岩本忠夫の発言 (経済産業委員会)

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○岩本参考人 おはようございます。福島県双葉町長の岩本忠夫であります。
 福島県の双葉地方は、現在、第一原子力発電所が六基、さらに第二原子力発電所が四基、計十基ございます。三十数年間になりますけれども、多少のトラブルはございましたが、比較的順調に、安心、安全な運転を今日まで続けてきたわけでありますけれども、八月二十九日、突然、今平山知事の方からもお話がございましたように、東京電力の一連の不正事件が発生をし、そしてそれを聞きつけることができました。
 これまで地域の住民は、東京電力が、国がやることだから大丈夫だろう、こういう安心感を持ってやってきたわけでありますけれども、今回の一連の不正の問題は、安全と安心というふうに分けてみますと、安全の面では、当初から国やまた東京電力は、二十九カ所の不正の問題はありましても、安全性に影響はないということを言われてまいりました。したがって、安心の面で、多年にわたって東京電力、原子力との信頼関係を結んできました地域の者にとっては、まさに裏切られた、信頼が失墜してしまった、こういう思いを実は強くしたわけでありまして、この面が、何ともやりきれない、そういう思いをし続けているのが今日であります。
 ただ、住民は比較的冷静であります。それはなぜかといったら、現在、第一、第二、十基あるうちの六基が停止中であります。そして、その停止されている原子力発電所の現況からすれば、何とはなしに地域の経済がより下降ぎみになりまして深刻な状態にあります。雇用の不安もございます。
 何となく沈滞した経済状況に拍車をかけるような、そういう重い雰囲気が一方ではあるわけでありまして、原子力と共存共栄、つまり原子力と共生をしながら生きていく、これは、原子力立地でないとこの思いはちょっと理解できない面があるのではないかなというふうに思いますが、原子力立地地域として、原子力にどのようなことがあっても、そこから逃げ出したり離れたり、それを回避したりすることは全くできません。何としてもそこで生き抜いていくしかないわけであります。
 そういう面から、国も東京電力もいずれはちゃんとした立ち上がりをしてくれるもの、安全性はいずれは確保してくれるもの、こういうふうに期待をしているからこそ、今そう大きな騒ぎには実はなっておりません。表面は極めて冷静な姿に実はなっているわけであります。
 今東京電力が、例えば私の双葉町の場合は十七ほどの行政区がありますが、そこで毎日のように今回の不正の問題等についておわびし、同時にまた、この詳細について説明をしております。説明会を見ますと、余り多くの人たちは集まってきません。例えば私の方の行政で、年に一遍、行政懇談会なんかやりますと、四、五十人集まります。例えばそういう地域でも七、八人程度しか集まってこないんですね。いずれはちゃんとしてくれるだろうという思いが、表向き余り大きな関心を示さないということになっているんでしょうか。ともあれ、そういう状況に実はあります。
 しかし、何としても、長いこと信頼関係を結んで、そういう関係で続いてきました私どもの地域の中では、何ともやりきれない気持ちでいることは確かでありまして、国や電気事業者、まさにそういう実態を十二分にとらえながら、大いに反省をし、そして今後絶対かかる不正は再び起こさない、その手だてを何としてもつくっていただきたいというのが私どもの願いであります。
 今回の事業者の自主点検、これに大きな不正があった、報告をしなかった、そして隠ぺいをしたり偽造したりという事柄も中にはあったようでありまして、なぜそのような事柄が起きてしまったのか、事実はなかなかわからないところがあるわけでありますけれども、しかしそこに、国とそして電気事業者の関係の中におけるダブルチェックというものがあったのかどうか。
 かつて私はこういうことを聞いたことがあります。原子力発電所運転当初でありますが、東電代行という点検があったようであります。これは恐らく国にかわって東電が自主点検をやる、点検をやるということだったのかな、今にして思えばそういう感じでいるわけでありますけれども、ともあれ、東京電力が自主点検をやったものをさらに国がある程度の、ある程度のというか、それをさらに二重にチェックをしていくという体制を今後きちんとやるべきではないのかな、こういうふうに実は思っております。
 今回、電気事業法並びに核燃料物質、さらにまたこれらの原子炉の規制について法案が出されているようでありますけれども、点検をやる際にその維持基準というものが、やはり、そう性急ではなくても、そういう姿をつくって、これならば大丈夫だと、そういう検証ができるような制度があってもいいのではないか、こういうふうに私は考えております。
 さらにまた、独立行政法人の原子力安全基盤機構の問題でありますが、私は、従来、推進とさらにまた規制、保安という面を区別しましても、しょせん人間がやることでありまして、表向き規制があっても、どのような独立した法人でありましても、裏でつながっていたのではどうにもならない。したがって、これは点検者もそうでありますけれども、その人間がいかに自己規制をして、そして自分の果たす役割、使命というものを十二分に認識しながら対処をするという基本的な姿勢がない限り、どのような法規制をつくりましてもそれは無に等しいということになりはしないかという危惧の念が実はあるわけであります。
 したがって、私は、電気事業者の点検者においても、また国、保安院の検査官でありましても、人間として、点検者として、検査員としてどうあるべきかという人間の人格とか品格とかというものがやはり大きく問われる、今回の問題にもそういうことが一つ言えるのではないかなというふうに実は実感をしているところであります。
 また一方では、今回の一連の不正の問題等について、国のエネルギー政策やまた原子力政策がこれでもって崩壊したとか、これでもって大きくつまずいたとかということを言われる方もいらっしゃいますけれども、私は、これは政策とは基本的に違う、こういうふうに実は考えておりまして、いたずらに今回の不正の問題を政策の問題にすりかえてしまうというのはやはりおかしいんじゃないかな、こういうふうに自分なりに実は感じているところであります。
 ともあれ、原子力はあくまでも安全でなければなりませんし、地域の方々が安心して過ごしていけるような、そういう地域、環境をつくるということが大きな使命であるというふうに実は考えております。
 もう一つ、この際お願いをしておきたいことは、地域環境の整備であります。かつては、避難道路などという、避難ということをいいながら道路の整備をお願いしたいということは、余り口には出しませんでした。しかし、近年は、どうしても万々が一に備えてそのような道路、周辺の道路の整備や何かをぜひともお願いしたい、こういうことを申し上げてまいりました。常磐自動車道の問題も一つであります。さらにまた浜街道、広野小高線という道路がありますが、これらの道路の整備についても同様であります。
 さらにもう一つ、横軸としまして、福島県の二本松から双葉地域にかける阿武隈山系横断道路という、これはまだ印も何もついておりませんけれども、私たちは、これは避難道路、つまり横軸の骨格の道路としてどうしても必要だ、こういうことでお願いをしているところでありまして、どうぞ御理解をいただきたいというふうに考えております。
 今回の事故を振り返ってみますと、かつて茨城県東海村のジェー・シー・オーの事故、この教訓が果たして生かされているのかどうかということを痛切に感じております。その際に深谷通産大臣が私の方に参りまして、ジェー・シー・オーの施設と原子力発電所の施設は違う、原子力の施設は多重防護策をとっていて、万々が一の事故があっても完全に放射能物質を封じ込めることができる、だから安全である、こういうことを明言されていたようでありますけれども、私も、これには決して逆らうつもりはありませんし、そういう原子炉の体制にはできている、こういうふうに考えておりますけれども、かつての事柄について、十二分それを教訓としてこれから原子力行政に生かしていただきたいとお願いを申し上げまして、私の意見陳述にかえさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 岩本忠夫

speaker_id: 11375

日付: 2002-11-20

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会