような地域発展のための原子力発電の誘致が、逆に地域における大きな対立を生んできたということのみに終わることのないように、この今回の東京電力の不正事件から、改めて原子力の立地のあり方について、そして、その安全の確保についてどうあるべきか、大きな視野から御議論いただけるようお願いを申し上げまして、私の参考人としての意見陳述とさせていただきます。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 平山征夫

speaker_id: 15349

日付: 2002-11-20

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会